(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シラン系化合物を加水分解可能な前記化合物が、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化リチウム、および水酸化ナトリウムで構成される群から選択される化合物であることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
球状で多孔質のナノ粒子は、先行技術から周知である。規則的な多孔性は、シリカ材料において、従来のゾル−ゲルプロセスによって得ることができる。しかし、これらの材料は非晶性の特性を有するので、低い機械的強度、低い熱伝導率、およびその疎水性が大いに懸念される。
【0003】
最近、規則的な多孔質構造を有するナノスケールサイズの多孔質材料を製造するために、幾つかの方法が確立された。
【0004】
こうした方法の1つは、種々のサイズの孔を得るために、焼結される孔形成剤を使用するものである。ということは、この方法は、多孔性を生じさせるために達成されるべき最適温度の点からは堅牢な材料を必要とし、その温度は一般に500℃を超える。アルミノシリケート、酸化セリウム、シリカビーズ、酸化チタンのような種々の粒子においてナノスケールの多孔性を生じさせるために、焼結方法の種々の応用が文献にて報告されている。シリカビーズに関して、非特許文献1では、孔形成剤として、非加水分解性アミン官能基を有するトリアルコキシシランである3−アミノプロピルトリエトキシシラン、またはグリセロールのいずれかを使用することが提案されている。後者の孔形成剤は、粒径分布およびモルホロジーの観点から最良の結果をもたらす。しかし、得られた粒子は、150nmを超えるサイズを有する[非特許文献1]。
【0005】
また、白金を含有するメソ多孔質シリカ粒子は、孔形成剤として白金前駆体を用いることにより、さらに必要な多孔性を生じさせるために焼結を必要とすることによって、製造されている。シリカ系孔形成剤を用いる多孔質の微細構造体の調製も記載されている。
【0006】
非特許文献2では、Fe
2O
3コアおよびSiO
2シェルを有するナノ粒子(以下、Fe
2O
3/SiO
2ナノ粒子として示す)から種々の種類のナノ粒子を調製することが提案されており、このシェルは逆マイクロエマルションにより合成されている[非特許文献2]。故に、逆マイクロエマルションがテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、続いて焼成される孔形成剤としてのオクタデシルトリメトキシシラン(C18TMS)を使用する場合に、メソ多孔質Fe
2O
3/SiO
2ナノ粒子が得られる。変形例として、中空のSiO
2ナノ粒子は、そのFe
2O
3/SiO
2ナノ粒子の金属コアをエッチングすることによって得られる。故に文献にて報告されている多孔性を導入する別の方法は、ナノ粒子のエッチングからなる。
【0007】
多孔性はまた、界面活性剤の使用により形成できる。これは特に、界面活性剤としてセチルトリメトキシアンモニウムブロミド(CTAB)を用い、次いでそれを形成された粒子から酸洗浄により抽出することによってメソ多孔質シリケート粒子を形成するために使用されている[非特許文献3]。
【0008】
熱孔形成剤、特にシリカ前駆体にグラフトしたアダマンタンタイプの熱孔形成剤の使用により誘導される多孔性を有するハイブリッドシリカの秩序化ナノ構造体が確立された[非特許文献4]。
【0009】
故に、実施が容易で、焼結、エッチング、腐食または酸処理のような厳しい処理工程を含まない、多孔質シリカ粒子の調製プロセスが真に必要とされている。
【0010】
シクロデキストリンは、孔形成剤として既に報告されている。確認として、シクロデキストリンは、環状オリゴサッカリドで構成され、疎水性分子と錯体を形成できる。これが結果として、活性剤の輸送、医薬処方、環境保護、超分子化学、芳香剤の拡散、およびコレステロールを含まない製品を調製するための食品産業のような種々の分野において多数応用されている。特に、約7.5Åの内径、ひいては内部空隙を有するβ−シクロデキストリンのようなシクロデキストリンの疎水性コアと適合性のサイズを有する親油性の医薬製品は錯体を形成でき、結果としてこうした医薬製品の水性溶解度を増大させる。インビボでの有効性は、こうした医薬製品がシクロデキストリン錯体として投与される場合に一般に維持される。さらに、シクロデキストリンは非毒性であり、タンパク質を変性せず、酵素反応を邪魔しないことに留意することが重要である。
【0011】
シクロデキストリンの孔形成剤としての使用に関して、特許文献1には、絶縁薄膜層のような50Å未満の直径を有するナノ細孔を有する物質の調製が記載されている。この調製は、シリカベースのマトリックス前駆体と孔形成剤としてのシクロデキストリンとを使用し、この孔形成剤の熱分解工程を使用している[特許文献2]。
【0012】
同様に、γ−シクロデキストリンが、シリカ/ゼオライトMFIフィルムにおける多孔性を生じさせるために使用されており、これらのフィルムの調製中に使用されるプロセスは焼成工程を含む[非特許文献5]。β−シクロデキストリンの使用による、1μm超過のサイズを有するポリ(ラクチド−co−グリコリド)の多孔質ミクロ粒子の調製も報告されている[非特許文献6]。
【0013】
しかし、シクロデキストリンは、多孔質シリカ粒子の調製のための孔形成剤として使用されていない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の状況において、水溶性の孔形成剤を含むシリカ粒子は逆ミクロエマルションから調製される。
【0023】
「逆ミクロエマルション」という表現は、「油中水型」ミクロエマルションとしても知られ、第1の極性液体の微細な液滴の、非極性であり、従って第1の液体と不混和性の第2液体中における熱力学的に安定な明確な懸濁液を意味すると理解される。
【0024】
より詳細には、本発明に従うプロセスは、次の工程を含む:
a)水溶性の孔形成剤を含有する油中水型タイプのミクロエマルション(M
a)を調製する工程
b)工程(a)で調製されたミクロエマルション(M
a)に、シラン系化合物の加水分解を可能にする化合物を添加する工程;
c)工程(b)で得られたミクロエマルション(M
b)に、少なくとも1つのシラン系化合物を添加する工程;
d)工程(c)で得られたミクロエマルション(M
c)に、ミクロエマルションを不安定化することができる溶媒を添加する工程;
e)工程(d)中に沈殿した孔形成剤を含むシリカ粒子を回収する工程;および
f)多孔質シリカ粒子を得るために、工程(e)中に回収したシリカ粒子から水溶性孔形成剤を溶解することによって除去する工程。
【0025】
「多孔質シリカ粒子」という表現は、本発明の状況内では、特に球状であり、好ましくは10Å未満の直径を有する、秩序化した均一な孔を有するシリカ粒子を意味すると理解される。有利なことに、本発明に従うシリカ粒子は、100nm以下、特に80nm以下、特に60nm以下、さらには40nmのオーダー(すなわち40±10m)の平均サイズを有する。本発明に従うシリカ粒子は、場合により官能化されてもよい。
【0026】
「水溶性の孔形成剤」という表現は、本発明の状況内では、水溶液と混和性であり、水溶液からはそのごく少量だけが非極性有機溶媒、例えばトルエンまたはヘプタンに抽出され得る孔形成剤を意味すると理解される。
【0027】
「ごく少量」という表現は、水溶液に存在する孔形成剤の総重量に対して5重量%未満、特に3重量%未満、特に1重量%未満の量を意味すると理解される。
【0028】
本発明の状況内で使用される水溶性の孔形成剤は、25℃において水への溶解度が10g/l超過、特に15g/l超過である。この溶解度は、シクロデキストリンの場合では18g/lのオーダーである[Sabadini,E.;Cosgrove,T.;do Carmo Egidio,F.Carbohydr.Res.,2006,341,270−274.]。
【0029】
有利なことに、本発明の状況内で使用される水溶性の孔形成剤は、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、モノサッカリド、オリゴサッカリドおよびポリサッカリドによって構成される群から選択される。
【0030】
「シクロデキストリン」という用語は、α−1,4−グリコシド結合によって連結したn個の無水グルコース単位の結合によって形成される化合物を意味すると理解され、nは5〜12の整数(境界を含む)を示し、特に天然シクロデキストリンは、6、7および8個の無水グルコース単位を有し、それぞれα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、およびγ−シクロデキストリンとして知られる。
【0031】
「シクロデキストリン誘導体」という表現は、事前に定義されたようなシクロデキストリンから、化学変性、特に置換によって誘導されるシクロデキストリンを意味すると理解される。故に、シクロデキストリン誘導体は、1以上の無水グルコース単位上に1以上の同一または異なる置換基を有していてもよい。いずれの置換も、特に無水グルコース単位のヒドロキシル基と、ハロゲン;マルトシル;グルコシル;フェニル;ベンジル;メチル;ヒドロキシプロピル;ナフチル;1〜20個の炭素原子を有する、任意に置換される直鎖又は分枝鎖アルキル基;1〜20個の炭素原子、有利なことには3〜18個の炭素原子、特に6〜15個の炭素原子を有する、任意に置換される直鎖又は分枝鎖アリール基;1〜20個の炭素原子を有する、任意に置換されるアミン基;1〜20個の炭素原子を有する、任意に置換されるアミド基;1〜20個の炭素原子を有する、任意に置換されるスルホニル基;1〜20個の炭素原子を有する、任意に置換されるスルホキシド基;または1〜20個の炭素原子を有する、任意に置換されるチオール基のような別の基とを置き換えることを目的とする。「任意に置換される」という表現は、ハロゲン、ヒドロキシル、ナフチル、ベンジルまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルによって置換されることを意味すると理解される。
【0032】
本発明の状況内で使用できるシクロデキストリン誘導体の非限定例としては、特許US5,760,017に記載される式(I)の誘導体を挙げることができる[特許US5 760 017 the Commissariat a l’Energie Atomiqueの名において、1998年6月2日公開]。
【0033】
本発明の状況内で有利に使用されるモノサッカリドは、3〜7個の炭素を有するモノサッカリド、例えばグリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリトロース、トレオース、エリトルロース、デオキシリボース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、リブロース、キシルロース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、セドヘプツロース、およびマンノヘプツロースである。
【0034】
本発明の状況内で有利に使用されるオリゴサッカリドおよびポリサッカリドは、特に:
−ジホロシドまたはオリゴホロシド、例えばトレハルロース、サッカロース(またはスクロース)、ツラノース、マルツロース、ロイクロース、イソマルツロース、メリビオース、ラクツロース、ラクトース、ルチノース、イヌロビオース、マンノビオース、トレハロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオースおよびセロビオース;ならびに
−ポリホロシド、例えばグリコーゲン(孔形成剤の分子量は、特に15000、特に10000、さらに4000を超えるべきでないと理解される)
であり、全て水溶性である。
【0035】
本発明に従うプロセスに特に好適な孔形成剤の1つは、疎水性空隙および活性化ヒドロキシル基で構成される切頂錘の形状を有するβ−シクロデキストリン分子である。この分子は、水に対して大きな親和性を有する。シリカナノ粒子の外表面領域、さらにはコアは、ヒドロキシル基を有し、後者は、水素架橋を形成することによってβ−シクロデキストリン分子と相互作用できることが知られている。故に、こうした現象が、懸濁液中での、β−シクロデキストリン分子とシリカ粒子との間の良好な混和性を確実にする。β−シクロデキストリン分子を導入し、濃度を変更することによって、メソ多孔性が制御可能になる。
【0036】
そのため、本発明に従うプロセスの工程(a)は、水溶性孔形成剤を含有する油中水型タイプのミクロエマルション(M
a)を調製することで構成される。こうしたミクロエマルションを調製可能にするいずれかの技術が、本発明の状況内で使用できる。すなわち、
−ミクロエマルション(M
a)を得るために、油中水型タイプの第1のミクロエマルション(M
1)を調製し、続いてその中に水溶性の孔形成剤を組み込む;
−または種々の成分、ひいては水溶性の孔形成剤を共に混合することによって直接ミクロエマルション(M
a)を調製することができる。
【0037】
有利なことには、本発明に従うプロセスの工程(a)は、水溶性の孔形成剤が後で組み込まれる第1のミクロエマルション(M
1)を調製することで構成される。この油中水型タイプのミクロエマルション(M
1)は、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの補助界面活性剤、および少なくとも1つの非極性または弱極性溶媒を共に混合することによって得られる。界面活性剤、補助界面活性剤、および非極性または弱極性溶媒は、一度に混合されてもよく、1つずつもしくはグループ毎に添加してもよい。有利なことには、それらは、次の順序;界面活性剤、次いで補助界面活性剤、次いで非極性または弱極性溶媒で1つずつ添加される。
【0038】
混合は、攪拌機、磁性攪拌棒、超音波浴またはホモジナイザーを用いて攪拌しながら行なわれ、10〜40℃、有利なことに15〜30℃、より詳細には周囲温度(すなわち23℃±5℃)の温度にて、1〜45分間、特に5〜30分間、特に15分間の期間実施されてもよい。
【0039】
本発明の状況内で使用できる界面活性剤は、親水性種を疎水性環境に導入することを目的とし、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物から選択できる。「混合物」という用語は、本発明の状況内では、少なくとも2つの異なるイオン性界面活性剤の混合物、少なくとも2つの異なる非イオン性界面活性剤の混合物、または少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と少なくとも1つのイオン性界面活性剤との混合物を意味すると理解される。
【0040】
イオン性界面活性剤は、特に荷電した炭化水素系鎖の形態であることができ、その電荷は対イオンによってつり合う。イオン性界面活性剤の非限定例としては、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート(AOT)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、セチルピリジニウムブロミド(CPB)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
本発明の状況内で使用できる非イオン性界面活性剤は、ポリエトキシル化アルコール、ポリエトキシル化フェノール、オレエート、ラウレートおよびこれらの混合物で構成される群から選択できる。市販の非イオン性界面活性剤の非限定例としては、Triton X製品、例えばTriton X−100;Brij製品、例えばBrij−30;Igepal CO製品、例えばIgepal CO−720;Tween製品、例えばTween 20およびSpan製品、例えばSpan85を挙げることができる。
【0042】
「補助界面活性剤」という用語は、本発明の状況内で、ミクロエマルションの形成を促進し、それらを安定化できる試剤を意味すると理解される。有利なことに、この補助界面活性剤は、8〜20個の炭素原子を有するアルキル硫酸ナトリウム、例えばSDS(ドデシル硫酸ナトリウム);プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールの異性体のようなアルコール;グリコールおよびこれらの混合物によって構成される群から選択される両親媒性化合物である。
【0043】
非極性または弱極性溶媒のいずれかは、本発明の状況内で使用できる。有利なことに、非極性または弱極性溶媒は、非極性または弱極性の有機溶媒であり、特に、n−ブタノール、ヘキサノール、シクロペンタン、ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、シクロヘプタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ヘキサデカン、石油エーテル、ベンゼン、イソブチルベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ジエチルエーテル、n−ブチルアセテート、イソプロピルミリステート、およびこれらの混合物で構成される群から選択される。
【0044】
ミクロエマルション(M
1)において、界面活性剤は、ミクロエマルションの総体積に対して1〜30体積%、特に5〜25体積%、特に10〜20体積%の割合で存在する。補助界面活性剤はまた、ミクロエマルションの総体積に対して1〜30体積%、特に5〜25体積%、特に10〜20体積%の割合でミクロエマルション(M
1)中に存在する。故に、非極性または弱極性溶媒は、ミクロエマルションの総体積に対して40〜98体積%、特に5〜90体積%、特に60〜80体積%の割合でミクロエマルション(M
1)中に存在する。
ミクロエマルション(M
1)が調製されたら、油中水型タイプのミクロエマルション(M
a)を形成するために、事前に定義された水溶性孔形成剤を組み込む。
【0045】
水溶性の孔形成剤は、固体形態、液体形態または極性溶媒の溶液にて、添加されてもよい。使用される変形例が如何なるものでも、極性溶媒は、水溶性の孔形成剤がミクロエマルション(M
1)に組み込まれた後にミクロエマルションに添加される。有利なことに、水溶性の孔形成剤は、極性溶媒の溶液にてミクロエマルション(M
1)に添加され、次いで、最初の極性溶媒と同一または異なる極性溶媒を再び添加する。より詳細には、使用される2つの極性溶媒は同一である。孔形成剤および任意に極性溶媒の添加は、攪拌機、磁性攪拌棒、超音波浴またはホモジナイザーを用いて行なってもよい。
【0046】
「極性溶媒」という用語は、本発明の状況内で、酸性化されたまたは塩基性の水、脱イオン水または蒸留水、酢酸、ヒドロキシル化溶媒、例えばメタノールおよびエタノール、低分子量の液体グリコール、例えばエチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、およびこれらの混合物で構成される群から選択される溶媒を意味すると理解される。
極性溶媒(孔形成剤が溶液の形態となる極性溶媒および/または後で添加される他の極性溶媒)は、ミクロエマルションの総体積に対して、0.5〜20体積%、特に1〜15体積%、特に2〜10体積%の割合でミクロエマルション(M
a)中に存在する。水溶性の孔形成剤は、極性溶媒の総体積に対して、0.05〜10体積%、特に0.1〜5体積%、特に0.2〜1体積%の量でこの極性溶媒中に存在する。
【0047】
本発明に従うプロセスの工程(b)は、加水分解を可能にする化合物をミクロエマルション(M
a)に添加することによって、シラン系化合物の加水分解を行なうことを目的とし、こうして得られたミクロエマルション(M
b)は油中水型ミクロエマルションである。
【0048】
「シラン系化合物の加水分解を可能にする化合物」という表現は、本発明の状況内では、アンモニア、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、および水酸化ナトリウム(NaOH)で構成される群から選択される化合物、有利なことには工程(a)中で使用される極性溶媒と同一または異なる極性溶媒中のこうした化合物の溶液を意味すると理解される。シラン系化合物の加水分解を可能にする化合物は、より詳細には、アンモニアまたは極性溶媒中のアンモニア溶液である。特に、アンモニアは、シラン系化合物の加水分解用の試薬(H
2O)および触媒(NH
3)として作用する。
【0049】
極性溶媒溶液の、アンモニア、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)および水酸化ナトリウム(NaOH)で構成される群から選択される化合物は、この溶液の総体積に対して、5〜50体積%、特に10〜40体積%、特に20〜30体積%の割合で存在する。さらに、この溶液は、ミクロエマルション(M
b)の総体積に対して、0.05〜20体積%、特に0.1〜10体積%、特に0.5〜5体積%の割合で存在する。
【0050】
工程(b)は、攪拌機、磁性攪拌棒、超音波浴またはホモジナイザーを用いて攪拌しながら、10〜40℃、有利なことには15〜30℃、より詳細には周囲温度(すなわち、23℃±5℃)の温度にて、6〜48時間、特に12〜36時間、とりわけ24時間行なってもよい。
【0051】
工程(c)は、こうして得られたミクロエマルション(M
b)にシラン系化合物または幾つかのシラン系化合物を組み込むことで構成され、この化合物は、同一または異なって、ゾル−ゲル反応により本発明に従うシリカ粒子におけるシリカを与える。油中水型タイプのミクロエマルション(M
c)を得るためのシラン系化合物のミクロエマルション(M
b)への組み込みは、攪拌機、磁性攪拌棒、超音波浴またはホモジナイザーを用いて攪拌しながら行い、10〜40℃、有利なことには15〜30℃の温度、より詳細には周囲温度(すなわち23℃±5℃)にて、5分から2時間、特に15分から1時間、特に30分間行なわれてもよい。
【0052】
有利なことに、このシラン系化合物は、アルキルシランまたはアルコキシシランである。より詳細には、このシラン系化合物は、一般式SiR
1R
2R
3R
4を有し、式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立に、水素;ハロゲン;アミン基;アミド基;アシル基;ビニル基;ヒドロキシル基;エポキシ基;イソシアネート基;カルボキシル基;チオール(またはメルカプト)基;アクリルオキシ基、例えば、メタクリルオキシ基;1〜12個の炭素、特に1〜6個の炭素原子を有する任意に置換された直鎖又は分枝鎖アルキル基;4〜15個の炭素、特に4〜10個の炭素原子を有する任意に置換された直鎖又は分枝鎖アリール基、または式−OR
6のアルコキシ基(R
6は事前に定義されたアルキル基を示す)である。「任意に置換された」という表現は、シラン系化合物のアルキルおよびアリール基の状況内では、ハロゲン、アミン基、アミド基、アシル基、ビニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、チオール(またはメルカプト)基またはアクリルオキシ基、特にメタクリルオキシ基で置換されることを意味すると理解される。
【0053】
シラン系化合物は、より詳細には、テトラエトキシシラン(TEOS,Si(OC
2H
5)
4)、ジメチルシラン(DMSi,Si(CH
3)
2H
2)、フェニルトリエトキシシラン(PTES,C
6H
5Si(OC
2H
5)
3)、n−オクチルトリエトキシシラン(CH
3(CH
2)
7Si(OC
2H
5)
3)、n−オクタデシルトリエトキシシラン(CH
3(CH
2)
17Si(OC
2H
5)
3)、ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS,Si(CH
3)
2(OCH
3)
2)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(SH(CH
2)
3Si(OCH
3)
3)、メルカプトトリエトキシシラン(SH−Si(OC
2H
5)
3)、アミノプロピルトリエトキシシラン(NH
2(CH
2)
3Si(OC
2H
5)
3)およびこれらの混合物から選択される。より詳細には、シラン系化合物はテトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC
2H
5)
4)である。
【0054】
本発明に従って得られるシリカ粒子の表面および孔の官能化を目的として、使用されるシラン系化合物は、シラン系化合物の総量に対して20%未満、特に5〜15%の予備官能化シランを含有する混合物であってもよい。例えば、TEOSおよび5〜15%のメルカプトテトラエトキシシランを含有する混合物を、チオール基によって官能化される本発明に従う多孔質シリカ粒子の調製に使用してもよい。
【0055】
ミクロエマルション(M
c)において、シラン系化合物は、ミクロエマルションの総体積の0.05〜20体積%、特に0.1〜10体積%、特に0.5〜5体積%の割合で存在する。
【0056】
本発明に従うプロセスの工程(d)は、工程(c)にて得られるミクロエマルション(M
c)を不安定化または変性するが、ナノ粒子の構造は変性しない溶媒を添加することによってシリカ粒子を沈殿させることを目的とする。
【0057】
有利なことに、使用される溶媒は、事前に定義された極性溶媒である。工程(d)中に使用されるべき特定の極性溶媒の1つは、エタノール、アセトンおよびTHFで構成される群から選択される。故に、ミクロエマルション(M
c)へは、ミクロエマルションの体積以上の溶媒体積、特に1.5倍、とりわけ2倍、さらには3倍大きい溶媒体積で添加される。
【0058】
工程(d)の間に沈殿する孔形成剤を含むシリカ粒子を回収できるいずれかの技術が、本発明に従うプロセスの工程(e)中で使用できる。有利なことに、この工程(e)は、遠心分離工程、沈降工程、および洗浄工程から選択される1以上の同一または異なる工程を含む。洗浄工程は、以降は洗浄溶媒として記載される、事前に定義されたような極性溶媒中で行なわれる。回収工程が幾つかの洗浄工程を含む場合、1つの同じ極性溶媒が幾つかの洗浄工程、またはさらには全ての洗浄工程のために使用され、または幾つかの異なる極性溶媒が各洗浄工程のために使用される。1つ(または幾つか)の遠心分離工程に関して、それ(それらは)、周囲温度にて、4000〜8000rpm、とりわけ6000rpmのオーダー(すなわち、6000±500rpm)の速度にて、5分から2時間、特に10分から1時間、とりわけ15分間、シリカ粒子を特に洗浄溶媒中で遠心分離することによって行なわれてもよい。
【0059】
水溶性の孔形成剤の除去は、本発明に従うプロセスの特に工程(f)中で、孔形成剤の溶解および解離に有利な当業者に既知のいずれかの技術によって行なわれてもよい。
【0060】
有利なことに、この工程(f)は、水溶性の孔形成剤を含むシリカ粒子を非常に大きな体積の水と接触させることで構成される。「非常に大きな体積」という表現は、本発明に従うプロセスの工程(e)の後に回収される水溶性の孔形成剤を含むシリカ粒子の体積より50倍、特に500倍、とりわけ1000倍大きい体積を意味すると理解される。工程(f)は透析工程であってもよく、水溶性の孔形成剤を含むシリカナノ粒子は、Zellutrans(登録商標)タイプ(Roth)のセルロース膜によってそうした体積の水から分離される。あるいは透析工程の代わりに、ポリエーテルスルホン膜を介する限外ろ過工程を行なってもよい。工程(f)は、さらに、攪拌機、磁性攪拌棒、超音波浴またはホモジナイザーを用いて攪拌しながら、0〜30℃、有利なことに2〜20℃の温度、より詳細には低温(すなわち6℃±2℃)にて、30時間から15日間、特に3日間から10日間、とりわけ1週間行なってもよい。
【0061】
水溶性孔形成剤は、本発明に従うプロセスの工程(d)および/または(e)からも、この(またはこれらの)工程に使用される溶媒が水性である場合特に、孔形成剤を含むシリカ粒子から除去され始める場合があることに注目すべきである。
【0062】
本発明はまた、本発明に従うプロセスの状況内で使用できるミクロエマルション(M
c)に関する。この油中水型タイプのミクロエマルションは:
−特に事前に定義された、少なくとも1つの界面活性剤;
−特に事前に定義された、少なくとも1つの補助界面活性剤;
−特に事前に定義された、少なくとも1つの非極性または弱極性溶媒;
−特に事前に定義された、少なくとも1つの極性溶媒;
−特に事前に定義された、少なくとも1つの水溶性孔形成剤;
−特に事前に定義された、少なくとも1つのシラン系化合物;および
−特に事前に定義された、そのシラン系化合物を加水分解可能な少なくとも1つの化合物
を含む。
【0063】
有利なことに、本発明の主題である油中水型タイプのミクロエマルションは:
−1〜30%、特に5〜25%、とりわけ10〜20%の量の少なくとも1つの界面活性剤;
−1〜30%、特に5〜25%、とりわけ10〜20%の量の少なくとも1つの補助界面活性剤;
−40〜95%、特に50〜90%、とりわけ60〜80%の量の少なくとも1つの非極性または弱極性溶媒;
−0.5〜20%、特に1〜15%、とりわけ2〜10%の量の少なくとも1つの極性溶媒;
−0.001〜1%、特に0.005〜0.1%、とりわけ0.001〜0.05%の量の少なくとも1つの水溶性孔形成剤;
−0.05〜20%、特に0.1〜10%、とりわけ0.5〜5%の量で少なくとも1つのシラン系化合物;および
−0.01〜5%、特に0.05〜1%、とりわけ0.1〜0.5%の量で、そのシラン系化合物を加水分解可能な少なくとも1つの化合物
を含む。
【0064】
本発明は、さらに、本発明のプロセスによって調製できる多孔質シリカ粒子に関する。この粒子は、事前に定義されたような多孔質シリカ粒子である。
【0065】
本発明に従う多孔質シリカ粒子は、均質な多孔性を有する。孔は同じサイズを有し、このサイズは使用される孔形成剤の機能である。有利なことに、本発明に従う多孔質シリカ粒子は、好ましくは10Å未満の直径、および100nm以下、特に80nm以下、特に60nm以下、さらには40nmのオーダーの平均サイズを有する秩序化した均一な孔を有する。
【0066】
本発明は最後に、触媒作用、印刷、ろ過、塗装、重合、熱交換、材料化学、炭化水素の精錬、吸収剤、食品産業、活性剤の輸送、バイオモレキュラ、医薬製品、バイオエレクトロニック化合物、ならびに電子、光学、半導体およびセンサデバイスのような分野における、本発明に従う多孔質シリカ粒子の使用に関する。
【0067】
より詳細には、本発明は、対象とする製品の分離、検出、触媒作用、および錯化のための、本発明に従う多孔質シリカ粒子の使用に関する。
【0068】
「対象とする製品」という表現は、本発明の状況内では、特に化学品、金属イオン、無機化合物、有機または無機分子、薬剤、ペプチド、タンパク質、核酸(一本鎖または二本鎖DNAおよびRNA)、合成または天然ポリマー、食品または医薬製品、ウィルス、バクテリア、細胞およびその他のもので構成される群から選択される有機または無機の、天然、人工または合成製品を意味すると理解される。
【0069】
「化学品」という用語は、より詳細には、本発明において、フタロシアニン(周辺位および/または非周辺位における置換)、ポルフィリン(メソおよび/または周辺(β)位における置換)、染料および蛍光体(カルジオグリーン、ナフタロシアニン、フルオロセイン、ローダミンB、オキサジン750過塩素酸塩、IR140、IR676、HITC、1,1’,3,3,3’3’−ヘキサメチルインドトリカルボシアニン過塩素酸塩、ローダミン19過塩素酸塩、ジアミングリーンB、ヨウ化プロピルアストラブルー、ナイルブルー過塩素酸塩、IR783、IR806、オキサジン170過塩素酸塩)で構成される群から選択される製品を意味すると理解される。
【0070】
本発明は、非常に詳細には、場合により塩またはコロイドの形態での金属イオン、金、銅、ストロンチウム、鉛、カドミウム、クロム、鉄および亜鉛、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アクチニドイオンおよびランタニドイオンの錯化および捕捉のための、本発明に従う多孔質シリカ粒子の使用に関する。
本発明の他の特徴および利点はまた、添付の図面を参照して、非限定的な例示として与えられる以下の実施例を読むことにより、当業者に明らかになる。
【実施例】
【0071】
1.本発明のプロセスに従う多孔質シリカ粒子の合成
この実施例のプロセスでは、親水性β−シクロデキストリンを水に溶解させた後、その場で、周囲温度にて逆ミクロエマルションに注入し、均一に分配させ、テトラエトキシシラン(TEOS、シリカ前駆体)を添加する。水性アンモニアNH
4OHでのTEOSの加水分解と、シリカ粒子の種々の洗浄工程後に、シリカ粒子(直径約40nm)を水に分散させ、これらのナノ対象物の多孔性を構成することを目的としたβ−シクロデキストリンを除去するために、低温にて蒸留された脱イオン水に透析により通過させる。
【0072】
より詳細には、ミクロエマルションは、次の化学品:界面活性剤TritonX100(16.8ml)、補助界面活性剤n−ヘキサノール(16.4ml)、および有機溶媒シクロヘキサン(75.04ml)をこの順序で添加することによって得られる。次いで溶液は、周囲温度で15分間攪拌される。
【0073】
次に、孔形成剤のβ−シクロデキストリン水溶液(2%、800mlの水中16mg、M=1135.01g.mol
−1)を添加し、その後水(4ml)を添加する。25%の水性アンモニア(1000μl)をこのミクロエマルションに注入する。得られたミクロエマルションを周囲温度にて30分間攪拌する。シリコーン誘導体TEOS(「テトラエトキシシラン」に関して、900μl、40.32×10
−4mol、d=0.934、M=208.33g.mol
−1)を順に添加する。TEOSの加水分解は、既に存在する水性アンモニアによって開始され、反応混合物は周囲温度で24時間攪拌される。
【0074】
ミクロエマルションは、エタノール(200ml)の添加によって不安定化され、シリカビーズはエタノールで3回、水で1回洗浄され、それぞれの洗浄工程の後、遠心沈降工程(6000rpmで15分間)を行なう。
【0075】
洗浄工程後、水への溶解度が18g/l、すなわち約16.5mMである孔形成剤の除去は、磁性攪拌を伴う1週間の水(5l)への透析によって達成される。水(400ml)中に分散する多孔質シリカナノ粒子は、次いでゼータサイザーを用いる分析および透過型電子顕微鏡(TEM)分析によって特徴付けられる。
【0076】
2.本発明に従うプロセスによって得られる多孔質シリカ粒子の錯化
2.1.蛍光体ナイルブルーA過塩素酸塩との錯化
本発明のプロセスに従って調製された多孔質シリカナノ粒子の水溶液(10ml)を水(19ml)で希釈し、激しい磁性攪拌下にて維持する。
【0077】
次に、ナイルブルーA過塩素酸塩の水溶液(1ml水中の0.41mg、C=10
−3M、M=417.85g.mol
−1、n=10
−6mol)を反応混合物に添加し、それを周囲温度で24時間攪拌する。蛍光体と錯化したシリカビーズは、次いでエタノールで3回、水で1回洗浄し、各洗浄工程の後、遠心沈降工程(6000rpmで15分間)を行う。
【0078】
2.2.蛍光体および金属との錯化
以下の表1に、本発明のプロセスに従って調製される多孔質シリカ粒子に導入される種々の蛍光体および金属を示す。
【0079】
【表1】
【0080】
3.得られた錯化シリカ粒子の特徴付け:TEM、ゼータサイザーまたは蛍光分析
3.1.実験69(表1)
上記項目2.1からのプロセスに従って調製され、水中に分散した、ナイルブルーA過塩素酸塩で標識されたシリカナノ粒子は、次いでゼータサイザーを用いる分析、透過型電子顕微鏡(TEM)分析および蛍光測定によって特徴付ける。
【0081】
図1は、これらの標識されたシリカナノ粒子を含有する水溶液の励起および発光スペクトルを示す。
【0082】
3.2.実験68(表1)
上記項目1に記載されるプロセスに従って調製された球状の多孔質ナノ粒子を、染料IR806と錯化する。
【0083】
IR806と錯化し、水中に分散したナノ粒子のサイズを分析する。
図2は、2つの独立した試験で得られるサイズ分布を示し、測定された平均サイズはそれぞれ85.24nmおよび68.06nmである。
【0084】
3.3.実験25(表1)
Agを含むシリカナノ粒子の水性分散液は、孔形成剤としてスクロースを用いることによって調製される。
【0085】
この実施例のプロセスにおいて、親水性スクロースを水に溶解させた後、その場で、周囲温度にて逆ミクロエマルションに注入し、均一に分配させ、テトラエトキシシラン(TEOS、シリカ前駆体)を添加する。アンモニアでのTEOSの加水分解と、シリカ粒子の種々の洗浄工程後に、シリカ粒子(直径約60nm)を水に分散させ、これらのナノ対象物の多孔性を構成することを目的としたスクロースを除去するために、低温にて蒸留された脱イオン水に透析により通過させる。
【0086】
より詳細には、ミクロエマルションは、次の化学品:界面活性剤TritonX100(5ml)、補助界面活性剤n−ヘキサノール(5ml)、および有機溶媒シクロヘキサン(20ml)をこの順序で添加することによって得た。次いで溶液は、周囲温度で15分間攪拌される。
【0087】
次に、孔形成剤のスクロース水溶液(0.5%、200ml水中の5mg、M=342.30g.mol
−1)を添加し、その後水(1ml)を添加する。25%の水性アンモニア(125μl)をこのミクロエマルションに注入する。得られたミクロエマルションを周囲温度にて30分間攪拌する。シリコーン誘導体TEOS(「テトラエトキシシラン」に関して、176μl、8×10
−4mol、d=0.934、M=208.33g.mol
−1)を順に添加する。TEOSの加水分解は、既に存在する水性アンモニアによって開始され、反応混合物を周囲温度で24時間攪拌する。ミクロエマルションは、エタノール(200ml)の添加によって不安定化され、シリカビーズはエタノールで3回、水で1回洗浄され、それぞれの洗浄工程の後、遠心沈降工程(6000rpmで15分間)を行う。
【0088】
洗浄工程後、水への溶解度が20℃で22.15g/lのオーダーである孔形成剤の除去は、磁性攪拌を伴う1週間の水(5l)への透析によって達成される。水(500ml)中に分散する多孔質シリカナノ粒子は、次いでゼータサイザーを用いる分析および透過型電子顕微鏡(TEM)分析によって特徴付けられる。
【0089】
TEM画像は、実験25サンプルの微細構造を示す(
図3)。球状のナノ粒子が観測され、それはアグロメレートの中およびアグロメレートの外側に位置する。これらのナノ粒子のサイズは、30〜80nmである。
【0090】
エネルギー分散型X線分光(EDSX)による最終的な分析を、これらの球状ナノ粒子について行った(
図4A)。アグロメレートの外側に位置する球状ナノ粒子はAgが豊富である。それらはまた、SiおよびS元素を含有する。以下の表2では、
図4Aに対応する分析から得られる数値を示す。
【0091】
【表2】
【0092】
EDSX分析はまた、これらのアグロメレートについても行った(
図4B)。後者は、Siが豊富であり、Agはほとんど含有しない。以下の表3には
図4Bに対応する分析から得られた数値を示す。
【0093】
【表3】
【0094】
3.4.実験32(表1)
TEOSと共に5〜15%のメルカプトトリエトキシシランの添加によってチオール(SH)基で官能化された多孔質シリカナノ粒子の水性分散液はストロンチウムを含有する。
【0095】
TEM画像は、実験32サンプル(
図5)の微細構造を示す。球状ナノ粒子が観測され、それはアグロメレート中およびアグロメレートの外側に位置する。これらのナノ粒子のサイズは約100nmである。
【0096】
エネルギー分散型X線分光(EDSX)による元素分析をこれらの球状ナノ粒子について行った(
図6A)。アグロメレートの外側に位置する球状ナノ粒子は、元素Siが非常に豊富で、Sr元素を含有する場合もある。以下の表4は、
図6Aに対応する分析から得られる数値を示す。
【0097】
【表4】
【0098】
EDSX分析はまた、これらのアグロメレートについても行なった(
図6B)。球状粒子と比べると、アグロメレートは元素Sのパーセンテージが高い。実際チオール官能基は、ナノスケールビーズによく集中しており、大きな錯体形成をもたらす。以下の表5は、
図6Bの分析から得られる数値を示す。
【0099】
【表5】