【実施例1】
【0038】
図4,5は、メイン制御基板20のCPU20aの制御内容であって、メインルーチンを構成するメイン制御処理の制御内容を示したものである。メイン制御処理において実行される各ステップS101〜S123の詳細は下記の通りである。
S101:規定数(一回の遊技を実行するために必要なメダルの投入枚数)の賭け数が設定されるまで待機する。
S102:スタートスイッチ6が操作されるまで待機する。
S103:警戒フラグを確認し、該警戒フラグがONである場合はステップS104へ移行し、OFFである場合はステップS106へ移行する。尚、警戒フラグは、遊技休止の状態を示すものであり、後述する割込制御処理(
図6)または電源投入時制御処理(
図7)によって遊技休止と判断された場合に、ONとなる。
S104:警戒時間用計時タイマに、予め定められた初期値を設定する。この初期値により、後述する遊技開始期間が規定される。そして、後述する割込制御処理(
図6)により、警戒時間用計時タイマが時限消化され、初期値の設定から該タイマの値が「0」となるまでの間が遊技開始期間となる。尚、上記のステップS103とステップS104とにより、本発明にかかる遊技開始検知手段が実現されている。
S105:警戒フラグをOFFとする。
S106:役抽選処理を実行する。この役抽選処理では、スタートスイッチ6の操作タイミングで役抽選用の乱数値を抽出し、抽出した乱数値に基づいて、各種の役に当選したか否かを決定する。そして、役抽選の結果をRAM20bに記憶するとともに、該結果をサブ制御基板21に送信する。
S107:プレミアAT抽選処理を実行する。このプレミアAT抽選処理では、スタートスイッチ6の操作タイミングでプレミアAT抽選用の乱数値を抽出し、該乱数値に従ってプレミアAT抽選の当落判定を行う。尚、このプレミアAT抽選で当選することが、本発明にかかる特定の有利移行条件の成立である。
S108:プレミアAT抽選処理による当落判定結果を確認し、プレミアATに当選した場合にはステップS109へ移行し、ハズレ(落選)の場合にはステップS113へ移行する。
S109:警戒時間用計時タイマを確認し、該警戒時間用計時タイマの値が「0」の場合(警戒時間用計時タイマ=0)にはステップS110へ移行し、該警戒時間用計時タイマの値が「0」より大きい場合(警戒時間用計時タイマ>0)にはステップS111へ移行する。
S110:第一プレミアAT当選時処理を実行する。この第一プレミアAT当選時処理では、上記のプレミアAT状態を維持する期間(ゲーム回数)の設定や、該プレミアAT状態で画像表示装置10で表示する有利遊技演出画像55(
図9(a))の設定などを実行し、これら設定したデータをRAM20bに記憶すると共に、各種設定した内容に基づくコマンド信号をサブ制御基板21に送信する。尚、このステップS110により、本発明にかかる遊技状態移行手段が実現されている。
S111:警戒信号出力処理を実行する。この警戒信号出力処理では、予め設定された警戒信号を上記の外部端子板26を介して外部出力し、ホール管理装置61に送信する。尚、このステップS111により、本発明にかかる警戒報知手段が実現されている。そして、警戒信号の出力が、本発明にかかる警戒報知であり、該警戒信号により本発明にかかる遊技情報データが実現されている。また、外部端子板26により、本発明にかかるデータ出力手段が実現される。
S112:第二プレミアAT当選時処理を実行する。この第二プレミアAT当選時処理では、プレミアAT状態を維持する期間(ゲーム回数)の設定や、該プレミアAT状態で画像表示装置10で表示する警戒遊技演出画像56(
図9(b))の設定などを実行し、これら設定したデータをRAM20bに記憶すると共に、各種設定した内容に基づくコマンド信号をサブ制御基板21に送信する。尚、このステップS112により、本発明にかかる遊技状態移行手段が実現されている。
S113:ノーマルAT抽選処理を実行する。このノーマルAT抽選処理では、スタートスイッチ6の操作タイミングでノーマルAT抽選用の乱数値を抽出し、該乱数値に従ってノーマルAT抽選の当落判定を行う。
S114:ノーマルAT抽選処理による当落判定結果を確認し、ノーマルATに当選した場合にはステップS115へ移行し、ハズレ(落選)の場合にはステップS116へ移行する。
S115:ノーマルAT当選時処理を実行する。このノーマルAT当選時処理では、上記のノーマルAT状態を維持する期間(ゲーム回数)の設定や、該ノーマルAT状態で画像表示装置10で表示する演出画像の設定などを実行し、これら設定したデータをRAM20bに記憶すると共に、各種設定した内容に基づくコマンド信号をサブ制御基板21に送信する。尚、このステップS115により、本発明にかかる遊技状態移行手段が実現されている。
S116:リール回転処理を実行し、各リール9a〜9cの回転を開始させる。そして、リール9a〜9cが所定の回転速度に達すると、ストップスイッチ7a〜7cの操作を有効とする。
S117:ストップスイッチ7a〜7cが操作されるまで待機する。
S118:ストップスイッチ7a〜7cが操作されると、リール回転停止処理を実行する。このリール回転停止処理では、ストップスイッチ7a〜7cの操作タイミングや役抽選の結果等に基づいてリール停止角度を決定し、操作されたストップスイッチ7a〜7cに対応するリール9a〜9cの回転を、決定したリール停止角度で停止させる。
S119:全てのリール9a〜9cが停止するまで待機する。
S120:停止図柄判定処理を実行し、入賞ラインの上に停止した図柄の組合せが、複数種類の役に夫々対応付けられた図柄の組合せと一致しているか否かを判定する。そして、いずれかの組合せと一致している場合には、当該組合せに対応する役に入賞したと判定(当りと判定)し、一方、いずれの組合せとも一致していない場合にはハズレと判定する。さらに、役に入賞した場合には、入賞した役に応じた処理を行う。尚、このステップS120により、本発明にかかる遊技制御手段が実現されている。
S121:上記の停止図柄判定処理でメダルを払い出す役に入賞した場合には、ステップS122へ移行し、メダルを払い出さない役に入賞した場合またはハズレ判定した場合には、ステップS123へ移行する。
S122:払出処理を実行し、メダルを払い出す。
S123:休止時間用計時タイマに、予め定められた初期値を設定する。尚、休止時間用計時タイマは、後述するように遊技の継続状態と遊技の休止状態とを判別するために設定されたものである。そして、後述する割込制御処理(
図6)により、休止時間用計時タイマが時限消化され、該タイマの値が「0」となると、遊技休止と判断される。
【0039】
ここで、プレミアAT抽選処理(ステップS107)では、上述したように、スタートスイッチ6の操作タイミングでプレミアAT抽選用の乱数値を抽出し、プレミアAT抽選の当落判定を行う。具体的には、プレミアAT抽選の当選確率が1/8000に設定されており、0〜7999の乱数から一の乱数値を抽出し、抽出した乱数値が予め設定された当選値(例えば「0」)と一致したか否かを判定する。そして、当選値と一致した場合には、プレミアAT抽選の当りと判定し(当選)、不一致の場合には、ハズレと判定する(落選)。一方、ノーマルAT抽選処理(ステップS113)は、上述したようにノーマルAT抽選の当落判定を行う処理であり、具体的には、ノーマルAT抽選の当選確率が1/400に設定されており、0〜399の乱数から一の乱数値を抽出し、抽出した乱数値が予め設定された当選値(例えば「0」)と一致したか否かを判定する。そして、当選値と一致した場合には、ノーマルAT抽選の当りと判定し(当選)、不一致の場合には、ハズレと判定する(落選)。
【0040】
プレミアAT抽選処理でプレミアAT抽選に当選した場合には、上述したプレミアAT状態へ移行する。このプレミアAT状態を維持する期間は、該プレミアAT状態で実行されるゲーム回数により規定され、上記の第一プレミアAT当選時処理(ステップS110)と第二プレミアAT当選時処理(ステップS112)とで設定される。そして、プレミアAT状態が開始してから、設定されたゲーム回数を消化満了すると、該プレミアAT状態を終了して、通常遊技状態に移行する。このプレミアAT状態を維持するゲーム回数には、例えば、2000回が設定される。一方、上記のノーマルAT抽選処理でノーマルAT抽選に当選した場合には、上述したノーマルAT状態に移行する。ノーマルAT状態を維持する期間は、該ノーマルAT状態で実行されるゲーム回数により規定され、上記のノーマルAT当選時処理(ステップS115)で設定される。そして、ノーマルAT状態が開始してから、設定されたゲーム回数を消化満了すると、該ノーマルAT状態を終了して、通常遊技状態に移行する。このノーマルAT状態を維持するゲーム回数には、例えば、50回が設定される。
【0041】
こうしたプレミアAT状態やノーマルAT状態は、上述したように、停止順序報知画像51の表示によって高頻度で小役に入賞可能となるため、各状態を維持する期間として規定されるゲーム回数が多いほど、遊技者は多くのメダルを獲得できる。すなわち、プレミアAT状態は、ノーマルAT状態に比して極めて移行し難い(当選確率が極めて低い)ものの、一旦移行すれば(当選すれば)、著しく多量のメダルを獲得することが可能である。換言すれば、プレミアAT状態は、通常遊技状態やノーマルAT状態に比して、最も多くの利益を獲得でき、遊技者にとって最も有利な遊技状態である。尚、プレミアAT状態が、本発明にかかる特定の有利遊技状態であり、ノーマルAT状態が、該特定の有利遊技状態以外の有利遊技状態である。
【0042】
また、上記した第一プレミアAT当選時処理(ステップS110)では、プレミアAT状態において、画像表示装置10で表示する有利遊技演出画像55を設定し、該有利遊技演出画像55を表示するためのコマンド信号をサブ制御基板21に送信する。一方、上記した第二プレミアAT当選時処理(ステップS112)では、プレミアAT状態において、画像表示装置10で表示する警戒遊技演出画像56を設定し、該警戒遊技演出画像56を表示するためのコマンド信号をサブ制御基板21に送信する。サブ制御基板21は、こうしたコマンド信号を受信すると、予め設定された演出パターンのなかから、前記コマンドに基づいて有利遊技演出画像用または警戒演出演出画像用の演出パターンを選択し、当該演出パターンによる画像を表示させるためのコマンドを画像制御基板22に送信する。画像制御基板22では、サブ制御基板21からのコマンドに従って、有利遊技演出画像55または警戒遊技演出画像56を画像表示装置10の表示画面に表示させる。
尚、サブ制御基板21と画像制御基板22とにより、本発明にかかる演出制御手段が構成されており、画像表示装置10により、本発明にかかる遊技演出装置が構成されている。そして、有利遊技演出画像55により、本発明にかかる有利遊技演出が実現され、警戒遊技演出画像56により、本発明にかかる警戒遊技演出が実現される。この警戒遊技演出画像56の表示が、本発明にかかる警戒報知である。
【0043】
ここで、有利遊技演出画像55および警戒遊技演出画像56は、いずれもプレミアAT状態を盛り上げる演出画像であり、両者の背景のみが異なるように設定されている。例えば、有利遊技演出画像55は、
図9(a)のように朝日を背景とする画像であるのに対して、警戒遊技演出画像56は、
図9(b)のように夕日を背景とする画像である。こうした有利遊技演出画像55と警戒遊技演出画像56とは、背景が異なる以外は同じであることから、いずれが表示されても、遊技者が大きな違和感を生じ難い。
【0044】
こうしたプレミアAT状態は、第一プレミアAT当選時処理(ステップS110)と第二プレミアAT当選時処理(ステップS112)とのいずれにより移行されても、上述したように2000回のゲームを満了するまで維持される。そのため、第一プレミアAT当選時処理により移行した場合と第二プレミアAT当選時処理により移行した場合とで、遊技者が獲得可能な利益に差が無く、ノーマルAT状態や通常遊技状態に比して多大な利益を獲得できる。すなわち、プレミアAT状態は、第一プレミアAT当選時処理(ステップS110)により移行されたプレミアAT状態と、第二プレミアAT当選時処理(ステップS112)により移行されたプレミアAT状態とでは、画像表示装置10で有利遊技演出画像55または警戒遊技演出画像56が表示されるという違いがあるものの、遊技者が獲得可能な利益に差は生じない。
【0045】
さらに、上記のノーマルAT当選時処理(ステップS115)では、ノーマルAT状態において、画像表示装置10で表示する所定の演出画像を設定し、該演出画像を表示するためのコマンド信号をサブ制御基板21に送信する。ノーマルAT当選時処理で設定される演出画像は、ノーマルAT状態を盛り上げる演出画像であり、上記したプレミアAT状態の有利遊技演出画像55と警戒遊技演出画像56とは異なる画像として設定されている。尚、サブ制御基板21は、前記コマンド信号を受信すると、これに従って演出パターンを選択する。そして、画像制御基板22が、該演出パターンに従って演出画像を表示する。
【0046】
また、上記の警戒信号出力処理(ステップS111)は、警戒時間用計時タイマの値が「0」よりも大きい状態でプレミアAT抽選に当選した場合に、警戒信号をホール管理装置61に送信する処理である。この警戒信号は、プレミアAT抽選の当選に不正行為の関与が疑われることを示す情報を含む信号として設定される。
【0047】
一方、メイン制御基板20は、1.8ミリ秒の間隔でCPUに割り込みを発生させ、この割り込みの発生毎に、
図6の割込制御処理を実行する。すなわち、この割込制御処理は、1.8ミリ秒間隔で実行される。割込制御処理では、先ず、ステップS201で、上記の休止時間用計時タイマの値が「0」よりも大きい場合(休止時間用計時タイマ>0)に、該タイマから1を減算する処理を実行する。尚ここで、休止時間用計時タイマの値が「0」の場合(休止時間用計時タイマ=0)には、前記の減算処理を実行せずに、該タイマが「0」値で維持される。次に、ステップS202で、休止時間用計時タイマを確認し、該タイマの値が「0」の場合にはステップS203に移行し、該タイマの値が「0」よりも大きい場合にはステップS204に移行する。ステップS203では、警戒フラグをONとする。また、ステップS204では、上記の警戒時間用計時タイマの値が「0」よりも大きい場合(警戒時間用計時タイマ>0)に、該タイマから1を減算する処理を実行する。尚ここで、警戒時間用計時タイマの値が「0」の場合(警戒時間用計時タイマ=0)には、前記の減算処理を実行せずに、該タイマが「0」値で維持される。
【0048】
このように1.8ミリ秒間隔で実行される割込制御処理によって、休止時間用計時タイマおよび警戒時間用計時タイマは時限消化される。休止時間用計時タイマは、上記したメイン制御処理でゲームの実行毎に初期値が設定されることから(ステップS123)、ゲームが繰り返し連続的に行われている状態では、割込制御処理で減算されても該タイマが「0」より大きい値で維持される(
図8参照)。逆に、ゲームが実行されなければ、休止時間用計時タイマが段々と減少していくことから、終には該タイマの値が「0」に達する。そして、休止時間用計時タイマが「0」値を維持している状態では、ゲームが実行されずに、遊技を休止している状態となる。このように休止時間用計時タイマは、遊技の継続状態と遊技の休止状態とを判別するためのものであり、その初期値が遊技継続か遊技休止かを判断する所謂閾値として設定される。そして、休止時間用計時タイマの初期値は、割込制御処理の実行間隔(1.8ミリ秒間隔)に基づいて、所定時間(例えば、5分間や10分間)の経過により「0」となる値に設定することができる。このように休止時間用計時タイマの初期値設定と時限消化(減算処理)とを行うことにより、ゲームが一度も実行されない時間が、前記の所定時間経過した場合には、遊技休止と判断し、一方、ゲームが時間されない時間が、前記の所定時間未満の場合には、遊技の継続中と判断する。
【0049】
ここで、割込制御処理では、上述したように、休止時間用計時タイマの値が「0」となると、警戒フラグをONとする。この警戒フラグは、休止時間用計時タイマが「0」値を維持する状態で、警戒フラグのONが維持される。すなわち、この警戒フラグがONである状態が、遊技休止の状態であり、該警戒フラグのON又はOFFによって、遊技休止か否かを判断する。尚、遊技休止とは、例えば、遊技者が遊技を終了してスロットマシン1から離れ、次の遊技者を待っている状態である。
【0050】
上記の警戒時間用計時タイマは、警戒フラグがONとなっている状態でゲームが開始された場合に、上記したメイン制御処理で初期値が設定される(ステップS104)。これは、遊技休止の状態(休止時間用計時タイマの値が「0」の状態)でゲームが開始された際に、警戒時間用計時タイマの初期値が設定されることを示す。そして、警戒時間用計時タイマは、その初期値が設定されると、1.8ミリ秒間隔で実行される上記の割込制御処理により段々と減少していき(
図8参照)、終には該タイマの値が「0」に達する。すなわち、警戒時間用計時タイマは、遊技休止の状態から遊技開始された場合に、遊技の開始時点から所定の時間が経過するまでの遊技開始期間を規定する。ここで、警戒時間用計時タイマは、その初期値を、所定時間(例えば、3分間や5分間)の経過により「0」となる値に設定することができる。そして、警戒時間用計時タイマの初期値が、遊技開始期間の長さを定めており、割込制御処理により該警戒用計時タイマを減算している間が、該遊技開始期間中となる。
【0051】
また、遊技場の開店の際に、スロットマシン1の電源がONされた場合には、
図7の電源投入時制御処理を実行する。電源投入時制御処理では、ステップS301で、警戒フラグをONとする。これにより、遊技場の開店時に電源が投入されてからゲームが開始されるまでは、上記の遊技休止と同じとみなす。そして、ゲームが開始されると、上記のメイン制御処理で警戒時間用計時タイマの初期値が設定されることから(ステップS104)、遊技開始期間が開始される。
【0052】
遊技開始期間では、上記したメイン制御処理のプレミアAT抽選処理によりプレミアAT抽選に当選すると、警戒信号出力処理(ステップS111)と第二プレミアAT当選時処理(ステップS112)とが実行される。すなわち、警戒信号がホール管理装置61に送信されると共に、プレミアAT状態で表示する警戒遊技演出画像56を設定する。
ここで、ホール管理装置61は、警戒信号を受信すると、該警戒信号の送信元であるスロットマシン1(機台)を特定し、不正行為の発生が疑われる該スロットマシン1を示す所定の警報を発生させる。この警報は、遊技場の係員のみが知得できるように、例えば、該係員のみ入ることができるカウンター内や管理室などで、警報ランプを点灯または点滅させたり、警報音を発生させることによって行う。遊技場の係員は、こうした警報によって、不正行為が疑われる当選が発生したこと、および該不正行為が疑われるスロットマシン1を知得できる。
また、警戒遊技演出画像56は、上述したように、有利遊技演出画像55と背景が異なることから、遊技場を巡回する係員が、プレミアAT状態の画像表示装置10をチェックすることによって比較的容易に認識可能である。そして、遊技場の係員は、警戒遊技演出画像56の表示が不正行為を疑うものであることを予め知っていることから、該警戒遊技演出画像56の表示によって当該スロットマシン1で不正行為の発生が疑われることを知得できる。
【0053】
このように本実施例1の構成では、
図8のように、遊技者による遊技が開始されると、該遊技開始に伴って遊技開始期間を開始し、該遊技開始期間中にプレミアAT抽選に当選した場合に、該当選に不正行為の関与を疑い、これを遊技場に報知するようにしている。遊技場の係員は、こうした報知によって不正行為が疑われる当選が発生したこと、および該不正行為が疑われるスロットマシン1を知得できる。そして、遊技場の係員は、予め定められている対応マニュアル等に従って、不正行為の発生が疑われるスロットマシン1およびその遊技者に対して所定の対処を実施できる。
【0054】
尚、遊技開始期間中に、プレミアAT抽選の当選が発生しなければ、当然ながら、上記した警戒信号の発生や警戒遊技演出画像56の表示が行われない。また、遊技開始期間の終了後にプレミアAT抽選の当選した場合には、第一プレミアAT当選時処理(ステップS110)が実行され、プレミアAT状態で有利遊技演出画像55を表示する。
【0055】
こうした本実施例にあって、上記の遊技開始期間中におけるプレミアAT抽選の当選を、不正行為の発生を疑う対象としたことについて、以下(1)〜(4)で説明する。
(1)先ず、不正に利益を獲得しようとする不正行為者は、自らの不正行為が露見することなく、利益を獲得し、できるだけ早く逃去することを望む。そのため、不正行為は、遊技開始から短い時間内で実行される傾向が強く、不正行為者は、所望の利益を獲得すると、直ぐに逃走しようとする。こうした知見に基づいて、不正行為の実施が疑われる可能性が高い期間を、遊技開始に伴って期間開始される遊技開始期間に設定した。
(2)プレミアAT抽選の当選により移行するプレミアAT状態では、上述したように、他の遊技状態(通常遊技状態、ノーマルAT状態など)に比して、遊技者が著しく多くの利益を獲得可能である。そのため、プレミアAT抽選に一度当選すれば、多大な利益の獲得が約束されたこととなる。具体的には、ノーマルAT状態では、停止順序報知画像51が表示されるゲーム回数が50回であることに対して、プレミアAT状態では、該ゲーム回数が2000回であることから、単純に比較して、プレミアAT状態となった場合には、ノーマルAT状態の40倍の利益を獲得可能となる。こうしたことから、プレミアAT抽選が、不正に利益を得ようとする不正行為者に狙われ易く、さらに、該プレミアAT抽選が不正に当選された場合には遊技場が被る損害が、極めて大きくなる。
(3)プレミアAT抽選の当選確率は、上述したように、極めて低く、具体的には1/8000に設定されており、ノーマルAT抽選の当選確率(1/400)に比べても著しく低い。そのため、遊技開始から直ぐに、プレミアAT抽選に当選する可能性は、極めて低い。すなわち、遊技開始から遊技開始期間(例えば、3分間や5分間)が経過するまでの間で、プレミアAT抽選に当選した場合には、該当選が不正行為に因るものである可能性が極めて高いと考えられる。
(4)前記(1)〜(3)を考慮すれば、不正行為者に狙われ易く且つ不正行為により大きな損害を被るプレミアAT抽選の当選は、該不正行為の防止に最も効果があると考えられる。そして、不正行為が行われ易い期間(遊技開始期間)で、当選確率が極めて低いプレミアAT抽選の当選があった場合、該当選に不正行為の疑いが高いと判断できる。
【0056】
上述したように、本実施例1のスロットマシン1は、遊技開始期間中にプレミアAT抽選に当選した場合に、不正行為の発生を疑って、警戒信号をホール管理装置61に送信すると共に画像表示装置10で警戒遊技演出画像56を表示し、遊技場に報知するようにしたものである。かかる実施例の構成によれば、遊技場は、警戒信号を受信したホール管理装置61を介して、または/および画像表示装置10で表示された警戒遊技演出画像56を視認することによって、不正行為発生の可能性を知得でき、そのスロットマシン1と遊技者に対して適切な対処を行うことができる。これにより、不正にプレミアAT抽選に当選するという不正行為が行われた場合に、該不正行為の発生を直ぐに見つけることができ、該不正行為を抑制することができる。ここで、警戒信号はホール管理装置61に送信され、遊技場は該ホール管理装置61を介して不正行為発生の可能性を知得することから、該不正行為が疑われていることを遊技者は気付かない。さらに、警戒遊技演出画像56は、上述したように通常の有利遊技演出画像55と背景が異なるだけであることから遊技者が違和感を生じ難く、通常と同様に遊技を進行可能である。そのため、警戒遊技演出画像56の有する意味合いを遊技者が予め知っていなければ、該遊技者は、該警戒遊技演出画像56の表示に何ら不信感を生じることなく、通常通り遊技を継続できるため、不正行為が疑われていることを気付き難い。したがって、実際に不正行為が行われた場合には、不正行為者に対して適切な対処を実行し易く、一方、正常な遊技であった場合には、プレミアAT状態での遊技を邪魔することが無い。
【0057】
さらに、本実施例1では、不正行為発生の可能性があるという判断を、遊技開始期間中にプレミアAT抽選に当選することによって行っている。すなわち、この判断は不正行為の手法に限定されないことから、いかなる手法により不正行為が行われた場合にも、遊技場は該不正行為の発生を知得できる。したがって、本実施例の構成によれば、プレミアAT抽選を不正に当選させるいかなる不正行為も抑制できることから、様々な手法の不正行為に対する対策を必ずしも必要とせず、該不正行為の対策に要する遊技場や遊技機メーカーの負担を軽減することができる。
【実施例2】
【0058】
図10,11は、実施例2のメイン制御処理の制御内容を示したものであり、該メイン制御処理の各ステップS501〜S524の詳細は下記の通りである。尚ここで、本実施例2のメイン制御処理は、下記のステップS504,S509,S516以外は上述した実施例1のメイン制御処理の各ステップと同様の処理を行う。
S501:規定数(一回の遊技を実行するために必要なメダルの投入枚数)の賭け数が設定されるまで待機する。
S502:スタートスイッチ6が操作されるまで待機する。
S503:警戒フラグを確認し、該警戒フラグがONである場合はステップS504へ移行し、OFFである場合はステップS506へ移行する。
S504:警戒ゲーム計数用カウンタに、予め定められた初期値を設定する。この初期値により、後述する遊技開始期間が規定される。
S505:警戒フラグをOFFとする。
S506:役抽選処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS106と同様の処理を行う。
S507:プレミアAT抽選処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS107と同様の処理を行う。
S508:プレミアAT抽選処理による当落判定結果を確認し、プレミアATに当選の場合にはステップS509へ移行し、ハズレ(落選)の場合にはステップS513へ移行する。
S509:警戒ゲーム計数用カウンタを確認し、該警戒ゲーム計数用カウンタの値が「0」の場合(警戒ゲーム計数用カウンタ=0)にはステップS510へ移行し、該警戒ゲーム計数用カウンタの値が「0」より大きい場合(警戒ゲーム計数用カウンタ>0)にはステップS511へ移行する。
S510:第一プレミアAT当選時処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS110と同様の処理を行う。
S511:警戒信号出力処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS111と同様の処理を行う。
S512:第二プレミアAT当選時処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS112と同様の処理を行う。
S513:ノーマルAT抽選処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS113と同様の処理を行う。
S514:ノーマルAT抽選処理による当落判定結果を確認し、ノーマルATに当選の場合にはステップS515へ移行し、ハズレ(落選)の場合にはステップS516へ移行する。
S515:ノーマルAT当選時処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS115と同様の処理を行う。
S516:警戒ゲーム計数用カウンタの値が「0」より大きい場合(警戒ゲーム計数用カウンタ>0)に、該カウンタから1を減算する処理を実行する。こうして、ゲームが一回行われる毎に警戒ゲーム計数用カウンタを1を減算する。そして、警戒ゲーム計数カウンタの初期値の設定から該カウンタの値が「0」となるまでの間が、遊技開始期間である。
S517:リール回転処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS116と同様の処理を行う。
S518:ストップスイッチ7a〜7cが操作されるまで待機する。
S519:ストップスイッチ7a〜7cが操作されると、リール回転停止処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS118と同様の処理を行う。
S520:全てのリール9a〜9cが停止するまで待機する。
S521:停止図柄判定処理を実行する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS120と同様の処理を行う。
S522:上記の停止図柄判定処理でメダルを払い出す役に入賞した場合には、ステップS523へ移行し、メダルを払い出さない役に入賞した場合またはハズレ判定した場合には、ステップS524へ移行する。
S523:払出処理を実行し、メダルを払い出す。
S524:休止時間用計時タイマに、予め定められた初期値を設定する。上記した実施例1のメイン制御処理のステップS123と同様の処理を行う。
【0059】
また、本実施例2にあっても、メイン制御基板20は、1.8ミリ秒の間隔でCPUに割り込みを発生させ、この割り込みの発生毎に、
図12の割込制御処理を実行する。割込制御処理では、先ず、ステップS601で、上記の休止時間用計時タイマの値が「0」より大きい場合(休止時間用計時タイマ>0)に、該タイマから1を減算する処理を実行する。尚ここで、休止時間用計時タイマの値が「0」の場合(休止時間用計時タイマ=0)には、前記の減算処理を実行せずに、該タイマが「0」値で維持される。次に、ステップS602で、休止時間用計時タイマを確認し、該タイマの値が「0」の場合にはステップS603に移行し、該タイマの値が「0」より大きい場合には割込制御処理を終了する。ステップS603では、警戒フラグをONとする。本実施例2の割込制御処理は、上述した実施例1の割込制御処理のS204を具備しない以外は同じであり、各ステップで同じ処理を実行する。
【0060】
また、本実施例2にあっても、上述した実施例1と同様の電源投入時制御処理(
図7)を実行する。
【0061】
上記した
図10,11のメイン制御処理では、警戒フラグがONとなっている状態でゲームが開始された場合に、警戒ゲーム計数用カウンタに初期値が設定される(ステップS504)。そして、警戒ゲーム計数用カウンタは、その初期値が設定されると、ゲーム一回毎に1づつ減少することから、遊技休止から開始されたゲームの実行数が増加するにしたがって段々と減少していき、終には該カウンタの値が「0」となる。すなわち、警戒ゲーム計数用カウンタは、遊技休止の状態から遊技開始された場合に、遊技の開始時点から所定回数のゲームが実行されるまでの遊技開始期間を規定する。ここで、警戒ゲーム計数用カウンタは、その初期値を所定数値(例えば、20回や30回)に設定することができ、該初期値により遊技開始期間を定めている。そして、警戒ゲーム計数用カウンタを減算している間が、遊技開始期間中となる。
【0062】
このように本実施例2の構成にあっては、遊技開始期間を、遊技休止(又は電源投入時)から開始されたゲームの実行回数(警戒ゲーム計数用カウンタ)により規定するようにした以外は、上述した実施例1と同様である。そのため、警戒ゲーム計数用カウンタの初期値設定と減算処理以外の処理内容については、上述した実施例1と同様の処理を行い、その説明を省略する。
【0063】
本実施例2の構成は、プレミアAT抽選の当選に不正行為を疑う遊技開始期間を、所定回数のゲームを実行する期間として設定した構成であり、この遊技開始期間中にプレミアAT抽選に当選すると、不正行為の発生を疑って、警戒信号をホール管理装置61に送信すると共に画像表示装置10で警戒遊技演出画像56を表示し、遊技場に報知するようにしたものである。すなわち、遊技開始から、警戒ゲーム計数用カウンタの初期値により規定される比較的少ない回数(例えば、20回や30回)のゲームが実行されるまでに、極めて当選確率が低い(1/8000)のプレミアAT抽選に当選した場合には、該当選に不正行為の関与を疑って、これを遊技場に報知するようにしている。本実施例2の構成にあっても、遊技場は、警戒報知により、不正行為発生の可能性を知得でき、そのスロットマシン1と遊技者に対して適切な対処を行うことができる。したがって、本実施例2の構成は、上述した実施例1の構成と同様の作用効果を奏する。
【0064】
尚、上述した実施例2の構成にあって、警戒ゲーム計数用カウンタの初期値には、「1」を設定することも可能である。すなわち、遊技休止の状態から遊技開始された際における最初のゲームのみを、不正行為を疑う対象として設定することができる。この場合には、遊技開始期間は一回のゲームを実行する期間となる。
【0065】
一方、上述した実施例1,2の構成にあっては、遊技開始期間中にプレミアAT抽選の当選があった場合に警戒報知を実行するようにした構成であるが、これに限定されず、例えば、プレミアAT状態が設定されていないスロットマシンに適用することも可能である。例えば、遊技者に最も有利な遊技状態としてノーマルAT状態が設定された構成では、遊技開始期間中にノーマルAT抽選に当選すると、警戒報知を実行するように制御する。また、プレミアAT状態やノーマルAT状態が設定されていないスロットマシンに適用することもでき、例えば、遊技状態としてボーナス状態が設定された構成に適用可能である。具体的には、ビックボーナス状態やレギュラーボーナス状態等の複数のボーナス状態が設定された構成の場合、最も遊技者に有利なビックボーナス状態への移行条件(有利移行条件)の成立を、遊技開始期間中における不正行為を疑う対象として設定することが好適である。また、プレミアART状態(アシストリプレイタイム)やノーマルART状態が設定されている構成にあっては、最も遊技者に有利なプレミアART状態への移行条件(有利移行条件)の成立を、遊技開始期間中における不正行為を疑う対象として設定することが好適である。さらにまた、こうしたプレミアAT状態、ノーマルAT状態、各ボーナス状態、プレミアART状態、ノーマルART状態のいずれか複数の遊技状態が設定された構成の場合には、その中で最も遊技者に有利な遊技状態への移行条件の成立を、遊技開始期間中における不正行為を疑う対象として設定できる。すなわち、通常、スロットマシンには、遊技者に有利な有利遊技状態が複数設定されていることから、その中で最も有利な有利遊技状態への有利移行条件の成立を、不正行為を疑う対象として設定することが好適である。
【0066】
また、上述した実施例1,2の構成にあっては、遊技開始期間中にプレミアAT抽選の当選があった場合に、ホール管理装置61への警戒信号の出力と、画像表示装置10での警戒遊技演出画像56の表示とを実行するようにしたものであるが、これに限らず、該警戒信号の出力と警戒遊技演出画像56の表示とのいずれか一方のみを実行するようにしても良い。いずれか一方のみを実行する構成であっても、上述した実施例1,2の作用効果は十分に発揮され得る。
【0067】
また、上述した実施例1,2の構成にあっては、遊技開始期間中にプレミアAT抽選の当選があった場合に、画像表示装置10で、有利遊技演出画像55と背景のみが異なる警戒遊技演出画像56を表示するようにしたものであるが、これに限らず、様々な警戒遊技演出画像を設定可能である。例えば、警戒遊技演出画像は、有利遊技演出画像と背景色のみが異なる画像としたり、一部のキャラクタ色のみを異なる画像としたりすることができる。さらには、警戒遊技演出画像では、有利遊技演出画像で登場しない特定のキャラクタを登場させることのみが異なるようにしても良い。また、プレミアAT状態で実行する有利遊技演出および警戒遊技演出を、画像表示装置10で表示する演出画像の他に、音声やランプの発光により実行する演出として設定することも可能である。すなわち、所定の音声パターンにより発生する音声を有利遊技演出とし、これと異なる音声パターンにより発生する音声を警戒遊技演出として設定することができる。この場合には、スピーカ15(
図3参照)が、本発明の遊技演出装置である。また、有利遊技演出と警戒遊技演出とをランプの発光により実行する場合も、前記音声と同様に設定でき、この場合には演出用ランプ14(
図3参照)が本発明の遊技演出装置である。
【0068】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。