(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バルブボディには、前記カットオフ圧力チャンバーの燃料が前記カットオフニードルの外径とバルブボディ内径との間のギャップを通して下部圧力チャンバーに漏洩されて、前記スピンドルに漏洩燃料による圧力が付加的に作用することを防止するための燃料流出孔が更に形成されることを特徴とする請求項3または請求項6に記載の電子制御燃料噴射弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような問題点を解決するための本発明の目的は、従来の機械式燃料噴射弁とは異なり、エンジンの運転条件とは独立して制御信号に応じて燃料の噴射時期や噴射量などを制御できるようにし、燃料噴射の制御方式においては、制御ニードルを通して高圧の燃料を下部圧力チャンバーに伝達して噴射制御部のカットオフニードルを持ち上げる力を増加させることによって、燃料噴射の制御が迅速に行われるようにし、燃料噴射が行われない場合は、ノズル部に燃料が供給されず、ノズル部に高圧が常時作用することを防止し、ニードル等の部品損傷時に、多くの燃料が燃焼室へ漏れてしまうことを防止し、第2流路の構造が簡単であるため、加工が容易になる、電子制御燃料噴射弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような目的を達成し、従来の欠点を除去するための課題を遂行する本発明は、燃料供給口を通して注入される燃料の移動のための第1流路が内部に形成され、上部に制御バルブハウジングが設けられているバルブボディと、前記バルブボディの下部に結合され、
内部にノズルチャンバーとニードルを備えるノズル部であって、前記第1流路を通して供給される燃料が
前記ノズルチャンバーに満たされ
、前記ニードル
が上側方向に加圧
されて持ち上げられることにより、燃料
を噴射
するノズル部と、前記バルブボディの内部において前記第1流路を開閉できるように設けられ、ノズル部を通じた燃料の噴射を制御できるようにする噴射制御部と、前記噴射制御部の下部に位置し、前記ノズル部のニードルに下側方向に加圧するノズル加圧部と、前記噴射制御部の上部に形成され、燃料供給口を通して注入される燃料が満たされることによって噴射制御部を下側方向に下降させるための圧力が形成されるようにする上部圧力チャンバーと、前記上部圧力チャンバーの下部に位置し、燃料が満たされることによって前記噴射制御部を上側方向に上昇させるための圧力が形成されるようにする下部圧力チャンバーと、前記下部圧力チャンバーの下部に位置し、前記第1流路を通して移動する燃料が満たされることによって前記噴射制御部を上昇させるための圧力が形成できるようにするカットオフ圧力チャンバーと、前記制御バルブハウジングを経て前記バルブボディに形成され、前記下部圧力チャンバーに接続されて下部圧力チャンバーに燃料が供給できるようにする第2流路と、前記制御バルブハウジングに設けられ、制御信号に応じて前記第2流路を開閉することによって下部圧力チャンバーに供給される燃料の流量を制御する制御ニードルと、前記下部圧力チャンバーと接続するようにバルブボディに形成され、燃料の排出時に下部圧力チャンバーの燃料が満たされる制御チャンバーと、前記制御チャンバーに接続し、制御チャンバー内の燃料がバルブボディの外部に排出されるようにする制御オリフィスと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、前記噴射制御部は、前記バルブボディの中心に設けられ、前記下部圧力チャンバーとカットオフ圧力チャンバーに満たされる燃料の圧力によって上昇し、第1流路を開閉してノズル部への燃料供給を制御できるようにするカットオフ部と、前記カットオフ部の上部に設けられ、上部圧力チャンバーに満たされる燃料の圧力によって、前記カットオフ部を下側方向に加圧する圧力ピストンと、前記圧力ピストンに嵌るように設けられ、前記カットオフ部を下側方向に加圧するバネと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記カットオフ部は、前記下部圧力チャンバーに満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧されるスピンドルと、前記スピンドルの下部においてスピンドルと分離するようになっており、カットオフ圧力チャンバーに満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧され、前記スピンドルと一緒に上側方向に駆動時に第1流路を開放するカットオフニードルとを含むことを特徴とする。
【0010】
一方、本発明は、燃料供給口を通して注入される燃料の移動のための第1流路が内部に形成され、上部に制御バルブハウジングが設けられているバルブボディと、前記バルブボディの下部に結合され、
内部にノズルチャンバーとニードルを備えるノズル部であって、前記第1流路を通して供給される燃料が
前記ノズルチャンバーに満たされ
、前記ニードル
が上側方向に加圧
されて持ち上げられることにより、燃料
を噴射
するノズル部と、前記バルブボディの内部において前記第1流路を開閉できるように設けられ、ノズル部を通じた燃料の噴射を制御できるようにする噴射制御部と、前記噴射制御部の下部に位置し、前記ノズル部のニードルに下側方向に加圧するノズル加圧部と、前記噴射制御部の上部に形成され、燃料供給口を通して注入される燃料が満たされることによって噴射制御部を下側方向に下降させるための圧力が形成されるようにする上部圧力チャンバーと、前記上部圧力チャンバーの下部に位置し、燃料が満たされることによって前記噴射制御部を上側方向に上昇させるための圧力が形成されるようにする下部圧力チャンバーと、前記下部圧力チャンバーの下部に位置し、前記第1流路を通して移動する燃料が満たされることによって前記噴射制御部を上昇させるための圧力が形成できるようにするカットオフ圧力チャンバーと、前記制御バルブハウジングを経て前記噴射制御部の内部へ形成され、前記下部圧力チャンバーに接続されて下部圧力チャンバーに燃料が供給できるようにする第2流路と、前記制御バルブハウジングに設けられ、制御信号に応じて前記第2流路を開閉することによって下部圧力チャンバーに供給される燃料の流量を制御する制御ニードルと、前記下部圧力チャンバーと接続するようにバルブボディに形成され、燃料の排出時に下部圧力チャンバーの燃料が満たされる制御チャンバーと、前記制御チャンバーに接続し、制御チャンバー内の燃料がバルブボディの外部に排出されるようにする制御オリフィスと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記噴射制御部は、前記制御バルブハウジングに嵌るように設けられ、前記上部圧力チャンバーの下部に位置し、上記下部圧力チャンバーとカットオフ圧力チャンバーに満たされる燃料の圧力によって上昇し、第1流路を開閉するカットオフ部と、前記カットオフ部に嵌るように設けられ、カットオフ部を下側方向に加圧するバネと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、前記のカットオフ部は、前記制御バルブハウジングが挿入されるように中心部に挿入孔が形成され、前記挿入孔の内部において下部圧力チャンバーへ第2流路の燃料が供給できるように、多数の接続孔が形成されて下部圧力チャンバーに満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧されるスピンドルと、前記スピンドルの下部においてスピンドルと分離するように構成され、カットオフ圧力チャンバーに満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧され、前記スピンドルと一緒に上側方向に駆動時に、第1流路を開放するカットオフニードルと、を含むことを特徴とする。
【0013】
一方、前記バルブボディには、前記カットオフ圧力チャンバーの燃料が前記カットオフニードルの外径とバルブボディの内径との間のギャップを通して下部圧力チャンバーに漏洩され、前記スピンドルに漏洩燃料による圧力が付加的に作用することを防止するために、燃料流出孔が更に形成されることを特徴とする。
【0014】
また、前記ノズル加圧部は、前記噴射制御部によって第1流路が開放する場合に、燃料が満たされるように上部に凹形状のチャンバーが形成され、前記ニードルの上部に設けられて燃料による圧力によってニードルを下側方向に加圧するニードルスピンドルと、前記ニードルスピンドルの上部に設けられ、ニードルスピンドルを下側方向に加圧するノズルバネとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上で説明したように、本発明によると、従来の機械式燃料噴射弁とは異なり、エンジンの運転条件とは独立して制御信号に応じて制御ニードルを作動することによって、燃料の噴射時期と噴射量を制御することができ、燃料噴射の制御方式においては、制御ニードルを通して高圧の燃料を下部圧力チャンバーに伝達して噴射制御部のカットオフニードルを持ち上げる力を増加させることによって、燃料噴射の制御が迅速に行われるようになっている。
【0016】
また、構造が簡単であるため、部品の交換が容易であり、スピンドルとピストンを分離・製作して高精度の加工が必要な加工面を最小化することによって、部品の精密加工が容易になり、製造コストを削減することができ、第2流路が制御バルブハウジングに形成されることによって、流路の加工が容易になり、精密加工の必要な加工面を最小化することによって、部品の精密加工が容易で、製作費を削減することができる効果がある。
【0017】
また、燃料の噴射が行われない期間には、カットオフニードルがノズル部への燃料伝達を遮断し、ノズル部に高圧が常時作用することを防止することにより、部品の問題発生時に多量の燃料が燃焼室に漏れることを防止するため、非常に安全であり、ノズル部のニードルを押すバネのサイズを小さくしたり、ノズル部の開放と閉鎖の圧力を増加させたりすることが容易であるため、非常に有用な発明である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態である構成とその作用を、添付図面に鑑みて詳細に説明すると、次の通りである。また、本発明を説明するにあたって、関連した公知の機能あるいは構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を余計に不明確にすると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を示す例示図であり、
図2は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルの取り付け構造を詳細に示す例示図であり、
図3は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁のスピンドルと下部圧力チャンバーの構造を詳細に示す例示図であり、
図4は、本発明の第1の実施形態によるカットオフ部のスピンドルとカットオフニードルとの接触部分に設けられた燃料流出孔を示す例示図であり、
図5は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルが閉じて燃料が噴射されていない場合における動作状態および燃料の流れを示す例示図であり、
図6は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルが開いて燃料が噴射されている場合における動作状態および燃料の流れを示す例示図であり、
図7は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルが再び閉じ、燃料噴射が終了する場合における動作状態および燃料の流れを示す例示図である。
【0021】
図に示すように、本発明による燃料噴射弁100は、燃料供給口210を通して注入される燃料が移動できるように、第1流路220が内部に形成され、上部に制御バルブハウジング 241が設けられているバルブボディ200と、前記バルブボディ200の下部に結合され、前記第1流路220を通して供給される燃料が満たされて内部に設けられるニードル520を上側方向に加圧することによって、ニードル520を持ち上げて燃料がノズル孔530を通して噴射されるようにノズルチャンバー510が形成されているノズル部500と、前記バルブボディ200の内部において前記第1流路220を開閉できるように設けられ、前記ノズル部500を通じた燃料の噴射を制御できるようにする噴射制御部300と、前記噴射制御部300の下部に位置するように前記バルブボディ200の内部に設けられ、ノズル部500のニードル520に下側方向に加圧するノズル加圧部400と、前記噴射制御部300の上部に形成され、燃料供給口210 を通して注入される燃料が満たされることによって、噴射制御部300を下側方向に下降させるための圧力が形成されるようにする上部圧力チャンバー230と、前記上部圧力チャンバー230の下部に位置し、燃料が満たされることによって、前記噴射制御部300を上側方向に上昇させるための圧力が形成されるようにする下部圧力チャンバー231と、前記下部圧力チャンバー231の下部に位置し、前記第1流路220を通して移動する燃料が満たされることによって、前記噴射制御部300を上昇させるための圧力が形成されるようにするカットオフ圧力チャンバー232と、前記制御バルブハウジング241を経て前記バルブボディ200に形成され、前記下部圧力チャンバー231に接続されて下部圧力チャンバー231に燃料を供給できるようにする第2流路221と、前記制御バルブハウジング241に設けられ、制御信号に応じて前記第2流路 221を開閉することによって、下部圧力チャンバー231に供給される燃料の流量を制御する制御ニードル240と、前記下部圧力チャンバー231と接続するようにバルブボディ200に形成され、燃料の排出時に下部圧力チャンバー231の燃料が満たされる制御チャンバー233と、前記制御チャンバー233に接続され、制御チャンバー233の内部の燃料がバルブボディ200の外部に排出されるようにする制御オリフィス 234を含む。
【0022】
前記制御ニードル240は、制御信号に応じて動作するドライバ(actuator、図示せず)によって作動され、前記第2流路221を開閉して前記下部圧力チャンバー231に流入する燃料の流量を制御できるようになっている。
【0023】
前記噴射制御部300は、バルブボディ200の中心に設けられ、前記下部圧力チャンバー231とカットオフ圧力チャンバー232に満たされる燃料の圧力によって上昇し、前記第1流路220を開閉してノズル部500への燃料供給を制御できるようにするカットオフ部310と、前記カットオフ部310の上部に設けられ、上部圧力チャンバー230に満たされる燃料の圧力によって前記カットオフ部310を下側方向に加圧する圧力ピストン350と、前記圧力ピストン350に嵌るように設けられ、前記カットオフ部310を下側方向に加圧するバネ340を含む。
【0024】
このような本発明の第1の実施例は、前記のようにカットオフ部310と圧力ピストン350を分離して備えることにより、精密加工の必要な圧力ピストン350及びカットオフ部310の外径と、これらが設けられるバルブボディ200の内部空間の内径とのギャップ調節が容易となり、これにより、バルブの製作が容易であり、製造コストが削減される。
【0025】
すなわち、上部圧力チャンバー230と下部圧力チャンバー231の内部に満たされる高圧の燃料が、圧力ピストン350及びカットオフ部310と、バルブボディ200の内部空間の内径との間のギャップに漏出することを防止するために、ギャップを非常に小さく精密加工しなければならないが、カットオフ部310及び圧力ピストンが一体に形成されると、1つの部品に精密加工の必要な加工面が非常に多くなるため、加工が難しかった。本発明の第1実施例は、前記のようにカットオフ部310と圧力ピストン350とを分離して備えることによって、それぞれの部品において精密加工の必要な加工面を最小限に抑えるように設計することができ、部品の精密加工が容易になるメリットがある。
【0026】
一方、前記のカットオフ部310は、前記下部圧力チャンバー231に満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧されるスピンドル320と、前記スピンドル320の下部においてスピンドル320と分離するようになっており、カットオフ圧力チャンバー232に満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧され、前記スピンドル320と共に上側方向に駆動時に第1流路220を開放するカットオフニードル330を含む。
【0027】
このように、カットオフ部310をスピンドル320とカットオフニードル330とに分離して備えることにより、前記カットオフ部310と圧力ピストン350とを分離して備えたように、それぞれの部品において精密加工の必要な加工面を最小限に抑えるように設計して部品の精密加工が容易であるメリットがある。
【0028】
一方、前記制御チャンバー233と制御オリフィス234は、スピンドルが上側方向に駆動される時には、下部圧力チャンバー231と接続し、下部圧力チャンバー231の内部の燃料をバルブボディ200の外部に排出する反面、スピンドル320が駆動されていない場合には、下部圧力チャンバー231との接続が遮断され、燃料が排出されないように形成されている。
一方、前記バルブボディ200には、前記のカットオフ圧力チャンバー232の燃料が前記カットオフニードル330の外径とバルブボディ200内径との間のギャップを通して、下部圧力チャンバー231に漏洩されて前記スピンドル 320に漏洩燃料による圧力が付加的に作用することを防止するために、燃料流出孔235が更に形成される。
【0029】
この燃料流出孔235は、前記スピンドル320とカットオフニードル330との接触部分に位置するように形成され、カットオフ圧力チャンバー232から漏洩する燃料がより容易に排出できるようにするものである。
【0030】
一方、前記ノズル加圧部400は、前記噴射制御部300のカットオフ部310によって第1流路220が開放する場合、燃料が満たされるように上部に凹形状のチャンバー411が形成さされ、前記ノズル部500のニードル520上部に設けられ、燃料の圧力によってニードル520を下側方向に加圧するニードルスピンドル410と、前記ニードルスピンドル410の上部に設けられ、ニードルスピンドル410を下側方向に加圧するノズルバネ420を含む。
一方、前記スピンドル320とカットオフニードル330には、下部圧力チャンバー231及びカットオフ圧力チャンバー232において満たされる燃料の圧力によって、上側方向に駆動力が作用するように、段差のある圧力作用面333が形成される。
【0031】
このように構成される本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の動作状態を説明する。
まず、燃料が噴射されていない場合には、前記燃料供給口210を通して供給される高圧の燃料は、噴射制御部300の上部、すなわち、圧力ピストン350の上部に形成されている上部圧力チャンバー230及び第1流路220を通して前記カットオフ圧力チャンバー232に満たされる。
【0032】
このように燃料噴射が行われない待機期間には、制御ニードル240が第2流路221を密閉して閉じているため、燃料が第2流路221を通して下部圧力チャンバー231に伝達されない。
【0033】
このため、上部圧力チャンバー230に充填された燃料の圧力によって圧力ピストン350上部から下側方向に作用する力と、バネ340によって下側方向に作用する力との合力が、カットオフ圧力チャンバー232を通してカットオフ部310に上側方向に作用する圧力による力よりも大きいので、カットオフ部310が閉じている状態を維持する。
【0034】
このように、第1流路220がカットオフ部310に閉じられ、高圧の燃料がノズル部500に伝達されなくなるにつれて、ノズル部500のニードル520も下側方向に作用するノズルバネ420 の力によって閉状態を維持するようになり、ノズル孔530を通して燃料噴射が発生しなくなる。
【0035】
一方、燃料噴射が開始した場合には、制御信号に応じてドライバ(actuator)が作動して制御ニードル240を上昇させると、制御ニードル240を防いでいる第2流路221が開放され、高圧の燃料が下部圧力チャンバー231に伝達され、下部圧力チャンバー231に満たされる燃料の圧力が、カットオフ部310の軸320に形成されている圧力作用面333に作用する。
これにより、カットオフ部310のスピンドル320とカットオフニードル330に上側方向に作用する燃料の圧力による力が、上部圧力チャンバー230に満たされた燃料の圧力によって圧力ピストン350の上部に作用する力と、バネ340によって下側方向に作用する力との合力よりも大きくなり、カットオフニードル330が上昇することになり、これにより、第1流路220が開放されることによって、高圧の燃料が、ニードルスピンドル 410の上部に形成されたチャンバー411とノズル部500のノズルチャンバー510に伝達されることになる。
このようにノズルチャンバー510に伝達された燃料の圧力によってノズル部500のニードルを持ち上げる力が、ニードルスピンドル410の上部のチャンバー411に満たされた燃料によって下側方向に作用する圧力による力と、ノズルバネ420によってニードルスピンドル410の下側方向に作用する力との合力よりも大きくなると、ノズル部500のニードル520が上昇してノズル孔530を通して燃料の噴射が行われるようになる。
【0036】
ここで、ニードルスピンドル410の上部に形成されたチャンバー411に満たされる燃料によってニードルスピンドル410の上部に作用する圧力による力とノズルバネ420の力によって、ノズルの開放圧力が決定されるが、この場合、ノズルバネ420のみでノズル部500のニードル520を押す場合に比べて、ノズルバネ420の力を減らすことができるので、ノズルバネ420のサイズを小さくしたり、ノズル部500 の開放圧力を増加させたりすることが容易である。
【0037】
一方、燃料噴射が終了する場合には、制御信号に応じて前記制御ニードル240が下側方向に移動して第2流路221を遮断することになる。
【0038】
このように、第2流路221が遮断されると、下部圧力チャンバー231には、更なる燃料供給がない一方、制御オリフィス234を通して燃料が排出され、下部圧力チャンバー231内の圧力が下がることになる。
【0039】
これにより、スピンドル320とカットオフ圧力チャンバー232に満たされてカットオフニードル330を上昇させる燃料の圧力による力が、上部圧力チャンバー230に満たされる燃料による圧力ピストン350の上部に作用する圧力による力と、バネ340によってスピンドル320とカットオフニードル330を押す力との合力よりも小さくなる。
【0040】
このため、カットオフニードル330が下降して第1流路220が遮断され、更なる高圧燃料は、第1流路220を通してニードルスピンドル410の上部に形成されたチャンバー411とノズル部 500のノズルチャンバー510に伝達されない。
【0041】
また、前記のようにカットオフニードル330が閉じた後には、第1流路220に残っていた燃料は、ノズル部500のノズル孔530を通して噴射されることによって、ノズルチャンバー510の圧力が減少し、ノズル部500のニードル520を押し上げる力が減少することになり、この力が、ニードルスピンドル410の上部のチャンバー411に満たされた燃料によってニードルスピンドル410の上部に作用する力とノズルバネ420によって作用される力との合力よりも小さくなると、ノズル部500のニードル520が下降してノズル孔530への流路を遮断するようになり、燃料の噴射が終了する。
【0042】
このような本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁は、従来の機械式燃料噴射弁とは異なり、エンジンの運転条件とは独立して、制御信号に応じて制御ニードル240を操作して燃料の噴射時期と噴射量を制御することができるようになる。
【0043】
また、燃料噴射の制御方式においては、制御ニードル240を通して高圧の燃料を下部圧力チャンバー231に伝達し、噴射制御部300のカットオフニードル330を持ち上げる力を増加させることによって、燃料噴射の制御が迅速になる。
【0044】
また、構造が簡単であるため、部品の組み立てや交換が容易であり、特に、ノズル部500の交換が容易であるというメリットがある。
【0045】
また、燃料噴射が行われない期間中は、カットオフニードル330が閉じて、第1流路220を遮断することにより、ノズル部500への燃料伝達が遮断されてノズル部500に高圧が常時作用することを防止し、ノズル部500のニードル520やバルブのシートの損傷などの問題発生時に、多量の燃料が燃焼室へ漏れることを防止する安全機能を有する。
【0046】
また、ニードルスピンドル410の上部に作用する圧力による力と、ノズルバネ420の力によってノズル部500の開放圧力が決定することにより、ノズルバネ420のみでノズル部500のニードル
520を押す場合に比べて、ノズルバネ420の力を減らすことができるので、ノズルバネ420のサイズを小さくすることができ、ノズル部500の開放および閉鎖圧力を増加させることが容易であるというメリットがある。
【0047】
一方、
図8は、本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁を示す例示図であり、
図9は、本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルの取り付け構造を詳細に示す例示図であり、
図10は、本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁のスピンドルと下部圧力チャンバーの構造を詳細に示す例示図であり、
図11は、本発明の第2の実施形態によるカットオフ部のスピンドルとカットオフニードルとの接触部分に設けられた燃料流出孔を示す例示図であり、
図12は、本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルが閉じて燃料が噴射されていない場合における動作状態および燃料の流れを示す例示図であり、
図13は、本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルが開いて燃料が噴射されている場合における動作状態および燃料の流れを示す例示図であり、
図14は、本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁の制御ニードルが再び閉じ、燃料噴射が終了する場合における動作状態および燃料の流れを示す例示図であって、
図に示すように、本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁100は、燃料供給口210を通して注入される燃料が移動することができるように、第1流路220が内部に形成され、上部に制御バルブハウジング241が設けられているバルブボディ200と、前記バルブボディ200の下部に結合され、前記第1流路220を通して供給される燃料が満たされて内部に設けられているニードル520 を上側方向に加圧することによって、ニードル520を持ち上げて、燃料がノズル孔530を通して噴射されるようにノズルチャンバー510が形成されているノズル部500と、前記バルブボディ200の内部において前記第1流路220を開閉できるように設けられ、ノズル部500を通じた燃料の噴射を制御できるようにする噴射制御部300と、前記噴射制御部300の下部に位置するように前記バルブボディ200の内部に設けられ、ノズル部500のニードル520を下側方向に加圧するノズル加圧部400と、前記噴射制御部300の上部に形成され、燃料供給口210を通して注入される燃料が満たされることによって、噴射制御部300を下側方向に下降させるための圧力が形成されるようにする上部圧力チャンバー230と、前記上部圧力チャンバー230の下部に位置し、燃料が満たされることによって、前記噴射制御部300を上側方向に上昇させるための圧力が形成されるようにする下部圧力チャンバー231と、前記下部圧力チャンバー231の下部に位置し、前記第1流路220を通して移動する燃料が満たされることによって、前記噴射制御部300を上昇させるための圧力が形成されるようにするカットオフ圧力チャンバー232と、前記制御バルブハウジング241を通して前記噴射制御部300の内部へ形成され、前記下部圧力チャンバー231に接続されることによって、下部圧力チャンバー231に燃料を供給できるようにする第2流路221と、前記制御バルブハウジング241に設けられ、制御信号に応じて前記第2流路221を開閉することによって、下部圧力チャンバー231に供給される燃料の流量を制御する制御ニードル240と、前記下部圧力チャンバー231と接続するようにバルブボディ200に形成され、燃料の排出時に下部圧力チャンバー231の燃料が満たされる制御チャンバー233と、前記制御チャンバー233に接続し、制御チャンバー233の内部の燃料がバルブボディ100の外部に排出されるようにする制御オリフィス234を含む。
【0048】
前記制御ニードル240は、制御信号に応じて動作するドライバ(actuator、図示せず)によって作動され、前記第2流路221を開閉して前記下部圧力チャンバー231に流入する燃料の流量を制御することができるようになっている。
【0049】
前記噴射制御部300は、前記制御バルブハウジング241に嵌るように設けられ、上部圧力チャンバー230の下部に位置し、前記下部圧力チャンバー231とカットオフ圧力チャンバー232に満たされる燃料の圧力によって上昇して第1流路220を開閉するカットオフ部310と、前記カットオフ部310に嵌るように設けられ、カットオフ部310を下側方向に加圧するバネ340 を含む。
【0050】
前記カットオフ部310は、制御バルブハウジング241を挿入できるように中心部に挿入孔321が形成され、制御バルブハウジング241に形成されている第2流路221が前記下部圧力チャンバー231と接続するように、前記挿入孔321の内部に下部圧力チャンバー231と接続する複数の接続孔322が形成され、下部圧力チャンバー231に満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧されるスピンドル320と、前記スピンドル320の下部においてスピンドル320と分離するように構成され、カットオフ圧力チャンバー232に満たされる燃料の圧力によって上側方向に加圧され、前記スピンドル320と一緒に上側方向に駆動時に、第1流路220を開放するカットオフニードル330を含む。
【0051】
このような本発明の第2の実施形態は、前記制御バルブハウジング241に第2流路221を形成し、この制御バルブハウジング241をスピンドル320の挿入孔321に挿入することにより、スピンドル320の内部に第2流路221が位置することになる。
【0052】
このような第2流路は、前記のように制御バルブハウジング241に形成することにより、第2流路221の構造が単純になり、バルブボディ200に流路を形成する場合と比べ、第2流路221の加工が容易である。
【0053】
また、カットオフ部310のスピンドル320とカットオフニードル330を分離して備えることにより、精度加工の必要なスピンドル320とカットオフニードル330の外径と、これらが設けられるバルブボディ200の内部空間の内 径とのギャップを調節することが容易になり、バルブの製作が容易で、かつ、製造コストを削減することができる。
【0054】
すなわち、上部圧力チャンバー230、下部圧力チャンバー231、及びカットオフ圧力チャンバー232に満たされる高圧の燃料が、スピンドル320及びカットオフニードル330と、バルブボディ200の内部空間の内径との間のギャップに漏洩されることを防止するために、ギャップを非常に小さく精密加工しなければならないが、スピンドル320とカットオフニードル330が一体に形成されると、1つの部品に精密加工の必要な加工面が非常に多くなるため、加工が難しかった。ところが、本発明は、前記のように、スピンドル320とカットオフニードル330を分離して備えるため、それぞれの部品において精密加工の必要な加工面を最小限に抑えるように設計することができ、部品の精密加工が容易であるというメリットがある。
【0055】
一方、前記制御チャンバー233と制御オリフィス234は、スピンドル320が上側方向に駆動される場合には、下部圧力チャンバー231と接続されて下部圧力チャンバー231の内部の燃料をバルブボディ200の外部に排出する反面、スピンドル320が駆動されていない場合には、下部圧力チャンバー231との接続が遮断され、燃料が排出されないように形成されている。
【0056】
一方、前記バルブボディ200には、前記のカットオフ圧力チャンバー232の燃料が、前記カットオフニードル330の外径とバルブボディ200の内径との間のギャップを通して下部圧力チャンバー231に漏洩され、前記スピンドル 320に対して漏洩燃料による圧力が付加的に作用することを防止するために、燃料流出孔235が更に形成される。
【0057】
このような燃料流出孔235は、前記スピンドル320とカットオフニードル330との接触部分に位置するように形成され、カットオフ圧力チャンバー232から漏れる燃料がより容易に排出されることができるようにする。
【0058】
一方、前記ノズル加圧部400は、前記噴射制御部300のカットオフ部310によって第1流路220が開放する場合、燃料が満たされるように上部に凹形状のチャンバー411が形成され、前記ノズル部500のニードル520の上部に設けられ、燃料による圧力でニードル520を下側方向に加圧するニードルスピンドル410と、前記ニードルスピンドル410の上部に設けられてニードルスピンドル410を下側方向に加圧するノズルバネ420とを含む。
【0059】
一方、前記スピンドル320とカットオフニードル330には、下部圧力チャンバー231とカットオフ圧力チャンバー232で満たされる燃料の圧力によって上側方向に駆動力が作用するように、段差のある圧力作用面333が形成される。
【0060】
このように構成される本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁の動作状態を説明する。
まず、燃料が噴射されていない場合には、前記燃料供給口210を通して供給される高圧の燃料は、噴射制御部300の上部、すなわち、噴射制御部300を構成するカットオフ部310のスピンドル320上部に位置する上部圧力チャンバー230及び前記第1流路220を通して前記カットオフ圧力チャンバー232に満たされる。
【0061】
このように燃料噴射が行われない待機期間には、制御ニードル240が第2流路221を密閉して閉じているため、燃料が第2流路221を通して下部圧力チャンバー231に伝達されない。
【0062】
このため、上部圧力チャンバー230に充填された燃料の圧力によってスピンドル320の上部から下側方向に作用する力と、バネ340によって下側方向に作用する力との合力が、カットオフ圧力チャンバー232を通してカットオフ部310に上側方向に作用する圧力による力よりも大きいため、カットオフ部310が閉じている状態を維持する。
【0063】
このように、第1流路220がカットオフ部310によって閉じられ、高圧の燃料がノズル部500に伝達されなくなるにつれて、ノズル部500のニードル520も下側方向に作用するノズルバネ420の力によって閉状態を維持するようになり、ノズル孔530を通して燃料噴射が発生しなくなる。
【0064】
一方、燃料噴射が開始する場合には、制御信号に応じてドライバ(actuator)が作動して制御ニードル240を上昇させると、制御ニードル240を防いでいる第2流路221が開放され、高圧の燃料が、制御バルブハウジング241に形成されている第2流路221を通してスピンドル320の内部から接続孔322を経て、下部圧力チャンバー231に伝達され、下部圧力チャンバー231に満たされる燃料の圧力がスピンドル320の圧力作用面333に作用する。
続いて、カットオフ圧力チャンバー232と下部圧力チャンバー231を通してカットオフ部310のスピンドル320とカットオフニードル330に上側方向に作用する燃料の圧力による力が、上部圧力チャンバー 230に満たされた燃料の圧力によってスピンドル320の上部に作用する力と、バネ340によって下側方向に作用する力との合力よりも大きくなり、カットオフニードル330が上昇することになり、これにより、第1流路220が開放されることによって、高圧の燃料がニードルスピンドル410の上部に形成されたチャンバー411とノズル部500のノズルチャンバー510に伝達されることになる。
【0065】
このように、ノズルチャンバー510に伝達された燃料の圧力によりノズル部500のニードル520を持ち上げる力が、ニードルスピンドル410の上部のチャンバー411に満たされた燃料によって下側方向に作用する圧力による力と、ノズルバネ420によってニードルスピンドル410に下側方向に作用する力との合力よりも大きくなると、ノズル部500のニードル520が上昇してノズル孔530を通して燃料の噴射が行われるようになる。
【0066】
ここで、ニードルスピンドル410の上部に形成されたチャンバー411に満たされる燃料によってニードルスピンドル410の上部に作用する圧力による力とノズルバネ420の力によってノズルの開放圧力が決定されるが、この場合、ノズルバネ420のみでノズル部500のニードル520を押す場合と比べて、ノズルバネ420の力を減らすことができるので、ノズルバネ420のサイズを小さくしたり、ノズル部500の開放圧力を増加させたりすることが容易である。
【0067】
一方、燃料噴射が終了する場合には、制御信号に応じて前記制御ニードル240が下側方向に移動して第2流路221を遮断することになる。このように、第2流路221が遮断されると、下部圧力チャンバー231には、更なる燃料供給がない一方、制御オリフィス234を通して燃料が排出され、下部圧力チャンバー231内の圧力が下がることになる。
【0068】
これにより、カットオフ圧力チャンバー232に満たされてカットオフニードル330を上昇させる燃料の圧力による力が、上部圧力チャンバー230に満たされる燃料によるスピンドル320の上部に作用する圧力による力と、バネ340によってスピンドル320とカットオフニードル330を押す力との合力よりも小さくなる。
【0069】
このため、カットオフニードル330が下降して第1流路220が遮断され、更なる高圧燃料は、第1流路220を通してニードルスピンドル410の上部に形成されたチャンバー411とノズル部 500のノズルチャンバー510に伝達されない。
【0070】
また、前記のように、カットオフニードル330が閉じた後には、第1流路220に残っていた燃料がノズル部500のノズル孔530を通して噴射されることによって、ノズルチャンバー510の圧力が減少し、ノズル部500のニードル520を押し上げる力が減少することになり、この力が、ニードルスピンドル410の上部のチャンバー411に満たされた燃料によってニードルスピンドル411の上部に作用する力と、ノズルバネ420によって作用する力との合力よりも小さくなると、ノズル部500のニードル520が下降してノズル孔530への流路を遮断するようになり、燃料の噴射が終了する。
【0071】
このような本発明の第2の実施形態の燃料噴射弁は、従来の機械式燃料噴射弁とは異なり、エンジンの運転条件とは独立して、制御信号に応じて制御ニードル240を操作して燃料の噴射時期と噴射量を制御することができるようになる。
【0072】
また、第2流路221が制御バルブハウジング241を通して形成されることによって、バルブボディ200に第2流路221を形成することよりも流路の加工が容易になり、バルブの製作が容易である。
【0073】
また、燃料噴射の制御方式においては、制御ニードル240を通して高圧の燃料を下部圧力チャンバー231に伝達して、噴射制御部300のカットオフニードル330を持ち上げる力を増加させることによって、燃料噴射の制御が迅速である。
【0074】
また、構造が簡単であるため、部品の組み立てや交換が容易であり、特に、ノズル部500の交換が容易であるというメリットがある。
【0075】
また、燃料噴射が行われない期間中は、カットオフニードル330が閉じて第1流路220を遮断することにより、ノズル部500への燃料伝達が遮断されてノズル部500に高圧が常時作用していることを防止し、ノズル部500のニードル520やバルブのシート損傷などの問題発生時に、多量の燃料が燃焼室に漏れることを防止する安全機能を有する。
【0076】
また、ニードルスピンドル410の上部に作用する圧力による力と、ノズルバネ420の力によってノズル部500の開放圧力が決定されることにより、ノズルバネ420のみでノズル部500のニードル520を押す場合と比べて、ノズルバネ420の力を減らすことができるので、ノズルバネ420のサイズを小さくすることができ、ノズル部500の開放及び閉鎖の圧力を増加させることが容易であるというメリットがある。
【0077】
本発明は、上述した特定の好ましい実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも多様な変形実施が可能なのはもちろん、そのような変更は、請求の範囲の記載の範囲内にある。