(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5760259
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】ホース継手
(51)【国際特許分類】
B21K 1/16 20060101AFI20150716BHJP
B21K 27/00 20060101ALI20150716BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20150716BHJP
F16L 33/28 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
B21K1/16
B21K27/00 D
F16L33/00 A
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-76613(P2009-76613)
(22)【出願日】2009年3月26日
(65)【公開番号】特開2009-233750(P2009-233750A)
(43)【公開日】2009年10月15日
【審査請求日】2012年2月9日
【審判番号】不服2014-3299(P2014-3299/J1)
【審判請求日】2014年2月21日
(31)【優先権主張番号】12/055,565
(32)【優先日】2008年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509086372
【氏名又は名称】ナショナル マシナリー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094318
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 行一
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100139000
【弁理士】
【氏名又は名称】城戸 博兒
(74)【代理人】
【識別番号】100152191
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 正人
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ダブリュ. カーパー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イー. ヘイ
【合議体】
【審判長】
石川 好文
【審判官】
久保 克彦
【審判官】
三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−154895(JP,A)
【文献】
特開昭63−235039(JP,A)
【文献】
特開平10−71447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21K 1/00
B21K 27/00
F16L 33/00
F16L 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンジョー型ブレーキホース継手のような複雑な部品を製造するための鍛造機であって、
当該鍛造機は、
ダイプレートと、
前記ダイプレートに対して接近したり離れたりする方向に往復するスライダと、
間隔を空けて設けられた複数の成形ステーションとを有し、前記複数の成形ステーションにおいて、前記部品が順番に形作られ、前記複数の成形ステーション間で前記部品が移送され、
当該鍛造機には、丸いワイヤの初期部品から前記部品を冷間成形するためのツールが配設されており、該ツールは、前記部品の長手軸線が前記成形ステーションのそれぞれでスライダの動きの方向に平行である間、前記部品の一部分をボール状の形状に据え込み、前記部品の他の部分を中空の円筒状の開端部シェルに押出成形し、前記ボール形状と前記シェルとの間の円筒状のネック部分を前記ボール形状および前記シェルよりも直径が小さくなるように維持することによって、前記部品を形作り、
当該鍛造機における前記部品の長手軸線が、前記スライダの動きに垂直になるよう、前記部品の長手軸線に対して垂直な軸線の周りで前記部品を回転させるために、前記成形ステーション間に部品回転装置が配設されており、
当該鍛造機は、
前記シェル部分とは反対側の前記部品の端部に突起部を押出成形するためのツールと、
前記ボール状部分を平坦化すると共に、前記平坦化された部分を通るカウンタボアを成形するツールと、
前記部品の長手軸線に垂直な向きに前記突起部を曲げるためのツールとを含む、鍛造機。
【請求項2】
前記カウンタボアの壁の金属を剪断変形することによって、前記カウンタボアの大きい方の穴を成形すると共に、前記金属を前記カウンタボアの小さい方の穴を成形するために前記金属が加工される場所に移動して、前記カウンタボアを成形するツールを含む、請求項1に記載の鍛造機。
【請求項3】
バンジョー型のホース継手を1台の鍛造機内で成形する方法であって、
1本の丸い金属ワイヤを完成部品のニアネットシェイプの量に相当する長さに切断するステップと、
最初の部品の一端の直径を大きくするように円錐状にするステップと、
整列突起部を成形するために、前記一端とは反対の端部で前記部品を押出成形するステップと、
前記円錐状端部から間隔を置いた部品の一部分をボール状の形成物になるように据え込むとともに、前記円錐状端部および前記ボール状の形成物よりも中間のネック領域の直径を小さくしたままにするステップと、
ホース端部への受け入れおよび圧着を行うための中空の開端部シェルを形成するように前記円錐状端部を後方に押出成形するステップと、
互いに反対向きの面を形成するように前記ボール状の形成物を平坦化するステップと、
前記互いに反対向きの面の一方から、前記平坦化された形成物を通って穴をあけるステップと、
前記整列突起部を、最初の押し出し軸線に対して直角に曲げるステップと
を備える方法。
【請求項4】
前記平坦化された形成物を二度穿孔するステップによってカウンタボアが形成され、
第1の前記穿孔ステップにおいて一時的な穴が形成され、前記一時的な穴が、前記面の他方に隣接した場所に材料を集めるように、大きな穴へと剪断変形され、
第2の前記穿孔ステップにおいて前記カウンタボアの小さな穴が形成される、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、複雑な冷間成形金属部品に関し、特に、複数の異なる軸線に形成された形態を有する継ぎ目のない中空部品に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]マルチステーションまたは順送り冷間鍛造機がよく知られている。これまで、知られている限り、このような機械の多用途性は、とりわけ、所与の機械において利用可能なステーション数によって制限されてきた。ネットシェイプまたはニアネットシェイプとも呼ばれる、完成部品の体積の部品または完成部品の体積に近い部品を金属ブランクから冷間成形できる場合、材料のコスト、機械時間、および労働力の大幅な削減が実現可能である。このように、多用途性の高い性質を備えた機械および複雑な部品の冷間成形技術を高めるための新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本発明によれば、複数の形態が互いに垂直な複数の軸線に形成された部品を製造する順送りの成形機の動作方法が提供される。本発明によれば、本発明の別の態様として、カウンタボア付きコネクタ本体と、一体型整合突起部とを含む新規のホース継手が提供される。本発明の成形プロセスにおいて、突起部は、コネクタ本体の取り付け面の平面よりも十分に延伸するようにされることで、ブレーキキャリパなどのハウジングまたはマニホールドに継手を確実に設置し配向する。本発明の方法により、小さな流体通路の穴をあける目的以外、二次的な機械加工動作をホースに行わずに組み立てができる状況でブレーキホース継手が製造される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明のプロセスによって作製されるバンジョー型のブレーキホース継手の斜視図である。
【
図2A】連続した冷間成形ステージにおけるブレーキホース継手を示す。
【
図2B】連続した冷間成形ステージにおけるブレーキホース継手を示す。
【
図3A】ブレーキホース継手の製造に使用されるマルチステーション鍛造機の環境における順送り成形ステップを示す。
【
図3B】ブレーキホース継手の製造に使用されるマルチステーション鍛造機の環境における順送り成形ステップを示す。
【
図3C】ブレーキホース継手の製造に使用されるマルチステーション鍛造機の環境における順送り成形ステップを示す。
【
図4】選択された成形ステーションでダイを付勢するための強力レバーおよびガススプリングシステムの一部分的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0009]
図1は、ブレーキホース継手の形態の、典型的に、鋼で作られた冷間成形された金属部品10を示す。継手10の特定の形態は、バンジョー型のものであり、バンジョー型という名前は、楽器の外観に類似していることに由来している。部品10は、回転楕円面状の軟鋼などの適切な鋼で形成されることが好ましい。以下、部品10の製造に用いられるプロセス、機械、および工具について記載する。
【0006】
[0010]
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、および
図3Cにおいて、部品10のプリフォームが、順送り成形ステップのステージに対応して、連続したアルファベット文字を数字10の後に付与して識別している。
【0007】
[0011]以下の記載において、中間部品が、部品が成形ステージ間の移行期間にあるときなど、参照番号10だけで指し示されていることもある。
図2Aおよび
図2Bは、部品プリフォームの部分断面図を示すのに対して、
図3A、
図3B、および
図3Cは、順送り冷間成形機または鍛造機11の連続ステーション内の部品プリフォームの図を示す。機械11は、成形ステーションの数が増えていること以外、一般に従来の構造のものである。例示したケースの場合、成形ステーションの数は9つであるが、開示されたプロセスにおいて、ステーションの1つは、このようなステーションで成形ステップに寄与するのとは対照的に、部品の操作専用のものである。これが、
図2Aおよび
図2Bに示すステージの数が、
図3A、
図3B、および
図3Cに示すステーションの数とは異なる理由である。
【0008】
[0012]供給コイルから通常供給されるワイヤストック12(
図13A)が、部品10の開始部品となるように、切断ステーションで正確な長さに切断される。この切断ステーション13から、部品10は、後続のステーションへ連続して移され、後続ステーションでは、部品10は、順番に成形され、または、ある場合には、一般に従来のデザインの機械移送(図示せず)によって回転される。ダイブレストまたはブロックが、参照番号14で示され、往復スライダまたはラムが、参照番号16で示されている。
【0009】
[0013]機械11の成形ステーションが、参照番号21〜29で識別されている。第1成形ステーション21において、部品10bは、スライダ16およびダイブロック14上のそれぞれにあるツール33、34、および35によって、一端31で円錐形にされ、または据え込まれて直径を局所的に大きくし、他端32で開放押出成形されて、直径を小さくする。部品10は、第2成形ステーション22に移され、この第2成形ステーション22では、スライダ16の次のブローで、部品10は、スライダ16上のツール36によって端部31で後方押出成形されて、円筒状のシェルを作り出し、ダイブロック14上に保持されたツール38を用いて、他端32でさらに開放押出成形されて、さらに縮小された直径を作り出す。
【0010】
[0014]第3成形ステーション23において、部品10dは、ツール41、42によって中間長さで二重に据え込まれ、または円錐形にされる。ダイブロック14上に保持されているツール42は、セグメント化されたインサート43を備える。これらのセグメント化されたインサート43は、パンチツール41がセグメント43の端面に最初に当たると、部品10に対して半径方向内向きに収縮する弓状のセグメントである。セグメント43は、ダイケース44のテーパ状の穴で働く。ダイケース44は、フォーク状レバー46によってスライダ16に向かって前方位置へと強く付勢され、フォーク状レバー46は、大きな高圧窒素ガススプリング47(
図4)によって押される。開示された装置において、フォーク状レバー46の上側端部は、プッシュロッド48を通ってダイケース44上で動作する。セグメントインサート43は、部品10dの中間長さで据え込みの位置および幾何学的形状を確立する。ばね付勢されたレバー46により、ダイケース44は、適切な形状を維持するように、部品10dの周囲でセグメントを閉じたまま、スライドストロークの前方端部での実際の据え込み作用中に、スライダ16の力に対して軸線方向後方にたわむ。スライダ16が後退すると、セグメントインサート43は、据え込みの中間部を解放し、引き続き、このステーション23から部品を移送する。
【0011】
[0015]
図3A、
図3B、および
図3Cにおいて、フォーク状レバー46の歯51、52は、右側の歯を後退させ、左側の歯を延伸させた状態で、互いにオフセットされている。歯51、52の間のこのようなオフセットは、レバーの典型的な動きを簡単に示すために、これらの図において例示的目的で示しただけであり、実際の歯は、協調して動作し、ダイプレートまたはブロック14に対して同じ相対位置にあることを理解されたい。
【0012】
[0016]部品10は、第4ステーション24に前進され、第4ステーション24において、部品10は、球形またはボール状の中間部になるように、ダイケースのツール53、54において再び二重に据え込まれる。ダイ側のツール53は、前のステーション23でツールインサート43に関連して記載したもののように動作するセグメント化されたインサートを備える。前述したように、ガススプリンング動力式レバー46が、プッシュロッド48を通してダイケース56を付勢する。
【0013】
[0017]次に、部品10は、第5ステーション25に移送され、第5ステーション25において、部品10は、ブランクロータ
(回転装置)58に受け入れられる。ブランクロータ58は、このステーション25で標準のダイケースによって取られる空間を占める。ブランクロータ58は、
図5において斜視図として略図的に示されている。スライダ16が次のストロークで前進するとき、このステーション58において、部品10の成形は起こらない。スライダが後退すると、部品ロータ
(回転装置)58は、部品10の長手軸線が、スライダの動きに対して水平かつ平行である最初の向きから、長手軸線が、上側は中空またはシェル端部31と、下側はピンまたは突起部端部32と垂直になる向きへと部品10を90°回転させる。部品10は、トラニオン状の構造59の水平軸線60の周りを回転する。この回転は、ステーション25でのダイのキックアウトの動きと同期される。
【0014】
[0018]このステーション25から後続のステーション26〜29を通る進行過程で、部品10は、長手軸線が直立または垂直位置にある向き、すなわち、スライダ16の動きおよび作業ステーション21〜29の平面に対して垂直の向きのままである。しかしながら、明確に簡潔に示した単一の図面においてプロセスを明確に示す目的で、
図3Bおよび
図3Cの部品10は、ロータステーション25の後のステーション26〜29において、水平向きにあるように見えるように示されている。したがって、実際は、部品10が、シェルエンド31を上側にしてステーションにおいて垂直であることを理解されたい。ツールは、各ステーションのそれぞれで順番に作られる形状をそれぞれ補完するように配向されることは言うまでもない。
【0015】
[0019]第6成形ステーションにおいて、部品10fの球形中間部は、パンチおよびダイ側のそれぞれにあるツール61、62によって、平坦化され、くぼみやへこみが付けられる。
【0016】
[0020]第7ステーション27では、部品10gの平坦化された中間部は、丸いスラグまたはクーポン64を除去することによって、円形穴63を形成するように穿孔され、部品端部32を備えるピンまたは突起部68が、部品の長手軸線から横方向に曲げられる。第3ステーション23に関連して記載されたもののようなガススプリング47およびフォーク状レバー46が、このステーションで部品10gの成形中にパンチツール67に対してダイツール66を保持するように使用される。参照番号68で示された突起部での曲げ作用は、ダイプレートに強固に固定されたアンビルのようなツール69によって生じさせる。ツールおよびツールを作動させるタイミングは、突起部68が曲げられる前に穴63が穿孔されるようなものにされる。これにより、穴63の成形と、突起部68に及ぼす曲げ作用の両方の成形作用を一貫して行うように、これらの異なる動作の力が互いに隔離される。
【0017】
[0021]ダイ側のツール71によって支持された第8ステーション28の部品10hは、パンチツール70によって口を開けられ、または剪断変形された穴を有し、この穴の一端で前の穴63を形成し、事実上、端壁74でカウンタボア72を形成する壁エリアから材料を集める。
【0018】
[0022]最後の第9ステーション29では、ピンまたは突起部68は、部品10iの長手軸線に垂直に延伸するように、ダイプレート14に固定されたアンビルツール79で曲げられる。理想的には、突起部68は、穴、スロット、または他の形成物に確実に受け入れられて、ブレーキキャリパやシリンダの本体に継手10を整列させるように、カウンタボア72を取り囲む円形本体の隣接側の平面から横方向外向きに延伸する。また、このステーションでは、突起部68を曲げた後、部品10iは、端壁74に正確な孔またはカウンタボア78を作るためのパンチツール77で部品から環状スラグまたはクーポン76を切断することによって、カウンタボアの最終形状を完成させるように、前のステーションで成形されたカウンタボア端壁を通って再び穿孔される。第7ステーションで生じるツール作用のように、ダイプレートまたはブロック14のツール81は、前述したように、フォーク状レバー46を通して動作するガススプリング47によって前方に付勢される。この付勢力により、パンチおよびダイツール77,81が、これらの成形動作中に部品10iを正確に保持するための相補的なクラムシェルの片方ずつのように働く。
【0019】
[0023]部品10は、冷間成形に関する限り、最終ステーション29iで完成される。
図2の最後のステージおよび
図1に見られるように、開示された方法で製造された部品10は、複雑な形状のものである。バンジョー型のホース継手である部品10は、中空の円筒状シェル86と、円筒状の中実ネックエリア87と、シェルおよびネックに垂直な軸線に大きなカウンタボア72を有し、2つの反対向きの面89、90で開口した円形本体88と、円形本体またはリング88の面89の平面を越えて突出するのに十分な距離に対し、長手軸線から直角に延伸する丸い突起部68とを含む。シェル86およびカウンタボア72に組み立てられたホース端部から流通状態になるように、ネック87を通って中心穴(図示せず)があけられる。シェル86は、ホースを適切な位置でロックし、ホースと流体密封を形成するように、慣例的な方法でホース端部にわたって圧着されてもよい。図示していないが、ボルトが、面90の側からカウンタボア72内に組み付けられ、継手がホースと結合する本体内にねじ込まれる。
【0020】
[0024]本発明の開示は、例示的なものであり、本発明の開示に含まれる教示の適正な範囲から逸脱することなく、詳細を追加、修正、または削除することによって、さまざまな変更が加えられてもよいことは明らかである。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲が必然的に制限される範囲以外で、本発明の開示の特定の詳細に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0021】
10…金属部品、11…冷間成形機(鍛造機)、12…ワイヤストック、13…切断ステーション、14…ダイブロック、16…スライダ、21〜29…成形ステーション、
33〜36,38,41〜42,53〜54,61〜62,66〜67,69〜71,77,79,81…ツール、43…セグメントインサート、46…フォーク状レバー、47…ガススプリング、58…ブランクロータ、63…穴、68…突起部、72…カウンタボア、74…端壁、78…孔、86…中空の円筒状シェル、87…ネック、88…円形本体。