(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細断された紙材を貯留する貯留部と、前記貯留部の前記紙材を、ダクトへと送り出す送り出し部材と、前記ダクト内に気流を発生させる送風機と、前記ダクトの下流側に設置され、前記ダクト内を気流により搬送された前記紙材を受け止め、重量を計測する重量計測器と、各部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、重量計測器による計測値及び紙材の搬送に要した時間に基づいて、送り出し部材の駆動量を制御することを特徴とする紙材供給装置。
制御部は、重量計測器の計測値が、目標重量より軽い所定の検出用重量に達したときに、送り出し部材による紙材の送り出しを停止するよう制御する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の紙材供給装置。
細断された紙材を貯留する貯留部と、前記貯留部の前記紙材を、ダクトへと送り出す送り出し部材と、前記ダクト内に気流を発生させる送風機と、前記ダクトの下流側に設置され、前記ダクト内を気流により搬送された前記紙材を受け止め、重量を計測する重量計測器と、各部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、重量計測器の計測値が、目標重量より軽い所定の検出用重量に達したときに、送り出し部材による紙材の送り出しを停止するよう制御するとともに、紙材供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超える場合に、前記検出用重量を変更する紙材供給装置。
貯留部に貯留する細断された紙材を、送り出し部材によりダクトへ送り出し、ダクト内に送り出された紙材を、送風機の駆動により生じた気流で計測部まで搬送し、計測部で紙材の重量を計測し、重量計測後の紙材を供給先へ供給する紙材の供給方法であって、計測部の計測値及び紙材の搬送に要した時間に基づいて、送り出し部材の駆動量を調整することを特徴とする紙材供給方法。
計測部の計測値が、供給先へ供給すべき目標重量より軽い所定の検出用重量に達したときに、貯留部からの紙材の供給を停止する請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の紙材供給方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の紙材の搬送装置では、嵩張る紙材を効率よく搬送し、精度よく計測することができない。また、上記特許文献2では搬送対象が超微粉末であるために、圧送空気により容易に流動化することができ、気流の圧力及び搬送時間を一定にすることで、精度よく所定重量を計測することができる。しかし、超微粉末に比較して嵩張りが大きく、形状が不揃いであるととに、嵩張りに対する重量が安定し難い紙材を搬送する際は、気流の圧力及び搬送時間を一定にした場合でも、計測精度にばらつきが生じてしまう。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、紙材重量の計測精度を向上させることが可能な紙材供給装置及び紙材供給方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る紙材供給装置は、細断された紙材を貯留する貯留部と、前記貯留部の前記紙材を、ダクトへと送り出す送り出し部材と、前記ダクト内に気流を発生させる送風機と、前記ダクトの下流側に設置され、前記ダクト内を気流により搬送された前記紙材を受け止め、重量を計測する重量計測器と、各部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、重量計測器による計測値及び紙材の搬送に要した時間に基づいて、送り出し部材の駆動量を制御するものである。
【0009】
また、上記構成において、送り出し部材の駆動量は、送り出し部材を駆動するモータの駆動量により調整されるものである。
【0010】
そして、上記構成において、モータの駆動量は、モータに供給するパルス信号のデューティーにより調整されるものである。
【0011】
更に、上記構成において、デューティーは、単位時間当たりの紙材搬送重量に対し、目標とする単位時間当たりの紙材搬送重量の割合を用いて算出されるものである。
【0012】
更に、上記各構成において、制御部は、重量計測器の計測値が、目標重量より軽い所定の検出用重量に達したときに、送り出し部材による紙材の送り出しを停止するよう制御するものである。
【0013】
更に、本発明に係る紙材供給装置は、制御部が、紙材供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超える場合に、検出用重量を変更するものである。
【0014】
更に、上記各構成において、制御部は、紙材供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超えて重くなったときには、検出用重量を軽い値とするものである。
【0015】
更に、本発明に係る紙材供給方法は、貯留部に貯留する細断された紙材を、送り出し部材によりダクトへ送り出し、ダクト内に送り出された紙材を、送風機の駆動により生じた気流で計測部まで搬送し、計測部で紙材の重量を計測し、重量計測後の紙材を供給先へ供給する紙材の供給方法であって、計測部の計測値及び紙材の搬送に要した時間に基づいて、送り出し部材の駆動量を調整する。
【0016】
更に、上記構成において、送り出し部材の駆動量を調整する際、送り出し部材を駆動するモータの駆動を調整するものである。
【0017】
更に、上記各構成において、モータの駆動を調整する際、該モータに供給するパルス信号のデューティーを変更するものである。
【0018】
更に、上記各構成において、計測部の計測値が、供給先へ供給すべき目標重量より軽い所定の検出用重量に達したときに、貯留部からの紙材の供給を停止するものである。
【0019】
更に、上記各構成において、供給先へ供給した紙材の重量が、所定範囲を超える場合に、検出用重量の値を変更するものである。
【0020】
更に、上記各構成において、供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超えて重くなったときには、検出用重量を前回より軽くするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、制御部は、重量計測器による計測値及び紙材の搬送に要した時間に基づいて、送り出し部材の駆動量を制御するので、紙材の嵩高さに対する重量が異なる場合でも、貯留部からダクトへと紙材を送り出すときの送り出し量を、計測値及び搬送時間に応じて調整することができ、紙材重量の計測精度を向上させることができる。
【0022】
また、送り出し部材の駆動量が、送り出し部材を駆動するモータの駆動量により調整される場合には、送り出し部材の駆動量を容易に調整することができる。
【0023】
また、モータの駆動量は、モータに供給するパルス信号のデューティーにより調整される場合は、モータの駆動量を容易且つ正確に調整することができる。
【0024】
そして、デューティーが、単位時間当たりの紙材搬送重量に対し、目標とする単位時間当たりの紙材搬送重量の割合を用いて算出される場合は、重量計測器の計測値を、単位時間当たりの紙材搬送重量に換算し、目標重量と比較することで、容易にデューティーを算出することができる。
【0025】
更に、制御部が、重量計測器の計測値が、目標重量より軽い所定の検出用重量に達したときに、送り出し部材による紙材の送り出しを停止するよう制御する場合は、重量計測器で検出用重量が計測された時点で、貯留部からダクトへの紙材の供給を停止する。これより、重量計測器で計測された検出用重量に、ダクト内で搬送途中となっている紙材の重量が加算され、紙材供給先へ供給する紙材の重量が計測されるので、目標重量に略等しい量の紙材を計測可能である。
【0026】
更に、制御部は、紙材供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超える場合に、検出用重量を変更する場合は、紙材の状態によって嵩高さに対する紙材重量が大幅に変更される場合にも、目標重量に近い重量の紙材を計測することができ、計測誤差を小さくすることが可能である。
【0027】
更に、制御部が、紙材供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超えて重くなったときには、検出用重量を軽い値とする場合は、嵩高さに対する紙材重量が重くなったときに、重量計測器で以前より軽い重量を検出した際に送り出し部材による送り出しを停止するので、紙材を精度よく計測することが可能である。
【0028】
更に、本発明に係る紙材供給方法では、重量計測器による計測値及び紙材の搬送に要した時間に基づいて、送り出し部材の駆動量を調整するので、紙材重量の計測値及び紙材搬送時間に応じて、送り出し部材の駆動による紙材供給量を調整することができ、紙材を精度よく計測可能である。
【0029】
更に、送り出し部材の駆動量を調整する際、送り出し部材を駆動するモータの駆動を調整する場合には、容易に送り出し部材の駆動量を調整可能である。
【0030】
更に、モータの駆動を調整する際、該モータに供給するパルス信号のデューティーを変更する場合には、容易且つ正確にモータの駆動量を調整可能である。
【0031】
更に、計測部の計測値が、供給先へ供給すべき目標重量より軽い所定の検出用重量に達したときに、貯留部からの紙材の供給を停止する場合には、重量計測器で検出用重量が計測された際、既にダクト内で搬送途中の紙材重量の紙材を、検出用重量に加算することで、目標重量を正確に計測することができる。
【0032】
更に、供給先へ供給した紙材の重量が、所定範囲を超える場合に、検出用重量の値を変更する場合は、紙材の状態によって嵩高さに対する紙材重量が大幅に変更されたときでも、目標重量に近い重量の紙材を計測することができ、計測誤差を小さくすることが可能である。
【0033】
更に、供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超えて重くなったときには、検出用重量を前回より軽くする場合には、嵩高さに対する紙材重量が大幅に重くなっても紙材を精度よく計測することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を、図を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の紙材供給装置及び紙材処理装置の一部を示す概略図である。紙材供給装置1は、貯留部4、紙材搬送部5、計測部6及び制御部7を備えている。紙材供給装置1は、シュレッダー装置等の細断機器(図示省略)によって細断処理された紙材11を、貯留部4に一旦貯留し、貯留部4から紙材搬送部5によって計測部6へ搬送し、所定重量の紙材11を計測し、次工程となる紙材処理装置9へ供給するようになっている。
【0036】
図2に貯留部4及び紙材搬送部5の送り出し手段25の縦断面図を、
図3に貯留部4及び送り出し手段25の平面図を示す。貯留部4は、上面に開口を有し、平面視八角形の有底筒状に形成された貯留容器15を備えている。貯留容器15には、内部に貯留する紙材11を攪拌する攪拌手段16を備えている。
【0037】
攪拌手段16は、攪拌軸17、攪拌棒18、攪拌用駆動部19を有する。攪拌軸17は貯留容器15の底板21の中心部に立設されており、攪拌棒18の長手方向中央部が、該攪拌軸17の頂部近傍に取り付けられている。攪拌用駆動部19は、攪拌軸17を回動することで、攪拌棒18を底板21から所定高さの水平面で正逆方向に回動させる。攪拌用駆動部19は、紙材11が攪拌棒18に絡みつくことによって、攪拌用駆動部19の攪拌負荷が所定値を超えたとき攪拌軸17の回転方向を反転させる。
【0038】
貯留容器15の底板21には、紙材11を下方へ排出する排出口22が開口して形成されている。排出口22は平面視矩形状であり、貯留容器15の中心と、周壁との間に位置している。これにより、攪拌手段16の作動時には、攪拌棒18が排出口22の真上を通過し、紙材11は排出口22へ送り込まれる。
【0039】
図1に示すように、紙材搬送部5は送り出し手段25、分散用サイクロン26、排出用サイクロン27、送風機29、第1ダクト31、第2ダクト32及び第3ダクト33を備えている。送り出し手段25は、貯留容器15内の紙材11を解しながら下方に設けられた分散用サイクロン26へ送り出す。
図4に、送り出し手段25の拡大縦断面図を示す。送り出し手段25は、ケーシング36、掻き込み手段37、挟持搬送手段38を備えている。ケーシング36は四角筒状に形成され、上端縁が排出口22に連結されている。
【0040】
掻き込み手段37は、ケーシング36内の上部に設置され、掻き込み用回転軸40、複数の掻き込み棒41及び掻き込み用駆動部42を備えている。掻き込み用回転軸40は、水平方向に延在し、ケーシング36に回動自在に軸支され、掻き込み用駆動部42の駆動により正逆方向に回動される。この掻き込み用回転軸40の回転方向は攪拌棒18の回転方向に同期して反転される。
【0041】
掻き込み棒41は、所定長さの丸棒で、掻き込み用回転軸40に所定間隔で突設される。掻き込み棒41の長さは、排出口22に紙材11が入り込むのを妨げない程度に比較的短尺に形成される。
【0042】
挟持搬送手段38は、ケーシング36内であって掻き込み手段37の下方に設置され、一対の挟持搬送用回転軸46、一対の挟持用ローラ44、挟持搬送用駆動部45及び閉塞部材50を備えている。挟持搬送用回転軸46は、ケーシング36に回転自在に軸支される。挟持用ローラ44は、芯部材48と、挟持部材49とを有している。芯部材48は、筒状に形成され、挟持搬送用回転軸46の外周に設けられる。挟持部材49は、筒状に形成され、芯部材48の外周に設けられる。
【0043】
挟持部材49は例えばスポンジやゴム等の弾性変形可能で柔軟性を有する素材により形成されており、径方向に拡縮自在である。そして、挟持部材49の外周面同士が当接して設置されている。この挟持用ローラ44は、攪拌手段16及び掻き込み手段37により貯留部4から搬送されてきた紙材11を、下方の第1ダクト31へと送り出す送り出し部材47として構成される。
【0044】
挟持搬送用駆動部45は、両挟持用ローラ44を互いに反対方向へ回転させるDCモータ等のモータ34及び歯車35等により構成される。閉塞部材50は、ケーシング36の内面と挟時部材49との隙間を閉塞する。
【0045】
図1に示すように、分散用サイクロン26は、挟持搬送手段38の下方に設置される。分散用サイクロン26は、上部が円筒状で且つ下部がテーパ状の本体部52を備えている。本体部52の上面には、平面視矩形状に開口して形成された紙材流入口53を設けている。紙材流入口53は、ケーシング36の下端縁に連結される。本体部52の下部は、第1ダクト31に接続され、紙材流出口54が設けられる。また、本体部52には空気流入口56が形成されている。空気流入口56は、本体部52の円筒状部分の接線方向に第3ダクト33が接続された構造を有する。
【0046】
排出用サイクロン27は、分散用サイクロン26と同様に、上部が円筒状で且つ下部がテーパ状の本体部58を有する。本体部58の円筒状部分には、紙材流入口59が形成される。紙材流入口59は、円筒状部分に形成された開口に、第1ダクト31の下流側が接線方向に接続された構造を有する。また、本体部58の上面中央部には、空気流出口60が設けられ、本体部58の下部には、紙材排出口61が開口して設けられる。
【0047】
送風機29は、第2ダクト32の下流側に接続され、第2ダクト32からの空気を吸い込む吸込口63と、吸い込んだ空気を吐出する吐出口64とを有している。また、送風機29には、外気を吸入するための外気吸入部65が形成されている。
【0048】
第1ダクト31は分散用サイクロン26の紙材流出口54と排出用サイクロン27の紙材流入口59との間に、第2ダクト32は排出用サイクロン27の空気流出口60と送風機29の吸込口63との間に、第3ダクト33は送風機29の吐出口64と分散用サイクロン26の空気流入口56との間にそれぞれ接続されている。第1ダクト31、第2ダクト32及び第3ダクト33は、いずれも合成樹脂等で蛇腹状に形成され、内部に紙材11の移送空間67を有する伸縮及び屈曲自在な配管により形成される。
【0049】
計測部6は、紙材搬送部5により搬送された紙材11の重量を計側する。計測部6には、重量計測器71を設けている。重量計測器71は、受皿69、揺動装置70、囲い部材73及び重量検出手段72を備えている。揺動装置70は、受皿69を受け位置と、
図2で二点鎖線で示す投入位置とに上下に揺動させる。重量検出手段72は、受皿69上に受けられた紙材11の重量を検出するロードセルなどにより構成される。
【0050】
制御部7は、紙材供給装置1全体の動作を制御し、攪拌用駆動部19、掻き込み用駆動部42、挟持搬送用駆動部45、送風機29、揺動装置70の駆動及び停止を制御する。また、制御部7は、重量計測器71の重量検出手段72の計測値W
nを受信する。そして、制御部7は、不揮発メモリからなる記憶部75を有し、紙材供給先へ供給する紙材11の重量である重量計測器71の計測値W
nと、紙材11の搬送に要した時間t
nとを記憶する。
【0051】
紙材11の搬送に要した時間t
nは、貯留部4に貯留する紙材11が、紙材搬送部5により搬送され、計測部6で計測される際に要した時間である。搬送開始及び搬送終了の時点は、種々のタイミングから選択可能である。例えば、空の受皿69に新たに紙材11が積載されたことを重量検出手段72が検出した時点を搬送開始時点とし、重量検出手段72が目標重量W
0を検出した時点を搬送終了時点とすることができる。或いは、攪拌用駆動部19、掻き込み用駆動部42、挟持搬送用駆動部45または送風機29のいずれかの駆動開始から停止までの時間を紙材11の搬送時間t
nとすることもできる。また、これらから搬送開始及び終了を示すいずれかのタイミングを選択し、自由に組み合わせて設定することも可能である。
【0052】
更に、記憶部75には、目標重量W
0、目標搬送時間t
0及び検出用重量W
Cが記憶される。目標重量W
0は、計測部6で計測し、紙材処理装置9へ供給すべき重量である。目標搬送時間t
0は、紙材11の搬送に要した時間t
nについて基準とする値であり、予め実験によって求められる。
【0053】
検出用重量W
Cは、最終的に紙材処理装置9へ供給すべき目標重量W
0より軽い、例えば目標重量W
0の90%といった所定割合の値である。制御部7は、重量検出手段72でこの検出用重量W
Cを検出した時点で、貯留部4からの紙材11の供給を停止することとし、送り出し部材47による紙材11の送り出しを停止する。仮に、重量計測器71の重量が目標重量W
0に達した時点で、攪拌用駆動部19、掻き込み用駆動部42、挟持搬送用駆動部45及び送風機29を停止し、貯留部4からの紙材11の送り出しを停止するとした場合には、挟持搬送用駆動部45等の停止時に搬送途中の紙材11が、分散用サイクロン26、第1ダクト31及び排出用サイクロン27に残存し、搬送不良の問題を生じるおそれがある。また、一部の紙材11は、送風機29の停止後なお残存する空気流によって受皿69まで運ばれてしまう。よって、計測部6での紙材11の重量が過多となり、正確に計測できない。
【0054】
このため、重量計測器71で検出用重量W
Cが計測された時点で、貯留部4からの紙材11の供給を停止することとする。制御部7は、このタイミングでまず、攪拌用駆動部19、掻き込み用駆動部42及び挟持搬送用駆動部45を停止し、送り出し部材47による紙材11の送り出しを中断する。その後、所定時間t
fが経過したときに送風機29を停止する。
【0055】
所定時間t
fは、予め実験から求めた値であり、検出用重量W
Cの計測後、紙材搬送部5で搬送途中の紙材11を全て受皿69へ搬送可能な時間であり、予め記憶部75に記憶される。送風機29の停止を、所定時間t
fだけ遅くすることで、送り出し部材47の停止時に、搬送途中の紙材11を計測部6まで搬送し、目標重量W
0に略等しい重量の紙材11を計測可能である。
【0056】
このように目標重量W
0の所定割合の重量である検出用重量W
Cを用いて計測する場合には、紙材搬送部5で搬送途中の紙材11の重量を、おおよそで予測して計測を行うために、実際の計測値W
nにばらつきが生じることがある。例えば、貯留部4に貯留されている紙材11が、事前に細断機器によって細断された際、細断刃へ古紙が1枚ずつ供給され細断されたのか、複数枚重ねた状態で細断されたのかによって、紙材11の嵩高さに対する重量が異なってしまう。
【0057】
従って、重量計測器71で検出用重量W
Cが計測され、制御部7が送り出し部材47を停止したときに、既に紙材搬送部5で搬送途中となっている紙材11は、嵩高さが略同じであったとしても、その重量が大きく異なることがある。このような場合には、紙材11をより精度よく計測するのは困難となる。
【0058】
そこで、制御部7は、重量計測器71による計測値W
n及び紙材11の搬送に要した時間t
nに基づいて、送り出し部材47の駆動量を制御する。送り出し部材47の駆動量は、該送り出し部材47を駆動するモータ34の駆動量により調整される。そして、このモータ34の駆動量の調整は、該モータ34に供給するパルス信号のデューティーD
nを調整することで行われる。デューティーD
nの算出には、例えば、次の(I)式を用いることができる。
【0060】
(I)式において、D
n−1は、前回搬送時において、モータ34に供給されたパルス信号のデューティーである。D
0には、予め実験により求めた所定の値が設定される。W
0/t
0は、搬送の際に目標とすべき単位時間当たりの紙材11の搬送重量であり、目標重量W
0を目標搬送時間t
0で割り算することで得られる。また、W
n−1/t
n−1は、前回の搬送時における単位時間当たりの紙材11の搬送重量であり、前回の重量計測器71の計測値W
n−1を、前回の紙材搬送時間t
n−1で割り算することで得られる。
【0061】
上記(I)式により、デューティーD
nを算出するには、前回搬送時にモータ34に供給したパルス信号のデューティーD
n−1に、前回の単位時間当たりの紙材搬送重量W
n−1/t
n−1に対し、目標とする単位時間当たりの搬送重量W
0/t
0の割合を掛け算する。これは、挟持用ローラ44の回転速度に応じて、該挟持用ローラ44により搬送される紙材11の嵩高さが増減すると仮定したことによる。挟持用ローラ44の回転速度が速くなると、搬送される紙材11の容量が増加し、遅くなると容量が減少すると考える。そして、挟持用ローラ44の回転速度を、モータ34に供給するパルス信号のデューティーD
nにより調整している。
【0062】
例えば、古紙を1枚ずつ細断機器に掛けて得られた紙材11を搬送する場合のように、紙材11の嵩高さに対する重量が軽く、計測値W
nが目標重量W
0より軽かったときは、(I)において、前回の単位時間当たりの紙材搬送重量W
n−1/t
n−1の値が目標とする単位時間当たりの搬送重量W
0/t
0より小さくなる。このときは、(W
0/t
0)/(W
n−1/t
n−1)>1となり、算出されるデューティーD
nは、前回搬送時のデューティーD
n−1より大きくなる。すると、モータ34に供給するONの時間が長くなり、挟持用ローラ44の回転速度は前回搬送時より速くなる。よって、単位時間当たりに搬送する紙材11の容量は増加し、所定時間内により多くの紙材11を送ることができる。
【0063】
逆に、古紙を複数枚重ねて細断し、得られた紙材11を搬送する場合には、紙材11の嵩高さに対する重量が重いと考えられる。よって、計測値W
nが目標重量W
0より重くなりやすく、(I)において、前回の単位時間当たりの紙材搬送重量W
n−1/t
n−1の値が目標とする単位時間当たりの搬送重量W
0/t
0より大きくなる。従って、(W
0/t
0)/(W
n−1/t
n−1)<1となり、算出されるデューティーD
nは、前回搬送時のデューティーD
n−1より小さくなる。これより、モータ34に供給するONの時間が短くなり、挟持用ローラ44の回転速度を前回搬送時より遅くすることになる。よって、単位時間当たりに搬送する紙材11の容量は減少し、所定時間内に搬送する紙材11の重量を抑えることができる。
【0064】
これにより、紙材11の嵩高さに対する重量に応じて、挟持用ローラ44の回転速度を調整し、紙材11の送り出し量を制御して、単位時間当たりの搬送重量の過不足を補正することができる。よって、計測精度を向上させることができる。上記(I)式は、次の(II)式のように書き替えることも可能である。
【数2】
【0065】
(II)式によれば、デューティーD
nは、前回搬送時のデューティーD
n−1と、前回紙材供給先へ供給した重量である前回搬送時の計測値W
n−1に対する目標重量W
0の割合と、目標搬送時間t
0に対する前回の紙材11の搬送に要した時間t
n−1の割合とを掛け算することで算出することができる。
【0066】
これより、重量計測器71の計測値W
n−1が目標重量W
0より重い場合には、W
0/W
n−1<1となり、目標搬送時間t
0と紙材11の搬送に要した時間t
n−1とが等しいとき、(II)式により算出されるデューティーD
nは、前回搬送時のデューティーD
n−1より小さくなる。すると、モータ34に供給するONの時間が短くなり、挟持用ローラ44の回転速度を前回搬送時より遅くすることになる。よって、単位時間当たりに搬送する紙材11の容量は減少し、所定時間内に搬送する紙材11の重量を抑えることができる。
【0067】
逆に、重量計測器71の計測値W
n−1が目標重量W
0より軽いときには、W
0/W
n−1>1となり、目標搬送時間t
0と紙材11の搬送に要した時間t
n−1とが等しいとき、()式により得られるデューティーD
nは、前回搬送時のデューティーD
n−1より大きくなる。すると、モータ34に供給するONの時間が長くなり、挟持用ローラ44の回転速度を前回搬送時より速くすることになるので、単位時間当たりに搬送する紙材11の容量が増大する。この結果、所定時間内に搬送する紙材11の重量を前回より重くすることができる。
【0068】
更に、(I)または(II)式により得られるデューティーD
nが、直前のデューティーD
n−1からあまり大きく変更されることのないよう、即ち前回のデューティーD
n−1と、(I)または(II)式により得られるデューティーD
nとの差を小さくする目的で、D
n−1とD
nとの平均値をとり、この平均値を新たなデューティーとして設定する。一例として下記に、(I)式を基にした平均値の算出方法である(III)式を示す。
【0070】
また、制御部7は、前回紙材供給先へ供給した重量である前回搬送時の計測値W
n−1が、目標重量W
0と大幅に異なり、予め記憶部75に記憶していた所定範囲を超えた場合には、検出用重量W
Cの値を変更する制御を行う。所定範囲は、目標重量W
0を中心としたある一定の範囲であり、予め実験により求められ、記憶部75に記憶される。計測値W
nが所定範囲を超えて重くなったときには、予め記憶部75に記憶していた前回の検出用重量W
Cより軽い値を検出用重量W
Cに新たに設定する。また、逆に、計測値W
nが所定範囲を超えて軽くなったときには、予め記憶部75に記憶した前回より重い値を検出用重量W
Cに設定する。これにより、紙材の状態によって嵩高さに対する紙材重量が大幅に変更される場合にも、目標重量W
0に近い重量の紙材11を計測することができ、計測誤差を小さくすることが可能である。また、紙材11の計測を複数回連続して行い、この複数回の合計を一定値とする計測を行う場合、複数回の合計を一定値により近づけることができ、計測誤差を小さくすることが可能である。
【0071】
図5は、制御部7のフローを示す。
図5のS1で、前回の重量計測器71の計測値W
n−1から検出用重量W
Cを設定する。その際、前回の重量計測器71の計測値W
n−1が所定範囲を超えたかどうか確認し、所定範囲を超えない場合には検出用重量W
Cを前回と同じ値に設定し、超えた場合には予め記憶部75に記憶する別の検出用重量W
Cを設定する。S2で、前回のデューティーD
n−1、前回の重量計測器71の計測値W
n−1、紙材11の搬送に要した時間t
n−1、目標重量W
0、目標搬送時間t
0を(III)式に代入し、モータ34に供給するパルス信号のデューティーD
nを演算する。紙材11の最初の搬送時には、前回の搬送時間t
n−1として上記目標搬送時間t
0が、前回の計測値W
n−1として目標重量W
0が、前回のデューティーD
n−1として、例えば80%といった予め記憶部75に記憶しておいた所定値がそれぞれ設定される。
【0072】
S3で、掻き込み用駆動部42及び送風機29を駆動する。掻き込み用駆動部42の駆動に同期して、攪拌用駆動部19も駆動する。S3の送風機29の駆動から所定時間t
s経過した後、S4で、送り出し部材47を駆動する。
【0073】
そして、S5で、紙材11の搬送時間t
n=0とし、S6でt
n=t
n+1とする。S7で、紙材11の搬送時間t
nが所定時間t
eを超えたかどうかを判断し、所定時間t
e経過する前であればS8に進み、計測値W
nが検出用重量W
Cを超えたかどうか判断する。S8で計測値W
nが検出用重量W
Cを超えず、W
n>W
Cを満たさないときは、S6に戻る。S7で、紙材搬送時間t
nが予め設定した所定時間t
eより長くなった場合には、貯留部4または紙材搬送部5のどこかで紙詰まり等の搬送不良が生じたと判断し、S12でエラー表示を、紙材供給装置1の表示部(図示省略)にし、S13でデューティーD
n、搬送時間t
n、計測値W
nを初期化する。即ち、これらの値を、紙材11の最初の搬送時設定した値とする。
【0074】
S8で、計測値W
nが検出用重量W
Cを超えると、S9に進み、送り出し部材47を停止する。送り出し部材47の停止は、挟持搬送用駆動部45のモータ34を停止することで行い、これに合わせて掻き込み用駆動部42及び攪拌用駆動部19も停止する。そして、所定時間t
f経過後、S10で、送風機29を停止する。S11で、デューティーD
n、搬送時間t
n、計測値W
nを記憶部75に記憶し終了する。
【0075】
紙材処理装置9は、紙材11を処理する装置であれば、特に限定されず、例えば、再生紙の製造装置としての古紙再生処理装置や、紙材11を原料に建築材料や農業資材を製造する装置、紙材11に加水し圧縮して圧縮物を形成する装置等を挙げることができる。これらのうち
図1では、紙材処理装置9として、再生紙を製造する古紙再生処理装置8の一部であるパルパー装置80の攪拌槽81を示している。攪拌槽81は、紙材供給装置1から供給された紙材11を水とともに攪拌し、離解処理を行って再生パルプを製造する。古紙再生処理装置8は、このパルパー装置80と、パルパー装置80で得られた再生パルプを抄紙する抄紙装置(図示せず)とを備えてなる。
【0076】
(作用)
上記構成を有する紙材供給装置1は、次のように作動する。細断機器等により細断された紙材11が、貯留部4へ投入され一旦貯留される。そして、紙材処理装置9へ紙材を供給する必要が生じたときに、制御部7が攪拌用駆動部19、掻き込み用駆動部42及び送風機29を駆動する。攪拌用駆動部19の駆動により、攪拌棒18が回動され、貯留容器15内の紙材11が攪拌される。攪拌の際、紙材11は攪拌棒18に掻き寄せられつつ貯留容器15の中心部から径方向へ徐々に移動し、そして、排出口22の上方に至った際、回動する掻き込み棒41によって下方へと掻き込まれる。
【0077】
制御部7は、攪拌用駆動部19、掻き込み用駆動部42及び送風機29の駆動後、所定時間t
s経過した後、挟持搬送用駆動部45を駆動する。送風機29の駆動により移送空間67内に発生した気流が、所定時間t
s経過する間に、所定量まで上昇し、安定するので、紙材11を常に一定の風量で搬送することができる。
【0078】
また、制御部7が、攪拌用駆動部19及び掻き込み用駆動部42を先に駆動し、その後挟持搬送用駆動部45を駆動することにより、排出口22からケーシング36内に大量の紙材11が詰め込まれていた場合、掻き込み用駆動部42を駆動してから所定時間t
s経過する間に、掻き込み棒41がケーシング36内へ紙材11を掻き込むだけでなく過剰に詰め込まれた紙材11を貯留部4へ掻き出して戻すことができる。よって、ケーシング36内に適正量の紙材11が留まるよう調整することができ、搬送不良を生じることなく円滑に紙材11を搬送することができる。
【0079】
掻き込み手段37の下方へ掻き込まれた紙材11は、挟持搬送用駆動部45の駆動により回転する挟持用ローラ44の間に挟まれ、下方の分散用サイクロン26へと搬送される。
【0080】
分散用サイクロン26では、送風機29の駆動により空気流入口56から本体部52に流入した気流が、渦状に回転し、紙材流出口54から第1ダクト31へ流入している。この渦状の気流によって紙材11が解され、第1ダクト31へ流入される。紙材11は、第1ダクト31内を気流によって排出用サイクロン27まで搬送され、排出用サイクロン27の紙材排出口61から受皿69へ落とされる。
【0081】
排出用サイクロン27の上部は第2ダクト32により送風機29の吸込口63と連通しているために負圧となっている。よって、本体部58内を旋回した空気の一部は上部へと吸引され第2ダクト32内へ流れ込む。そして、第2ダクト32を流通して送風機29の吸込口63に吸い込まれる。一方、送風機29の吐出口64から吐出した空気は、第3ダクト33を経て分散用サイクロン26の空気流入口56に流入する。このように、送風機29の駆動で吐出口64から吐出された気流は第3ダクト33、分散用サイクロン26、第1ダクト31、排出用サイクロン27及び第2ダクト32の順に循環流通する。
【0082】
排出用サイクロン27より計量部6の受皿69に排出された紙材11は、重量計測器71によっての重量が検出される。重量計測器71が検出用重量W
Cを検出したとき、制御部7は、攪拌用駆動部19、掻き込み用駆動部42及び挟持搬送用駆動部45を停止する。その後所定時間t
f経過後送風機29を停止する。これにより、紙材搬送部5内で搬送途中の紙材11を全て受皿69に搬送することができる。紙材11を搬送経路の途中に残存させることなく、搬送不良の問題を解決でき、目標重量W
0を略正確に計測することができる。
【0083】
更に、送風機29の停止から所定時間t
a経過し、重量検出器71への気流の影響がなくなってから、最終的に紙材処理装置9へ供給する紙材11の重量である重量計測器71の計測値W
nが制御部7に送信され、記憶部75に記憶される。
【0084】
計測部6による計測後は、制御部7により揺動装置70が駆動され、受皿69が受け位置から投入位置に揺動し、受皿69上の紙材11が紙材処理装置9へ供給される。紙材処理装置9が古紙再生処理装置である場合には、このような紙材11の搬送及び計測の処理を複数回行う。そして、攪拌槽81へ投入された紙材の重量が、離解処理に必要な所定値に達したとき、紙材11の攪拌槽81への供給処理を終了する。その後、パルパー装置80において攪拌槽81に加水し、紙材11を離解して再生パルプを製造し、得られた再生パルプを抄紙装置において抄紙して再生紙を得る。
【0085】
以上より、本実施形態に係る紙材供給装置1は、嵩張る紙材を効率よく搬送することができ、精度よく計測することができる。また、粉末体を搬送するには、送風機による気流の圧力及び搬送時間を一定にすることで、精度よく所定重量を計測することが可能だが、このように気流の圧力及び搬送時間を一定としても、精度よく所定重量を計測することが困難な紙材を搬送する場合において、重量計測器71の計測値のばらつきを抑え、精度よく所定重量を計測することができる。
【0086】
尚、上記実施形態では、制御部7は、重量計測器71による計測値W
n及び紙材11の搬送に要した時間t
nに基づく送り出し部材47の駆動量の制御と、紙材供給先へ供給する紙材11の重量が、所定範囲を超える場合に、検出用重量W
Cを変更する制御との双方を備えたが、本発明に係る紙材供給装置は、これに限定されず、いずれか一方のみ備えてもよい。
【0087】
また、制御部7が、送り出し部材47の駆動量を制御する際に基にした重量計測器71の計測値W
n及び紙材11の搬送に要した時間t
nは、紙材供給先へ供給した紙材11の重量、即ち最終的に紙材処理装置9へ供給した紙材重量の値、及びその搬送時間としたが、これに限定されず、他のタイミングで計測された計測値W
nを用いてもよい。例えば、搬送開始後、重量計測器71が目標重量の3分の1といった所定の重量を検出したときまでの紙材搬送時間を用いてもよい。この場合、重量計測器の計測値には、目標重量の3分の1の重量が用いられ、紙材の搬送に要した時間には、目標重量の3分の1の重量の紙材を搬送するのに要した時間が用いられる。そして、これらの値に基づき、残り3分の2の紙材を搬送する際の送り出し部材の駆動量を制御してもよい。
【0088】
また、デューティーD
nの算出に、前回計測時の計測値W
n−1及び紙材搬送時間t
n−1重量を用いたが、前々回等他の計測時の重量や、前5回の計測により得られた重量の平均値等といった値を用いてもよい。また、デューティーD
nの算出に(III)式を用いたが、(I)または(II)式を用いてもよく、他の算出式を利用しても構わない。
【0089】
また、紙材供給先へ供給する紙材の重量が、所定範囲を超える場合に、検出用重量W
Cを変更する際、紙材供給先へ供給した紙材11の重量として、前回計測時の重量を用いたが、これに限定されず、前々回等他の計測時の重量や、前5回の計測により得られた重量の平均値等を用いてもよく、5回の計測を行って3回が所定範囲を超えた場合に検出用重量を変更する等の制御を行っても構わない。
【0090】
また、挟持搬送用駆動部45のモータ34を、DCモータにより構成したが、パルスモータ、ACモータ等の回転数可変な他のモータを用いてもよい。パルスモータまたはACモータを用いる場合には、制御部は、モータの駆動量の調整を、周波数または周期を制御することで行う。そして、上記(I)〜(III)式のデューティーに替えて、周波数又は周期を用いて算出することが可能である。パルスモータを用いる場合、挟持用ローラの回転角度を容易に調整することができ、紙材の搬送量をより精度よく調整することが可能である。一方、上記実施形態のようにDCモータを用いる場合には、DCモータは安価であるため製造コストを低く抑えることができる。
【0091】
また、挟持搬送手段38の挟持用ローラ44は、双方のローラが挟持部材49を備えることによって径方向に拡縮自在な柔軟性を有した例を示したが、本発明に係る挟持用ローラはこれに限定されず、いずれか一方の挟持用ローラのみが挟持部材を備えることによって径方向に拡縮自在な柔軟性を有していてもよい。
【0092】
また、挟持用ローラ44は、芯部材48と柔軟な材質で形成された挟持部材49とで構成したが、この構成に限定されるものではなく、中空部を有するゴム等で構成してもよい。
【0093】
(実施例1)
上記紙材供給装置8を用いて、細断済みの紙材11を搬送し、重量を計測し、紙材処理装置9へ供給した。紙材11は、シュレッダー装置に古紙を1枚ずつ搬送して細断を行ったものを用いた。目標重量W
0を140g、検出用重量W
Cを130gとし、連続して8回の計測を行った。この連続8回の計測を1組として、9組分、即ち合計72回の計測を行った。制御部は、紙材処理装置9へ供給した紙材11の重量の計測値W
nが、150gより重くなったときには、検出用重量W
Cを130gから120gへ変更する制御を行った。送り出し部材47の駆動量は一定とし、重量計測器による計測値W
n及び紙材11の搬送に要した時間t
nに基づく送り出し部材47の駆動量の制御は行わなかった。結果を
図6(A)に示す。
【0094】
(実施例2)
実施例1と同様に、紙材供給装置8を用いて、紙材11を紙材処理装置9へ供給した。実施例1では、連続8回の計測を1組として、9組分、即ち合計72回の計測を行ったところ、本実施例2では、連続8回の計測を13組分、合計104回の計測を行った。制御部7は、重量計測器による計測値W
n及び紙材の搬送に要した時間t
nに基づいて、送り出し部材47の駆動量を制御し、(III)式により算出されたデューティーD
nのパルス信号をモータ34に供給した。その他の条件は実施例1と同じである。結果を
図6(B)に示す。
【0095】
(実施例3)
実施例1と同様に、紙材供給装置8を用いて、紙材11を紙材処理装置9へ供給した。実施例1では、シュレッダー装置での細断の際に、古紙を1枚ずつ搬送し細断した紙材を用いたところ、本実施例2では、これに替えて、古紙を10枚ずつ搬送し細断したものを用いた。その他の条件は実施例1と同じである。結果を
図7(A)に示す。
【0096】
(実施例4)
実施例2と同様に、紙材供給装置8を用いて、紙材11を紙材処理装置9へ供給した。実施例2では、シュレッダー装置での細断の際に、古紙を1枚ずつ搬送し細断した紙材を用いたところ、本実施例4では、これに替えて、古紙を10枚ずつ搬送し細断したものを用いた。また、実施例2では、連続8回の計測を1組として、13組分、合計104回の計測を行ったところ、本実施例4では、連続8回の計測を10組分、合計80回の計測を行った。その他の条件は実施例2と同じである。結果を
図7(B)に示す。
【0097】
(比較例1)
上記実施例1と同様の紙材供給装置を用い、貯留部から紙材搬送部により細断済みの紙材を搬送し、計測部で重量を計測し、紙材処理装置へ供給した。紙材には、上記実施例1と同様に、シュレッダー装置に古紙を1枚ずつ搬送し細断したものを用いた。制御部は、送り出し部材の駆動量を制御することなく、挟持搬送用駆動部のモータに供給するパルス信号を一定とした。また、紙材処理装置へ供給した紙材の重量の計測値W
nにかかわらず、検出用重量W
Cを130gのまま一定とした。結果を
図6(C)に示す。
【0098】
(比較例2)
上記実施例1と同様の紙材供給装置を用い、貯留部から紙材搬送部により細断済みの紙材を搬送し、計測部で重量を計測し、紙材処理装置へ供給した。紙材には、上記実施例3と同様に、シュレッダー装置に古紙を10枚ずつ搬送し細断したものを用いた。制御部は、送り出し部材の駆動量を制御することなく、また、挟持搬送用駆動部のモータに供給するパルス信号のデューティーを一定とした。また、紙材処理装置へ供給した紙材の重量の計測値W
nにかかわらず、検出用重量W
Cを130gのまま一定とした。結果を
図7(C)に示す。
【0099】
図6、7では、横軸に、各組の中で何回目の計測であるかを示し、縦軸に、紙材処理装置へ供給した紙材の重量の計測値W
nを示している。また、各図では、組毎の1〜8回の計測値を折線でつないで示した。
図6(C)及び
図7(C)より、古紙が1枚ずつ細断され得られた紙材及び10枚ずつ細断され得られた紙材の双方で、重量計測器の計測値W
nが、目標重量W
0の140gからかなり離れた値となり、最大で35%もの誤差が生じた。
【0100】
また、
図7(C)に示す10枚ずつ細断された紙材の場合には、略全ての計測値が140gを上回り、目標重量より非常に重く計測された。これは、10枚ずつ細断された紙材は、1枚ずつ細断された紙材に比べ、嵩高さに対する紙材重量が約9倍乃至10倍程度重くなっているからと考えられる。これにも関わらず、1枚ずつ細断された紙材と同じ搬送条件で、搬送しており、また、紙材重量の計測値W
nが、150gを超えたときでも、検出用重量W
Cを小さくしないので、全体的に計測値W
nが重く計測されている。
【0101】
これに対し、
図6(A),
図7(A)に示す実施例1,3では、紙材重量の計測値W
nが、150gを超えたときには、検出用重量W
Cを130gから120gに小さくしたので、目標重量からの計測誤差を小さくすることができた。また、8回の合計の紙材重量を、目標とする1120gに略等しくすることができた。
【0102】
そして、
図6(B)、
図7(B)に示す実施例2,4では、紙材の重量の計測値
nが、150gを超える場合に、検出用重量W
Cを120gに変更するとともに、この計測値W
n及び紙材の搬送に要した時間t
nに基づいて、送り出し部材47の駆動量を制御したので、紙材が、1枚ずつ細断された場合及び10枚ずつ細断された場合の双方で、計測値W
nを目標重量の140gに近い値とすることができ、計測精度を改善できた。