(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物品を回転させる最中に、前記弾性体の外周表面を複数撮影することで外周表面全体に亘って得られた撮影画像に基づいて、前記弾性体の外周表面全体に対する欠陥の有無を検査すると共に、
前記押圧部材についても逐次撮影し、前記監視手段は、該押圧部材の撮影画像に基づいて該押圧部材の状態が正常であるか否かを監視することを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安定した検査能力を維持可能とする欠陥検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明の欠陥検査装置は、
環状の弾性体を有する物品における前記弾性体表面の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
押圧部材により前記弾性体の外周表面を部分的に押圧することで該弾性体の表面の一部を押し広げつつ、前記物品を回転させることによって、前記弾性体の外周表面全体に対する欠陥の有無を検査する欠陥検査装置において、
前記弾性体の外周表面の欠陥の有無を検査している最中に、前記押圧部材の状態が正常であるか否かを監視する監視手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、欠陥の有無を検査している最中に、監視手段によって、押圧部材の状態が正常であるか否かが監視される。従って、押圧部材による押圧力を安定させることが
でき、検査能力を安定させることができる。
【0010】
前記押圧部材は棒状の部材であり、前記監視手段は前記押圧部材の変形量について監視するとよい。
【0011】
これにより、押圧部材が変形してしまうことによる押圧力の変化を抑制することができる。
【0012】
前記押圧部材は前記物品の回転に伴って従動回転するように構成されており、前記監視手段は前記押圧部材の回転の有無について監視するとよい。
【0013】
押圧部材は物品の回転に伴って従動回転するため、押圧部材と物品との間の摺動を抑制できる。これにより、押圧部材の摺動摩耗を抑制でき、その寿命を延ばすことができる。また、物品に押圧部材との摩擦による傷がつくのを抑制することができる。更に、監視手段によって押圧部材の回転の有無が監視されるので、押圧部材が回転しない状態のまま検査を行ってしまうことを避けられる。
【0014】
前記物品を回転させる最中に、前記弾性体の外周表面を複数撮影することで外周表面全体に亘って得られた撮影画像に基づいて、前記弾性体の外周表面全体に対する欠陥の有無を検査すると共に、
前記押圧部材についても逐次撮影し、前記監視手段は、該押圧部材の撮影画像に基づいて該押圧部材の状態が正常であるか否かを監視するとよい。
【0015】
このように、画像処理によって、弾性体表面の欠陥の有無を検査すると共に、押圧部材の状態が正常であるか否かを監視することができる。
【0016】
また、この場合において、前記弾性体の外周表面の欠陥の有無を検査するのに用いる撮影画像に、前記押圧部材を監視するのに用いる画像が含まれているとよい。
【0017】
これにより、弾性体表面の欠陥の有無を検査するのに必要な撮影枚数で、押圧部材の状態が正常であるか否かも監視できる。
【0018】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、安定した検査能力を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
(実施例)
図1〜
図7を参照して、本発明の実施例に係る欠陥検査装置について説明する。
【0023】
<欠陥検査装置の構成>
図1〜
図3を参照して、本発明の実施例に係る欠陥検査装置の構成について説明する。
図1は本発明の実施例に係る欠陥検査装置全体の構成を概略的に示したものである。
図2は押圧部材の回転機構の部分の模式的断面図である。
図3は本発明の実施例に係る押圧部材で物品の弾性体部分を押圧している様子を示す正面図であり、(a)は欠陥がない部分を押圧している様子を示し、(b)は欠陥部付近を押圧している様子を示している。
【0024】
本実施例に係る欠陥検査装置100は、検査対象となる物品200を回転させる回転機構110と、各種部材(装置)を直線的に移動させるリニアアクチュエータ120と、物品200の弾性体210を押圧する押圧部材130とを備えている。また、欠陥検査装置100は、弾性体210などを撮影する撮影手段としてのカメラ140と、撮影画像(画像データ)の画像処理や押圧部材130の状態の監視を行うコンピュータ150と、撮影画像等を表示させるディスプレイ160と、カメラ140による撮影部分を照射する照明170も備えている。
【0025】
本実施例における検査対象となる物品200は、環状の弾性体210と環状の金属環220が同軸的に一体化された構成である。また、弾性体210の外周表面には複数の環状突起211が設けられている。回転機構110は、モータ111と、モータ111によって回転する回転軸112が設けられている。この回転軸112に物品200を同軸的に取り付けることによって、モータ111の回転駆動力により物品200を回転させることができる。
【0026】
リニアアクチュエータ120は、ステッピングモータ121と、ステッピングモータ121の回転駆動力によって回転するボールねじ122と、ボールねじ122の回転に伴って直線的に移動するスライダ123とを備えている。このスライダ123には支持部材124が固定されている。また、支持部材124には、カメラ140を設置する設置台125が設けられている。更に、支持部材124の先端部分には、押圧部材130を回転自在に軸支する回転支持部材126が設けられている。
【0027】
回転支持部材126は、略円筒状の支持部材本体126aと、支持部材本体126aの内部の両端付近にそれぞれ取り付けられるボールベアリング126b,126cとを備えている(
図2参照)。押圧部材130は、略棒状の部材であり、押圧部材本体131と、フランジ部132と、押圧部材本体131の上端付近に設けられる環状溝部131aとを備えている。なお、押圧部材本体131の具体例としては、ステンレス製の直径2mmの丸棒を挙げることができる。ただし、押圧部材本体131の素材や形状はこれに限られるものではない。この押圧部材本体131は、支持部材本体126aの下端側からフランジ部132が突き当たるまで差し込まれた状態で、環状溝部131aにCリング133が装着されることで、回転支持部材126に対して回転自在に軸支される。
【0028】
本実施例においては、回転支持部材126及び押圧部材130は、
図1中紙面に対して垂直な方向に2つ並んで設けられており、2本の押圧部材本体131によって、物品200の弾性体210を押圧するように構成されている(
図3参照)。また、本実施例においては、押圧部材本体131が物品200の弾性体210の表面に接触する位置を基準位置として、ステッピングモータ121のパルス制御による回転数の制御によって、押圧部材本体131を弾性体210の内部方向に一定距離だけ押し込むようにしている。これにより、弾性体210は、2本の押圧部材本体131により部分的に一定の押圧力で押圧されて、弾性体210の表面の一部が押し広げられる(
図3参照)。これにより、弾性体210の表面に、そのままの状態では見え難い欠陥部210Xが存在していたとしても、その表面の一部が押し広げられることで欠陥部210Xを目立たせることができる(
図3(b)参照)。
【0029】
また、回転機構110によって、物品200が回転すると、物品200の弾性体210から受ける力によって、回転支持部材126に回転自在に軸支されている押圧部材本体131も従動回転する。従って、物品200の弾性体210と押圧部材本体131との間では殆ど摩擦が生じない。
【0030】
そして、本実施例においては、
図3(a)中のSで囲った部分を、カメラ140によって撮影している。カメラ140は、上記の通り、設置台125に設置されており、スライダ123の移動に伴って、押圧部材130と同じ距離だけ移動する。そのため、一度ピントを合わせておけば、スライダ123を移動させてもピントを再調整する必要はない。また、物品200を回転させた状態で、カメラ140によって連続的に複数枚撮影することによって、弾性体210の外周表面全体が撮影されるようにしている。ここで、本実施例においては、一枚の撮影画像の中に、2本の押圧部材本体131の先端付近と、弾性体210の表面のうち押圧部材本体131によって押し広げられた部分とが含まれている(
図3(a)中の範囲S参照)。
【0031】
弾性体210の外周表面全体の欠陥の有無の検査については、上記の撮影画像のうち、2本の押圧部材本体131の間の弾性体210の表面の画像データを用いる。撮影した画像データを用いて、欠陥の有無を検査する方法自体については、各種の公知技術を採用することができる。例えば、標準画像と撮影画像とを比較する(一致率を評価する)ことによって、欠陥の有無を検査するパターンマッチング方式を用いることができる。
【0032】
また、本出願人が既に提案している特開2010−19646号公報に開示された技術を採用すれば、検査の処理を高速に行うことが可能となる。この技術については、当該公報に開示された通りであるので、詳細な説明は省略し、ここでは簡単に説明する。当該技術においては、各撮影画像について、一致率を評価するための比較対象とする良品画像をそれぞれ作成する方法を採用している。そして、各良品画像は、当該良品画像に対応する撮影画像を除き、当該撮影画像の近傍の複数の撮影画像のうち一致率の高い画像を用いて作成している。そのため、比較対象とする良品画像は、検査対象となる物品自体の撮影画像を用いて作成されるため、一般的なパターンマッチング方式のように、ロット毎に標準画像を変更しなければならないなどの手間を省くことができる。また、一般的なパターンマッチング方式のように、撮影画像と標準画像とを1枚毎に位置合わせする必要もなく、処理速度を向上させることが可能となる。
【0033】
なお、カメラ140によって撮影された撮影画像(画像データ)は、コンピュータ150に送られて、コンピュータ150によって、画像処理を行い、かつ欠陥の有無を検査する(欠陥の有無の判定を行う)。
【0034】
<押圧部材の監視>
特に、
図4〜
図7を参照して、押圧部材130の監視について、詳細に説明する。本実施例においては、上記の通り、2本の押圧部材本体131の先端付近も撮影している。そして、この撮影画像を用いて、弾性体210の外周表面の欠陥の有無を検査している最中に、押圧部材130の状態が正常であるか否かも監視している。当該監視は、欠陥の有無と同様に画像処理にて行っており、コンピュータ150は、押圧部材130の状態が正常であるか否かを監視する監視手段としての役割も担っている。より具体的には、コンピュータ150は、押圧部材本体131の変形量(曲がり量)及び回転の有無を監視している。
【0035】
ここで、押圧部材本体131の変形量や回転の有無を、撮影画像(画像データ)の画像処理を用いて行う手法は各種公知技術を採用し得るが、以下、その具体的な一例を説明する。
【0036】
<<押圧部材の変形量の監視>>
特に、
図4及び
図5を参照して、押圧部材130(より具体的には押圧部材本体131)の変形量の監視の仕方について説明する。
図4は本発明の実施例に係る押圧部材の変形量の監視の仕方を説明する説明図であり、
図5は本発明の実施例に係る押圧部材の変形量の監視手順を示すフローチャートである。
【0037】
丸棒で構成された押圧部材本体131の場合には、照明170により、押圧部材本体131の中心軸線に平行、かつ中央付近にハレーションHが形成される。従って、ハレーションHの中心線を検出することによって、押圧部材本体131の中心軸線の方向が分かり、押圧部材本体131がどの程度変形しているかを検出することが可能となる。そこで、本実施例においては、ハレーションHの中心線を検出する方法を採用している。
図4(a)は押圧部材本体131が変形していない状態を示し、同図(b)は押圧部材本体131が変形して、曲がった状態を示している。
【0038】
コンピュータ(監視手段)150は、弾性体210の外周表面の欠陥の有無の検査の開始と共に、押圧部材130の変形量の監視も開始する。まず、コンピュータ150は、撮影画像のうちの押圧部材本体131の画像データを用いて、押圧部材本体131中のハレーションHの境界位置を検出する(ステップS11)。すなわち、コンピュータ150は、撮影画像のデータを用いて、
図4中、予め定めた上部の第1サーチ位置YHと、下部の第2サーチ位置YLにおいて、ハレーションHの幅方向の両側の境界位置をそれぞれ検出する。より具体的には、コンピュータ150は、第1サーチ位置YHにおける左側の境界位置XHL及び右側の境界位置XHRと、第2サーチ位置YLにおける左側の境界位置XLL及び右側の境界位置XLRをそれぞれ検出する。そして、コンピュータ150は、これらの検出結果から、第1サーチ位置YHにおけるハレーションHの中心位置XHMと、第2サーチ位置YLにおけるハレーションHの中心位置XLMとを算出する(ステップS12)。
【0039】
その後、コンピュータ150は、この算出結果を用いて、第1サーチ位置YHにおけるハレーションHの中心位置XHMと、第2サーチ位置YLにおけるハレーションHの中心位置XLMとの差XD(絶対値)を算出する(ステップS13)。ここで、
図4(a)に示すように、押圧部材本体131が変形していない状態においては、この差XDはほぼ0となる。これに対して、
図4(b)に示すように押圧部材本体131が変形により曲がった状態では、差XDは大きな値となる。
【0040】
コンピュータ150は、この差XDを算出した後に、差XDが予め定めた閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS14)。ここで、押圧部材本体131が変形することによって、弾性体210への押圧力が変化するため、押圧部材本体131の変形量と押圧
力との関係から、信頼性の高い検査が可能な押圧力を満足する変形量の範囲内で、上記の閾値は定められている。
【0041】
その後、コンピュータ150は、ステップ14において、差XDが閾値よりも大きな場合には、押圧部材130の状態が異常である(押圧部材本体131の変形量が大きい)と判定し(ステップS15)、そうでない場合には、押圧部材130の状態が正常であると判定し(ステップS16)、監視を終了する。
【0042】
本実施例では、押圧部材130の状態が異常であると判定した場合には、コンピュータ150は、欠陥の有無の検査自体も中止するようにしている。ただし、検査自体はそのまま続行して、例えば、ディスプレイ160に押圧部材130の状態が異常であることを表示したり、押圧部材130の状態が異常であることを知らせる警告音を鳴らせたりするようにしてもよい。
【0043】
なお、ここではハレーションHの境界の位置情報に基づいて、押圧部材本体131の変形量を監視する手法を説明したが、押圧部材本体131の変形量を監視する手法はこれに限られるものではない。例えば、ハレーションHを細線化して押圧部材本体131の中心線を見出す手法(スケルトン方式)や、ハレーションHを追跡して、その軌跡から押圧部材本体131の中心線を見出す手法なども採用できる。また、押圧部材本体131と弾性体210の照度差が明確であれば、押圧部材本体131の境界の位置に基づいて、押圧部材本体131の変形量を監視することもできる。
【0044】
<<押圧部材の回転の有無の監視>>
特に、
図6及び
図7を参照して、押圧部材130(より具体的には押圧部材本体131)の回転の有無の監視の仕方について説明する。
図6は本発明の実施例に係る押圧部材の回転の有無の監視の仕方を説明する説明図であり、
図7は本発明の実施例に係る押圧部材の回転の有無の監視手順を示すフローチャートである。
【0045】
押圧部材本体131が回転している場合には、その表面の照度は刻々と変化する一方、回転していない場合には、その表面の照度は変化しない。従って、押圧部材本体131のある部分の照度が変化するか否かを検出することによって、押圧部材本体131が回転しているか否かを検出することが可能となる。
【0046】
本実施例においては、
図6に示すように、押圧部材本体131の表面のうち、照度が変化しやすい、ハレーションHの境界付近のラインL上の照度の変化を検出する手法を採用している。なお、ラインLは、幅方向は1画素分で縦方向はZ画素分(例えばZ=100)に相当する。
【0047】
コンピュータ(監視手段)150は、弾性体210の外周表面の欠陥の有無の検査の開始と共に、押圧部材130の回転の有無の監視も開始する。まず、コンピュータ150は、撮影画像のうちの押圧部材本体131の画像データを用いて、ラインL上の各画素(
図6中、Y1,Y2,Y3・・・,YZ)の照度を計測する(ステップS21)。そして、コンピュータ150は、連続する撮影画像において、隣り合った撮影画像(例えば、1枚目と2枚目、2枚目と3枚目)におけるラインL上の同一位置の画素の照度の差の絶対値を全て算出し、かつ加算する(ステップS22)。すなわち、コンピュータ150は、
図6において、1枚目の撮影画像における画素Y1の照度と、2枚目の撮影画像における画素Y1の照度の差の絶対値を算出する。そして、コンピュータ150は、2枚目と3枚目、3枚目と4枚目についても同様に算出していき、最終の撮影画像に至るまで同様に算出する。これにより、画素Y1における全ての照度差の和P1が求められる。これを、ラインL上の全ての画素について行うことで、画素Y1〜YZについて、それぞれの照度差の
和P1〜PZが求められる。
【0048】
その後、コンピュータ150は、ラインL上の各画素における照度差の和P1〜PZを全て加算して、総和ΣPを算出する(ステップS23)。そして、コンピュータ150は、この総和ΣPが予め定めた閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS24)。ここで、押圧部材本体131が回転している場合には、その表面の照度は刻々と変化するため、総和ΣPは大きな値となる。一方、押圧部材本体131が、回転していない場合には、その表面の照度は変化しないため、理論上(理想的には)、総和ΣPは0となる。ただし、現実的には、振動などの影響によって、回転していない場合でも、押圧部材本体131の表面の照度は多少変化する。そこで、これらを予め実験により検証しておくことで、例えば、閾値は、押圧部材本体131が回転しない場合における総和ΣPの最大量よりも多少多めに見積もって設定しておけばよい。
【0049】
その後、コンピュータ150は、ステップS24において、総和ΣPが閾値よりも小さな場合には、押圧部材130の状態が異常である(押圧部材本体131が回転していない)と判定し(ステップS25)、そうでない場合には、押圧部材130の状態が正常であると判定し(ステップS26)、監視を終了する。上記の通り、本実施例においては、押圧部材130の状態が異常であると判定した場合には、コンピュータ150は、欠陥の有無の検査自体も中止するようにしている。
【0050】
なお、総和ΣPを求めるのに、隣り合う撮影画像における画素Y1〜YZの照度差をそれぞれ計算して、全て加算したものを、全ての撮影画像分について加算しても、同一の結果が得られることは言うまでもない。また、押圧部材130(押圧部材本体131)の回転の有無の監視の仕方については、他の手法を採用してもよい。例えば、押圧部材本体131にマークを付しておき、当該マークを一定の間隔で検出する場合には、正常である(回転している)と判定し、所定時間以上マークを検出しなかったり、検出し続けた場合には異常である(回転していない)と判定することができる。
【0051】
<本実施例に係る欠陥検査装置の優れた点>
本実施例に係る欠陥検査装置100によれば、検査対象である物品200の弾性体210の外周表面の欠陥の有無を検査している最中に、押圧部材130の状態が正常であるか否かを、監視手段としてのコンピュータ150によって監視する構成を採用している。従って、弾性体210の欠陥の有無を検査している最中に、押圧部材130の状態が正常であるか否かが監視されるため、押圧部材130による押圧力を安定させることができ、検査能力を安定させることができる。これにより、検査の信頼性を高めることが可能となる。
【0052】
また、本実施例においては、コンピュータ150によって、押圧部材130(より具体的には押圧部材本体131)の変形量について監視する構成を採用している。従って、押圧部材本体131が変形してしまうことによる押圧力の変化(低下)を抑制することができる。
【0053】
更に、本実施例においては、コンピュータ150によって、押圧部材130(より具体的には押圧部材本体131)の回転の有無についても監視している。従って、押圧部材本体131が回転しない状態のまま検査を行ってしまうことを避けることができる。
【0054】
なお、押圧部材本体131が物品200の回転に伴って従動回転する構成を採用しているので、押圧部材本体131と物品200(弾性体210)との間の摺動を抑制できる。これにより、押圧部材本体131の摺動摩耗を抑制でき、その寿命を延ばすことができる。
【0055】
また、本実施例に係る欠陥検査装置100によれば、画像処理によって、弾性体210の表面の欠陥の有無を検査すると共に、押圧部材130の状態が正常であるか否かを監視することができる。そして、本実施例においては、弾性体210の外周表面の欠陥の有無を検査するのに用いる撮影画像に、押圧部材130を監視するのに用いる画像が含まれている構成を採用している。従って、弾性体210の表面の欠陥の有無を検査するのに必要な撮影枚数で、押圧部材130の状態が正常であるか否かも監視できる。
【0056】
(その他)
本実施例に係る欠陥検査装置100においては、弾性体210の外周表面を2本の押圧部材本体131によって押圧する構成を採用したが、押圧部材本体131の本数はこれに限られるものではない。なお、1本よりも2本の方が変形領域を広くすることができ、撮影枚数を少なくすることができる。また、本実施例においては、摺動摩耗を抑制するために、押圧部材本体131を回転可能に構成する場合を示したが、回転しない構成を採用することもできる。ただし、この場合には、押圧部材本体131の回転の有無の監視を行わないことは言うまでもない。また、上記実施例においては、弾性体210の外周表面の欠陥の有無を検査するのに用いる撮影画像に、押圧部材130を監視するのに用いる画像を含ませる構成を採用したが、欠陥の有無の検査用の撮影画像と、押圧部材130の監視用の撮影画像とを別々に撮影してもよい。また、撮影した全ての撮影画像において、押圧部材130の状態を監視するのが望ましいが、1枚おきとか2枚おきに押圧部材130の状態を監視することも可能である。