(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、紙幣取扱装置を搭載した現金自動取引装置(ATM)の外観図、
図2はその背面側から見た図を示す。
ATM101は、キャッシュカードや紙幣、明細票等を取引き媒体とし、利用者の操作によって現金の預け入れや支払い、振り込み等の処理を行う。ATM101の上部には、利用者の通帳を処理し、取引明細を印字して放出する通帳処理機構106と、利用者のカードを処理し、取引明細票を印字して放出するカード・明細票処理機構107が備えられる。通帳処理機構106はスロット106aから投入された利用者の通帳を処理し、取引明細を印字して放出する。カード・明細票処理機構107はスロット107aから投入された利用者のカードを処理し、取引明細票を印字して放出する。ATMの正面前方には、利用者の取引の内容を表示しおよび取引のための種々の情報や項目を入力する操作部104が備えられる。
【0020】
ATM101の下部において、右側には紙幣を処理する紙幣取扱装置1が備えられ、左側には硬貨を処理する硬貨処理装置105が備えられる(
図2参照)。紙幣取扱装置1の入出金口20に設けられたシャッタ20aの開閉に応じて紙幣の入出金取引が行なわれる。同様にして、硬貨処理装置105の入出金口に設けたシャッタ105aの開閉に応じて硬貨の入出金取引が行なわれる。なお、ATM101によっては硬貨処理装置105を有しないものもある。
【0021】
図2及び
図3は、ATMの背面側から見た図であり、背面の扉102が開状態である。トレイ111には、ATMの背面側から前方に向かって、装填庫70及び複数の紙幣収納庫74〜71が一列に配置して着脱可能に搭載されている(
図15も併せて参照)。トレイ111は複数の紙幣収納庫74〜71を搭載する第1トレイ1112と、装填庫70を搭載する第2トレイ1114に分離可能であり、第1トレイ1112と第2トレイ1114とが結合された状態で、全体のトレイ111がレール1102に支持されて背面後方へ引き出し可能である。一方、第1トレイ1112を固定した状態で、第2トレイ1114のみをレール1104に支持されて背面後方へ引き出し可能である。
【0022】
ここで、レール1102及び1104の内部にはそれぞれアクチュエータが実装されており、スイッチ113及び114の操作によって、対応するアクチュエータが動作してレールの移動をロック又はリリースできるようになっている。即ち、スイッチ113が操作されない時には、レール1104内のアクチュエータはロック状態を保ち、第1トレイ1112と第2トレイ1114は結合状態となっている。この状態で、スイッチ113を操作すると、全体のトレイ111がレール1102に支持されて、後方へ引き出される。一方、スイッチ114が操作されず、スイッチ113のみが操作された時には、第2トレイ1114のみがレール1104に支持されて後方へ引き出される。この時、装填庫70のみを着脱することができる。これにより、ATM101の稼動を停止することなく、装填庫70から複数の紙幣収納庫74〜71への紙幣の装填又は回収が可能となる。なお、上記の変形例として、第2のトレイを設けずに、装填庫70及び複数の紙幣収納庫71〜74を全て第1トレイに搭載するようにしてもよい。
リジェクト庫60も紙幣取扱装置1の後方へ着脱可能な機構を有している。
【0023】
図4は、紙幣取扱装置の内部構成を示す側面図である。
紙幣取扱装置1の上部には、取引される紙幣の処理機構が配置され、下部には紙幣の収納機構が配置される。
紙幣取扱装置1の上部において、その前側(利用者に面する側:
図4の上部右側)には、利用者が紙幣の投入及び取り出しを行う紙幣入出金口20が配置される。また、中央部に紙幣の判別を行う紙幣判別部30が配置され、後部の上段には利用者が入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納する一時収納部40が配置される。一時収納部40の下側には、入金取引や出金取引に供しない紙幣を収納するためもしくは顧客の抜き取り忘れた紙幣を収納するためのリジェクト庫60が配置される。これらの各機構部は双方向の搬送路により接続される。
【0024】
ここで、紙幣判別部30は前方から後方へ搬送する紙幣、および後方から前方へ搬送する紙幣のどちらであっても金種判別および真偽判別を行うことができる。つまり、紙幣判別部30は、双方向に搬送される紙幣を金種判別および真偽判別でき、紙幣をリジェクトか否か判別することができる。
紙幣入出金口20において、上から投入された紙幣を下方へ繰出す紙幣繰出部20bと、下方から搬送されてきた出金又は返却用の紙幣を集積する紙幣集積部2が、前後に配置されている。
また、一時収納部40の上部には開閉可能な扉402が配置される。この扉402は通常時は閉じているが、不慮の停電や故障によりATMの動作が停止した場合、係員がこの扉402を開いて一時収納部40内に在る紙幣を目視で確認でき、かつ容易に取り除くことができる。
【0025】
紙幣取扱装置1の下部において、前方から背面に向かって、紙幣を金種別に収納する紙幣収納庫71〜74と、これらの紙幣収納庫に紙幣を装填・回収して紙幣装填部として機能する装填庫70が、トレイ111に搭載されて配置される。なお、紙幣収納庫74は入金取引や出金取引に供しない紙幣を収納する為のリジェクト庫として使用されることもある。装填庫70及び紙幣収納庫71〜74の出入り口を通して、紙幣の搬送路70a、71a〜74aが形成される。
このように、装置の背面側において上から、一時収納部40、リジェクト庫60、装填庫70が配置されることになる。なお、上記の各機構部の駆動、例えば、搬送路のローラの駆動、搬送路の振り分けゲートの切り替え等は、制御部(図示省略)により駆動制御される。
【0026】
搬送路について言えば、搬送路10a、10b、10d〜10f、30a、40a、50a〜50b、60等は双方向の搬送路を形成し、矢印の方向は紙幣を搬送する方向を示す。ここで、入出金口20と収納庫71〜73間の双方向の搬送路(10a、30a、10d、10e、10f、50a)を第1搬送路、双方向の搬送路50bを第2の搬送路ということにする。即ち、紙幣入出金口部20、一時収納部40、紙幣収納庫71〜73は第1の搬送路に接続され、収納庫74は振り分けゲート54により第2搬送路50bの左端に接続される。また、装填庫70とリジェクト庫60は、振り分けゲート54及び55により切り替えられて第2搬送路50bに接続される。
【0027】
双方向の搬送路である第1搬送路は、反時計回り方向(
図4の左回転)に紙幣を搬送する第1の搬送方向と、時計回り方向(
図4の右回転)に紙幣を搬送する第2の搬送方向に搬送する。また、双方向の搬送路である第2搬送路50bは、紙幣収納庫74、装填庫70、リジェクト庫60から振り分けゲート15に向け紙幣を搬送する第1の搬送方向と、振り分けゲート15から紙幣収納庫74、装填庫70、リジェクト庫60に向け紙幣を搬送する第2の搬送方向に紙幣を搬送する。
【0028】
紙幣判別部30と結ばれる第1搬送路において、何れの方向に紙幣を搬送しても、搬送路の終端(搬送路10fの下端と搬送路50aの左端)は、振り分けゲート15により第2搬送路50bの右端に接続される。
なお、搬送路を含む上記各機構部には、搬送路を駆動する駆動モータ、搬送路を切替えるための振り分けゲートを切替える電磁ソレノイド、及び紙幣の搬送を検知する検知センサなど(図示せず)が配置されており、紙幣の取引に応じて必要な駆動モータや電磁ソレノイドが駆動され、また検知センサの検知信号を用いて紙幣の搬送状態が監視される。
【0029】
図4の搬送路における紙幣の搬送方向に着目した表現をすれば、
図17のように描ける。即ち、ループ状の第1の搬送路91(
図4の50a,10a,30a,10d,10e,10f)は、反時計回り方向(
図4の左回転:第1の搬送方向)と、時計回り方向(
図4の右回転:第2の搬送方向)の双方向に紙幣を搬送する。また、直線状の第2の搬送路92(
図4の50b)は、左右方向(双方向)に紙幣を搬送する。これら第1及び第2の搬送路下に複数の紙幣の収納庫60,70、71〜74を配置することができ、かつそれらの収納庫の配置や機能を変更することで、多くの実施形態に対応することが可能となる。ここで、第1の搬送路91はループ状であるが、紙幣はこの第1の搬送路を循環して搬送されることはなく、第2の搬送路との関係において紙幣を双方向に搬送する。
【0030】
次に、
図18を参照して、第1の搬送路91と第2の搬送路92の連結部の機構について説明する。この連結部は、搬送路50aと、搬送路10fと、搬送路50bの3つの搬送路が連結している。(ここで、これらの搬送路を搬送路93,94,95と示す)。各搬送路93〜95は、それぞれ検知センサ93a〜95a、搬送ローラ93b〜95bと押えローラ93c〜95c、94dを有している。この連結部には、振り分けゲート15が配置され、この振り分けゲート15を適宜切替えることで、搬送路93と搬送路95の間の双方向搬送、及び搬送路94と搬送路95の間の双方向搬送を可能としている。いずれの搬送も、第1の搬送路93又は94と、第2の搬送路95の間の双方向搬送を可能とするが、第1の搬送路93内の循環搬送は不可能である。
【0031】
図16は、紙幣取扱装置の制御ブロックを示す。
紙幣取扱装置1は、入出金口部20、紙幣判別部30、一時収納部40、紙幣収納庫71〜74、リジェクト庫60、装填庫70、及び搬送路10a〜10f、50a、50b(以下、代表的に符号10で示す)と、それらの各部を制御する制御部16を有して構成される。制御部16は、主に制御用のマイクロプロセッサからなる主制御部161とメモリ162を有する。とりわけ、本実施例においては、搬送路10に配置された、紙幣の搬送を検知する複数nの検知センサ165、搬送路10を駆動する複数mの駆動モータ166、及び搬送路10の搬送切換えをする振り分けゲート167を備える。制御部16の主制御部161は、検知センサ165からの検知信号を監視し、紙幣の通過や搬送異常を検知すると共に、駆動モータ166を正逆方向へ回転駆動して、紙幣を正又は逆方向へ搬送制御する。また、振り分けゲートを切換え制御して、紙幣を搬送する搬送路を切り替えたり、紙幣の収納先を変えたりする。
【0032】
以上のように構成された紙幣取扱装置1により、紙幣の入出金、紙幣補充、紙幣回収、取り忘れ回収等の処理を実行することができる。以下、各動作について説明する。
図5を参照して、紙幣取扱装置1における入金取引の処理動作について説明する。
入金取引は、紙幣入出金口20の紙幣繰出部20bに投入された紙幣の真偽判別、金種判別、および計数を行う入金計数処理を主体とする処理である。
まず、紙幣入出金口20の紙幣繰出部20bにセットされた複数枚の紙幣は一枚ずつ分離して下方の搬送路10bへ繰り出される。搬送路10bへ繰出された紙幣は、搬送路10aより紙幣判別部30内の搬送路30aを前方から後方へ通過する。紙幣判別部30では、その内部に実装されたセンサによって、通過する紙幣の画像が取得され、その紙幣の真偽、金種、および正損状態が判別される。
【0033】
紙幣判別部30を通過した紙幣は、紙幣判別部30の後部から搬送路10dを通って一旦上方へ搬送される。この搬送路10dで搬送している間に、紙幣判別部30による判別が完了して、その判別結果に応じて紙幣振り分けゲート13の切り替えが行われる。即ち、紙幣判別部30によって受け入れ可能な紙幣であると判別された場合、紙幣振り分けゲート13は搬送路10eに接続するように切り替えられ、その紙幣は搬送路10e、40aにより搬送されて一時収納部40内に集積される。一方、紙幣判別部30により受け入れ困難な紙幣であると判別された場合、紙幣振り分けゲート13は搬送路10cに接続するように切り替えられ、その紙幣は紙幣集積部20cに戻されて集積し、利用者に返却される。
この入金計数処理の搬送において、第1の搬送路は、搬送路10a、30a、10d、10eの順に紙幣を第1の搬送方向に搬送する。
【0034】
このようにして紙幣入出金口20に投入された全ての紙幣を処理し、入金された金額と紙幣取扱装置1の計数した金額とが一致し、利用者によって顧客操作部104より入金取引確定が指示入力されると、一時収納部40に一時収納されていた紙幣は紙幣収納庫71〜74へ搬送して収納される(入金収納処理)。
なお、搬送路上の紙幣の搬送動作の起動や停止、搬送方向の切り替え、ゲートの切り替え、等の動作の制御は、制御部(図示省略)の制御により行われる(以下の説明でも同様である)。
【0035】
次に、
図6を参照して、入金収納処理動作について説明する。
収納処理では、まず紙幣振り分けゲート13を一時収納部40と紙幣判別部30を接続するように切り替え、紙幣振り分けゲート11を搬送路10aと搬送路50aへ接続するように切り替える。
一時収納部40から一枚ずつ繰出された紙幣は、搬送路40a、10e、10dを通って紙幣判別部30へ搬送される。紙幣判別部30を通過した紙幣は、搬送路10aによって搬送され、紙幣振り分けゲート11によって搬送路50aを通じて下部へ搬送される。さらに紙幣は、搬送路50a、50bによって搬送され、紙幣判別部30で判別された金種に応じて紙幣振り分けゲート51〜55が切り替えられて、装填庫70もしくは紙幣収納庫71〜74のいずれかに収納される。なお、装填庫70に紙幣を収納してもよい。
【0036】
ここで、紙幣判別部30によって受け入れできない紙幣であると判別された場合、紙幣振り分けゲート54、55を搬送路60aに接続するように切り替えられ、その紙幣はリジェクト庫60に収納される。なお、リジェクト庫60を、顧客が抜き取り忘れた紙幣を収納するため回収庫として使用することもあり、その場合は紙幣収納庫74をリジェクト庫として使用する。
一時収納部40から繰出された紙幣の収納に関して、紙幣判別部30を通過した後に振り分けゲート55を配置したことにより、装填庫70は、装填庫としての機能だけでなく、紙幣収納庫としても利用することが可能となる。
このように、入金収納処理では、第1の搬送路及び第2の搬送路は、搬送路10e、10d、30a、10a、50a、50bにおいて、紙幣を第2の搬送方向(第1の搬送方向と逆方向)へ搬送するように動作する。
【0037】
次に、
図7を参照して、出金取引処理動作について説明する。
出金取引処理において、金種別に収納された紙幣収納庫71〜73から紙幣が一枚ずつ繰り出されて、搬送路50a,10a,30aを通って紙幣判別部30へ搬送される。紙幣判別部30で当紙幣が出金可能な紙幣か否かを判定する。判別の結果、出金可能な紙幣であれば、紙幣振り分けゲート13を搬送路10dと搬送路10cを接続するように切り替えて、紙幣集積部20cに紙幣を集積する。
一方、判別の結果、出金不可能な紙幣であれば、紙幣振り分けゲート13を搬送路10dと搬送路10eを接続するように切り替えて、搬送路10f、50bを通して、振り分けゲート54と55により搬送路を接続してリジェクト庫60へ紙幣を搬送する。この紙幣の判別と判別結果による紙幣振り分けゲート13の切り替え制御は、紙幣を搬送路10dに搬送している間に完了する。
【0038】
紙幣の搬送動作が終了すると、紙幣入出金口20のシャッタ20aが開き、紙幣集積部20cに集積した紙幣は利用者に抜き取り可能な状態となる。利用者が紙幣を抜き取るとその旨をセンサ(図示省略)が検知してシャッタ20aを閉じ、一連の出金取引処理を終了する。
このように、出金取引処理動作では、第1の搬送路は、搬送路50a、10a、10d、10e、10f、30aにおいて紙幣を第1の搬送方向へ搬送し、第2の搬送路50bは、紙幣を第2の搬送方向へ搬送するように動作する。
なお、紙幣収納庫74をリジェクト庫として使用する場合には、振り分けゲート54により搬送路を切り替えて、紙幣収納庫74に出金不可能な紙幣を収納することが可能である。
【0039】
次に、
図8を参照して、紙幣の装填処理動作について説明する。
この処理は、装填庫70内の紙幣を、紙幣収納庫71〜73へ搬送して収納する動作である。
即ち、装填庫70から搬送路70aに一枚ずつ繰出された紙幣は、搬送路50b、10f、10e、10dを順に通って幣判別部30に搬送され、そこで金種及び装填紙幣として適切なものかを判別される。判別後、紙幣は、搬送路10a、50aを通り、金種に応じて振り分けゲート51〜53で振り分けられて、紙幣収納庫71〜73のいずれかに収納される。
この装填処理動作では、第2の搬送路50bは、紙幣を第1の搬送方向へ搬送し、第1の搬送路は、搬送路10f、10e、10d、30a、10a、50aにおいては、紙幣を第2の搬送方向へ搬送するように動作する。
このような装填処理動作により、装填庫70から繰出された紙幣は、紙幣収納部に一時保管されることなく、紙幣収納庫71〜73に直接振り分けられる。
【0040】
次に、
図9を参照して、装填処理中にリジェクト紙幣が発生した場合の処理動作について説明する。この処理は、紙幣判別部30でリジェクトと判定された紙幣(リジェクト紙幣)をリジェクト庫60又は収納庫74(これをリジェクト庫として使用する場合)に搬送する動作である。
紙幣判別部30による紙幣の判別は、紙幣が搬送路10aを搬送しているときに完了する。一旦、リジェクトと判定された場合は、装填庫70からの紙幣の繰出しを停止する。その後、搬送路70a、50b上の紙幣が、搬送路10fへ受け渡され、搬送路70a、50b上に紙幣が無くなり次第、搬送路70a、50bの搬送を停止する。搬送路50bの駆動が停止した後、搬送路50bを第2の搬送方向へ紙幣を搬送するように搬送方向を切り替えて駆動する。搬送路50bの搬送方向の切り替えと同時に、紙幣振り分けゲート15を搬送路50aと搬送路50bを接続するように切り替える。
【0041】
搬送路50bの搬送方向の切り替えと、紙幣振り分けゲート15の切り替えの間、搬送路10a、10d、10e、10f、30a、50aは停止することなく、紙幣の搬送を継続する。
搬送路50bの搬送方向の切り替えと、紙幣振り分けゲート15の切り替えは、リジェクトと判定された紙幣が搬送路10aを搬送している間に完了する。リジェクト紙幣は搬送路50b、60aを通過して、リジェクト庫60に収納される。
リジェクト紙幣に後続する搬送中の紙幣は、紙幣判別部30で金種及び装填の適格性が判別されるが、リジェクトの判定が無い場合、金種に応じて振り分けゲート51〜53で振り分けられて紙幣収納庫71〜73のいずれかに収納される。リジェクト紙幣と判定された場合、リジェクト庫60に収納される。
搬送路を搬送された紙幣が各収納先の収納庫に収納され次第、装填庫70の紙幣の繰出し動作を再開し、装填処理を継続する。装填庫70内の全ての紙幣又は所定枚数の紙幣が繰出されて各収納先の収納庫に収納されると、装填処理が完了する。
【0042】
なお、リジェクト庫60を顧客が抜き取り忘れた紙幣を収納するための回収庫として使用し、収納庫74をリジェクト紙幣の収納用として使用することも可能である。この場合、リジェクト紙幣は紙幣振り分けゲート54で搬送路を切り替えられて、収納庫74に収納される。
係員は、リジェクト紙幣が収納されたリジェクト庫60をATM101の後面より取り出すことにより、ATM101の稼動を停止することなく、紙幣補充の際のリジェクトと判定された紙幣をATM101から抜き取り回収することができる。
【0043】
ここで、変形例として、紙幣収納庫74を装填庫として使用することがあり、その場合には、紙幣収納庫74内の紙幣を搬送して紙幣収納庫71〜73に収納する。即ち、上記説明において、装填庫70を紙幣収納庫74に、搬送路70aを搬送路74aと置き換えれば、その装填動作を理解できよう。ただし、紙幣収納庫74から紙幣収納庫71〜73へ紙幣を装填する際に紙幣判定部30でリジェクトと判定された紙幣はリジェクト庫60に収納される。
【0044】
次に、
図10を参照して、紙幣の回収処理動作について説明する。
この処理は、紙幣収納庫71〜73から装填庫70に紙幣を回収する処理動作である。紙幣の回収は、紙幣収納庫71〜73から繰出された紙幣が、搬送路50a、10aを通って紙幣判別部30に搬送され、その後、搬送路10d、10e、10f、50b、70aを通って装填庫70に収納されることで行われる。紙幣判別部30でリジェクトと判別された紙幣は、紙幣振り分けゲート55により搬送路60aに切り替えられて、リジェクト庫60に収納される。なお、リジェクトと判別された紙幣は、紙幣振り分けゲート54にて搬送路74aに切り替えられ紙幣収納庫74に収納されてもよい。
【0045】
この回収処理の動作では、第1の搬送路は、搬送路10a、10d、10e、10f、30a、50aにおいて、紙幣を第1の搬送方向へ搬送するように動作し、第2の搬送路50bは、紙幣を第2の搬送方向へ搬送するように動作する。
なお、変形例によれば、紙幣収納庫74を、紙幣回収用の臨時の紙幣装填庫として用いてもよい。この場合、紙幣取扱装置1は装填庫70と紙幣収納庫74の2つの装填庫を持つことになり、紙幣の回収時に装填庫70と紙幣収納庫74の2つの回収用庫に紙幣を回収することができ、ATM内の紙幣を一度に一括して回収することが可能となる。
【0046】
次に、
図11を参照して、出金処理動作について説明する。
この出金処理は、装填庫70に収納された紙幣を紙幣収納部71〜73に装填することなく、直接に入出金口部20に出金する動作である。この出金処理は、例えば紙幣収納庫71〜73内の紙幣が所定量よりも減少した場合に紙幣収納庫71〜73からの出金を止めて、装填庫70から直接出金することで、紙幣量の減少に伴うATMの停止を防止し、顧客サービスの維持をねらっている。
【0047】
装填庫70から一枚ずつ繰出された紙幣は、搬送路70a、50b、50a、10aを通って紙幣判別部30へ搬送され、そこで、出金可能な紙幣か否か判別される。出金可能と判別されると、振り分けゲート13が搬送路10dと搬送路10cを接続するように切り替えて、これらの搬送路10d、10cを通って、紙幣集積部20cに紙幣を集積する。ここまでの装填庫からの出金処理の動作で、第1の搬送路の搬送路10a、10d、10e、30a、50a、第2の搬送路50bは、紙幣を第1の搬送方向へ搬送するように動作する。
【0048】
上記紙幣の判別において、出金不可能と判別された場合、
図12に示すように、紙幣振り分けゲート13を搬送路10dと搬送路10eが接続するように切り替える。なお、出金紙幣の判別とその判別結果による紙幣振り分けゲート13の切り替えは、搬送路10dで紙幣を搬送している間に完了する。そして、出金不可能な紙幣(リジェクト紙幣)は、搬送路10e、10f、50b、60aを通ってリジェクト庫60に収納される。
なお、上記の説明から分かるように、装填庫70からの出金処理における紙幣の搬送経路及び搬送方向は、
図7に示した出金処理と比べて、出金元の庫が異なるだけで、紙幣の搬送経路及び搬送方向は同じである。
【0049】
図12を参照して、リジェクト紙幣の搬送動作について、もう少し詳細に説明する。一旦、リジェクト紙幣と判定された場合、装填庫70からの紙幣の繰出しを停止する。その後、搬送路70a、50b上の紙幣が全て通過し、搬送路70a、50b上に紙幣が無くなり次第、搬送路70a、50bの搬送を停止する。搬送路50bの停止後、搬送路50bを第2の搬送方向へ紙幣を搬送するように搬送方向を切り替え、動作させる。搬送路50bの搬送方向切り替えと同時に紙幣振り分けゲート15を搬送路50bと搬送路10fを接続するように切り替える。なお、搬送路50bの搬送方向の切り替えと、紙幣振り分けゲート15の切り替えは、リジェクトと判定された紙幣が搬送路10e、10fを搬送している間に完了する。
【0050】
なお、リジェクト庫60を顧客が抜き取り忘れた紙幣を収納するための取り忘れ回収庫として使用する場合がある。この場合、リジェクト紙幣は、紙幣振り分けゲート54で搬送路を切り替えて、紙幣収納庫74に収納するようにしてもよい。
装填庫70は、ATMの運用を停止することなく、装置の背面から着脱可能である。装置内部の紙幣容量が空もしくは減少した際、紙幣を収納した装填庫70を紙幣取扱装置1に装填することにより、紙幣収納庫71〜73へ紙幣を分配装填することなく、装填庫70から直接的に短時間で出金することが可能となる。
【0051】
他の例として、紙幣収納庫74を装填庫として使用する場合もあり、その場合には紙幣振り分けゲート54が切り替えられて、紙幣収納庫74から紙幣が搬送路に繰り出される。その後の紙幣の搬送動作は上述と同様である。なお、紙幣収納庫74から繰出された紙幣であって、紙幣判定部30でリジェクトと判定された紙幣はリジェクト庫60に収納される。
以上の動作により、紙幣収納庫71〜74に収納するには不適であるとリジェクト判定された紙幣を一時収納部40や、紙幣入出金口30などに一時収納することなく、直接リジェクト庫60、もしくは紙幣収納庫74へ直接搬送することができ、装置の処理時間を短縮することができる。
【0052】
ここまでの装填庫からの出金処理動作中にリジェクト紙幣が発生した場合には、第1の搬送路の搬送路10d、10e、10fは、第2の搬送方向に紙幣を搬送したまま、第2の搬送路50bは、第1の搬送方向から第2の搬送方向に紙幣の搬送方向を逆転する。
【0053】
次に、
図13を参照して、取り忘れ紙幣の回収処理動作について説明する。
この処理は、入出金口20に出金された紙幣を利用者が取り忘れた際に、その紙幣をリジェクト庫60(又は紙幣収納庫74)に回収する動作である。
紙幣集積部20cに出金されて取り忘れた紙幣は、紙幣集積部20c内で押圧板22に押されて入出金口部前方へ移動しながら、一枚ずつ搬送路10bへ繰出される。紙幣は、搬送路10a、30a、10d、10e、10f、50b、60aを通過して、リジェクト庫60へ収納される。
【0054】
なお、他の例として、取り忘れ紙幣は、搬送路50bを通過した後、搬送路74aに接続され、紙幣収納庫74に収納してもよい。
この取り忘れ紙幣の回収処理動作において、第1の搬送路の搬送路10a、30a、10d、10e、10fは、第1の搬送方向に紙幣を搬送し、第2の搬送路50bは、第2の搬送方向に紙幣を搬送する。
【0055】
次に、
図14を参照して、他の例による入金紙幣の回収処理動作について説明する。
図5の例では、入金計数処理時に、紙幣判別部30で偽札などのように再流通不適紙幣と判別された紙幣は、紙幣振り分けゲート14を切り替えて一時収納部40に収納した。この代替例によれば、再流通不適紙幣を一時収納部40に収納せずに搬送路10d、10e、10f、50b、60aを通過させて、リジェクト庫60に収納することができる。なお、紙幣振り分けゲート14の切り替えは、搬送路10dで紙幣を搬送している間に完了する。
【0056】
ここまでの入金紙幣のリジェクト庫60を利用した回収処理動作において、第1の搬送路の搬送路10a、30a、10d、10e、10fは、第1の搬送方向に紙幣を搬送し、第2の搬送路50bは、第2の搬送方向に紙幣を搬送する。
【0057】
以上のように、上記した実施例によれば、装置の後部上段に一時収納部40を、中段にリジェクト庫60を、下段に装填庫70を配置すると共に、それらの機構部と紙幣判別部30とを接続する双方向搬送路10a、10d、10e、10f、50aを第1搬送方向及び第2搬送方向の何れに紙幣を搬送しても、搬送路終端で双方向搬送路50bに接続する搬送路を構成し、それら搬送路に紙幣入出金口部20、一時収納部40、リジェクト庫60、装填庫70、紙幣収納庫71〜74を接続する構成とすることで、従来技術のような「8」の字の搬送ルートでなく、搬送路を簡素化することができる。搬送路を短縮化でき、小型で大容量化した紙幣取扱装置を実現することができる。
【0058】
また、本実施例によれば、出金処理時における紙幣の搬送経路を更に新たに設けることが可能である。この例は、
図19に示すように、
図7(紙幣収納庫71〜73からの出金)又は
図11の出金処理(装填庫70からの出金)の代替例である。この出金処理により、
図7の出金処理(第1の出金経路)及び
図11の出金処理(第2の出金経路(第1の出金経路と実質的に同じである))に加えて、
図19の出金処理(第3の出金経路)を実現することができる。例えば、第1の出金経路となる搬送路(例えば、搬送路50a、10a)に紙幣のジャム等の障害が発生した場合、その代替となる第3の出金経路を利用して装填庫70から紙幣を出金することが可能であり、搬送路の障害によるATMのダウンが防止できる。
【0059】
図19を参照するに、装填庫70から繰り出された紙幣は、搬送路50b(第2の双方向搬送路)を通り、振り分けゲート15で搬送方向を切り替えられて、搬送路10f、10e、10d、紙幣判別部30(第1の双方向搬送路)を通って紙幣入出金口20に放出される。
この第3の出金経路による出金動作は、
図11に示す第2の搬送経路による出金に比べて、第1の双方向搬送路における搬送路50a、10aを通過せず、また第1の双方向搬送路における搬送方向が異なることが分かる。そして、この第3の出金経路による出金動作によれば、搬送路を通過する紙幣振り分けゲートの数を最小限にし、かつ搬送距離を短くすることができる。
【0060】
出金処理において、いずれの経路を使用して紙幣を搬送するかの経路の切換えは、
図16に示す、制御部16により行われる。即ち、通常、主制御部161は搬送路に設置された検知センサ165からの検知信号を監視している。その監視中に、主制御部161がいずれかの検知センサの検知信号から搬送路の異常であると判断すると、当該検知センサがある搬送路の駆動モータ166を止め、異常の発生していない他の搬送路へ切替えるべく、振り分けゲート15を切替える。例えば、当初、収納庫71〜73から紙幣の出金処理を行っており、その最中に搬送路50a又は10a(第1の出金経路及び第2の出金経路)が異常と判断した場合、主制御部161は振り分けゲート15を切り替えて、装填庫70からの出金に切換える。装填庫70から繰り出された紙幣は、搬送路50b(第2の双方向搬送路)、搬送路10f、10e、10d、紙幣判別部30を通って紙幣入出金口20にっ放出される。
このように、第1出金経路又は第2の出金経路にある搬送路に障害が発生した場合、当該搬送路を避けて第3の出金経路を使用して紙幣の出金を行うことが可能である。
【0061】
上記のように、本発明に係る実施例によれば、紙幣装填部と紙幣収納部の間で高速で信頼性の高い装填や回収等の紙幣移動を実現することができる(
図8、
図10の例)。また、複数の出金搬送経路を持つことにより(
図7、
図11、
図19の例)、利便性がよく稼動率の高いATMを実現することができる。