(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5759905
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 37/00 20060101AFI20150716BHJP
F02B 37/013 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
F02B37/00 303J
F02B37/00 301B
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-552072(P2011-552072)
(86)(22)【出願日】2010年2月19日
(65)【公表番号】特表2012-519250(P2012-519250A)
(43)【公表日】2012年8月23日
(86)【国際出願番号】US2010024660
(87)【国際公開番号】WO2010099031
(87)【国際公開日】20100902
【審査請求日】2012年2月2日
【審判番号】不服2014-4330(P2014-4330/J1)
【審判請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】102009010650.2
(32)【優先日】2009年2月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ハン
【合議体】
【審判長】
加藤 友也
【審判官】
伊藤 元人
【審判官】
槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−138759(JP,A)
【文献】
特開昭61−291725(JP,A)
【文献】
実開平3−112522(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ライン(3)を有する吸気部分(2)を備え、
排気ライン(5)を有する排気部分(4)を備え、
前記吸気ライン(3)にコンプレッサー(7)と、前記排気ライン(5)に配置されたタービン(8)とを有する少なくとも1つの排気ガスターボチャージャー(6)を備え、
吸気の流れ方向(R)に見たとき、前記コンプレッサー(7)の下流の前記吸気ライン(3)内へと開く空気供給ライン(10)を有し、前記空気供給ライン(10)に配置されたバイパス弁(12)を有する、制御可能なバイパス配置(9)を備え、
前記制御可能なバイパス配置(9)が、外側から流入する周囲空気(UL)を濾過するための、エアフィルター(11)を有し、前記バイパス弁(12)は、前記エアフィルター(11)の下流の空気供給ライン(10)に配置され、
前記バイパス弁(12)は、ポート(29)を経由して前記コンプレッサー(7)に、ポート(30)を経由して前記吸気部分(2)に、そしてポート(31)を経由して前記空気供給ライン(10)に接続される、弁ハウジング(22)を有し、
前記バイパス弁(12)が、前記吸気ライン(3)において真空の場合に、ばね力に逆らって開放され得るばね負荷式の弁体(21)を有することを特徴とする、内燃機関(1)。
【請求項2】
高圧段(HP)の前記コンプレッサー(7)の下流にある前記吸気ライン(3)内へと開く前記空気供給ライン(10)を伴う、高圧段(HP)と低圧段(LP)とを有する2段ターボチャージャー配置を形成するための、2台の排気ガスターボチャージャー(6、13)により特徴付けられる、請求項1に記載の内燃機関(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前文による内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
単段又は多段ターボ過給を有する内燃機関において、不十分な空気の供給の結果として、エンジンのオーバーラン又はブレーキモードのような一定の作動状態において、エンジン吸気ライン内で真空が生成され、そしてエンジンは従ってターボチャージャーのコンプレッサーと軸受ハウジングから(あるいは2段ターボ過給の場合、高圧段のコンプレッサーと軸受ハウジングから)空気及びまたオイルも吸い込み、そのオイルは燃焼室内で燃やされる。内燃機関の排気ガスの値及びターボチャージャーのオイル消費量は従って悪化させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これと対照をなして、本発明の1つの目的は、とりわけエンジンのブレーキモードにおいて吸気の十分な供給を可能にし、それによって排気ガスターボチャージャーの排気ガス値の悪化及び、オイル消費量の大幅な上昇を防止する、請求項1の前文によるターボ加給された内燃機関を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は請求項1の特徴によって達成される。
【0005】
制御可能なバイパス配置の本発明による設計は、周囲空気が高圧及び低圧コンプレッサーを通過してバイパス配置経由で吸入され、内燃機関の吸気部分に供給される点において、エンジンのブレーキモードにて内燃機関に十分な空気供給をもたらす。
【0006】
従属請求項は本発明の有利な改良に関する。
【0007】
本発明によるバイパス配置を経由する空気供給は、バイパス弁を用いて制御され得る。この制御は、エンジン吸気ライン内で生じる真空の場合に独立した制御器によって、又は例えば吸気マニホールドあるいは高圧コンプレッサーに直接接続され得る、別個の制御セル/制御弁によって提供され得る。代わりに、ブレーキフラップの位置に依存する制御は、位置センサー及びPWM(パルス幅変調)弁を用いて提供され得る。さらに、エンジン制御ユニットによるバイパス弁の電気的制御、及び作動モーター又はソレノイド弁によるバイパス弁の作動が可能である。
【0008】
本発明の更なる詳細、特徴、及び利点は、図面に基づく例示的な実施形態の、以下の記述から収集され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ターボ過給される内燃機関のバイパス配置の略図を示す。
【
図2】ターボ過給された内燃機関のバイパス配置における、バイパス弁の可能な実施形態の部分的に切り取られた透視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明によるバイパス配置をターボ加給された内燃機関1において有する、本発明による内燃機関1の略図を示す。
図1から分かるように、内燃機関1は吸気部分2及び排気部分4を備える。冷却器19及び下流に配置された制御弁20は、排気部分4と吸気部分2との間の排気ガス再循環ライン内に配置されている。排気部分4に接続されているのは、排気部分4を、
図1に例証されている2段ターボチャージャー・システムの高圧段HPのターボチャージャー6のタービン8に接続する、排気ライン5である。また内燃機関1の排気部分4に接続されているのは、タービン8をバイパスする、バイパス制御弁18を有するバイパスライン17である。2段ターボチャージャー・システムの低圧段LPは、高圧段HPの下流に配置され、低圧段LPはタービン15及びコンプレッサー14を伴うターボチャージャー13を含む。さらに、ブレーキフラップ16が排気ライン5内に配置されている。
【0011】
吸気ライン3は、高圧段HPのコンプレッサー7から内燃機関1の吸気部分2に通じる。バイパス配置9の空気供給ライン10は、コンプレッサー7の下流において流れ方向Rに開き、その空気供給ライン10のエアフィルター11を経由して周囲空気AAが吸気ライン3へと導入され得る。バイパス弁12もまた空気供給ライン10内に配置されている。
【0012】
図2はバイパス弁12の部分的に切り取られた透視図を示す。
図2から分かるように、バイパス弁12はポート29を経由してコンプレッサー7に、ポート30を経由して吸気部分2に、そしてポート31を経由して空気供給ライン3に接続される、弁ハウジング22を有する。ポート29内へ流入する空気、及びポート30から流出する空気の流れの方向は、各々の場合に矢印Rで示されている。ポート31内へ流入する周囲空気は、矢印AAにより示される。弁ハウジング22は、ウェブ28を用いて弁ハウジング22内に固定される、軸受体23をその中に配置している。軸受体23の内側には、ピン25がピン軸受配置27内に保持されているか又は取り付けられている。ピン25の反対側端部は、弁体21の中央開口内に固定されている。ばね26が軸受体23と弁体21との間に配置され、そのばね26はOリング24を用いて、弁ハウジング22のシール座32に対して弁体21をシールする。
【0013】
ポート29に接続されているコンプレッサー7の側で、エンジンのブレーキモードにおいて生じる真空の場合に、弁体21は弁ハウジング22のシール座32から引き上げられ、ポート31に接続されている空気供給ライン10からの周囲空気AAは、弁ハウジング22内へ通り、そしてポート30及び吸気ライン3を経由して、内燃機関1の吸気部分2に供給される。このようにして、ブレーキモードにおける内燃機関1の吸気部分2への空気供給の欠乏は、バイパス配置9を通じた追加の空気の供給によって防止され、コンプレッサー7を経由するオイルの損失が防止され、そして適切な排気ガスの放出値の順守が確実になる。
【0014】
本開示を完結するために、
図1及び2における本発明の概略図についても明確に言及する。
【符号の説明】
【0015】
1 内燃機関
2 吸気部分
3 吸気ライン
4 排気部分
5 排気ライン
6、13 排気ガスターボチャージャー
7、14 コンプレッサー
8、15 タービン
9 バイパス配置
10 空気供給ライン
11 エアフィルター
12 バイパス弁
16 ブレーキフラップ
17 バイパスライン
18 バイパス制御弁
19 給気冷却器
20 制御弁
21 弁体
22 弁ハウジング
23 軸受体
24 Oリング
25 ピン
26 ばね
27 ピン軸受配置
28 ウェブ
29、30、31 ポート
32 シール座
HP 高圧段
LP 低圧段