【実施例】
【0047】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲はそれらに限定されるものではない。なお、実施例中の略称は以下の通りである。
【0048】
Etcbpy;2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸ジエチルエステル
H
2dcbpy;2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸
OTf:トリフルオロメタンスルホン酸イオン
bpy;2,2’−ビピリジン
ddbpy;4,4’−ジドデシル−2,2’−ビピリジン
cod;1,5−シクロオクタジエン
BiBzImH
2;2,2'−ビベンズイミダゾール
dtbpy;4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン
dnbpy;4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン
dmbpy;4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン
mdbpy;4,4’−ドデシルメチル−2,2’−ビピリジン
【0049】
実施例1A−1(単核ルテニウム錯体(M−1);[Ru(Etcbpy)
2(H
2O)
2](OTf)
2の合成)
窒素雰囲気下、500mLの三口フラスコに、市販のH
2dcbpy(5.44g,22.3mmol)、濃硫酸(10mL)及びエタノール130mLを加え、一晩還流した。放冷後、中和し、析出物を濾過し、熱水で洗浄した。析出物をエタノール/水(95:5)で再結晶を行い、析出物を濾過し、Etcbpy4.92gを得た。
【0050】
次に、アルゴン雰囲気下、1000mLの三口フラスコに、市販の塩化ルテニウム(1.18g,4.51mmol)、Etcbpy(2.64g,8.79mmol)及びエタノール500mLを加え、7時間還流した。放冷後、析出物を濾過し、[Ru(Etcbpy)
2Cl
2]1.64gを得た。また、濾液を減圧濃縮し、2mol/l塩酸300mLを加え、5分間室温で攪拌後、不溶物を濾過し、水で洗浄した。そして、この不溶物をエタノール/ジクロロメタン(10:3)で再結晶を行い、1.34gの[Ru(Etcbpy)
2Cl
2]を得て、計2.98gの[Ru(Etcbpy)
2Cl
2]を得た。
【0051】
続いて、200mLの三口フラスコに[Ru(Etcbpy)
2Cl
2](1.37g,1.77mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(1.09g,4.25mmol)及びジクロロメタン140mLを加え、室温で1時間攪拌した。一晩静置した後、析出物を濾別し、濾液を濃縮後、ジエチルエーテル中にて5分間室温で攪拌した後、不溶物を濾過し、単核ルテニウム錯体(M−1)[Ru(Etcbpy)
2(H
2O)
2](OTf)
21.62gを得た。
【0052】
実施例1A−2(単核ルテニウム錯体(M−2)[(BiBzIm)Ru(ddbpy)
2]〔R
1、R
2、R
3、R
4=n−ドデシル基である式(3)の錯体〕の合成)
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコにddbpy(0.8930g,1.812mmol)、[Ru(cod)Cl
2]
n(0.250g,0.888mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド93mLを加え、脱気した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら44分間還流させた。放冷後、減圧濃縮し、40mLの水に懸濁させ、吸引濾過によって回収し、水で洗浄し、[Ru(ddbpy)
2Cl
2]0.857gを得た。
【0053】
次に、アルゴン雰囲気下、20mLの三口フラスコにRu(ddbpy)
2Cl
2(0.857g,0.740mmol)、BiBzImH
2(0.191g,0.814mmol)及びエチレングリコール30mLを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら26分間還流させた。放冷後、エタノール65mL、水20mL、及び、8mLの水に溶解したヘキサフルオロリン酸アンモニウム(0.482g,2.957mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、析出物を濾取し、水で洗浄し、[(BiBzImH
2)Ru(ddbpy)
2](PF
6)
20.988gを得た。
【0054】
続いて、アルゴン雰囲気下、20mLシュレンクに[(BiBzImH
2)Ru(ddbpy)
2](PF
6)
2(0.959g,0.595mmol)、メタノール6.8mL、及び10%リチウムメトキシドメタノール溶液2.26mL(5.951mmol)を加え、脱気した後、1時間還流させた。放冷後、吸引濾過によって残渣を回収し、0.64mol/L(反応溶液と同じ濃度)リチウムメトキシドメタノール溶液で洗浄し、単核ルテニウム錯体(M−2)[(BiBzIm)Ru(ddbpy)
2]0.213gを得た。
【0055】
実施例1(二核ルテニウム錯体色素(1a:pH2.8単離物)[(H
2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(ddbpy)
2](PF
6)〔R
1、R
2、R
3、R
4=n−ドデシル基である式(1)の錯体〕の合成)
アルゴン雰囲気下、100mLの三口フラスコに単核ルテニウム錯体(M−2)(0.400g,0.304mmol)、単核ルテニウム錯体(M−1)(0.309g,0.304mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド50mLを加え、脱気した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら44分間還流させた。放冷後、減圧濃縮し、0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液70mLを加え、100℃で1時間加熱した。放冷後、吸引濾過により不溶物を除去し、水で洗浄した後、濾液を1.7mol/Lヘキサフルオロリン酸水溶液でpH1.8にし、一晩静置した。沈殿を吸引濾過によって回収し、pH1.8ヘキサフルオロリン酸水溶液で洗浄後、分取クロマトグラフィーにより精製を行い、減圧濃縮後、水50mL、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液0.8mLを加え、0.5mol/Lヘキサフルオロリン酸水溶液でpH2.8に調整し、冷蔵庫にて一晩静置した。沈殿物を吸引濾過によって回収し、pH2.8ヘキサフルオロリン酸水溶液で洗浄後、真空乾燥し、二核ルテニウム錯体色素(1a:pH2.8単離物)を0.087g得た。
【0056】
実施例2(二核ルテニウム錯体色素(2a:pH3.8単離物)[(H
2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(ddbpy)
2](PF
6)〔R
1、R
2、R
3、R
4=n−ドデシル基である式(1)の錯体〕の合成)
実施例1で0.5mol/Lヘキサフルオロリン酸水溶液で調整するpH、洗浄液として用いるヘキサフルオロリン酸水溶液のpHを2.8から3.8にした以外は実施例1と同様な方法で合成し、二核ルテニウム錯体色素(2a:pH3.8単離物)を0.063g得た。
【0057】
実施例3−1(多孔質チタニア電極の作製)
触媒化成製のチタニアペーストPST−18NRを透明層に、PST−400Cを拡散層に用い、旭硝子株式会社製の透明導電性ガラス電極上にスクリーン印刷機を用いて塗布した。得られた膜を25℃、相対湿度60%の雰囲気下で5分間エージングし、このエージングした膜を450℃で30分間焼成した。冷却した膜に対し、同じ作業を所定の厚みになるまで繰り返し、16mm
2の多孔質チタニア電極を作製した。
【0058】
実施例3−2(色素を吸着した多孔質チタニア電極の作製)
二核ルテニウム錯体色素の0.3mmol/l色素溶液(溶媒:t−ブタノール/アセトニトリルの1:1混合溶媒)に多孔質チタニア電極を30℃で所定の時間浸漬し、乾燥して色素吸着多孔質チタニア電極を得た。
【0059】
実施例3−3(光化学電池の作製)
以上のようにして得られた色素吸着多孔質チタニア電極と白金板(対極)を重ね合わせた。次に、電解質溶液(3−メトキシプロピオニトリルにヨウ化リチウム、ヨウ素、4−t−ブチルピリジン及び1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドをそれぞれ0.1mol/l、0.05mol/l、0.5mol/l、0.6mol/lとなるように溶解したもの)を両電極の隙間に毛細管現象を利用して染み込ませることにより光化学電池を作製した。
【0060】
実施例3−4(変換効率の測定)
得られた光化学電池の光電変換効率を英弘精機株式会社製のソーラーシュミレーターを用い、100mW/cm
2の擬似太陽光を照射し測定した。
【0061】
表1に、本発明の二核ルテニウム錯体色素(1a)及び(2a)、比較色素として、二核ルテニウム錯体色素の比較色素1;[(H
2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)
2](PF
6)〔R
1、R
2、R
3、R
4=Hである式(1)の錯体〕、比較色素2;[(H
2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(dtbpy)
2](PF
6)〔R
1、R
2、R
3、R
4=t−ブチル基である式(1)の錯体〕、比較色素3;[(H
2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(dnbpy)
2](PF
6)〔R
1、R
2、R
3、R
4=n−ノニル基である式(1)の錯体〕、及び単核ルテニウム錯体色素の比較色素4(N719;Ruthenium 535−bisTBA,ソーラロニクス社製)の変換効率の測定結果を示す。なお、比較色素1〜3は、国際公開第2006/038587号を参照して合成した。
【0062】
【表1】
【0063】
表1の結果から、炭素原子数12のアルキル基を有する本発明の二核ルテニウム錯体色素(1a)及び(2a)は、置換基(アルキル基)を有さない二核ルテニウム錯体色素(比較色素1)、及び炭素原子数4または9のアルキル基を有する二核ルテニウム錯体色素(比較色素2,3)、及び既存の高効率型単核ルテニウム錯体色素(比較色素4;N719)よりも高い変換効率を示すことがわかる。また、本発明の二核ルテニウム錯体色素(1a)及び(2a)は、既存の高効率型単核ルテニウム錯体色素(比較色素4;N719)よりも耐久性に優れている。これにより、本発明の二核ルテニウム錯体色素(1a)及び(2a)が高い性能の光化学電池を製造するための色素となり得ることが分かる。
【0064】
実施例4A−1(単核ルテニウム錯体(M−1’);[Ru(H
2dcbpy)
2Cl
2]の合成)
500mLの三口フラスコに塩化ルテニウム・3水和物(3価調整品)(3.229g,12.35mmol)、H
2dcbpy(5.731g,23.47mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド300mLを加え、脱気した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら45分間還流させた。放冷後、反応液を吸引濾過し、濾液を減圧濃縮し、アセトン:ジエチルエーテル=1:4の混合溶媒に懸濁させ、吸引濾過によって濾物を得た。2mol/L塩酸300mLに懸濁させ、30分間超音波攪拌を行い、さらに30分間室温で攪拌した。そして、吸引濾過によって、単核ルテニウム錯体(M−1’)[Ru(H
2dcbpy)
2Cl
2]を7.747g得た。
【0065】
実施例4A−2(単核ルテニウム錯体(M−2’)[(BiBzIm)Ru(mdbpy)
2]〔R
1、R
3=メチル基、R
2、R
4=n−ドデシル基である式(3)の錯体〕の合成)
窒素雰囲気下、200mLの三口フラスコにdmbpy(0.965g,5.232mmol)及びテトラヒドロフラン75mLを加えた。その溶液の入ったフラスコを氷冷しながら、1.14Mリチウムジイソプロピルアミドのヘキサン/テトラヒドロフラン溶液(4.4mL,5.016mmol)を緩やかに滴下し、1時間攪拌した。その後、エタノール−ドライアイス系で冷却し、1−ブロモウンデカン(1.293g,5.499mmol)を緩やかに滴下し、2時間攪拌した。その後、室温で一晩攪拌した。その反応溶液の入ったフラスコを氷冷し、メタノール5mLを加え、ジエチルエーテル−水系で溶媒分画し、ジエチルエーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、塩基性アルミナでカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:1→50:1)で精製し、mdbpy0.486gを得た。
【0066】
次に、窒素雰囲気下、200mLの三口フラスコにmdbpy(0.464g,1.372mmol)、[Ru(cod)Cl
2]
n(0.188g,0.671mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド70mLを加え、脱気した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら24分間還流させた。放冷後、減圧濃縮し、エタノール20mL、水10mLに懸濁させ、吸引濾過によって回収し、エタノール:水=2:1の混合溶媒で洗浄し、[Ru(mdbpy)
2Cl
2]0.292gを得た。
【0067】
次に、窒素雰囲気下、20mLのシュレンクにRu(mdbpy)
2Cl
2(0.146g,0.172mmol)、BiBzImH
2(0.045g,0.192mmol)及びエチレングリコール7mLを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら14分間還流させた。放冷後、エタノール7mLを加え、吸引濾過によって濾液を回収した。その濾液に水11mLを加え、2mLの水に溶解したヘキサフルオロリン酸アンモニウム(0.112g,0.687mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、析出物を濾取し、水で洗浄後、[(BiBzImH
2)Ru(mdbpy)
2](PF
6)
20.200gを得た。
【0068】
続いて、窒素雰囲気下、20mLのシュレンクに[(BiBzImH
2)Ru(mdbpy)
2](PF
6)
2(0.180g,0.139mmol)、メタノール6mL、及び10%リチウムメトキシドメタノール溶液1.06mL(2.791mmol)を加え、脱気した後、1時間還流させた。放冷後、吸引濾過によって濾液を回収し、単核ルテニウム錯体(M−2’)[(BiBzIm)Ru(mdbpy)
2]とリチウムメトキシドの混合物0.304gを得た。
【0069】
実施例4−1(二核ルテニウム錯体色素(3a)〔R
1、R
3=メチル基、R
2、R
4=n−ドデシル基である式(1)の錯体〕の合成)
50mLサンプル管に単核ルテニウム錯体(M−2’)(リチウムメトキシドとの混合物;0.304g,0.139mmol相当)、水30mL、及び単核ルテニウム錯体(M−1’)(0.101g,0.145mmol)を加え、30分間攪拌した。その反応液にN,N−ジメチルホルムアミド30mLを加え、200mLの三口フラスコに移した。そのフラスコに、さらにN,N−ジメチルホルムアミド60mLを加え、脱気した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら34分間還流させた。反応液を減圧濃縮し、水50mLを加え、懸濁させた後、吸引濾過によって二核ルテニウム錯体色素(3a)を得た。ESI−MS(−):m/z:798.25。
【0070】
実施例4−2(二核ルテニウム錯体色素(3a)〔R
1、R
3=メチル基、R
2、R
4=n−ドデシル基である式(1)の錯体〕の合成)
30mLのシュレンクに[(BiBzImH
2)Ru(mdbpy)
2](PF
6)
2(0.143g,0.101mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド5mL、ターシャリーブトキシカリウム(0.023g,0.209mmol)、及び単核ルテニウム錯体(M−1)(0.113g,0.111mmol)を加え、脱気した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しながら24分間還流させた。放冷後、反応液を減圧濃縮し、0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液を24mL加え、100℃で2時間加熱した。放冷後、吸引濾過により不溶物を除去し、水で洗浄した後、濾液を0.74mol/Lヘキサフルオロリン酸水溶液でpH3.8にし、一晩静置した。沈殿を吸引濾過によって回収し、pH3.8ヘキサフルオロリン酸水溶液で洗浄後、真空乾燥した。乾燥したものをアセトン:ジエチルエーテル=1:8で洗浄し、吸引濾過によって濾物を回収後、真空乾燥を行い、二核ルテニウム錯体色素(3a)を得た。