(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱収縮率は、ガラス基板をTgで30分保持した後、Tg-100℃まで100℃/分で冷却し、室温まで放冷する徐冷操作を行った後に前記熱処理を施して得た値である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願明細書において、ガラス基板を構成するガラスの組成は特に断らない限り、質量%で表示し、ガラスを構成する成分の比は質量比で表示する。また、ガラス基板の組成及び物性は、特に断らない限りガラス基板を構成するガラスの組成及び物性を意味し、単にガラスと表記するときは、ガラス基板を構成するガラスを意味する。但し、ガラス基板の熱収縮率は、実施例に記載の所定の条件で形成したガラス基板について、実施例に記載の条件で測定した値を意味する。また、本願明細書において、低温粘性特性温度とは、ガラスが10
7.6〜10
14.5dPa・sの範囲の粘度を示す温度を意味し、低温粘性特性温度には、歪点およびTgが含まれる。従って、低温粘性特性温度を高めるということは、歪点およびTgを高めることも意味し、逆に、歪点及び/又はTgを高めるということは低温粘性特性温度を高めることを意味する。また、熔解性の指標となる熔融温度とは、ガラスが10
2.5dPa・sの粘度を示す温度であり、熔解性の指標となる温度である。
【0013】
<p−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板>
本発明のp−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板(本発明の第1の態様のガラス基板)は、SiO
2 52〜78質量%、Al
2O
3 3〜25質量%、B
2O
33〜15質量%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20質量%、R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%、Sb
2O
30〜0.3質量%、を含有し、かつAs
2O
3は実質的に含有せず、質量比CaO/ROは0.65以上であり、質量比(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は7〜30の範囲であり、かつ質量比(SiO
2+Al
2O
3)/ROは5以上であるガラスからなるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板である。また、本発明のp−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板(本発明の第1の態様のガラス基板)の一例として、SiO
2 52〜78質量%、Al
2O
33〜25質量%、B
2O
3 3〜15質量%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20質量%、R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量)0.01〜0.8質量%を含有し、Sb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3は実質的に含有しないガラスであって、さらに、質量比CaO/ROは0.65以上であり、質量比(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は8.1〜20の範囲であり、かつ質量比(SiO
2+Al
2O
3)/ROは 5以上であるガラスからなるガラス基板を挙げることができる。
以下に、本発明の第1の態様のガラス基板の各ガラス成分を含有する理由及び含有量や組成比の範囲について説明する。
【0014】
本発明の第1の態様のガラス基板におけるSiO
2の含有量は52〜78質量%の範囲である。
SiO
2は、ガラスの骨格成分であり、従って、必須成分である。含有量が少なくなると、耐酸性が、耐BHF(バッファードフッ酸)および歪点が低下する傾向がある。また、熱膨張係数が増加する傾向がある。また、SiO
2含有量が少なすぎると、ガラス基板を低密度化をするのが難しくなる。一方、SiO
2含有量が多すぎると、ガラス融液の比抵抗が上昇し、熔融温度が著しく高くなり熔解が困難になる傾向がある。SiO
2含有量が多すぎると、耐失透性が低下する傾向もある。このような観点から、SiO
2の含有量は、52〜78質量%の範囲とする。SiO
2の含有量は、好ましくは57〜75 質量%、より好ましくは58〜72質量%、さらに好ましくは59〜70質量%、一層好ましくは59〜69質量%、より一層好ましくは61〜69質量%、さらに一層好ましくは61〜68質量%、尚一層好ましくは62〜67質量%の範囲である。他方、SiO
2含有量が多すぎると、ガラスのエッチングレートが遅くなる傾向がある。ガラス板をスリミングする場合の速度を示すエッチングレートが十分に速いガラス基板を得るという観点からは、SiO
2の含有量は、好ましくは53〜75 質量%、より好ましくは55〜70質量%、さらに好ましくは55〜65質量%、一層好ましくは58〜63質量%の範囲である。尚、SiO
2含有量は、上記耐酸性等の特性とエッチングレートの両方を考慮して適宜決定される。
【0015】
本発明の第1の態様のガラス基板におけるAl
2O
3の含有量は 3〜25質量%の範囲である。
Al
2O
3は、分相を抑制し、歪点を高くする必須成分である。含有量が少なすぎると、ガラスが分相しやすくなる。歪点が低下する。さらに、ヤング率及びエッチングレートも低下する傾向がある。Al
2O
3含有量が多すぎると、比抵抗が上昇する。また、ガラスの失透温度が上昇して、耐失透性が低下するので、成形性が悪化する傾向がある。このような観点から、Al
2O
3の含有量は3〜25質量%の範囲である。Al
2O
3の含有量は、好ましくは8〜25質量%、より好ましくは10〜23質量%、さらに好ましくは12〜20質量%、一層好ましくは14〜20質量%、尚一層好ましくは15〜20質量%、さらに尚一層好ましくは15〜19質量%の範囲である他方、エッチングレートが十分に速いガラス基板を得るという観点からは、Al
2O
3の含有量は、好ましくは8〜25質量%、より好ましくは10〜23質量%、さらに好ましくは14〜23質量%、一層好ましくは17〜22質量%である。尚、Al
2O
3の含有量は、上記ガラスが分相特性等とエッチングレートの両方を考慮して適宜決定される。
【0016】
本発明の第1の態様のガラス基板におけるB
2O
3は、3〜15質量%の範囲である。
B
2O
3は、ガラスの熔融温度に代表される高温粘性域における温度を低下させ、清澄性を改善する必須成分である。B
2O
3含有量が少なすぎると、熔解性、耐失透性及び耐BHFが低下する傾向にある。また、B
2O
3含有量が少なすぎると、比重が増加して低密度化が図りがたくなる。他方、B
2O
3含有量が多すぎると、比抵抗が上昇する。また、B
2O
3含有量が多すぎると、歪点が低下し、耐熱性が低下する。また、耐酸性及びヤング率が低下する傾向にある。また、ガラス熔解時のB
2O
3の揮発により、ガラスの不均質が顕著となり、脈理が発生しやすくなる。このような観点から、B
2O
3含有量は、3〜15質量%の範囲であり、好ましくは3〜13質量%、より好ましくは3〜11質量%未満、より好ましくは3〜10質量%未満、さらに好ましくは4〜9質量%、一層好ましくは5〜9質量%、尚一層好ましくは7〜9質量%の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させるためには、B
2O
3含有量は、3〜15質量%の範囲であり、好ましくは5〜15質量%、よりましくは6〜13質量%、さらにましくは7〜11質量%未満である。尚、B
2O
3含有量は、上記熔解性等と失透温度の両方を考慮して適宜決定される。
【0017】
本発明の第1の態様のガラス基板におけるMgO、CaO、SrO及びBaOの合量であるROは、3〜20質量%の範囲である。
ROは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる必須成分である。RO含有量が少なすぎると、比抵抗が上昇し、熔解性が悪化する。RO含有量が多すぎると、歪点及びヤング率が低下する。さらに、密度が上昇する。また、RO含有量が多すぎると、熱膨張係数が増大する傾向もある。このような観点から、ROは、3〜20質量%の範囲であり、好ましくは4〜16質量%、より好ましくは4〜15質量%、さらに好ましくは6〜14質量%、一層好ましくは7〜14質量%、より一層好ましくは7〜12質量%、尚一層好ましくは8〜11質量%の範囲である。
【0018】
本発明の第1の態様のガラス基板におけるR
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有する。
Li
2O、Na
2O及びK
2OであるR
2Oは、ガラスの塩基性度を高め、清澄剤の酸化を容易にして、清澄性を発揮させる成分である。また、熔解性向上、比抵抗低下させる成分である。従って、R
2Oを含有させると、比抵抗が低下し、清澄性が向上し、熔解性が向上する。しかし、R
2O含有量が多すぎると、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させる。また、熱膨張係数が増大する傾向がある。これらの観点から、R
2Oの合量であるLi
2O+Na
2O+K
2Oは0.01〜0.8質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜0.6質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、さらに好ましくは0.01〜0.4質量%、一層好ましくは0.01〜0.3質量%の範囲である。上記範囲における下限値0.01質量%は、好ましくは0.05質量%、より好ましくは0.1質量%である。
【0019】
本発明の第1の態様のガラス基板は、環境負荷を低減するという観点から、Sb
2O
3は0〜0.3質量%であることが好ましく、0〜0.1質量%であることがより好ましい。また、本発明の第1の態様のガラス基板は、環境負荷をより低減するという観点から、Sb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3も実質的に含有しないことがさらに好ましい。本明細書において、「実質的に含有せず」とは、ガラス原料にこれら成分の原料となる物質を用いないことを意味し、他の成分のガラス原料に不純物として含まれる成分の混入を排除するものではない。
【0020】
本発明の第1の態様のガラス基板においてCaO/ROは 熔解性と耐失透性の指標 の指標となる。CaO/ROは0.65以上であり、好ましくは0.65〜1、さらに好ましくは0.7〜1、一層好ましくは0.85〜1、より一層好ましくは0.9〜1、尚一層好ましくは0.95〜1の範囲である。これらの範囲とすることで、耐失透性と熔解性を両立することができる。さらに、低密度化を図ることができる。また、原料として、複数のアルカリ土類金属を含有させるよりも、CaOのみを含有させた方が歪点を高める効果が高い。アルカリ土類金属酸化物としてCaOのみを原料として含有させた場合、得られるガラスのCaO/ROの値は、例えば0.98〜1程度である。なお、アルカリ土類金属酸化物としてCaOのみを原料として含有させた場合でも、得られるガラスには、他のアルカリ土類金属酸化物が不純物として含まれる場合がある。
【0021】
本発明の第1の態様のガラス基板においてB
2O
3に対するSiO
2とAl
2O
3の合量である(SiO
2+Al
2O
3)の質量比(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は歪点と耐失透性の指標となる。(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は好ましくは7〜30であり、より好ましくは8〜25であり、さらに好ましくは8.1〜20の範囲である。(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3が小さいほど歪点は低くなり、7未満では歪点は不十分であり、8以上、好ましくは8.1以上になると歪点を十分に高くすることができる。一方、(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3が大きいほど耐失透性が徐々に低下し、30を超えると極端に低下し、好ましくは25以下、より好ましくは23以下、さらに好ましくは20以下であれば十分な耐失透性が得られる。そのため、 (SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は、好ましくは9.5〜16の範囲であり、より好ましくは9.8〜14であり、さらに好ましくは10〜12の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させることに加えて、エッチングレートが十分に速いガラス基板を得ることも考慮すると、(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は好ましくは7〜30であり、より好ましくは8〜25であり、さらに好ましくは8.2〜20であり、一層好ましくは8.4〜15であり、尚一層好ましくは8.5〜12である。
【0022】
本発明の第1の態様のガラス基板においてROに対するSiO
2とAl
2O
3の合量である(SiO
2+Al
2O
3)の質量比(SiO
2+Al
2O
3)/ROは比抵抗の指標となる。(SiO
2+Al
2O
3)/ROは5以上である。この範囲にあることで、低温粘性特性温度(Tgや歪点)の向上と比抵抗の低減を両立することができる。また、低温粘性特性温度の向上と熔解性も両立することができる。(SiO
2+Al
2O
3)/ROが5未満では、低温粘性特性温度(Tgや歪点)を十分に高くすることができない。である。(SiO
2+Al
2O
3)/ROは、好ましくは5〜15の範囲であり、より好ましくは6〜13より好ましくは7.5〜12、さらに好ましくは8.1〜10の範囲である。なお、(SiO
2+Al
2O
3)/ROを15以下にすることで、比抵抗が上昇しすぎることを抑制できる。他方、低温粘性特性温度を十分に高くすること等に加えて、エッチングレートが十分に速いガラス基板を得ることも考慮すると、(SiO
2+Al
2O
3)/ROは、好ましくは6〜15であり、より好ましくは7〜15であり、さらに好ましくは7.5〜9.5の範囲である。
【0023】
本発明のガラス基板(本発明の第1の態様のガラス基板)は、上記に加えて、以下のガラス組成および/または物性を有することが好ましい。
【0024】
本発明の第1の態様のガラス基板においてSiO
2とAl
2O
3の合量であるSiO
2+Al
2O
3は少なすぎると、歪点が低下する傾向があり、多すぎると、比抵抗が上昇し、耐失透性が悪化する傾向がある。そのためSiO
2+Al
2O
3は、75質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%〜87質量%であり、さらに好ましくは75質量%〜85質量%であり、一層好ましくは78質量%〜83質量%である。歪点をさらに高くするという観点からは、より好ましくは78質量%以上、さらに好ましくは79〜87質量%、一層好ましくは80〜85質量%である。
【0025】
本発明の第1の態様のガラス基板においてMgOは比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。また、アルカリ土類金属の中では比重を増加させにくい成分であるので、その含有量を相対的に増加させると、低密度化を図りやすくなる。必須ではないが、含有させることで、熔解性を向上し、かつ切粉の発生を抑制できる。但し、MgOの含有量が多すぎると、ガラスの失透温度が急激に上昇するため、成形性が悪化(耐失透性が低下)する。また、MgOの含有量が多すぎると、耐BHF低下、耐酸性低下の傾向がある。特に、失透温度を低下させたい場合には、MgOは実質的に含有させないことが好ましい。このような観点から、MgO含有量は、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%、一層好ましくは0〜4質量%、より一層好ましくは0〜3質量%、さらに一層好ましくは0〜2未満、尚一層好ましくは0〜1質量%であり、最も好ましくは実質的に含有しないことである。
【0026】
本発明の第1の態様のガラス基板においてCaOは、比抵抗を低下させる成分であり、ガラスの失透温度を急激に上げることなくガラスの熔解性を向上させるのにも有効な成分である。また、アルカリ土類金属の中では比重を増加させにくい成分であるので、その含有量を相対的に増加させると、低密度化を図りやすくなる。必須ではないが、含有させることで、ガラス融液の比抵抗低下および熔融温度(高温粘性)低下による熔解性向上及び失透性改善をできるので、CaOは含有させることが好ましい。CaO含有量が多すぎると、歪点が低下する傾向にある。また、熱膨張係数が増加する傾向があ、さらに密度が上昇する傾向がある。CaO含有量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%、一層好ましくは3.6〜15質量%、より一層好ましくは4〜14質量%、さらに一層好ましくは5〜12質量%、尚一層好ましくは5〜11質量%、さらに尚一層好ましくは5〜10質量%、さらに尚一層好ましくは6超〜10質量%、最も好ましくは6超〜9質量%の範囲である。
【0027】
本発明の第1の態様のガラス基板においてSrOは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。SrOは、必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性が向上する。SrO含有量が多すぎると、密度が上昇してしまう。SrO含有量は、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜3質量%、一層好ましくは0〜2質量%、さらに一層好ましくは0〜1質量%、尚一層好ましくは0〜0.5質量%の範囲である。ガラスの密度を低下させたい場合には、SrOは実質的に含有させないことが好ましい。
【0028】
本発明の第1の態様のガラス基板においてBaOは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。BaOは、必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性が向上する。また、熱膨張係数及び密度も増大してしまう。BaO含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜1.5 質量%未満、さらに好ましくは0〜1質量%、一層好ましくは0〜0.5質量%未満、尚一層好ましくは0〜0.1質量%未満である。BaOは、環境負荷の問題から、実質的に含有させないことが好ましい。
【0029】
本発明の第1の態様のガラス基板においてSrOとBaOは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性は向上する。しかし、含有量が多すぎると、密度が上昇してしまう。SrOとBaOの合量であるSrO+BaOは、密度を低減し、軽量化するという観点から、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3.4質量%未満、さらに好ましくは0〜3質量%、一層好ましくは0〜2質量%、さらに一層好ましくは0〜1質量%、尚一層好ましくは0〜0.5質量%、さらに尚一層好ましくは0〜0.1質量%未満の範囲である。ガラス基板の密度を低下させたい場合には、SrOとBaOは、実質的に含有させないことが好ましい。
【0030】
本発明の第1の態様のガラス基板においてLi
2O及びNa
2Oは、比抵抗低下させ、熔解性を向上させる成分であるが、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させたり、ガラスの熱膨張係数を大きくして熱処理時に基板を破損したりするおそれのある成分であるため、Li
2O及びNa
2Oの合量は、好ましくは0〜0.2質量%、より好ましくは0〜0.1質量%、さらに好ましくは0〜0.05質量%、一層好ましくは実質的に含有しない
【0031】
本発明の第1の態様のガラス基板においてK
2Oは、ガラスの塩基性度を高め、清澄剤の酸化を容易にして、清澄性を発揮させる成分である。また、比抵抗低下させ、熔解性を向上させる成分である。必須ではないが、含有させると、比抵抗は低下し、熔解性は向上する。さらに、清澄性も向上する。。
K
2O含有量が多すぎると、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させる傾向がある。また、熱膨張係数も増大する傾向がある。K
2O含有量は、好ましくは0.01〜0.8質量%、より好ましくは0.05〜0.7質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%、一層好ましくは0.1〜0.5質量%、より一層好ましくは0.1〜0.4質量%、さらに一層好ましくは0.1〜0.3質量%の範囲である。
【0032】
K
2Oは、Li
2OやNa
2Oと比較して、分子量が大きいため、ガラス基板から溶出しにくい。そのため、R
2Oを含有させる場合には、K
2Oを含有させることが好ましい。つまり、K
2Oは、Li
2Oよりも高い比率で含有される(K
2O>Li
2Oを満たす)ことが好ましい。K
2Oは、Na
2Oよりも高い比率で含有される(K
2O>Na
2Oを満たす)ことが好ましい。Li
2O及びNa
2Oの割合が大きいと、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させる傾向が強くなる。質量比K
2O/R
2Oは、好ましくは0.5〜1であり、より好ましくは0.6〜1であり、さらに好ましくは0.7〜1、一層好ましくは0.75〜1、さらに一層好ましくは0.8〜1、より一層好ましくは0.9〜1、より一層好ましくは0.95〜1、より一層好ましくは0.99〜1の範囲である。
【0033】
本発明の第1の態様のガラス基板においてZrO
2およびTiO
2は、ガラスの化学的耐久性および耐熱性を向上させる成分である。ZrO
2およびTiO
2は、必須成分ではないが、含有させることでTgや歪点(低温粘性特性温度)の上昇および耐酸性向上を実現できる。しかし、ZrO
2量およびTiO
2量が多くなりすぎると、失透温度が著しく上昇するため、耐失透性および成形性が低下する場合がある。特に、ZrO
2は、冷却過程でZrO
2の結晶を析出する場合があり、これがインクルージョンとしてガラスの品質悪化を引き起こすことがある。以上の理由から、本発明のガラス基板では、ZrO
2およびTiO
2の含有率は、それぞれ、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%未満がさらに好ましく、0.2質量%未満がさらに一層好ましい。さらに好ましくは、本発明のガラス基板が、ZrO
2およびTiO
2を実質的に含有しないことである。言い換えると、ZrO
2およびTiO
2の含有率は、それぞれ、0〜5質量%が好ましく、0〜3質量%がより好ましく、0〜2質量%がさらに好ましく、0〜1質量%がさらに好ましく、0〜0.5質量%未満がさらに好ましく、0〜0.2質量%未満がさらに一層好ましい。さらに好ましくは、本発明のガラス基板が、ZrO
2およびTiO
2を実質的に含有しないことである。
【0034】
本発明の第1の態様のガラス基板においてZnOは、耐BHF性や熔解性を向上させる成分である。但し、必須ではない。
ZnO含有量が多くなりすぎると、失透温度及び密度が上昇する傾向がある。また、歪点が低下する傾向がある。そのため、ZnO含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0〜2質量%、一層好ましくは0〜1質量%の範囲である。ZnOは実質的に含有しないことが好ましい。
【0035】
本発明の第1の態様のガラス基板においてROとB
2O
3の合量であるRO+B
2O
3は、清澄性の指標となる。RO+B
2O
3が少なすぎると、ガラスの高温粘性が上昇し、清澄性が低下する。一方、多すぎると、歪点が低下する。RO+B
2O
3は、好ましくは20質量%未満、より好ましくは5〜20質量%未満、さらに好ましくは10〜20質量%未満、一層好ましくは14〜20質量%未満、より一層好ましくは15〜19質量%の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させるためには、RO+B
2O
3は、好ましくは30質量%未満、より好ましくは10〜30質量%未満、さらに好ましくは14〜30質量%未満、一層好ましくは14〜25質量%未満、より一層好ましくは15〜23質量%の範囲である。尚、RO+B
2O
3は、清澄性等と失透温度の両方を考慮して適宜決定される。
【0036】
本発明の第1の態様のガラス基板においてP
2O
5は、熔融温度(高温粘性)を低下させ、熔解性を向上させる成分である。但し、必須ではない。
P
2O
5含有量が多すぎると、ガラス熔解時のP
2O
5の揮発により、ガラスの不均質が顕著となり、脈理が発生しやすくなる。また、耐酸性が著しく悪化する。また、乳白が生じやすくなる。P
2O
5含有量は、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜1質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%の範囲であり、実質的に含有しないことが特に好ましい。
【0037】
本発明の第1の態様のガラス基板においてB
2O
3とP
2O
5の合量であるB
2O
3+P
2O
5は、熔解性の指標となる。B
2O
3+P
2O
5が少なすぎると、熔解性が低下する傾向がある。多すぎると、ガラス熔解時のB
2O
3とP
2O
5の揮発により、ガラスの不均質が顕著となり、脈理が発生しやすくなる。また、歪点が低下する傾向もある。B
2O
3+P
2O
5は、好ましくは3〜15質量%、より好ましくは4〜10質量%、さらに好ましくは5〜9質量%、一層好ましくは7〜9質量%の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させるためには、B
2O
3+P
2O
5は、好ましくは3〜15質量%であり、好ましくは5〜15質量%、よりましくは6〜13質量%、さらにましくは7〜11質量%未満である。尚、B
2O
3+P
2O
5は、熔解性等と失透温度の両方を考慮して適宜決定される。
【0038】
本発明の第1の態様のガラス基板においてCaO/B
2O
3は熔解性と耐失透性の指標となる。CaO/B
2O
3は、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.7〜5、さらに好ましくは0.9〜3、一層好ましくは1.0〜2、より一層好ましくは1.1〜1.5の範囲である。これらの範囲とするで、耐失透性と熔解性を両立することができる。
【0039】
本発明の第1の態様のガラス基板においてSiO
2の含有量からAl
2O
3の含有量の1/2を引いた差であるSiO
2-1/2Al
2O
3の値を、60質量%以下とすることにより、ガラスのスリミングを行うために十分なエッチングレートを有するガラス基板を得ることができるので好ましい。なお、エッチングレートを高くするために、SiO
2-1/2Al
2O
3の値を小さくしすぎると、失透温度が上昇してしまう傾向がある。また、歪点を十分に高くできない場合もあるため、SiO
2-1/2Al
2O
3の値が40質量%以上であることが好ましい。以上のことから、SiO
2-1/2Al
2O
3の値が40〜60質量%であることが好ましく、45〜60質量%であることがより好ましく、45〜58質量%であることがさらに好ましく、45〜57質量%であることが一層好ましく、45〜55質量%であることがより一層好ましく、49〜54質量%であることがさらに一層好ましい。
【0040】
また、生産性よくエッチング(スリミング)を行うために、本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスはエッチングレートが50μm/h以上であることが好ましい。一方、過度にエッチングレートが高いと、パネル作製工程での薬液との反応で不都合が生じる虞があるため、ガラス基板を構成するガラスのエッチングレートは160μm/h以下であることが好ましい。エッチングレートは好ましくは60〜140μm/h 、より好ましくは65〜130μm/h 、より好ましくは70〜120μm/hである。本発明においては、上記エッチングレートは以下の条件で測定したものと定義する。
エッチングレート(μm/h)は、ガラス基板をHFの割合が1mol/kg、HClの割合が5mol/kgの混酸の40℃のエッチング液に1時間浸漬した場合の、単位時間(1時間)当たりのガラス基板の一方の表面の厚み減少量(μm)として表す。
【0041】
本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスは清澄剤を含むことができる。清澄剤としては、環境への負荷が小さく、ガラスの清澄性に優れたものであれば特に制限されないが、例えば、、Sn、Fe、Ce、Tb、MoおよびWの金属酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。清澄剤としては、SnO
2が好適である。清澄剤の添加量は、少なすぎると、泡品質が悪化し、含有量が多くなりすぎると、失透や着色などの原因となる場合がある。清澄剤の添加量は、清澄剤の種類やガラスの組成にもよるが、例えば、0.05〜1質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.4質量%の範囲とすることが適当である。
【0042】
本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスはFe
2O
3を含有することもできる。Fe
2O
3含有量は、0〜1質量%の範囲である。Fe
2O
3は、清澄剤としての働きを有する以外に、ガラスの比抵抗を低下させる作用もある。高温粘性が高く、難融なガラスにおいては、Fe
2O
3を含有させることで、ROによるガラスの比抵抗を低下させる作用に加えて、ガラスの比抵抗を低下させることができる。さらに、Fe
2O
3はガラスの比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる効果に加えて、清澄性を向上させる効果がある。しかし、Fe
2O
3含有量が多くなりすぎると、ガラスが着色し、透過率が低下し、低粘特性温度も低下する。そこで、Fe
2O
3含有量は、0〜1質量%の範囲であり、好ましくは0〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.2質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%、一層好ましくは0.02〜0.07質量%の範囲である。Fe
2O
3を清澄剤として使用する場合はSnO
2との併用が好ましい。
【0043】
本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスはPbO及びFは実質的に含有しないことが好ましいPbO及びFは環境上の理由から含まないことが好ましい。
【0044】
本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスは、清澄剤として金属酸化物を使用することが好ましい。前記金属酸化物の清澄性を高めるためには、ガラスを酸化性にすることが好ましくが、還元性の原料(例えば、アンモニウム塩、塩化物)を使用することで、前記金属酸化物の清澄性は低下する。前記還元性の原料を用いるとガラス中にNH
4+やClが残存するという観点からNH
4+の含有量が4×10
−4%未満であることが好ましく、0〜2×10
−4%未満であることがよりに好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。また、本発明のガラスは、Clの含有量が0.1%未満であることが好ましく、0〜0.1%未満であることがよりに好ましく、0〜0.05%未満であることがさらにに好ましく、0〜0.01%未満であることが一層に好ましく、実質的に含有しないことが尚一層好ましい。なお、上記NH
4+及びClは清澄効果を期待して、アンモニウム塩および塩化物(特に塩化アンモニウム)としてガラス原料に用いられることでガラス中に残存する成分であるが、環境上および設備腐食の理由からも、これらの原料の使用は好ましくない。
【0045】
ガラス基板は、歪点やTgで代表される低温粘性特性温度が低いと、熱処理工程(ディスプレイ製造時)において熱収縮が大きくなる。本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスの歪点[℃]は、665℃以上であり、675℃以上が好ましい。また、本発明のガラス基板の歪点[℃]は、好ましくは680℃以上、より好ましくは685℃以上、さらに好ましくは688℃以上、一層好ましくは690℃以上、より一層好ましくは695℃以上、尚一層好ましくは700℃以上である。ガラス基板の歪点は、上記本発明のガラス基板のガラスの組成の説明を参照して、ガラス組成を調整することで、所望の値にすることができる。低温粘性特性という観点からは、本発明のガラスの歪点[℃]の上限はないが、実用上の目安としては例えば、750℃以下であり、好ましくは745℃以下、より好ましくは740℃以下である。但し、この上限に限定される意図ではない。
【0046】
また、本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスはTg[℃]が、好ましくは720℃以上、より好ましくは730℃以上、さらに好ましくは740℃以上、さらに好ましくは745℃以上、一層好ましくは750℃以上である。Tgが低くなると、耐熱性が低下する傾向がある。また、ディスプレイ製造時の熱処理工程において熱収縮が生じやすくなる傾向もある。耐熱性および熱収縮の観点からは、本発明のガラスのTg[℃]の上限はないが、実用上の目安としては例えば、800℃以下であり、好ましくは795℃以下、より好ましくは790℃以下である。但し、この上限に限定される意図ではない。ガラス基板のTgを上記範囲にするには、本発明のガラス基板の組成の範囲において、Tgを高める、例えば、SiO
2及びAl
2O
3等の成分を多めにすることが適当である。
【0047】
本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスは密度[g/cm
3]が、ガラス基板の軽量化及びディスプレイの軽量化という観点から、好ましくは2.5 g/cm
3以下、より好ましくは2.45 g/cm
3以下、さらに好ましくは2.42g/cm
3以下、一層好ましくは2.4 g/cm
3以下である。密度が高くなると、ガラス基板の軽量化が困難となり、ディスプレイの軽量化も図れなくなる。
【0048】
さらに、本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスの低粘特性温度は、ガラス熔解時における条件によっても変化する。同一組成のガラスであっても、熔解条件の違いにより、ガラス中の含水量が異なり、約1〜10℃の範囲で低粘特性温度が変化することがある。従って、所望の低温粘性特性温度を有するガラス基板を得るには、ガラス組成を調整するとともに、ガラス熔解時におけるガラス中の含水量も調整する必要がある。
【0049】
本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラス中の含水量の指標であるβ−OH値は、原料の選択により調整することができる。例えば、含水量の高い原料( 例えば水酸化物原料) を選択したり、塩化物等のガラス中の水分量を減少させる原料の含有量を調整したりすることで、β−OH値を増させることができる。また、ガラス熔解に用いるガス燃焼加熱(酸素燃焼加熱)と直接通電加熱の比率を調整することでβ−OH値を調整することができる。さらに、炉内雰囲気中の水分量を増加させたり、熔解時に熔融ガラスに対して水蒸気をバブリングしたりすることで、β−OH値を増加させることができる。
【0050】
なおガラスのβ−OH値[mm
-1]はガラスの赤外線吸収スペクトルにおいて次式によって求められる。
β−OH値=(1/X)log 10(T1/T2)
X : ガラス肉厚(mm)
T1 : 参照波長2600nm における透過率(%)
T2 : 水酸基吸収波長2800nm付近における最小透過率(%)
【0051】
ガラスの水分量の指標であるβ−OH値は、値が小さいほど歪点が高く、熱処理工程(ディスプレイ製造時)において熱収縮が小さくなる傾向にある。他方、β−OH値が大きいほど、熔融温度(高温粘性)を低下させる傾向にある。
低収縮率と熔解性を両立するために、本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスのβ−OH値は、0.05〜0.40mm
-1とすることが好ましく、0.10〜0.35mm
-1がより好ましく、0.10〜0.30mm
-1がさらに好ましく、0.10〜0.25mm
-1がさらに好ましく、0.10〜0.20mm
-1が一層好ましく、0.10〜0.15mm
-1がより一層好ましい。
【0052】
本発明の第1の態様のガラス基板を構成するガラスは失透温度[℃]が、好ましくは1300℃未満、より好ましくは1250℃以下、さらに好ましくは1230℃以下、一層好ましくは1220℃以下、より一層好ましくは1210℃以下である。失透温度が1300℃未満であれば、フロート法でガラス板の成形がしやすくなる。失透温度が1250℃以下であれば、ダウンドロー法でガラス板の成形がしやすくなる。ダウンドロー法を適用することで、ガラス基板の表面品質を向上できる。また、生産コストも低減することができる。失透温度が高すぎると、失透が生じやすく、耐失透性が低下する。また、ダウンドロー法に適用できなくなる。他方、熱収縮率や密度のなどのフラットパネルディスプレイ用基板の特性を考慮すると、ガラス基板は失透温度が、好ましくは1050℃〜1300℃未満、より好ましくは1110℃〜1250℃、さらに好ましくは1150℃〜1230℃、一層好ましくは1160℃〜1220℃、より一層好ましくは1170℃〜1210℃である。
【0053】
本発明の第1の態様のガラス基板は熱膨張係数(100-300℃)[×10
-7℃]が、好ましくは38×10
-7℃未満、より好ましくは37×10
-7℃未満、さらに好ましくは28〜36×10
-7℃未満、一層好ましくは30〜35×10
-7℃未満、より一層好ましくは31〜34.5×10
-7℃、さらに一層好ましくは32〜34×10
-7℃の範囲である。熱膨張係数が大きいと、ディスプレイ誠造時の熱処理工程において、熱衝撃や熱収縮量が増大する傾向がある。他方、熱膨張係数が小さいと、他のガラス基板上に形成される金属、有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数との整合がとりにくくなり、周辺部剤が剥離してしまう場合がある。また、P-Si・TFT製造工程では、急加熱と急冷が繰り返され、ガラス基板にかかる熱衝撃は大きくなる。さらに、大型のガラス基板は、熱処理工程において、温度差(温度分布)がつきやすく、ガラス基板の破壊確率が高くなる。熱膨張係数を上記範囲とすることで、熱膨張差から生じる熱応力を低減することができ、結果として、熱処理工程において、ガラス基板の破壊確率が低下する。つまり、熱膨張係数を上記範囲とすることは、幅方向2000〜3500mmであり、縦方向が2000〜3500mmであるガラス基板について、ガラス基板の破壊確率が低下させるという観点から、特に有効である。なお、ガラス基板上に形成される金属、有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数との整合が重視させる観点からは、熱膨張係数(100-300℃)が40[×10
-7℃]未満であることが好ましく、28〜40×10
-7℃未満であることがより好ましく、30〜39×10
-7℃未満であることがさらに好ましく、32〜38×10
-7℃未満であることが一層好ましく、34〜38×10
-7℃未満であることがより一層好ましい。
【0054】
本発明の第1の態様のガラス基板は熱収縮率 [ppm]が、好ましくは75ppm以下であり、65ppm以下であることが好ましい。さらに、好ましくは60ppm以下、より好ましくは55ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、一層好ましくは48ppm以下、より一層好ましくは45ppm以下である。より詳細には、熱収縮率[ppm]は0〜75ppmであることが好ましく、より好ましくは0〜65ppm、さらに好ましくは0〜60ppm、一層好ましくは0〜55ppm、より一層好ましくは0〜50ppm、さらに一層好ましくは0〜45ppmである。熱収縮率(量)が大きくなると、画素の大きなピッチズレの問題を引き起こし、高精細なディスプレイを実現できなくなる。熱収縮率(量)を所定範囲に制御するためには、ガラス基板の歪点を680℃以上にすることが好ましい。熱収縮率(量)は最も好ましくは0ppmであるが、熱収縮率を0ppmにしようとすると、徐冷工程を極めて長くすることや、徐冷工程後に熱収縮低減処理(オフラインアニール)を施すことが求められるが、この場合、生産性が低下し、コストが高騰してしまう。生産性およびコストを鑑みると、熱収縮率は、例えば、3〜75ppmであることが好ましく、より好ましくは5〜75ppm、さらに好ましくは5〜65ppm、一層好ましくは5〜60ppm、より一層好ましくは8〜55ppm、さらに一層好ましくは8〜50ppm、さらに一層好ましくは15〜45ppmである。
【0055】
尚、熱収縮率は、昇降温速度が10℃/min、550℃で2時間保持の熱処理が施された後の下記式で示される。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×10
6
【0056】
本発明の第1の態様のガラス基板の熱収縮率は、熱収縮率の測定対象であるガラス基板を上記熱処理に供した後に測定されるものである。但し、本発明の第1の態様のガラス基板の熱収縮率は、熱収縮率の測定対象であるガラス基板を、実施例における熱収縮測定用試料ガラス基板の調製で示したように、Tgで30分保持した後、Tg-100℃まで100℃/分で冷却し、室温まで放冷する徐冷操作を行った後に前記熱処理を施して得た値である、こともできる。ダウンドロー法等の連続式の方法で製造されたガラス基板については、冷却条件が異なることがあり、上記Tg保持後の冷却処理を施した後に熱収縮率を測定することで、同じ条件における熱収縮率の値を得ることができる。
【0057】
本発明第1の態様のガラス基板は、SiO
2 52〜78質量%、Al
2O
33〜25質量%、B
2O
3 3〜15質量%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20質量%、R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%、 Sb
2O
30〜0.3質量%、を含有し、かつAs
2O
3は実質的に含有しないガラスからなり、、昇降温速度が10℃/min、550℃で2時間保持の熱処理が施された後の下記式で示される熱収縮率が75ppm以下である、p−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板(本発明の第2の態様のガラス基板)も包含する。ガラス基板の熱収縮率は、75ppm以下であり、好ましくは65ppm以下であることが好ましい。さらに、熱収縮率は、好ましくは60ppm以下、より好ましくは55ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、一層好ましくは48ppm以下、より一層好ましくは45ppm以下、さらに一層好ましくは40ppm以下である。R
2O含有量は、0.01〜0.8質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜0.5質量%、さらに好ましくは0.01〜0.3質量%の範囲である。
【0058】
本発明の第2の態様のガラス基板は、環境負荷を低減するという観点から、ガラスに含有されるSb
2O
3は、0〜0.3質量%であることが好ましく、0〜0.1質量%であることがよりに好ましい。さらに好ましくは本発明の第2の態様のガラス基板は、Sb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3も実質的に含有しないガラスからなる。
【0059】
熱収縮率が75ppm以下であり、好ましくは65ppm以下、より好ましくは60ppm以下であり、かつR
2Oを0.01〜0.8質量%を含有するガラスからなる本発明の第2の態様のp−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、画素のピッチズレの問題を引き起こすことなく、かつガラスの比抵抗を低下させることができ、直接通電加熱による熔解において熔解槽熔損の問題の発生を回避することが可能である。本発明の第2の態様のガラス基板の上記以外のガラス組成及び物性等は、本発明の第1の態様のガラス基板と同様であることができる。
【0060】
本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板を構成するガラスは、熔融温度が、好ましくは1680℃以下、より好ましくは1650℃以下、さらに好ましくは1640℃以下、一層好ましくは1620℃以下である。熔融温度が高いと、熔解槽への負荷が大きくなる。また、エネルギーを大量に使用するため、コストも高くなる。熔融温度を上記範囲にするには、本発明のガラス基板の組成の範囲において、粘性を低下させる、例えば、B
2O
3,RO等の成分を含有することが適当である。
【0061】
本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板を構成するガラスは液相粘度(失透温度での粘度)が、10
4.0 dPa・s以上であり、好ましくは10
4.5〜10
6.0 dPa・s、より好ましくは10
4.5〜10
5. 9 dPa・s、さらに好ましくは10
4.6〜10
5.8 dPa・s、一層好ましくは10
4.8〜10
5.7 dPa・s、より一層好ましくは10
4.8〜10
5.6 dPa・s、さらに一層好ましくは10
4.9〜10
5.5の範囲である。これらの範囲内にあることで、p−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板として必要な特性を有すると共に、成形時に失透結晶が発生し難くなるため、オーバーフローダウンドロー法でガラス基板を成形しやすくなる。これにより、ガラス基板の表面品位を向上できるとともに、ガラス基板の生産コストを低減することができる。本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板を構成するガラスの組成の範囲において、各成分の含有量を適宜調整することで、ガラスの液相粘度を上記範囲にすることができる。
【0062】
本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板を構成するガラスは、ガラス融液の比抵抗(1550℃における)[Ω・cm]が、好ましくは50〜300Ω・cm、より好ましくは50〜250Ω・cm、さらに好ましくは50〜200Ω・cm、一層好ましくは100〜200Ω・cmの範囲である。比抵抗が小さくなりすぎると、熔解に必要な電流値が過大になり、設備上の制約がでる場合がある。一方、比抵抗が大きくなりすぎると、電極の消耗が多くなる傾向もある。また、ガラスではなく、熔解槽を形成する耐熱煉瓦に電流が流れてしまい、熔解槽が熔損してしまう場合もある。ガラス基板の比抵抗は、主に、本発明のガラス基板の必須成分であるROとR
2O含有量をコントロールすることで、上記範囲に調整できる。さらに、ROとR
2O含有量に加えて、Fe
2O
3含有量をコントロールすることでも、ガラス基板の比抵抗は、上記範囲に調整できる。
【0063】
本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板はヤング率[GPa]が、好ましくは70 GPa以上、より好ましくは73 GPa以上、さらに好ましくは74 GPa以上、一層好ましくは75 GPa以上である。ヤング率が小さいと、ガラス自重によるガラスの撓みによって、ガラスが破損しやすくなる。特に幅方向2000mm以上の大型のガラス基板では、撓みによる破損の問題が顕著となる。ガラス基板のヤング率(GPa)は、本発明のガラス基板の組成の範囲において、ヤング率(GPa)を変動させる傾向が強い、例えば、Al
2O
3等の成分の含有量を調整することで、大きくすることができる。
【0064】
本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板は比弾性率(ヤング率/密度)[GPa cm
3 g
-1]が、好ましくは28 GPa cm
3 g
-1以上、より好ましくは29 GPa cm
3 g
-1以上、さらに好ましくは30 GPa cm
3 g
-1以上、一層好ましくは31 GPa cm
3 g
-1以上である。比弾性率が小さいと、ガラス自重によるガラスの撓みによって、ガラスが破損しやすくなる。特に幅方向2000mm以上の大型のガラス基板では、撓みによる破損の問題が顕著となる。
【0065】
本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板は大きさには特に制限はない。幅方向は、例えば、500〜3500mm、好ましくは1000〜3500mm、より好ましくは2000〜3500mmである。縦方向は、例えば、500〜3500mm、好ましくは1000〜3500mm、より好ましくは2000〜3500mmである。大きいガラス基板を使用するほど、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの生産性が向上する。
【0066】
本発明の第1の態様および第2の態様のガラス基板は板厚[mm]が、例えば、0.1〜1.1 mmの範囲であることができる。但し、この範囲に限定する意図ではない。板厚[mm]は、例えば、0.1〜0.7 mm、0.3〜0.7 mm、0.3〜0.5 mmの範囲であることもできる。ガラス板の厚さが薄すぎると、ガラス基板自体の強度が低下する。例えば、フラットパネルディスプレイ製造時の破損が生じやすくなる。板厚が厚すぎると、薄型化が求められるディスプレイには好ましくない。また、ガラス基板の重量が重くなるため、フラットパネルディスプレイの軽量化が図りがたくなる。
【0067】
本発明は、
SiO
2 57〜75質量%、
Al
2O
3 8〜25質量%、
B
2O
3 3〜15質量%、
RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜25質量%、
MgO 0〜15質量%、
CaO 1〜20質量%、
SrO+BaO 0〜3.4質量%未満、
Sb
2O
3 0〜0.3質量%、
R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有し、
質量比CaO/RO 0.65以上であり、
かつAs
2O
3は実質的に含有しないガラスからなる
p−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板(本発明の第3の態様のガラス基板)を包含する。
【0068】
本発明の第3の態様のガラス基板の一例として、
SiO
2 57〜75質量%、
Al
2O
3 8〜25質量%、
B
2O
3 3〜11質量%未満、
RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜25質量%、
MgO 0〜15質量%、
CaO 1〜20質量%、
SrO+BaO 0〜3.4質量%未満、
R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有し、
質量比CaO/RO 0.65以上であり、
Sb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3は実質的に含有しないガラスからなる、
p−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を挙げることができる。
【0069】
本発明の第3の態様のガラス基板における各成分を含有する理由及び含有量や組成比の範囲について説明する。
【0070】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるSiO
2の含有量は57〜75質量%の範囲である。
SiO
2は、ガラスの骨格成分であり、従って、必須成分である。含有量が少なくなると、耐酸性、耐BHF(バッファードフッ酸)及び歪点が低下する傾向がある。また、熱膨張係数が増加する傾向がある。また、SiO
2含有量が少なすぎると、ガラス基板を低密度化するのが難しくなる。一方、SiO
2含有量が多すぎると、ガラス融液の比抵抗が上昇し、熔融温度が著しく高くなり熔解が困難になる傾向がある。SiO
2含有量が多すぎると、耐失透性が低下する傾向もある。このような観点から、SiO
2の含有量は、57〜75質量%の範囲とする。SiO
2の含有量は、好ましくは58〜72質量%、さらに好ましくは59〜70質量%、一層好ましくは59〜69質量%、より一層好ましくは61〜69質量%、さらに一層好ましくは61〜68質量%、尚好ましくは62〜67質量%の範囲である。他方、SiO
2含有量が多すぎると、ガラスのエッチングレートが遅くなる傾向がある。スリミングする場合の速度を示すエッチングレートが十分に速いガラス基板を得るという観点からは、SiO
2の含有量は、好ましくは57〜75 質量%、より好ましくは57〜70質量%、さらに好ましくは57〜65質量%、一層好ましくは58〜63質量%の範囲である。尚、SiO
2含有量は、上記耐酸性等の特性とエッチングレートの両方を考慮して適宜決定される。
【0071】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるAl
2O
3の含有量は 8〜25質量%の範囲である。
Al
2O
3は、分相を抑制し、かつ歪点を高くする必須成分である。含有量が少なすぎると、ガラスが分相しやすくなる。また歪点が低下する傾向にある。さらに、ヤング率及びエッチングレートも低下する傾向がある。Al
2O
3含有量が多すぎると、比抵抗が上昇する。また、ガラスの失透温度が上昇して、耐失透性が低下するので、成形性が悪化する傾向がある。このような観点から、Al
2O
3の含有量は8〜25質量%の範囲である。Al
2O
3の含有量は、好ましくは10〜23質量%、より好ましくは12〜20質量%、さらに好ましくは14〜20質量%、尚一層好ましくは15〜20質量%、さらに一層好ましくは15〜19質量%の範囲である。他方、エッチングレートが十分に速いガラス基板を得るという観点からは、Al
2O
3の含有量は、好ましくは8〜23質量%、より好ましくは10〜23質量%、さらに好ましくは14〜23質量%、一層好ましくは17〜22質量%である。尚、Al
2O
3の含有量は、上記ガラスが分相特性等とエッチングレートの両方を考慮して適宜決定される。
【0072】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるB
2O
3は、3〜15質量%の範囲であり、好ましくは3〜13質量%、より好ましくは3〜11質量%未満の範囲である。
B
2O
3は、ガラスの高温粘性域における粘度を低下させ、熔解性および清澄性を改善する必須成分である。B
2O
3含有量が少なすぎると、熔解性及び耐BHFが低下し、耐失透性も低下する。また、B
2O
3含有量が少なすぎると、比重が増加して低密度化が図りがたくなる。B
2O
3含有量が多すぎると、ガラス融液の比抵抗が上昇する。また、B
2O
3含有量が多すぎると、歪点が低下する。さらに、耐熱性及び耐酸性が低下し、ヤング率が低下する。また、ガラス熔解時のB
2O
3の揮発により、ガラスの不均質が顕著となり、脈理が発生しやすくなる。このような観点から、B
2O
3含有量は、3〜11質量%未満の範囲であり、好ましくは3〜10質量%未満、より好ましくは4〜9質量%、さらに好ましくは5〜9質量%、一層好ましくは7〜9質量%の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させるためには、B
2O
3含有量は、好ましくは5〜15質量%、よりましくは6〜13質量%、さらにましくは7〜11質量%未満である。尚、B
2O
3含有量は、上記熔解性等と失透温度の両方を考慮して適宜決定される。
【0073】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるMgO、CaO、SrO及びBaOの合量であるROは、3〜25質量%の範囲である。ROは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる必須成分である。RO含有量が少なすぎると、比抵抗が上昇し、熔解性が悪化する。RO含有量が多すぎると、歪点及びヤング率が低下する。また、密度が上昇する。また、RO含有量が多すぎると、熱膨張係数が増大する傾向もある。このような観点から、ROは、3〜25質量%の範囲であり、好ましくは3〜16質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜14質量%、一層好ましくは3〜13質量%、より一層好ましくは6〜13質量%、さらに一層好ましくは6〜12質量%、尚一層好ましくは8〜11質量%の範囲である。
【0074】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるMgOは比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。また、アルカリ土類金属の中では比重を増加させにくい成分であるので、その含有量を相対的に増加させると、低密度化を図りやすくなる。必須ではないが、含有させることで、熔解性を向上し、かつ切粉の発生を抑制できる。但し、MgOの含有量が多すぎると、ガラスの失透温度が急激に上昇するため、成形性が悪化(耐失透性が低下)する。また、MgOの含有量が多すぎると、耐BHF低下、耐酸性低下の傾向がある。特に、失透温度を低下させたい場合には、MgOは実質的に含有させないことが好ましい。このような観点から、MgO含有量は、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜4質量%、一層好ましくは0〜3質量%、より一層好ましくは0〜2未満、さらに一層好ましくは0〜1質量%であり、最も好ましくは実質的に含有しないことである。
【0075】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるCaOは、比抵抗を低下させ、ガラスの失透温度を急激に上げることなくガラスの熔解性を向上させるのに有効な成分である。また、アルカリ土類金属の中では比重を増加させにくい成分であるので、その含有量を相対的に増加させると、低密度化を図りやすくなる。必須ではないが、含有させることで、ガラス融液の比抵抗低下、および熔融温度(高温粘性)低下による熔解性向上、及び失透性改善ができるので、CaOは含有させることが好ましい。一方、CaO含有量が多すぎると、歪点が低下する傾向がある。また、熱膨張係数増加及び密度上昇傾向がある。CaO含有量は、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは3.6〜15質量%、さらに好ましくは4〜14質量%、一層好ましくは5〜12質量%、より一層好ましくは5〜11質量%、さらに一層好ましくは5〜10質量%、尚一層好ましくは6超〜10質量%、さらに尚一層好ましくは6超〜9質量%の範囲である。
【0076】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるSrOとBaOは、ガラス融液の比抵抗を低下させ、かつ熔融温度を低下させて、熔解性を向上させると共に失透温度の低下させる成分である。必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性は向上する。しかし、含有量が多すぎると、密度が上昇してしまう。SrOとBaOの合量であるSrO+BaOは、密度を低減し、軽量化するという観点から、0〜3.4質量%未満、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0〜1質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%、尚一層好ましくは0〜0.1質量%未満の範囲である。ガラス基板の密度を低下させたい場合には、SrOとBaOは、実質的に含有させないことが好ましい。
【0077】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるR
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有する。
Li
2O、Na
2O及びK
2OであるR
2Oは、ガラスの塩基性度を高め、清澄剤の酸化を容易にして、清澄性を発揮させる成分である。また、熔解性向上、比抵抗低下させる成分である。従って、R
2Oを含有させると、比抵抗が低下し、熔解性が向上すると共に、清澄性が向上する。しかし、R
2O含有量が多すぎると、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させる。また、熱膨張係数が増大する傾向がある。これらの観点から、R
2Oの合量であるLi
2O+Na
2O+K
2Oは0.01〜0.8質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜0.6質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、さらに好ましくは0.01〜0.4質量%、一層好ましくは0.01〜0.3質量%の範囲である。上記範囲における下限値0.01質量%は、好ましくは0.05質量%、より好ましくは0.1質量%である。
【0078】
本発明の第3の態様のガラス基板におけるCaO/ROは熔解性と耐失透性の指標の指標となる。CaO/ROは0.65以上であり、好ましくは0.65〜1、さらに好ましくは0.7〜1、一層好ましくは0.85〜1、より一層好ましくは0.9〜1、尚一層好ましくは0.95〜1の範囲である。これらの範囲とすることで、耐失透性と熔解性を両立することができる。さらに、低密度化を図ることができる。また、複数のアルカリ土類金属を含有させるよりも、CaOのみを含有させた方が低粘特性温度を高める効果が高い。
【0079】
本発明の第3の態様のガラス基板は、環境負荷を低減するという観点から、Sb
2O
3は0〜0.3質量%であることが好ましく、0〜0.1質量%であることがより好ましい。また、本発明の第3の態様のガラス基板は、環境負荷をより低減するという観点から、Sb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3も実質的に含有しないことがさらに好ましい。
【0080】
本発明の第3の態様のガラス基板の上記以外のガラス組成、物性及び大きさ等は、本発明の第1の態様のガラス基板と同様であることができる。
【0081】
本発明のガラス基板(本発明の第1〜3の態様のガラス基板に共通)は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、特にp−Si・TFTが表面に形成されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板に好適である。具体的には、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機ELディスプレイ用ガラス基板に好適である。特に、p−Si・TFT液晶ディスプレイ用ガラス基板に好適である。中でも、高精細が求められる携帯端末などのディスプレイ用ガラス基板に好適である。
【0082】
<フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造方法>
本発明の本発明の第1の態様のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造方法は、
SiO
2 52〜78質量%、
Al
2O
3 3〜25質量%、
B
2O
3 3〜15質量%、
RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20質量%、
R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%、
Sb
2O
3 0〜0.3質量%、
を含有し、As
2O
3は実質的に含有せず、
質量比CaO/ROは0.65以上であり、質量比(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は7〜30の範囲であり、かつ
質量比(SiO
2+Al
2O
3)/ROは5以上のガラスとなるように調合したガラス原料を少なくとも直接通電加熱を用いて熔解して熔融ガラスを得る熔解工程と、
前記熔融ガラスを平板状ガラスに成形する成形工程と、
前記平板状ガラスを冷却する冷却工程と、を有する。
【0083】
<液晶ディスプレイ用ガラス基板の製造方法>
さらに本発明の本発明の第1の態様の液晶ディスプレイ用ガラス基板の製造方法は、
SiO
2 52〜78質量%、
Al
2O
3 3〜25質量%、
B
2O
3 3〜15質量%、
RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20質量%、
R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%
を含有し、Sb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3は実質的に含有せず、
質量比CaO/ROは0.65以上であり、質量比(SiO
2+Al
2O
3)/B
2O
3は8.1〜20の範囲であり、かつ質量比(SiO
2+Al
2O
3)/ROは 5以上のガラスとなるように調合したガラス原料を少なくとも直接通電加熱を用いて熔解して熔融ガラスを得る熔解工程と、
前記熔融ガラスを平板状ガラスに成形する成形工程と、
前記平板状ガラスを冷却する冷却工程と、を有する。
【0084】
本発明の第2及び3の態様のガラス基板も上記本発明の第1の態様のガラス基板と同様の工程を経て製造することができる。但し用いるガラス原料は、本発明の第2の態様のガラス基板の製造においては、SiO
2 52〜78質量%、Al
2O
33〜25質量%、B
2O
3 3〜15質量%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20質量%、R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有し、Sb
2O
30〜0.3質量%、より好ましくはSb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3は実質的に含有しないガラスとなるようなガラス原料であり、製造されるガラス基板は昇降温速度が10℃/min、550℃で2時間保持の熱処理が施された後の熱収縮率が75ppm以下であり、より好ましくは60ppm以下であるガラス基板である。
【0085】
本発明の第3の態様のガラス基板の製造においては、用いるガラス原料は、SiO
2 57〜75質量%、Al
2O
3 8〜25質量%、B
2O
3 3〜15質量%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜25質量%、MgO 0〜15質量%、CaO 1〜20質量%、SrO+BaO 0〜3.4質量%未満、Sb
2O
3 0〜0.3質量%、R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有し、質量比CaO/RO 0.65以上であり、かつAs
2O
3は実質的に含有しないガラスとなるようなガラス原料である。また、本発明の第3の態様のガラス基板の製造方法の一例であるガラス基板の製造方法においては、用いるガラス原料は、SiO
2 57〜75質量%、Al
2O
3 8〜25質量%、B
2O
3 3〜11質量%未満、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜25質量%、MgO 0〜15質量%、CaO 1〜20質量%、SrO及びBaOの合量 0〜3.4質量%未満、R
2O(但し、R
2OはLi
2O、Na
2O及びK
2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有し、質量比CaO/ROは0.65以上であり、Sb
2O
3は実質的に含有せず、かつAs
2O
3は実質的に含有しないガラスとなるようなガラス原料である。
【0086】
[熔解工程]
熔解工程においては、所定のガラス組成となるように調合したガラス原料を少なくとも直接通電加熱を用いて熔解する。ガラス原料は、公知の材料から適宜選択できる。ガラス融液の1550℃における比抵抗が、50〜300Ω・cmの範囲となるように、ガラス原料の組成、特に、R
2OとROの含有量を調整することが好ましい。R
2Oの含有量を0.01〜0.8質量%、ROの含有量を3〜20質量%の範囲とすることで、1550℃における比抵抗を上記範囲内とすることができる。また、ガラス基板のβ-OHの値が0.1〜0.4mmとなるように、熔解工程を調整することが好ましい。また、本発明の第1及び2の態様のガラス基板の製造においては、ROの含有量を3〜20質量%の範囲で調整することでも1550℃における比抵抗を調整でき、本発明の第3の態様のガラス基板の製造においては、ROの含有量を3〜25質量%の範囲で調整することでもガラス融液1550℃における比抵抗を調整できる。
【0087】
[成形工程]
成形工程では、熔解工程にて熔解した熔融ガラスを平板状ガラスに成形する。平板状ガラスへの成形方法は、例えば、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法が好適である。その他、フロート法、リドロー法、ロールアウト法などを適用できる。ダウンドロー法を採用することにより、フロート法など他の成形方法を用いた場合に比べ、得られたガラス基板の主表面が熱間成形された表面であるために、極めて高い平滑性を有しており、成形後のガラス基板表面の研磨工程が不要となるために、製造コストを低減することができ、さらに生産性も向上させることができる。さらに、ダウンドロー法を使用して成形したガラス基板の両主表面は均一な組成を有しているために、エッチング処理を行った際に、均一にエッチングを行うことができる。加えて、ダウンドロー法を使用して成形することで、マイクロクラックのない表面状態を有するガラス基板を得ることができるため、ガラス基板自体の強度も向上させることができる
【0088】
[徐冷工程]
徐冷時の条件を適宜調整することでガラス基板の熱収縮率をコントロールすることができる。ガラス基板の熱収縮率は上述のように、75ppm以下、より好ましくは60ppm以下であることが好ましく、75ppm以下、より好ましくは60ppm以下のガラス基板を製造するためには、例えば、ダウンドロー法を使用する場合は、平板状ガラスの温度を、TgからTg-100℃の温度範囲を20〜120秒で冷却するように、成形を行うことが望ましい。20秒未満であると、熱収縮量を十分低減することができない場合がある。一方、120秒を超えると、生産性が低下すると共に、ガラス製造装置(徐冷炉)が大型化してしまう。あるいは、平板状ガラスの平均の冷却速度を、TgからTg-100℃の温度範囲において、50〜300℃/分とするように徐冷(冷却)を行うことが好ましい。冷却速度が、300℃/分を超えると、熱収縮量を十分低減することができない場合がある。一方、50℃/分未満であると、生産性が低下すると共に、ガラス製造装置(徐冷炉)が大型化してしまう。冷却速度の好ましい範囲は、50〜300℃/分であり、50〜200℃/分がより好ましく、60〜120℃/分がさらに好ましい。他方、徐冷工程後に熱収縮低減処理(オフラインアニール)工程を別途設けることで、熱収縮率を小さくすることもできる。しかし、徐冷工程とは別にオフラインアニール工程を設けると、生産性が低下し、コストが高騰してしまうという問題点がある。そのため、上述したように、徐冷工程において平板状ガラスの冷却速度を制御するという熱収縮低減処理(オンラインアニール)を施すことによって、熱収縮率を所定範囲内におさめることがより好ましい。
【0089】
以上、本発明のガラス基板をp−Si・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を例に説明したが、本発明の本発明のガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用、特にp−Siフラットパネルディスプレイ用としても用いることができる。さらに、本発明のガラス基板は、酸化物半導体薄膜トランジスタフラットパネルディスプレイ用のガラスとしても用いることかできる。即ち、本発明のガラス基板は、基板表面に酸化物半導体薄膜トランジスタを形成して製造されるフラットディスプレイに用いることもできる。
【実施例】
【0090】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0091】
実施例1〜25
表1に示すガラス組成になるように、実施例1〜25及び比較例1〜2の試料ガラスを以下の手順に従って作製した。得られた試料ガラスおよび試料ガラス基板について、失透温度、Tg、100〜300℃の範囲における平均熱膨張係数(α)、熱収縮率、密度、歪点、熔解温度(粘度が10
2.5dPa・sの時のガラス温度、表1中ではT(log(η=2.5)と表示)、液相粘度、1550℃における比抵抗、、エッチング速度を求め、表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
(試料ガラスの作製)
まず、表1に示すガラス組成となるように、通常のガラス原料である、シリカ,アルミナ,酸化ホウ素,炭酸カリウム,塩基性炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸ストロンチウム,二酸化スズおよび三酸化二鉄を用いて、ガラス原料バッチ(以下バッチと呼ぶ)を調合した。なお、ガラスで400gとなる量で調合した。
【0094】
前記調合したバッチは、白金ルツボの中で熔融および清澄した。まず、このルツボを1575℃に設定した電気炉で4時間保持してバッチを熔融した。次に、その電気炉を1640℃まで昇温し、2時間保持することでガラス融液の清澄を行なった。その後、ガラス融液を炉外で鉄板上に流し出し、冷却固化してガラス体を得た。このガラス体には引き続いて徐冷操作を施した。徐冷操作は、このガラス体を800℃に設定した別の電気炉の中で2時間保持した後、740℃まで2時間、更に660℃まで2時間で冷却後、その電気炉の電源を切り、室温まで冷却することによって行なった。この徐冷操作を経たガラス体を試料ガラスとした。前記試料ガラスは、徐冷条件に影響されず、かつ/または、基板状では測定できない特性(失透温度、高温粘性(熔融温度)、比抵抗、熱膨張係数、Tgおよび歪点)の測定に用いた。前記試料ガラスは、Cl含有量が0.01%未満であり、かつNH
4+含有量が 2×10
−4%未満であった。
【0095】
また、上記試料ガラスを切断、研削および研磨加工を施して、上下面が鏡面である30mm×40mm×0.7mmの試料ガラス基板を作製した。前記試料ガラス基板は、徐冷条件に影響されない、β−OHの測定に用いた。
【0096】
さらに、上記試料ガラスを切断、研削および研磨加工を施して、厚み0.7〜4mm、幅5mm、長さ20mmの直方体とし、これをTgで30分保持した後、Tg-100℃まで100℃/分で冷却し、室温まで放冷することで、熱収縮測定用試料ガラス基板とした。
【0097】
(歪点)
前記試料ガラスを、3mm角、長さ55mmの角柱形状に切断・研削加工して、試験片とした。この試験片に対して、ビーム曲げ測定装置(東京工業株式会社製)を用いて測定を行い、ビーム曲げ法(ASTM C−598)に従い、計算により歪点を求めた。
【0098】
(熱収縮率)
熱収縮率は、前記熱収縮測定用試料ガラス基板を550℃で2時間の熱処理が施された後のガラス基板の収縮量を用いて、以下の式にて求めた。
熱収縮率(ppm)
={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×10
6
本実施例では、具体的に、以下の方法によって収縮量の測定を行った。
【0099】
前記熱収縮用試料ガラス基板について、示差熱膨張計(Thermo Plus2 TMA8310)を用い、室温から550℃まで昇温し、2時間保持した後、室温まで冷却し、熱処理前後での試料ガラスの収縮量を測定した。この時の、昇降温速度は10℃/minに設定した。
【0100】
(1550℃での比抵抗)
前記試料ガラスの熔融時の比抵抗は、HP社製 4192A LF インピーダンス・アナライザーを用いて、四端子法にて測定し、前記測定結果より1550℃での比抵抗値を算出した。
【0101】
(失透温度の測定方法)
前記試料ガラスを粉砕し、2380μmのふるいを通過し、1000μmのふるい上に留まったガラス粒を得た。このガラス粒をエタノールに浸漬し、超音波洗浄した後、恒温槽で乾燥させた。乾燥させたガラス粒を、幅12mm、長さ200mm、深さ10mmの白金ボート上に、前記ガラス粒25gをほぼ一定の厚さになるように入れた。この白金ボートを、1080〜1320℃(あるいは1140℃〜1380℃)の温度勾配をもった電気炉内に5時間保持し、その後、炉から取り出して、ガラス内部に発生した失透を50倍の光学顕微鏡にて観察した。失透が観察された最高温度を、失透温度とした。
【0102】
(100〜300℃の範囲における平均熱膨張係数αおよびTgの測定方法)
前記試料ガラスを、φ5mm、長さ20mmの円柱状に加工して、試験片とした。この試験片に対し、示差熱膨張計(Thermo Plus2 TMA8310)を用いて、昇温過程における温度と試験片の伸縮量を測定した。この時の昇温速度は5℃/minとした。前記温度と試験片の伸縮量との測定結果を元に100〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数およびTgを測定した。なお、本願でのTgとは、ガラス体を800℃に設定した別の電気炉の中で2時間保持した後、740℃まで2時間、更に660℃まで2時間で冷却後、その電気炉の電源を切り、室温まで冷却した試料ガラスについて測定した値である。
【0103】
(密度)
ガラスの密度は、アルキメデス法によって測定した。
【0104】
(熔融温度)
前記試料ガラスの高温粘性は、白金球引き上げ式自動粘度測定装置を用いて測定した。
前記測定結果より、粘度10
2.5dPa・sの時の温度を算出し、熔融温度を得た。
【0105】
(液相粘度)
前記高温粘性の測定結果より、前記失透温度での粘性を算出し、液相粘度を得た。表1には、10
ndPa・sで示される液相粘度の指数部分nのみを表示する。
【0106】
(エッチング速度)
ガラス基板をHFの割合が1mol/kg、HClの割合が5mol/kgの混酸の40℃のエッチング液に1時間浸漬し、ガラス基板の一方の表面の厚み減少量(μm)を測定した。単位時間(1時間)当たりの減少量(μm)としてエッチングレート(μm/h)を求めた。
【0107】
実施例26
実施例7に示すガラス組成となるよう調合したガラス原料を、耐火煉瓦製の熔解槽と白金合金製の調整槽(清澄槽)を備えた連続熔解装置を用いて、1560〜1640℃で熔解し、1620〜1670℃で清澄し、1440〜1530℃で攪拌した後にオーバーフローダウンドロー法により厚さ0.7mmの薄板状に成形し、TgからTg-100℃の温度範囲内において、100℃/分の平均速度で徐冷を行い、液晶ディスプレイ用(有機ELディスプレイ用)ガラス基板を得た。なお、前記記載の各特性については、得られたガラス基板を用いて測定した。
【0108】
上記のように得られたガラス基板のβ−OH値は0.20mm
-1であった。また、720℃以上のTgと、1680℃以下の熔融温度とを有しており、高Tg(高い低粘特性温度)および良好な熔解性とが実現されていた。さらに、熱収縮率および失透温度も、本発明のガラス基板の条件を満たしていた。なお、上記のように得られたガラス基板は、実施例7よりも、β−OH値が0.09mm
-1大きいため、実施例7と比較するとTgは3℃低くなるが、十分に高いTgを実現できている。
【0109】
実施例27、28
実施例11、13に示すガラス組成となるよう調合したガラス原料を用いて実施例26と同様にガラス基板を作製し、各特性を測定した。
上記のように得られた実施例27の組成のガラス基板の熔解温度は1610℃、β-OH値は0.20mm
-1で、Tgは754℃、歪点は697℃、熱収縮率は51ppmであり、他の特性は実施例11と同等であった。また、実施例28の組成のガラス基板の熔解温度は1585℃、β-OH値は0.21mm
-1で、Tgは761℃、歪点は710℃、熱収縮率は31ppmであり、他の特性は実施例13と同等であった。上記のように、上記ガラス基板は720℃以上のTgと、1680℃以下の熔融温度とを有しており、高い低粘特性温度および良好な熔解性とが実現されていた。さらに、熱収縮率および失透温度も、本発明のガラス基板の条件を満たしていた。なお、上記のように得られたガラス基板は、実施例11、13よりも、β-OH値が0.1mm
-1程度大きいため、実施例7、13と比較するとTgは2〜3℃低くなるが、十分に高いTgを実現できている。
したがって、本実施例で得られたガラス基板は、p−Si・TFTが適用されるディスプレイにも用いることが可能な、優れた特性を備えたガラス基板であるといえる。