【実施例】
【0166】
以下の実施例は、もっぱら本発明を例示するためだけに提供されるものであり、本明細書中に記載された本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0167】
化学合成
反応のためのすべての出発物質、試薬および溶媒は、試薬グレードであり、購入したままで用いた。クロマトグラフィー溶媒は、HPLCグレードであり、さらなる精製を行なわずに用いた。反応は、Merckシリカゲル60 F-254薄層プレートを用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)分析によりモニタリングした。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(0.015〜0.040mm)またはディスポーザブルIsolute Flash SiおよびSi IIシリカゲルカラムで行なった。分離用TLCは、Macherey-Nagel [809 023]プレコーティングTLCプレートSIL G-25 UV
254またはAnaltech [2015]プレコーティング分離用TLCプレート(2000μm、UV
254)のいずれかで行なった。LCMS分析は、以下の溶媒系を用いて、Micromass LCT/Waters社Alliance 2795 HPLCシステムと、Discovery 5μm(C18, 50mm×4.6mm i.d.)カラム(Supelco社)で、22℃の温度にて行なった:溶媒A:メタノール;溶媒B:0.1%ギ酸(水中)、流速1mL/分。勾配は、10%A/90%B(0〜0.5分)から出発し、続いて10%A/90%Bから90%A/10%B(0.5分〜6.5分)、および90%A/10%Bで10分まで維持した。10〜10.5分で勾配を10%A/90%Bに戻し、濃度を12分まで維持した。UV検出は254nmで行ない、イオン化は陽イオンまたは陰イオンエレクトロスプレーであった。分子量スキャン範囲は、50〜1000であった。サンプルは、1mg/mL(DMSOまたはメタノール中)で、部分ループフィルにて3μL注入した。NMRスペクトルは、DMSO-d
6においてBruker Advance 500 MHz分光計で記録した。
【0168】
合成1
2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニルカルバミン酸tert-ブチル
【化28】
【0169】
4-アミノ-3-フルオロフェノール(10.61g、83.5mmol)を、Boc
2O(18.29g、83.8mmol)およびInCl
3(188mg、0.85mmol)の溶融混合物に35℃で加えた。黒色混合物を35℃で2時間撹拌すると、その間に粘性の黒色油状物に変わった。次に混合物をEtOAc(200mL)およびH
2O(200mL)で希釈し、10分間撹拌を続けた。層を分離し、有機層をH
2O(3×200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、濃縮乾固した。得られた黒色油状物をCH
2Cl
2(50mL)に再溶解し、シリカゲルカラムにロードした。5→7%EtOAc(CH
2Cl
2中)を用いた溶出により、表題化合物が淡黄色結晶固体として得られた。
【0170】
収量: 16.7 g (90%).
1H-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm), J (Hz): 1.42 (s, 9H, C(CH
3)
3), 6.50-6.57 (m, 2H, ArH), 7.11-7.21 (m, 1H, ArH), 8.45 (bs, 1H, OH), 9.63 (s, 1H, NHBoc);
13C-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm), J (Hz): 28.0, 78.6, 102.7 (d, J
FH=22.2), 110.8 (d, J
FH=2.7), 117.1 (d, J
FH=12.6), 127.2, 153.7, 155.5 (d, J
FH=11.3), 156.1 (d, J
FH=246);
19F-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm): 121.6; LC-MS (3.94 min): m/z C
11H
14FNO
3 [M-C(CH
3)
3]
+についての算出値: 172.0; 実測値: 172.0。
【0171】
合成2
4-(2-アミノ-3-ニトロピリジン-4-イルオキシ)-2-フルオロフェニルカルバミン酸tert-ブチル(3a)
【化29】
【0172】
乾燥DMSO(20mL)を、アルゴン下で丸底フラスコ中のNaH(鉱油中60%分散液1.029g、25.7mmol)に添加した。5分後、固体2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニルカルバミン酸tert-ブチル(5.59g、24.6mmol)を3回に分けて添加すると、暗色溶液が得られ、室温で15分間の撹拌後、これを4-クロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(4.23g、24.4mmol)で直ちに処理した。暗赤色溶液を110℃まで1時間加熱し、室温まで冷却させた。続いて、EtOAc(150mL)およびH
2O(200mL)を溶液に加え、有機層を単離した。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出し、併せた有機層を飽和NaHCO
3(150mL)で1回洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、濃縮乾固すると、明黄色固体が得られた。この物質をさらなる精製をせずに次のステップで用いた。
【0173】
収量: 8.68 g (98%).
1H-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm), J (Hz): 1.46 (s, 9H, C(CH
3)
3), 6.08 (d, 1H,
3J
HH=5.5, PyrH), 7.01 (m, 1H, ArH), 7.18 (br s, 2H, NH2), 7.22 (m, 1H, ArH), 7.67 (m, 1H, ArH), 8.04 (d, 1H,
3J
HH=5.5, PyrH), 9.03 (s, 1H, NHBoc);
19F-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm): 120.7; LC-MS (4.72 min): m/z C
16H
17FN
4O
5 [M+H
+]についての算出値: 365.0; 実測値: 365.0。
【0174】
合成3
4-(2,3-ジアミノピリジン-4-イルオキシ)-2-フルオロフェニルアルバミン酸tert-ブチル(4a)
【化30】
【0175】
Pd/C(1.09g)を、EtOAc/EtOH(90/150mL)中の4-(2-アミノ-3-ニトロピリジン-4-イルオキシ)-2-フルオロフェニルカルバミン酸tert-ブチル(3a)(6.20g、17.0mmol)の黄色溶液に添加し、黒色混合物を窒素雰囲気下で5時間撹拌し、セライトでろ過した。暗褐色のろ液を濃縮乾固し、CH
2Cl
2(20mL)に再溶解し、シリカゲルカラムにロードした。生成物をEtOAcで溶出し、表題化合物を含有する画分を蒸発乾固した。橙色油状物をCH
2Cl
2に溶解し、等量のヘキサンを加えた。溶液を濃縮乾固すると、橙色の泡状物が得られた。
【0176】
収量: 4.30 g (76%).
1H-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm), J (Hz): 1.45 (s, 9H, C(CH
3)
3), 4.47 (s, 2H, NH
2), 5.61 (s, 2H, NH
2), 6.09 (d, 1H,
3J
HH=5.5, PyrH), 6.76 (m, 1H, ArH), 6.87 (m, 1H, ArH), 7.28 (d, 1H,
3J
HH=5.5, PyrH), 7.47 (m, 1H, ArH), 8.82 (s, 1H, NHBoc);
13C-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm), J (Hz): 28.0, 79.1, 104.4, 105.9 (d, J
FH=23.1), 113.4 (d, J
FH=3.1), 120.3, 121.5 (d, J
FH=12.2), 126.1, 135.7, 146.2, 150.5, 153.1 (d, J
FH=10.1), 153.3, 155.1 (d, J
FH=248);
19F-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm): -120.7; LC-MS (2.69 min): m/z C
16H
20FN
4O
3 [M+H
+]についての算出値: 335.2; 実測値: 335.3。
【0177】
合成4
4-(4-N-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-2-アミノピリジン-3-イル-カルバミン酸エチル(5a)
【化31】
【0178】
4-(4-N-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ-3-フルオロフェニルオキシ)-2,3-ジアミノピリジン(4a)(2.5g、7.5mmol)を、撹拌しながら乾燥THF(50mL)に溶解し、ピリジン(1.2mL、15mmol)を添加し、溶液を0℃で冷却した。クロロギ酸エチル(0.77mL、8.0mmol)を直ちに加えた。30分後、反応混合物を室温にし、さらに24時間撹拌した。真空下で溶媒を蒸発させ、残渣をDCMと飽和水性Na
2CO
3とに分割した。有機層をH
2Oで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製すると(溶出液勾配DCM〜EtOAc)、表題化合物が泡状物として得られた。
【0179】
収量: 1.13 g, 37%.
1H NMR δ: 1.17 (t, 3H, CH
3,Et, J=7.1 Hz), 1.45 (s, 9H, tBu), 4.02 (q, 2H, J=7.1, CH
2,Et), 5.89 (s, 2H, NH
2,Py2), 5.98 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 6.83 (d, 1H, H
arom), 6.96 (d, 1H, H
arom), 7.55 (t, 1H, H
arom), 7.73 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 8.29 (br s, 1H, NH
Py3), 9.39 (s, 1H, NHBoc)。
【0180】
合成5
4-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-2-アミノピリジン-3-イル-カルバミン酸エチル(6a)
【化32】
【0181】
4-(4-N-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-2-アミノピリジン-3-イル-カルバミン酸エチル(5a)(1.13g、2.8mmol)をTFA(8mL)に溶解し、数滴の水を添加して、反応混合物を室温で2時間撹拌した。TFAを蒸発させ、残渣を水(20mL)に溶解し、飽和水性NaCO
3を用いて中和し、DCM(2×20mL)で抽出した。有機層を乾燥させ、蒸発させると、表題化合物が得られた。
【0182】
収量: 730 mg, 86%.
1H NMR δ: 1.17 (t, 3H, J=7.1, CH
3,Et), 4.05 (q, 2H, J=7.0, CH
2,Et), 5.04 (s, 2H, NH
2,Ph), 5.71 (s, 2H, NH
2,Py), 5.86 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 6.64 (d, 1H, H
arom), 6.73-6.82 (m, 2H, H
arom), 7.68 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 8.23 (br s, 1H, NH
Py3). LC-MS: m/z 307 ([M+H]
+, 100)。
【0183】
合成6
4-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-2-アミノピリジン-3-イル-メチル-カルバミン酸エチル(7a)
【化33】
【0184】
4-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-2-アミノピリジン-3-イル-カルバミン酸エチル(6a)(480mg、1.6mmol)を乾燥THF(8mL)に溶解し、0℃で冷却した。水素化ナトリウム(鉱油中60%、80mg、2.0mmol)を添加し、反応混合物を0℃で40分間撹拌した。ヨウ化メチル(130μL、1.8mmol)を0℃で加えた。氷浴をはずし、混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をDCMと蒸留水とに分割した。有機層を乾燥および蒸発させ、残渣をジエチルエーテルで洗浄すると、表題化合物が褐色固体として得られた。
【0185】
収量: 322 mg, 63%.
1H NMR δ: 1.09 (t, 3H, J=7.0, CH
3,Et), 3.00 (s, 3H, CH
3N), 3.90-4.10 (m, 2H, CH
2,Et), 5.07 (s, 2H, NH
2,Ph), 5.87 (d, 1H, H
Py), 6.03 (s, 2H, NH
2,Py), 6.63 (t, 1H, H
arom), 6.77-6.81 (m, 2H, H
arom), 7.75 (d, 1H, H
Py)。
【0186】
合成7
7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8a)
【化34】
【0187】
4-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-2-アミノピリジン-3-イル-メチル-カルバミン酸エチル(7a)(320mg、1.0mmol)を、エタノール(9mL)にナトリウム(480mg、21mmol)を溶解することにより得られたEtONa溶液(EtOH中)(4mL)に懸濁した。懸濁液を、マイクロ波照射で1時間加熱した(100℃、100W)。混合物を室温で冷却し、溶媒を蒸発させた。残渣を水に溶解し、AcOHを用いてpH4に酸性化した。形成された沈殿をろ過により回収すると、表題化合物が得られた。
【0188】
収量: 188 mg, 67%.
1H NMR δ: 3.46 (s, 3H, CH
3N), 5.11 (s, 2H, NH
2), 6.35 (d, 1H, J=5.9, H
Py), 6.77-6.82 (m, 2H, H
arom,), 6.99 (d, 1H, H
arom), 7.76 (d, 1H, J=6.0, H
Py), 11.54 (s, 1H, NH
Py)。
【0189】
合成8
1-(3-tert-ブチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)-3-(2-フルオロ-4-(1-N-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)フェニル尿素(AA-01)
【化35】
【0190】
3-tert-ブチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-アミン(550mg、1.8mmol)をCH
2Cl
2(25mL)に溶解し、等量の飽和NaHCO
3(水性)を添加した。二相性混合物を撹拌し、氷/水浴を用いて0℃まで冷却した。10分後、2当量のホスゲン1.9M溶液(トルエン中)を加えた。混合物を10分間激しく撹拌し、有機層を単離し、H
2Oで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、約5mLまで濃縮した。この溶液を7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8a)(200mg、1.4mmol)のTHF溶液に加えた。溶液を室温で15時間撹拌し、溶媒を蒸発させ、固体残渣をEt
2OおよびCH
2Cl
2を用いて洗浄すると、表題化合物が白色固体として得られた。
【0191】
収量: 200 mg, 53%.
1H NMR, δ: 1.28 (s, 9H, tert-Bu), 3.42 (s, 3H, CH
3), 6.39 (s, 1H, H
Pyz,4), 6.49 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,5), 6.99 (dd, 1H, J = 1.6, 9.0, H
arom),7.21 (dd, 1H, J = 11.9, 2.7, H
arom), 7.40-7.45 (m, 1H, H
arom), 7.50-7.58 (m, 4H, H
arom), 7.81 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,6), 8.10 (t, 1H, J = 9.1, H
arom), 8.80 (s, 1H, NH
urea), 8.93 (s, 1H, NH
urea), 11.63 (bs, 1H, NH
Py2). LC-MS: m/z 516 ([M]
+, 100). HRMS (EI): m/z C
27H
27N
7O
3 ([M+H]
+)についての算出値: 516.2154; 実測値: 516.2152。
【0192】
合成9
1-(3-tert-ブチル-1-p-トリル-1H-ピラゾール-5-イル)-3-(2-フルオロ-4-(1-N-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)フェニル)尿素(AA-02)
【化36】
【0193】
(AA-01)について記載されたのと同じ方法により、3-tert-ブチル-1-p-トリル-1H-ピラゾール-5-アミン(458mg、2mmol)および7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8a)(110mg、0.4mmol)から表題化合物をオフホワイトの固体として調製した。
【0194】
収量: 150 mg, 71%.
1H NMR, δ: 1.27 (s, 9H, tert-Bu), 2.38 (s, 3H, Ph-CH
3), 3.42 (s, 3H, N-CH
3), 6.37 (s, 1H, H
Pyz,4), 6.49 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,5), 6.96 (dd, 1H, H
arom), 7.20 (d, 1H, H
arom), 7.34 (d, 2H, J = 8.3, H
arom), 7.39 (d, 2H, J = 8.4, H
arom), 7.81 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,6), 8.11 (t, 1H, H
arom), 8.74 (s, 1H, NH
urea), 8.92 (s, 1H, NH
urea), 11.61 (bs, 1H, NH
Py2). LC-MS: m/z 530 ([M+H]
+, 100)。
【0195】
合成10
1-(3-tert-ブチル-1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-5-イル)-3-(2-フルオロ-4-(1-N-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)フェニル)尿素(AA-03)
【化37】
【0196】
(AA-01)について記載されたのと同じ方法により、3-tert-ブチル-1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-5-アミン(375mg、1.5mmol)および7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8a)(150mg、0.55mmol)から表題化合物をオフホワイトの固体として調製した。
【0197】
収量: 190 mg, 63%.
1H NMR, δ: 1.28 (s, 9H, tert-Bu), 3.42 (s, 3H, CH
3), 6.39 (s, 1H, H
Pyz,4), 6.49 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,5), 6.96 (dd, 1H, 9.0, H
arom), 7.21 (d, 1H, H
arom), 7.57 (d, 2H, J = 9.0, H
arom), 7.60 (d, 2H, J = 8.9, H
arom), 7.81 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,6), 8.08 (t, 1H, H
arom), 8.80 (s, 1H, NH
urea), 8.89 (s, 1H, NH
urea), 11.63 (bs, 1H, NH
Py2). LC-MS: m/z 549 ([M]
+, 100)。
【0198】
合成11
3-tert-ブチル-1-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸
【化38】
【0199】
丸底フラスコ(炉乾燥)中で、(3-フルオロフェニル)ボロン酸(224mg、1.6mmol)、3-t-ブチル-ピラゾール-5-カルボン酸エチル(320mg、1.6mmol)、酢酸銅(355mg、1.9mmol)および乾燥ピリジン(158μL、1.9mmol)を、10mL乾燥DMF中にアルゴン雰囲気下、激しく撹拌しながら懸濁した。反応混合物に300mgの4A分子篩を添加し、懸濁液を室温で20時間撹拌した。懸濁液を20mL AcOEtを用いて希釈し、水(2×20mL)、次に20mLの濃NaHCO
3溶液、および20mLブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、真空下で蒸発させた。粘性の油状物(520mg)が得られ、これを精製せずに次のステップで用いた。
【0200】
油状物を10mL EtOHに溶解し、3mL NaOH溶液(2M)を撹拌しながら加え、反応混合物を30分間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をpH4に調整し(AcOHを用いて)、20mL AcOEtを用いて抽出した。有機層を水(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ、真空下で蒸発させた。固体が得られた(457mg)。固体をシクロヘキサン:AcOEt(3:1)を用いてBiotageで精製すると、表題化合物が白色固体として得られた。
【0201】
収量: 166 mg (40%).
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 1.30 (s, 9H), 6.95 (s, 1H, H
pyr), 8.59 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.25-7.32 (m, 1H, H
arom), 7.35 (d, 1H, J = 9.9 Hz, H
arom), 7.47-7.52 (m, 1H, H
arom), 13.22 (s, 1H, H
acid). HRMS: (M+H)
+ C
14H
15FN
2O
2についての算出値, 262.1118, 実測値: 262.1117。
【0202】
合成12
1-(3-tert-ブチル-1-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-5-イル)-3-(2-フルオロ-4-(1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)フェニル)尿素(AA-04)
【化39】
【0203】
3-tert-ブチル-1-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(393mg、1.5mmol)を乾燥DMF(8mL)に溶解し、トリエチルアミン(209μL、1.5mmol)を添加した。溶液を0℃で冷却し、ジフェニルホスホリルアジド(323μL、1.5mmol)を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、続いて室温で1時間撹拌した。7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8a)(140mg、0.5mmol)を加え、反応混合物を110℃で1時間加熱した。溶液を冷却し、AcOEt(100mL)を用いて希釈し、水およびブラインで抽出した。有機層を乾燥および蒸発させ、残渣をDCMに回収した。残った固体をろ過により回収すると、表題化合物が得られた。
【0204】
収量: 25 mg, 9%.
1H NMR, δ: 1.28 (s, 9H, tert-Bu), 3.41 (s, 3H, CH
3), 6.40 (s, 1H, H
Pyz,4), 6.49 (d, 1H, J = 6.1, H
Py,5), 6.96-7.02 (m, 1H, H
arom), 7.19-7.26 (m, 2H, H
arom), 7.36-7.44 (m, 2H, H
arom), 7.58 (t, 1H, H
arom), 7.81 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,6), 8.06 (t, 1H, J = 9.1, H
arom), 8.83 (s, 1H, NH
urea), 8.92 (s, 1H, NH
urea), 11.64 (bs, 1H, NH
Py2). LC-MS: m/z 533 ([M]
+, 100)。
【0205】
合成13
4-(2-アミノ-3-ニトロピリジン-4-イル-オキシ)ナフタレン-1-イル-カルバミン酸tert-ブチル(3b)
【化40】
【0206】
化合物(3a)について記載されたのと同じ方法により、4-ヒドロキシナフタレン-1-イルカルバミン酸tert-ブチル(Regan, J. et al, J. Med. Chem., 2002, Vol. 45, No. 14, p. 2994)(3.9g、15mmol)から表題化合物を調製した。
【0207】
収量: 5.4 g, 90% (ジクロロメタンから再結晶化した場合).
1H-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm), J (Hz): 1.52 (s, 9H, C(CH
3)
3), 5.80 (d, 1H, J=5.7, PyrH), 7.26 (s, 2H, NH
2), 7.38 (d, 1H, J=8.3, ArH,Naph), 7.58-7.69 (m, 3H, ArH, Naph), 7.86-7.89 (m, 1H, ArH, Naph), 7.93 (d, 1H, J=5.5, PyrH), 8.14-8.17 (m, 1H, ArH, Naph), 9.36 (s, 1H, NHBoc)。
【0208】
合成14
4-(2,3-ジアミノピリジン-4-イル-オキシ)ナフタレン-1-イル-カルバミン酸tert-ブチル(4b)
【化41】
【0209】
化合物(4a)について記載されたのと同じ方法により、4-(2-アミノ-3-ニトロピリジン-4-イル-オキシ)ナフタレン-1-イル-カルバミン酸tert-ブチル(3b)(0.50g、1.26mmol)から、表題化合物を褐色固体として調製した。
【0210】
収量: 0.38 g (82%).
1H-NMR (DMSO-d
6), δ (ppm), J (Hz): 1.55 (s, 9H, C(CH
3)
3), 4.63 (s, 2H, NH
2), 5.66 (s, 2H, NH
2), 5.92 (d, 1H, J=5.6, PyrH), 7.05 (d, 1H, J=8.3, ArH,Naph), 7.24 (d, 1H, J=5.5, PyrH), 7.54 (d, 1H, J=8.3, ArH,Naph), 7.60-7.65 (m, 2H, ArH, Naph), 8.07-8.12 (m, 2H, ArH, Naph), 9.22 (s, 1H, NHBoc)。
【0211】
合成15
4-(4-N-Boc-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-3-N-アミノカルバモイルエチル-2-アミノ-ピリジン(5b)
【化42】
【0212】
4-(4-N-Boc-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-2,3-ジアミノピリジン(4b)(500mg、1.4mmol)およびピリジン(222μL、2.7mmol)を、0℃にて激しく撹拌しながら乾燥THF(8mL)に溶解した。この溶液に、クロロギ酸エチル(136mL、1.5mmol)を直ちに加えた。反応混合物を室温にして、さらに10時間撹拌した。真空下で溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcとNa
2CO
3溶液とに分割した。有機層を洗浄し(20mLブライン)、乾燥させ(MgSO
4)、蒸発させて、固体残渣を得た。LC(Isoluteカラム、Flash Si II、50g/170mL;溶出液:EtOAc)による精製後、所望の化合物が得られた。
【0213】
収量: 475 mg, 75%.
1H-NMR δ: 1.14-1.21 (m, 3H, CH
3), 1.50 (s, 9H, tBu), 4.04-4.10 (m, 2H, CH
2), 5.66 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 5.84 (s, 2H, NH
2), 7.15 (d, 1H, J=8.1, H
arom), 7.49-7.60 (m, 3H, H
arom), 7.62 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 7.98-8.04 (m, 1H, H
arom), 8.07 (d, 1H, J=8.5, H
arom), 8.40 (s, 1H, NH
carb), 9.22 (s, 1H, NH
Boc). LC-MS: m/z 440 [(M + H)
+, 100]. HRMS (EI): m/z C
23H
27N
4O
5 [(M + H)
+]についての算出値: 439.1981; 実測値: 439.1979。
【0214】
合成16
4-(4-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-3-N-アミノカルバモイルエチル-2-アミノ-ピリジン(6b)
【化43】
【0215】
4-(4-N-Boc-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-3-N-アミノカルバモイルエチル-2-アミノピリジン(5b)(475mg、1.05mmol)を、0℃にて激しく撹拌しながら乾燥TFA(10mL)に溶解した。この溶液を室温にして、さらに2時間撹拌した。真空下でTFAを蒸発させ、油状残渣をEtOAcとNa
2CO
3溶液とに分割した。有機層を洗浄し(20mLブライン)、乾燥させ(MgSO
4)、蒸発させて、固体残渣を得た。
【0216】
収量: 346 mg, 97%.
1H NMR δ: 1.19-1.26 (m, 3H, CH
3), 4.07-4.13 (m, 2H, CH
2), 5.57 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 5.77 (s, 4H, 2 x NH
2), 6.66 (d, 1H, J=8.1, H
arom), 6.97 (d, 1H, J=8.1, H
arom), 7.37-7.45 (m, 2H, H
arom), 7.55 (d, 1H, J=5.7, H
Py), 7.76-7.86 (bs, 1H, H
arom), 8.09-8.12 (m, 1H, H
arom), 8.36 (s, 1H, NH
carb). LC-MS: m/z 339 [(M+H)
+, 100]. HRMS (EI): m/z C
18H
19N
4O
3 [(M+H)
+, 100]についての算出値: 339.1457; 実測値: 339.1459。
【0217】
合成17
4-(4-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-3-N-メチル-N-アミノカルバモイルエチル-2-アミノ-ピリジン(7b)
【化44】
【0218】
4-(4-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-3-N-アミノカルバモイルエチル-2-アミノ-ピリジン(6b)(350mg、1.04mmol)を、0℃にてアルゴン下で激しく撹拌しながら乾燥THF(8mL)に溶解した。この溶液に、NaH(60%、鉱油中に分散)(45mg、1.14mmol)を加えた。40分後、MeI(66mL、0.91mmol)を0℃で加えた。。反応混合物を室温にして、さらに10時間撹拌した。真空下で溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc 20mLに再回収した。溶液をブラインで洗浄し(2×20mL)、乾燥させ、蒸発乾固した。残渣をEt
2Oを用いて粉砕し、ろ過すると、表題化合物が固体として得られた。
【0219】
収量: 238 mg, 65%.
1H NMR δ: 1.12-1.29 (m, 3H, CH
3), 3.14 (s, 3H, CH
3), 4.05-4.16 (m, 2H, CH
2), 5.53 (d, 1H, J=5.8, H
Py), 5.75 (s, 2H, NH
2), 6.01 (s, 2H, NH
2), 6.66 (d, 1H, J=8.1, H
arom), 6.96 (d, 1H, J=8.1, H
arom), 7.37-7.43 (m, 2H, H
arom), 7.57 (d, 1H, J=5.8, H
Py), 7.59-7.64 (m, 1H, H
arom), 8.11-8.15 (m, 1H, H
arom). LC-MS: m/z 353 ([M+H]
+, 100). HRMS (EI): m/z C
19H
21N
4O
3 ([M+H]
+)についての算出値: 353.1614; 実測値: 353.1610。
【0220】
合成18
7-(4-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8b)
【化45】
【0221】
230mg(0.65mmol)の4-(4-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-3-N-メチル-N-アミノカルバモイルエチル-2-アミノピリジン(7b)を、1.0MのEtONa溶液(EtOH中)5.0mLに懸濁した。懸濁液を45分間、マイクロ波(150W、100℃)にかけた。冷却後、反応混合物を蒸発乾固し、20mLのH
2Oに再回収し、pHを4.5に調整し(AcOH)、表題化合物を沈殿させた。
【0222】
収量: 167 mg, 84%.
1H NMR δ: 3.61 (s, 3H, CH
3), 5.79 (s, 2H, NH
2), 6.10 (d, 1H, J=5.9, H
Py), 6.68 (d, 1H, J=8.1, H
arom), 7.10 (d, 1H, J=8.1, H
arom), 7.43-7.48 (m, 2H, H
arom), 7.64 (d, 1H, J=5.8, H
Py), 7.74-7.81 (m, 1H, H
arom), 8.12-8.17 (m, 1H, H
arom), 11.57 (s, 1H, NH
Py). LC-MS: m/z 307 ([M+H]
+, 100). HRMS (EI): m/z C
17H
25N
4O
2 ([M+H]
+)についての算出値: 307.1195; 実測値: 307.1188。
【0223】
合成19
1-(3-tert-ブチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)-3-(4-(1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)ナフタレン-1-イル)尿素(BB-01)
【化46】
【0224】
(AA-01)について記載されたのと同じ方法により、3-tert-ブチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-アミン(0.18mmol)および7-(4-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8b)(50mg、0.16mmol)から、表題化合物をオフホワイトの固体として調製した。
【0225】
収量: 87 mg, 98%.
1H NMR, δ 1.29 (s, 9H, tert-Bu), 3.53 (s, 3H, CH
3), 6.29 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,5), 6.40 (s, 1H, H
pyr), 7.24 (d, 1H, J = 8.3, H
arom), 7.43 (t, 1H, J = 7.0 Hz), 7.54-7.63 (m, 5H), 7.66 (t, 1H, J = 8.2, H
arom), 7.74 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,6), 7.86 (d, 2H, J = 8.3, H
arom), 8.05-8.10 (m, 1H), 8.77 (s, 1H, NH
urea), 9.07 (s, 1H, NH
urea), 11.64 (s, 1H, NH
Py2). LC-MS: R
f = 8.25 min; m/z 548.2 (M
+, 100). HRMS (EI): m/z C
31H
30N
7O
3 ([M+H]
+)についての算出値: 548.2410; 実測値: 548.2404。
【0226】
合成20
1-(1-N-p-トリル-3-tert-ブチル-ピラゾール-5-イル)-3-(4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イル-オキシ)ナフタレン-1-イル)尿素(BB-02)
【化47】
【0227】
(AA-01)について記載されたのと同じ方法により、3-tert-ブチル-1-p-トリル-1H-ピラゾール-5-アミン(35mg、0.15mmol)および7-(4-アミノナフタレン-1-イル-オキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(8b)(40mg、0.13mmol)から、表題化合物をオフホワイトの固体として調製した。
【0228】
収量: 52 mg, 71%.
1H NMR, δ: 1.28 (s, 9H, tert-Bu), 2.40 (s, 3H, CH
3), 3.53 (s, 3H, CH
3), 6.29 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,5), 6.39 (s, 1H, H
pyr), 7.24 (d, 1H, J = 8.4, H
arom), 7.36 (d, 2H, J = 8.2, H
arom), 7.45 (d, 2H, J = 8.2, H
arom), 7.60 (t, 1H, J = 7.5, H
arom), 7.67 (t, 1H, J = 7.6, H
arom), 7.74 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,6), 7.87 (d, 1H, J = 8.3, H
arom), 8.07 (d, 2H, J = 8.3, H
arom), 8.71 (s, 1H, NH
urea), 9.06 (s, 1H, NH
urea), 11.65 (s, 1H, NH
Py3). LC-MS: R
f = 5.23 min; m/z 562.2 ([M+H]
+, 100). HRMS (EI): m/z C
32H
32N
7O
3 ([M+H]
+)についての算出値: 562.2561; 実測値: 562.2566。
【0229】
(参考)合成21
2-フルオロ-4-(2-(メチルアミノ)-3-ニトロピリジン-4-イルオキシ)フェニルカルバミン酸tert-ブチル
【化48】
【0230】
2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニルカルバミン酸tert-ブチル(3.25g、14.4mmol)をDMSO(25mL)に溶解し、溶液をアルゴン雰囲気下で20分間撹拌した。水素化ナトリウム(鉱油中60%、580mg、14.4mmol)を少しずつ加え、暗色溶液を室温で1時間撹拌した。DMSO(5mL)に溶解した4-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-2-アミン(2.7g、14.4mmol)を直ちに加え、赤色溶液を50℃で2時間撹拌した。溶液を冷却し、砕いた氷(200g)に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)を用いて抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させると、表題化合物が黄色固体として得られた。
【0231】
収量: 5.3 g, 90%.
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ: 1.47 (s, 9H, tert-Bu) 2.93 (d, J = 4.5 Hz, CH
3N), 6.08 (d, J = 5.7 Hz, 1H, H
py), 7.00 (m, 1H, H
arom), 7.22 (m, 1H, H
arom), 7.55 (q, J = 4.5 Hz, 1H, NHCH
3), 7.66 (m, 1H, H
arom), 8.14 (d, J = 5.7 Hz, 1H, 1H, H
py), 9.04 (bs, 1H, NH). LC-MS: m/z 378.3 ([M+H]
+, 100)。
【0232】
(参考)合成22
4-(3-アミノ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イルオキシ)-2-フルオロフェニルカルバミン酸tert-ブチル
【化49】
【0233】
2-フルオロ-4-(2-(メチルアミノ)-3-ニトロピリジン-4-イルオキシ)フェニルカルバミン酸tert-ブチル(5.3mg、14mmol)を無水エタノール(600mL)に溶解し、H-Cube装置を通して10%Pd/Cカートリッジで水素化すると、表題化合物が黄色固体として得られた。
【0234】
収量: 4.88 g (定量的収量).
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ: 1.44 (s, 9H, tert-Bu), 2.85(d, 3H, J = 4.5 Hz, CH
3N), 4.51 (bs, 2H, NH
2), 5.94 (m, 1H, CH
3NH), 6.10 (d, 1H, J = 5.6 Hz, H
py), 6.72 (m, 1H, H
arom), 6.85 (m, 1H, H
arom), 7.37 (d, 1H, J = 5.6 Hz, H
py), 7.44 (m, 1H, H
arom), 8.87 (bs, 1H, NH). LC-MS: m/z 348.4 ([M+H]
+, 100)。
【0235】
(参考)合成23
2-フルオロ-4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)フェニルカルバミン酸tert-ブチル
【化50】
【0236】
アルゴン雰囲気下にてTHF(150mL)およびピリジン(10mL)中の4-(3-アミノ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イルオキシ)-2-フルオロフェニルカルバミン酸tert-ブチル(4.9g、14mmol)の氷冷溶液に、THF(75mL)中のトリホスゲン(4.45g、15mmol)の溶液を滴下漏斗を介して2時間かけて加えた。溶液を0℃で2時間撹拌し、続いて室温で4時間撹拌し、次に一晩還流した。冷却後、溶液をろ過し、蒸発させ、Biotage装置(25+Mカラム、溶出液DCM/EtOAc 1/1)でクロマトグラフィーにかけると、表題化合物が白色固体として得られた。
【0237】
収量: 2.05 g, 40%.
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ: 1.47 (s, 9H, tert-Bu), 3.32 (s, 3H, CH
3N), 6.53 (d, 1H, J = 5.9 Hz, H
py), 6.94 (m, 1H, H
arom), 7.15 (m, 1H, H
arom), 7.60 (m, 1H, H
arom), 7.89 (d, 1H, J = 5.9 Hz, H
py), 8.97 (s, 1H, NH), 11.46 (s, 1H, NH). LC-MS: m/z 375.1 ([M+H]
+, 100)。
【0238】
(参考)合成24
7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン
【化51】
【0239】
THF(41mL)中1M TBAF中の2-フルオロ-4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)フェニルカルバミン酸tert-ブチル(2.18g、5.8mmol)の溶液を、アルゴン雰囲気下で一晩還流した。溶液を冷却し、蒸発させ、水(20mL)を加えると、沈殿が形成された。沈殿をろ過し、水で洗浄し、乾燥させると、表題化合物がオフホワイトの固体として得られた。
【0240】
収量: 1.37 g, 86%.
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 3.29 (s, 3H, CH
3N), 5.17 (s, 2H, NH
2), 6.35 (d, 1H, J = 5.94 Hz, H
py), 6.74-6.83 (m, 2H, H
arom), 6.99 (m, 1H, H
arom), 7.81 (d, 1H, J = 5.94 Hz, H
py), 11.44 (s, 1H, NH). LC-MS: m/z 275.1 ([M+H]
+, 100)。
【0241】
(参考)合成25
7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-1,3-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン
【化52】
【0242】
アルゴン下、0℃にて、THF(4mL)中の7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(100mg、0.365mmol)の溶液にNaH(16.77mg、0.419mmol)を一度に加えた。得られた溶液を20分間撹拌し、ヨードメタン(0.025mL、0.401mmol)を加えた。1時間後、水を加え、溶液を蒸発させ、DCM(3×20mL)で抽出すると、表題化合物が得られた。
【0243】
収量: 80 mg, 0.278 mmol, 76%.
1H NMR (CDCl
3), δ: 3.51 (s, 3H, Me), 3.66 (s, 3H, Me), 6.40 (d, 1H, J = 6.0, H
arom,Py), 6.74 (ddd, 1H, J = 8.6, 2.5, 1.0, H
arom,FPh), 6.83 (m, 2H, H
arom,FPh), 7.87 (d, 1H, J = 6.0, H
arom,Py). LC-MS: R
f = 2.60 min; m/z 289.1 ([M+H]
+, 90)。
【0244】
(参考)合成26
1-(1-N-p-トリル-3-tert-ブチル-ピラゾール-5-イル)-3-(4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イル-オキシ)フェニル)尿素(XX-02)
【化53】
【0245】
(AA-01)について記載されたのと同じ方法により、3-tert-ブチル-1-p-トリル-1H-ピラゾール-5-アミン(43.7mg、0.19mmol)および7-(4-アミノフェニルオキシ)-1-N-メチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(Niculescu-Duvaz, D. et al, J. Med. Chem., 2009, Vol. 52, No. 8, p. 2255)(40mg、0.16mmol)を用いて、表題化合物を白色固体として調製した。
【0246】
収量: 62 mg, 76%.
1H NMR, δ: 1.27 (s, 9H, tert-Bu), 2.37 (s, 3H, CH
3), 3.44 (s, 3H, CH
3), 6.35 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,5), 6.39 (s, 1H, H
pyr), 7.11 (d, 2H, J = 9.0, H
arom), 7.33 (d, 2H, J = 8.3, H
arom), 7.39 (d, 2H, J = 8.3, H
arom), 7.47 (d, 2H, J = 9.0, H
arom), 7.78 (d, 1H, J = 5.9, H
Py,6), 8.32 (s, 1H, NH
urea), 9.08 (s, 1H, NH
urea), 11.59 (s, 1H, NH
Py3). LC-MS: R
f = 5.14 min; m/z 511 ([M+H]
+, 100). HRMS (EI): m/z C
28H
30N
7O
3 ([M+H]
+)についての算出値: 512.2405; 実測値: 512.2405。
【0247】
(参考)合成27
1-(3-tert-ブチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)-3-(4-(1,3-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)-2-フルオロフェニル)尿素(XX-03)
【化54】
【0248】
(AA-01)について記載されたのと同じ方法により、3-tert-ブチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-アミン(130mg、0.60mmol)および7-(4-アミノ-3-フルオロフェノキシ)-1,3-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オン(100mg、0.35mmol)から、表題化合物を黄色粉末として調製した。
【0249】
収量: 15 mg, 8%.
1H NMR (CDCl
3), δ: 1.39 (s, 9H, tert-Bu), 3.48 (s, 3H, Me), 3.59 (s, 3H, Me), 6.47 (d, 1H, J = 5.9, H
arom,Py), 6.49 (s, 1H, H
Pyz,4), 6.85 (dd, 1H, J = 11.1, 2.5, H
arom,FPh), 6.89 (d, 1H, J = 9.0, H
arom,FPh), 7.31 (t, 1H, J = 7.7, H
arom,Ph), 7.42 (t, 2H, J = 7.7, H
arom,Ph), 7.50 (d, 2H, J = 7.9, H
arom,Ph), 7.92 (d, 1H, J = 5.9, H
arom,Py), 8.15 (t, 1H, J = 8.9, H
arom,FPh). LC MS: R
f = 2.78 min; m/z 530 ([M+H]
+, 90). HRMS (EI): m/z C
28H
29FN
7O
3 ([M+H]
+)についての算出値: 530.2310; 実測値: 530.2326。
【0250】
(参考)合成28
1-(5-tert-ブチル-2-フェニル-2H-ピラゾール-3-イル)-3-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)-フェニル]-尿素(XX-01)
【化55】
【0251】
公知の方法(例えば、Synthesis 61, Niculescu-Duvaz et al., 2006に示されている)を用いて、表題化合物を得た。
【0252】
(参考)合成29
1-[5-tert-ブチル-2-(4-フルオロ-フェニル)-2H-ピラゾール-3-イル]-3-[4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イルオキシ)-フェニル]-尿素(XX-04)
【化56】
【0253】
公知の方法(例えば、Synthesis 79, Niculescu-Duvaz et al., 2006に示されている)を用いて、表題化合物を得た。
【0254】
生物学的方法
生物学的方法 - アッセイA - DELFIAキナーゼアッセイ
下記のプロトコールに従って行なったキナーゼアッセイにより、化合物を評価した。
【0255】
以下の試薬を調製した:
DELFIAキナーゼバッファー(DKB):
【表2】
【0256】
MOPS=3-[N-モルホリノ]プロパンスルホン酸(Sigma M3183)
EGTA=エチレングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(Sigma E3889)。
【0257】
DKB1(B-RAFおよびMEKタンパク質を含むDKB):
4950μLのDKBと50μLの2.5mg/mL GST-MEKストックを併せる(40μLあたり1mgのMEKとする)。続いて、22.5μLのB-RAFを加え、40μL当たり約0.2μLのB-RAFとする。
【0258】
DKB2(MEKタンパク質を含むDKB):
4950μLのDKBと50μLの2.5mg/mL GST-MEKストックを併せる(40μLあたり1mgのMEKとする)。ブローアウト(BO)および空ベクター(EV)対照のために、これを500μL用いる。
【0259】
ATP:
100mMストック、500μMに希釈し、アッセイ中最終濃度100μMとする。
【0260】
阻害剤(試験化合物):
100mMストック、薬物プレートにおいてDMSO中10、3、1、0.3、0.1、0.03、0.01、0.003、0.001、0.0003、および0.0001mMに希釈し、アッセイ中100、30、10、3、1、0.3、0.1、0.03、0.01、0.003、および0.001μM濃度とする。
【0261】
一次抗体:
リン酸化MEK1/2(phospho-MEK)(CST #9121S)、DELFIAアッセイバッファー(AB)にて1:1000希釈。使用前に、室温にて30分間、AB中で抗体をプレインキュベートする。
【0262】
二次抗体:
抗ウサギ-Eur標識二次抗体(Perkin Elmer #AD0105)、DELFIAアッセイバッファー(AB)にて1:1000希釈。使用前に、室温にて30分間、AB中で抗体をプレインキュベートする。(一次抗体と二次抗体とは一緒にインキュベートした)。
【0263】
Tween:
0.1%Tween20(水中)。
【0264】
アッセイバッファー:
DELFIAアッセイバッファー(Perkin Elmer #4002-0010)。
【0265】
増強溶液:
DELFIA増強(enhancement)溶液(Perkin Elmer #4001-0010)。
【0266】
アッセイプレート:
96ウェルグルタチオンコーティング黒色プレート(Perbio #15340)。
【0267】
手順:
1. 5%ミルク(TBS中)を用いて1時間、ウェルを予めブロッキングする.
2. 200μL TBSでウェルを3回洗浄する.
3. すべての阻害剤(試験化合物)、DMSO対照、および任意により他の対照化合物に対して、40μLのDKB1を加える.
4. BOウェルおよびEVウェルに、40μLのDKB2を加える.
5. 所望のプレート配置に従って、0.5μL/ウェルの阻害剤(試験化合物)を添加する.
6. ビヒクル対照ウェルに、0.5μL DMSOを添加する.
7. BOウェルおよびEVウェルに、2μL B-RAFを添加する.
8. 振盪しながら室温で10分間、阻害剤(試験化合物)と共にプレインキュベートする.
9. 500μM ATPストック(DKB中)を10μL加えて、100μMのアッセイ濃度とする.
10. TopSealを用いてプレートを密閉し、振盪しながら45分間室温でインキュベートする.
11. 200μL 0.1%Tween20/水でプレートを3回洗浄し、反応を終了させる.
12. 50μL/ウェルの抗体混合液を加え、振盪しながら室温で1時間インキュベートする.
13. 200μL 0.1%Tween20/水でプレートを3回洗浄する.
14. 1ウェル当たり100μLのDELFIA増強溶液を加え、ホイルで覆い、振盪しながら室温で30分間インキュベートする.
15. ユーロピウム法を用いて、Victorで測定する.
【0268】
ブランク(空ベクター)についての値を、すべての値から減算する。DMSO対照を100%活性に設定し、アッセイ点(応答)をDMSO対照に対する割合(%)として算出する。Graphpad Prismソフトウェアを用いてデータをプロットし、以下の複合法面S字状用量反応式を用いて、非線形回帰直線を算出する:
Y = Bottom + [ Top - Bottom ] / [ 1 + 10^((LogEC50 - X)
* HillSlope) ]
(式中、Xは濃度の対数であり、Yは応答である)。この手順により導かれたIC50は、飽和とゼロ効果プラトーとの途中の対照蛍光値(%)をもたらす薬物濃度である。通常は、3回の独立したアッセイを行ない、平均IC50を報告する。
【0269】
生物学的方法 - アッセイB - 細胞ベースリン酸化ERKアッセイ
以下のプロトコールに従って行なった細胞ベースアッセイを用いて、化合物を評価した。
【0270】
第0日:
96ウェルプレートで、99μLの培地に突然変異型BRAF WM266.4細胞を16,000細胞/ウェル播種する。
【0271】
第1日:
1. 細胞に1μLの阻害剤(試験化合物)を加える(合計1μLの溶液).
2. 37℃で6時間、試験化合物と共に細胞をインキュベートする.
3. すべてのウェルから溶液をアスピレートして除去する.
4. ウェル当たり100μLの4%ホルムアルデヒド/0.25%Triton X-100 PBSを用いて細胞を固定する.
5. プレートを4℃にて1時間インキュベートする.
6. 固定溶液をアスピレートして除去し、300μL TBS/ウェルを加える.
7. プレートを4℃にて一晩静置する.
【0272】
第2日:
1. 200μL PBS/ウェルでプレートを2回洗浄する.
2. 100μLの5%乾燥ミルク(TBS中)でブロッキングする.
3. プレートを37℃にて20分間インキュベートする.
4. 0.1%Tween/H
2Oを用いてプレートを2回洗浄する.
5. 50μLの3μg/mL一次抗体pERK(Sigma M8159)(5%ミルク粉末/TBSで希釈)を各ウェルに加える.
6. プレートを37℃にて2時間インキュベートする.
7. 0.1%Tween/H
2Oを用いてプレートを3回洗浄する.
8. 50μLの0.45μg/mLユーロピウム標識抗マウス二次抗体(Perkin Elmer)を各ウェルに加える.
9. プレートを37℃にて1時間インキュベートする.
10. 0.1%Tween/H
2Oを用いてプレートを3回洗浄する.
11. 100μLの増強溶液(Perkin Elmer)を各ウェルに加える.
12. プレートを室温で約10分間静置し、続いて穏やかに振盪する.
13. Victor2を用いて、ユーロピウム時間分解蛍光を測定する.
14. 0.1%Tween/H
2Oを用いてプレートを2回洗浄する.
15. 200μL/ウェルの溶液を添加することにより、BCA(Sigma)を用いてタンパク質濃度を測定する.
16. プレートを37℃にて30分間インキュベートする.
17. 570nmでの吸光レベルをプレートリーダーで測定する.
【0273】
吸光度でカウントを除算することにより、ユーロピウムカウントをタンパク質レベルについて標準化することに留意されたい。
【0274】
ブランク(細胞なし)についての値を、すべての値から減算する。DMSO対照を100%活性として設定し、アッセイ点(応答)をDMSO対照に対する割合(%)として算出する。Graphpad Prismソフトウェアを用いてデータをプロットし、以下の複合法面S字状用量反応式を用いて、非線形回帰直線を算出する:
Y = Bottom + [ Top - Bottom ] / [ 1 + 10^((LogEC50 - X)
* HillSlope) ]
(式中、Xは濃度の対数であり、Yは応答である)。この手順により導かれたIC50は、飽和とゼロ効果プラトーとの途中の対照蛍光値(%)をもたらす薬物濃度である。通常は、3回の独立したアッセイを行ない、平均IC50を報告する。
【0275】
生物学的方法 - アッセイC - SRB細胞増殖アッセイ(SRB GI50)
細胞株(例えば、WM266.4およびA375M黒色腫細胞株;SW620結腸直腸癌細胞株)を、10%ウシ胎児血清を添加したDMEMまたはRPMI1640中、10%CO
2水飽和雰囲気下で37℃にて通常通りに培養する。コンフルエントに達する前に継代培養(3〜5日間隔)することにより、培養を指数増殖相で維持する。5mLの市販のトリプシンEDTAを用いて80cm
2組織培養フラスコから回収することにより、単一細胞懸濁液を調製する。5分後、剥がれた細胞を5mLの完全補充培養培地と混合し、遠心してペレットにする(1000rpm、7分間)。上清をアスピレートして除去した後、細胞ペレットを10mLの新たな培地に再懸濁し、19ゲージ注射針を通して全量を5回出し入れすることにより、細胞を完全にばらばらにする。血球計算盤を用いて、細胞濃度を測定する(1/10希釈)。細胞懸濁液を10,000〜40,000細胞/mLに希釈することにより、実施する試験の回数に対して少なくとも2倍過剰量を与える好適な体積(典型的には100〜200mL)を調製し、プログラム可能な8連ペリスタポンプを用いて96ウェルプレートに100μL/ウェルを分注して、1000〜4000細胞/ウェルとし、第12列はブランクにする。プレートをインキュベーターに24時間戻し、細胞を再び接着させる。
【0276】
試験対象の化合物を、DMSO中10mMで準備する。アリコート(24μL)を1.2mLの培養培地で希釈して200μMとし、80μLを160μLに移すことにより10段階の3倍希釈系列を作製する。8連ピペッターを用いて各希釈のアリコート(100μL)をウェルに加えることで、最後にさらに2倍希釈を行ない、100μM〜0.005μMの用量とする。第11列には、通常の培養培地のみを入れる。各化合物を4回試験し、各回は4ウェルの平均とする。
【0277】
さらに5日間生育させた後、プレートの内容物を除去し、細胞を10%トリクロロ酢酸で4℃にて30分間固定する。水道水の流水で十分にすすいだ後、プレートを乾燥させ、50μLの0.1%スルホローダミンB溶液(1%酢酸中)を室温で10分間加えることにより、染色する。染色液を捨て、1%酢酸を流して十分にすすいで、結合していない染料を除去し、乾燥させる。100μLのTrisバッファー(pH8)を加え、プレートシェーカー(約500rpm)上に10分間置くことにより、結合した染料を溶液中に回収する。プレートリーダーを用いて、各ウェルの540nmでの吸光度(存在する細胞数に比例する)を測定する。
【0278】
第12列のブランク値を平均し、これをすべての値から減算して、結果を未処理の値(第11列)に対する割合(%)として表した。そのようにして導かれた10個の値(4回測定)を薬物濃度の対数に対してプロットして、4変数ロジスティック方程式に対する非線形回帰により解析する(検査により示される場合には、拘束を設定する)。この手順により導かれるGI
50は、飽和とゼロ効果プラトーとの途中の対照A
540(%)をもたらす薬物濃度である。
【0279】
生物学的方法 - 異種移植研究
SW620ヒト結腸直腸癌細胞(突然変異型RAS、7×10
7)またはA375Mヒト黒色腫細胞(突然変異型BRAF、10
7)を、メスCrl:CD1-Foxn1nu無胸腺マウスの右脇腹に懸濁液(0.2mL)として皮下接種する。腫瘍体積の階層化された割り当て(allocationi)に従って、群を治療に割り振った。試験化合物を用いた治療は、細胞投与後11〜14日目に始めた。強制経口投与のために、懸濁液(DMSO:水=1:19(v/v)、10mL/kg)を投与した。対照動物には、同じ投与量のビヒクル(DMSO:水=1:19(v/v))を投与した。試験化合物を用いた治療は、1日1回24用量、継続した。
【0280】
生物学的データ - アッセイデータ
数種類の本発明の化合物、ならびに数種類の比較化合物についてのデータを、下記の表にまとめる。低いIC
50/GI
50値が、高い有効性を表す。
【表3】
【0281】
in vitro BRAF酵素アッセイ(アッセイA)では、本発明の化合物(約0.2〜2.3μM)および比較化合物(約0.1〜1.1μM)は、同様のBRAF IC
50値を有した。
【0282】
in vitro pERK細胞ベースアッセイ(アッセイB)では、本発明の化合物(約0.02〜0.26μM)および比較化合物(約0.1〜0.6μM)は、同様のpERK IC
50値を有した。
【0283】
突然変異型BRAF細胞株WM266.4およびA375Mについてのin vitro SRB細胞ベースアッセイ(アッセイC)では、本発明の化合物(WM266.4:約0.01〜0.12μM;A375M:約0.05〜0.14μM)および比較化合物(WM266.4:約0.02〜0.4μM;A375M:約0.25〜1.1μM)は、同様のGI
50値を有した。特に、BB-01は最も有効性が高く(最低のGI
50を有する:WM266.4、0.008μM;A375M、0.052μM)、XX-01は最も有効性が低かった(最も高いGI
50を有する:WM266.4、0.39μM;A375M、1.13μM)。
【0284】
突然変異型RAS細胞株SW620についてのin vitro SRB細胞ベースアッセイ(アッセイC)では、本発明の化合物(SW620:約0.17〜1.6μM)および比較化合物(SW620:約0.45〜7μM)は、同様のGI
50値を有した。
【0285】
しかしながら、in vitro突然変異型RASデータに基づけば、in vivo突然変異型RAS SW620異種移植研究において、XX-01およびXX-02がBB-02よりも
よい治療有効性を有することが予測されるであろうことに留意されたい。
【0286】
同様に、in vitro突然変異型RASデータに基づけば、in vivo突然変異型RAS SW620異種移植研究において、XX-02がAA-01と
同様の治療有効性を有することが予測されるであろう。
【0287】
in vitro突然変異型RASデータに基づけば、in vivo突然変異型RAS SW620異種移植研究において、特許請求された化合物(特にAA-01およびBB-02)が、比較化合物(XX-01、XX-02、XX-03、XX-04)よりも大幅に有効性が高いとは予測
されないであろう。
【0288】
生物学的データ - BRAF/RAS野生型選択性データ
数種類の本発明の化合物、ならびに数種類の比較化合物についてのデータを、下記で説明した通りに
図4〜10に示す。データにより、突然変異型BRAF細胞株もしくは突然変異型RAS細胞株についての選択性または選択性の欠如が示される。
【0289】
図4は、化合物AA-01に対する、一定範囲の細胞株のそれぞれについてのGI
50とWM266.4細胞株についてのGI
50との比を示す棒グラフである。一定範囲の細胞株とは、以下の通りである:(a)突然変異型BRAF(mutBRAF)細胞株のパネル:WM266.4、A375M、UACC62;(b)突然変異型RAS(mutRAS)細胞株のパネル:SW620、HCT116、およびWM1361;ならびに(c)野生型BRAFおよびRAS(wtBRAFT/RAS)細胞株のパネル:SKMEL23、KM12、およびBT474。
【0290】
図5は、化合物BB-01に対する、一定範囲の細胞株のそれぞれについてのGI
50とWM266.4細胞株についてのGI
50との比を示す棒グラフである。一定範囲の細胞株とは、
図4についてと同じである。
【0291】
図6は、化合物BB-02に対する、一定範囲の細胞株のそれぞれについてのGI
50とWM266.4細胞株についてのGI
50との比を示す棒グラフである。一定範囲の細胞株とは、
図4についてと同じである。
【0292】
図7は、
比較化合物XX-01に対する、一定範囲の細胞株のそれぞれについてのGI
50とWM266.4細胞株についてのGI
50との比を示す棒グラフである。一定範囲の細胞株とは、
図4についてと同じである。
【0293】
図8は、
比較化合物XX-02に対する、一定範囲の細胞株のそれぞれについてのGI
50とWM266.4細胞株についてのGI
50との比を示す棒グラフである。一定範囲の細胞株とは、
図4についてと同じである。
【0294】
図9は、
比較化合物XX-03に対する、一定範囲の細胞株のそれぞれについてのGI
50とWM266.4細胞株についてのGI
50との比を示す棒グラフである。一定範囲の細胞株とは、
図4についてと同じである。
【0295】
図10は、
比較化合物XX-04に対する、一定範囲の細胞株のそれぞれについてのGI
50とWM266.4細胞株についてのGI
50との比を示す棒グラフである。一定範囲の細胞株とは、
図4についてと同じである。
【0296】
これらのin vitroデータに基づけば、in vivo突然変異型RAS SW620異種移植研究において、特許請求された化合物(特にAA-01およびBB-02)が、比較化合物(XX-01、XX-02、XX-03、XX-04)よりも大幅に有効性が高いとは予測
されないであろう。
【0297】
生物学的データ - 異種移植データ
数種類の本発明の化合物、ならびに数種類の比較化合物についての異種移植データを、
図11〜19に示す。
【0298】
図11は、化合物AA-01を用いた治療および対照についての、突然変異型RAS細胞株SW620のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0299】
データは、この突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株について、対照と比較して、研究の時間スケールにわたって化合物AA-01が腫瘍体積を大幅に減少させたことを示している(例えば、約3の係数)。
【0300】
図12は、化合物BB-02を用いた治療および対照についての、突然変異型RAS細胞株SW620のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0301】
データは、この突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株について、対照と比較して、研究の時間スケールにわたって化合物BB-02が腫瘍体積を大幅に減少させたことを示している(例えば、約1.5の係数)。
【0302】
図13は、化合物AA-01を用いた治療および対照についての、突然変異型BRAF細胞株A375のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0303】
データは、この黒色腫細胞株について、対照と比較して、研究の時間スケールにわたって化合物AA-01が腫瘍体積を大幅に減少させたことを示している(例えば、約2.5の係数)。
【0304】
図14は、化合物BB-02を用いた治療および対照についての、突然変異型BRAF細胞株A375のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0305】
データは、この突然変異型BRAF黒色腫細胞株について、対照と比較して、研究の時間スケールにわたって化合物BB-02が腫瘍体積を大幅に減少させたことを示している(例えば、約1.5の係数)。
【0306】
図15は、
比較化合物XX-01を用いた治療および対照についての、突然変異型RAS細胞株SW620のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0307】
データは、この突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株について、対照と比較して、
比較化合物XX-01が比較的わずかな効果しか有しなかったことを示している。
【0308】
図16は、
比較化合物XX-02を用いた治療および対照についての、突然変異型RAS細胞株SW620のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0309】
データは、この突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株について、対照と比較して、
比較化合物XX-02が比較的わずかな効果しか有しなかったことを示している。
【0310】
図17は、
比較化合物XX-03を用いた治療および対照についての、突然変異型RAS細胞株SW620のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0311】
データは、この突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株について、対照と比較して、
比較化合物XX-03が比較的わずかな効果しか有しなかったことを示している。
【0312】
図18は、
比較化合物XX-04を用いた治療および対照についての、突然変異型RAS細胞株SW620のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0313】
データは、この突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株について、対照と比較して、
比較化合物XX-04が比較的わずかな効果しか有しなかったことを示している。
【0314】
図19は、
比較化合物XX-02を用いた治療および対照についての、突然変異型BRAF細胞株A375のマウス異種移植片の相対的腫瘍体積(時間(日数)の関数として)のグラフである。
【0315】
データは、この突然変異型BRAF黒色腫細胞株について、対照と比較して、
比較化合物XX-02が少なくともある程度は有効であることを示している。
【0316】
突然変異型RAS SW620異種移植片に関する腫瘍体積(治療)と腫瘍体積(対照)との比(T/C)を、以下の表に示す。低いT/Cが、高い有効性を表す。比較化合物はすべて、有効性がほとんどないかまったくないことを示すT/C比を有するが、特許請求された化合物AA-01およびBB-02は両方とも、統計学的に有意な有効性を示すT/C比を有する。
【表4】
【0317】
特許請求された化合物についてのデータにより、特許請求された化合物がBRAF阻害剤として、かつ突然変異型BRAF腫瘍(例えば、突然変異型BRAF黒色腫細胞株A375Mの異種移植片;
図13および14)に対して有効であるだけでなく、
驚くべき予期せぬことに、特許請求された化合物は
また、突然変異型RAS腫瘍(例えば、突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株SW620の異種移植片;
図11および12)に対しても有効であることが示されている。突然変異型RAS腫瘍に対する特許請求された化合物の驚くべき予期せぬ活性は、これらの既知のまたは予期されたBRAF阻害活性からは予測することができなかった。
【0318】
比較化合物についてのデータにより、比較化合物は突然変異型BRAF腫瘍(例えば、突然変異型BRAF黒色腫細胞株A375Mの異種移植片;
図19)に対してある程度まで有効ではあるものの、突然変異型RAS腫瘍(例えば、突然変異型RAS結腸直腸癌細胞株SW620の異種移植片;
図15、16、17、および18)に対しては比較的わずかな効果しか有しないことが示されている。
【0319】
上記で、本発明の原理、好ましい実施形態、および操作様式を説明してきた。しかしながら、本発明は、説明された特定の実施形態に限定されると解釈すべきではない。そうではなく、上述した実施形態は、制限的ではなく例示的なものとみなされるべきであり、本発明の範囲を逸脱することなく、当業者によってそれらの実施形態において変更を行なうことができることが理解されるべきである。
【0320】
参考文献
本発明および本発明が関わる技術分野の技術水準を完全に説明ならびに開示するために、多数の特許および刊行物を本明細書中で引用している。これらの参考文献の完全な引用を、以下に提示する。これらの参考文献のそれぞれが、個々の参考文献が参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、本明細書中の開示にその全体が参照により組み入れられる。
【0321】
Bos, 1989, “ras oncogenes in human cancer: a review”, Cancer Res., Vol. 49, pp. 4682-4689.
Downward, 2003, “Targeting RAS signalling pathways in cancer therapy”, Nat. Rev. Cancer, Vol. 3, pp. 11-22.
Garnett et al., 2004, “Guilty as charged: B-RAF is a human oncogene”, Cancer Cell, Vol. 6, pp. 313-319.
Gray Schopfer et al., 2007, “Melanoma biology and new targeted therapy”, Nature, Vol. 445, pp. 851-857.
Niculescu-Duvaz et al., 2006, “Imidazo[4,5-b]pyridine-2-one and oxazolo[4,5-b]pyridine-2-one compounds and analoges thereof as therapeutic compounds”, 国際公開第2006/043090 A1号(2006年4月27日公開).
Niculescu-Duvaz et al., 2007, “Imidazo[4,5-b]pyridine-2-one and oxazolo[4,5-b]pyridine-2-one compounds and analoges thereof as cancer therapeutic compounds”, 国際公開第2007/125330 A1号(2007年11月8日公開).
Niculescu-Duvaz et al., 2009, “Aryl-quinolyl compounds and their use”, 国際公開第2009/130487 A1号(2009年10月29日公開).
Solit et al., 2006, “BRAF mutation predicts sensitivity to MEK inhibition”, Nature, Vol. 439, pp. 358-362.
Springer et al., 2009, “Pyrido[2,3-b]pyrazine-8-substituted compounds and their use”, 国際公開第2009/077766 A1号(2009年6月25日公開).
Wellbrock et al., 2004, “The RAF proteins take centre stage”, Nature Reviews Molecular Cell Biology, Vol. 5, pp. 875-885.
Young et al., 2009, “Ras signaling and therapies”, Adv. Cancer Res., Vol. 102, pp. 1-17.