特許第5760145号(P5760145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5760145自己免疫障害を治療するための組成物およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5760145
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】自己免疫障害を治療するための組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20150716BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20150716BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20150716BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20150716BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150716BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20150716BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20150716BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20150716BHJP
   A23L 1/30 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
   A61K31/7048
   A61K36/48
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K9/14
   A61K9/10
   A61K9/08
   A61K9/72
   A61K9/107
   A61K9/16
   A61K9/06
   A61K9/70 401
   A61P13/12
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P37/02
   A61P7/04
   A61K31/353
   A23L1/30 B
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-508880(P2014-508880)
(86)(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公表番号】特表2014-518856(P2014-518856A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】IB2011052592
(87)【国際公開番号】WO2012150486
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2013年12月27日
(31)【優先権主張番号】1367/MUM/2011
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】513143951
【氏名又は名称】インダス・バイオテック・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スニル・バースカラン
(72)【発明者】
【氏名】モハン・ヴィシュワラマン
【審査官】 ▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−527326(JP,A)
【文献】 特表2007−512219(JP,A)
【文献】 特開2008−195703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 36/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリゴネオシドIbおよびビセニン-1と、任意選択で少なくとも1つの添加剤からなる組成物。
【請求項2】
トリゴネオシドIbが40%(w/w)から90%(w/w)の濃度の範囲であり、ビセニン-1が1%(w/w)から20%(w/w)の濃度の範囲であり、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1が、植物コロハから得られる、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
添加剤が、造粒剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁剤、乳化剤、セルロース材料および球状化剤またはこれらの任意の組合せを含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、散剤、シロップ剤、液剤、エアゾール剤、懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセルに入った乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、リニメント剤、軟膏剤、皮膚パッチ剤、フィトシューティカル、栄養補助食品および食品を含む群から選択される剤形に製剤化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
トリゴネオシドIbおよびビセニン-1と、任意選択で少なくとも1つの添加剤からなる組成物の調製方法であって、
a.トリゴネラ種子をフレーク状にする行為、
b.フレーク状のトリゴネラ種子を溶媒混合物により抽出し、それに続いてろ過および濃縮して半固体塊を得る行為、
c.前記塊を溶解して透明な溶液を得る行為、
d.前記透明な溶液をn-ブタノールで向流抽出して水層およびブタノール層を含む溶液を得る行為、
e.前記水層をイオン交換樹脂および吸着カラムに通してトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む溶離液を得る行為、
f.前記溶離液を精製して自由流動性粉末を得る行為、および
g.任意選択で少なくとも1つの添加剤を加えて前記組成物を得る行為
を含む方法。
【請求項6】
前記種子が1mmから5mmの範囲のサイズにフレーク化される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
溶媒混合物が、脂肪族アルコールおよび水を1:1から9:1の比率で含み、脂肪族アルコールが、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコールまたはこれらの任意の組合せを含む群から選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記塊が脱イオン水に溶解された、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
精製を行って、90%から95%の範囲の純度を有するトリゴネオシドIbおよび90%から95%の範囲の純度を有するビセニン-1を得る方法であって、精製が、緩衝液処理とそれに続くアルコールまたは酸による処理、および濃縮して精製された自由流動性粉末を得るステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
濃縮が、40℃から80℃の範囲の温度において行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、40%(w/w)から90%(w/w)の濃度の範囲のトリゴネオシドIbおよび1%(w/w)から20%(w/w)の濃度の範囲のビセニン-1を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
添加剤が、造粒剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁剤、乳化剤、セルロース材料および球状化剤またはこれらの任意の組合せを含む群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
自己免疫障害の治療に使用するための、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1と、任意選択で少なくとも1つの添加剤からなる医薬組成物。
【請求項14】
自己免疫障害が、グッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病を含む群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
それを必要とする対象に投与するための組成物であり、対象が、動物またはヒトである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物が、動物では1mg/kgから100mg/kg、ヒトでは1mg/kgから50mg/kgの範囲の一日用量で投与される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記種子が2mmのサイズにフレーク化される、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
溶媒混合物が、脂肪族アルコールおよび水を4:1の比率で含む、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
濃縮が、50℃の温度において行われる、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む組成物ならびに前記組成物を得るための方法に関する。本開示はさらに、グッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫障害の治療および管理のための組成物の適用にも関する。
【背景技術】
【0002】
グッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫疾患は、細胞、組織、器官などに重度の損傷を引き起こす自己抗体の過剰な産生を実証するものである。これらの疾患は、自己抗原に対する身体の耐性の喪失およびそれに続発する損傷につながる免疫応答の活性化を特徴とする。遺伝的素因および環境因子はこれら疾患の支配的な原因である。
【0003】
グッドパスチャー病および糸球体腎炎は、毛細血管外糸球体腎炎に帰着する腎臓内糸球体基底膜(GBM)に沿った抗体の沈着を特徴とする。これらの疾患は通常、抗糸球体基底膜(抗-GBM)疾患と称される。抗-GBM疾患の患者の腎生存率はわずか10%である。グッドパスチャー病は、百万人に一人の割合で発生する希少疾患である。自己抗体仲介の腎損傷が、グッドパスチャー病における一番の懸念である。患者の中には、また肺出血をも発現する者もあるが、抗-GBM抗体によって肺に生じる損傷は永続的なものではなく、腎臓への損傷と比較すると致命的であることはまれである。
【0004】
グッドパスチャー病または糸球体腎炎の既存の治療法には、プラズマフェレーシスすなわち、循環している抗-GBM抗体を血液から除去する血漿交換法が含まれる。血液製剤への暴露のリスク、血腫、輸血反応、および輸血感染症が、プラズマフェレーシスに付随する主要な合併症である。他の治療の選択肢には、進行性腎不全および肺での出血に対処するために処方されるコルチコステロイドおよびシクロホスファミドなどの免疫抑制剤の投与が含まれる。これらの薬剤は、非特異的な方法で免疫応答を抑制し、患者が日和見感染症に罹る可能性を増大する。抗-GBM疾患に対する現在の治療法は、疾患を完全に抑制するものではない。疾患が最終段階の器官不全にまで進行すると、死亡リスクが高まる。
【0005】
関節リウマチ(RA)は、世界の人口の約1%が罹患している進行性の疾患であり自己抗体によって仲介される。グッドパスチャー病と同様に、RAは自己抗原に対する身体の耐性の喪失およびそれに続発する組織の損傷につながる免疫応答の活性化を特徴とする。滑膜、軟骨、および下層の骨関節を標的とする自己抗体の産生がRAの病理発生を定義する。関節の変形は重篤な身体障害および生活の質の低下をもたらす。一般的な症状には、関節痛、関節の硬直および腫脹、運動障害、筋力低下、発熱および全身的な体調不良が含まれる。血液中のC-反応性タンパク質およびリウマトイド因子のレベルの上昇はRAの診断指標である。既存のRA治療法には、ヒドロキシクロロキンなどの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、アザチオプリン、コルチコステロイド、選択的COX-2阻害薬、NSAID、および症状緩和のための鎮痛薬が含まれる。鎮痛薬、NSAIDの慢性的使用は、潰瘍を引き起こし、大部分の患者に低耐性が見られ、選択的COX-2阻害薬は、心毒性を伴う。
【0006】
免疫抑制剤はRAの主要な治療法である。先に論じたように、これらの薬剤は非特異的な方法で免疫応答を抑制し、生命を脅かす合併症を引き起こす。TNF抑制薬、すなわちアダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブなど、IL-1受容体拮抗薬、すなわちアナキンラ、およびIL-6受容体拮抗薬、すなわちトシリズマブなどの生物学的製剤は、RAの治療に広く用いられている。これらの薬剤は、サイトカイン受容体の拮抗薬として作用することにより、関節の炎症および関節の損傷を引き起こす生化学的経路に影響を及ぼすように設計されている。生物学的製剤の主要なデメリットの1つは、慢性的使用の患者がこれら薬剤に対して免疫性となり治療効果が減弱することである。その毒性プロフィールにより、これら薬剤のうちの多くが、他のRA療法に応答しない患者のみに推奨されるものである。
【0007】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、関節痛、発熱、疲労、皮膚病変、光線過敏症、胸痛、脱毛、口腔痛などの特徴に基づき臨床的に診断される多システムの自己免疫疾患であり、血液中の自己抗体および尿中の過剰な血清タンパク質の所見によって立証される。腎不全はSLEの主要な合併症の1つである。SLE患者の50%を超える数が糸球体における抗体の沈着のために腎不全を発現し、腎臓の透析または移植を必要とする。自己抗体に仲介される他の合併症には、肺、心臓への損傷、溶血性貧血、血小板減少症、脳機能障害などが含まれる。SLEに対する既存の治療の選択肢には、NSAID、抗マラリア薬、コルチコステロイドならびに筋骨格および皮膚の徴候を軽減するためのメトトレキサートが含まれる。米国食品医薬品局(USFDA)によれば、現在のSLEの治療法には、疾患を完全に抑制できないこと、末期臓器不全への進行および衰弱をもたらす副作用といった問題がある(Guidance for Industry: Systemic Lupus Erythematosus-Developing Medical Products for Treatment、2010年6月)。
【0008】
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板の極端な減少によって起こる出血性疾患である。ITPは、炎症、SLEなどの免疫障害、ある種の薬剤、妊娠などによって誘発されることがある。ITPの病理発生の正確なメカニズムは、未だ明らかではないが、ITP患者の50%を超える数が血小板関連抗体の試験において陽性であったことから、ITPは、抗血小板抗体による血小板の破壊に大いに起因する(Gernsheimer、2009年)。ITPに対する既存の治療の選択肢には、(i)コルチコステロイドおよび免疫グロブリン静注などの抗体被覆血小板のクリアランスを妨げる薬剤、(ii)アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリンなどの薬剤による非特異的T-細胞免疫抑制、(iii)抗体合成を妨げるミコファール酸モフェチルおよびリツキシマブなどの生物学的製剤、(iv)脾臓切除および循環している抗血小板抗体を除去するプラズマフェレーシス処置、(v)血小板輸血および骨髄移植などによる血小板数の増加、が含まれる。上記の治療選択肢には全て、免疫抑制、輸血反応のリスクを伴う血液製剤への暴露および/または輸血感染症および血腫などの副作用のおそれがある。
【0009】
グッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫障害に対する既存の治療選択肢が有するデメリット故に、これらの慢性的で生命を脅かす疾患を解消するための副作用の少ないより効果的な療法を研究および開発することは、製薬会社にとって必要不可欠である。
【0010】
Malireddy S. Reddy他による米国特許第6080401号は、コロハ(Trigonella foenum-graecum)をその1つとするいくつかの草本の混合物からなる組成物の、多種多様な疾患、すなわち貧血、関節炎、便秘、うつ病、糖尿病、胃腸障害、痔疾患、肝炎、高血圧、インポテンス、過体重、歯周病およびこれらの組合せ、の治療のための、いくつかの生菌製剤の混合物を伴っての使用を記載している。
【0011】
Chaim Liebermanによる米国特許第5707631号は、コレステロールの低下、関節炎、血圧およびアルツハイマー病の治療のために用いる、コロハ、シジギウム・アロマティウム(Syzygium aromatium)果実、ニンニク(Allium sativum)根、セイロンニッケイ(Cinnamon zeylanicum)樹皮、サウスレア・コスタス(Saussurea costus)根およびホルトソウ(Euphorbia lathyrus)芽からなる草本組成物の製剤を開示している。しかし、この特許文書は、この特許におけるこの組成物の関節炎に対するいかなる作用に関しても当業者が理解をし、実施できるようないかなる証拠をも開示していない。
【0012】
Chopra他(2010年)は、最近、コロハ(フェヌグリーク)抽出物をボスウェリア・セラタ(Boswellia serrata)(サライグッグル)、リナム・ウシタティスシムム(Linum usitatissimum)(亜麻仁)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)(緑茶)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)(ウコン)、ハマビシ(Tribulus terrestris)(ゴクシュラ)およびピペル・ニグルム(Piper nigrum)(黒コショウ)の抽出物とともに含み、RA治療に使用される多草本(poly-herbal)組成物を発表している。
【0013】
Khan他(2011)はニゲラ・サチバ(Nigella sativa)、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)、サルトリイバラ(Smilax china)、セロリ(Apium graveolens)、コロハ、ショウガ(Zingiber officinale)およびイヌサフラン(Colchicum autumnale)を含む関節リウマチの治療のための草本組成物を臨床的に評価した。
【0014】
前記に論じた先行技術は全て、いくつかの草本を含む組成物を開示しており、コロハが本件出願の特許請求の有益な効果に寄与していることを立証することは困難である。
【0015】
コロハ、すなわちフェヌグリークは、最も一般的に伝承医薬に使用されている。フェヌグリーク種子の抽出物は、糖尿病、痛風、胃潰瘍、下痢、便秘などの種々の疾患の治療に関して研究されている。Ahmadiani他(2001)は、フェヌグリークの抗炎症および解熱作用を研究した。Vyas他(2008)は、フェヌグリーク種子の抽出物が鎮痛および抗炎症作用を有することを示した。これらの研究は、本件出願の特許請求の作用に寄与しているフェヌグリーク種子中の特定の成分または化学組成について例示または教示はしていない。
【0016】
フェヌグリーク種子は、数多くの化学物質、すなわち、トリゴネリン(Trigonelline)、ゲンチアニン、カルパイン、コリンなどのアルカロイド;4-ヒドロキシイソロイシン、ヒスチジン、リジン、アルギニンなどのアミノ酸;フラボノイド-ルテオリン、ケルセチン、ビテキシン、イソビテキシン、オリエンチン、イソオリエンチン、ビセニン-1、ビセニン-2;フロスタノールサポニン-トリゴネロシドC、トリゴフェノシド、トリゴネオシド、フェヌグリンB;スピロスタノールサポニン-グラエクニン、フェヌグリーキン;サポゲニン-ジオスゲニン、ヤモゲニン、ユッカゲニン、リラゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、ギトゲニン、ネオギトゲニン、サルササポゲニン、スミラゲニン;アントシアニン;線維-ガム;その他のフェノール成分-トリゴクマリン、スコポレチン、クロロゲン酸、カフェー酸およびp-クマル酸;脂質;ビタミンおよび微量の無機成分から構成される。
【0017】
本開示の主要な実施形態は、グッドパスチャー病、糸球体腎炎および関節リウマチなどの自己免疫障害の治療のためのトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む組成物である。本開示の新規性および発明性は、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1の独特な組成に存在している。トリゴネオシドIbは、フェヌグリーク種子中に存在する数多くのフロスタノールサポニンのうちの1つとして報告されている。トリゴネオシドIbの構造を図1に示す。Yoshikawa他(1997)およびMurakami他(2000)は、フェヌグリーク中に存在する全てのトリゴネオシドを特徴付け、これら分子の13C NMR、1H NMRおよび[α]Dのデータを報告している。トリゴネオシドIa、IbおよびXIbは、分子量906の構造異性体であり同等のNMRデータと異なる[α]Dデータを有する。特定の異性体の同定は、酸加水分解を用いて行うことができ、酸加水分解によりトリゴネオシドIaはネオギトゲニンとなり、トリゴネオシドIbはギトゲニンとなり、トリゴネオシドXIbは、L-ラムノースとなる。
【0018】
フェヌグリーク種子中には、数多くのフラボノイド配糖体、すなわち、ビテキシン、イソビテキシン、オリエンチン、イソオリエンチン、ビセニンなど、が存在する。これらのフラボノイドについては、抗酸化、抗甲状腺、抗アポトーシス(anti-apoptic)、抗炎症、抗侵害受容、抗不安など種々の生理活性が研究されている。本開示は、フラボノイド配糖体の1つであるビセニン-1に関する。フェヌグリーク中のビセニン-1の存在は、Wagner他(1973)によって報告されている。ビセニン-1の構造を図2に示す。ビセニン-1を含む他の植物種は、リナム・ウシタティスシムム、バラモンジン(Tragopogon porrifolius)およびコムギ(Triticum aestivum)である。Sato他(2010)は、ビセニン-1の合成方法を開示し、合成および天然由来のビセニン-1の13C NMRの比較データを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第6080401号
【特許文献2】米国特許第5707631号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Guidance for Industry: Systemic Lupus Erythematosus-Developing Medical Products for Treatment、2010年6月
【非特許文献2】Health Assessment Questionnaire(HAQ)、発行Kumar他(Rheumatology, Vol. 41, 1457〜1459頁、2002年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本開示は、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を任意選択で少なくとも1つの許容可能な添加剤とともに含む組成物;トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を任意選択で少なくとも1つの添加剤とともに含む組成物の調製方法であって、a)トリゴネラ(Trigonella)種子をフレーク状にする行為、b)フレーク状のトリゴネラ種子を溶媒混合物により抽出し、それに続いてろ過および濃縮して半固体塊を得る行為、c)塊を溶解して透明な溶液を得る行為、d)透明な溶液をn-ブタノールで向流抽出して水層およびブタノール層を含む溶液を得る行為、e)水層をイオン交換樹脂および吸着カラムに通してトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む溶離液を得る行為、f)溶離液を精製して自由流動性粉末を得る行為、およびg)任意選択で少なくとも1つの添加剤を加えて組成物を得る行為を含む方法;ならびにトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を任意選択で少なくとも1つの添加剤とともに含む組成物を、それを必要とする対象に投与する行為を含む、自己免疫疾患を治療する方法、に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1はトリゴネオシドIbの構造を示す。
図2図2はビセニン-1の構造を示す。
図3図3は46%トリゴネオシドIbおよび6%ビセニン-1のHPLCクロマトグラムを示す。
図4図4は76%トリゴネオシドIbおよび15%ビセニン-1のHPLCクロマトグラムを示す。
図5図5は91%トリゴネオシドIbおよび5%ビセニン-1のHPLCクロマトグラムを示す。
図6図6は、糸球体炎誘導ラットの腎臓の病理組織学的画像を示す;(右)GBMコントロール群;(左)GBM+試験組成物(75mg/kg)群;(1)尿形成スペース;(2)糸球体の破壊;(3)尿細管腫脹;(4)尿細管円柱;(5)細胞浸潤;(6)糸球体炎免疫学的反応。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を任意選択で少なくとも1つの添加剤とともに含む組成物に関する。
【0024】
本開示の一実施形態において、トリゴネオシドIbは、約40%(w/w)から約90%(w/w)の濃度の範囲であり、ビセニン-1は約1%(w/w)から約20%(w/w)の濃度の範囲である。
【0025】
本開示の別の実施形態において、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1は、コロハから得られる。
【0026】
本開示のさらに別の実施形態において、添加剤は、造粒剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁剤、乳化剤、セルロース材料および球状化剤またはこれらの任意の組合せを含む群から選択される。
【0027】
本開示のさらに別の実施形態において、組成物は、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、散剤、シロップ剤、液剤、エアゾール剤、懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセルに入った乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、リニメント剤、軟膏剤、皮膚パッチ剤、フィトシューティカル、栄養補助食品および食品を含む群から選択される剤形に製剤化される。
【0028】
本開示はまた、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を任意選択で少なくとも1つの添加剤とともに含む組成物の調製方法であって、
a.トリゴネラ種子をフレーク状にする行為、
b.フレーク状のトリゴネラ種子を溶媒混合物により抽出し、それに続いてろ過および濃縮して半固体塊を得る行為、
c.塊を溶解して透明な溶液を得る行為、
d.透明溶液をn-ブタノールで向流抽出して水層およびブタノール層を含む溶液を得る行為、
e.水層をイオン交換樹脂および吸着カラムに通してトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む溶離液を得る行為、
f.溶離液を精製して自由流動性粉末を得る行為、および
g.任意選択で少なくとも1つの添加剤を加えて組成物を得る行為
を含む方法にも関する。
【0029】
本開示の実施形態において、種子は、約1mmから約5mmの範囲、より特定すれば2mmのサイズにフレーク化される。
【0030】
本開示の別の実施形態において、溶媒混合物は、脂肪族アルコールおよび水を約1:1から約9:1、より特定すれば4:1の比率で含む。
【0031】
本開示のさらに別の実施形態において、脂肪族アルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコールまたはこれらの任意の組合せを含む群から選択される。
【0032】
本開示のさらに別の実施形態において、塊は脱イオン水に溶解された。
【0033】
本開示のさらに別の実施形態において、精製を行って、約90%から約95%の範囲の純度を有するトリゴネオシドIbおよび約90%から約95%の範囲の純度を有するビセニン-1を得る。
【0034】
本開示のさらに別の実施形態において、精製は、緩衝液処理とそれに続くアルコールまたは酸による処理、および濃縮して精製された自由流動性粉末を得るステップを含む。
【0035】
本開示のさらに別の実施形態において、濃縮は、約40℃から約80℃の範囲の温度、より特定すれば約50℃において行われる。
【0036】
本開示のさらに別の実施形態において、組成物は、約40%(w/w)から約90%(w/w)の濃度の範囲のトリゴネオシドIbおよび約1%(w/w)から約20%(w/w)の濃度の範囲のビセニン-1を有する。
【0037】
本開示のさらに別の実施形態において、添加剤は、造粒剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁剤、乳化剤、セルロース材料および球状化剤またはこれらの任意の組合せを含む群から選択される。
【0038】
本開示はまた、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を任意選択で少なくとも1つの添加剤とともに含む組成物を、それを必要とする対象に投与する行為を含む、自己免疫障害を治療する方法にも関する。
【0039】
本開示の一実施形態において、自己免疫疾患は、グッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病を含む群から選択される。
【0040】
本開示の別の実施形態において、対象は、動物またはヒトである。
【0041】
本開示のさらに別の実施形態において、組成物は、動物では約1mg/kgから約100mg/kg、ヒトでは約1mg/kgから約50mg/kgの範囲の一日用量で投与される。
【0042】
本開示はまた、自己抗体が仲介する器官への損傷を防止することによる、グッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病の治療における40%〜90%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび1%〜20%(w/w)のビセニン-1を含む組成物の使用にも関する。フェヌグリーク種子由来のトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む特定の組成物に到達する方法は、当技術分野では知られていない。本開示において開示されているプロセスの独自性は、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を特異的に含む組成物の抽出にある。組成物の構造決定および標準化を目的として90%〜95%の精製トリゴネオシドIbおよび95%の純ビセニン-1を得るために、さらなる精製が行われる。本開示の別の実施形態において、トリゴネオシドIbは906の分子量およびC44H74O19の化学式を有する。
【0043】
本開示のさらに別の実施形態において、ビセニン-1は564の分子量およびC26H28O14の化学式を有する。
【0044】
本開示のさらに別の実施形態において、前記組成物は植物コロハから得られる。
【0045】
本開示の別の実施形態において、組成物は、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、散剤、シロップ剤、液剤、エアゾール剤、懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセルに入った乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、リニメント剤、軟膏剤、皮膚パッチ剤、フィトシューティカル、栄養補助食品および食品を含む群から選択される形態である。
【0046】
本開示はまた、コロハ由来のトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む組成物の抽出および精製方法に関し、方法ステップは下記を含む:
a.透明溶液を脱脂およびアルカロイド、アミノ酸などの窒素化合物の除去によって抽出するステップ;および
b.透明溶液をマクロポーラス陽イオン交換樹脂および吸着カラムに通しトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を溶離するステップ;溶離液の濃縮およびさらなる精製ステップ。
【0047】
本開示の一実施形態において、組成物は、40%〜90%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび1%〜20%(w/w)の範囲のビセニン-1を含む。
【0048】
本開示の別の実施形態において、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1がフェヌグリーク種子から抽出されることから、組成物は、HPLCの結果が示すようにフェヌグリーク種子由来の無害な分子を少量ずつ含むセルロース材料を含んでよいことが含意される。(図3〜5)
【0049】
本開示の別の実施形態において、ステップ(a)におけるコロハからの透明溶液の抽出は、下記のステップからなる:
i.フェヌグリーク種子をフレーク化するステップ;
ii.フレーク化した種子を溶媒で抽出するステップ;
iii.抽出物をろ過して透明溶液を得るステップ;
iv.透明溶液を真空下で濃縮して半固体塊を得るステップ;
v.濃縮した塊を溶解して透明溶液を得るステップ;
vi.透明溶液をn-ブタノールで向流抽出して脂肪物質を除去するステップ。
【0050】
本開示の一実施形態において、ステップ(b)において使用される溶媒は、水およびメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコールを含む群から選択されるアルコールの1:1から9:1の範囲、好ましくは4:1の比率の混合物である。
【0051】
本開示のさらに別の実施形態において、抽出は、約8時間から12時間の範囲の時間、好ましくは約10時間にわたり、行われる。
【0052】
本開示のさらに別の実施形態において、抽出は、約30℃から約40℃の範囲の温度、好ましくは約35℃で行われる。
【0053】
本開示のさらに別の実施形態において、抽出物は、約45℃から約55℃の範囲の温度、好ましくは約50℃で、真空下で濃縮される。
【0054】
本開示のさらに別の実施形態において、濃縮された塊は、脱イオン水に溶解される。
【0055】
本開示の別の実施形態において、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を含む組成物は、ステップ(b)の透明溶液から、下記のステップを用いて得られる:
i.透明水層をマクロポーラス陽イオン交換樹脂および吸着カラムに通しトリゴネオシドIbおよびビセニン-1を溶離するステップ;
ii.溶離液の濃縮および噴霧乾燥ステップ。
【0056】
本開示のさらに別の実施形態において、吸着カラムはマクロポーラス酸性陽イオン交換樹脂、Sephadex LH-20、Dowex Optipore L493またはその同等物を含む群から選択される。
【0057】
本開示のさらに別の実施形態において、吸着カラムの溶離は、水およびエチルアルコールを用いて30:70の初期比率で、続いて5:95の比率に移行して、行われる。
【0058】
本開示のさらに別の実施形態において、吸着カラムの溶離は、約1時間から約4時間、好ましくは約2時間にわたり行われる。
【0059】
本開示のさらに別の実施形態において、濃縮された塊は、約110℃から約130℃、好ましくは約120℃で噴霧乾燥される。
【0060】
本開示のさらに別の実施形態は、トリゴネオシドIbの精製方法に関し、方法ステップは下記を含む:
i.濃縮された溶離液を緩衝液に溶解し、不溶物をろ過するステップ;
ii.緩衝溶液をn-ブタノールで洗うステップ;
iii.n-ブタノール画分を濃縮するステップ;
iv.濃縮された画分を溶媒に再溶解するステップ;および
v.生成した溶液を吸着カラムに通すステップ。
【0061】
本開示のさらに別の実施形態において、緩衝溶液は、リン酸二水素カリウムおよび塩酸からなる群から選択される。
【0062】
本開示のさらに別の実施形態において、再溶解に使用される溶媒は、エチルアルコールである。
【0063】
本開示のさらに別の実施形態は、他のフラボノイド配糖体を含むn-ブタノール層からのビセニン-1の精製方法に関し、方法ステップは下記を含む:
i.真空下で濃縮するステップ;
ii.濃縮物を緩衝溶液で洗い、不溶物を除去するステップ;
iii.生成した溶液を半量に濃縮し、攪拌するステップ;
iv.ろ過して夾雑結晶を除去するステップ;および
v.夾雑結晶を溶媒で還流し、ろ過して95%の純粋ビセニン-1を得るステップ。
【0064】
本開示のさらに別の実施形態において、濃縮された塊の攪拌は、1時間から48時間、好ましくは24時間、行われた。
【0065】
本開示のさらに別の実施形態において、濃縮された塊の攪拌は、30℃から40℃、好ましくは35℃で、行われた。
【0066】
本開示のさらに別の実施形態において、還流に使用される溶媒は、比率1:1の範囲のメタノールおよび塩化メチレンである。
【0067】
本開示はまた、40%〜90%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび1%〜20%(w/w)のビセニン-1の組成物を少なくとも1つの添加剤とともに含む医薬の製造方法ならびにグッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病を含む群から選択される自己免疫疾患の治療および管理のための、有効量の前記組成物の投与方法にも関する。
【0068】
本開示はまた、グッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病を含む群から選択される自己免疫疾患の治療および管理の方法にも関する。
【0069】
本開示の一実施形態において、対象は、動物およびヒトの両方を含む群から選択される。
【0070】
本開示は、下記の実施例を用いてさらに詳細に説明される。しかし、実施例は本開示の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例1】
【0071】
水分含有量5%未満のフェヌグリーク種子1000gをローラーフレーカーで2mmの厚さにフレーク化した。フレーク化された物質は、エチルアルコールと水を80:20の比率で含む溶媒混合物(8リットル)中で抽出し、溶離剤を再循環させることにより、40℃で10時間にわたり層を通過させた。10時間後に、抽出物を200メッシュのクロスを通してろ過し、透明な溶液を得た。この透明溶液を、真空下、50℃で半固体塊に濃縮した。濃縮された塊を5リットルの脱イオン水に溶解して、透明な溶液を得た。この透明水溶液をn-ブタノールで向流抽出した。透明水層を、200mlのマクロポーラス強酸性陽イオン交換樹脂を含有するカラムに2時間かけて通した。全てのアミノ酸、タンパク質、トリゴネリン(Trigonelline)、および他の両性化合物を全く含まない透明なカラム流出液を50℃で濃縮し、120℃で噴霧乾燥して、約40%〜46%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび1%〜6%(w/w)のビセニン-1という組成の自由流動性粉末を得た。組成における範囲の変動は、季節性の変化に起因する。収量は約60gであった。下記の条件でHPLC分析を行った:カラム-長さ250mm、直径4.6mmのKromasil C18 RP 5μm;移動相-水:アセトニトリルをグラジエントで、開始時75:25から65:35に20分間で変化させた;流速-1ml/分;検出器の波長-210nmUV。HPLCのアウトプットは、図3に見られるように、2.2分にトリゴネオシドIbのピークおよび3.2分にビセニン-1のピークを示した。実施例4より得られたトリゴネオシドIbおよび実施例5より得られたビセニン-1の精製試料を用いて外部標準法により、組成を決定した。
【実施例2】
【0072】
水分含有量5%未満のフェヌグリーク種子1000gをローラーフレーカーで2mmの厚さにフレーク化した。フレーク化された物質は、イソプロピルアルコールと水を70:30の比率で含む溶媒混合物(8リットル)中で抽出し、溶離剤を再循環させることにより、35℃で10時間にわたり層を通過させた。10時間後に、抽出物を200メッシュのクロスを通してろ過し、透明な溶液を得た。この透明溶液を、真空下、50℃で半固体塊に濃縮した。濃縮された塊を5リットルの脱イオン水に溶解して、透明な溶液を得た。この透明水溶液をn-ブタノールで向流抽出した。透明水層を、200mlのマクロポーラス強酸性陽イオン交換樹脂を含有するカラムに2時間かけて通した。全てのアミノ酸、タンパク質、トリゴネリン(Trigonelline)、および他の両性化合物を全く含まない透明なカラム流出液をDowex Optipore L493またはその同等物を含む樹脂ベッドに2時間にわたり再び通し、吸着プロセスは、トルエン:酢酸エチル:メタノール:水を6:3:6:1の比率で含む薄層クロマトグラフィシステムでモニターした。薄層クロマトグラフシステムでモニターされたように、生物活性化合物は、溶離プロセスが95%エチルアルコールを用いて行われた時に、溶離し始めた。これらの画分を回収し、篩過して一緒にプールし、50℃で、55%〜65%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび8%〜12%(w/w)のビセニン-1に濃縮した。組成における範囲の変動は、季節性の変化に起因する。収量は約15gであった。実施例1に記載の方法によってHPLC分析を行った。実施例4より得られたトリゴネオシドIbおよび実施例5より得られたビセニン-1の精製試料を用いて外部標準法により、組成を決定した。
【実施例3】
【0073】
水分含有量5%未満のフェヌグリーク種子1000gをローラーフレーカーで2mmの厚さにフレーク化した。フレーク化された物質は、エチルアルコールと水を80:20の比率で含む溶媒混合物(8リットル)中で抽出し、溶離剤を再循環させることにより、35℃で10時間にわたり層を通過させた。10時間後に、抽出物を200メッシュのクロスを通してろ過し、透明な溶液を得た。この透明溶液を、真空下、50℃で半固体塊に濃縮した。濃縮された塊を5リットルの脱イオン水に溶解して、透明な溶液を得た。この透明水溶液をn-ブタノールで向流抽出した。透明水層を、200mlのマクロポーラス強酸性陽イオン交換樹脂に2時間かけて通した。全てのアミノ酸、タンパク質、トリゴネリン、および他の両性化合物を全く含まない透明なカラム流出液をDowex Optipore L493またはその同等物を含む樹脂ベッドに2時間にわたり再び通し、吸着プロセスは、トルエン:酢酸エチル:メタノール:水を6:3:6:1の比率で含む薄層クロマトグラフィシステムでモニターした。薄層クロマトグラフシステムでモニターされたように、生物活性化合物は、溶離プロセスが70:30のエチルアルコール:水混合物を用いて行われた時に、溶離し始めた。これらの画分を回収し、篩過して一緒にプールし、50℃で、70%〜76%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび15%〜18%(w/w)のビセニン-1に濃縮した。組成における範囲の変動は、季節性の変化に起因する。収量は約9gであった。実施例1に記載の方法によってHPLC分析を行った。クロマトグラムのアウトプットを図4に示す。実施例4より得られたトリゴネオシドIbおよび実施例5より得られたビセニン-1の精製試料を用いて外部標準法により、組成を決定した。
【0074】
トリゴネオシドIbおよびビセニン-1の純粋標準品は、標準試料の供給者からは入手できない。したがって組成物の構造解明および標準化を目的として、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1、それぞれの精製試料を分離するために、実施例4および実施例5が、実施された。
【実施例4】
【0075】
実施例1〜3の組成物を50mMリン酸二水素カリウム緩衝液300mlに溶解し、不溶物をろ別した。緩衝溶液をn-ブタノールで3回(75ml×3)洗い、3回の画分は個別に濃縮した。画分1、2および3は、それぞれ、85%、68%および40%のトリゴネオシドIb純度を示した。純度85%の粉末トリゴネオシドIbは、出発重量の約10%であり、エチルアルコールに再溶解してベッド体積125mlのSephadex LH-20のベッドを通過させたものであり、純粋なトリゴネオシドIbを得るために画分を回収して、篩過した。純粋なトリゴネオシドIb画分は構造決定に都合の良い約90〜95%の範囲の純度に濃縮した。収率は、結晶性のオフホワイトの粉末の出発重量の約0.2%であった。実施例1に記載の方法によってHPLC分析を行った。クロマトグラムのアウトプットを図5に示す。
【0076】
融点は220℃であり、LCMS分析により、質量906(M+Na=929)を確認した。フロスタノールサポニン構造の存在を、薄層クロマトグラフィ(TLC)において、トルエン:酢酸エチル:メタノール:水を6:3:6:1の比率で用い、それに続いて5%アニスアルデヒド/硫酸の噴霧および110℃で15分間の加熱により現れた緑色がかった茶色のシングルスポットで確認した。
【0077】
【数1】
【0078】
【実施例5】
【0079】
実施例1〜3由来の他のフラボノイド配糖体からなる約8000mlのn-ブタノール層を50℃で真空エバポレータを用いて400mlに濃縮した。この溶液を50mMリン酸二水素カリウム溶液で2回洗い、それに続いて500mlの1%塩酸水溶液で洗った。この段階で、不溶物は黄色の非晶質粉末として析出する。前記溶液を半量に濃縮し、30から35℃で攪拌して他のフラボノイド配糖体の結晶をさらに析出させた後、ろ過した。この夾雑結晶を、メタノールと塩化メチレン1:1混合物中で、15℃で3時間還流し、5℃でろ過して95%純ビセニン-1を得た。収量は約1.8gであった。
【0080】
融点は215℃で分解を伴うものであった。また、LCMS分析によって、質量564(M+H=565)を確認した。フラボノイド配糖体構造の存在を、薄層クロマトグラフィ(TLC)において、トルエン:酢酸エチル:メタノール:水を6:3:6:1の比率で用い、それに続いて5%メタノール性硫酸の噴霧および110℃で15分間の加熱により現れた黄色のシングルスポットで確認した。
【0081】
【数2】
【0082】
フラボンプロトン環に相当する芳香族プロトン-[6.79、6.8; 7.936、7.949; 6.897、6.951; 8.0、8.031]、糖プロトン-6-C-キシロシド3.09〜4.65、および8-C-グルコシド3.29〜4.77。
【実施例6】
【0083】
本開示の一実施形態において1gの76%トリゴネオシドIbおよび15%ビセニン-1を14gの91%トリゴネオシドIbおよび5%ビセニン-1と混合して15gの90%トリゴネオシドIbおよび5.7%ビセニン-1を含む組成物を得た。この実施例は、前記成分を種々の濃度で含む異なる組成物を混合することにより、40%〜90%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび1%〜20%(w/w)のビセニン-1を含む所望の組成物範囲に到達する方法を実証している。本明細書において得られる組成物には、植物を起源として抽出により入手することも前記成分の化学合成によって得ることもできる成分、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を混合することによって到達できることを、当業者であれば理解するであろう。したがって、フェヌグリークは、前記組成物に到達するための唯一の供給源ではない。前記組成物は、合成された成分トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を混合することによって得ることができる。
【0084】
さらに、組成物は、本開示において記述された実施例において得られたように、成分、トリゴネオシドIbおよびビセニン-1を混合することによってもまた、到達されうる。
【0085】
前記実施例に明記の方法によって得られた40%〜90%(w/w)のトリゴネオシドIbおよび1%〜20%(w/w)のビセニン-1を含む試験組成物について、さらに下記の実施例において生理活性を試験した:
【実施例7】
【0086】
ラットにおいて誘発された糸球体腎炎に対する活性
糸球体腎炎は、グッドパスチャー病などの自己免疫疾患における腎不全および死亡の主要な原因である。本研究は、抗-GBM誘発の半月体形成性糸球体腎炎のラットモデルにおける76%(w/w)トリゴネオシドIbおよび15%(w/w)ビセニン-1を含む試験組成物の効果を調べるために実施された。
【0087】
体重180〜220gの雄性ウィスターラットを6匹ずつの群に分けた。糸球体腎炎は、Chen他(2004)によって明記されているように、先ず、フロイント完全アジュバント(FCA)中ラットIgG(5mg)の皮下投与、それに続いて5日後にGBM(0.5ml)の静脈内投与によって誘発した。処置群の動物には、試験組成物(75mg/kg)を1日2回、28日間、経口投与した。GBM対照群の動物は、いかなる処置も受けなかった。動物の第三の群は、糸球体腎炎を誘発させずに、正常対照として処置を続けた。尿の排出量を測定し糸球体腎炎を誘発する前と処置完了後に分析を行った。第28日には、腎臓および肺の病理組織学的検査を行うために動物を屠殺した。
【0088】
【表1】
【0089】
GBM対照群の動物における第28日の1日当たりの尿タンパク排泄量(mg/日)は、ベースライン値の3倍を超える量に増加した。尿タンパク排泄量の増加は、腎機能低下の指標である。試験薬による処置は、尿タンパク排泄量を完全に正常化し、その値をベースライン値近くに維持した。
【0090】
【表2】
【0091】
糸球体腎炎誘発ラットの腎臓の病理組織診断画像を図6に示す。試験組成物で処置した動物では、GBM対照群と比較して有意に低い糸球体の破壊、尿細管腫脹および細胞浸潤とともに尿細管円柱の非存在が認められた。したがって、病理学的状態は試験組成物による処置によって有意に低減された。
【0092】
【表3】
【0093】
肺の肺胞基底膜に対する抗-GBM抗体の病理学的影響もまた検査した。GBM対照群動物の肺の病理組織学的検査は、肺胞壁の顕著な肥厚、肺胞中隔索の長さの増加、ならびに肺間質の肥厚、リンパ球、マクロファージおよび単球の間質への浸潤によって証明される重度の炎症、ならびにRBCの間質への著しい血管外漏出を示した。試験組成物で処置した動物は、前記病理学的状態の全てにおいて有意な低減を示し、抗体による肺の損傷の防止における試験組成物の有益な活性を示した。
【0094】
試験組成物は、抗-GBM抗体によって誘発される腎臓および肺、両方の損傷を効果的に低減し、患者が糸球体腎炎および肺出血の両方により苦しむことを特徴とするグッドパスチャー病における作用が確認された。したがって、試験組成物は、糸球体腎炎、グッドパスチャー病などの抗-GBM疾患の治療において有用である。
【実施例8】
【0095】
試験組成物の抗炎症活性
この試験は、65%(w/w)トリゴネオシドIbおよび10%(w/w)ビセニン-1を含む試験組成物がプロスタグランジンに起因する炎症を抑制する活性を評価するために行われた。体重180〜220gの雄性ウィスターラットに対して試験組成物で前処置を行った。前処置の1時間後に、1%カラギーナン溶液0.1mlを右後肢足蹠皮下に注射した。誘発された肢浮腫を、プレチスモメーター(UGO Basile 7140)を用いて測定した。3時間後における肢浮腫の抑制は、抗炎症作用を示している。
【0096】
肢浮腫の抑制は、対照群の肢体積を試験組成物で処置した群の肢体積との差の平均値をパーセントで表わしたものとして算出した。カラギーナン誘発の肢浮腫は、2時間および3時間後に試験組成物によって有意に低減された。
【0097】
【表4】
【実施例9】
【0098】
試験組成物のin-vitroサイトカイン抑制
リポポリサッカリド(LPS)は、グラム陰性菌の構成成分であるが、一酸化窒素の過剰産生を誘発し、このことがさらにサイトカインの分泌を促進する。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)系はIL-1β、IL-6およびTNF-αの発現のためにLPSを用いることで刺激された。試験組成物の活性における、炎症促進性のサイトカインの放出の抑制について試験を行った。試験組成物は炎症促進性のサイトカインの分泌に対して有意な抑制活性を示した。
【0099】
【表5】
【実施例10】
【0100】
試験組成物の抗関節炎作用
ラット肢にフロイント完全アジュバント(FCA)を注射し、浮腫形成および非注射肢における肢体積の抑制率(%)を測定することにより抗関節炎活性を調べた。
【0101】
体重190〜250gの雄性ウィスターラットの左後肢足蹠皮下に、0.1mlのFCAを注射した。0.1mlのFCA溶液は、重質パラフィン油(Merck)中に懸濁させた6mgのマイコバクテリウムブチリウム(Mycobacterium Butyrium)(Difco)の完全画分からなる。局所浮腫は数時間後に生じた。試験組成物による処置は、FCA注射後の第13日から第21日まで行った。非注射後肢の体積をプレチスモメーター(UGO Basile 7140)を用いて記録した。
【0102】
非注射肢における炎症抑制率(%)を、FCA対照群の平均肢体積と処置動物の平均肢体積の差として測定した。試験組成物による処置開始から5日後(第18日)および8日後(第21日)の両方において、FCAにより誘導された関節腫脹の有意な減少が観察された。試験組成物は、関節炎の80%近い減少を示した。
【0103】
【表6】
【実施例11】
【0104】
関節リウマチ患者における試験組成物の事例研究
45〜60歳の関節リウマチ(RA)患者において前向き試験を行った。患者は1日2回、500mgの用量で1年間、試験組成物のカプセルを投与され、試験組成物の効果はHealth Assessment Questionnaire(HAQ)、発行Kumar他(Rheumatology, Vol. 41, 1457〜1459頁、2002年)における患者の報告による結果に基づき解析された。
【0105】
【表7】
【0106】
事例研究の患者の、試験組成物による治療開始前と1年間の治療後の個々の健康評価スコアを、表7に示す。障害スコアは、12に区分された全てのスコアの総計として算出された。全ての患者が障害スコアの改善を示した。研究開始時には、5名の患者のうち4名が2から3の範囲の重度の障害スコアを示していた。試験組成物による12カ月の治療の後では、5名の患者うち1名のみが、依然として2から3の範囲の重度の障害スコアを示した。日常活動における有意な改善が認められ、試験組成物に対する患者のコンプライアンスは90%を超えていた。したがって、試験組成物は、関節リウマチの診断を受けた患者の治療には安全で有用であることが認められた。
【実施例12】
【0107】
実施例11のカプセルは、76%(w/w)トリゴネオシドIbおよび15%(w/w)ビセニン-1を1.5%w/wのマイクロクリスタリンセルロース、1%w/wのアルファ化デンプン錠剤崩壊剤、0.5%w/wのクロスポビドンおよび0.5%w/wのステアリン酸マグネシウム粘着防止剤と混合することによって、試験組成物を粒状化して調製した。混合された顆粒をカプセルに充填した。
【0108】
40%〜90%(w/w)の範囲のトリゴネオシドIbおよび1%〜20%(w/w)の範囲のビセニン-1を含む試験組成物の同様な処方は、下記:造粒剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁剤、乳化剤、球状化剤およびこれらの任意の組合せ、を含むリストから選択される添加剤を加えることによって調製することができる。また、処方のタイプは、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、散剤、シロップ剤、液剤、エアゾール剤、懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセルに入った乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、リニメント剤、軟膏剤、皮膚パッチ剤、フィトシューティカル、栄養補助食品および食品を含む群から選択されてよい。投与経路に応じて、種々の添加剤/担体が使用されてよい。当業者であれば、自己免疫疾患、すなわちグッドパスチャー病、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスおよび特発性血小板減少性紫斑病の治療のために試験組成物の適切な処方を選択することができる。
【実施例13】
【0109】
全身性エリテマトーデス(SLE)患者における事例研究
全身性エリテマトーデス(SLE)の診断を受けた35〜50歳の3名の患者において、6カ月間、前向き試験を行った。実施例12に記載の試験組成物処方を、2個の500mgカプセルの用量で1日2回投与した。試験組成物の活性は、研究所パラメータおよび日常活動インデックスを追跡することによってモニターされた。
【0110】
試験組成物による治療は、腎機能、血液パラメータを有意に改善するとともに、関節痛、脱毛症、皮疹および口腔内潰瘍を軽減した。これらの結果は、患者1において、SLE日常活動インデックス(SLEDAL)スコアが治療開始時の20から治療終了時の10に改善されたことにより裏付けられた。同様な改善は、6カ月の治療後に、患者2では10から6へ、患者3では12から8への変化として認められた。したがって、試験組成物はSLEの治療および管理において有用であることが認められた。
【実施例14】
【0111】
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する試験組成物の活性
Balb-cマウスのベースライン血小板数が生理的限界の範囲内であることを確認して3つの群に分けた。4μgのラット抗マウスインテグリンαIIb抗体を、ITP対照群の動物および試験組成物治療群の動物に腹腔内注射することにより、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を誘発した。治療群の動物には、76%(w/w)トリゴネオシドIbおよび15%(w/w)ビセニン-1を含む試験組成物75mg/kgをITP誘発の1時間前に投与した。正常対照群の動物はITP誘発もいかなる処置も受けなかった。ITP誘発の3時間後に、全ての群の動物から血液を採り、血小板数を分析した。
【0112】
【表8】
【0113】
抗血小板抗体の投与後に、ITP対照動物での60%と比較して、試験組成物で処置した動物は、わずか16.5%という有意に低い血小板数減少を示した。正常対照の動物もまた、22%の血小板数減少を示した。この減少は、血小板数の分析のために続いて行った血液採取に起因していた。
【0114】
上記実施例は、試験組成物が抗体の仲介による血小板数の減少に対して有効であり、したがってITPおよび/または血小板減少症の治療および管理に有用であることを証明している。
図1
図2
図6
図3
図4
図5