(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態に係る部品内蔵プリント基板及びその製造方法を詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵プリント基板である多層構造の部品内蔵多層プリント基板を示す断面図である。第1の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100は、第1の樹脂基材10、第2の樹脂基材20及び第3の樹脂基材30と、第2の樹脂基材20に形成されたキャビティ60内に第1及び第3の樹脂基材10,30に挟まれた状態で内蔵された電子部品40とを備えている。
【0015】
また、部品内蔵多層プリント基板100は、樹脂基材10,20,30内に形成された配線として、第1の樹脂基材10に形成されたスルーホール19内のスルーホール電極12、放熱用配線11、裏面配線13と、第2の樹脂基材20に形成された放熱用配線21、層間配線23と、第3の樹脂基材30に形成された放熱用ビア32、放熱用配線31、表面配線33とを備える。なお、第3の樹脂基材30の上面30a上には、表面配線33と接続された表層回路17と、放熱用配線31及び放熱用ビア32と接続された表層放熱回路18とが形成されている。
【0016】
第1〜第3の樹脂基材10,20,30は、それぞれ例えば厚さ25μm程度の樹脂フィルムにより構成されている。樹脂フィルムとしては、例えば熱可塑性のポリイミド、ポリオレフィン、液晶ポリマーなどからなる樹脂フィルムや、熱硬化性のエポキシ樹脂からなる樹脂フィルムなどを用いることができる。
【0017】
電子部品40は、例えばICチップなどの半導体部品や受動部品等であり、第1の樹脂基材10の上面10aに対向する電極形成面41bに複数の実装用の電極41が、電極形成面41bと平行な電極面41aを備えて形成されている。スルーホール電極12、放熱用配線11,21,31、裏面配線13、層間配線23、放熱用ビア32、表面配線33は、第1〜第3の樹脂基材10〜30に形成されたスルーホール19を含むインプリント型の凹凸の回路パターンにそれぞれ充填された導電ペーストからなる。
【0018】
導電ペーストは、例えば、ニッケル、金、銀、亜鉛、アルミニウム、鉄、タングステンなどから選択される少なくとも1種類の低電気抵抗の金属粒子と、ビスマス、インジウム、鉛などから選択される少なくとも1種類の低融点の金属粒子とを含む。そして、導電ペーストは、これらの金属粒子に錫を成分として含有させ、エポキシ、アクリル、ウレタンなどを主成分とするバインダ成分を混合したペーストからなる。
【0019】
このように構成された導電ペーストは、含有された錫と低融点の金属が200℃以下で溶融し合金を形成することができ、特に銅や銀などとは金属間化合物を形成することができる特性を備える。なお、導電ペーストは、例えば粒子径がナノレベルの金、銀、銅、ニッケル等のフィラーが、上記のようなバインダ成分に混合されたナノペーストで構成することもできる。その他、導電ペーストは、上記ニッケル等の金属粒子が、上記のようなバインダ成分に混合されたペーストで構成することもできる。この場合、導電ペーストは、金属粒子同士が接触することで電気的接続が行われる特性となる。
【0020】
第1の樹脂基材10のスルーホール電極12は、第1の樹脂基材10の上面10a側に形成された電極12aと、第1の樹脂基材10の上面10aとは反対側の下面10b側に形成された電極パッド12bとを備える。なお、第1の樹脂基材10の下面10bは、部品内蔵多層プリント基板100の裏面となる。
【0021】
第1の樹脂基材10のスルーホール電極12、放熱用配線11及び裏面配線13は、それぞれ電極部分と電極パッド部分とが、第1の樹脂基材10の上面10a及び下面10bから突出せずに、基材内に埋め込まれた状態で形成されている。ここで、電極パッド部分とは、スルーホール電極12の電極パッド12bを例に挙げて説明すると、図示のように電極12a部分よりも基材面における面積(接合部の面積)が広いものをいう。
【0022】
第2の樹脂基材20のキャビティ60内に内蔵された電子部品40は、その電極41と第1の樹脂基材10に形成されたスルーホール電極12の電極12aとが、半田バンプなどを介さずに直接接合されている。電子部品40は、電極形成面41bと第1の樹脂基材10の実装面(上面)10aとの間に形成された接着層50により接続されている。
【0023】
また、第2の樹脂基材20の放熱用配線21及び層間配線23は、それぞれ電極部分と電極パッド部分とが、第2の樹脂基材20の上面20a及び下面20bから突出せずに、基材内に埋め込まれた状態で形成されている。これら放熱用配線21及び層間配線23は、それぞれの電極パッド部分が、第1の樹脂基材10の放熱用配線11及び裏面配線13の電極部分と直接接合されている。なお、第2の樹脂基材20の放熱用配線21は、キャビティ60内の電子部品40の側面41dに接触する状態で形成されている。
【0024】
第3の樹脂基材30の放熱用ビア32は、第3の樹脂基材30の上面30a側に形成されたビア電極パッド32bと、第3の樹脂基材30の下面30b側に形成されたビア電極32aとを備える。なお、第3の樹脂基材30の上面30aは、部品内蔵多層プリント基板100の裏面とは反対側の表面となる。
【0025】
第3の樹脂基材30の放熱用ビア32、放熱用配線31及び表面配線33は、それぞれ電極パッド部分と電極部分とが、第3の樹脂基材30の上面30a及び下面30bから突出せずに、基材内に埋め込まれた状態で形成されている。これら放熱用配線31及び表面配線33は、それぞれの電極部分が、第2の樹脂基材20の放熱用配線21及び層間配線23の電極部分と直接接合されている。また、放熱用配線31及び表面配線33は、それぞれの電極パッド部分が、表層放熱回路18及び表層回路17と直接接合されている。
【0026】
放熱用ビア32は、その電極32aが、電子部品40の上面41cと接触する状態で形成されている。従って、放熱用ビア32は、放熱用配線31の一部を構成している。なお、電子部品40の側面41d及び上面41cは、電極形成面41b以外の非回路面42を構成する。また、放熱用ビア32は、その電極パッド32b部分が、表層放熱回路18と直接接合するように形成されている。
【0027】
表層回路17及び表層放熱回路18は、第3の樹脂基材30を第2の樹脂基材20に積層して放熱用ビア32、放熱用配線31及び表面配線33を形成した後に、第3の樹脂基材30の上面30a上に、フォトリソグラフィ、印刷、インクジェットなどの方式により、パターン形成された銅などの導電部材からなる。なお、接着層50は、エポキシ系樹脂などからなる。
【0028】
第1の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100は、このように構成されることにより、電子部品40の電極41とスルーホール電極12の電極12aとが、半田バンプなどを介さずに直接接合される。また、各樹脂基材10〜30に形成された各配線等が、それぞれ基材の両面から突出せずに基材内に埋め込まれた状態で形成される。このため、部品内蔵多層プリント基板100全体の低背化を図ることができると共に、電極41,12aの配置ピッチを狭めることができるので、高密度実装が可能となる。
【0029】
また、キャビティ60内に内蔵された電子部品40の非回路面42が、放熱用配線21及び放熱用ビア32と接触しているため、表層放熱回路18を介して電子部品40の熱を効果的に放熱することが可能となる。なお、表層放熱回路18や表層回路17は形成されていなくてもよく、この場合は、表層配線33が表層回路17を構成するようにパターン形成し、放熱用ビア32の電極パッド32b及び放熱用配線31の電極パッド部分が直接電子部品40の熱を放熱することとなる。このように構成すれば、更なる低背化を図ることが可能となる。
【0030】
次に、第1の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の製造方法について説明する。
図2は、部品内蔵多層プリント基板の製造工程を示すフローチャートである。
図3及び
図4は、部品内蔵多層プリント基板を第1の製造工程順に示す断面図である。
図5は、部品内蔵多層プリント基板の電子部品を一部の製造工程順に示す断面図である。
【0031】
まず、
図3(a)に示すように、例えば凸型の回路形状パターンや突起部を有するモールドのインプリント型70と、熱可塑性のポリイミド樹脂フィルムからなる第1の樹脂基材10を準備する(ステップS100)。
【0032】
インプリント型70は、例えば最小ライン/スペースが5μm/5μmで、高さが5μmの回路形状パターンを有したシリコン製のモールドからなる。インプリント型70は、シリコンの他、ニッケル、銅、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等により形成されていてもよく、表面にフッ素系樹脂をコーティングして易離型処理を施したものでもよい。
【0033】
次に、
図3(b)に示すように、インプリント型70を所定の温度に加熱しながら第1の樹脂基材10に押し付けて、回路形状パターンにより構成される回路パターンを転写する(ステップS102)。このとき、好適には第1の樹脂基材10を構成する樹脂材が柔らかくなる温度まで第1の樹脂基材10とインプリント型70を加熱してから、回路パターンを転写する。
【0034】
そして、
図3(c)に示すように、電子部品40の電極41を回路パターンのスルーホール19に合わせて位置合わせ(アライメント)をした上で、電子部品40を第1の樹脂基材10の実装面(上面)10aに接着層50を介して接着し搭載する(ステップS104)。
【0035】
このステップS104においては、第1の樹脂基材10が熱可塑性のポリイミド樹脂フィルムからなるので、例えばガラス転移点以上の温度に加熱してから電子部品40を搭載し、搭載後に冷却することを行う。これにより、接着層50と共に、電極41の電極面41aの一部と第1の樹脂基材10の実装面(上面)10aとが接着されるので、電子部品40を第1の樹脂基材10に確実に搭載することができる。
【0036】
一方、第1の樹脂基材10が熱硬化性の樹脂フィルムからなる場合は、加熱することにより樹脂が硬化して両者が接着される。また、第1の製造工程では、インプリント型70を第1の樹脂基材10から離型する前に電子部品40を搭載するようにしているので、搭載時における第1の樹脂基材10に形成した回路パターンの型崩れをより確実に防止することができる。
【0037】
なお、上記ステップS104にて電子部品40を第1の樹脂基材10に搭載するに先立って、
図3及び
図4に示す部品内蔵多層プリント基板100の主製造工程とは別に、
図5(a)に示すように、電極形成面41bに複数の電極41が形成された電子部品40を準備する。
【0038】
次に、
図5(b)に示すように、この電子部品40の電極形成面41bに接着剤を塗布(或いはラミネート)する。ここで塗布或いはラミネートされる接着剤は、上記のような熱可塑性樹脂や半硬化状態の熱硬化性樹脂からなる液状或いはフィルム状の接着剤が好適である。
【0039】
その後、
図5(c)に示すように、電極41の電極面41aが露出すると共に接着剤が電子部品40の側面41dからはみ出ないようにエッチングや研磨等を実施して、平滑化処理を行い、接着層50が形成された電子部品40を用意しておく。こうして用意された電子部品40を上記ステップS104にて第1の樹脂基材10に搭載したら、
図3(d)に示すように、第1の樹脂基材10を冷却して第1の樹脂基材10からインプリント型70を離型し、第1の樹脂基材10に凹型の回路パターン71を形成する(ステップS106)。なお、回路パターン71を形成したら、第1の樹脂基材10を反転させておく。
【0040】
次に、
図3(e)に示すように、例えば凸型の回路形状パターンや突起部、或いは凹型のキャビティ形状パターンを有するモールドの他のインプリント型72と、熱可塑性のポリイミド樹脂フィルムからなる第2の樹脂基材20を準備する(ステップS108)。そして、
図3(f)に示すように、他のインプリント型72を所定の温度に加熱しながら第2の樹脂基材20に押し付けて、回路形状パターン等により構成される回路パターンを転写する(ステップS110)。このとき、上記と同様に、好適には第2の樹脂基材20を構成する樹脂材が柔らかくなる温度まで第2の樹脂基材20と他のインプリント型72を加熱してから、回路パターンを転写する。
【0041】
その後、
図3(g)に示すように、第2の樹脂基材20を冷却して第2の樹脂基材20から他のインプリント型72を離型し、第2の樹脂基材20に凹型の回路パターン73を形成する(ステップS112)。回路パターン73を形成したら、
図4(h)に示すように、第2の樹脂基材20の下面20b側から、回路パターン73内にめっき、インクジェット、印刷等により導電ペーストを充填して、層間配線23や放熱用配線21を形成する(ステップS114)。
【0042】
なお、上記ステップS114においては、第2の樹脂基材20の各面20a,20bからはみ出した導電ペーストの余剰部分は、エッチング等により除去しておく。これにより、層間配線23や放熱用配線21の電極部分や電極パッド部分を、第2の樹脂基材20の各面20a,20bとフラットな状態に形成することができる。
【0043】
そして、
図4(i)に示すように、切削加工やレーザ加工などにより、電子部品40を収容する箇所に相当する部分の第2の樹脂基材20を除去し、第2の樹脂基材20にキャビティ60を形成する(ステップS116)。次に、
図4(j)に示すように、第1の樹脂基材10の実装面(上面)10aに第2の樹脂基材20の下面20bが対向しつつ、電子部品40とキャビティ60の位置、回路パターン71,73同士の位置が合うように位置合わせして、
図4(k)に示すように、第1の樹脂基材10に第2の樹脂基材20を加熱積層する(ステップS118)。
【0044】
ステップS118においては、第1及び第2の樹脂基材10,20の樹脂材同士が接着し、且つ樹脂材が軟化する温度の加熱温度で積層処理が行われることが好ましい。その後、
図4(l)に示すように、第1の樹脂基材10の下面10b側から、回路パターン71内にめっき、インクジェット、印刷等により導電ペーストを充填して、スルーホール電極12、放熱用配線11及び裏面配線13を形成し(ステップS120)、電子部品40の電極41とスルーホール電極12とを直接接合すると共に、放熱用配線11,21同士及び裏面配線13と層間配線23とを直接接合する。このステップS120においては、第1の樹脂基材10の下面10bからはみ出した導電ペーストの余剰部分は、上記と同様にエッチング等により除去しておき、スルーホール電極12の電極パッド12b等を、第1の樹脂基材10の下面10bとフラットな状態にする。
【0045】
次に、図示は省略するが、上記インプリント型70と、熱可塑性のポリイミド樹脂フィルムからなる第3の樹脂基材30を準備し(ステップS122)、インプリント型70を所定の温度に加熱しながら第3の樹脂基材30に押し付けて、回路形状パターンにより構成される回路パターンを転写する(ステップS124)。このとき、上述したように好適には第3の樹脂基材30を構成する樹脂材が柔らかくなる温度まで第3の樹脂基材30とインプリント型70を加熱してから、回路パターンを転写する。
【0046】
そして、第3の樹脂基材30を冷却して第3の樹脂基材30からインプリント型70を離型し、第3の樹脂基材30に第1の樹脂基材10に形成されたものと同様の凹型の回路パターン71を形成する(ステップS126)。
【0047】
次に、第2の樹脂基材20の上面20aに第3の樹脂基材30の下面30bが対向しつつ、回路パターン71,73同士の位置が合うように位置合わせして、
図4(m)に示すように、第2の樹脂基材20に第3の樹脂基材30を加熱積層する(ステップS128)。
【0048】
加熱温度は、上述したように、第2及び第3の樹脂基材20,30の樹脂材同士が接着し、且つ樹脂材が軟化する温度であることが好適である。そして、
図4(n)に示すように、第3の樹脂基材30の上面30a側から、回路パターン71内にめっき、インクジェット、印刷等により導電ペーストを充填して、放熱用ビア32、放熱用配線31及び表面配線33を形成し(ステップS130)、電子部品40の上面41cと放熱用ビア32とを直接接合すると共に、放熱用配線21,31同士及び層間配線23と表面配線33とを直接接合し、部品内蔵多層プリント基板100を製造する。
【0049】
なお、このステップS130においては、第3の樹脂基材30の上面30aからはみ出した導電ペーストの余剰部分は、上記と同様にエッチング等により除去しておき、放熱用ビア32の電極パッド部分等を、第3の樹脂基材30の上面30aとフラットな状態に形成する。また、必要に応じて、上述したような表層回路17や表層放熱回路18を形成する。
【0050】
このように製造される第1の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100は、上述したように低背化を図りつつ放熱性を向上させることができ、更に高密度実装が可能となる。なお、放熱用ビア32や放熱用配線11,21,31は、例えば接地電位が与えられた構成であってもよい。
【0051】
その他、部品内蔵多層プリント基板100は、
図6に示すように構成されていてもよい。
図6に示す部品内蔵多層プリント基板100は、第3の樹脂基材30に、放熱用ビア32の代わりに形成された、信号伝送線、接地線、電源線などからなる層内回路15を備えている点が、先の部品内蔵多層プリント基板と相違している。
【0052】
この場合においても、第2の樹脂基材20のキャビティ60内に収容された電子部品40は、非回路面42が放熱用配線21,31と接触しているため、上記作用効果と共に高い放熱性を備えることができる。また、部品内蔵多層プリント基板100は、次のように製造されてもよい。
【0053】
図7及び
図8は、部品内蔵多層プリント基板を第2の製造工程順に示す断面図である。すなわち、この第2の製造工程は、主に上記第1の製造工程におけるステップS120をステップS106の次に行い、ステップS114をステップS118の次に行うように処理の順序を入れ替えた点を特徴としている。
【0054】
具体的には、
図7(a)に示すように、まず、インプリント型70と第1の樹脂基材10とを準備し、
図7(b)に示すように、インプリント型70を第1の樹脂基材10に押し付けて、回路パターンを転写する。次に、
図7(c)に示すように、電極41をスルーホール19に合わせて位置合わせして、電子部品40を第1の樹脂基材10の実装面(上面)10aに接着層50を介して接着して搭載する。
【0055】
そして、
図7(d)に示すように、第1の樹脂基材10からインプリント型70を離型して凹型の回路パターン71を形成し、第1の樹脂基材10を反転させ、
図7(e)に示すように、回路パターン71内に導電ペーストを充填して、スルーホール電極12、放熱用配線11及び裏面配線13を形成し、電子部品40の電極41とスルーホール電極12とを直接接合する。
【0056】
次に、図示は省略するが、他のインプリント型72と第2の樹脂基材20を準備し、他のインプリント型72を第2の樹脂基材20に押し付けて、回路パターンを転写し、第2の樹脂基材20から他のインプリント型72を離型して、第2の樹脂基材20に凹型の回路パターン73を形成する。
【0057】
そして、電子部品40を収容する箇所に相当する部分の第2の樹脂基材20を除去して、第2の樹脂基材20にキャビティ60を形成し、
図7(f)に示すように、第1の樹脂基材10の実装面(上面)10aに第2の樹脂基材20の下面20bが対向しつつ、電子部品40とキャビティ60の位置、回路パターン71,73同士の位置が合うように位置合わせして、
図8(g)に示すように、第1の樹脂基材10に第2の樹脂基材20を加熱積層する。
【0058】
なお、この第2の製造工程では、第1の樹脂基材10に積層される第2の樹脂基材20の上下面20a,20bは、以後の導電ペースト充填工程を考慮して、第1の製造工程における第2の樹脂基材20の上下面20a,20bと、天地が逆の構成となっている。
【0059】
その後、
図8(h)に示すように、第2の樹脂基材20の上面20a側から導電ペーストを充填して、層間配線23や放熱用配線21を形成し、上記インプリント型70と第3の樹脂基材30を準備して、インプリント型70の回路形状パターンにより構成される回路パターンを第3の樹脂基材30に転写する。
【0060】
そして、第3の樹脂基材30からインプリント型70を離型して回路パターン71を形成し、第2の樹脂基材20の上面20aに第3の樹脂基材30の下面30bが対向しつつ、回路パターン71,73同士の位置が合うように位置合わせして、
図8(i)に示すように、第2の樹脂基材20に第3の樹脂基材30を加熱積層する。
【0061】
最後に、
図8(j)に示すように、第3の樹脂基材30の上面30a側から導電ペーストを充填して、放熱用ビア32、放熱用配線31及び表面配線33を形成し、部品内蔵多層プリント基板100を製造する。このように製造を行っても、上述したように低背化、放熱性の向上、及び高密度実装が可能な部品内蔵多層プリント基板100を製造することができる。
【0062】
なお、第1の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100は、上記作用効果に加えて、内蔵された電子部品40が、放熱用ビア32や放熱用配線11,21,31に周囲を囲まれた状態で基板の中央部辺りに収容されているため、電磁両立性(EMC:Electro−Magnetic Compatibility)を向上させることも可能である。
【0063】
[第2の実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の構造を示す断面図である。第2の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Aは、キャビティ60内に収容される電子部品40の非回路面42と接触する金属層61が、キャビティ60を構成する内壁面に形成されている点が、第1の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100と相違している。
【0064】
すなわち、金属層61が、電子部品40の側面41dと放熱用配線21との間、及び電子部品40の上面41cと放熱用ビア32との間にそれぞれ介在するように、電子部品40の電極形成面41b以外の表面と接触する状態で形成されている。これにより、第1の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100と同様の作用効果を有すると共に、金属層61を介したことで、キャビティ60内の電子部品40から放熱用ビア32や放熱用配線11,21,31への熱伝導率が高まるので、更に放熱性を向上させることができる。
【0065】
次に、第2の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の製造方法について説明する。
図10及び
図11は、部品内蔵多層プリント基板を製造工程順に示す断面図である。まず、
図10(a)に示すように、インプリント型74と第3の樹脂基材30とを準備し、
図10(b)に示すように、インプリント型74を第3の樹脂基材30に押し付けて、回路パターンを転写する。
【0066】
次に、
図10(c)に示すように、第3の樹脂基材30からインプリント型74を離型して凹型の回路パターン75を形成し、
図10(d)に示すように、回路パターン75内に導電ペーストを充填して、放熱用ビア32、放熱用配線31及び層内配線34を形成する。次に、図示は省略するが、他のインプリント型と第2の樹脂基材20を準備し、他のインプリント型を第2の樹脂基材20に押し付けて、回路パターンを転写する。
【0067】
そして、第2の樹脂基材20から他のインプリント型を離型して、第2の樹脂基材20に凹型の回路パターン77を形成し、電子部品40を収容する箇所に相当する部分の第2の樹脂基材20を電子部品40の外径よりも大きめに除去し、第2の樹脂基材20にキャビティ60を形成する。
【0068】
その後、キャビティ60や回路パターン77が形成された第2の樹脂基材20の上面20aに、第3の樹脂基材30の下面30bが対向しつつ、放熱用ビア32とキャビティ60の位置、回路パターン75,77同士の位置が合うように位置合わせして、
図10(e)に示すように、第3の樹脂基材30に第2の樹脂基材20を加熱積層する。
【0069】
次に、
図10(f)に示すように、第2の樹脂基材20の下面20b側から導電ペーストを充填して、層内配線24や放熱用配線21を形成し、第3の樹脂基材30と第2の樹脂基材20の配線同士を直接接合して、更に
図11(g)に示すように、キャビティ60内にめっき、インクジェット、印刷等により導電ペーストからなる金属層61を形成する。これにより、放熱用配線21と放熱用ビア32の電極パッド部分が、金属層61と接合される。
【0070】
金属層61を形成したら、
図11(h)に示すように、金属層61と非回路面42とが接触し、且つ電極41の電極面41aと下面20bとがフラットになるように、電極形成面41bに接着層50が予め形成された電子部品40を、第2の樹脂基材20のキャビティ60内に搭載する。
【0071】
その後、図示は省略するが、インプリント型74と第1の樹脂基材10とを準備し、インプリント型74を第1の樹脂基材10に押し付けて、回路パターンを転写し、第1の樹脂基材10からインプリント型74を離型して凹型の回路パターン75を形成する。そして、
図11(i)に示すように、電子部品40の電極41に回路パターン75のスルーホール19の位置が合うように、且つ回路パターン75,77同士が合うように位置合わせして、第2の樹脂基材20の下面20bに、第1の樹脂基材10の上面10aを対向させて、両者を加熱積層する。
【0072】
最後に、
図11(j)に示すように、第1の樹脂基材10の下面10b側から導電ペーストを充填して、スルーホール電極12、放熱用配線11及び裏面配線14を形成し、第2の樹脂基材20と第1の樹脂基材10の配線同士を直接接合すると共に、スルーホール電極12と電子部品40の電極41とを直接接合して、部品内蔵多層プリント基板100Aを製造する。これにより、上記のような低背化、放熱性の向上、及び高密度実装が可能な部品内蔵多層プリント基板100Aを製造することができる。また、必要に応じて、上述したような表層放熱回路18を形成してもよい。
【0073】
なお、第2の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Aは、例えば次のような構造であってもよい。
図12は、同部品内蔵多層プリント基板の他の構造を示す断面図である。
図12に示すように、本例の部品内蔵多層プリント基板100Aは、第3の樹脂基材30の上面30a側に表層放熱回路18と共に、放熱用ビア32と接続された熱伝導率の高い金属製の放熱板16が備えられている。このように構成しても、上記作用効果と共に更なる放熱性の向上を図ることができる。
【0074】
[第3の実施形態]
図13は、本発明の第3の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の構造を示す断面図である。第3の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Bは、第3の樹脂基材30の上面30aに形成された表層回路17に、他の電子部品79が半田バンプ78を介して実装されている点が、第1及び第2の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100,100Aと相違している。このようにすれば、上記作用効果を備えつつ、部品内蔵多層プリント基板の発展性及び汎用性を高めることができる。
【0075】
[第4の実施形態]
図14は、本発明の第4の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の構造を示す断面図である。第4の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Cは、第1層〜第6層の樹脂基材1〜6を積層した多層構造からなり、電子部品40が第4層の樹脂基材4に形成されたキャビティ60内に収容されている点が、第1及び第2の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100,100Aと相違している。このように構成しても、上記作用効果を有することができる。
【0076】
[第5の実施形態]
図15は、本発明の第5の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の構造を示す断面図である。第5の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Dは、第1層〜第6層の樹脂基材1〜6を積層した多層構造からなり、電子部品40Aが第4層及び第5層の樹脂基材4,5にわたって形成されたキャビティ60A内に収容されている点が、第4の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Cと相違している。このように構成すれば、電子部品40よりも厚い大型の電子部品40Aを同様に内蔵して、上記作用効果を有することができる。
【0077】
[第6の実施形態]
図16は、本発明の第6の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の構造を示す断面図である。第6の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Eは、第1〜第3の樹脂基材10〜30を積層した多層構造からなり、第2の樹脂基材20に形成されたキャビティ62に収容された電子部品40の他に、同じく第2の樹脂基材20に形成されたキャビティ63に、抵抗器やコンデンサなどからなる電子部品49が内蔵されている点が、第1及び第2の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100,100Aと相違している。このように構成しても、上記作用効果を有することができる。
【0078】
[第7の実施形態]
図17は、本発明の第7の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の構造を示す断面図である。第7の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Fは、第1層〜第7層の樹脂基材1〜7を積層した多層構造からなり、電子部品40が第2層及び第4層の樹脂基材2,4に形成されたキャビティ60内にそれぞれ収容されている点が、第4の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Cと相違している。このように構成しても、上記作用効果を有することができる。
【0079】
[第8の実施形態]
図18は、本発明の第8の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板の構造を示す断面図である。第8の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Gは、第1層〜第6層の樹脂基材1〜6を積層した多層構造からなり、複数の電子部品40が第4層の樹脂基材4に形成されたキャビティ60内に収容され、電子部品49が第2層の樹脂基材2に形成されたキャビティ63に収容されている点が、第4の実施形態に係る部品内蔵多層プリント基板100Cと相違している。このように構成しても、上記作用効果を有することができる。