(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の凹凸嵌合連結部材は、前記本体部の外周面に前記日よけ部材を巻き付けする際において、前記日よけ部材の巻端部の位置を規制する巻端部位置規制板に一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の自動すだれ。
【背景技術】
【0002】
近年の建築物は、断熱性能が高く四季を通じて快適な生活をすることが可能になっているものが多い。このような断熱性能の向上は、壁の内部や表面に配設した断熱材の性能向上によるところが大きく、壁部分の断熱性能が建築物の断熱性能の良否を決定するともいえる。
ところで建築物の壁部分には採光や出入り口としての窓や扉が配設されることが多い。壁部分に窓や扉を配設する際には壁の一部に開口部を形成し、この開口部に窓や扉が取り付けられることになる。すなわち壁部分の一部から断熱材が取り除かれた状態になるため、窓や扉が取り付けられた部分における断熱性能は本来の壁部分が有していた断熱性に比較して大幅に低下する。
【0003】
特に窓の部分は、透明部材であるガラス面で占められているため、窓に照射される日光はそのほとんどが室内空間に入り込むことになり、夏場における室内空間の温度上昇は顕著である。このため、エアコン等を用いなければ快適な住生活を送ることが困難になることが多い。近年では、窓に照射される日光による温度上昇を防ぐために、赤外線の透過を防止する窓用ガラスが提供されてはいるものの、このような窓ガラスは高価であるため一般住宅への普及状態は十分とはいえない。
そこで、窓部分への日光の照射による室内空間の温度上昇を避けたい夏場においては、窓部分に日射を遮閉するための対策を施すことが有効であるといえる。
【0004】
日本には、窓等に代表される建築物の開口部分への夏場の直射日光を避けるための道具として、建築物の開口部分を覆うためにすだれやよしずを使用することが古くから広く知られている。すだれやよしずを建築物の開口部分である窓部分や扉部分等を覆うようにした状態で配設することで、開口部分からの建築物の室内空間への直射日光の入り込み量を削減し、室内空間の温度上昇を可及的に防ぐことができるとされている。
このように、すだれやよしずを建築物の開口部分を覆うようにして配設することで、開口部分からの建築物内部の室内空間への直射日光の入り込み量を削減することが可能になるものの、光源としての日光の入り込みを遮ることにもなるため室内空間が暗くなってしまうという課題がある。このため、室内空間への直射日光の入り込みがない場合においては、すだれやよしずによる開口部の被覆状態を解除しなければならず、煩雑であった。
【0005】
このような開口部に対するすだれやよしずの設置作業や撤去作業の煩雑さを軽減するため、室外の気温や日射状態などの状態に応じて自動的に設置部分の被覆状態や解放状態を切替することが可能ないわゆる自動すだれの構成が特許文献1等により提案されている。
特許文献1において提案されている自動すだれの構成は、窓の外側上部に電動モータで駆動される巻き胴に巻き上げられるすだれを備えた収納部と、窓の外側の両端部にすだれが窓ガラスに沿って覆われるように移動させるための溝部と、を有し、窓の周辺近傍に配置された光センサの感知により自動的に開閉動作するように制御されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる自動すだれの実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における自動すだれを建築物の外壁面に取り付けた状態の一例を示す正面図である。また、
図2は、自動すだれの被覆部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【0017】
本実施形態にかかる自動すだれ100は、家屋などの建築物の外壁面Hに対して開口部である窓Wの設置位置に位置合わせし、窓Wの幅方向に所要間隔をあけて取り付けられた保持部材10,10に掛け渡されるようにして用いられる。
外壁面Hに取り付けられた保持部材10,10には、掛け渡し方向を回転の軸として回転可能な円筒状体の本体部20が保持されている。本体部20の少なくとも一方の端部には回転軸21(
図3参照)が取り付けられていて、回転軸21には片寄規制板22が取り付けられている。本体部20の外周面には日よけ部材30が本体部20の外周面に巻き取り可能に連結されている。また、本体部20の外周面に巻き取りされた日よけ部材30を被覆するための被覆部材40が保持部材10に着脱自在に取り付けられている。
【0018】
本実施形態においては日よけ部材30としてすだれを用いた構成で説明を行うが、日よけ部材30はすだれに限定されるものではなく、いわゆる日よけカーテンや寒冷紗などに代表されるシート材を用いることもできる。
【0019】
本体部20の外周面に沿って日よけ部材30を巻き取りする方向と、本体部20の外周面に巻き取られている状態の日よけ部材30を巻き出しする方向に本体部20をそれぞれ回転駆動させるための動力を回転軸21に伝達可能に形成された駆動手段50は、保持部材10に保持された本体ケース60に内蔵されている。駆動手段50が内蔵されている本体ケース60には、駆動手段50の回転駆動動作の切り替え制御を実行する駆動手段動作制御部70も内蔵されている。
【0020】
本実施形態における保持部材10は、ステンレス板や亜鉛メッキ鋼板などに代表される板状部材を曲げ加工することにより形成されている。保持部材10は、外壁面Hに平面部分12を当接させた状態にして、平面部分12に形成されたねじ孔14にねじ留め等の公知の手段を用いて外壁面Hに取り付け可能に形成されている。外壁面Hから離反する方向に延出した保持部16の先端側部分には、切欠部18が形成されており、この切欠部18に日よけ部材30を外周面に巻き取りさせるための本体部20が回転可能な状態で保持されている。
【0021】
保持部材10は本実施形態に示した構成に制限されるものではなく、本体部20を回転可能な状態で保持することができれば、具体的な形態は特に限定されるものではない。他の保持部材10の一例としては、建築物である家屋の庇部分から吊り下げられた状態で本体部20を回転可能に保持する形態を採用することもできる。また、保持部16を複数本の保持片により構成し、保持片どうしを連結ピンにより連結し、保持部16の中途部で連結ピンの軸周りに任意の角度に屈曲可能にした保持部16を採用すれば、本体部20の保持位置を適宜調整することが可能な保持部材10とすることもできる。
【0022】
本体部20は、円筒状に形成されていて、外周面には日よけ部材30を連結するための図示しない連結具が取り付けられており、日よけ部材30はその一端側において連結具を介して本体部20の外周面に巻き取り可能に連結されている。また、本体部20の両端部には回転軸21が取り付けられ、この回転軸21には本体部20の外周面に日よけ部材30を巻き取りさせる際において、日よけ部材30の幅方向端縁部が回転軸21の軸線方向への片寄り(ずれ)を規制する片寄規制板22が着脱可能に取り付けられている。片寄規制板22は、
図3(A)に示すように、正面視形状が円板形状に形成され、正面視した際の中央部には
図3(B)に示すように本体部20の回転軸21が装着される筒状の軸連結部23が形成されている。本体部20に取り付けられた回転軸21は、片寄規制板22の軸連結部23に差し込まれた後、軸連結部23の外周面に穿設された図示しないねじ孔からねじ留めされることで、軸連結部23に確実に固定することができる。
【0023】
本体部20の回転軸21が連結される部位とは反対側の部位における筒状の軸連結部23の内周面には、周方向に沿って所要間隔に凸部と凹部とが交互に形成された凹凸部が形成されている。本実施形態においては、軸連結部23と軸連結部23の内周面に形成された凹凸部とにより第1の凹凸嵌合連結部材24が構成されている。この第1の凹凸嵌合連結部材24の凹凸部は、後述する駆動手段50の出力軸54との連結部側における所要範囲にのみ形成されているので、軸連結部23の内周面の中途位置には第1の凹凸嵌合連結部材24の凹凸部の側壁面24Aがあらわれることになる。この側壁面24Aは、軸連結部23に本体部20の回転軸21を差し込んだ際の位置決め用ストッパとしても用いることができる。これにより軸連結部23への本体部20の回転軸21の差し込み量を常に適正にすることができ、軸連結部23と本体部20の回転軸21との連結を確実に行うことができる。
また、軸連結部23のうち、片寄規制板22の背面側に囲まれている側(駆動手段50の出力軸54との連結部側)における外周面には軸連結部23の高さ方向の所要範囲にわたって雄ねじ部25が形成されている。雄ねじ部25については後述する。
【0024】
また、
図3(B)から明らかなように、片寄規制板22は軸連結部23から径外方向の中途位置までの範囲においては、本体部20の外周面に対して垂直に伸びる垂直面22aに形成されている。また、片寄規制板22の径外方向の中途位置(垂直面22aの外周端縁位置)から片寄規制板22の外周縁にわたっては、本体部20の回転軸21の軸線延長方向外方に離反する方向に傾斜する傾斜面22bに形成されている。本実施形態においては、
図3(B)に示すように片寄規制板22の傾斜面22bは曲面状に形成されているが、傾斜面22bは直線状に形成されていてもよい。
本体部20の両端部に取り付けられた片寄規制板22,22は、
図1に示すように片寄規制板22,22の内側面どうしの配設間隔W1が本体部20に巻回される日よけ部材30の幅寸法W2よりも幅広寸法になっている。
【0025】
本体部20の外周面への日よけ部材30を巻回させる際における動作状況について説明する。
図4は、本体部の外周面に日よけ部材を巻回させた際の理想状態を示す幅方向端縁部の拡大説明図である。
図4においては、日よけ部材30の幅方向端縁部がずれることなく本体部20の外周面に沿ってきれいに巻回された状態が示されているが、通常使用時においては、日よけ部材30の幅方向端縁部がきれいにそろった状態で本体部20の外周面に巻回されることはまれである。
【0026】
日よけ部材30であるすだれを構成する葦は天然物であるため、径寸法にばらつきを有していることに加え、温度変化や湿度変化による伸縮量が異なるため、本体部20の外周面へ日よけ部材30の巻き取りを行うと、日よけ部材30の幅方向端縁部にずれが生じることがほとんどである。このような本体部20の外周面に巻き取りさせた状態の日よけ部材30の幅方向端縁部の位置ずれが大きくなると、自動すだれ100を長手方向に隣接させて配設する際に、隣接する日よけ部材30の幅方向端縁部どうしが干渉し、自動すだれ100の動作に支障をきたすことがある。このような本体部20の外周面に日よけ部材30を巻き取る際における幅方向端縁部の片寄り(ずれ)を防ぐためには本実施形態にあるような片寄規制板22の装着が有効になる。
【0027】
本体部20の外周面に日よけ部材30を巻き取りさせる際に、日よけ部材30の幅方向端縁部が徐々に回転軸21の軸線方向(日よけ部材30の幅方向)にずれると、やがて
図5に示すように日よけ部材30の幅方向端縁部のうち一方の幅方向端縁部が片寄規制板22に当接することになる。本体部20の外周面に巻き取られる日よけ部材30の幅方向端縁部の一方が片寄規制板22に当接すると、日よけ部材30の幅方向端縁部の回転軸21の軸線方向における片寄りが規制されることになる。また、日よけ部材30の幅方向端縁部の一方が傾斜面22bに当接しながら本体部20の外周面に巻き取られると、日よけ部材30の幅方向端縁部の一方は
自重により傾斜面22bを滑り落ちる状態になる。
【0028】
以上に説明したように、日よけ部材30の幅方向端縁部の一方が片寄規制板22に当接すると、
図5内における矢印Zの方向に作用する反力を片寄規制板22から得ながら本体部20の外周面に巻き取られることになる。すなわち、本体部20の外周面へ巻き取らせた状態において日よけ部材30の両端部位置の幅寸法を片寄規制板22の配設間隔W1の範囲内に抑えることができるのである。
これにより、自動すだれ100を本体部20の長手方向に連続させた状態で配設した場合であっても、隣接する自動すだれ100において、それぞれの日よけ部材30の幅方向端縁部どうしが干渉してしまうことがなく、自動すだれ100の動作不良を防止することができるため好都合である。
【0029】
次に本体部20と駆動手段50の連結構造について説明する。
図6は、駆動手段の出力軸と凹凸嵌合連結部を示す斜視図である。
図6に示すように、駆動手段50の出力軸54の先端部には、片寄規制板22の軸連結部23の内周面に形成された第1の凹凸嵌合連結部材24の凹凸部と凹凸嵌合可能に形成された第2の凹凸嵌合連結部材52が取り付けられている。
図6に示すように、第2の凹凸嵌合連結部材52は、第1の凹凸嵌合連結部材24への差し込み先端部における凹凸部の高低差がまったくない平坦な外周面に形成されている。第2の凹凸嵌合連結部材52は、差し込み先端部側から第1の凹凸嵌合連結部材24(軸連結部23)への差し込み量が増加するに伴って第2の凹凸嵌合連結部材52の凹凸部の高低差(高さ寸法)が徐々に増加するように形成されている。
【0030】
第2の凹凸嵌合連結部材52の基端部位置における凹凸部の高低差は、片寄規制板22の軸連結部23の一方の内周面に形成された第1の凹凸嵌合連結部材24における凹凸部の高低差と同じ寸法となるように形成されている。このような凹凸部が形成された駆動手段50の第2の凹凸嵌合連結部材52は、第1の凹凸嵌合連結部材24との凹凸嵌合をする際における第2の凹凸嵌合連結部材52の差し込みをきわめて容易に行うことができる。
【0031】
駆動手段50の出力軸54の先端部の第2の凹凸嵌合連結部材52と第1の凹凸嵌合連結部材24とを凹凸嵌合させた後は、軸連結部23の外周面に形成された雄ねじ部25(
図3参照)に固定用雌ねじキャップ56を螺着させることにより、駆動手段50と片寄規制板22および本体部20の回転軸21との連結状態を確実に維持することができる。これにより、本体部20の回転軸21と駆動手段50の出力軸54とは凹凸嵌合連結部材(第1の凹凸嵌合連結部材24と第2の凹凸嵌合連結部材52)を介して連結され、駆動手段50の回転トルクを本体部20の回転駆動力として回転軸21に確実に伝達させることが可能になる。
固定用雌ねじキャップ56を軸連結部23の外周面に形成された雄ねじ部25から取り外しすれば、片寄規制板22および本体部20を駆動手段50から切り離すことも可能である。これにより、本体部20の外周面への日よけ部材30のデフォルト位置の調整を行うこともできる。
【0032】
具体的には
図7(A)に示すような状態で、日よけ部材30の位置をもう少し上側にしたい場合には、まず、固定用雌ねじキャップ56を取り外し、駆動手段50の出力軸54(第2の凹凸嵌合連結部材52)と軸連結部23の内周面に形成された凹凸部(第1の凹凸嵌合連結部材24)との連結状態を一旦解除し、片寄規制板22および本体部20を保持部材10から取り外しする。次いで片寄規制板22の第1の凹凸嵌合連結部材24の凹凸部と駆動手段50の第2の凹凸嵌合連結部材52との当初の凹凸嵌合位置を片寄規制板22の周方向にずらし、日よけ部材30の巻き出し側端部位置を調整する。そして駆動手段50の第2の凹凸嵌合連結部材52と片寄規制板22に形成されている第1の凹凸嵌合連結部材24の凹凸部とを調整後の位置において再び凹凸嵌合させることで連結し軸連結部23の雄ねじ部25に固定用雌ねじキャップ56を装着すればよい。
このように第2の凹凸嵌合連結部材52と第1の凹凸嵌合連結部材24の凹凸部との凹凸嵌合位置を調整することにより、自動すだれ100の日よけ部材30の位置を
図8に示すような適正な位置に調整することができる。
【0033】
以上のことから第1の凹凸嵌合連結部材24および第2の凹凸嵌合連結部材52に形成されている凹凸部の配設間隔は狭ければ、日よけ部材30の巻き上げ完了位置の微調整が可能になるが、駆動手段50の回転トルクを確実に本体部20に伝達させるためには凹凸の数を多くしすぎない方がよい。本実施形態においては、凹部1つと凸部一つを1対として6対を配設している。第1の凹凸嵌合連結部材24と第2の凹凸嵌合連結部材52の凹凸部の配設数は、6対に限定されるものではなく、適宜調整可能である。
【0034】
次に本実施形態にかかる自動すだれ100において日よけ部材30を本体部20の外周面から巻き出しする動作および日よけ部材30を本体部20の外周面に巻き上げする動作の切り替え行う駆動手段動作制御部70について説明する。
図9は、駆動手段動作制御部70の概略構成を示したブロック図である。
駆動手段動作制御部70は、CPU等による制御手段72と、不揮発性メモリなどによる記憶部74と、光センサ76および風速センサ78を有している。制御手段72は、駆動手段動作制御部70の一部を構成する光センサ76と風速センサ78による計測結果に基づいて駆動手段50の回転動作を制御する。
記憶部74には、駆動手段動作制御部70が動作するための制御プログラムと、駆動手段50の動作方向を判断するための日射強度と風速の閾値が予め記憶されている。これらの閾値のうち、風速の閾値としては、基準風速と、基準風速の継続時間を採用することが好適である。これらの閾値は予め記憶部74に記憶されている形態のほか、図示しない入力手段を用いて使用者が任意の閾値を記憶部74に入力可能に設定されていてもよい。
【0035】
光センサ76は自動すだれ100の設置位置(駆動手段動作制御部70)に照射される日射強度を計測することが可能な公知の光センサ76が用いられる。光センサ76は、検出面を本体ケース60の正面側に露出させた状態で配設されている。風速センサ78は小型のプロペラ型の風速計を本体ケース60の底面部分に配設し、風速計により生成されたパルスを計測する公知の構造が採用されている。光センサ76と風速センサ78の構成は例示であって他の公知のセンサを適宜用いることができる。
駆動手段動作制御部70を内蔵している本体ケース60は、保持部材10の切欠部18に嵌合させることにより着脱可能に形成されている。
【0036】
光センサ76と風速センサ78により計測された日射強度および風速のそれぞれの計測値は制御手段72に送信される。制御手段72は、記憶部74に予め記憶されている制御プログラムに基づいて、同じく記憶部74に記憶されている日射強度および風速の閾値と光センサ76および風速センサ78から送信された日射強度および風速の計測結果とを比較する。
制御手段72は、光センサ76から送信された日射強度の計測結果が記憶部74に記憶されている日射強度の閾値を超えた場合、駆動手段50に日よけ部材30を本体部20の外周面から巻き出す方向に駆動させるための動作制御信号を駆動手段50に送信する。
これと同様に、風速センサ78から送信された風速の計測結果が記憶部74に記憶されている風速の閾値を超えた場合、制御手段72は、駆動手段50に日よけ部材30を本体部20の外周面に巻き上げする方向に駆動させるための動作制御信号を駆動手段50に送信する。
【0037】
制御手段72は、光センサ76と風速センサ78による日射強度と風速の計測結果と記憶部74に記憶されているそれぞれの閾値の比較結果において、駆動手段50を駆動させる回転駆動方向が逆方向になった場合には、風速の計測結果および閾値による判断結果を優先させるように予め制御プログラムによって設定されていればなお好適である。これにより強風時に自動すだれ100の日よけ部材30が本体部20から巻き出された状態になることにより、日よけ部材30が風に煽られてしまうことがなく、自動すだれ100を安全に使用することができる。
【0038】
このようにして駆動手段動作制御部70により回転動作が制御されている駆動手段50は、同じく本体ケース60に収容されているバッテリ(図示せず)を駆動用の動力源としている。駆動手段50の出力軸54の外周面は雄ねじに形成されていて、本体ケース60を保持部材10に嵌合保持させる部分に穿設されている挿通孔に形成された雌ねじ(図示せず)に螺合した状態で挿通されている。すなわち、駆動手段50が回転駆動すると、出力軸54が雌ねじに螺合しているので、駆動手段50全体が雌ねじ部に対して接離動する構成になっているのである。
【0039】
また、先述の雌ねじ部の近傍位置には図示しないリミットスイッチが配設されているので、駆動手段50がリミットスイッチに接触すると、リミットスイッチにより駆動手段50への駆動用動力源である電源の供給を停止させることができる。このようなリミットスイッチは、本体部20の外周面に日よけ部材30を完全に巻き上げた状態の位置を設定するためのものと、本体部20の外周面から日よけ部材30完全に巻き出した状態の位置を設定するためのものとの2箇所に配設されている。それぞれのリミットスイッチは、自動すだれ100を設置したままそれぞれの位置調整が可能な状態で本体ケース60に配設されている。
【0040】
このように本実施形態にかかる自動すだれ100は、本体部20の回転軸と駆動手段50の出力軸54を凹凸嵌合連結部材を介して連結している点と、駆動手段50への電源供給を駆動手段50の回転量により規制するリミットスイッチを設けた構成を採用しているため、日よけ部材30の巻き出し位置の位置調整を複数の手段により行うことができる点が、実使用上においてきわめて好都合である。
【0041】
日よけ部材30を保護する被覆部材40について説明する。
図10および
図11に示すように、被覆部材40は本体部20の外周面に巻き取りされた状態の日よけ部材30を被覆するいわゆる円弧状をなす庇形状に形成されている。被覆部材40の内周面には、一端部が被覆部材40の内周面に固定され、他端部が自由端部に形成されたストッパ部材である緩み止め用ストッパ42が取り付けられている。
図10においては、緩み止め用ストッパ42は被覆部材40の長手方向の中央部分の一箇所のみに配設されているが、被覆部材40の長手方向に所定間隔をあけて複数箇所に緩み止め用ストッパ42を取り付けてもよい。
【0042】
図11に示すように緩み止め用ストッパ42の先端側部分(自由端側部分)は、本体部20の外周面に巻き取りされ巻回状態にある日よけ部材30の最外周面に当接することで、当初の状態に対して本体部20の径外方向に弾性変形した状態になっている。すなわち、緩み止め用ストッパ42は、本体部20の外周面に巻き取りされ巻回状態にある日よけ部材30の最外周面を径方向内側に押圧することになる。このような緩み止め用ストッパ42の弾性変形による押圧力を用いて本体部20の外周面に巻き取りされた日よけ部材30の最外周面が重力の作用により滑り落ちるように弛緩することを確実に防止することができる。
また、緩み止め用ストッパ42の自由端部は本体部20の外周面に巻き取りされた日よけ部材30の外表面から離反する方向に屈曲されているため、本体部20の外周面に日よけ部材30を巻き出しする際において、緩み止め用ストッパ42の先端部が日よけ部材30に引っ掛かる等の不具合を確実に回避することができる点において好適である。
【0043】
緩み止め用ストッパ42は被覆部材40と同じ材料で形成することができるが、緩み止め用ストッパ42の材料として、熱感知型形状記憶合金を採用することがより好適である。
具体的には、低温時に弾性係数が高くなる(低温時における日よけ部材30への押圧力が強くなる)熱感知型形状記憶合金を緩み止め用ストッパ42の材料として採用することにより、冬期において本体部20に巻回した状態の日よけ部材30が風の影響により不本意に巻き出された状態になることを防止することができる。
【0044】
低温時に弾性係数が高くなる熱感知型形状記憶合金からなる緩み止め用ストッパ42の構成によれば、本体部20の外周面に巻回されている日よけ部材30の押圧力が強化されることになり、本体部20への巻回状態の日よけ部材30の弛緩の発生をより確実に防止することができる。このような構成は風が強くなる冬期においては特に有効である。
また、冬期においては、本体部20の外周面に巻回されている日よけ部材30を巻き出しする必要がないため、緩み止め用ストッパ42の押圧力が強すぎることにより駆動手段50のトルク不足による自動すだれ100の動作不良となるおそれはない。これにより、自動すだれ100を使用しない冬期に格納する手間を省くことができる。これとは反対に気温が高くなる夏期においては、緩み止め用ストッパ42は本体部20の外周面に巻き取りした日よけ部材30の緩み止めを行うに必要な最低限の押圧力を確保しておけばよい。これにより駆動手段50による日よけ部材30の本体部20の外周面への巻き取り動作に支障を与えるおそれはない。
【0045】
以上に実施形態に基づいて本願発明に係る自動すだれ100について詳細に説明をしてきたが、本願発明は以上に示した実施形態に限定されるものではない。たとえば、本実施形態においては、円筒状体に形成された本体部20の形態に基づいた説明を行っているが、本体部20は保持部材10上で回転可能な形状に形成されていればよいため、回転可能かつ外周面に日よけ部材30を巻き取りおよび巻き出しさせることが可能であれば、他の筒状体または柱状体に形成したものを用いることもできる。
【0046】
さらに、本実施形態においては、光センサ76と風速センサ78とによる日射強度と風速の計測値と記憶部74に記憶されているそれぞれの閾値との比較結果に基づいて、本体部20の外周面に日よけ部材30を巻き取りさせる動作や、本体部20の外周面に巻き取られている日よけ部材30を巻き出しする動作を自動制御する形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。本実施形態で説明した自動すだれ100の動作制御方法の他に、図示しないリモートコントローラおよびリモートコントローラからの作動信号を受信する信号受信部を設け、使用者がリモートコントローラを操作して本体部20の外周面に日よけ部材30を巻き取らせる動作や本体部20の外周面に巻き取りされている日よけ部材30を巻き出しする動作を任意に切り替えして用いる形態を採用することも可能である。
【0047】
また、本実施形態においては、駆動手段50の駆動用の動力源として、本体ケース60に収容した図示しないバッテリを用いた形態例について説明しているが、駆動手段50の駆動用の動力源はバッテリに限定されるものではなく、たとえば、商用電源を用いることも可能である。
さらには、被覆部材40の外表面に図示しない太陽光発電パネルを装着し、本体ケース60に太陽光発電パネルにより発電した電気を蓄電するための蓄電手段を内蔵させた形態を採用することも可能である。そして、被覆部材40の配設を省略した自動すだれ100の構成を選択することもできる。
さらにまた、本実施形態のように小型プロペラ型の風速センサ78を採用した場合には、風速センサにより発電を行い、風速センサが発電した電気を蓄電手段に蓄電させて駆動手段50の駆動用の動力源または補助動力源として使用することもできる。
そして、駆動手段50の駆動用の動力源は以上に説明した動力源を任意に組み合わせて用いる形態を採用することも可能である。