特許第5760038号(P5760038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5760038
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/42 20060101AFI20150716BHJP
   B29C 45/06 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   B29C45/42
   B29C45/06
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-107772(P2013-107772)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-226846(P2014-226846A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2014年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(74)【代理人】
【識別番号】100151356
【弁理士】
【氏名又は名称】浅香 小百合
(72)【発明者】
【氏名】合葉 修司
【審査官】 宮本 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−286090(JP,A)
【文献】 特開2009−073151(JP,A)
【文献】 特開2010−105168(JP,A)
【文献】 特開2010−099865(JP,A)
【文献】 特開2008−179008(JP,A)
【文献】 特開2008−114532(JP,A)
【文献】 特開平08−276437(JP,A)
【文献】 特開平07−205240(JP,A)
【文献】 特開平07−205184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 − 33/76
B29C 39/26 − 39/36
B29C 41/38 − 41/44
B29C 43/36 − 43/42
B29C 43/50
B29C 45/00 − 45/84
B29C 49/48 − 49/56
B29C 49/70
B29C 51/30 − 51/40
B29C 51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧手段によって上下動する可動側金型と、ターンテーブルと、当該ターンテーブル上に所定ピッチで配された固定側金型と、回転軸に取り付けられて水平方向に回動するアームを有するロボット(A)と、前記ターンテーブル及び前記回転軸を回動させる1つの駆動手段を備え、前記ターンテーブルと前記ロボット(A)のアームが機械式に同期して回動する構成とされ、前記ロボット(A)によって成形品が取り出されることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
加圧手段によって上下動する可動側金型と、ターンテーブルと、当該ターンテーブル上に所定ピッチで配された固定側金型と、回転軸に取り付けられて水平方向に回動するアームを有するロボット(B)と、前記ターンテーブル及び前記回転軸を回動させる1つの駆動手段を備え、前記ターンテーブルと前記ロボット(B)のアームが機械式に同期して回動する構成とされ、前記ロボット(B)によってインサート部品が供給されることを特徴とする射出成形機。
【請求項3】
加圧手段によって上下動する可動側金型と、ターンテーブルと、当該ターンテーブル上に所定ピッチで配された固定側金型と、回転軸に取り付けられて水平方向に回動するアームを有するロボット(C)と、前記ターンテーブル及び前記回転軸を回動させる1つの駆動手段を備え、前記ターンテーブルと前記ロボット(C)のアームが機械式に同期して回動する構成とされ、前記ロボット(C)によって成形品が取り出されるとともにインサート部品が供給されることを特徴とする射出成形機。
【請求項4】
前記駆動手段が前記ターンテーブル側に配されており、伝動ベルトによって前記回転軸と連結されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の射出成形機。
【請求項5】
前記ターンテーブルの外周が歯車形状となっており、歯付きベルトを介して前記駆動手段と連結されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の射出成形機。
【請求項6】
前記アームには把持部材が複数配されており、前記成形品または前記インサート部品を把持することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の射出成形機。
【請求項7】
前記ロボットが複数配されており、これら前記ロボットによってインサート部品が供給され、かつ、成形品が取り出されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンテーブル上に所定間隔で固定側金型が配されており、ロボットによって成形品が取り出される構成またはロボットによってインサート部品などが供給される構成の射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形は、可塑化溶融又は混合された成形材料を、金型装置に射出充填して成形する方法であり、複雑な形状の製品を大量生産するのに適している。例えば、熱可塑性樹脂を成形材料とした射出成形では、可塑化によるせん断発熱やヒータによる熱によって溶融させた樹脂に射出圧を加えて押込んで金型に充填し、冷却して成形する方法であり、複雑な形状の製品を大量生産するのに適している。一般に、熱可塑性樹脂の射出成形は、型閉じ、型締め、射出、保圧、冷却、型開き、成形品の取出し、の順序で行われ、この射出成形サイクルの繰り返しで製品を連続的に生産する。そして、ターンテーブル上に所定間隔で固定側金型を配しておき、所定時間毎に回動させることで前記射出成形サイクルを短くすることができる。
【0003】
前記射出成形サイクルを完全自動化する方法としては、射出成形機にロボットを付設する構成が知られている。例えば、型開き後に前記固定側金型から成形品を取出すロボットを射出成形機に付設することで完全自動化が可能となる。
【0004】
特許文献1には、射出成形機において「回転テーブル上に複数の下金型を搭載し、型開閉・射出ステージにおいて、該型開閉・射出ステージに設けられた上金型と下金型を型締めして射出を行い、エジェクトステージにおいて、下金型から成形品の突き出しを行う構成をとり、ロボットにより成形品の取り出しを行う射出成形機であって、射出成形機の正面に、前記ロボットを設置したこと(その請求項3)」、及び「インサート成形の場合には、前記エジェクトステージにおいて、前記ロボットによる成形品の取り出しとインサート物品の装填とが行われるようにしたこと(その請求項4)」、が記載されている。
【0005】
特許文献2には、縦型射出成形機において「固定金型を回動自在に設けられたターンテーブルに複数固定し、これらのうちの1つの固定金型が前記ターンテーブルにより前記可動金型の鉛直方向に移動され型締め可能な位置にあるときに、それ以外の他方の固定金型には前記縦型射出成形機の前側にて金属性のインサート部品を組み付けるインサート部品供給装置(ロボットに相当)を備えたこと(その請求項2を抜粋)」、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−055097号公報
【特許文献2】特開2009−262373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1と2に記載のように、一般に、射出成形機とロボットとは別個の駆動手段で駆動される構成となっており、制御回路がこれら別個の駆動手段をそれぞれ電気的に同期制御している。
【0008】
前記射出成形サイクルの高速化については、近年、その要求が高くなっている。しかしながら、特許文献1や2に記載の既知の射出成形機では、ターンテーブルの回動速度を上げるに従って前記制御回路がターンテーブルを回動させる駆動手段とロボットのアームを回動させる駆動手段の同期を取ることが難しくなり、また、同期を取るためのセンシング手段や制御プログラム等が複雑なものとなってしまう。
【0009】
そこで本発明の目的は、ターンテーブルを回動させること及びロボットのアームを回動させることを1つの駆動手段で行うことで、シンプルな構造でありながら、射出成形サイクルのさらなる高速化を図ることができる射出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る射出成形機は、加圧手段によって上下動する可動側金型と、ターンテーブルと、当該ターンテーブル上に所定ピッチで配された固定側金型と、回転軸に取り付けられて水平方向に回動するアームを有するロボット(A)と、前記ターンテーブル及び前記回転軸を回動させる1つの駆動手段を備え、前記ターンテーブルと前記ロボット(A)のアームが機械式に同期して回動する構成とされ、前記ロボット(A)によって成形品が取り出されることを特徴とする。
【0011】
前記駆動手段によって前記ターンテーブルを前記所定ピッチに対応して回動させると、前記可動側金型が複数配置された前記固定側金型のうちの一の固定側金型と対向する位置となり、前記加圧手段によって前記可動側金型が降下して当該一の固定側金型と合わさって型閉じ、型締めし、射出成形する。本発明の射出成形機では、型閉じ・型締め・射出成形の間に、前記ロボット(A)のアームに付設されているチャック等が前記固定側金型のうちの別の固定側金型上の成形品を把持する。そして、前記加圧手段によって前記可動側金型が上昇して型開きし、その後、前記ターンテーブルが回動するのと同期して前記ロボット(A)のアームが回動し、成形品が機外に取り出される。チャック等が成形品を把持する動作は、ターンテーブルが回転していない間であれば可能であるので、型開きの間でも可能である。
【0012】
本発明によれば、前記ターンテーブルを回動させること及び前記ロボット(A)のアームを回動させることを1つの駆動手段で行う構成であるから、シンプルな構造でありながら、射出成形サイクルのさらなる高速化を図ることができる。また、複数の駆動手段を用いる構成に比べて省電力となるうえ、高価な駆動手段のコストも抑えられる。
【0013】
本発明に係る射出成形機は、加圧手段によって上下動する可動側金型と、ターンテーブルと、当該ターンテーブル上に所定ピッチで配された固定側金型と、回転軸に取り付けられて水平方向に回動するアームを有するロボット(B)と、前記ターンテーブル及び前記回転軸を回動させる1つの駆動手段を備え、前記ターンテーブルと前記ロボット(B)のアームが機械式に同期して回動する構成とされ、前記ロボット(B)によってインサート部品が供給されることを特徴とする。
【0014】
前記駆動手段によって前記ターンテーブルを前記所定ピッチに対応して回動させると、前記可動側金型が複数配置された前記固定側金型のうちの一の固定側金型と対向する位置となり、前記加圧手段によって前記可動側金型が降下して当該一の固定側金型と合わさって型閉じ、型締めし、射出成形する。本発明の射出成形機では、型閉じ・型締め・射出成形の間に、前記ロボット(B)のアームに付設されているチャック等によって既に把持されているインサート部品を前記固定側金型のうちの別の固定側金型上に供給する。そして、前記加圧手段によって前記可動側金型が上昇して型開きし、その後、前記ターンテーブルが回動するのと同期して前記ロボット(B)のアームが回動し、新しいインサート部品を機外に取りに行く。チャック等がインサート部品を供給する動作は、ターンテーブルが回転していない間であれば可能であるので、型開きの間でも可能である。
【0015】
本発明によれば、前記ターンテーブルを回動させること及び前記ロボット(B)のアームを回動させることを1つの駆動手段で行う構成であるから、シンプルな構造でありながら、射出成形サイクルのさらなる高速化を図ることができる。また、複数の駆動手段を用いる構成に比べて省電力となるうえ、高価な駆動手段のコストも抑えられる。
【0016】
本発明に係る射出成形機は、加圧手段によって上下動する可動側金型と、ターンテーブルと、当該ターンテーブル上に所定ピッチで配された固定側金型と、回転軸に取り付けられて水平方向に回動するアームを有するロボット(C)と、前記ターンテーブル及び前記回転軸を回動させる1つの駆動手段を備え、前記ターンテーブルと前記ロボット(C)のアームが機械式に同期して回動する構成とされ、前記ロボット(C)によって成形品が取り出されるとともにインサート部品が供給されることを特徴とする。
【0017】
前記駆動手段によって前記ターンテーブルを前記所定ピッチに対応して回動させると、前記可動側金型が複数配置された前記固定側金型のうちの一の固定側金型と対向する位置となり、前記加圧手段によって前記可動側金型が降下して当該一の固定側金型と合わさって型閉じ、型締めし、射出成形する。本発明の射出成形機では、型閉じ・型締め・射出成形の間に、前記ロボット(C)のアームに付設されているチャック等によって既に把持されているインサート部品を複数配置された前記固定側金型のうちの別の固定側金型上に供給し、尚且つ、そのインサート部品が供給されることになる同じ固定側金型上にある成形品をも前記ロボット(C)のアームに付設されているチャック等によって把持する。そして、前記加圧手段によって前記可動側金型が上昇して型開きし、その後、前記ターンテーブルが回動するのと同期して前記ロボット(C)のアームが回動し、新しいインサート部品を機外に取りに行くとともに成形品が機外に取り出される。つまり、例えば、棒状の前記アームの片側の端部に成形品の取出用とインサート部品のインサート用の2つのチャックを備えている構成とすれば、複数配置された前記固定側金型のうちの別の固定側金型上の成形品を一方のチャックで把持し、アームは回動させずに、チャックを上昇させる等してその固定側金型から成形品を離型させて、その同じ固定側金型上に他方のチャックにて予め把持していたインサート部品を、アームは回動させずに、チャックを下降させる等して供給する。このとき、場合によっては、まずインサート部品を供給し、つぎに成形品を把持するようにしても良いし、インサート部品の供給と成形品の把持を同時に行うようにしても良い。そして、前記加圧手段によって前記可動側金型が上昇して型開きする。その後、前記ターンテーブルが回動するのと同期して前記ロボット(C)のアームが回動し、前記ロボット(C)の一方のチャックによって把持された成形品が機外に取り出され、かつ、前記ロボット(C)の他方のチャックが新しいインサート部品を機外に取りに行く。
【0018】
上記以外の構成例としては、例えば、棒状の前記アームの片側の端部にチャック等が1つ付設されていて、複数配置された前記固定側金型のうちの別の固定側金型上に予めチャックに把持されていたインサート部品を供給した後、その同じ固定側金型上の成形品を同じチャックで今度は把持し、そして、前記加圧手段によって前記可動側金型が上昇して型開きして、前記ターンテーブルが回動するのと同期して前記ロボットのアームが回動し、前記ロボットによって、当該チャックで把持した成形品が機外に取り出され、当該チャックがその成形品を機外の回収ボックス等に入れた後、当該チャックが新しいインサート部品を把持するようにしても良い。チャック等がインサート部品を供給する動作、成形品を把持する動作、または、成形品を離型する動作は、ターンテーブルが回転していない間であれば可能であるので、型開きの間でも可能である。
【0019】
本発明によれば、前記ターンテーブルを回動させること及び前記ロボット(C)のアームを回動させることを1つの駆動手段で行う構成であるから、シンプルな構造でありながら、射出成形サイクルのさらなる高速化を図ることができる。また、複数の駆動手段を用いる構成に比べて省電力となるうえ、高価な駆動手段のコストも抑えられる。
【0020】
前記加圧手段としては、油圧シリンダ、電動モータ、油圧モータ等が挙げられる。前記可動側金型の上方には射出装置が配されており、射出シリンダが下向きで配されている。
【0021】
前記駆動手段と前記ターンテーブルとの連結構成としては、例えば、伝動ベルトを用いた構成、ギヤを用いた構成、チェーンを用いた構成等が挙げられる。なお、前記駆動手段と前記回転軸とを直結することも可能である。
【0022】
前記駆動手段としては、電動モータや油圧モータ等が挙げられる。前記駆動手段は、射出成形機の駆動手段を共用する場合と、ロボットの駆動手段を共用する場合がある。換言すれば、前記駆動手段は、前記ターンテーブル側に配されている場合と、前記ロボット側に配されている場合がある。
【0023】
本発明は、前記駆動手段が前記ターンテーブル側に配されており、伝動ベルトによって前記回転軸と連結されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、既存の射出成形機にロボットと伝動機構を付設するなどして本発明の射出成形機とすることが容易である。また、伝動ベルトは、伝動ギヤや伝動チェーンと比べて高速動作の際にも振動が少なく静音となる。
【0025】
本発明は、前記ターンテーブルの外周が歯車形状となっており、歯付きベルトを介して前記駆動手段と連結されていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、前記ターンテーブルを所定の回動位置で再現性よく回動させることが容易となる。また、歯付きベルトは、伝動ギヤや伝動チェーンと比べて高速動作の際にも振動が少なく静音となる。
【0027】
本発明は、前記アームには把持部材が複数配されており、前記成形品または前記インサート部品を把持することを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、効率よく前記成形品を把持することとなる。
【0029】
例えば、前記ターンテーブル上に所定ピッチで前記固定側金型を2つ配しておき、前記ターンテーブルを180度回動させると前記回転軸が180度回動する構成とし、前記ロボット(A)または前記ロボット(B)または前記ロボット(C)のアームの両端にそれぞれ前記把持部材を配しておけば、これら前記把持部材によって交互に成形品が把持されて取り出されるか、または、把持されたインサート部品が交互に供給されることとなる。また、例えば、前記ターンテーブル上に所定ピッチで前記固定側金型を3つ配しておき、前記ターンテーブルを120度回動させると前記回転軸が120度回動する構成とし、前記ロボット(A)または前記ロボット(B)または前記ロボット(C)に備わった3つのアームにそれぞれ前記把持部材を配しておけば、これら前記把持部材によって交互に成形品が把持されて取り出されるか、または、把持されたインサート部品が交互に供給されることとなる。
【0030】
本発明は、前記ロボットが複数配されており、これら前記ロボットによってインサート部品が供給され、かつ、成形品が取り出されることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、効率よくインサート成形することとなる。
【0032】
例えば、前記ターンテーブル上に所定ピッチで前記固定側金型を3つ配しておき、かつ、所定位置にインサート部品を供給するロボット(B)と成形品を取り出すロボット(A)をそれぞれ配しておき、前記ターンテーブルを120度回動させるとロボット(B)の回転軸(B)とロボット(A)の回転軸(A)がそれぞれ180度回動する構成とすれば、ロボット(B)によってインサート部品が供給され、かつ、ロボット(A)によって成形品が取り出されることとなる。例えば、前記ターンテーブル上に所定ピッチで前記固定側金型を3つ配しておき、かつ、所定位置にインサート部品を供給するロボット(B)と成形品を取り出すロボット(A)をそれぞれ配しておき、前記ターンテーブルを120度回動させるとロボット(B)の回転軸(B)とロボット(A)の回転軸(A)がそれぞれ120度回動する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の射出成形機によれば、前記ターンテーブルを回動させること及び前記ロボットのアームを回動させることを1つの駆動手段で行う構成であるから、シンプルな構造でありながら、射出成形サイクルのさらなる高速化を図ることができる。また、複数の駆動手段を用いる構成に比べて省電力となるうえ、高価な駆動手段のコストも抑えられる。本発明によれば、既存の射出成形機にロボットと伝動機構を付設するなどして本発明の射出成形機とすることが容易である。また、伝動ベルトは、伝動ギヤや伝動チェーンと比べて高速動作の際にも振動が少なく静音となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1の実施形態の射出成形機を示す側面図であり、型開き状態を示す図である。
図2】上記第1の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。
図3】上記第1の実施形態の射出成形機を示す側面図であり、型閉じ状態を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態の射出成形機を示す側面図である。
図5】上記第2の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。
図6】本発明の第3の実施形態の射出成形機を示す側面図である。
図7】上記第3の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。
図8】本発明の第4の実施形態の射出成形機を示す側面図である。
図9】上記第4の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0036】
(第1の実施の形態)
図1図3は、本発明の第1の実施形態の射出成形機を示す側面図である。図1は型開き状態を示す図であり、図3は型閉じ状態を示す図である。図2は、第1の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。本実施形態の射出成形機は、竪型射出成形機1である。主要構成部材の配置を説明し易くするために、側面板や保護カバー等は外した状態で図示されている。本実施形態では、既存の射出成形機にロボットと伝動機構を付設するなどして本発明の射出成形機1としており、射出装置や金型など従来同様の機構についてはその説明を適宜省略する。
【0037】
本実施形態の射出成形機1は、図1図3に示すように、本体下方側の箱形状の基台21に加圧手段である油圧シリンダ64と、駆動手段である電動モータ7が内蔵されている。基台21の上方には射出装置9が配されている。可動プラテン61の下面には可動側金型51が取り付けられており、射出装置9の射出シリンダ91が可動側金型51に接続されて溶融樹脂を射出する。
【0038】
図1図3に示す例では、可動プラテン61とバックプラテン62とは4本のタイバー63で連結されている。そして、油圧シリンダ64によって可動プラテン61が上下動し、射出装置9が可動プラテン61に連動して上下動する構成となっている。基台21の上には、回転軸31を介して水平方向に回動するターンテーブル3が配されており、ターンテーブル3上には所定ピッチ(図1では180度間隔)で2つの固定側金型52,52が配されている。電動モータ7の駆動軸71には、プーリ81が取り付けられており、プーリ81とターンテーブル3の側面には無端状の伝動ベルト85が取り付けられており、電動モータ7によってターンテーブル3が回動する(図1図3)。電動モータ7は、サーボモータである。
【0039】
図1図3に示す例では、射出成形機1の正面側には、ロボット4が配されている。ロボット4は、台座45上に回転軸41が立設しており、棒形状のアーム42が回転軸41に取り付けられて水平方向に回動する構成となっている(図1図3)。本実施形態では、成形品を把持するための把持部材43,43がアーム42の両端にそれぞれ取り付けられている。これら把持部材43,43は、チャック、グリッパとも呼称され、エアによって指が開閉動作し、成形品を把持する構成となっている。
【0040】
図2に示すように、回転軸41と回転軸31とは装置のほぼ中央のライン上に所定間隔で前後に配されており、正面から見て右側(図2では下側)に、回転軸44と回転軸71とが所定間隔で前後に配されている。回転軸41の下方側にはプーリ84が取り付けられており、回転軸44の上方側にはプーリ82が取り付けられている。プーリ81とプーリ82には無端状の伝動ベルト86が取り付けられており、かつ、プーリ83とプーリ84には無端状の伝動ベルト87が取り付けられている(図1図3)。これにより、電動モータ7によって回転軸44が回動すると同時に、回転軸41が回動してアーム42が回動する。したがって、電動モータ7によってターンテーブル3が回動すると同時にアーム42が回動する。つまり、ターンテーブル3とアーム4が同期して回動する構成となっている。ターンテーブル3とアーム4のそれぞれの回動角度並びに回転周期は、プーリ比で決定される。ターンテーブル3はプーリとしての機能を併せ持っている。ここでは、回転軸41と回転軸44と回転軸31は平行配置されている。
【0041】
本実施形態では、ターンテーブル3の外周、プーリ81,82,83,84の外周がそれぞれ歯車形状となっており、伝動ベルト(タイミングベルト)85,86,87のプーリ対向面が歯付きの歯付きベルトとなっている(図示せず)。これは、歯付きベルトが、伝動ギヤや伝動チェーンと比べて高速動作の際にも振動が少なく静音となるからである。
【0042】
本実施形態の動作について説明する。図1図3に示す例では、電動モータ7によってターンテーブル3を180度回動させると、可動側金型51が、2つ配置された固定側金型52,52のうちの一の固定側金型(装置背面側の金型)と対向する位置となり、油圧シリンダ64によって可動側金型51が降下して当該一の固定側金型と合わさって型閉じと型締めし、射出装置9から溶融樹脂が供給されて射出成形する。この間に、ロボット4のアーム42に付設されているエアチャック43により、2つ配置された固定側金型52,52のうちの他の固定側金型(装置正面側の金型)上の成形品を把持する。そして、油圧シリンダ64にによって可動側金型51が上昇して型開きする。その後、ターンテーブル3が回動するのと同期してロボット4のアーム42が180度回動し、エアチャック43が開いて成形品が機外に取り出される。そして、これら上記の一連の動作を1サイクルとして繰り返し、短時間サイクルで成形品を製造する。
【0043】
本実施形態によれば、ターンテーブル3を回動させること及びロボット4のアーム43を回動させることを1つの駆動手段7で行う構成であるから、シンプルな構造でありながら、射出成形サイクルのさらなる高速化を図ることができる。また、複数の駆動手段を用いる構成に比べて省電力となるうえ、高価な駆動手段のコストも抑えられる。
【0044】
上述の実施形態では、前記加圧手段が油圧シリンダ64であり、型開き、型閉じ及び型締めするとして説明したが、型開閉駆動部と型締め駆動部を別個に設ける場合もある。また、前記加圧手段を電動モータや油圧モータとする場合もある。また、前記加圧手段は、直圧式やトグルリンク式の機構など、既知の各種機構を採用できる。上述の実施形態では、駆動手段7がターンテーブル3側に配されているとして説明したが、ロボット4側に配される場合もある。上述の実施形態では、伝動ベルト(タイミングベルト)85,86,87のプーリ対向面が歯付きの歯付きベルトとなっているとして説明したが、これに限られず、例えば平ベルトやVベルトとする場合もある。また、ターンテーブル3の外周の歯車形状の有無に関係なく、ベルト端部をそれぞれターンテーブル3に固定して、または、無端状のベルトの一部をターンテーブル3に固定して、行ったり来たりの回動をさせてもよい。前記回動は行ったり来たりの回動としてもよいし、一方向の回転とすることも可能である。
【0045】
上述の第1の実施形態では、成形品を把持するための把持部材43がアーム42の両端にそれぞれ取り付けられており、ロボット4のアーム42が180度回動するとして説明したが、例えば把持部材43が前記回転軸41を中心として120度ピッチでアームを3つ有するY字状とし、ターンテーブル3を180度回転させると前記回転軸41を120度ずつ回動する構成とする場合もあり得る。前記ロボット4のアーム42に付設されている把持部材43はエアチャックに限定されず、電動モータ、アクチュエータ、その他既知の把持部材が適用できる。前記把持部材43は、例えば、降下して、成形品を挟み、持ち上げ、上昇して、成形品を離す動作としてもよいし、前記固定側金型のエジェクトピンで成形品が持ち上げられた位置で把持して、エジェクトピンを下げるようにしてもよい。前記把持部材のチャックの機構は、挟んだり、吸引したり、吸着したり、その他既知の機械的仕事を行う機構が適用される。なお、本発明では、上述の形態以外に、把持部材43で機外に用意されたインサート部品を把持した状態で前記回転軸41を回転させて、固定側金型上にインサート部品を供給するようにすることも可能である。また、上記以外に、本実施形態では、機外でインサート部品を把持した状態でアーム42を回転させることで、固定側金型上にインサート部品を供給し、つぎに同じ把持部材43で、同じ固定側金型上の成形品を把持し、そのあと、アーム42を回転させて成形品を機外に取り出し、機外の回収ボックス等に成形品を投下したあと、同じ把持部材43で新しいインサート部品を把持するようにしても良い。
【0046】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施形態の射出成形機を示す側面図である。図5は、第2の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態の射出成形機1は、可動プラテン61とバックプラテン62とは3本のタイバー63で連結されている(図5)。基台21の上には、回転軸31を介して水平方向に回動するターンテーブル3が配されている。そして、ターンテーブル3側面の歯と電動モータ7の駆動軸71に取り付けられたプーリ81側面に形成された歯とが歯合いしてギヤ伝動する構成となっている(図4図5)。本実施形態では、第1の実施形態のように伝動ベルト85を必要とせず、部品点数を削減している。
【0047】
第2の実施形態では、成形品を把持するための把持部材43,43がアーム42の両端にそれぞれ取り付けられており、さらに、把持部材43,43は、それぞれ成形品を取り出すための第1把持部材43aと、インサート部品を供給するための第2把持部材43bとを有する(図5)。そして、第1把持部材43aと第2把持部材43bが固定側金型52の上方で左右にスライドすることが可能であるとともに、上下にスライド可能に成っていても良い。第2の実施形態では、例えば、予め機外でインサート部品を第2把持部材43bで把持した状態でアーム43が回動し、固定側金型52上の成形品を第1把持部材43aで把持したあと、第1把持部材43aと第2把持部材43bを横にスライドさせて、今度は固定側金型52上に第2把持部材43bで把持されているインサート部品を供給し、そして、つぎにターンテーブル3の回動と一緒にアーム42が回動して、第1把持部材43aにて把持した状態の成形品を機外に取り出すとともに機外にインサート部品を取りに行くことができる。なお、第1把持部材43aと第2把持部材43bは、回転するなどして互いの位置を入れ換える機構や、V字の各辺を成するように斜め上方からそれぞれが移動する機構など、その他にも既知の各種の機構が採用されても良い。
【0048】
図4図5に示す例では、プーリ82とプーリ83を介して、プーリ81とプーリ84をベルト伝動している。プーリ82とプーリ83はターンテーブル3とアーム4の回動ピッチ(回転角度)を設定し易くするためのものである。本発明は、これに限定されるものではなく、プーリ比を適宜設定することで、さらに、プーリ82とプーリ83を省いて、プーリ81とプーリ84に伝動ベルトを掛け渡してベルト伝動することも可能である。
【0049】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施形態の射出成形機を示す側面図である。図7は、第3の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。本実施形態の射出成形機1は、可動プラテン61とバックプラテン62とは4本のタイバー63で連結されている(図6)。基台21の上には、回転軸31を介して水平方向に回動するターンテーブル3が配されている。ターンテーブル3の回転軸31にはプーリ88が取り付けられており、プーリ88側面の歯と電動モータ7の駆動軸71に取り付けられたギヤ89の歯とが歯合いしてギヤ伝動する構成となっている(図6図7)。そして、プーリ88とプーリ84に伝動ベルト87が掛け渡されてベルト伝動する構成となっている。図5図6に示す例では、プーリ88とプーリ84とのプーリ比は1:1となっている。本実施形態では、複数のプーリと伝動ベルトを省いて部品点数を削減し、コンパクトな装置としている。
【0050】
(第4の実施の形態)
図8は、本発明の第4の実施形態の射出成形機を示す側面図である。図9は、第4の実施形態の射出成形機をE−E線方向から示す構成図である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。符号400(401、402)は、上述のロボットと同様であるが、それぞれ機能分担している。本実施形態の射出成形機1は、ロボット401と402とが配されており、ロボット401によってインサート部品が供給され、かつ、ロボット402によって成形品が取り出される構成となっている(図9)。本実施形態では、可動プラテン61とバックプラテン62とは4本のタイバー63で連結されている(図9)。基台21の上には、回転軸31を介して水平方向に回動するターンテーブル3が配されており、ターンテーブル3上には所定ピッチ(図9では120度間隔)で3つの固定側金型52,52,52が配されている。ターンテーブル3の回転軸31にはプーリ88が取り付けられており、プーリ88側面の歯と電動モータ7の駆動軸71に取り付けられたギヤ89の歯とが歯合いしてギヤ伝動する構成となっている(図8図9)。
【0051】
前記射出成形機1の正面側には、インサート部品を固定側金型52に供給するロボット401と、成形品を固定側金型52から取り出すロボット402とが所定間隔で配されている(図9)。ロボット401は、台座45上に回転軸411が立設しており、棒形状のアーム421が回転軸411に取り付けられて水平方向に回動する構成となっている(図8図9)。そして、インサート部品を供給するために把持する把持部材431,431がアーム421の両端にそれぞれ取り付けられている。回転軸411にはプーリ841が取り付けられている。ロボット402は、台座45上に回転軸412が立設しており、棒形状のアーム422が回転軸412に取り付けられて水平方向に回動する構成となっている(図8図9)。そして、成形品を取り出すために把持する把持部材431,431がアーム421の両端にそれぞれ取り付けられている。回転軸412にはプーリ842が取り付けられている。そして、プーリ88とプーリ841に伝動ベルト871が掛け渡されてベルト伝動する構成となっているとともに、プーリ88とプーリ842に伝動ベルト872が掛け渡されてベルト伝動する構成となっている。
【0052】
図8図9に示す例では、ターンテーブル3を時計回りに120度回転させるとアーム421及びアーム422が同時に時計回りに180度回転する構成となっている。よって、ロボット401によってインサート部品が供給され、かつ、ロボット402によって成形品が取り出されることとなる。本実施形態によれば、効率よくインサート成形することとなる。
【0053】
上記以外の構成としては、例えば、ターンテーブル3を反時計回りに120度回転させるとアーム421及びアーム422が同時に反時計回りに180度回転し、ロボット402によってインサート部品が供給され、かつ、ロボット401によって成形品が取り出される構成とすることも可能である。上記以外の構成としては、例えば、回転軸411,412をそれぞれ中心として120度ピッチでアームを3つ有するY字状とし、ターンテーブル3を120度回転させるとアーム421及びアーム422がそれぞれ120度回転する構成としてもよい。
【0054】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、前記伝動ベルトを十字掛けベルト(クロスベルト)とすれば、2軸の回転方向を逆にすることができる。また、前記伝動ベルトを直角掛けベルトとすれば、2軸を互いに直角に配置することができる。また、ターンテーブル3は、図示省略される回転軸受などの各種軸受を介する等、既知の各種機構によって機台21上に回転可能に設置されている。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 本発明の射出成形機、
3 ターンテーブル、
4 ロボット(ロボット(A)、ロボット(B)、ロボット(C))
400、401,402 ロボット(ロボット(A)、ロボット(B))
41、411、412 回転軸、
42、421、422 アーム、
43、431、432 把持部材、
51 可動側金型、
52 固定側金型、
64 加圧手段(油圧シリンダ)、
7 駆動手段(電動モータ)、
81、82、83、84、88、841、841 プーリ、
85、86、87、871、872 伝動ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9