(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態]
(画像形成装置全体の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す。この図では、画像読取装置1の外観、及び画像読取装置1の下側に配置された本体部100Aの内部構造を示している。
【0016】
この画像形成装置100は、原稿9から画像を読み取る画像読取装置1と、画像を記録媒体としての用紙30に印刷する画像形成部2と、画像形成部2に用紙30を供給するトレイ部3とを備えて構成されている。画像読取装置1は、画像形成部2及びトレイ部3を収容する本体部100Aとの間に印刷された用紙が排出される空間を形成するように、支持部4によって本体部100Aの上側に支持されている。
【0017】
画像読取装置1の筐体12の前面にあたる前壁121の上部には操作部として、ユーザーに操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに提示した操作メニューに対する各種設定等を受け付けるタッチパネル111、及び複数の操作ボタン112を有するコントロールパネル110が設けられている。また、操作ボタン112のいずれかに原稿9が薄紙である場合にユーザーによって操作される薄紙対応ボタン112aを有する。なお、薄紙対応ボタン112aは、タッチパネル111に設けてもよい。
【0018】
また、コントロールパネル110の上側には、筐体12に対して開閉可能な原稿カバー10が配置されている。原稿カバー10には、給紙トレイ101aに置かれた原稿9を原稿読取位置に搬送し、読み取り後の原稿9を排紙台101bに排出する自動給紙部101が設けられている。
【0019】
画像形成部2は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20にイエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナー画像を転写する第1乃至第4の画像形成ユニット25Y,25M,25C,25Kと、画像情報に基づいて変調されたレーザー光を第1乃至第4の画像形成ユニット25Y,25M,25C,25Kに照射する光学走査装置250とを備えている。
【0020】
第1の画像形成ユニット25Yは、感光ドラム251と、感光ドラム251の表面を一様に帯電する帯電器252と、感光ドラム251の表面に光学走査装置250によって形成された静電潜像をトナーで現像してトナー画像を形成する現像器253と、中間転写ベルト20を感光ドラム251に押し付ける一次転写ローラ254とを有している。第2乃至第4の画像形成ユニット25M,25C,25Kも第1の画像形成ユニット25Yと同様に構成されている。
【0021】
中間転写ベルト20は、図示しないモーターに連結された駆動ローラ21によって駆動され、第1の従動ローラ22、第2の従動ローラ23、及び中間転写ベルト20に張力を付与するテンションローラ24によって形成される循環経路に沿って回転する。
【0022】
また、画像形成部2は、中間転写ベルト20を挟んで第2の従動ローラ23と対向する位置に配置された二次転写ローラ26と、ヒーターを内蔵した定着ローラ271及び定着ローラ271に向かって加圧された加圧ローラ272を有する定着ユニット27と、定着ユニット27を通過した用紙30を排出台29に排出する排出ローラ28とを備えている。
【0023】
トレイ部3は、向きや大きさ、あるいは紙質等の異なる用紙30をそれぞれ格納し、上下方向に並んで配置された第1乃至第3のトレイ31〜33を有している。
【0024】
また、トレイ部3は、第1乃至第3のトレイ31〜33のそれぞれに対応して、格納された用紙30を取り出すためのピックアップローラ34A,34B,34Cと、複数の用紙30が取り出された場合にそれらを分離する分離ローラ35A,35B,35Cと、用紙30をさらに下流側へ搬送するレジローラ36A,36B,36Cとを備えている。レジローラ36A,36B,36Cは、画像形成部2による画像形成のタイミングに同期して動作し、第1乃至第3のトレイ31〜33から取り出した用紙30を用紙搬送路37に沿って二次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に導くように構成されている。
【0025】
この画像形成装置100は、各トレイ31〜33にサイズや向きが異なる用紙30が格納されている場合に、各トレイ31〜33から供給された用紙30の中心が搬送路37の中心とほぼ一致するように、上記各ローラによって用紙30が搬送され、排出ローラ28から排出台29上に排出されるように構成されている。
【0026】
(画像読取装置の構成)
図2は、画像読取装置1の内部構造を示す概略図である。画像読取装置1は、自動給紙部101の給紙トレイ101aに置かれた原稿9を排紙台101bに搬送しながら読み取る第1の読取モードと、原稿台72の上に置かれた1枚の原稿9を読み取る第2の読取モードとを、ユーザーの操作に応じて切り替え可能となっている。
図2は、第1の読取モードにおける原稿読み取り時の状態を示している。
【0027】
原稿カバー10に設けられた自動給紙部101は、給紙トレイ101aに置かれた原稿9から1枚ずつ取り込む原稿給紙ローラ61、原稿給紙ローラ61によって取り込まれた原稿9を原稿読取位置に搬送する原稿搬送ローラ62〜65、及び原稿9を排紙台101bに排出する排出ローラ66から構成される原稿搬送機構を有している。また、自動給紙部101は、原稿9を読取位置にガイドするとともに読取位置から排出方向にガイドする円弧状の読取ガイド67、読取窓71の上方であって読取ガイド67に設けられて原稿9の裏当てとなる板状の正反射板68、原稿9の副走査方向のサイズを検知するセンサS
p1、原稿9の主走査方向のサイズを検知するセンサS
p2、原稿9の照射ランプ141が発する光に対する光の透過率を検知するセンサS
p3を有する。
【0028】
また、原稿給紙ローラ61、原稿搬送ローラ62、63a、63b、64、65及び排出ローラ66は、それぞれモーターによって駆動される。
【0029】
駆動ローラである原稿搬送ローラ63bは、
図2に示すように、駆動モーター等を駆動源として、図の正回転方向R
aと逆回転方向R
bの双方向に回転可能となっている。従動ローラである原稿搬送ローラ63aは、原稿搬送ローラ63bに圧接した状態で、当該原稿搬送ローラ63bの回転にしたがって回転するものである。その際、原稿搬送ローラ63bの回転方向に対して原稿搬送ローラ63aの回転方向は反対方向になる。
【0030】
原稿搬送ローラ63a、63bは、後述するように、原稿9を突き当てることで撓ませ、搬送される原稿9を搬送方向に対して傾き補正(以下、「スキュー補正」という。)を行う。
【0031】
正反射板68は、後述する照射ランプ141から発せられる光を、CCD161の検知可能な光の強度の上限値(白色上限値)となるような反射率で反射するものである。正反射板68は、鏡面仕上した金属板や、銀(Ag)あるいはアルミ(Al)蒸着を施したフィルム板等を用いることができる。
【0032】
画像読取装置1は、筐体12の内部に、主走査方向に沿って配置され、副走査方向に移動可能な第1のキャリッジ14及び第2のキャリッジ15と、レンズ160及びCCD(Charge Coupled Device)161等を有する画像読取部16とを備えている。
【0033】
筐体12は、原稿カバー10に面する上壁122の一部が開口した箱状であり、上壁122に対向する底壁123、底壁123を挟んで副走査方向(
図2の左右方向)に対向する側壁124及び側壁125、前述の前壁121(
図1参照)、及び前壁121と主走査方向(
図2の紙面に直交する方向)に対向する後壁126とを有している。
【0034】
上壁122には、原稿9の原稿読取位置に対応する部位に開口部122aが形成され、開口部122aには第2の読取モード時に原稿9を支持するプラテンガラスからなる原稿台72が配置されている。また、原稿台72の自動給紙部101側には、第1の読取モード時に原稿9を読み取るためのプラテンガラスからなる読取窓71が設けられている。読取窓71と原稿台72との間には、第1の読取モードにおいて原稿9を案内するためのガイド73が設けられている。
【0035】
後壁126には、副走査方向に延びる第1のレール131が固定されている。また、底壁123には、副走査方向に延びる第2のレール132が固定されている。第1のレール131及び第2のレール132は、主走査方向に並ぶようにそれぞれ2つずつ配置されているが、
図2ではそれらの一方のみを図示している。
【0036】
第1のキャリッジ14には、第1のキャリッジ14に沿って主走査方向に延びるように設けられ、原稿9を照射するための光を発する円柱状の照射ランプ141と、照射ランプ141からの出射光の一部を原稿9の方向へ反射する反射部材としてのリフレクタ143と、原稿9の反射光を受ける第1のミラー146とが固定されている。また、照射ランプ141は、正反射板68方向及びリフレクタ143方向に光を発する。
【0037】
第1のキャリッジ14は、第1のレール131に案内されて、副走査方向に移動しながら原稿9の読取対象領域を照射し、第1のミラー146によって、原稿9の反射光を後述する第2のキャリッジ15の第2のミラー151に向けて反射する。
【0038】
第2のキャリッジ15には、前述の第1のミラー146からの反射光を受ける第2のミラー151と、この第2のミラー151からの反射光を受ける第3のミラー152とが固定されている。
【0039】
第2のキャリッジ15は、第2のレール132に案内されて副走査方向に移動しながら、原稿9の反射光を画像読取部16のレンズ160に向けて反射する。
【0040】
第2の読み取りモードでは、第1のキャリッジ14及び第2のキャリッジ15が図示しない駆動機構によって駆動され、第1のキャリッジ14の副走査方向への移動中、原稿9の画像読取部位から後述するCCD161までの光路長が変動しないように、第2のキャリッジ15の移動量が第1のキャリッジ14の移動量の半分になるように構成されている。第1のキャリッジ14が原稿9の副走査方向の端部付近に移動したときの第1のキャリッジ14及び第2のキャリッジ15を
図2に二点鎖線で示す。
【0041】
画像読取部16は、第2のレール132に支持されたベース板133に固定された、レンズ160、及びCCD161を実装した基板162を有している。
【0042】
画像読取部16は、第3のミラー152からの反射光がレンズ160を透過してCCD161に結像し、CCD161によって原稿9の画像を読み取って画像データを出力するように構成されている。
【0043】
図3は、原稿読取位置の周辺を拡大して示す概略図である。この図では、照射ランプ141から発せられた光が原稿9を照射するまでの光路を二点鎖線で示している。なお、読取ガイド67a、67b、67cは、読取ガイド67の外側に位置し、読取ガイド67とともに原稿9をガイドする。
【0044】
照射ランプ141は、照射ランプ141から発せられた光の一部が、直接に原稿読取位置P
rに向けて出射され、他の一部がリフレクタ143に向けて出射されるように図示しない導光板及び拡散板の角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0045】
また、リフレクタ143は、照射ランプ141から発せられる光が原稿読取位置P
rの方向に反射されるよう角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0046】
第1のミラー146(及び第2のミラー151、第3のミラー152)は、原稿読取位置P
rに原稿9が存在する場合に、原稿9によって反射された光が画像読取部16に到達するよう角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0047】
また、正反射板68は、原稿読取位置P
rに原稿9が存在しない場合に、照射ランプ141から直接に原稿読取位置に向けて出射された光が第1のミラー146方向に反射されるよう角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0048】
(制御部の構成)
図4は、画像形成装置の制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【0049】
制御部8は、CPU、メモリ等の電子部品から構成され、筐体12内に設けられる。また、制御部8は、タッチパネル111、操作ボタン112、搬送ローラ駆動回路800、画像読取部駆動回路801及び画像形成部駆動回路802等に接続され、各部から信号を受信するとともに各部に信号を送信して制御する。
【0050】
制御部8は、ジョブ受付手段80、搬送ローラ駆動制御手段81、センサ信号受付手段82、画像読取部駆動制御手段83、傾き補正切替手段84、読取画像受付手段85、電子傾き補正手段86、機械傾き補正手段87及び画像形成部駆動制御手段88等として機能する。
【0051】
ジョブ受付手段80は、タッチパネル111又は操作ボタン112等から入力される操作信号に応じてスキャン、コピー等の画像読取及び画像形成に関するジョブを受け付ける。
【0052】
搬送ローラ駆動制御手段81は、ジョブ受付手段80が受け付けたジョブの内容に応じて、搬送ローラ駆動回路800の動作を制御する。
【0053】
センサ信号受付手段82は、センサS
p1〜S
p3が検知内容に応じて出力する信号を受け付ける。受け付けられた信号は、各手段80〜88の動作判断において用いられる。
【0054】
画像読取部駆動制御手段83は、ジョブ受付手段80が受け付けたジョブの内容に応じて、画像読取部駆動回路801の動作を制御する。
【0055】
傾き補正切替手段84は、後述する条件に基づいて、原稿9のスキュー補正を電子傾き補正手段86又は機械傾き補正手段87のいずれかに切り替える。なお、特に指示やエラー等のない通常時は電子傾き補正手段86を用いるものとする。
【0056】
読取画像受付手段85は、画像読取部16が読み取った画像情報を受け付ける。受け付けられた画像情報は電子傾き補正手段86又は画像形成部駆動制御手段88に送信される。
【0057】
電子傾き補正手段86は、読取画像受付手段85が受け付けた画像情報を画像処理することで電子的にスキュー補正する。なお、スキュー補正動作の詳細は後述する。
【0058】
機械傾き補正手段87は、搬送ローラ駆動回路800を制御することで原稿搬送ローラ63a及び63bの動作を制御し、原稿9の搬送方向に対する傾きを機械的に補正する。なお、スキュー補正動作の詳細は後述する。
【0059】
画像形成部駆動制御手段88は、画像形成部駆動回路802の動作を制御する。
【0060】
搬送ローラ駆動回路800は、自動給紙部101の原稿給紙ローラ61、原稿搬送ローラ62〜65及び排出ローラ66のモーターに電力を供給して駆動する回路であり、各モーターの回転数、回転方向等を制御する。また、原稿給紙ローラ61、原稿搬送ローラ62〜65及び排出ローラ66に設けられたニップ状態切り換え用のソレノイドを駆動する。また、搬送ローラ駆動回路800は、原稿9の搬送路に設置された各センサS
p1〜S
p3に電力を供給して駆動するセンサ駆動回路800aを有する。
【0061】
画像読取部駆動回路801は、照射ランプ141、第1のキャリッジ14及び第2のキャリッジ15の駆動部並びに画像読取部16を駆動する回路であり、CCD161に電力を供給して駆動するCCD駆動回路801aを有する。
【0062】
(画像形成装置の動作)
次に、本実施の形態の作用を、(1)画像読取装置の基本動作、(2)電子傾き補正動作、(3)機械傾き補正動作、(4)傾き補正切替動作及び(5)画像形成部の動作とに分けて説明する。
【0063】
(1)画像読取装置1の基本動作
ユーザーが給紙トレイ101aの上、又は原稿台72の上に原稿9を置き、コントロールパネル110のタッチパネル111及び操作ボタン112を操作して原稿の複写を指示すると、画像読取装置1は画像の読み取りを開始する。原稿の複写の指示は、制御部8のジョブ受付手段80が受け付ける。
【0064】
画像読取装置1の制御部8は、第1の読取モードが選択された場合には、自動給紙部101を制御して原稿9を1枚ずつ読取窓71の読取対象領域74に搬送する。原稿9の搬送は、搬送ローラ駆動制御手段81が搬送ローラ駆動回路800を制御することで実行される。
【0065】
画像読取装置1の制御部8は、複数の照射ランプ141に電流を供給して発光させる。照射ランプ141の発光は、画像読取部駆動制御手段83が画像読取部駆動回路801を制御することで実行される。
【0066】
照射ランプ141から発せられた光は、一部が原稿読取位置P
rを直接照射し、他の一部がリフレクタ143によって反射されて原稿読取位置P
rを照射する。
【0067】
また、画像読取装置1の制御部8は、画像読取部駆動回路801を制御して第1及び第2のキャリッジ14,15を副走査方向に駆動する。第1の読取モードの場合には読取窓71を照射光が透過する位置に第1のキャリッジ14が固定され、第2の読取モードの場合には原稿台72に置かれた原稿9を副走査方向に走査するように第1のキャリッジ14が移動する。
【0068】
原稿読取位置P
rに位置する原稿9の表面で反射した反射光は、第1のミラー146、第2のミラー151、及び第3のミラー152で反射され、画像読取部16のレンズ160に入射する。
【0069】
レンズ160を透過した光は、CCD161に結像し、CCD161によって原稿9の画像を読み取る。画像読み取りの動作は、画像読取部駆動制御手段83がCCD駆動回路801aを制御することで実行される。
【0070】
この後、制御部8は、給紙トレイ101aの上に置かれた原稿9を読み取った場合には、自動給紙部101を制御して原稿9を排紙台101bに排出する。
【0071】
(2)電子傾き補正動作
制御部8の読取画像受付手段85は、CCD161によって読み取られた読取画像を画像情報として受け付ける。
【0072】
図5は、CCDによって読み取られる画像処理領域と原稿画像との関係の一例を示す概略図である。
【0073】
読取画像受付手段85が受け付けた読取画像85iは、主方向d
m、副方向d
sのサイズを有しており、d
m及びd
sのサイズは、原稿9のサイズによって変化する。具体的には、原稿9が予め定めた角度θだけ傾いて搬送方向d
lに搬送されたとしても原稿画像9iとして、原稿9の全体が読み取られるだけのサイズに設定される。
【0074】
制御部8の電子傾き補正手段86は、読取画像受付手段85が受け付けた読取画像85iから原稿画像9iと背景画像68iとの境界、つまり原稿画像9iの原稿端E
fを検出し、原稿端E
fと搬送方向d
lとのなす角度から傾き角度θを算出する。次に、電子傾き補正手段86は、傾き角度θが0となるように読取画像85iを回転処理することでスキュー補正する。なお、原稿9が画像処理領域85aにおいて読み取られないような角度θで傾いて搬送された場合は、エラーと判断する。
【0075】
また、電子傾き補正手段86は、例えば、原稿画像9iの端を主方向の端について全幅(7600画素)、副方向の端について主方向の端から500画素分を認識する。
【0076】
なお、電子傾き補正手段86は、読取画像85iから原稿画像9iの原稿端を検出する方法として、以下に説明する背景画像68iに対応する正反射板68と白原稿とのCCD161の出力値の差を利用する。
【0077】
図6は、白原稿、背景板、正反射板の反射光に対するCCDの出力値の関係の一例を示すグラフ図である。なお、背景板69とは、本発明の実施の形態に係る正反射板68と同一の位置に設けられ、正反射板68に比べて反射率の低い従来の構成である。
【0078】
撮像された背景板69からの反射光量と、文字や図形等の印刷されていない白色の白原稿9aからの反射光量とを比較すると、照射ランプ141からの照射光を第1のミラー146に向けて反射する角度に背景板69が設置されているのに対して、白原稿9aの表面では紙の繊維等に起因する表面の凹凸や白原稿9aの端の段差等により照射ランプ141の照射光を乱反射しやすい。従って、白原稿9aからの反射光量の方が背景板69からの正反射光量よりも少なくなる。よって、白原稿9aからの反射光量に基づいて、原稿読取位置P
rにおける白原稿9aの有無が判別可能である。
【0079】
また、正反射板68からの反射光量は、既述のとおり、照射ランプ141から発せられる光を、少なくともCCD161の白色上限値となるような反射率で反射するものである。そのため、正反射板68と白原稿9aの反射光量の差は、背景板69と白原稿9aの反射光量の差に比べて大きくなり、原稿9の端の検知精度が向上する。
【0080】
以上に説明した正反射板68を用いることで、電子傾き補正手段86は、
図5に示す読取画像85iにおいて原稿画像9iの端を正確に検出することができ、これによって高精度で傾き角度θを検出する。
【0081】
図7は、原稿9の読取位置の周辺を拡大して示す概略図である。
【0082】
照射ランプ141から正反射板68の方向に発せられる光のうち、照射ランプ141の中心付近から発せられる主要な光P
mは、正反射板68で第1のミラー146の方向に反射されるが、照射ランプ141の中心付近以外から発せられる周囲光P
cは、正反射板68で反射されて原稿9の読み取られる面の裏面のうち先端からd
gの範囲に回りこむ。
【0083】
この時、原稿9の原料や坪量等によって照射される光に対する透過率がある値より高い場合には、実際には原稿画像9iの領域であるのに原稿9の読み取られる面の裏面に回りこんだ光の透過によりCCD出力値が白原稿9aのものより高くなる。このため、光の回りこんだ原稿9の先端付近が正反射板68のCCD出力値と近いものとなることで、電子傾き補正手段86によって原稿画像9iと背景画像68iとの境界が誤検知される。これは従来の背景板69に代えて反射率の高い正反射板68を用いたためである。
【0084】
なお、誤検知が生じる透過率の値は、照射ランプ141の光の強度、正反射板68の反射率及びCCD161の感度等の仕様に応じて定められるものとする。また、誤検知の生じる先端からの幅d
gは、正反射板68のサイズ、原稿9の透過率、搬送の速度等によって変化するため、工場出荷時に又はユーザーの操作により設定する。
【0085】
以下、正反射板68を用いた場合の読取画像の一例を示す。
【0086】
図8は、正反射板を用いた場合の原稿先端付近の読取画像の一例を示す概略図である。
【0087】
図8に示すように、電子傾き補正手段86は、正反射板68を用いた場合の読取画像85iから、実際の先端E
fからd
gだけ搬送方向d
lに後退した位置であるE
nを原稿主方向の先端と誤検知する。
【0089】
機械傾き補正手段87は、電子傾き補正手段86によってスキュー補正できない場合に用いられる。
【0090】
機械傾き補正手段87は、原稿搬送ローラ63a、63bの回転を搬送ローラ駆動回路800を介して制御し、原稿9の先端を回転停止状態の原稿搬送ローラ63a、63bの圧接部分(用紙をニップする部分)に突き当ててループ状に撓ませることにより当該原稿9の先端を基準にスキュー補正する。次に、機械傾き補正手段87は、原稿搬送ローラ63bの回転を制御し、原稿搬送ローラ63a、63b及び64の回転により原稿読取位置P
rへと原稿9を送り込む。
【0091】
(4)傾き補正切替動作
図9は、画像読取装置1の傾き補正切替動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、自動給紙部101の給紙トレイ101aに置かれた原稿9を排紙台101bに搬送しながら読み取る第1の読取モードについて実行されるものであり、傾き補正切替手段84が(2)電子傾き補正動作又は(3)機械傾き補正動作に説明した動作のいずれによってスキュー補正をするか判断する動作を説明するものである。
【0092】
まず、ジョブ受付手段80が画像読取指示を含むジョブを受け付けると(S1;Yes)、傾き補正切替手段84は、当該ジョブの入力においてタッチパネル111又は操作ボタン112に用意された薄紙対応ボタンがユーザーによって押されたか判断する(S2)。
【0093】
当該ジョブにおいて薄紙対応ボタンが押されていないと判断した場合(S2;No)、傾き補正切替手段84は、搬送ローラ駆動制御手段81の制御の下、原稿9をセンサS
p3の位置まで搬送し、センサ信号受付手段82がセンサS
p3が検知した原稿9の透過率を受け付ける(S3)。
【0094】
センサ信号受付手段82が受け付けた原稿9の透過率が予め定めた値以下である場合(S4;Yes)、搬送ローラ駆動制御手段81の制御の下、原稿9を原稿読取位置Prまで搬送し、画像読取部駆動制御手段83の制御の下、画像読取部駆動回路801によって原稿9の画像を読み取る(S5)。
【0095】
次に、読取画像受付手段85が画像読取部駆動回路801が読み取った読取画像を受け付けて電子傾き補正手段86に入力する。電子傾き補正手段86は、入力された読取画像を「(2)電子傾き補正動作」で説明した手順で電子傾き補正する(S6)。
【0096】
次に、傾き補正切替手段84は、電子傾き補正手段86が読取画像を補正した結果でエラーが発生していないか確認し(S7)、エラーが発生していない場合は(S7;Yes)、電子傾き補正された読取画像を電子傾き補正手段86から画像形成部2に送信する(S8)。
【0097】
また、ステップS2において、傾き補正切替手段84がジョブにおいて薄紙対応ボタンが押されたと判断した場合(S2;Yes)、又はステップS4において、センサ信号受付手段82が受け付けた原稿9の透過率が予め定めた値より大きい場合(S4;No)、傾き補正切替手段84は、傾き補正を機械傾き補正手段87による機械傾き補正に切り替える(S9)。
【0098】
機械傾き補正手段87は、原稿9を「(3)機械傾き補正動作」で説明した手順でスキュー補正し(S10)、搬送ローラ駆動制御手段81の制御の下、スキュー補正された原稿9を原稿読取位置Prまで搬送し、画像読取部駆動制御手段83の制御の下、画像読取部駆動回路801によって原稿9の画像を読み取る(S11)。
【0099】
また、ステップS7において、電子傾き補正手段86が読取画像を補正した結果でエラーを発生した場合(S7;No)、傾き補正切替手段84は、表示部を兼ねたタッチパネル111に原稿9の読取を再度実行するよう要求する旨を表示する(S12)。利用者がタッチパネル111の表示に応じて原稿9を再度給紙トレイ101aにセットすると、傾き補正切替手段84は、機械傾き補正手段87を動作させた機械傾き補正(S9〜S11及びS8)を改めて実行する。
【0100】
(5)画像形成部2の動作
光学走査装置250は、制御部8の画像形成部駆動制御手段88の制御の下、YMCK各色の画像データに基づいて変調された光ビームを帯電器252によって帯電された感光ドラム251に照射して、感光ドラム251の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像器253によりトナーで現像されてトナー像が形成される。感光ドラム251上のトナー画像は、一次転写ローラ254によって中間転写ベルト20に転写される。
【0101】
一方、第1乃至第3のトレイ31〜33のいずれか1つ、例えば第1のトレイ31からは、ピックアップローラ34Aによって用紙30が用紙搬送路37に取り込まれ、分離ローラ35Aによって捌かれた後、レジローラ36Aによって二次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に搬送され、中間転写ベルト20上のトナー像が用紙30に転写される。
【0102】
その後、用紙30上のトナー像は、定着ユニット27によって定着された後、排出ローラ28によって排出台29に排出される。
【0103】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によると、通常時は電子傾き補正手段86によるスキュー補正を実行し、電子傾き補正手段86ではスキュー補正できない場合にのみ機械傾き補正手段87に切り替えることで、紙の透過率が高く読取画像の原稿先端が正しく認識されない原稿を用いた場合であっても、スキュー補正を実行することができる。
【0104】
また、通常時は電子傾き補正手段86によるスキュー補正を行うため、機械傾き補正手段87の実行によって搬送ローラ63a、63bにおいて生じる騒音(原稿衝突音)等の機械的なノイズを回避できる。
【0105】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0106】
光源としては照射ランプ141からなるものに限らず、主走査方向に複数のLED等を配置し、導光体及び拡散板を備えて構成してもよい。