特許第5761097号(P5761097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761097
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】空気調和装置の室内機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20150723BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   F24F1/00 401E
   F24F1/00 361D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-69792(P2012-69792)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-200097(P2013-200097A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺野 賢治
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−097995(JP,A)
【文献】 特開2000−257905(JP,A)
【文献】 特開2007−205660(JP,A)
【文献】 実開平04−061220(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース(31)と、本体ケース(31)内に配置された送風機(19)、熱交換器(13)、及びドレンパン(33)と、前記送風機(19)によって空気が吸い込まれる吸込空間と空気が吹き出される吹出空間とに前記本体ケース(31)の内部を区画する仕切り板(42)と、前記吸込空間及び前記吹出空間の一方に配置された前記電気部品(28,63,65)と、同他方に配置された電装品ユニット(58)と、を備え、前記電気部品(28,63,65)の電気配線(64)が、前記仕切り板(42)を通過して前記電装品ユニット(58)に接続されている空気調和装置の室内機において、
前記室内機の設置状態における前記仕切り板(42)の下縁に、前記電気配線(64)が挿通される切り欠き部(71)が形成され、
前記ドレンパン(33)には、前記切り欠き部(71)に下方から上方へ嵌合されることによって、当該切り欠き部(71)の周縁とともに前記電気配線(64)を包囲する嵌合部(73)が形成されていることを特徴とする空気調和装置の室内機。
【請求項2】
前記切り欠き部(71)の周縁と前記電気配線(64)との間、及び/又は前記電気配線(64)と前記嵌合部(73)との間に、弾性シール部材(75)が挟み込まれている、請求項1に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項3】
前記切り欠き部(71)の周縁に第2の弾性シール部材(72)が設けられ、この第2の弾性シール部材(72)に前記嵌合部(73)が圧接されている、請求項1又は2に記載の空気調和装置の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、天井に収容される天井埋込式の室内機を備えた空気調和装置が開示されている。この室内機は、箱型の本体ケースの下面に化粧パネルを備え、この化粧パネルに空気の吸込口と吹出口とが設けられている。本体ケースの内部は、仕切り板によって機械室と熱交換室とに区画され、機械室には送風機ユニットが配置され、熱交換室には熱交換器、ドレンパン、ドレンポンプ、電動膨張弁等が配置されている。また、本体ケース内の機械室には、送風機ユニットやドレンポンプ等の電気部品を制御する制御基板等を収容した電装品ボックスが設けられている。
【0003】
送風機ユニットは、化粧パネルの吸込口から機械室内の空間(吸込空間)に取り入れた空気を吸い込むとともに、吸い込んだ空気を熱交換室内の空間(吹出空間)に吹き出す。そして、吹出空間に吹き出された空気は熱交換器との間で熱交換された後に化粧パネルの吹出口から吹き出され、室内の温度や湿度を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−97995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような室内機においては、本体ケース内の熱交換室に配置されたドレンポンプや電動膨張弁等の電気部品の電気配線は、仕切り板を通過して機械室内の電装品ボックス内に引き込まれている。
従来は、電気配線を通すための貫通孔が仕切り板に形成されていた。そのため、この貫通孔に対して全ての電気配線をその先端側から通すという面倒な作業が必要であった。また、貫通孔を介して機械室と熱交換室との間で空気が流通しないように、当該貫通孔には電気配線だけでなくシール部材をも押し込まなければならず、より一層面倒な作業が必要であった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑み、本体ケース内の吸込空間と吹出空間との間を仕切る仕切り板に簡単に電気配線を通すことができる空気調和装置の室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、本体ケースと、本体ケース内に配置された送風機、熱交換器、及びドレンパンと、前記送風機によって空気が吸い込まれる吸込空間と空気が吹き出される吹出空間とに前記本体ケースの内部を区画する仕切り板と、前記吸込空間及び前記吹出空間の一方に配置された前記電気部品と、同他方に配置された電装品ユニットと、を備え、前記電気部品の電気配線が、前記仕切り板を通過して前記電装品ユニットに接続されている空気調和装置の室内機において、
前記室内機の設置状態における前記仕切り板の下縁に、前記電気配線が挿通される切り欠き部が形成され、
前記ドレンパンには、前記切り欠き部に下方から上方へ嵌合されることによって、当該切り欠き部の周縁とともに前記電気配線を包囲する嵌合部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、仕切り板に形成された切り欠き部に電気配線の中途部を挿入し、さらに、切り欠き部にドレンパンの嵌合部を嵌合させることによって、簡単に仕切り板に電気配線を通すことができる。そのため、本体ケース内の配線作業を迅速に行うことができ、室内機の組立性を高めることができる。切り欠き部に嵌合される嵌合部は、ドレンパンに形成されるので、部品点数が増えることもない。
【0009】
前記切り欠き部は、前記仕切り板の下縁に形成され、前記嵌合部は、前記切り欠き部に対して下方から上方へ嵌合される。
ドレンパンは、通常、本体ケースの下部に下方から嵌め込まれることによって組み付けられるため、このドレンパンの組み付けの過程で、切り欠き部に対して嵌合部を容易に嵌合させることができる。
【0010】
前記切り欠き部の周縁と前記電気配線との間、及び/又は前記電気配線と前記嵌合部との間に、弾性シール部材が挟み込まれていることが好ましい。
このように、切り欠き部の周縁と電気配線との間、及び/又は電気配線と嵌合部との間にシール部材を挟み込むことによって、これらの間を好適にシールすることができ、従来のように貫通孔に対して電気配線とともにシール部材を押し込むような面倒な作業を不要とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記切り欠き部の周縁に第2の弾性シール部材が設けられ、この第2の弾性シール部材に前記嵌合部が圧接されることが好ましい。
この構成によれば、切り欠き部の周縁と嵌合部との間を第2の弾性シール部材によって好適にシールすることができ、両者の隙間から吸込空間と吹出空間との間で空気が流通するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体ケース内の吸込空間と吹出空間との間を仕切る仕切り板に簡単に電気配線を通すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態における空気調和装置の構成図である。
図2】空気調和装置の室内機を示す側面断面図(図3のA−A矢視断面図)である。
図3】室内機の平面説明図である。
図4】室内機の正面図である。
図5】室内機の底面図である。
図6】室内機の側面断面図(図3のB−B矢視断面図)である。
図7図6のC−C矢視図である。
図8】ガイド爪を示す斜視図である。
図9】切り欠き部及び嵌合部を示す側面断面図である。
図10】切り欠き部及び嵌合部を示す正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における空気調和装置の構成図である。この空気調和装置10は、室内機(利用側ユニット)11と室外機(熱源側ユニット)12とを備えている。
室外機12には、圧縮機14、四路切換弁18、室外熱交換器15、室外膨張弁16等が設けられ、これらは冷媒配管25によって接続されている。また、室外機12には、室外送風ファン20が設けられている。
【0015】
室外機12の内部冷媒回路の端末部には、ガス側閉鎖弁22と液側閉鎖弁23とが設けられている。ガス側閉鎖弁22は四路切換弁18側に配置されており、液側閉鎖弁23は室外膨張弁16側に配置されている。
室内機11には、室内膨張弁28及び室内熱交換器13等が設けられている。ガス側閉鎖弁22と室内熱交換器13とはガス側冷媒連絡配管24により接続され、液側閉鎖弁23と室内膨張弁28とは液側冷媒連絡配管26により接続されている。
【0016】
上記構成の空気調和装置10において、冷房運転を行う場合には、四路切換弁18が図1において実線で示す状態に保持される。そして、実線矢印で示すように、圧縮機14から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁18を経て室外熱交換器15に流入し、室外送風ファン20の作動により室外空気と熱交換して凝縮・液化する。液化した冷媒は、ほぼ全開状態の室外膨張弁16を通過し、液側冷媒連絡配管26を通って室内機11に流入する。室内機11において、冷媒は、室内膨張弁28で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器13で室内空気と熱交換して蒸発する。そして、冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は室内送風ファン19によって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。また、室内熱交換器13で蒸発して気化した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管24を通って室外機12に戻り、四路切換弁18を経て圧縮機14に吸い込まれる。
【0017】
他方、暖房運転を行う場合には、四路切換弁18が図1において破線で示す状態に保持される。そして、点線矢印で示すように、圧縮機14から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁18を経て室内機11の室内熱交換器13に流入し、室内空気と熱交換して凝縮・液化する。冷媒の凝縮によって加熱された室内空気は、室内送風ファン19によって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器13において液化した冷媒は、ほぼ全開状態の室内膨張弁28から液側冷媒連絡配管26を通って室外機12に戻る。室外機12に戻った冷媒は、室外膨張弁16で所定の低圧に減圧され、室外熱交換器15において室外空気と熱交換して蒸発する。そして、室外熱交換器15で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁18を経て圧縮機14に吸い込まれる。
【0018】
図2は、空気調和装置10の室内機11を示す側面断面図(図3のA−A矢視断面図)、図3は、室内機11の平面説明図、図4は、室内機11の正面図、図5は、室内機11の底面図である。
室内機11は、室内の天井裏等に設置される天井埋込型の室内機であり、本体ケース31、化粧パネル32、室内送風ファン19、室内熱交換器13、ドレンパン33等を備えている。
【0019】
本体ケース31は、平面視で四角形状の上壁部35と、この上壁部35の4辺から下方に垂下された4枚の周壁部(前壁部36、後壁部37、左壁部38、右壁部39)とから下方に開放した箱形状に形成されている。そして、本体ケース31における下端の開口部に化粧パネル32が取り付けられている。本体ケース31は、図4に示されるように、天井30の上方にある上階床の下面等に吊りボルト40を介して吊り下げられ、化粧パネル32は、天井30の下面に沿って配置されている。
【0020】
図2及び図3に示されるように、本体ケース31の内部は、仕切り板42によって送風機室43と熱交換室44とに区画されている。本明細書においては、送風機室43側を後側、熱交換室44側を前側とする。
化粧パネル32は、送風機室43の下方に吸込口45を備え、熱交換室44の前部側の下方に吹出口46を備えている。吸込口45には格子状のグリル47が取り付けられ、吹出口46には、空気の吹出方向を調整する導風板48が揺動可能に設けられている。
【0021】
図3に示されるように、送風機室43には、2台の室内送風ファン19が左右方向に間隔をあけて配置されている。2台の室内送風ファン19の間には電動モータ50が配置され、この電動モータ50によって両室内送風ファン19が駆動される。本実施の形態の室内送風ファン19は、図2に示されるように、略円筒形状のケーシング19aと、このケーシング19a内に設けられた羽根車19bとからなるシロッコファンである。ケーシング19aの側面には吸込口19a1が形成され、ケーシング19aの前部には吐出口19a2が前方に向けて突出されている。吐出口19a2は、仕切り板42に形成された開口にシールされた状態で挿入されている。
【0022】
室内送風ファン19が作動すると、室内の空気は吸込口45から送風機室43内に取り入れられ、ケーシング19aの吸込口19a1に吸い込まれた後、吐出口19a2から熱交換室44に吹き出される。したがって、送風機室43内の空間は、室内送風ファン19によって空気が吸い込まれる「吸込空間」とされ、熱交換室44の空間は、室内送風ファン19によって空気が吹き出される「吹出空間」とされる。
【0023】
熱交換室44には、室内熱交換器13が配置されている。室内熱交換器13は、例えば、左右方向に所定間隔で並べて配置された多数のフィンと、このフィンを貫通するように設けられた伝熱管とを含むクロスフィン型のフィンアンドチューブ式熱交換器とされている。この室内熱交換器13は、上部が前側(吹出口46側;空気流の下流側)に位置し、かつ下部が後側(室内送風ファン19側;空気流の上流側)に位置するように傾斜して配置されている。そして、室内送風ファン19から熱交換室44に吹き出された空気は、室内熱交換器13との間で熱交換され、その後に吹出口46から室内に吹き出される。なお、室内熱交換器13の下方には、ドレンパン33が設けられ、室内熱交換器13で発生した結露水がドレンパン33によって受け止められるようになっている。
【0024】
ドレンパン33は、発泡スチロール等の断熱性の高い材料によって形成されており、断熱材としても機能している。また、図2及び図3に示されるように、熱交換室44における本体ケース31の上壁部35、前壁部36、左右壁部38,39の内面には、それぞれ発泡スチロール等からなる断熱材54〜57が設けられている。
【0025】
図6は、室内機の側面断面図(図3のB−B矢視断面図)である。図3及び図6に示されるように、送風機室43の右端部には電装品ユニット58が配置されている。この電装品ユニット58は、電装品箱59と、この電装品箱59に収容された制御基板60や端子台61等からなる。また、熱交換室44の右端部には、室内熱交換器13に接続される分流器やヘッダ等の配管群62や、ドレンポンプ63、室内膨張弁28、サーミスタ等の電気部品が配置されている。そして、これらの電気部品の電気配線64は、熱交換室44から仕切り板42を通して電装品ユニット58に接続されている。
【0026】
図6に示されるように、ドレンポンプ63は、内蔵されたモータ(アクチュエータ)が作動することによって、ドレンパン33に貯留された結露水を外部へ排出するものである。ドレンポンプ63は、取付台(取付部材)66を介して本体ケース31の上壁部35に取付固定されている。また、取付台66には、フロートセンサ65も取り付けられている。ドレンポンプ63及びフロートセンサ65は、連結枠67によって1ユニットとして組み立てられている。
【0027】
取付台66は、前後の脚板69と、両脚板69の下端部同士を接続する台板70とから側面視でコの字形状に形成されている。脚板69の上端部は、上壁部35に固定されている。
連結枠67には、室内膨張弁28、サーミスタ、フロートセンサ65、ドレンポンプ63等の電気配線64をガイドするガイド爪68が一体に形成されている。このガイド爪68によって、電気配線64がドレンパン33側へ垂れ下がらないように支持されている。
【0028】
図7は、図6のC−C矢視図であり、図8は、ガイド爪68を示す斜視図である。
室内膨張弁28(図6参照)やサーミスタ等の電気配線64は、ガイド爪68によってガイドされて後方へ導かれ、仕切り板42を通過して送風機室43内の電装品箱59に引き込まれている。仕切り板42には、電気配線64を通過させるための切り欠き部71が形成されている。
ガイド爪68は、連結枠67におけるドレンポンプ63の支持部分67aと、フロートセンサ65の支持部分67bとにそれぞれ設けられている。
【0029】
図8に示されるように、ガイド爪68は、一対の下向き爪68aと上向き爪68bとから構成されており、これらの下向き爪68aと上向き爪68bとによって電気配線64を上下から挟み込むように構成されている。これによりガイド爪68によって電気配線64を確実に支持することができるとともに、ガイド爪68に対する電気配線64の係合・離脱の操作も容易に行うことができる。
【0030】
図9は、切り欠き部及び嵌合部を示す側面断面図であり、図10は、切り欠き部及び嵌合部を示す正面説明図である。
切り欠き部71は、仕切り板42の下縁から上方へ向けて形成されている。また、切り欠き部71は略コの字状に形成されている。切り欠き部71の周縁には、ゴムやスポンジ(発泡部材)等の弾性材料からなる弾性シール部材72が取り付けられている。
【0031】
また、切り欠き部71には、ドレンパン33に形成された嵌合部73が嵌合されている。この嵌合部73は、略立方体形状に形成されており、ドレンパン33の後壁から後方に突出している。そして、切り欠き部71に嵌合部73を嵌合すると、切り欠き部71の周縁と嵌合部73との間には空間が形成され、この空間に電気配線64が配置されるようになっている。
【0032】
嵌合部73と電気配線64との間には弾性シール部材75が挟み込まれている。この弾性シール部材75は、熱交換室44と送風機室43との間の空気の流通を防止するものであり、スポンジやゴム等の弾性材料から形成されている。また、電気配線64と切り欠き部71の周縁との間には、当該周縁に取り付けられた弾性シール部材72が配置され、両者の間からの空気の流通も防止されている。また、弾性シール部材72は、切り欠き部71に嵌合された嵌合部73の側面にも圧接されており、これによって切り欠き部71と嵌合部73との間からの空気の流通も防止されている。
【0033】
本実施の形態では、室内機11を組み立てる際、本体ケース31にドレンパン33を装着する前に熱交換室44側からの電気配線64を切り欠き部71に挿入し、送風機室43側に引き込んでおく。その後、本体ケース31の下部開口に対して下方から上方にドレンパン33を嵌め込み、それと同時に切り欠き部71に対して嵌合部73を挿入する。これによって、切り欠き部71の周縁と嵌合部73とによって電気配線64を包囲し、電気配線64を保持することができる。
【0034】
従来は、仕切り板42に対して貫通孔を形成するとともに、この貫通孔に対して電気配線64を挿通することによって熱交換室44から送風機室43内に電気配線64を引き込んでいたが、この場合、電気配線64を先端側から貫通孔に挿入しなければならなので、作業が非常に面倒であり、また、貫通孔と電気配線64との隙間を埋めるための弾性シール部材を貫通孔内に押し込まなければならないので、より作業が面倒となっていた。
【0035】
本実施の形態の場合、本体ケース31に対してドレンパン33を装着する前に、切り欠き部71に電気配線64の中途部を挿入しておき、ドレンパン33を装着することによって嵌合部73を切り欠き部71に嵌合させるだけでよいので、電気配線64を仕切り板42に通す作業が極めて簡単となる。また、電気配線64と嵌合部73との間の弾性シール部材75も、両者の間に挟み込むだけでよいので簡単に取り付けることができる。
【0036】
また、嵌合部73はドレンパン33に対して形成されているため、部品点数が増加することもなく、ドレンパン33を成形する際に嵌合部73を一体に成形することができる。さらに、切り欠き部71は、仕切り板42の下縁に形成されているため、本体ケース31に対してドレンパン33を装着する動作によって切り欠き部71を嵌合部73に対して嵌合させることができる。また、嵌合部73は、切り欠き部71に嵌合することによってドレンパン33の位置決めを行う機能をも有している。さらに、切り欠き部71に取り付けられた弾性シール部材72は、嵌合部73に圧接することによってドレンパン33の一部を仕切り板42に固定する機能をも有している。
【0037】
なお、本実施の形態では、電気配線64と切り欠き部71の周縁との間のシールは、第2シール部材72のみによって行われているが、これらの間も弾性シール部材75と同様の弾性材料を挟み込むことによってシールしてもよい。
また、以上の説明では、室内機11の設置状態を基準として上下方向を定めているが、室内機11の組立段階では、通常、本体ケース31を上下反転させた状態で各種部品が組み付けられる。したがって、室内機の組立に関する上記の説明は、上下を反転させて読み替えれば現実に則した説明になる。例えば、ドレンパン33は、下部開口を上方に向けた本体ケースに対して裏向きの状態で上方から下方にはめ込まれ、このとき、嵌合部73は、仕切り板42の上縁に配置された切り欠き部71に上方から下方に嵌合されることになる。
【0038】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更することができる。
例えば、上記実施の形態においては、送風ファン19と熱交換器13とが仕切り板42によって仕切られた吸込空間と吹出空間とに配置されていたが、共に吸込空間に配置されていてもよい。また、仕切り板42を通過する電気配線64は、上記実施の形態のようにドレンポンプ63、フロートセンサ65、室内膨張弁28、サーミスタの少なくとも一つ、又はこれら以外の電気部品における電気配線であってもよい。また、電装品ユニット58と電気部品63,65,28とは、いずれか一方が吸込空間に、他方が吹出空間に配置されていればよい。
【0039】
本発明は、天井埋込型の室内機に限らず、天井吊り型、壁掛け型等の他の形式の室内機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 :空気調和装置
13 :室内熱交換器
19 :送風機
28 :室内膨張弁(電気部品)
31 :本体ケース
33 :ドレンパン
42 :仕切り板
43 :送風機室(吸込空間)
44 :熱交換室(吹出空間)
58 :電装品ユニット
63 :ドレンポンプ(電気部品)
64 :電気配線
65 :フロートセンサ(電気部品)
71 :切り欠き部
72 :弾性シール部材(第2の弾性シール部材)
73 :嵌合部
75 :弾性シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10