特許第5760035号(P5760035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5760035動き予測制御付き機械視覚装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5760035
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】動き予測制御付き機械視覚装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20150716BHJP
【FI】
   G01N21/89 Z
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-101758(P2013-101758)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-13231(P2014-13231A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2013年6月28日
(31)【優先権主張番号】13/477861
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504382671
【氏名又は名称】コグネックス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】デール ピーターソン
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/075339(WO,A1)
【文献】 特開平04−348050(JP,A)
【文献】 特表2008−510971(JP,A)
【文献】 特開2011−124759(JP,A)
【文献】 特開2013−513188(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0305740(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
G01B 11/00 − G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーションドライブに接続されているネットワーク上のモーションコントローラから通信されるモーションデータを用いて物体の画像取得のトリガをかける視覚装置において、
スマートカメラと、
前記スマートカメラに接続され、前記ネットワークに接続できるネットワークインタフェースを有し、かつ前記物体の画像を取得する取得コントローラと、
を備え、
前記スマートカメラが、前記モーションコントローラからの前記モーションデータを受信する際に前記取得コントローラに存する仮想軸アプリケーションを用いて次のモーションサイクルに対する仮想軸の動きを予測し
取得トリガレートが、前記モーションドライブによって発生される前記物体の動きに追従する前記仮想軸に基づいて前記スマートカメラによって算出され、
前記算出された取得トリガレートに基づいて、前記スマートカメラが前記物体の画像取得のトリガをかけるための取得トリガ信号を生成する
ことを特徴とする視覚装置。
【請求項2】
前記取得コントローラには、前記モーションコントローラによって与えられる動き命令を同期させるためのコモンタイム基準に同期可能なカメラクロック同期アップリケーションがさらに設けられ、
前記コモンタイム基準が、前記モーションコントローラ、カメラクロック、専用マスタクロック、および前記モーションドライブの少なくとも1つによって供給されることを特徴とする請求項1に記載の視覚装置。
【請求項3】
前記ネットワークが非決定性ネットワークとされることを特徴とする請求項1に記載の視覚装置。
【請求項4】
前記ネットワークが決定性で低遅延のネットワークとされることを特徴とする請求項1に記載の視覚装置。
【請求項5】
前記カメラクロック同期アプリケーションおよびモーションコントローラクロック同期アプリケーションが前記コモンタイム基準とインタフェースで接続可能とされ、
前記カメラクロック同期アプリケーションおよび前記モーションコントローラクロック同期アプリケーションの両方によって、前記カメラクロックおよびモーションコントローラクロックが同期されることを特徴とする請求項2に記載の視覚装置。
【請求項6】
前記仮想軸が仮想軸アプリケーションによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の視覚装置。
【請求項7】
前記仮想軸と共にユーザ指定の乗算器が用いられて前記取得トリガレートが生成されることを特徴とする請求項1に記載の視覚装置。
【請求項8】
前記モーションコントローラからのモーションデータに基づいて前記仮想軸の動きに対して相対的な周期で前記取得トリガ信号が前記スマートカメラによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の視覚装置。
【請求項9】
前記モーションコントローラ、前記モーションドライブ、および前記スマートカメラの間の前記動き命令が前記コモンタイム基準によって同期されることを特徴とする請求項2に記載の視覚装置。
【請求項10】
前記動き命令が、前記IEEE―1588標準を用いて同期されることを特徴とする請求項2に記載の視覚装置。
【請求項11】
前記動き命令が、固定周期で発生するネットワークサイクルを用いて同期されることを特徴とする請求項2に記載の視覚装置。
【請求項12】
前記動き命令が、前記IEEE―1588標準および固定周期で発生するネットワークサイクルの組み合わせを用いて同期されることを特徴とする請求項2に記載の視覚装置。
【請求項13】
モーションドライブに接続されているネットワーク上のモーションコントローラから通信されるモーションデータを用いて物体の画像取得のトリガをかけることができ、仮想軸アプリケーション、および前記ネットワークに接続可能で、前記物体の画像を取得する取得コントローラ、とが設けられたスマートカメラと、
前記モーションコントローラ、カメラクロック、専用マスタクロック、および前記モーションドライブの少なくとも1つによって供給されるコモンタイム基準と、
を備えた視覚装置において、
前記スマートカメラが、前記モーションコントローラから通信される前記モーションデータを受信する際に、前記仮想軸アプリケーションを用いて次のモーションサイクルに対する仮想軸の動きを予測し、該仮想軸が前記モーションドライブによって発生される前記物体の相対動きに追従可能とされ、
前記仮想軸の動きに基づいて、前記物体の前記画像取得のトリガをかけるための取得トリガ信号を前記スマートカメラが生成する
ことを特徴とする視覚装置。
【請求項14】
前記仮想軸が前記モーションコントローラによって前記モーションドライブの軸に基づいて調整されることで、前記仮想軸が所定位置に達したときに前記物体が前記スマートカメラの視野に存在しかつ前記画像取得がトリガされることを特徴とする請求項13に記載の視覚装置。
【請求項15】
前記物体が前記スマートカメラの視野に存在するときに、前記仮想軸の位置が前記モーションコントローラによって前記スマートカメラに示されることを特徴とする請求項13に記載の視覚装置。
【請求項16】
前記仮想軸が前記モーションドライブと固定した関係で動くことを特徴とする請求項13に記載の視覚装置。
【請求項17】
物体の画像を取得する方法であって、
ネットワーク上で互いに通信するスマートカメラおよびモーションコントローラにコモンタイム基準を供給する工程と、
前記モーションコントローラを介して、モーションデータをモーションドライブに送信する工程と、
前記モーションコントローラを介して、前記モーションデータを前記ネットワークを介して前記スマートカメラに送信する工程と、
前記モーションデータを受信する際に、前記スマートカメラが前記モーションドライブと固定した関係で動く仮想軸の動きを予測する工程と、
前記物体の動きに追従する前記仮想軸を用いて画像取得トリガレートを生成する工程と、
前記画像取得トリガレートを用いて画像取得トリガ信号を生成する工程と、
前記物体の画像を取得する工程と、
を含むことを特徴とする物体の画像を取得する方法。
【請求項18】
前記画像取得トリガ信号を、前記仮想軸に対して相対的な周期で前記モーションコントローラからの前記モーションデータに基づいて生成する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記モーションドライブに接続される、コンベヤ上のサーボモータの動きを調整する工程をさらに含み、
前記コンベヤが前記物体を搬送することで、前記物体および前記スマートカメラの視野の間の相対動きが発生されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記仮想軸が所定位置に達したときに前記物体が前記スマートカメラの視野に存在するように、前記モーションドライブの軸に基づいて前記仮想軸を調整する工程と、
画像取得をトリガする工程と、をさらに含んでいることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記物体が前記スマートカメラの視野に存在するときの前記仮想軸の前記位置を前記スマートカメラに示す工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記モーションデータには、ターゲット位置、ターゲット速度、ターゲット速度限界、ターゲット加速度、ターゲット加速度限界、および/または前記ターゲットがターゲット位置および/または速度に達する時刻、の少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記時刻を前記ネットワーク上の固定サイクルを用いて示す工程をさらに含んで、次の固定サイクルの開始で命令を有効とすることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記モーションドライブに連結される移動可能装置のサーボモータの動きを調整する工程をさらに含んで、前記スマートカメラが前記移動可能装置に搬送されることで、前記物体および前記スマートカメラの視野の間の相対的な動きを発生させることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚装置に関し、より詳細には、画像取得トリガ信号を生成するために用いられるモーションデータを供給するモーションコントローラ、に接続された視覚装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において機械視覚または画像処理分析が用いられて物体を検査しまたは位置決めする。たとえば、製造用途において機械視覚分析が製造された物体における欠陥を検出するのに用いられて良く、物体の画像を取得し様々な種類の画像処理アルゴリズムを用いて画像を分析してなされる。例として、メモリディスクなどの物体を製造する装置が機械視覚を用いて物体を検査することで、製造欠陥を検出し物体が正常にマークされまたは組み立てられることが確実にされる。
【0003】
このような機械視覚装置において、算出した時刻にトリガ信号を生成しデジタル出力の生成を予定するために、しばしばエンコーダが用いられて、物体の位置を視覚装置に伝達する。トリガ信号が用いられて視覚装置の前で動くと視野の物体の1つまたは複数の画像を取得し、デジタル出力がたとえば拒絶機構(reject mechanism)をトリガするために用いられて良い。図1がメモリメモリディスク24の1つまたは複数の画像22を取得するのに用いられる例示の機械視覚装置20を示す。コンベヤ28がメモリディスク24を搬送することで、メモリディスク24および画像装置32の視野30間の相対動きが発生される。コンベヤ28の動きが1つまたは複数のエンコーダ36によって追跡される。エンコーダ36がリンク40経由で信号をプロセッサ42に送り、プロセッサがエンコーダ信号を用いてディスク位置を計算し、算出した時刻にトリガ信号がリンク44経由で画像装置32に生成されて視野内のディスクの1つまたは複数の画像を取得する。メモリメモリディスク24が欠陥のある場合、画像装置32および/またはコントローラ42が信号をリンク46経由で拒絶機構48に送り、図示のようにコンベヤ28から欠陥ディスク50を取り除くようにプログラミングされても良い。
【0004】
しかしながら、エンコーダは、その不正確さ、耐ノイズの問題、および信頼性の問題のあるために、扱いが困難であり好ましくない。位置データを画像装置に供給する別体のエンコーダが必要となることが無くなれば、機械視覚装置に対する全体的なパフォーマンスを向上し、失敗する数を減らし、視覚装置使用者への効率を上げられるであろう。必要なのはモーションコントローラからのモーションデータを用いて物体位置を算出できる機械視覚装置および方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態が、モーションコントローラからのモーションデータを用いて物体の位置を計算することで従来技術の欠点を克服する。
【0006】
いくつかの実施形態が、ネットワーク上のモーションドライブに接続されているモーションコントローラから伝えられるモーションデータを用いて物体の画像取得をトリガするための視覚装置を備える。視覚装置が取得コントローラに接続されているカメラを備え、取得コントローラがネットワークインタフェースを備え、ネットワークインタフェースがネットワークに接続できる。カメラが、モーションコントローラからモーションデータを受信する際に、仮想軸アプリケーションを用いてモーションサイクル用仮想軸の動きを予測し、該仮想軸によって取得トリガレートがモーションドライブによって発生される物体の動きに追従するカメラによって計算される。そして、計算された取得トリガレートに基づいてカメラが物体の画像取得をトリガするための取得トリガ信号を生成する。
【0007】
他の実施形態では、ネットワーク上のモーションドライブに接続されるモーションコントローラから伝えられるモーションデータを用いて物体の画像取得をトリガする、仮想軸アプリケーションおよびネットワークに接続可能である取得コントローラを備えたカメラ、を備えた視覚装置である。コモンタイム基準が、モーションコントローラ、カメラクロック、専用マスタクロック、およびモーションドライブの少なくとも1つによって供給される。モーションコントローラから通信されたモーションデータを受信する際に、カメラが仮想軸アプリケーションを用いてモーションサイクル用仮想軸の動きを予測し、該仮想軸がモーションドライブによって発生される物体の相対動きに追従できる。そして、カメラが仮想軸の動きに基づいて物体の画像取得をトリガするための取得トリガ信号を生成する。
【0008】
上記と同様、ある実施形態では、画像を取得する方法が設けられる。該方法には、コモンタイム基準をカメラおよびモーションコントローラに供給するステップと、カメラおよびモーションコントローラがネットワーク上で通信するステップと、モーションコントローラがモーションデータをモーションドライブに送信するステップと、モーションコントローラがモーションデータをネットワーク経由でカメラに送信するステップと、モーションデータを受信する際に、カメラがモーションドライブと固定した関係で動く仮想軸の動きを予測するステップと、物体の動きに仮想的に追従する画像取得トリガレートを仮想軸を用いて生成するステップと、画像取得トリガレートを用いて画像取得トリガ信号を生成し物体の画像を取得するステップと、が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物体の位置を計算するためのエンコーダ信号を供給するエンコーダを含む、代表的な視覚装置構成の概略図である。
図2】本実施形態に係る、仮想軸を生成するのに用いられるモーションデータを供給するためのモーションコントローラを含む代表的な視覚装置構成の概略図である。
図3】様々な視覚装置信号およびモーションドライブを追跡する仮想軸を示す概略図である。
図4】本実施形態に係る、方法のフローチャートである。
【0010】
本発明が種々の変態や代替を許す一方、それの特異な実施形態が例として図に示され本明細書に詳細に説明される。しかしながら、特異な実施形態の本明細書の説明が本発明を開示される特別な形式に限定するものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲に定義されるような発明の趣旨と範囲に入るすべての変態、等価、および代替を網羅するものであることが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
さて、本発明の種々の態様が添付の図面を参照して説明され、いくつかの図面全体に類似の参照番号が類似の構成要素に対応する。しかしながら、関連する以降の図面および詳細な説明が請求の発明の要旨を開示する特別な形態に限定するものではないことが理解されよう。むしろ、意図するのは請求する発明の要旨の趣旨および範囲に入るすべての変態、等価、および代替を網羅するものであることが理解されよう。
【0012】
ここに使用されるように、用語の「部品」、「装置」などが、コンピュータ関連要素、またはハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、実行ソフトウェアを指すものである。たとえば、部品が、これに限定しないが、プロセッサ上で実行する処理、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータで良い。例示にあたり、コンピュータ上で実行されるアプリケーションおよびコンピュータの両方が部品で良い。1つまたは複数の部品が処理および/または実行スレッド内に常駐し、部品が1つのコンピュータ上にローカライズ、および/または2つ以上のコンピュータまたはプロセッサ間に分散されて良い。
【0013】
用語の「代表的」とは、本明細書では、実施例、事例、例示として機能することを意味する。本明細書で説明する「代表的」としての何れの態様または設計が必ずしも他の態様や設計に対して好適で有利であると解釈されない。
【0014】
さらに、開示した発明の要旨が、システム、方法、装置、または製造の物品として実施されて良く、標準のプログラミング、および/またはエンジニアリング技術を用いて、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの何れの組み合わせを生成し、コンピュータまたはプロセッサベースのデバイスを制御して、本明細書に詳述する態様を実行する。本明細書で用いられる用語の「製造物」が、何れのコンピュータ読取り可能なデバイスや、キャリア、メディアからアクセス可能なコンピュータプログラムを含む。たとえば、コンピュータ読取り可能メディアが、これに限らないが、磁気記録デバイス(たとえば、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気帯など)、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)など)、スマートカード、およびフラッシュメモリデバイス(たとえば、カード、スティック)を含む。さらに、電子メールの送受信にまたはインターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークへアクセスするのに伝送波が使われて利用されるコンピュータ読取り電子データが搬送されることは理解されよう。もちろん、請求の発明の要旨の範囲または趣旨から乖離することなく、多くの変態がこれらの構成とされることは当業者には分かる。
【0015】
発明の実施形態を図面を用いて以降に説明し、本発明のシステムおよび方法を実行するのに用いられる実施形態の構造または処理を例示する。このように、発明の実施形態にこの図面を用いることがその範囲を限定するものとして解釈されない。本発明は、動的にデータアイテムを構成する方法およびシステムを考慮している。本発明の実施形態が、以降により詳細に説明するように、デバイス、たとえば、種々のコンピュータハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアなどの、オートメーションデバイスや、特別目的または一般目的コンピュータを備える。
【0016】
発明の種々の実施形態がモーションコントローラからのモーションデータを用いて物体の位置を計算するように構成されたスマートカメラを組み込んだ機械視覚装置について説明される。ある実施形態では、スマートカメラがモーションデータに基づいて仮想軸を生成するように構成される。このことは、発明の特徴および有利な点がこの目的に良く合致することに拠る。さらに、発明の種々の態様が画像装置の他の形態に、およびモーションコントローラからのデータにアクセスして良い他の装置に適用できる。
【0017】
代表的な機械視覚装置が、制限のない、とりわけ、製造組立、試験、測定、オートメーション、および/またはコントロールアプリケーションにおいて使用されて良い。代表的な機械視覚装置が様々な種を画像取得の何れを実行可能な画像取得ソフトウェアを使用して良い。
【0018】
さて、図2を参照すると、代表的な機械視覚装置60が、スマートカメラ62、および一般にロボットアーム、生産ライン、またはコンベヤなどの移動可能装置の動きを統合するのを担うモーションコントローラ64、少なくともスマートカメラ62およびモーションコントローラ64に接続される少なくとも1つの通信ネットワーク68を備える。ある実施形態では、専用マスタクロック70がやはりネットワーク68に接続されてネットワーク上の少なくともスマートカメラおよびモーションコントローラ64を含む装置間のマスタタイム基準として機能して良い。他の実施形態では、モーションコントローラ64がマスタタイム基準として機能して良い。これら構成要素それぞれが以下に詳細に説明される。他の実施形態において、1つのネットワーク、たとえばネットワーク28がネットワーク上の装置を同期させておくのに用いられ、一方、他のネットワーク78がモーションデータの通信に用いられて良い。
【0019】
本明細書で用いられるように、用語の「スマートカメラ」が、様々な種類の画像取得装置の何れかを含むことを意図し、オンボード処理能力を含む画像72を取得および/または保存できる。スマートカメラがこのように取得または保存された画像を取得、分析、処理することができて良い。スマートカメラの例に、アナログおよびデジタルのカメラ、ラインスキャンカメラ、赤外画像デバイス、X線画像デバイス、超音波画像デバイス、および画像または検知データを受信、生成、または取得するように動作する他の種類の何れのデバイスを含む。スマートカメラが、使用時に取り付けられるか、移動可能か、画像を取得する際に移動されて良い。
【0020】
機械視覚装置60のスマートカメラ62が以降に説明するように画像取得機能を実行するための取得コントローラ74を含んで良い。取得コントローラ74がプロセッサ73およびメモリ74またはたとえばプログラマブルハードウェア要素を含んで良い。取得コントローラ74がやはりスマートカメラをネットワーク68に接続するネットワークインタフェース76を含んで良い。取得コントローラ74がスマートカメラ調節可能クロック80、およびスマートカメラ調節可能クロック80をネットワーク68上のモーションコントローラ調節可能クロック84(以降で説明する)に同期させておくスマートカメラ同期アプリケーション82を含んで良い。
【0021】
取得コントローラ74がやはり仮想軸アプリケーション86を含んで良い。ある実施形態では、仮想軸アプリケーションがモーションコントローラ64に制御されるメモリ75の仮想軸88を生成する。他の実施形態では、モーションコントローラ64が、仮想軸アプリケーション86をイネーブルするのに用いられて良い取得コントローラ74に、モーションデータを供給して良い。取得コントローラ74の一部として説明される構成要素がやはりスマートカメラ62の部分として考慮されて良く、スマートカメラ62の部分として説明される構成要素がやはり取得コントローラ74の部分として考慮される。
【0022】
また、スマートカメラ62が、コンピュータプログラムがそれ上で保存されおよび/または実行されるプロセッサ89およびメモリ媒体90を含んで良い。他の実施形態では、コンフィギュレーション情報が保存され、コンフィギュレーション情報がフィールドプログラマブルデートアレイ(FPGA)などのプラグラマブルハードウェア要素を構成するのに用いられて良く、スマートカメラに組み込まれて、とりわけ、計算、測定、制御、オートメーション、または分析機能を実行する。
【0023】
本明細書で用いるように、用語の「メモリ」および「メモリ媒体」には、不揮発性媒体、たとえば、磁気媒体、またはハードディスク、オプティカルストレージ、フラッシュメモリ、揮発媒体、たとえば、コンピュータシステムメモリ、たとえば、DRAM、SRAM、EDO RAM、RAMBUS RAM、DR DRAMなどのランダムアクセスメモリ(RAM)、ソフトウェア媒体などの組込媒体、たとえばCD−ROM、またはフレキシブルディスクが含まれ、コンピュータプログラムがそれに保存される。
【0024】
コンベヤ66の動きがモーションコントローラ64、または2つ以上のモーションコントローラによって制御されて良い。モーションコントローラ64が、位置信号をリンク92経由で送信して、たとえば、コンベヤ66の動きを制御するサーボモータ96に接続されたサーボドライブ94などの、モーションドライブの動作を制御する。ある実施形態では、リンク92が、モーションコントローラに直接ではなくて、ネットワークハブ112(以降に説明する)に接続されて良い。モーションコントローラ64または専用マスタクロック70などがコモンタイム基準をサーボドライブ94へ供給して良い。
【0025】
代表的な視覚装置60において、2つ以上のサーボドライブおよびモータが使用されて良い。したがって、モーションコントローラ64がコンベヤ上のサーボモータ96の動きを連携させることを担い、その結果、コンベヤ66が1つまたは複数の物体100を搬送できて、物体100およびスマートカメラ62の視野102間の相対動きが発生されて良い。
【0026】
取得コントローラ74またはスマートカメラ62と同様に、モーションコントローラ64がやはりモーションコントローラをネットワーク68に接続するネットワークインタフェース104を含んで良い。モーションコントローラ64がやはり、モーションコントローラ調節クロック84、およびモーションコントローラ調節クロック84をスマートカメラ調節クロック80にネットワーク68経由で同期させておくモーションコントローラ同期アプリケーション110、を備えて良い。
【0027】
スマートカメラ62およびモーションコントローラ64が両方とも通信ネットワーク68に接続される。共通の通信ネットワークの一例が、非決定系ネットワーク、たとえばイーサネット(登録商標)ベースのネットワークである。別の例に、決定系低遅延ネットワーク、たとえばイーサCATまたはパワーリンクベースのネットワークがある。また、他の可能な通信ネットワークが当業者に知られているであろう。この実施形態では、ネットワークハブ112がネットワーク68上のスマートカメラ62およびモーションコントローラ64に対して共通接続点として用いられて機能して良い。
【0028】
上記の通りに、ある実施形態では、専用マスタクロック70がやはりネットワーク68に接続されて良い。使用の際に、マスタクロック70が、ネットワーク68上のデバイス間の専用クロックとして機能して良く、スマートカメラ調節クロック80およびモーションコントローラ調節クロック84と独立してまたは連動して良い。また、スマートカメラ同期アプリケーション82およびモーションコントローラ同期アプリケーション110が、スマートカメラ調節クロック80およびモーションコントローラ調節クロック84をネットワーク68経由でマスタクロック70に同期させておいても良い。
【0029】
決定系ネットワーク上のデバイス間のローカルクロックを同期させるのに用いられるアルゴリズムがIEEE−1588標準によって説明され、それが本明細書に援用される。ターゲット位置、速度、および/または加速度を動き曲線に変換するのに用いられるアルゴリズムがODVA CIP仕様に記載され、また本明細書に援用される。当業者がIEEE−1588標準およびODVA CIP仕様の両方の動作を理解できるであろう。
【0030】
図2および3を参照し、モーションコントローラ64がモーションデータ118をネットワーク68を経由してスマートカメラ62に送ることでき、取得コントローラ74を経由する実施形態では、モーションデータと併せて仮想軸アプリケーション86を用いて、物体100の位置を計算し、および計算された時刻でトリガ信号98を生成して、スマートカメラが視野102内の1つまたは複数の物体100を取得する。
【0031】
上記のように、スマートカメラ62およびモーションコントローラ64がそれぞれ、スマートカメラ調節クロック80およびモーションコントローラ調節クロック84および/または専用マスタクロック70と併せて、スマートカメラ同期アプリケーション82およびモーションコントローラ同期アプリケーション110を利用して同期クロックを発生して、スマートカメラ62およびモーションコントローラ64間のコモンタイム基準を生成する。スマートカメラ62およびモーションコントローラ64間のこのコモンタイム基準が約10マイクロ秒以内で良く、その前後であっても良い。
【0032】
約50Hzから約2500Hzの間の周波数の前後で、モーションコントローラ64がモーションデータ122をサーボドライブ94に通信する。モーションデータ122がターゲット位置、ターゲット速度、速度リミット、ターゲット加速度、加速度リミット、および/またはターゲットがターゲット位置および/または速度に達する時刻を含むパラメータの速度を含んで良い。モーションデータがやはり他のデータパラメータを含んで良く、それのいくつかはIEC61800―7標準で記述され、それが本明細書に援用される。モーションコントローラ64がやはりモーションデータをネットワーク68または別のネットワーク経由でスマートカメラ62へ伝送して良い。時刻が伝送されるよりかえって黙示され、ネットワーク上の装置などのノードがネットワーク上の固定サイクルによって同期され、暗に任意のコマンドが連続するモーションサイクルの開始で有効となる。
【0033】
ある実施形態では、何れのモーションサイクルに対してモーションコントローラ64が次のモーションサイクルに対するモーションデータを決定し、次のモーションサイクルに対するモーションデータをメッセージ124の中にスマートカメラ62に通信する。メッセージ124を受信する際に、スマートカメラ62が仮想軸アプリケーション86を用いて次のモーションサイクルに対する仮想軸88の動きを予測する。モーションデータが定義される方法、モーションデータがネットワーク上で伝送される方法、および軸の動きがモーションデータから決定される方法、に対して異なる動きネットワークおよび異なるモーションコントローラが異なるルールを有することは、当業者には理解されよう。
【0034】
仮想軸88が仮想軸アプリケーション86によってモーションデータに基づいて生成される。仮想軸88がサーボドライブ94に対する固定された関係で動くように働く。ある実施形態では、モーションコントローラがサーボドライブ軸に基づいて仮想軸を「噛み合わせ(gear)」て、その結果、仮想軸が所定位置に到達し、物体100がスマートカメラ62の視野102に存在して、画像取得がトリガされる。他の実施形態では、物体100が視野102に存在するであろうときの仮想軸88の位置をモーションコントローラ64がスマートカメラ62に示す。これがモーションコントローラ64に接続されたコンベヤ66上の物体の位置を検出する他のセンサに基づいて良い。ユーザ指定乗算器130が用いられて仮想軸88からコンベヤ66上の物体100の動きに仮想的に追従する画像取得トリガレート132を生成して良い。たとえば、仮想軸の一回転がカメラ62によって見られるように1部品サイクルを規定し、取得トリガが120度毎に生成されてカメラが部分の3つの画像を取得しても良く、ユーザがそれを指定できる。同様に、ラインセンサカメラの場合、部分のちょうど720ラインを取得するためには、ユーザが0.5度毎に1ラインを取得すれば良い。
【0035】
モーションコントローラ64によってサーボドライブ94に命令される物体動きに対する周期で、スマートカメラ62が計算された画像取得トリガレート132に基づいて画像取得トリガ信号98を生成する。スマートカメラ62、モーションコントローラ64、およびサーボドライブ94がすべてコモンタイムベースによって同期されるので、スマートカメラ62が画像取得トリガ信号98を生成できても良く、それがハードウェアエンコーダを用いることなく、受容可能な限度内の実際の物体動きに近い。
【0036】
ある実施形態では、機械視覚装置60が欠陥物体138を検出するように構成されて良い。物体が欠陥である場合、スマートカメラ62および/またはモーションコントローラ64が不履行信号140をリンク142を介して拒絶機構144に送信して物体138をコンベヤ66から除去しても良い。除去される物体がスマートカメラ62からコンベヤのさらに下の排除機構144に達する時間までに不履行信号140が生成される。コンベヤ速度に変化のある場合の不履行信号140を生成するために、スマートカメラ62がコンベヤ66がどのくらいの速さで動いているかを判断する。上記のように、物体がライン速度に関わらず排除機構144に到達したときに、モーションコントローラ64に同期されたスマートカメラ62が正確に不履行信号140を生成する。この構成がコンベヤ動作に同期されたスマートカメラ62からの何れの出力に適用されて良い。
【0037】
物体100の動きがコンベヤ66上で検査される状態で、スマートカメラ62がモーションコントローラにモーションデータを送信することなくモーションコントローラに基づいてスマートカメラ62が画像取得トリガの生成に連動するように、上記の代表的な機械視覚装置60の構成要素が構成される。
【0038】
図4がスマートカメラのラインの取得をトリガする方法の実施形態を図示し、物体の画像を取得するためにネットワークに接続されたモーションコントローラから通信されるサーボモータモーションデータを用いる。図4に示す方法がとりわけ上記の図に示す任意の装置またはデバイスと併せて使用されて良い。様々な実施形態において、示された方法の構成要素のいくつかが同時に実行されて良く、示されたものと異なる順序、または省略されて良い。追加の方法の構成要素がやはり要望通りに実施されて良い。
【0039】
図4を参照すると、物体の画像を取得する方法が示される。プロセスブロック150に示すように、第1のステップにおいて、コモンタイム基準がスマートカメラ62およびモーションコントローラ64に供給される。前述のように、スマートカメラおよびモーションコントローラがネットワーク68経由で連絡できる。プロセスブロック152で、モーションコントローラがモーションデータをネットワーク68経由でスマートカメラ62に送信する。モーションデータを受信する際に、スマートカメラ62がスマートカメラ上の仮想軸アプリケーション86を用いてモーションデータからメモリ75内に仮想軸88を生成し、その際仮想軸88が一般にモーションドライブ94と固定された関係で動きし、プロセスブロック158で示される。プロセスブロック160に示すように、物体100の相対動きに追従する画像取得トリガレートが仮想軸88を用いて生成されて良い。プロセスブロック162に示すように、画像取得トリガレートを用いて画像取得トリガ信号が生成され、プロセスブロック164に示すように、スマートカメラが物体100の画像を取得して良い。画像取得トリガ信号がモーションコントローラによって命令される物体動きに相対する周期で生成されて良い。
【0040】
本発明を好適な実施形態を参照して説明してきたが、発明の趣旨および範囲から逸脱しないで、形態および詳細において変更が可能であることは、当業者は理解されよう。たとえば、発明の実施形態がスマートカメラおよび本明細書に開示された関連のデバイスに限定されることなく、他の画像取得デバイスで実行されて良い。
【0041】
発明が本明細書で教示の利益を有する当業者に明らかな、相異または同等の方法で修正および実行されて良いように、前述の特別の実施形態を単に開示する。さらに、以降の特許請求の範囲に記載することを除いて、本明細書に示される構成または設計の詳細に限定される意図は無い。したがって、前述した特別な実施形態が変更、修正されて良いこと、そのような変態すべてが発明の範囲および趣旨内であることが考慮されることが明白である。したがって、本明細書で求める保護が次の特許請求の範囲で明記される通りである。
図1
図2
図3
図4