【実施例】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は本発明の通気性シート構造の採用された車両用シートの概略縦断面図、
図2は通気用インサートの概略縦断面図、
図3は通気性シート構造の概略分解斜視図をそれぞれ示す。これらに図示のように、本発明の通気性シート構造10においては、シート内での通気層をなす通気用インサート12が、シートパッド14の着座面14a上でシートの表皮下に配置されている。
【0018】
図1に示すように、通気用インサート12は、車両用シート16のシートクッション18、シートバック20のいずれにも配置可能であり、通常は、クッション体であるシートパッド14の上面(あるいは前面)で、シート表面を覆う表皮22の裏面(表皮下)に配設される。なお、シートクッション、シートバックの表皮22は、シートクッション、シートバック内外での通気を保障可能な通気性素材とされる。
【0019】
シートパッドの着座面14aに配置される通気用インサート12は、
図2に示すように、表面側にのみ通気性を持たせた袋体24内に、その内部を空気の流通経路とする略平板状の可撓性スペーサ部材26を内設してなるインサート本体12aを有している。
【0020】
袋体24は、たとえば非通気性素材からなり、その表面側24aのみに、たとえば複数の通気孔28の穿設等により通気性が与えられる。なお、袋体24は、その表面側24aへの通気孔28の穿設に限定されず、たとえば、袋体を表面側素材、裏面側素材の縫合によりなすものとし、その表面側素材のみを通気性素材として表面側に通気性を持たせてもよい。
【0021】
また、袋体24に内設される可撓性スペーサ部材26は、着座者の荷重下においても圧潰せずに空気の流路をその内部に確保可能な、たとえば繊維素材を立体的に組み合わせた所定厚さの略平板状の三次元繊維構造体等が利用できる。なお、この可撓性スペーサ部材26は、可撓性を持つ所定厚さの略平板状の部材であり、着座者の荷重下においても圧潰することなくその内部に空気の通気流路を確保可能なものであれば足りるため、三次元繊維構造体に限定されず、たとえば三次元樹脂構造体としてもよい。
【0022】
ここで、
図2に示すように、この発明においては、可撓性スペーサ部材26の平板面に整列する位置で袋体の裏面側24bに通気開口30を設け、この通気開口から可撓性スペーサ部材の平板面と略直交する方向に延在させた通気ダクト32を介し、インサート本体12a内と外部との間で空気を流通させる通気装置34をインサート本体内に連通可能に配することにより、これを通気用インサート12としている。そして、
図1および
図2に示すように、シートパッド14に設けた貫通孔36に通気装置34および通気ダクト32を挿通し、シートパッドの着座面14a上にインサート本体12aを載置した状態で通気装置34の少なくとも通気口34aを、シートパッド裏面外部に露出して配置することにより、通気用インサート12はシートのシートクッション18、およびシートバック20に配設される。
【0023】
この実施例においては、通気ダクト32が略筒体状に形成された通気性および弾性を有する三次元繊維構造体とし具体化され、その周囲を非通気性素材からなるカバー部材38で被覆することにより、インサート本体12a内と通気装置34との間での空気の流通を確保するものとしている。なお、このカバー部材38は、たとえば袋体24との一体部材として具体化できる。
【0024】
また、通気装置34としては、ブロワやファン等が利用できる。
【0025】
このように、この発明の通気性シート構造では、通気ダクト32および通気装置34が、可撓性スペーサ部材26の平板面に整列する位置で袋体24の裏面側24bに延在されるため、通気用インサート12の平面上での大型化が確実に防止される。そして、通気ダクト32および通気装置34が、可撓性スペーサ部材26の平板面で整列するため、可撓性スペーサ部材のいずれの位置に対しても、大きな偏りもなく通気可能となる。従って、この発明によれば、偏りの抑制された通気も容易に確保可能となる。
【0026】
また、この発明においては、通気ダクト32および通気装置34を袋体24の裏面側24bに設けた通気開口30から可撓性スペーサ部材26の平板面と略直交する方向に延在させ、これをシートパッド14に設けた貫通孔36に挿通配置している。このような構成であれば、通気装置34が着座者の荷重に応じて浮沈するとともに、仮に通気ダクト32がその延在方向つまりは軸線方向に圧縮されても、通気ダクトの持つ弾性のもとでその荷重は吸収できるため、通気装置を、着座者に底付き感等を与えない状態で配置することが可能となる。更に、通気ダクト32の延びる方向が着座者からの荷重の作用方向に一致し、通気ダクトがその軸線に直交する方向から潰れることもないため、着座者からの荷重の作用時においても、その通気性能は適切に確保できる。
【0027】
ここで、この発明の実施例では、通気用インサートの通気ダクト32を、略筒体状に形成された通気性および弾性を有する三次元繊維構造体として具体化しているが、空気の流通が可能な構造であればこれに限定されることなく利用できる。しかし、この実施例での通気ダクト32のように、略筒体状の三次元繊維構造体を用いれば、シートパッドの着座面14aに空洞部が形成されないため、着座感およびシートパッドのクッション性能に悪影響を与えない構造が容易に確保可能となる。
【0028】
また、通気用インサートのインサート本体12aは、シートパッド着座面14aに対して固着されることが望ましい。このような構成であれば、シートパッド14に対するインサート本体12aのずれが確実に防止可能となり、これによっても、着座者に対する着座時の違和感は十分に解消できる。
【0029】
なお、シートパッド着座面14aに対するインサート本体12aの固着の手法としては、接着剤による接着や両面テープによる貼着等が例示できる。
【0030】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何ら限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造などの施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。