(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5760103
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】医用X線カメラ
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20150716BHJP
【FI】
A61B6/00 350A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-15722(P2014-15722)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-139659(P2015-139659A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2014年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220620
【氏名又は名称】東芝テリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】紺藤 悟
(72)【発明者】
【氏名】奈良 友美
(72)【発明者】
【氏名】泉 陽輔
【審査官】
福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−071735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
A61B 8/00
G01N 23/04−23/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線透視像を受像するイメージインテンシファイアの画像出力部から出力された画像を撮像する固体撮像素子と、前記固体撮像素子で撮像した画像から量子雑音を除去するリカーシブフィルタ回路とを具備した医用X線カメラであって、
前記リカーシブフィルタ回路は、
前記固体撮像素子で撮像した最新の入力画像を後続フレームの画像が入力されるまで一時保存する第1のフレームメモリと、
リカーシブフィルタ処理が行われる都度、当該リカーシブフィルタ処理により重み付け処理された過去画像を次のリカーシブフィルタ処理が行われるまで一時保存する第2のフレームメモリと、
前記第1のフレームメモリの画像更新フェーズにおいて、前記重み付け処理の重み付け係数を用い、前記入力画像と前記過去画像とをもとに第1回目の前記リカーシブフィルタ処理を行い、前記画像更新フェーズの間の非更新フェーズにおいて、前記重み付け係数を用い、前記入力画像と前記第1回目の前記リカーシブフィルタ処理で更新された過去画像とをもとに第2回目の前記リカーシブフィルタ処理を行う演算部と、
を具備したことを特徴とする医用X線カメラ。
【請求項2】
前記第1のフレームメモリを第1フレームレートで書き込み制御し、前記第1フレームレートの2倍の第2フレームレートで読み出し制御する第1のメモリ制御部と、
前記第2のフレームメモリを前記第2フレームレートで書き込み・読み出し制御する第2のメモリ制御部と
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の医用X線カメラ。
【請求項3】
前記演算部は、
前記第1のフレームメモリに一時保持された前記入力画像に対して前記重み付け係数に従う出力画像の比率演算を行う第1の乗算器と、
前記第2のフレームメモリに一時保持された前記過去画像に対して前記重み付け係数に従う出力画像の比率演算を行う第2の乗算器と、
前記第1の乗算器の出力画像に前記第2の乗算器の出力画像を加える加算器と
を具備して構成されている請求項1又は2に記載の医用X線カメラ。
【請求項4】
前記画像更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像と前記非更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像とを交互に前記第2フレームレートで書き込み、前記画像更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像と前記非更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像を前記第1フレームレートで観察用モニタに出力画像として読み出す第3のフレームメモリをさらに具備したことを特徴とする請求項2に記載の医用X線カメラ。
【請求項5】
前記画像更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像と前記非更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像とを交互に前記第2フレームレートで書き込み、前記画像更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像と前記非更新フェーズでリカーシブフィルタ処理した画像を前記第2フレームレートで観察用モニタに出力画像として読み出す第3のフレームメモリをさらに具備したことを特徴とする請求項2に記載の医用X線カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線透視システムに適用して好適な医用X線カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
医用X線カメラは、X線透視システムに組み込まれて使用される。X線透視システムは、X線発生器、イメージインテンシファイア、X線カメラ、観察用モニタ等を備え、X線発生器からのX線照射によって得られる被検者の透視像をイメージインテンシファイアで受像し、イメージインテンシファイアで光増幅した可視像をX線カメラで撮像して、観察用モニタにX線透視像を表示出力する。
【0003】
X線カメラには、撮像した画像から量子雑音(ランダムノイズ)を除去するためのリカーシブフィルタ(recursive filter)回路が設けられる。リカーシブフィルタ回路は、X線カメラの内蔵基板に他の回路とともに実装され若しくは追加回路として実装される。例えばカメラ本体内の回路基板に実装されたFPGA(Field Programmable Gate Array)内に組み込まれる。
【0004】
リカーシブフィルタ回路は、現在の画像に、ある重み付けをした過去の画像を加算することにより量子雑音を低減させる再帰形フィルタ処理(リカーシブフィルタ処理)を行う。このリカーシブフィルタ処理を強くすると(過去の画像を加算する度合いを大きくすると)、その度合いに応じてノイズ低減効果は大きくなるが、動きの速いものは過去画像による残像の影響によりボケでしまう(動きに対する応答性が低下する)。
【0005】
上記医用X線カメラに実装されるリカーシブフィルタ回路の構成を
図6に示し、その処理動作の一例を
図7および
図8に示す。
【0006】
リカーシブフィルタ回路は、
図6に示すように、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)から一定のフレームレート(例えば30fps)で入力された最新の入力画像(L)とリカーシブフィルタ処理された1フレーム前の過去画像であるメモリ画像(M)とをもとに、設定された一定の重み付け係数(K)を用いてリカーシブフィルタ処理の演算をフレーム周期毎に繰り返し実施し、リカーシブフィルタ処理した画像(F)を出力する演算部RFと、演算部RFで演算処理した出力画像(F)をフレーム周期に従いメモリ画像(M)として一時保存するフレームメモリFMとを具備して構成される。
【0007】
演算部RFは、乗算器1および乗算器2と、加算器と、乗算器制御部とを具備して構成され、重み付け係数(K)に従う比率で入力画像(L)にメモリ画像(M)を加算するリカーシブフィルタ処理を画像の更新毎に繰り返し実施する。1秒間に30フレームの画像が更新されるフレームレート(=30fps)であれば、画像更新を伴う1/30秒毎にリカーシブフィルタ処理を行い、1秒間に30巡回のリカーシブフィルタ処理を実施する。
【0008】
この画像更新に伴い繰り返し実施される演算処理では、乗算器1により[L×1/K]の乗算処理が実行され、乗算器2により[M×(1−1/K)]の乗算処理が実行され、加算器により[L×1/K + M×(1−1/K)]の加算処理が実行される。
【0009】
この重み付け係数(K)を用いた加算処理により、入力画像を1とした画像レベルと同等のリカーシブフィルタ出力画像(F)が得られる。例えば、K=2の場合、
図7に示すように、1/2の入力画像(L/2)と、1/2のメモリ画像(M/2)が加算された出力画像(F)が得られる。
【0010】
このリカーシブフィルタ処理による入力画像(L)と、1フレーム前のリカーシブフィルタ処理したメモリ画像(M)との加算処理の繰り返しにより、画像中に含まれるランダムノイズが除去されていく。
【0011】
一方、時間経過で見ると、
図7に斜線部で示すように、過去の画像が一定の期間に亘り視認できるレベルで残存し、動きのある画像の場合にはこれが残像となることから、ノイズ低減と残像の度合いの兼ね合いで重み付け係数(K)を選んで使用される。
【0012】
この重み付け係数(K)を上記
図7に示す例より高く設定した場合の一例を
図8に示している。ここでは、重み付け係数(K)を4(K=4)とした場合のリカーシブフィルタ処理例を示している。このように重み付け係数(K)を高く設定すると、過去の画像データの残存する時間がその分長くなり、残像が大きくなっていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4613758号公報
【特許文献2】特許第2792133号公報
【特許文献3】特公平6−69447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように従来のリカーシブフィルタ処理回路においては、フィルタ処理を強くするとノイズ低減効果は大きくなるが、動きに対する応答性が低下し、フィルタ処理を弱くすると動きに対する応答性は改善されるがノイズ低減効果損なわれるという問題があった。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、動きに対する応答性とノイズ低減効果の改善を図った医用X線カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態は、X線透視像を受像するイメージインテンシファイアの画像出力部から出力された画像を撮像する固体撮像素子と、前記固体撮像素子で撮像した画像から量子雑音を除去するリカーシブフィルタ回路とを具備した医用X線カメラであって、前記リカーシブフィルタ回路は、
前記固体撮像素子で撮像した最新の入力画像を後続フレームの画像が入力されるまで一時保存する第1のフレームメモリと、リカーシブフィルタ処理が行われる都度、当該リカーシブフィルタ処理により重み付け処理された過去画像を次のリカーシブフィルタ処理が行われるまで一時保存する第2のフレームメモリと、前記第1のフレームメモリの画像更新フェーズにおいて、前記重み付け処理の重み付け係数を用い、前記入力画像と前記過去画像とをもとに第1回目の前記リカーシブフィルタ処理を行い、前記画像更新フェーズの間の非更新フェーズにおいて、前記重み付け係数を用い、前記入力画像と前記第1回目の前記リカーシブフィルタ処理で更新された過去画像とをもとに第2回目の前記リカーシブフィルタ処理を行う演算部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、動きに対する応答性とノイズ低減効果の改善を図った医用X線カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る医用X線カメラを使用したX線透視システムの概略的な構成を示すブロック図。
【
図2】上記実施形態に係る医用X線カメラの構成を示すブロック図。
【
図3】上記実施形態に係る医用X線カメラに設けられたリカーシブフィルタ回路の構成を示すブロック図。
【
図4】上記実施形態におけるリカーシブフィルタ回路の動作を説明するための
画像更新フェーズと非更新フェーズの画像推移と入力占有率を示す図。
【
図5】上記実施形態におけるリカーシブフィルタ回路の動作を説明するための、従来回路における画像推移および入力占有率(a)と上記実施形態における
画像更新フェーズと非更新フェーズの画像推移および入力占有率(b)とを対比して示す図。
【
図6】従来の医用X線カメラに設けられたリカーシブフィルタ回路の構成を示すブロック図。
【
図7】
図6に示すリカーシブフィルタ回路の動作を説明するための、重み付け係数(K)をK=2としたときの画像推移と入力占有率を示す図。
【
図8】
図6に示すリカーシブフィルタ回路の動作を説明するための、重み付け係数(K)をK=4としたときの画像推移と入力占有率を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0021】
本発明の実施形態に係る医用X線カメラを使用したX線透視システムの概略的な構成を
図1に示し、上記実施形態に係る医用X線カメラの構成を
図2に示し、上記実施形態に係る医用X線カメラに設けられたリカーシブフィルタ回路の構成を
図3に示す。
【0022】
本発明の実施形態に係る医用X線カメラを使用したX線透視システムは、
図1に示すように、ステージSに位置規制された被検者にX線を照射するX線発生器1と、X線発生器1からのX線照射によって得られる被検者の透視像を受像し、光増幅した可視像を画像出力部2aから出力するイメージインテンシファイア2と、システム制御を司るX線制御装置3と、イメージインテンシファイア2の画像出力部2aから出力された可視像を撮像し、X線透視像を観察用モニタ5に表示出力する医用X線カメラ4とを具備して構成される。
【0023】
上記医用X線カメラ4は、撮像した画像が更新される都度、1フレームの入力画像に対して2画像分のリカーシブフィルタ処理を繰り返し行うリカーシブフィルタ回路10を具備して構成されている。この実施形態では、外部から固定値として設定された一定の重み付け係数Kを用い、一定のフレームレート(例えば30fps)に従う画像更新において、当該画像更新周期の1/2周期毎にリカーシブフィルタ回路処理を繰り返し実行する演算回路を具備する。すなわち、フレームレート
の処理速度で
2回のリカーシブフィルタ処理を繰り返し行う演算回路を具備して構成される。
【0024】
このリカーシブフィルタ回路10を備えた医用X線カメラ4の構成を
図2に示し、リカーシブフィルタ回路10の回路構成を
図3に示している。
【0025】
医用X線カメラ4は、
図2に示すように、イメージインテンシファイア2の画像出力部2aから出力された可視像を撮像するカメラ部4aと、カメラ部4aから出力されたアナログ映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換部4bと、A/D変換部4bから出力された映像データに対して、自動利得制御、ガンマ補正等の各種の映像補正処理を行う映像処理部4cと、映像処理部4cで処理された映像データにより生成されるフレーム単位の画像を入力画像(L)として、外部から固定値で与えられた重み付け係数(K)を用い、
2回のリカーシブフィルタ処理を
繰り返し実施するリカーシブフィルタ回路10と、リカーシブフィルタ回路10でリカーシブフィルタ処理された出力画像(F)からアナログモニタ用の映像信号を生成するアナログ映像出力部4dと、出力画像(F)からデジタルモニタ用の映像データを生成するデジタル映像出力部4eとを具備して構成される。
【0026】
上記カメラ部4aは、光学レンズa1と、光学レンズa1の焦点位置に設けられたCCDイメージセンサa2と、CCDイメージセンサa2の読出しノイズ(kTCノイズ)を除去するCDS(correlated double sampling)回路a3とを具備して構成される。
【0027】
図1に示すX線透視システムにおいて、イメージインテンシファイア2は、X線発生器1からのX線照射によって得られる被検者の透視像を受像し、光増幅した可視像を画像出力部2aから出力する。医用X線カメラ4は、イメージインテンシファイア2の画像出力部2aから出力された可視像を撮像し、X線透視像を観察用モニタMに表示出力するための映像信号を生成する。
【0028】
図2に示す医用X線カメラ4において、イメージインテンシファイア2の画像出力部2aから出力された可視像はカメラ部4aにて撮像され、A/D変換部4bおよび映像処理部4cを介しフレームレート(30fps)に従うフレーム単位の画像としてリカーシブフィルタ回路10に入力される。
【0029】
図3に示すリカーシブフィルタ回路10は、外部から固定値として設定された一定の重み付け係数Kを用い、一定のフレームレート(30fps)に従う画像更新において、1フレームの入力画像に対して2画像分のリカーシブフィルタ処理を繰り返し行う。このリカーシブフィルタ処理によりノイズ除去された観察画像の映像信号はフレームレート(30fps)に従いアナログモニタまたはデジタルモニタに出力される。
【0030】
ここで、本発明の実施形態におけるリカーシブフィルタ回路10の構成並びに動作を
図3乃至
図5を参照して説明する。
【0031】
上記リカーシブフィルタ回路10は、
図3に示すように、1フレームの入力画像に対して2画像分のリカーシブフィルタ処理を繰り返し行う演算部11と、入力画像(L)を後続フレームの画像が入力されるまで一時保存する第1のフレームメモリ12、および当該メモリを読み出し・書き込み制御するメモリ制御部12Cと、リカーシブフィルタ処理が行われる都度、当該リカーシブフィルタ処理により重み付け処理された過去画像をメモリ画像(M)として次のリカーシブフィルタ処理が行われるまで一時保存する第2のフレームメモリ13、および当該メモリを読み出し・書き込み制御するメモリ制御部13Cと、出力画像(F)を一時保持する第3のフレームメモリ14、および当該メモリを読み出し・書き込み制御するメモリ制御部14Cとを具備して構成される。ここでは、フレームレートを30フレーム/秒とした30fpsの入力画像(L)を例に、画像更新処理速度(30fps)と演算部11の処理速度並びにフレームメモリ12,14の読み出し・書き込み処理速度との関係を併せて表記している。
【0032】
演算部11は、第1のフレームメモリ12に一時保存された入力画像(L)に対して外部から固定値として与えられた重み付け係数(K)に従う出力画像の比率演算を行う第1の乗算器(乗算器1)11aと、第2のフレームメモリ13に一時保存されたメモリ画像(M)に対して上記重み付け係数(K)に従う出力画像の比率演算を行う第2の乗算器(乗算器2)11bと、第1の乗算器11aの出力画像に第2の乗算器11bの出力画像を加える加算器11cと、乗算器1,2を同期演算制御する乗算器制御部11dとを具備して、上記フレームレート(30fps)の
処理速度で2回のリカーシブフィルタ処理を
繰り返し実行する。すなわち、フレームレート(30fps)における画像更新周波数に対して、その2倍(60fps)の動作周波数
の間(画像更新フェーズと非更新フェーズ)で
2回のリカーシブフィルタ演算を実施する(1秒間に60巡回の巡回フィルタ演算を実施する)。このように演算部11は、画像更新周波数に対して、その
画像更新フェーズと非更新フェーズのそれぞれでリカーシブフィルタ演算を実施する。
【0033】
第1のフレームメモリ12は、メモリ制御部12Cによりフレームレートに従う30fpsで書き込み制御され、フレームレートの2倍の60fpsで読み出し制御される。第2のフレームメモリ13はメモリ制御部13Cにより60fpsで書き込み・読み出し制御される。第3のフレームメモリ14はメモリ制御部14Cにより60fpsで書き込み制御され、フレームレートに従う30fpsで読み出し制御される。
【0034】
上記演算部11において、第1の乗算器11aは、[L×1/K]の乗算処理を実行し、第2の乗算器11bは、[M×(1−1/K)]の乗算処理を実行する。加算器11cは、[L×1/K + M×(1−1/K)]の加算処理を実行する。この各演算処理が1フレームの入力画像に対し更新フェーズと非更新フェーズとで繰り返し実行される。
【0035】
この演算部11の処理では、上記入力画像(L)のフレーム周期内における画像更新フェーズFaにおいて、一定の重み付け係数(K)と第1のフレームメモリ12に一時保存された入力画像(L)および第2のフレームメモリ13に一時保存されたメモリ画像(M)とをもとに、第1の乗算器11aにより第1回目(第1巡目)の[L×1/K]の乗算処理が実行され、第2の乗算器11bにより第1回目の[M×(1−1/K)]の乗算処理が実行される。この各乗算器11a,11bの出力画像は加算器11cに入力され、第1回目の[L×1/K + M×(1−1/K)]の加算処理が実行される。続いて、上記入力画像(L)のフレーム周期内における非更新フェーズFbにおいて、第1の乗算器11aにより第2回目(第2巡目)の[L×1/K]の乗算処理が実行され、第2の乗算器11bにより第2回目の[M×(1−1/K)]の乗算処理が実行される。この各乗算器11a,11bの出力画像は加算器11cに入力され、第2回目の[L×1/K + M×(1−1/K)]の加算処理が実行される。このようにして、演算部11からは、フレームレート(30fps)に対し2倍のレート(60fps)
間で
2回のリカーシブフィルタ処理後の画像が出力される。この演算部11から出力された画像は第3のフレームメモリ14に、60fpsで書き込み制御され、フレームレートに従う30fpsで読み出し制御されて
図1に示すX線透視像観察用モニタ5に出力される。
【0036】
上記したリカーシブフィルタ回路10における
画像更新フェーズと非更新フェーズの画像推移と入力占有率を
図4に示し、
図5に従来回路における画像推移および入力占有率(a)と上記実施形態における
画像更新フェーズと非更新フェーズの画像推移および入力占有率(b)との対比例を示している。
【0037】
図4は重み付け係数(K)をK=4としたときの画像推移を示したもので、画像更新フェーズと非画像更新フェーズで入力画像の占有率が変化することを表している。画像更新フェーズでは25%の占有率に対し、非更新フェーズでは43.75%の占有率に変化する。ノイズの低減率という意味では、この25%と43.75%の中間値に概ね落ち着くことになる。→(43.75−25)/2+25=34.375(%)
図5は上記実施形態のリカーシブフィルタ処理における画像の推移を示したもので、同図(a)に示す従来のリカージブフィルタ処理(
図6に示す従来のリカーシブフィルタ回路によるリカージブフィルタ処理)では、係数を4にするなど、高くすると、残像が強く、動きに対する観察に支障が生じるが、同図(b)に示す上記実施形態のリカーシブフィルタ処理を用いることで残像を低く抑えることができ、高い係数を設定可能となる。一方、ノイズ低減効果については、同一画像を2度入力することから、入力画像の占有率が係数設定そのものよりも高くなる。
【0038】
ノイズ低減と残像の関係で比較すると、上記実施形態のリカーシブフィルタ処理では、従来のリカーシブフィルタ処理で8フレーム後、3.3%の残像があり、一方、上記実施形態のリカーシブフィルタ処理で3.3%を下回るのは6フレーム後である(12回目の処理時)。従って従来のリカーシブフィルタ処理に対し上記実施形態のリカーシブフィルタ処理の方が残像の減少速度が速い。
【0039】
また、上記実施形態のリカーシブフィルタ処理で8フレーム後(16回目の処理時)の残像が3.3%となる係数は7.4相当となり、従来のリカーシブフィルタ処理における係数に換算すると5.16相当になる。従って、上記実施形態のリカーシブフィルタ処理では、従来のリカーシブフィルタ処理に比して、より高い係数設定が可能で、ノイズ低減性も向上する
上述の通り、リカーシブフィルタはノイズ低減と残像の度合いの兼ね合いで係数が設定されることから、上記実施形態のリカーシブフィルタ処理を用いることで、従来のリカーシブフィルタ処理と比較して、ノイズ低減性、残像の度合い共に向上させることができる。
【0040】
また、上記実施形態のリカーシブフィルタ処理は、処理スピードをさらに上げると、更なる性能向上が見込めるが、その向上の度合いは2倍とする場合に対して大きくないため、現実的な回路手法ではない。
【0041】
また上記実施形態の応用例1として、出力画像のレートを高くすることが可能な場合、出力画像の周波数を1/30Hzから1/60Hzに変更するなど、出力の倍速化が可能な場合は本実施形態にて行った処理画像を全て出力することができ、より連続性のある画像を表現できる。よって、回路最終段の周波数を1/2とする回路が不要となる。
【0042】
また上記実施形態の応用例2として、もともと60fpsにて画像更新される医用X線カメラにおいて、感度を含む諸条件からS/Nを向上させる必要がある場合、本実施形態を効果的に用いることが可能である。上記の60fpsで動作するカメラを30fpsにて動作させることで、同一照度におけるセンサーの出力が約2倍になる。これを回路側で1/2の利得で出力すると、S/Nが向上した60fps時の画像レベルと同等のコントラストで画像を出力できる(センサーの蓄積時間の変更による感度制御は既知の技術)。この向上したS/Nを効果的に出力するため、本実施形態のリカーシブフィルタを採用する。例えば60fps動作で従来のリカーシブフィルタ回路を使用して係数を4としている場合、30fpsに動作レートを変更してS/Nを向上させても、30fpsでのリカーシブフィルタ動作では画像の更新も1/2になることから60fps時と同一係数の場合は残像の発生が顕著になる。よって、残像が気にならないレベルまで係数を下げざるを得ない状況となり、その結果、60fps時と30fps時で画質の改善に乏しいものとなる。この対応例として、本実施形態を採用することで、残像を少なくして係数を高く設定することが可能であるため、30fpsでリカーシブフィルタを動作させた場合よりもノイズの低減が図られる。また、本実施形態ではもともと60fpsでの画像出力であることから、本実施形態ように周波数を1/2にすることなくそのまま60fpsでの映像出力が可能となる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示されるフレームレートについても、30fps、60fpsに限らず、例えばフレームレートをより低くした高画質X線装置においても適用可能である。また、本発明の実施形態とは異なる装置構成において、本発明の実施形態における要部の構成要素を適宜組み合わせ用いることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…X線発生器、2…イメージインテンシファイア、2a…画像出力部、3…X線制御装置、4…医用X線カメラ、5…X線透視像観察用モニタ、10…
リカーシブフィルタ回路、11…演算部、12…第1のフレームメモリ、12C…メモリ制御部、13…第2のフレームメモリ、13C…メモリ制御部、14…第3のフレームメモリ、14C…メモリ制御部、L…入力画像、K重み付け係数、M…メモリ画像(重み付け処理された過去画像)。