(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
媒体の搬送方向で上流側に配置された第1光源と下流側に配置された第2光源とを備え媒体が搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射された光のうち前記媒体で反射された反射光を受光する受光手段とを有し、前記搬送方向と交差する方向から前記第1光源及び前記第2光源を見て、前記受光手段に向かう光の光軸に対して前記第1光源と前記第2光源が対称配置され、前記搬送路中で搬送される前記媒体上の像を検知する検知手段と、
前記搬送路と前記照射手段との間に配置され、前記照射手段で照射される光及び前記媒体で反射された光が透過する透過部材と、
前記透過部材で塞がれる開口を形成する第1支持部材と第2支持部材とを有する支持部材であって、前記第1支持部材は、前記搬送方向における前記透過部材の上流側の端部を前記開口の上流側の部分で前記媒体側から支持し、前記第2支持部材は、前記搬送方向と交差する方向の両端部が前記第1支持部材に支持されると共に前記透過部材の下流側の端面に接触して前記透過部材の下流側の端部を前記開口の下流側の部分で支持し、前記第2支持部材の底面が前記透過部材の底面よりも前記照射手段側に位置している支持部材と、
前記第2支持部材に取り付けられ前記透過部材の前記搬送方向の下流側の端部が前記照射手段側に移動するのを抑制する抑制部材と、
を有し、
前記搬送方向と交差する方向から前記第1光源及び前記第2光源を見て、前記第1光源の中心をA、前記第2光源の中心をB、前記開口の上流側の縁の位置をC、前記抑制部材の上流側の縁の位置をDとして、角BACと角ABDが等しい検知装置。
前記抑制部材には、前記透過部材の下流側の端部に向けて貫通した貫通孔が形成され、前記透過部材が前記抑制部材における前記貫通孔よりも前記搬送方向の上流側部分に接着剤で固定されている請求項1、2、4のいずれか1項に記載の検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る検知装置及び画像形成装置の一例について説明する。
【0019】
(全体構成)
図1には、画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、カラー画像又は白黒画像を形成するものであり、正面視で左側に配置された第1処理部10Aと、第1処理部10Aと着脱可能とされ右側に配置された第2処理部10Bとを有している。第1処理部10A及び第2処理部10Bの筐体は、複数のフレーム材で構成されている。なお、以下の説明では、画像形成装置10の長さ方向(媒体の一例としての記録媒体Pの搬送方向である副走査方向)をX方向、装置の高さ方向をY方向、装置の奥行き方向(主走査方向)をZ方向ということとする。
【0020】
第1処理部10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0021】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0022】
さらに、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成部の一例としての画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するようにX方向に沿って設けられている。そして、画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40は、第2処理部10Bの上部に設けられた画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを受け取り、この画像データに応じて変調した光ビームLを後述の感光体18(
図2参照)へ照射するように構成されている。
【0023】
図2に示すように、各画像形成ユニット16は、矢印R方向(図示の時計回り方向)に回転駆動される感光体18を有している。各感光体18では、各露光装置40から光ビームLが照射されることにより静電潜像が形成されるようになっている。ここで、露光装置40は、光源(図示省略)から出射された光をポリゴンミラー43で主走査方向に走査すると共に、fθレンズ及び反射ミラーを含む複数の光学部品45によって感光体18の外周面に光ビームLを照射し、露光を行っている。
【0024】
各感光体18の周囲には、感光体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光装置40によって感光体18に形成された静電潜像を現像剤(トナー)で現像する現像装置22と、一次転写後の感光体18に残留する現像剤を除去する除去部材としてのブレード24と、ブレード24による現像剤の除去後の感光体18に光を照射して除電を行う除電装置26とが設けられている。そして、スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、感光体18の表面と対向して、感光体18の回転方向の上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0025】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを感光体18に供給する現像ロール22Bとを含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナー供給路(図示省略)を介してトナーカートリッジ14(
図1参照)と接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0026】
一方、
図1に示すように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、外周面が各感光体18の外周面と接触する環状の中間転写ベルト34と、各感光体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写部材としての一次転写ロール36とを含んで構成されている。
【0027】
中間転写ベルト34は、モータ(図示省略)で駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図示の反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
【0028】
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の感光体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、感光体18に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0029】
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34の外周面に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。また、転写部32の下方には、用紙等の記録媒体が収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。
【0030】
各記録媒体収容部48は、第1処理部10AからZ方向手前側に引き出し自在とされている。また、各記録媒体収容部48の一端側(
図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。さらに、各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1処理部10Aから引き出されると、制御手段(図示省略)の指示によって下降するようになっている。そして、底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0031】
第1処理部10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1処理部10Aに装着すると、底板50が制御手段の指示によって上昇するようになっている。そして、底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。また、送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
【0032】
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで
図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで
図1における右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
【0033】
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。そして、中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
【0034】
また、搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するようにして、第1処理部10Aの左側面から延びる予備経路66が設けられている。そして、第1処理部10Aの左側に隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが、予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
【0035】
一方、第1処理部10Aにおける搬送経路60で転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2処理部10Bに向けて搬送する搬送部の一例としての複数の搬送ベルト70が設けられている。また、第2処理部10Bには、搬送ベルト70で搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送部の一例としての搬送ベルト80が設けられている。
【0036】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70、搬送ベルト80を一方向(
図1における時計回り方向)に循環移動させる。また、搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写された(画像形成された)トナー画像を記録媒体Pに熱と圧力の作用により定着させる定着ユニット82が設けられている。
【0037】
定着ユニット82は、搬送経路60の上側(記録媒体Pの画像形成面側)に配置された定着ベルト84と、搬送経路60を挟んで定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を有している。そして、定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧及び加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0038】
定着ベルト84は、環状に形成されており、上下に配置された駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。また、駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱されるようになっている。
【0039】
定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送部の一例としての搬送ベルト108が設けられている。搬送ベルト108は、搬送ベルト70と同様の構成となっている。また、搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
【0040】
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114とを含んで構成されている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(
図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(
図1における下側)に配置されている。
【0041】
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。また、吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。さらに、第2処理部10Bの裏側(
図1の紙面奥側)には、ヒートシンク122の放熱により生じた熱気を外部へ排出させるためのファン128が設けられている。
【0042】
押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する搬送部の一例としての環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
【0043】
また、搬送経路60上で冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。そして、搬送経路60上で矯正装置140よりも下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥、及び記録媒体Pの位置や形状等を検知する検知装置の一例としてのインラインセンサ200が設けられている。なお、インラインセンサ200については、詳細を後述する。
【0044】
搬送経路60上でインラインセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2処理部10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。一方、記録媒体Pの両面に画像を形成する場合は、インラインセンサ200から送出された記録媒体Pが、インラインセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
【0045】
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1処理部10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス194Cが設けられている。この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1処理部10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0046】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0047】
図1に示すように、まず、画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが各露光装置40に送られる。そして、
図2に示すように、各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各感光体18の外周面に露光し、静電潜像が形成される。さらに、感光体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0048】
続いて、
図1に示すように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体18(
図2参照)に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。そして、中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写ロール62によって二次転写される。さらに、トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2処理部10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0049】
続いて、定着ユニット82では、記録媒体P上の各色のトナー画像が加熱及び加圧されることで記録媒体Pに定着される。そして、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。さらに、湾曲が矯正された記録媒体Pは、インラインセンサ200によって画像欠陥等が検知された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0050】
一方、記録媒体Pの画像が形成されていない側の非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、インラインセンサ200を通過した後に、記録媒体Pが、反転経路194で表裏を反転され、さらに記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0051】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V、16W、露光装置40V、40W、トナーカートリッジ14V、14W、一次転写ロール36V、36W)は、ユーザーの選択により、追加部品として第1処理部10Aに装着又は離脱可能に構成されている。従って、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色及び第2特別色のうちいずれか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
【0052】
次に、インラインセンサ200について説明する。
【0053】
(インラインセンサ200の基本構成)
図3に示すように、インラインセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照射部202と、照射部202から照射され記録媒体Pで反射された光を受光段の一例としてのCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、インラインセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設定された設定部210とを備えている。CCDセンサ204は、記録媒体Pで反射された光を受光すると共に、光の強度に基づいて画像(像)又は記録媒体Pを検知する構成となっている。
【0054】
なお、記録媒体Pからの光とは、記録媒体Pで反射された反射光および記録媒体Pを透過した透過光を含み、より広くは、記録媒体P上に形成された像や記録媒体Pの位置や形状に関する情報を検知することができる光である。また、透過とは、光がウインドウガラス等を通り抜けることのほか、結像レンズ等を光が通り抜けることも含む。さらに、記録媒体Pの検知とは、記録媒体Pの位置、形状を検知することを含む。
【0055】
照射部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、照射手段の一例としてのランプ212を有する。各ランプ212は、Z方向に長手とされたキセノンランプであり、その照射範囲の長さは搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。一対のランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対し対称に配置されている。より具体的には、各ランプ212は、記録媒体Pへの照射角がそれぞれ45°〜50°となるように光軸OAに対し対称に配置されている。
【0056】
詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送方向の上流側に設けられた第1光源の一例としての第1ランプ212Aと、第1ランプ212Aに対して光軸OAを挟んで反対側に設けられた第2光源の一例としての第2ランプ212Bとを備えている。なお、CCDセンサ204とランプ212とを含んで、搬送される記録媒体Pの画像を検知する検知手段の一例としての検知部207が構成されている。
【0057】
結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(この実施形態では記録媒体Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220とを主要部として構成されている。CCDセンサ204は、光軸OAに対し記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
【0058】
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。そして、第1ミラー214、第2ミラー216、及び第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら反射するようになっている。これにより、略円柱状のレンズ220に対し、記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成である。
【0059】
上記構成により、インラインセンサ200では、CCDセンサ204が、結像された光即ち画像濃度に応じた信号を、画像形成装置10の第1処理部10Aに設けられた制御装置192(
図1参照)に出力(フィードバック)するようになっている。制御装置192は、インラインセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正するようになっている。そして、画像形成装置10では、一例として、露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などがインラインセンサ200からの信号に基づいて補正される。
【0060】
また、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224が設けられている。光量絞り部224は、光路をZ方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向(主走査方向との交差方向)に絞ると共に、外部から操作することで光量絞り量を調整可能に構成されている。光量絞り部224による光量絞り量は、経時により各ランプ212の発光量が変化しても、CCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量となるように調整されるようになっている。
【0061】
一方、設定部210は、Z方向に長手の基準ロール226を備えている。基準ロール226は、記録媒体Pの画像検出を行う際に搬送経路60側に向けられる検出基準面228と、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検知を行わない場合に搬送経路60側に向けられる退避面230と、白色基準面232と、多色のパターンが長手方向に沿って形成されたカラー基準面234と、複数の検査パターンが形成された複合検査面236とを有する。この実施形態では、基準ロール226は、周方向に8面以上の面が形成された多角形筒状に形成されている。そして、検出基準面228、退避面230、カラー基準面234、複合検査面236は各一面だけ設けられ、白色基準面232は2面設けられている。
【0062】
また、基準ロール226は、回転軸226A周りに回転することで、搬送経路60側を向ける面を切り替える構成とされている。この基準ロール226の面の切替は、後述する回路基板262に設けられた制御回路(図示省略)によって行われるようになっている。さらに、基準ロール226は、八角形以上の多角形筒状に形成されることで、各面の周方向中央と面間の角部との回転中心に対する距離差が小さく抑えられている。これにより、基準ロール226の各面と各ランプ212の照射位置(後述するウインドウガラス286)との距離を小さく抑えながら、基準ロール226の面間の角部が照射部202と干渉しない構成とされている。
【0063】
検出基準面228は、周方向の幅が他の面よりも小で、且つ記録媒体Pの搬送方向におけるウインドウガラス286の幅よりも小とされており、その周方向両側の面は、上記した各基準としての機能を有しない案内面238とされている。また、検出基準面228は、搬送される記録媒体Pの被検出(被読み取り)面を各ランプ212による照射位置に位置決めする位置基準面とされている。
【0064】
退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検知を行わない場合に、記録媒体Pを案内する案内面であり、検出基準面228よりも回転軸226Aの軸心からの距離が小とされている。これにより、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検知を行わない場合には、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検知を行う場合よりも、照射部202(ウインドウガラス286)との間隔が広い搬送経路が形成されるようになっている。
【0065】
白色基準面232は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準の白色フィルムが貼着されて構成されている。カラー基準面234は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、各色に応じて基準色のパターンが施されたフィルムが貼着されて構成されている。
【0066】
図6に示すように、複合検査面236は、基準ロール226の回転方向(記録媒体Pの搬送方向)の位置をキャリブレーションするための位置調整パターン240と、フォーカス検出パターン242と、深度検出パターン244とが同一面に配置されて形成されている。
【0067】
位置調整パターン240は、黒色の「N」字のパターンが、該「N」字の縦線が記録媒体Pの搬送方向に沿うように形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。フォーカス検出パターン242は、記録媒体Pの搬送方向に沿った黒色の直線が多数並列された如きラダーパターンが形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。
【0068】
深度検出パターン244は、基準ロール226の回転軸226A(
図2参照)からの距離が異なる3つの白色面244A、244B、244Cが、複合検査面236の長手方向に階段状に配列されたパターンで構成されており、このパターンが形成されたシート材を貼着することで形成されている。
【0069】
ここで、位置調整パターン240は、複合検査面236の長手方向の両端に少なくとも1つずつ設けられている。また、フォーカス検出パターン242は、上記両端に配置された位置調整パターン240に対する複合検査面236の長手方向中央側に隣接するように配置されている。深度検出パターン244は、複合検査面236の長手方向の両端側と、中央部とに計3つ設けられている。この実施形態では、中央に配置された深度検出パターン244と長手方向一端に配置された深度検出パターン244との間に、さらに位置調整パターン240、フォーカス検出パターン242が各1つ配置されている。
【0070】
次に、CCDセンサ204のキャリブレーションの手順について説明する。
【0071】
図3において、先ず、白色基準面232を記録媒体Pの搬送経路60に向ける。そして、CCDセンサ204は、Z方向(主走査方向)の光量分布を補正するシェーディング補正信号を出力する。続いて、複合検査面236が記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターン240(
図6参照)により、記録媒体Pの搬送方向のCCDセンサ204による検知位置が自動的に調整される。即ち、「N」字のパターンをZ方向(主走査方向)に横切って検知することで、
図6に示すように、2つの直線部240A、240C間に斜線部240Bが検出される。そして、直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように基準ロール226が回転され、検出位置が調整される。
【0072】
続いて、記録媒体Pの搬送方向の検出位置が調整された後に、フォーカス検出パターン242(
図6参照)によりCCDセンサ204の焦点が確認されると共に、深度検出パターン244により、照射深度が確認される。さらに、カラー基準面234が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。そして、CCDセンサ204は、各色において、予め定められた強度の信号が出力されるように、自動的に調整される。
【0073】
なお、上記した如くCCDセンサ204のキャリブレーションは、一例として画像形成装置10の電源投入時(1回/日程度)に行われる。一方、CCDセンサ204の信号に基づく画像形成装置10のキャリブレーションは、一例として予め定められた量以上の記録媒体Pに画像を形成したジョブの終了毎(10回/日程度)に行われる。
【0074】
(インラインセンサ200の分割構造)
図3に示すように、上記したインラインセンサ200は、照射部202を主要部とするセンターユニット246と、結像部208を主要部とするアッパユニット248と、設定部210を主要部とするロアユニット250とに3分割可能な構造とされている。
【0075】
アッパユニット248は、画像形成装置10の第2処理部10B(
図1参照)に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。センターユニット246は、アッパユニット248に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。ロアユニット250は、センターユニット246及びアッパユニット248に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。なお、記録媒体Pの搬送経路60の下側に配置されるロアユニット250は、記録媒体Pのつまりを解消するために第2処理部10BからZ方向手前側に引き出される下側ドロワ(図示省略)に支持されており、この下側ドロワの出し入れに伴って、センターユニット246及びアッパユニット248に対し脱着されるようになっている。以下、各構成を具体的に説明する。
【0076】
(アッパユニット248の構成)
アッパユニット248は、アッパハウジング254を備えている。アッパハウジング254は、結像部208及び後述する回路基板262を収容すると共に冷却用のダクト265等を構成している。アッパハウジング254は、CCDセンサ204、結像光学系206を収容した結像系ハウジング256を有して構成されている。
【0077】
結像系ハウジング256は、Z方向から見てX方向に長手の略矩形箱状に形成されており、該X方向の一端部(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向上流側の端部)にCCDセンサ204を収容している。また、結像系ハウジング256におけるX方向の他端部には、第2ミラー216、第3ミラー218が配置されている。そして、結像系ハウジング256におけるX方向の略中央部には、光軸OAに沿って光が入射される窓部256Aが形成されている。結像系ハウジング256には、窓部256Aが光透過性のウインドウガラス258にて閉止されることで、内部が密閉(気密)の空間とされると共にCCDセンサ204等が収容される光学室205が設けられている。
【0078】
また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を上方から覆うアッパカバー260を備えている。これにより、結像系ハウジング256の上壁256Uとアッパカバー260との間に回路基板262が収容される基板室264が形成されている。また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256におけるCCDセンサ204が配置された側であるX方向一端部の外側にダクト265を形成するダクトカバー268を備えている。ダクトカバー268は、結像系ハウジング256の上記端部を記録媒体Pの搬送方向上流側及び下流側から覆って、X−Y断面形状が「L」字状であるダクト265を形成している。
【0079】
ダクト265の上端は、空気取入口266Aとされており、ダクト265の空気取入口266Aと反対側の端部は、後述するランプハウジング284のダクト308に接続される接続口266Bとされている。ダクト265には、該ダクト265内を上側から下側に向かう気流を生じさせるファン270が配置されている。また、ダクト265には、結像系ハウジング256に設けられた光学室205に空気を送り込む(光学室205内を正圧にする)ファン272が配置されている。さらに、ダクト265には、基板室264に空気を送り込むファン274(
図4参照)が設けられている。
【0080】
さらに、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を第2ミラー216、第3ミラー218側から覆うカバー275を備えている。カバー275は、結像系ハウジング256との間に断熱空間276を形成している。そして、アッパハウジング254には、Z方向に長手とされたスライダ278が設けられている。この実施形態では、矢印X方向に並列して一対のスライダ278がアッパカバー260に設けられている。各スライダ278は、第2処理部10Bのフレーム(図示省略)に設けられたレールに嵌合可能となっている。これにより、各スライダ278は、レールに案内されつつ移動し、アッパユニット248が第2処理部10Bに対しZ方向に移動されるようになっている。
【0081】
(センターユニット246の構成)
図3に示すように、センターユニット246は、一対のランプ212を収容するランプハウジング284と、ランプ212から記録媒体Pに向けて照射される光が透過する透過部材の一例としてのウインドウガラス286と、ウインドウガラス286を支持する支持部材の一例としての支持カバー280とを有している。
【0082】
ウインドウガラス286は、記録媒体Pの搬送経路60とランプ212との間に配置され、搬送経路60と対向して設けられている。また、支持カバー280は、記録媒体Pの搬送方向で上流側に配置される第1ウインドウカバー288と、下流側に配置される第2ウインドウカバー289とを含んで構成されている。そして、ランプハウジング284は、上下に開口する箱状を成しており、上側の開口端がアッパハウジング254にて閉止されると共に、下側の開口端が第1ウインドウカバー288及び第2ウインドウカバー289にて閉止されている。
【0083】
そして、照射部202では、各ランプ212が発した光はウインドウガラス286を通じて記録媒体Pに照射され、記録媒体Pにて反射された光はウインドウガラス286を通じて光軸OAに沿ってランプハウジング284内に入射されるようになっている。ランプハウジング284に入射された記録媒体Pからの反射光は、結像部208を構成する結像系ハウジング256のウインドウガラス258を通じて該結像部208内に導かれる構成とされている。
【0084】
ランプハウジング284は、上側の開口縁から矢印X方向にフランジ状に張り出されZ方向に長手の一対のスライダ290を備えている。スライダ290は、アッパハウジング254に形成されたレール292に嵌合されている。これにより、各スライダ290は、レール292に案内されつつ移動し、ランプハウジング284がアッパハウジング254(アッパユニット248)に対しZ方向に着脱されるようになっている。
【0085】
支持カバー280は、第1ウインドウカバー288と第2ウインドウカバー289とを有しており、自らのエッジ及びウインドウガラス286のエッジが記録媒体Pの搬送方向の上流側を向くことのないように構成されている。ウインドウガラス286は、第1ウインドウカバー288と第2ウインドウカバー289とで形成された開口の一例としての窓部288Aを閉止する(塞ぐ)姿勢で、長手方向の両端が板バネ334(
図7参照)によって第1ウインドウカバー288に押し付けられている。即ち、ウインドウガラス286は、第1ウインドウカバー288及び第2ウインドウカバー289に対し着脱可能に構成されている。なお、支持カバー280へのウインドウガラス286の取付構造の詳細については後述する。
【0086】
また、支持カバー280は、ランプハウジング284に対し着脱可能とされている。具体的には、支持カバー280は、X−Y断面形状が上向きに開口する「コ」字状とされており、該開口縁部に一対のスライダ298が設けられている。スライダ298は、ランプハウジング284に形成されたレール300に嵌合されている。これにより、各スライダ298は、レール300に案内されつつ移動し、支持カバー280が、ランプハウジング284に対しZ方向に着脱されるようになっている。以上により、インラインセンサ200では、支持カバー280の単品での交換や清掃が可能とされている。
【0087】
図示は省略するが、センターユニット246とアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。また、アッパユニット248と第2処理部10B(
図1参照)の筐体とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。
【0088】
(ロアユニット250の構成)
図3に示すように、ロアユニット250は、基準ロール226及び該基準ロール226を駆動するモータ(図示省略)を収容するロアハウジング302を備えている。ロアハウジング302は、上記の通り下側ドロワによって支持されており、該下側ドロワにZ方向の位置が決められている。また、ロアユニット250とセンターユニット246及びアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Yの各方向に位置決めされるようになっている。これにより、センターユニット246との間に記録媒体Pの搬送経路60が位置するロアユニット250の、センターユニット246及びアッパユニット248に対するX、Y、Zの各方向の位置が決まる構成である。
【0089】
(迷光対策)
図3に示すように、ランプハウジング284内には、一対のランプ212(212A、212B)の上方で光軸OAを囲むようにバッフル304が設けられている。
図3に示すように、バッフル304は、一対の側壁304Sと底壁304Bとを少なくとも有して構成されている。この実施形態では、一対の側壁304Sは、Z方向に対向する前後一対の壁(図示省略)にて連結されている。また、底壁304Bには、光軸OAが入射される下側窓304Wが形成されている。そして、バッフル304の上側開口端は、結像系ハウジング256の窓部256Aを囲んでいる。したがって、光軸OAに沿って進む光は、バッフル304内を経由して結像部208に入射される。
【0090】
バッフル304は、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに至らないように寸法形状が設定されている。即ち、下側窓304Wは、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに直接的に至らないように開口縁の位置が設定されている。また、側壁304Sは、各ランプ212の背面側から照射された光が1回反射しても窓部256Aに至らないように光軸OAに対する傾斜角が設定されている。
【0091】
一方、結像系ハウジング256内には、結像光学系206による導光路以外の部分を仕切る複数の仕切壁306が配置されている。各仕切壁306は、記録媒体Pで反射された光の拡散角に応じて、記録媒体Pで反射された拡散光をY方向及びZ方向に絞らない限度で光通過部の大きさ(上限)が決められた開口306Aを有している。
【0092】
(エアフロー)
図3に示すように、ランプハウジング284内には、一方(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向の上流側)の側壁304Sとランプハウジング284の周壁とでダクト308が形成されている。ダクト308の上側開口端は、ランプハウジング284がアッパハウジング254に装着された状態で、接続口266Bを通じてダクト265に接続される。これにより、ファン270の作動によって生じた空気流がランプハウジング284内にも生じる構成とされている。
【0093】
ランプハウジング284の周壁におけるX方向においてダクト308側と反対側に位置する部分には、空気排出口310が形成されている。従って、ダクト265からの空気流は、ランプハウジング284内で、該ランプハウジング284の周壁及び支持カバー280によって案内されつつ、記録媒体Pの搬送方向の上流側の第1ランプ212A、同下流側の第2ランプ212Bを経由して流れ、空気排出口310を通じてランプハウジング284の外部に排出されるようになっている。
【0094】
また、ダクト308を構成する側壁304Sの下端からは、第1ランプ212Aの背面側から照射された光が下側窓304Wに至るのを抑制するための張出部312が張り出している。張出部312の張り出し量は、一対のランプ212への空気流による該一対のランプ212の冷却効果が同等になるように設定されている。
【0095】
(光量絞り部)
図3に示すように、光量絞り部224は、側壁224S、上壁224U、及び下壁224Lを有し、X−Y断面形状が、第3ミラー218側に開口する断面「コ」字状とされている。この光量絞り部224の側壁224Sには、略矩形状の開口部314が形成されている。また、上壁224Uの自由端部からはリブ316が垂下されている。これにより、光量絞り部224は、開口部314の下縁314Lと、リブ316の下端316Lとで、記録媒体Pからの光を切り、Y方向に光量を絞る構成とされている。
【0096】
光量絞り部224の長手方向一端は、結像系ハウジング256の手前側の壁に至っており、該光量絞り部224の長手方向一端には、壁に形成された操作孔を通じて調整レバー(図示省略)が取り付けられている。そして、光量絞り部224は、この調整レバーの操作に伴って回転し、最も光量を絞った初期位置から徐々に絞り量を減じる姿勢に移動されるようになっている。
【0097】
(詰まり抑制構造)
図5に示すように、センターユニット246(照射部202)とロアユニット250(設定部210)との間の搬送経路60は、記録媒体Pの搬送方向下流側に向けて位置が高くなる構成とされている。そして、第1ウインドウカバー288及びロアハウジング302は、それぞれの角部に面取り又はアール加工が施されている。これによりインラインセンサ200におけるウインドウガラス286よりも上流側の位置には、記録媒体Pの搬送方向の上流側を向く誘い込み部である入口シュート320が形成されている。
【0098】
入口シュート320の上部を成すアッパシュート320Uは、下向きに凸の滑らかな曲面で構成されている。ここで、基準ロール226の検出基準面228が記録媒体Pの搬送経路60側を向く状態におけるZ方向から見て、該検出基準面228の延長線をILとすると、アッパシュート320Uは、延長線ILと干渉する(アッパシュート320Uの突出端が延長線ILの下側に位置する)ように寸法形状が設定されている。
【0099】
入口シュート320の下部を成すロアシュート320Lは、ロアハウジング302の開口端から内向きに延びるフランジ302Fに固定したロアシュート部材324によって、基準ロール226に近接されている。そして、ロアシュート部材324における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部324Aとされている。
【0100】
凸部322における記録媒体Pの搬送方向下流側部分とロアハウジング302との間には、出口シュート326が形成されている。出口シュート326の下部を成すロアシュート326Lは、ロアハウジング302の開口端から外向きに延びるフランジ302Fにロアシュート部材328を固定して構成されている。そして、ロアシュート部材328における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部328Aとされている。
【0101】
また、基準ロール226の検出基準面228は、CCDセンサ204により画像を検出する際には、ウインドウガラス286と略平行となる姿勢で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。この検出基準面228の両側に設けられた各案内面238は、入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0102】
一方、基準ロール226の退避面230は、CCDセンサ204により画像を検出しない場合に、記録媒体Pの搬送方向の下流側ほどウインドウガラス286に近づく姿勢(非平行な姿勢)で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。また、退避面230は、ロアシュート部材324のアール部324Aから出口シュート326の近傍まで延びる幅広面とされており、上記の姿勢で入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0103】
(インラインセンサ200の作用)
図3に示すように、インラインセンサ200は、照射部202と設定部210との間を通過する記録媒体Pに対し、一対のランプ212により光を照射する。そして、記録媒体Pで反射された光は、光軸OAに沿って結像部208に導かれ、該結像部208の結像光学系206によってCCDセンサ204に結像される。続いて、CCDセンサ204は、画像の位置毎の画像濃度に応じた信号を画像形成装置10の制御装置192(
図1参照)に出力する。そして、制御装置192では、CCDセンサ204からの信号に基づいて画像濃度、画像形成位置などが補正される。
【0104】
一方、インラインセンサ200を構成するCCDセンサ204のキャリブレーションの際には、まず、ロアユニット250のモータが作動して白色基準面232が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。そして、CCDセンサ204は、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0105】
続いて、複合検査面236(
図6参照)が記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターン240(
図6参照)の直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように、CCDセンサ204の検出位置が調整される。この後、CCDセンサ204は、フォーカス検出パターン242によりフォーカスの状態が確認される。また、深度検出パターン244により照射深度が確認される。さらに、カラー基準面234(
図6参照)が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。そして、CCDセンサ204は、各色において、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0106】
(要部構成)
次に、支持カバー280へのウインドウガラス286の取付構造の詳細について説明する。
【0107】
図7に示すように、ウインドウガラス286は、支持カバー280で支持されている。具体的には、ウインドウガラス286のX方向の一端部が、第1ウインドウカバー288によって下側(記録媒体P側)から支持されており、X方向の他端部が、第2ウインドウカバー289によって記録媒体Pの搬送方向の下流側から上流側へ向けて側方から支持されている。また、ウインドウガラス286のZ方向の両端部は、板バネ334によってそれぞれ押さえ付けられている。さらに、ウインドウガラス286のX方向の他端部上方(記録媒体Pの搬送方向の下流側で且つ窓部288A(
図5参照)よりも外側の領域)には、記録媒体Pの搬送方向におけるウインドウガラス286の下流側の端部がランプ212側(
図3参照)に移動するのを抑制する抑制部材の一例としての規制部材336が設けられている。
【0108】
規制部材336は、1枚の板材が短手方向の中央部分で直角に折り曲げられ、且つ短手方向の一端部が逆方向に直角に折り曲げられた形状の部材であり、平坦部336Aと、平坦部336Aに対して垂直に立てられた壁部336Bと、前述のスライダ298とを有している。そして、規制部材336は、ウインドウガラス286の他端部(X方向の一端部)を平坦部336Aが覆うようにして、第2ウインドウカバー288の上面に取り付けられている。
【0109】
図8に示すように、板バネ334は、ネジ332によって第1ウインドウカバー288及び第2ウインドウカバーの端部の底面に固定される矩形状の取付部334Aと、取付部334AからZ方向に張り出されると共に先端が下側に向けてへ字状に折り曲げられた第1付勢部334Bと、取付部334AのX方向の一端が垂直に折り曲げられて形成されると共に先端がウインドウガラス286に向けてへ字状に折り曲げられた第2付勢部334Cと、を有している。なお、板バネ334は、Z方向の一端側(手前側)と他端側(奥側)とで同様の構成となっているため、
図8では、一端側の板バネ334のみを図示し、他端側の板バネ334の図示を省略している。
【0110】
図9に示すように、第2ウインドウカバー289は、底部が平面視でコ字状の板材で構成されており、この底部は、X方向で第1ウインドウカバー288と対向する支持側面289Aと、Z方向で対向する支持側面289B、289Cとを含んで構成されている。なお、支持側面289Aは、窓部288Aの一部を形成している。また、
図9では、板バネ334及び規制部材336の図示を省略している。
【0111】
ウインドウガラス286は、Z方向を長手方向、X方向を短手方向として支持カバー280内に配置されており、X方向の一方の側面が支持側面289A(図示の手前側)と接触すると共に、Z方向の一方の側面が支持側面289B(図示の手前側)と接触して位置決めされている。この位置決め状態において、ウインドウガラス286は、
図8に示すように、板バネ334の第1付勢部334Bで下向きに付勢されると共に、第2付勢部334Cで第2ウインドウカバー289に向けて付勢されることで、支持カバー280に固定されている。
【0112】
図10には、支持カバー280及びウインドウガラス286を
図7の一点鎖線A−A´で切った断面部分が斜視図で示されている。支持カバー280において、第1ウインドウカバー288は、X方向(記録媒体Pの搬送方向)におけるウインドウガラス286の上流側の端部を窓部288Aの上流側の部分で記録媒体P側から支持している。また、第2ウインドウカバー289は、窓部288Aの縁部のうち下流側の部分(支持側面289A)をウインドウガラス286の底面よりもランプ212A、212B側(
図5参照)に位置させている。
【0113】
規制部材336の平坦部336Aには、ウインドウガラス286のX方向下流側の端部に向けて貫通した貫通孔338が形成されている、そして、この貫通孔338からウインドウガラス286と平坦部336Aとの隙間339に接着剤Sが充填され固化されることで、ウインドウガラス286が、規制部材336における貫通孔338よりも上流側部分に固定されている。
【0114】
一方、第1ウインドウカバー288は、Z方向の両端部(記録媒体Pが通過する領域よりも外側の領域部分)がX方向下流側へ向けて突出され、平板状の突出部288Bが形成されている。そして、第1ウインドウカバー288の突出部288Bと第2ウインドウカバー289との隙間には、窓部288Aの縁部よりも搬送方向における下流側の部分(第2ウインドウカバー289)の底面と、ウインドウガラス286の底面との段差を確保するための段差部材の一例としてのスペーサ344が設けられている。また、突出部288Bは、ウインドウガラス286の両端部の底面及び第2ウインドウカバー289の底面の一部を覆っており、ウインドウガラス286を上方から見て視認可能な部位に、コ字状の切欠部288Cが形成されている。この切欠部288Cの内側には、白基準板340が配置されている。
【0115】
白基準板340は、CCDセンサ204(
図3参照)のキャリブレーションに用いられるものであり、切欠部288Cを下側から覆うようにして支持プレート342が第1ウインドウカバー288の突出部288Bに接着固定されることで、ウインドウガラス286と支持プレート342との間に挟まれるようになっている。なお、
図10では、白基準板340の端部が露出した状態となっているが、埃等の侵入を防ぐために、切欠部288Cに換えて矩形状の孔部を形成しておき、白基準板340を配置した後、支持プレート342を固定する構成としてもよい。
【0116】
図11には、支持カバー280及びウインドウガラス286を
図7の一点鎖線B−B´で切った断面図が示されている。ここで、照射部202では、Z方向から第1ランプ212A及び第2ランプ212Bを見て、第1ランプ212Aの中心をA、第2ランプ212Bの中心をB、窓部288Aの上流側の縁の位置をC、
規制部材336の上流側の縁の位置をDとして、角BAC(角度θ1)と角ABD(角度θ2)とが等しくなる位置に、第1ランプ212A、第2ランプ212Bが配置されている。
【0117】
また、照射部202では、Y方向における第2ウインドウカバー289の厚さをd1、ウインドウガラス286の厚さをd2、スペーサ344の厚さをd3として、d3<d2<(d1+d3)の不等式が成立するように、予め各部材の厚さが決められている。その結果、記録媒体Pが支持カバー280の窓部288Aの下流側の縁部には接触しなくなるので、記録媒体Pが引っ掛からなくなる。さらに、ウインドウガラス286よりも内側(支持カバー280内)の防塵効果を得ることが可能となる。
【0119】
図13には、比較例の照射部400の断面図(X−Y面)が示されている。照射部400は、本実施形態の照射部202(
図11参照)において、支持カバー280に換えて支持カバー402を有している構成が異なっており、スペーサ344は有していない。なお、照射部202と同様の部材については説明を省略する。
【0120】
支持カバー402は、断面(X−Y面)がコ字状であり、底部に矩形状の開口404が形成されている。そして、開口404の縁部上にはウインドウガラス286が接着により固定されている。このため、比較例の照射部400では、記録媒体Pの搬送方向における開口の上流側の縁部及び下流側の縁部が、ウインドウガラス286の底面よりも下側に配置された構成となっている。
【0121】
また、照射部400では、Z方向から第1ランプ212A及び第2ランプ212Bを見て、第1ランプ212Aの中心点を点A、第2ランプ212Bの中心点を点B、開口404の上流側の縁の位置を点E、開口404の下流側の縁の位置を点Fとして、角BAE(角度θ3)と角ABF(角度θ4)とが異なっている。
【0122】
ここで、照射部400では、開口404の下流側の端面がウインドウガラス286の底面よりも下側にあるため、この部位が段差となり、搬送されてきた記録媒体Pの先端が開口404の下流側の端面と接触することになる。これにより、開口404と接触した記録媒体Pは、折れ曲がり、あるいはジャム状態となってしまう。また、照射部400では、ウインドウガラス286の底面に記録媒体Pが接触し、ウイン胴ガラス286に上向きの応力が作用したとき、ウインドウガラス286の移動を規制する部材が無いので、ウインドウガラス286が外れてしまう場合がある。
【0123】
さらに、照射部400では、角度θ3と角度θ4が異なる位置に第1ランプ212A、第2ランプ212Bが配置されているので、記録媒体Pの画像を読み取る位置において、第1ランプ212Aから照射される光の強度分布と、第2ランプ212Bから照射される光の強度分布とが異なって偏りが生じ、記録媒体Pで反射した画像の強度分布に誤差が生じることになる。
【0124】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0125】
図12に示すように、本実施形態の照射部202では、支持カバー280における窓部288Aの縁部のうち、下流側の部分がウインドウガラス286の底面よりも第1ランプ212A、212B側に位置しているため、この窓部288Aの下流側の部分(端面)が記録媒体Pの搬送経路60(
図3参照)側に露出しない。これにより、搬送されてきた記録媒体Pの先端は、ウインドウガラス286の底面に接触することはあっても、支持カバー280の窓部288Aの縁部には接触しなくなるので、記録媒体Pが引っ掛からなくなる。なお、ウインドウガラス286の上流側の端部は、第1ウインドウカバー288によって下側から支持されているため、ウインドウガラス286の上流側の端面に記録媒体Pが接触することはない。
【0126】
また、照射部202では、ウインドウガラス286の底面に記録媒体Pが接触し、ウイン胴ガラス286に上向きの応力が作用したとき、規制部材336があるため、ウインドウガラス286の上方への移動が規制される。ここで、照射部202では、規制部材336に形成された貫通孔338から規制部材336とウインドウガラス286との隙間へ接着剤を充填して固化しているので、ウインドウガラス286の下流側の端部への接着剤の塗布作業が簡単になる。
【0127】
さらに、
図11に示すように、照射部400では、角度θ1と角度θ2が等しくなる位置に第1ランプ212A、第2ランプ212Bが配置されているので、記録媒体Pの画像を読み取る位置において、第1ランプ212Aから照射される光の強度分布と、第2ランプ212Bから照射される光の強度分布とが均等となり、光の強度分布の偏りが小さくなる。
【0128】
加えて、Y方向における第2ウインドウカバー289の厚さd1、ウインドウガラス286の厚さd2、スペーサ344の厚さd3が、d3<d2<(d1+d3)の不等式が成立するように、予め決められているので、第1ウインドウカバー288の上面にスペーサ344が設けられていない構成に比べると、第1ウインドウカバー288の剛性が高くなる。
【0129】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0130】
画像の検出手段として、CCDセンサ204に換えて、接触式のセンサを用いてもよいし、ウインドウガラス286はそのままに、CCDセンサ204を含む光学センサ部を接触式のセンサを用いる構成としてもよい。また、第2ウインドウカバー289によるウインドウガラス286の側方からの支持部位は、Z方向の全体に限らず、Z方向で複数箇所に分かれていてもよい。また、本実施例では、記録媒体Pの表面側から光を当てたが、光を透過する記録媒体P等を用いる場合には、記録媒体Pの裏面側から光を当ててもよい。