【実施例】
【0133】
以下本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
【0134】
<溶液粘度>
ポリマー粉末を0.5g/dLの濃度でN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度(ln[ta/tb])/cで評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度を表す)。
【0135】
<イオン交換容量>
乾燥したプロトン交換膜100mgを、0.01NのNaOH水溶液50mlに浸漬し、25℃で一晩攪拌した。その後、0.05NのHCl水溶液で中和滴定した。中和滴定には、平沼産業(株)製、電位差滴定装置COMTITE−980を用いた。イオン交換当量は下記式で計算して求めた。
イオン交換容量[meq/g]=(10−滴定量[ml])/2
【0136】
<プロトン伝導性>
自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
【0137】
<NMR測定>
ポリマー(スルホン酸基はNaもしくはK塩)を溶媒に溶解し、VARIAN社製UNITY−500を用いて
1H−NMRは室温で、
13C−NMRは70℃でそれぞれ測定を行った。溶媒にはN−メチル−2−ピロリドンと重ジメチルスルホキシドの混合溶媒(85/15 vol./vol.)を用いた。親水性セグメント及び疎水性セグメントをそれぞれ構成する親水性オリゴマー及び疎水性オリゴマーは、
1H−NMRスペクトルを測定し、末端基由来のピークと骨格部分のピークのそれぞれの積分比から、数平均分子量を求めた。例えば、下記の合成例1の疎水性オリゴマーAで例示すると、ビフェニル構造におけるエーテル結合のオルト位のプロトンのピークは、末端基由来(パーフルオロビフェニルに結合した箇所)のものは7.2ppmに検出され、骨格中のものは7.3ppmに検出されるので、これらのピークの積分比から数平均分子量を求めた。また、下記の合成例5の親水性オリゴマーAで例示すると、ビフェニル構造におけるエーテル結合のオルト位のプロトンのピークは、末端基由来(フェノール性水酸基のオルト位)のものは6.8ppmに、骨格中のものは7.3ppmに、それぞれ検出されるので、これらのピークの積分比から数平均分子量を求めた。また、ブロックポリマーについては、親水性セグメントと疎水性セグメントの組成比を
1H−NMRで、セグメント長の低下の有無の確認を
13C−NMRで、それぞれ分析した。ブロックポリマーの合成において、副反応で各セグメントの分子量が低下した場合、セグメント間の交換反応に由来するピークが
13C−NMRによって検出される。例えば、下記比較例1の構造のブロックポリマーでは、交換反応由来のピークは155.5ppm及び157.0ppmに現れたのに対して、ほぼ同様の構造の下記実施例1のブロックポリマーでは、それらのピークは痕跡程度で明確に確認できなかった。このようにして
13C−NMRによって、各オリゴマー由来のセグメント連鎖長が保持されているかどうかを確認した。さらに、下記実施例に記載の他のブロックポリマーにおいても実施例1のブロックポリマーと同様に交換由来のピークを明確に確認できなかった。実施例19のブロックポリマーにおいては、はじめから交換由来のものと同じピーク示す構造を含むためはっきりと交換の確認ができていない。
【0138】
<膨潤性評価>
23℃50%RHの室内に1日放置しておいたプロトン交換膜を50mm四方に切り出した後、80℃の熱水に24時間浸漬した。浸漬後、膜の寸法及び重量をすばやく測定した。膜は120℃で3時間乾燥させ、乾燥重量を測定した。以下の式に従って、吸水率及び面積膨潤率を算出した。膜の寸法は特定の頂点に結合した直交する2辺の長さを測定した。
吸水率(%)={浸漬後の重量(g)−乾燥重量(g)}÷乾燥重量(g)×100
面積膨潤率(%)={浸漬後の辺の長さA(mm)×浸漬後の辺の長さB(mm)}÷{50×50}×100−100
【0139】
<メタノール透過性>
25℃の室内において、二つのガラス水槽を、サンプルを隔膜として連結し、片方の水槽に5Mのメタノール水溶液、もう片方に蒸留水をそれぞれ入れ、蒸留水を入れた側のメタノール濃度を適当な時間ごとに定量した。メタノールの定量はガスクロマトグラフィー法で行い、あらかじめ所定の濃度のメタノール溶液を注入したときのピーク面積から作成した検量線を用いてメタノール濃度を算出した。得られたメタノール濃度を経過時間に対してプロットしたときの傾きから、以下の式によりメタノール透過係数を求めた。
メタノール透過係数(mmol・m
−1・sec
−1)=プロットの傾き(mmol・sec
−1)÷膜面積(m
2)×膜厚(m)
【0140】
得られたポリマーからのプロトン交換膜の作製に関して以下に記す。
【0141】
<プロトン交換膜の作製方法A>
ポリマー(スルホン酸基が塩型のもの)2.0gをN−メチル−2−ピロリドン(略号:NMP)18mLに溶解し、アプリケーターを用いてガラス板上に500μmの厚みでキャストし、100℃で1時間、150℃で1時間加熱して乾燥した。その後、ガラス板を室温付近まで放冷し、膜ごと水につけて膜を剥離した。剥離した膜は純水に浸漬した後、1N硫酸に1時間浸漬して、スルホン酸基を酸型に変換し、純水で洗浄して遊離の硫酸を除き、風乾してプロトン交換膜を得た。
【0142】
<プロトン交換膜の作製方法B>
ポリマー(スルホン酸基が塩型のもの)20.0gをN−メチル−2−ピロリドン(略号:NMP)180mLに溶解し、加圧濾過した後、厚み190μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に400μmの厚みで連続的にキャストし、130℃で30分間加熱して乾燥して得られた膜をポリエチレンテレフタレート製のフィルムと共に巻き取った。得られた膜はポリエチレンテレフタレート製のフィルムに付着した状態で、連続的に純水に浸漬させた後、連続的に1mol/Lの硫酸水溶液に30分間浸漬させて、スルホン酸基を酸型に変換し、純水で洗浄して遊離の硫酸を除いた後、乾燥し、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムから剥離してプロトン交換膜を得た。
【0143】
本願第1の発明の、親水性及び疎水性オリゴマーの合成に関して以下に示す。
【0144】
<合成例1:疎水性オリゴマーA>
2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)49.97g(290.5mmol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)54.99g(295.3mmol)、炭酸カリウム46.94g(339.6mmol)、NMP750mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、15時間加熱した。窒素導入管、攪拌翼、冷却還流管、温度計を取り付けた別の1000mL枝付きフラスコに、NMP200mLとパーフルオロビフェニル4.85gを入れ、窒素気流下、攪拌しながら、オイルバス中で110℃に加熱した。そこに、DCBNとBPの反応溶液を、滴下漏斗を用いて2時間かけて攪拌しながら投入し、投入完了後、さらに2時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mLの純水に注ぎオリゴマーを固化させ、さらに純水で3回洗浄して、NMP及び無機塩を除去した。水洗したオリゴマーは、濾別した後、100℃で2時間乾燥させた後、室温まで冷却し、3000mLのアセトンで2回洗浄し、過剰のパーフルオロビフェニルを除去した。再びオリゴマーを濾別し、120℃で16時間減圧乾燥して疎水性オリゴマーAを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は13880だった。疎水性オリゴマーAの化学構造を以下に示す。
【0145】
【化24】
【0146】
<合成例2:疎水性オリゴマーB>
DCBN49.97g(290.5mmol)、BP54.99g(295.3mmol)、炭酸カリウム46.94g(339.6mmol)、NMP770mL、トルエン130mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、15時間加熱した。窒素導入管、攪拌翼、冷却還流管、温度計を取り付けた別の1000mL枝付きフラスコに、NMP200mLとパーフルオロビフェニル8.09gを入れ、窒素気流下、攪拌しながら、オイルバス中で110℃に加熱した。そこに、DCBNとBPの反応溶液を、滴下漏斗を用いて2時間かけて攪拌しながら投入し、投入完了後、さらに3時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mLのアセトンに注ぎオリゴマーを固化させた。細かい沈殿を含む上澄みは除去し、さらにアセトンで2回洗浄した後、純水で3回洗浄して、NMP及び無機塩を除去した。その後、オリゴマーを濾別し、120℃で16時間減圧乾燥して疎水性オリゴマーBを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は11260だった。疎水性オリゴマーBの化学構造を以下に示す。
【0147】
【化25】
【0148】
<合成例3:疎水性オリゴマーC>
パーフルオロビフェニル4.85gの代わりに、パーフルオロジフェニルスルホン5.78gを用いた他は合成例1と同様にして疎水性オリゴマーCを合成した。
1H−NMR測定による数平均分子量は14010であった。疎水性オリゴマーCの化学構造を以下に示す。
【0149】
【化26】
【0150】
<合成例4:疎水性オリゴマーD>
DCBN29.49g(171.5mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(略号:BFP)59.35g(176.5mmol)、炭酸カリウム28.06g(203.0mmol)、NMP700mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、合成例1と同様の操作によって疎水性オリゴマーDを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は14250だった。疎水性オリゴマーDの化学構造を以下に示す。
【0151】
【化27】
【0152】
<合成例5:疎水性オリゴマーH>
DCBN49.97g(290.5mmol)、BP57.02g(306.2mmol)、炭酸カリウム46.55g(336.8mmol)、NMP770mL、トルエン130mLを窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、15時間加熱した。窒素導入管、攪拌翼、冷却還流管、温度計を取り付けた別の1000mL枝付きフラスコに、NMP200mLとパーフルオロビフェニル30.09gを入れ、窒素気流下、攪拌しながら、オイルバス中で110℃に加熱した。そこに、DCBNとBPの反応溶液を、滴下漏斗を用いて2時間かけて攪拌しながら投入し、投入完了後、さらに3時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mLのアセトンに注ぎオリゴマーを固化させた。細かい沈殿を含む上澄みは除去し、さらにアセトンで2回洗浄した後、純水で3回洗浄して、NMP及び無機塩を除去した。その後、オリゴマーを濾別し、120℃で16時間減圧乾燥して疎水性オリゴマーEを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は5810だった。疎水性オリゴマーHの化学構造を以下に示す。
【0153】
【化28】
【0154】
<合成例6:疎水性オリゴマーI>
パーフルオロビフェニル4.85gの代わりに、パーフルオロベンゾフェノン5.26gを用いた他は合成例1と同様にして疎水性オリゴマーIを合成した。
1H−NMR測定による数平均分子量は13050であった。疎水性オリゴマーIの化学構造を以下に示す。
【0155】
【化29】
【0156】
<合成例7:親水性オリゴマーA>
4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ソーダ(略号:S−DCDPS)250.0g(508.9mmol)、BP97.04g(520.7mmol)、炭酸ナトリウム66.23g(624.9mmol)、NMP650mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、16時間加熱した。続いて、NMP500mLを投入し、攪拌しながら室温まで冷却した。得られた溶液を、25G2ガラスフィルターで吸引濾過したところ、黄色の透明な溶液が得られた。得られた溶液を3Lのアセトンに滴下してオリゴマーを固化させた。オリゴマーはさらにアセトンで3回洗浄した後、濾別して減圧乾燥し親水性オリゴマーAを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は25560であった。親水性オリゴマーAの化学構造を以下に示す。
【0157】
【化30】
【0158】
<合成例8:親水性オリゴマーB>
S−DCDPS250.0g(508.9mmol)、BP96.62g(518.5mmol)、炭酸ナトリウム65.95g(622.2mmol)、NMP650mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例6と同様にして親水性オリゴマーBを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は31340であった。親水性オリゴマーBの化学構造を以下に示す。
【0159】
【化31】
【0160】
<合成例9:親水性オリゴマーC>
S−DCDPS250.0g(508.9mmol)、BP97.46g(523.0mmol)、炭酸ナトリウム66.52g(627.7mmol)、NMP650mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例6と同様にして親水性オリゴマーCを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は20920であった。親水性オリゴマーCの化学構造を以下に示す。
【0161】
【化32】
【0162】
<合成例10:親水性オリゴマーD>
S−DCDPS250.0g(508.9mmol)、BFP175.09g(523.0mmol)、炭酸ナトリウム66.23g(624.9mmol)、NMP800mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例6と同様にして親水性オリゴマーDを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は24380であった。親水性オリゴマーDの化学構造を以下に示す。
【0163】
【化33】
【0164】
<合成例11:親水性オリゴマーE>
4,4’−ジクロロベンゾフェノン−3,3−ジスルホン酸ナトリウム231.7g(508.9mmol)、BP97.04g(520.7mmol)、炭酸ナトリウム66.23g(624.9mmol)、NMP800mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例6と同様にして親水性オリゴマーEを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は23530であった。親水性オリゴマーEの化学構造を以下に示す。
【0165】
【化34】
【0166】
<合成例12:親水性オリゴマーH>
S−DCDPS250.0g(508.9mmol)、BP106.18g(570.2mmol)、炭酸ナトリウム69.50g(655.8mmol)、NMP650mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例6と同様にして親水性オリゴマーHを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は3890であった。親水性オリゴマーHの化学構造を以下に示す。
【0167】
【化35】
【0168】
<合成例13:親水性オリゴマーI>
S−DCDPS250.0g(508.9mmol)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン167.72g(523.5mmol)、炭酸ナトリウム63.80g(602.0mmol)、NMP650mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例6と同様にして親水性オリゴマーIを得た。
1H−NMR測定による数平均分子量は24700であった。親水性オリゴマーIの化学構造を以下に示す。
【0169】
【化36】
【0170】
<実施例1>
親水性オリゴマーA 45.00g、疎水性オリゴマーA 24.61g、炭酸ナトリウム0.28g、NMP400mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、窒素気流下50℃のオイルバス中で攪拌し溶解させた。その後、110℃まで加熱し、10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、3Lの純水中に滴下してポリマーを固化させた。純水で3回洗浄した後、純水に浸漬したまま80℃で16時間処理し、その後で純水を除いて熱水洗浄を行った。その後、熱水洗浄をもう一度繰り返した。さらに水を除去したポリマーを、1000mLのイソプロパノールと500mLの水との混合溶媒に室温で16時間浸漬し、ポリマーを取り出し洗浄を行った。同じ操作をもう一度行った。その後、濾過でポリマーを濾別し、120℃で12時間減圧乾燥してスルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーAを得た。ポリマーAの対数粘度は、2.1dL/gだった。得られたポリマーからプロトン交換膜の作製方法Aによってプロトン交換膜Aを得た。ポリマーAの化学構造を以下に示す。
【0171】
【化37】
【0172】
<実施例2>
親水性オリゴマーB 42.27g、疎水性オリゴマーA 18.72g、炭酸ナトリウム0.37g、NMP350mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーBを得た。ポリマーBの対数粘度は、2.6dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Bを得た。ポリマーBの化学構造は、mが52である他は、ポリマーAと同じである。
【0173】
<実施例3>
親水性オリゴマーA 42.27g、疎水性オリゴマーB 18.62g、炭酸ナトリウム0.46g、NMP350mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーCを得た。ポリマーCの対数粘度は、3.2dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Cを得た。ポリマーCの化学構造は、nが37である他は、ポリマーAと同じである。
【0174】
<実施例4>
親水性オリゴマーC 42.27g、疎水性オリゴマーB 22.75g、炭酸ナトリウム0.56g、NMP370mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーDを得た。ポリマーDの対数粘度は、2.5dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Dを得た。プロトン交換膜Dのメタノール透過係数は、0.016(mmol・m
−1・sec
−1)であった。ポリマーDの化学構造を以下に示す。
【0175】
【化38】
【0176】
<実施例5>
親水性オリゴマーD 42.27g、疎水性オリゴマーC 24.29g、炭酸ナトリウム0.48g、NMP380mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーEを得た。ポリマーEの対数粘度は、2.1dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Eを得た。ポリマーEの化学構造を以下に示す。
【0177】
【化39】
【0178】
<実施例6>
親水性オリゴマーA 43.00g、疎水性オリゴマーD 23.97g、炭酸ナトリウム0.47g、NMP380mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーFを得た。ポリマーFの対数粘度は、3.1dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Fを得た。ポリマーFの化学構造を以下に示す。
【0179】
【化40】
【0180】
<実施例7>
親水性オリゴマーE 39.58g、疎水性オリゴマーD 23.97g、炭酸ナトリウム0.47g、NMP380mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーMを得た。ポリマーMの対数粘度は、2.1dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Mを得た。ポリマーMの化学構造を以下に示す。
【0181】
【化41】
【0182】
<実施例8>
親水性オリゴマーH 22.00g、疎水性オリゴマーH 32.75g、炭酸ナトリウム1.56g、NMP390mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーKを得た。ポリマーKの対数粘度は、2.4dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Kを得た。プロトン交換膜Dのメタノール透過係数は、0.004(mmol・m
−1・sec
−1)であった。ポリマーKの化学構造は、mが7、nが18.5である他は、ポリマーAと同じである。
【0183】
<実施例9>
親水性オリゴマーI 25.00g、疎水性オリゴマーA 14.05g、炭酸ナトリウム0.28g、NMP270mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーLを得た。ポリマーLの対数粘度は、2.1dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Lを得た。ポリマーLの化学構造を以下に示す。
【0184】
【化42】
【0185】
<実施例10>
親水性オリゴマーA 37.15g、疎水性オリゴマーI 19.58g、炭酸ナトリウム0.50g、NMP340mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーNを得た。ポリマーNの対数粘度は、2.8dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Nを得た。ポリマーNの化学構造を以下に示す。
【0186】
【化43】
【0187】
<実施例11>
ポリマーAからプロトン交換膜の作製方法Bによってプロトン交換膜Oを得た。
【0188】
<比較例1>
用いる原料や仕込み量を変えた他は、上記合成例と同様にして、下記構造の疎水性オリゴマーE及び親水性オリゴマーFをそれぞれ合成した。
【0189】
【化44】
【0190】
親水性オリゴマーF 44.06g、疎水性オリゴマーE 23.89g、炭酸ナトリウム0.47g、NMP380mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーGを得た。ポリマーGの対数粘度は、1.5dL/gだった。得られたポリマーから、反応温度を160℃に、反応時間を60時間にした他は、実施例と同様の方法によってプロトン交換膜Gを得た。ポリマーGの化学構造を以下に示す。
【0191】
【化45】
【0192】
<比較例2>
用いる原料や仕込み量を変えた他は、上記合成例と同様にして、下記構造の疎水性オリゴマーFを合成した。
【0193】
【化46】
【0194】
親水性オリゴマーF 44.06g、疎水性オリゴマーF 25.38g、炭酸ナトリウム0.47g、NMP380mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーHを得た。ポリマーHの対数粘度は、2.5dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Hを得た。ポリマーHの化学構造を以下に示す。
【0195】
【化47】
【0196】
<比較例3>
用いる原料や仕込み量を変えた他は、上記合成例と同様にして、下記構造の親水性オリゴマーGを合成した。
【0197】
【化48】
【0198】
親水性オリゴマーG 42.74g、疎水性オリゴマーF 25.38g、炭酸ナトリウム0.47g、NMP380mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーIを得た。ポリマーIの対数粘度は、1.9dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Iを得た。ポリマーIの化学構造を以下に示す。
【0199】
【化49】
【0200】
<比較例4>
用いる原料や仕込み量を変えた他は、上記合成例と同様にして、下記構造の疎水性オリゴマーGを合成した。
【0201】
【化50】
【0202】
親水性オリゴマーF 44.06g、疎水性オリゴマーG 23.87g、炭酸ナトリウム0.47g、NMP380mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーJを得た。ポリマーJの対数粘度は、1.3dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Jを得た。ポリマーJの化学構造を以下に示す。
【0203】
【化51】
【0204】
実施例及び比較例で得られたプロトン交換膜の評価結果を表1及び表2に示す。
【0205】
【表1】
【0206】
【表2】
【0207】
<実施例12:繊維状フィラーの添加>
合成例1で得られたポリマーに対して、六チタン酸カリウム繊維(大塚化学株式会社製
商品名:ティスモN、平均繊維径 0.3〜0.6μm、平均繊維長10〜20μm)を5重量%加えたほかは、実施例1と同様にしてプロトン交換膜を得た。得られた膜のプロトン伝導性と吸水率は、実施例1と同等であったが、面積膨潤率は7%と小さくなり、膨潤性が改良されていた。
【0208】
<実施例13:実施例4で作製したプロトン交換膜Dのダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)の発電評価>
Pt/Ru触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC61E54)に少量の超純水及びイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液(品番:SE−20192)を、Pt/Ru触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1になるように加えた。次いで撹拌してアノード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、ガス拡散層となる東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が2mg/cm
2になるようにスクリーン印刷により塗布乾燥して、アノード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC10V40E)に少量の超純水及びイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液(品番:SE−20192)を、Pt触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1となるように加え、撹拌してカソード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、撥水加工を施した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm
2となるように塗布・乾燥して、カソード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。上記2種類の電極触媒層付きカーボンペーパーの間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により200℃、6MPaにて3分間加圧、加熱し膜電極接合体を作製した。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込み、燃料電池発電試験機(株式会社東陽テクニカ製)を用いて発電試験を行った。発電は、セル温度70℃で、アノードに70℃に調整した1mol/Lのメタノール水溶液(1.5mL/min)を、カソードに70℃に調整した高純度空気ガス(80mL/min)を、それぞれ供給し、電流密度が0.2A/cm
2における出力電圧を測定したところ、0.29Vの出力電圧を示した。
【0209】
<比較例5:市販のプロトン交換膜のDMFC発電評価>
デュポン社製プロトン交換膜ナフィオン(商品名)117を用い、プレス温度を150℃にした他は、実施例13と同様にして発電評価を行った。ナフィオン(商品名)117のメタノール透過係数は、0.69(mmol・m
−1・sec
−1)であった。電流密度が0.2A/cm
2における出力電圧を測定したところ、出力電圧は0.19Vしかなく、実施例12に比べ劣るものであった。
【0210】
<実施例14:実施例1のプロトン交換膜を用いた水素を燃料とする燃料電池(PEFC)の発電評価>
デュポン社製20%ナフィオン(商品名)溶液に、市販の40%Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社 燃料電池用触媒 TEC10V40E)と、少量の超純水及びイソプロパノールを加えた後、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が0.5mg/cm
2になるように均一に塗布・乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作製した。上記の電極触媒層付きガス拡散層の間に、高分子電解質膜を、電極触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレス法により200℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んでセル温度80℃で、アノード及びカソードにそれぞれ75℃で加湿した水素と空気を供給して発電特性を評価した。開始直後における電流密度が0.5A/cm
2における出力電圧を初期出力とした。また、耐久性評価として、1時間に3回の割合で開回路電圧を測定しつつ上記の条件で2000時間を上限として連続運転を行った。開回路電圧が開始直後の値よりも10%以上低下したときの時間を耐久時間とした。実施例1のプロトン交換膜を用いたPEFC発電評価における初期電圧は0.71Vであり、連続運転では2000時間経過後も電圧低下は3%であった。
【0211】
<比較例6>
比較例2のプロトン交換膜を用いて実施例14と同様にPEFC発電評価を行ったところ1576時間で出力が10%低下しており、実施例14に比べ劣るものであった。
【0212】
本願第2の発明の、親水性及び疎水性オリゴマーの合成に関して以下に示す。
【0213】
<合成例14:疎水性オリゴマーJ>
2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)65.00g(376.8mmol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)71.62g(384.3mmol)、炭酸カリウム58.43g(422.8mmol)、NMP950mLを窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。200℃に昇温し、4時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mLの純水に注ぎオリゴマーを固化させ、さらに純水で3回洗浄して、NMP及び無機塩を除去した。水洗したオリゴマーは、濾別した後、120℃で16時間減圧乾燥して疎水性オリゴマーJを得た(化47)。
1H−NMR測定による数平均分子量は10572だった。
【0214】
【化52】
【0215】
<合成例15:疎水性オリゴマーK>
DCBN30.00g(173.9mmol)、BP32.87g(176.4mmol)、炭酸カリウム29.25g(211.7mmol)、NMP440mLを窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、合成例14と同様の操作によって疎水性オリゴマーKを得た(化48)。
1H−NMR測定による数平均分子量は12169だった。
【0216】
【化53】
【0217】
<合成例16:疎水性オリゴマーL>
DCBN29.49g(171.5mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(略号:BFP)59.35g(176.5mmol)、炭酸カリウム28.06g(203.0mmol)、NMP700mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000mL枝付きフラスコに入れ、合成例14と同様の操作によって疎水性オリゴマーLを得た(化49)。
1H−NMR測定による数平均分子量は13620だった。
【0218】
【化54】
【0219】
<合成例17:親水性オリゴマーM>
4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ソーダ(略号:S−DCDPS)200.0g(407.1mmol)、BP77.41g(415.4mmol)、炭酸カリウム63.2g(457.0mmol)、NMP720mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。その後、200℃に昇温し、18時間加熱した。続いて、NMP300mLを投入し、攪拌しながら室温まで冷却した。得られた溶液を、25G2ガラスフィルターで吸引濾過し、得られた溶液を3Lのアセトンに滴下してオリゴマーを固化させた。オリゴマーはさらにアセトンで3回洗浄した後、濾別して減圧乾燥し親水性オリゴマーMを得た(化50)。
1H−NMR測定による数平均分子量は24361であった。
【0220】
【化55】
【0221】
<合成例18:親水性オリゴマーN>
S−DCDPS200.0g(407.1mmol)、BP77.7g(416.8mmol)、炭酸カリウム63.37g(458.5mmol)、NMP720mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例17と同様にして親水性オリゴマーNを得た(化51)。
1H−NMR測定による数平均分子量は20920であった。
【0222】
【化56】
【0223】
<合成例19:親水性オリゴマーO>
S−DCDPS30.0g(61.1mmol)、BP17.96g(96.3mmol)、DCBN5.67(32.9mmol)、炭酸カリウム14.65g(106.0mmol)、NMP140mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた200mL枝付きフラスコに入れ、合成例17と同様にして親水性オリゴマーOを得た(化52)。
1H−NMR測定による数平均分子量は19898であった。
【0224】
【化57】
【0225】
<合成例20:親水性オリゴマーP>
S−DCDPS250.0g(508.9mmol)、BFP175.09g(523.0mmol)、炭酸ナトリウム66.23g(624.9mmol)、NMP800mL、トルエン150mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000mL枝付きフラスコに入れ、合成例4と同様にして親水性オリゴマーPを得た(化53)。
1H−NMR測定による数平均分子量は24380であった。
【0226】
【化58】
【0227】
<実施例15>
親水性オリゴマーM 7.00g、疎水性オリゴマーJ 4.53g、NMP110mLを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた200mL枝付きフラスコに入れ、窒素気流下70℃のオイルバス中で攪拌し溶解させた。その後、デカフルオロビフェニル(DFB)0.24g、炭酸カリウム0.11gを加え、110℃まで加熱し、10時間反応させた。反応溶液の固形分濃度は10重量%とした。その後、室温まで冷却し、1Lの純水中に滴下してポリマーを固化させた。純水で3回洗浄した後、純水に浸漬したまま80℃で5時間処理した。さらに水を除去したポリマーを、1000mLのイソプロパノールと500mLの水との混合溶媒に室温で16時間浸漬し、ポリマーを取り出し洗浄を行った。同じ操作をもう一度行った。その後、濾過でポリマーを濾別し、120℃で12時間減圧乾燥してスルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーKを得た(化54)。ポリマーKの対数粘度は、3.1dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Kを得た。
【0228】
【化59】
【0229】
<実施例16>
親水性オリゴマーM 7.00g、疎水性オリゴマーK 4.95g、炭酸カリウム0.12g、DFB0.27g、NMP110mLを用い、実施例1と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーLを得た(化55)。ポリマーLの対数粘度は、3.4dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Lを得た。ポリマーLの化学構造は、オリゴマーの重合度が異なる以外はポリマーKと同じである。
【0230】
【化60】
【0231】
<実施例17>
親水性オリゴマーN 7.00g、疎水性オリゴマーJ 4.5g、炭酸カリウム0.12g、DFB0.22g、NMP111mLを用い、実施例14と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーMを得た(化56)。ポリマーMの対数粘度は、2.9dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Mを得た。ポリマーMの化学構造は、オリゴマーの重合度が異なる以外はポリマーKと同じである。
【0232】
【化61】
【0233】
<実施例18>
親水性オリゴマーN 7.00g、疎水性オリゴマーK 4.47g、炭酸カリウム0.11g、DFB0.24g、NMP110mLを用い、実施例14と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーNを得た(化57)。ポリマーNの対数粘度は、2.7dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Nを得た。ポリマーNの化学構造は、オリゴマーの重合度が異なる以外はポリマーKと同じである。
【0234】
【化62】
【0235】
<実施例19>
親水性オリゴマーM 7.00g、疎水性オリゴマーJ 4.53g、炭酸カリウム0.11g、ヘキサフルオロベンゼン(HB)0.13g、 NMP110mLを用い、実施例14と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーOを得た(化58)。ポリマーEの対数粘度は、2.9dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Oを得た。ポリマーOの化学構造は、鎖延長剤としてHBを使用した以外はポリマーKと同じである。
【0236】
【化63】
【0237】
<実施例20>
親水性オリゴマーO 7.00g、疎水性オリゴマーJ 4.47g、炭酸カリウム0.12g、DFB0.26g、NMP110mLを用い、実施例14と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーPを得た(化59)。ポリマーPの対数粘度は、3.4dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Pを得た。ポリマーPの化学構造は親水性セグメントにもベンゾニトリルの構造をランダム構造で含むものである。
【0238】
【化64】
【0239】
<実施例21>
親水性オリゴマーP 7.00g、疎水性オリゴマーL 4.91g、炭酸カリウム0.10g、DFB0.26g、NMP110mLを用い、実施例14と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーQを得た(化60)。ポリマーQの対数粘度は、2.5dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Qを得た。
【0240】
【化65】
【0241】
<実施例22>
合成例14と同様の仕込み比でNMPを317mlとなるように疎水性オリゴマーMを重合した。また、合成例17と同様の仕込み比でNMPを200mlとなるように親水性オリゴマーQを重合した。それぞれの重合溶液を混合し、1時間攪拌した。その後、DFB1.68gを加え、110℃に加熱し、10時間反応させた。精製は実施例14と同様にしてスルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーRを得た(化61)。ポリマーRの対数粘度は、3.5dL/gだった。得られたポリマーから上記の方法によってプロトン交換膜Rを得た。
【0242】
【化66】
【0243】
<比較例7>
合成例14と同様にして、DCBNの仕込み量を過剰にすることでCl末端を有する疎水性オリゴマーMを合成した。疎水性オリゴマーM 数平均分子量14200。仕込み量を変えた以外は合成例17と同様の方法でOH末端を有する親水性オリゴマーQを合成した。親水性オリゴマーQ 数平均分子量24110。であった。
【0244】
【化67】
(疎水性オリゴマーM 数平均分子量14200)
(親水性オリゴマーQ 数平均分子量24110)
【0245】
親水性オリゴマーQ 44.06g、疎水性オリゴマーM 23.89g、炭酸カリウム0.47g、NMP380mLを用い、鎖延長剤を用いないこと以外は実施例14と同様にして、スルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーSを得た(化63)。ポリマーSの対数粘度は、1.5dL/gだった。得られたポリマーから、反応温度を160℃に、反応時間を60時間にした他は、実施例と同様の方法によってプロトン交換膜Sを得た。
【0246】
【化68】
【0247】
<比較例8>
用いるモノマーをDCBNから4,4‘−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)にしたことと仕込みを変更した以外は合成例14と同様にして疎水性オリゴマーNを合成した(化64)。疎水性オリゴマーN 数平均分子量 13560であった。
【0248】
【化69】
【0249】
仕込み量と用いる疎水性オリゴマーをJからNに、親水性オリゴマーをMからQに変更した以外は実施例14と同様の方法でスルホン酸基含有セグメント化ブロックポリマーTを得た(化65)。ポリマーTの対数粘度は2.3dL/gだった。得られたポリマーから実施例と同様の方法によってプロトン交換膜Tを得た。
【0250】
【化70】
実施例及び比較例で得られたプロトン交換膜の評価結果を表3に示す。
【0251】
【表3】
【0252】
<実施例23:実施例17のプロトン交換膜を用いた水素を燃料とする燃料電池(PEFC)の発電評価>
デュポン社製20%ナフィオン(商品名)溶液に、市販の40%Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社 燃料電池用触媒 TEC10V40E)と、少量の超純水及びイソプロパノールを加えた後、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ社製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が0.5mg/cm
2になるように均一に塗布・乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作製した。上記の電極触媒層付きガス拡散層の間に、高分子電解質膜を、電極触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレス法により200℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んでセル温度80℃で、アノード及びカソードにそれぞれ75℃で加湿した水素と空気を供給して発電特性を評価した。開始直後における電流密度が0.5A/cm
2における出力電圧を初期出力とした。また、耐久性評価として、1時間に3回の割合で開回路電圧を測定しつつ上記の条件で2000時間を上限として連続運転を行った。開回路電圧が開始直後の値よりも10%以上低下したときの時間を耐久時間とした。実施例16のプロトン交換膜を用いたPEFC発電評価における初期電圧は0.73Vであり、連続運転では2000時間経過後も電圧低下は4%であり、耐久時間は2000時間以上であった。
【0253】
<比較例9>
比較例7のプロトン交換膜を用いて実施例22と同様にPEFC発電評価を行ったところ1670時間で出力が10%低下しており、耐久時間は1670時間であり、実施例22に比べ劣るものであった。