(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操舵時に把持するリング部、該リング部の中央に配置されるボス部、及び、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部、を有したステアリングホイール本体と、前記ボス部の上部に配設されるエアバッグ装置と、を備える構成とし、
前記ステアリングホイール本体が、前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を相互に連結するように配設される芯金を備えて構成されるとともに、
前記スポーク部として、前記ボス部から左右両側に延びる前側スポーク部と前記ボス部から後側に延びる後側スポーク部との二種類を有して構成され、
前記芯金における前記エアバッグ装置の下方のエリアに、前記エアバッグ装置の押下操作により前記エアバッグ装置側の組付部を組付可能な組付座が、配設されるとともに、
前記芯金における前記前側スポーク部と前記後側スポーク部とにそれぞれ配置される前側スポーク芯金部と後側スポーク芯金部とが、それぞれ、前記組付座を配設された部位から斜め上方に延びて、前記芯金における前記リング部に配置されるリング芯金部に連結されるように、構成されているエアバッグ装置を備えたステアリングホイールであって、
前記後側スポーク芯金部が、
前記組付座の後縁から前記リング芯金部に連なる部位に、前記リング部の上面側のリング面と略直交する縦杆部の上端と前記リング面と略平行となる横杆部の前端とを連結させる屈曲部位を備え、
該屈曲部位を、車両搭載状態の前記リング芯金部の後端に対して、水平方向の押圧力を作用させた際、前記後側スポーク芯金部の前記組付座の変位を抑制して、前記縦杆部と前記横杆部との交差角度を狭めるように曲げ塑性変形させる応力集中部とするように、
構成されるとともに、
前記組付座の後縁の第1屈曲部から、前記リング面と略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくして、上方の前記リング芯金部側に延びる第1縦杆部と、
該第1縦杆部の上端の第2屈曲部から、前記リング面と略平行とするように高さ方向の勾配を小さくして、前記リング芯金部側に延びる第1横杆部と、
該第1横杆部の後端の第3屈曲部から、前記リング面と略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくして、上方の前記リング芯金部側に延びる第2縦杆部と、
該第2縦杆部の上端の第4屈曲部から、前記リング面と略平行とするように高さ方向の勾配を小さくして、前記リング芯金部側に延びて前記リング芯金部と接続される第2横杆部と、
を備えて構成され、
前記第1横杆部が前記第2横杆部より長さ寸法を長くし、前記第1縦杆部と前記第1横杆部との交差角度が、前記第2縦杆部と前記第2横杆部との交差角度より、90°に接近するように、小さく設定されて、前記第2屈曲部が、前記応力集中部としての前記屈曲部位を構成するように、配設されていることを特徴とするエアバッグ装置を備えたステアリングホイール。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置を備えたステアリングホイールでは、操舵時に把持するリング部、リング部の中央に配置されるボス部、及び、リング部とボス部とを連結するスポーク部、を有したステアリングホイール本体と、ボス部の上部に配設されるエアバッグ装置と、を備えて構成されていた(例えば、特許文献1参照)。ステアリングホイール本体は、リング部、ボス部、及び、スポーク部を相互に連結するように配設される芯金を備えて構成されていた。また、スポーク部が、ボス部から左右両側に延びる前側スポーク部とボス部から後側に延びる後側スポーク部との二種類を有して構成されていた。
【0003】
さらに、芯金におけるエアバッグ装置の下方のエリアには、エアバッグ装置の押下操作によりエアバッグ装置側の組付部を組付可能な組付座が、配設されていた。また、芯金における前側スポーク部と後側スポーク部とにそれぞれ配置される前側スポーク芯金部と後側スポーク芯金部とは、それぞれ、組付座を配設された部位から斜め上方に延びて、芯金におけるリング部に配置されるリング芯金部に連結されるように、構成されていた。
【0004】
このステアリングホイールでは、エアバッグ装置の後部側の組付部が、左右方向に延びて、前方側に撓み可能な係止ピンを配設させて構成され、後側スポーク芯金部の組付座が、係止ピンの後面側から上面側にかけて係止可能なフックから形成されており、エアバッグ装置を上方から押し下げれば、エアバッグ装置の後部側では、係止ピンがフックの上面側の案内面により前方に撓んだ後、復元してフックの下面側の係止面に係止されて、エアバッグ装置がステアリングホイール本体に組み付けられて保持されていた。
【0005】
そして、このステアリングホイールでは、車両搭載状態で、リング部の後部に対して、乗員の干渉により水平方向の押圧力が作用した際、フックにおける係止ピンの係合力を高めてエアバッグ装置の保持を解除しないように、後側スポーク芯金部に、組付座のフックを前方側に傾斜させるように押圧する台座部を、配設させていた。
【0006】
なお、この種のステアリングホイールでは、エアバッグ装置側の組付部が、先端を拡径させた係止頭部を備えて構成され、芯金側の組付座が、係止頭部を挿入させる組付孔と、組付孔の下方周縁に配置されて係止頭部を係止可能な係止ピンと、を配設させて構成されて、エアバッグ装置の押下操作により、ワンタッチでステアリングホイール本体側にエアバッグ装置を組み付けて保持させるものもあった(例えば、特許文献2参照)。ちなみに、このような組付構造は、既述の特許文献1に記載のステアリングホイールにおける前側スポーク芯金部とエアバッグ装置との組付構造にも、採用されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のステアリングホイールでは、後側スポーク芯金部に、組付座を押圧可能な大きな台座部を、組付座と別に設ける構成であって、複雑な構成となっていた。
【0009】
また、従来のステアリングホイールでは、台座部が、組付座のフックを前方に押圧する構成のものであって、この組付構造と異なって、後側スポーク芯金部の組付座側が、組付孔と係止ピンと備えて構成され、エアバッグ装置の組付部側が、係止頭部を備えて構成される組付構造のタイプであれば、採用できない。すなわち、組付孔や係止ピンを設けた組付座を押すような台座部を設けては、その台座部が組付孔と係止ピンとを介在させて係止頭部を移動させてしまい、逆に、エアバッグ装置の保持を解除させる虞れが生ずるからである。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、芯金を複雑な構成とせず、かつ、組付構造に左右されずに、リング部への押圧力の作用時に、安定してエアバッグ装置を保持可能なエアバッグ装置を備えたステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るステアリングホイールは、操舵時に把持するリング部、該リング部の中央に配置されるボス部、及び、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部、を有したステアリングホイール本体と、前記ボス部の上部に配設されるエアバッグ装置と、を備える構成とし、
前記ステアリングホイール本体が、前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を相互に連結するように配設される芯金を備えて構成されるとともに、
前記スポーク部として、前記ボス部から左右両側に延びる前側スポーク部と前記ボス部から後側に延びる後側スポーク部との二種類を有して構成され、
前記芯金における前記エアバッグ装置の下方のエリアに、前記エアバッグ装置の押下操作により前記エアバッグ装置側の組付部を組付可能な組付座が、配設されるとともに、
前記芯金における前記前側スポーク部と前記後側スポーク部とにそれぞれ配置される前側スポーク芯金部と後側スポーク芯金部とが、それぞれ、前記組付座を配設された部位から斜め上方に延びて、前記芯金における前記リング部に配置されるリング芯金部に連結されるように、構成されているエアバッグ装置を備えたステアリングホイールであって、
前記後側スポーク芯金部が、
前記組付座の後縁から前記リング芯金部に連なる部位に、前記リング部の上面側のリング面と略直交する縦杆部の上端と前記リング面と略平行となる横杆部の前端とを連結させる屈曲部位を備え、
該屈曲部位を、車両搭載状態の前記リング芯金部の後端に対して、水平方向の押圧力を作用させた際、前記後側スポーク芯金部の前記組付座の変位を抑制して、前記縦杆部と前記横杆部との交差角度を狭めるように曲げ塑性変形させる応力集中部とするように、
構成され
るとともに、
前記組付座の後縁の第1屈曲部から、前記リング面と略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくして、上方の前記リング芯金部側に延びる第1縦杆部と、
該第1縦杆部の上端の第2屈曲部から、前記リング面と略平行とするように高さ方向の勾配を小さくして、前記リング芯金部側に延びる第1横杆部と、
該第1横杆部の後端の第3屈曲部から、前記リング面と略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくして、上方の前記リング芯金部側に延びる第2縦杆部と、
該第2縦杆部の上端の第4屈曲部から、前記リング面と略平行とするように高さ方向の勾配を小さくして、前記リング芯金部側に延びて前記リング芯金部と接続される第2横杆部と、
を備えて構成され、
前記第1横杆部が前記第2横杆部より長さ寸法を長くし、前記第1縦杆部と前記第1横杆部との交差角度が、前記第2縦杆部と前記第2横杆部との交差角度より、90°に接近するように、小さく設定されて、前記第2屈曲部が、前記応力集中部としての前記屈曲部位を構成するように、配設されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るステアリングホイールでは、車両搭載状態で、リング芯金部の後端に対して水平方向の押圧力が作用しても、後側スポーク芯金部が、組付座からリング芯金部側に延びる部位において、リング面と略直交する縦杆部と、リング面と略平行な横杆部と、の交差した屈曲部位が、応力集中部として、縦杆部と横杆部との交差角度を狭めるように、曲げ塑性変形して、リング芯金部を変位させることとなる。そして、屈曲部位が、応力集中部として構成されており、後側スポーク芯金部の組付座の変位を抑制できることから、組付座は、エアバッグ装置の保持を解除するような変形を防止できる。
【0013】
また、本発明に係るステアリングホイールでは、応力集中部としての屈曲部位の塑性変形時、台座部等を使用して、組付座付近を押圧するような構成でなく、台座部等を介在させた組付座自体の変形を防止できるため、組付座が、エアバッグ装置側に設けた係止頭部を挿入させる組付孔や係止頭部を係止する係止ピンを設けた組付構造としていても、支障なく、エアバッグ装置を組み付けておくことができる。
【0014】
さらに、本発明に係るステアリングホイールでは、リング芯金部への押圧力の作用時に屈曲部位が曲げ塑性変形し易いように、後側スポーク芯金部に、リング面と略直交する縦杆部と、リング面と略平行な横杆部と、を単に交差させる屈曲部を設けるだけで、換言すれば、後側スポーク芯金部における組付座からリング芯金部までのエリアに、ボス部の中央側に角部を突出させるような階段状の屈曲部を設けるだけで、簡単に構成できる。
【0015】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置を備えたステアリングホイールでは、芯金を複雑な構成とせず、かつ、組付構造に左右されずに、リング部への押圧力の作用時に、安定してエアバッグ装置を保持できる。
【0017】
さらに、本発明に係るステアリングホイールでは、後側スポーク芯金部が、組付座からリング芯金部にかけて、ボス部の中央側に二つの角部を突出させた二段の階段状として構成され、ボス部の中央側に一つの角部を突出させた一段の階段状に構成する場合に比べて、ボス部側にエアバッグ装置の収納スペースを確保し易い。
【0018】
そして、応力集中部を構成する第2屈曲部からリング面と略平行に延びる第1横杆部が、第2横杆部より長い長さ寸法として、第2屈曲部を構成する第1縦杆部と第1横杆部との交差角度が、90°に近似しており、リング芯金部の後端への押圧力の作用時、第2横杆部より長い第1横杆部が、第2横杆部より大きな曲げモーメントを受け易く、また、第1横杆部の前端側の第2屈曲部の交差角度が、第2横杆部の前端側の第4屈曲部の交差角度より、90°に接近して小さいことから、第2屈曲部自体が第4屈曲部より曲がり易いことも相俟って、円滑に、応力集中部としての第2屈曲部が、曲げ塑性変形でき、一層、組付座の変形を抑制して、リング芯金部の後端を前方側に移動させることができる。
【0019】
上記の構成の場合、前記後側スポーク芯金部は、
前記ボス芯金部の左右両側から後方に延びる二本の後左側部及び後右側部を設けて構成するとともに、
前記後左側部と前記後右側部とを連結するように左右方向に沿って配置されて、中央に、前記後側スポーク芯金部に設けられる前記組付座を配設させた連結杆部、を設けて構成し、
前記後左側部と前記後右側部とは、それぞれ、前記組付座を設けた前記連結杆部の後縁側から前記リング芯金部側に延びるように、前記第1屈曲部、前記第1縦杆部、前記第2屈曲部、前記第1横杆部、前記第3屈曲部、前記第2縦杆部、前記第4屈曲部、及び、前記第2横杆部、を配設させて構成し、
前記後左側部と前記後右側部との前記第1縦杆部は、それぞれ、前記連結杆部の左右両端の後縁から、相互に略平行として上方に延びて、上端に前記第2屈曲部を配設させる構成とすることが望ましい。
【0020】
このような構成では、応力集中部としての第2屈曲部が、後側スポーク芯金部の左右に離れた後左側部と後右側部とに設けられており、曲げ塑性変形される際の回転中心軸を、左右の後左側部と後右側部との第2屈曲部相互を結ぶように、長く確保でき、ねじりを抑制した曲げ塑性変形が可能となって、押圧力作用時の変形状態を、ステアリングホイール毎に、より安定させることができる。
【0021】
さらに、後側スポーク芯金部の組付座は、変形する左右の第2屈曲部の前下側における連結杆部の左右方向中央に、離れて配置されることから、変形時の第2屈曲部の変形時の影響を受け難く、一層安定して、エアバッグ装置を保持できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のステアリングホイールWは、
図1に示すように、操舵時に把持するリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置60と、を備えて構成されている。
【0024】
なお、本明細書での上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWをステアリングシャフトSS(
図8参照)に接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、ステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、ステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、ステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の前後方向に対応している。
【0025】
ステアリングホイール本体1は、
図1〜3に示すように、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層40と、を備えて構成されている。また、スポーク部Sは、ボス部Bから左右両側に延びる前側スポーク部FSとボス部Bから後側に延びる後側スポーク部BSとの二種類を有して構成されている。
【0026】
なお、エアバッグ装置60の周囲には、装飾用の合成樹脂製のベゼル95が配設されている。ベゼル95は、エアバッグ装置60の左方側の左部96と、エアバッグ装置60の右方側の右部97と、エアバッグ装置60の後側の後部98と、を備えて構成されている。また、被覆層40は、リング部Rに配置されるリング被覆部41と、スポーク部Sに配置されるスポーク被覆部42と、を備えて構成され、スポーク被覆部42におけるリング被覆部41の近傍の厚肉部42aが、上方から見てベゼル95と隣接するように配設されている。また、スポーク被覆部42は、ベゼル95の左部96、右部97、及び、後部98の下方に延設される延設部42bを備え、延設部42bには、ベゼル95から延びる図示しない係止脚を係止させるベゼル係止孔44,45,46,47が形成されている。
【0027】
さらに、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、図示しないロアカバーを配設させて構成されている。
【0028】
芯金2は、アルミニウム合金等の鋳造品であり、リング部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されるボス芯金部4、スポーク部Sに配置されるスポーク芯金部5、を備えて相互に連結されるように配設されている。ボス芯金部4は、ステアリングシャフトSSを挿入させてナットN止めする締結部4aと、締結部4aの周囲の長方形板状のプレート部4bと、を備えて構成されている(
図6,7参照)。スポーク芯金部5は、左右の前側スポーク部FSに配置される前側スポーク芯金部6(6L,6R)と、後側スポーク部BSに配置される後側スポーク芯金部7と、を備えて構成されている。
【0029】
そして、実施形態の場合、後側スポーク芯金部7は、ボス芯金部4の板状のプレート部4bの左右両側における前側スポーク芯金部6付近から、相互に平行に後方に延びる二本の後左側部7L及び後右側部7Rを備えて構成されている。
【0030】
さらに、芯金2には、エアバッグ装置60の下方のエリアに、エアバッグ装置60の押下操作によりエアバッグ装置60側の組付部80(
図4,5参照)を組付可能な組付座35(35F,35B)が、配設されている。そして、前側スポーク芯金部6(6L,6R)と後側スポーク芯金部7とは、それぞれ、組付座35を配設された部位から斜め上方に延びて、リング芯金部3に連結されるように、構成されている。
【0031】
これらの組付座35は、それぞれ、組付部80を挿入する組付孔36と、組付孔36の下方周縁に配置される係止ピン38と、を備えて構成されている。係止ピン38は、弾性変形可能な金属線材から形成され、反転部38bを間にして、長さの短い短杆部38aと、長さの長い長杆部38cと、を有した平面視で略J字形状としている。そして、係止ピン38は、組付孔36の開口部位に、長杆部38c側の係止軸部38dを配置させて、芯金2側に設けられた係止部37に係止されている。
【0032】
なお、組付座35(35F,35B)は、各々の組付孔36の周縁の高さを、ボス芯金部4の締結部4aの上面から同じ高さとなるように、構成されている。
【0033】
係止部37は、組付座35F,35Bとで若干の形状の相違があるものの、基本的な構成を同様として、係止軸部38dの短杆部38aから離れる方向への移動を許容しつつ、短杆部38a、反転部38b、及び、長杆部38cの先端を位置規制し、係止ピン38を係止するように、構成されている。
【0034】
また、実施形態のステアリングホイール本体1では、後側スポーク芯金部7の後左側部7Lと後右側部7Rとが、後方に延びる中間部位で、左右方向に沿って配置される連結杆部8によって、相互に連結されている。連結杆部8には、左右方向の中央に、組付座35Bを配設させている。
【0035】
そして、後左側部7Lと後右側部7Rとは、
図3,7に示すように、それぞれ、組付座35Bを設けた連結杆部8の後縁8a側から上方に延びつつリング芯金部3側に延びている。
【0036】
詳しく述べれば、後左側部7Lと後右側部7Rとのそれぞれの連結杆部8からリング芯金部3側となる先端部10は、二段の角部C,Cを形成するような階段状として、リング芯金部3に接続されている。すなわち、先端部10は、後縁8a側を第1屈曲部11とし、その第1屈曲部11から、リング部Rの上面側のリング面RPと略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくする第1縦杆部21が、リング芯金部3側の上方に延びている。そして、第1縦杆部21の上端21aを第2屈曲部12とし、この第2屈曲部12から、リング面RPと略平行とするように高さ方向の勾配を小さくする第1横杆部31が、リング芯金部3側に延びている。さらに、第1横杆部31の後端31bの第3屈曲部13から、リング面RPと略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくする第2縦杆部22が、上方のリング芯金部3側に延びている。そしてさらに、第2縦杆部22の上端22aを第4屈曲部14とし、この第4屈曲部14から、リング面RPと略平行とするように高さ方向の勾配を小さくした第2横杆部32が、リング芯金部3側に延びてリング芯金部3と接続されている。
【0037】
したがって、これらの先端部10では、後左側部7Lと後右側部7Rとの第2屈曲部12と第4屈曲部14とが、ボス部Bの上部側に突出するような角部Cを形成し、二段の階段形状としている。
【0038】
さらに、これらの先端部10では、第1横杆部31の前後方向の長さ寸法L1が第2横杆部32の前後方向の長さ寸法L2より長く、かつ、第1縦杆部21と第1横杆部31との交差角度θ1が、第2縦杆部22と第2横杆部32との交差角度θ2より、90°に接近するように、小さく設定されて(実施形態ではθ1≒100°、θ2≒130°)、第2屈曲部12が、応力集中部15として、押圧力FP(
図8参照)の作用時に曲げ塑性変形し易い屈曲部位を構成するように、設定されている。
【0039】
さらに、実施形態の場合、第1縦杆部21の長さ寸法L3が、第2縦杆部22の長さ寸法L4より長くし、さらに、第1縦杆部21のリング面RPに対する交差角度θ3が、第2縦杆部22のリング面RPに対する交差角度θ4より、直交交差させるように90°に接近させている(実施形態ではθ3≒80°、θ4≒50°)。
【0040】
さらに、左右の第1縦杆部21,21が、それぞれ、連結杆部8の左右両端の後縁8aから、相互に略平行として上方に延びて、上端21aに第2屈曲部12を配設させる構成としている。
【0041】
なお、実施形態では、第1横杆部31と第2横杆部32とは、ともに、リング面RPと平行に形成されている。
【0042】
また、後左側部7Lと後右側部7Rとの連結杆部8より前方の元部9は、
図3に示すように、上方から見て、ボス芯金部4のプレート部4bの左右両側から、相互に平行として、直線状に後方に延び、そして、連結杆部8を経ても、相互に平行に直線状に延びるように、第1縦杆部21を配設させている。
【0043】
なお、後左側部7Lと後右側部7Rとの第1横杆部31,31相互は、後端31b側を前端31a側より左右方向の中央側に接近させるように配設させている。そして、第2縦杆部22,22と第2横杆部32,32も、上方から見て、相互に接近するように、配設されている。さらに、第2横杆部32の後端32b側には、スポーク被覆部42の厚肉部42aの形状を維持し易いように、鍔状の突片部5aが上方に突設されている。このような突片部5aは、前側スポーク芯金部6にも配設されている。
【0044】
そして、後左側部7Lと後右側部7Rとの各先端部10における第1縦杆部21、第2縦杆部22、第1横杆部31、及び、第2横杆部32は、それぞれ、ベゼル係止孔47や突片部5aの部位を除いて、略長方形の断面形状とした棒状として、構成されている。
【0045】
ステアリングホイール本体1の各組付座35に組み付けられるエアバッグ装置60側の組付部80は、
図4,5に示すように、ステアリングホイール本体1の組付座35に対応する位置の三箇所に配設されて、金属製の組付ピン81を配設させて構成されている。
【0046】
なお、エアバッグ装置60は、図示しないエアバッグを保持する板金製の取付ベース61と、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーター70と、折り畳まれたエアバッグを覆う合成樹脂製のパッド75と、を備えて構成されている。パッド75は、
図1,4に示すように、エアバッグの膨張時に開くような扉部を有した天井壁部76と、天井壁部76から下方に延びる筒状の側壁部77と、を備え、側壁部77の下端には、取付ベース61の係止部62に取り付けられる取付脚部78が配設されている。インフレーター70は、取付ボルト71により、取付ベース61に固定されている。取付ベース61には、左右両側と後側に、組付部80を配設する組付基部63が配設されている。
【0047】
そして、各組付部80は、既述の組付ピン81とともに、可動側接点部90と固定側接点部91とを設けたホーンスイッチ機構85を配設させて構成されている。組付ピン81は、金属製として、円板状の鍔部81a、鍔部81aから下方に延びる円柱状の軸部81b、軸部81bの下端に設けられる円錐状の係止頭部81c、及び、係止頭部81cの上部に設けられる円環状の係止凹部81d、を備えて構成されている。なお、組付ピン81の鍔部81aは、ホーンスイッチ機構85の固定側接点部91を構成することとなる。
【0048】
軸部81bの下端側には、組付孔36の内周側に配置される略円筒状の合成樹脂製のカバー部86が配設され、軸部81bの上端側には、略円筒状の合成樹脂製の絶縁スペーサ88が配設され、カバー部86と絶縁スペーサ88との間には、付勢手段としての圧縮コイルばね87が配設されている。絶縁スペーサ88の上部には、可動側接点部90が配設され、可動側接点部90は、合成樹脂製のキャップ89を利用して、絶縁スペーサ88に取り付けられている。
【0049】
なお、絶縁スペーサ88は、コイルばね87を保持する図示しない係止脚と取付ベース61に取り付けるための図示しない係止脚を備えている。そして、可動側接点部90や組付ピン81を内部に配置させて、キャップ89を組み付ければ、可動側接点部90と組付ピン81とを絶縁スペーサ88に保持させることができる。そしてさらに、組付ピン81の周囲にコイルばね87を配置させて、絶縁スペーサ88の所定の係止脚に保持させ、組付ピン81の先端にカバー部86を嵌めれば、組付部80を構成でき、その後、取付ベース61の組付基部63の取付孔63aの上方から組付部80を挿入させて、絶縁スペーサ88の図示しない係止脚を取付孔63aの下縁側周縁に係止させれば、組付部80を取付ベース61側に取り付けることができる。
【0050】
そして、各組付部80は、組付ピン81の係止頭部81cを、組付座35の上方から組付孔36に挿入させ、係止ピン38の係止軸部38dを撓ませた後に復元させつつ係止凹部81dに挿入させれば、
図5に示すように、係止頭部81cが係止ピン38の係止軸部38dに係止されて、組付座35に組み付けられ、エアバッグ装置60が、ステアリングホイール本体1に保持されることとなる。この組付状態では、組付ピン81は、係止凹部81dに挿入された組付ピン81とカバー部86の部位とによって、上下動が規制されて、組付座35側に保持された状態となる。
【0051】
さらに、この組付状態において、エアバッグ装置60の取付ベース61にホーン作動回路の正極側のリード線を結線しておけば、取付ベース61に接触する可動側接点部90はホーン作動回路の正極側となり、芯金2側の組付座35やその係止ピン38に接触する組付ピン81の鍔部81aからなる固定側接点部91は、ホーン作動回路の負極側となる。そのため、下端をカバー部86を介在させて組付座35に当接させ、かつ、上端を絶縁スペーサ88を介在させて組付基部63に当接させたコイルばね87の付勢力に抗して、エアバッグ装置60を押し下げれば、組付座35に保持された組付ピン81の鍔部81aからなる固定側接点部91に対して、取付ベース61や絶縁スペーサ88、さらにはキャップ89とともに、可動側接点部90が下降し、そして、可動側接点部90と固定側接点部91との相互が接触して、ホーンを作動させることとなる。
【0052】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、エアバッグ装置60を組み付け、ナットNを使用して、ボス芯金部4の締結部4aをステアリングシャフトSSに固定し、車両搭載状態で、リング芯金部3の後端3aに水平方向に押圧力FPを受ければ、つぎのような挙動となる。
【0053】
すなわち、
図8のA,Bに示すように、後側スポーク芯金部7の後左側部7Lと後右側部7Rとが、組付座35Bからリング芯金部3側に延びる部位において、リング面RPと略直交する第1縦杆部21と、リング面RPと略平行な第1横杆部31と、の交差した第2屈曲部12が、応力集中部15として、第1縦杆部21と第1横杆部31との交差角度θ1(
図7参照)を狭めるように、曲げ塑性変形して、リング芯金部3を変位させることとなる。そして、第2屈曲部12が、応力集中部15として構成されており、後側スポーク芯金部7の組付座35Bの変位を抑制できることから、組付座35Bは、エアバッグ装置60の保持を解除するような変形を防止できる。
【0054】
また、実施形態のステアリングホイールWでは、応力集中部15としての第2屈曲部12の塑性変形時、台座部等を使用して、組付座35B付近を押圧するような構成でなく、台座部等を介在させた組付座35B自体の変形を防止できるため、組付座35Bが、エアバッグ装置60側に設けた係止頭部81cを挿入させる組付孔36や係止頭部81cを係止する係止ピン38を設けた組付構造としていても、支障なく、エアバッグ装置60を組み付けておくことができる。
【0055】
さらに、実施形態のステアリングホイールWでは、リング芯金部3への押圧力FPの作用時に第2屈曲部12が曲げ塑性変形し易いように、後側スポーク芯金部7に、リング面RPと略直交する第1縦杆部21と、リング面RPと略平行な第1横杆部31と、を単に交差させる第2屈曲部12を設けるだけで、換言すれば、後側スポーク芯金部7における組付座35Bからリング芯金部3までのエリアに、ボス部Bの中央側に角部C(
図7参照)を突出させるような階段状の屈曲部(第2屈曲部)12を設けるだけで、簡単に構成できる。
【0056】
したがって、実施形態のステアリングホイールWでは、芯金2を複雑な構成とせず、かつ、組付構造に左右されずに、リング部Rへの押圧力FPの作用時に、安定してエアバッグ装置60を保持できる。
【0057】
なお、実施形態のステアリングホイールWでは、リング芯金部3の後端3aへの水平方向の押圧力FPが作用した際に、リング面RPの全体を、あるいは、後端3a付近を部分的に、鉛直方向に沿わせる(所謂、セルフアライニング作用を奏する)ような変形ではなく、リング芯金部3の前端3c側の上面をストッパSTで押えたような状態として、リング芯金部3の後半部位3bの略全体を湾曲させるように変形させる際に、エアバッグ装置60の安定した保持を確保して、エアバッグ装置60を組付座35に組み付けておくことを課題とするステアリングホイールWに関する。ちなみに、このようなリング芯金部3の後半部位3bの略全体を湾曲させる変形は、通常、運転者に与える衝撃力を抑えるような塑性変形し易さを加味した剛性をステアリングホイールWが確保しているか否かの試験、すなわち、ステアリングホイールWの静止荷重試験(剛性試験)、で行なわれる変形と、同じである。
【0058】
そして、実施形態のステアリングホイールでは、後側スポーク芯金部7が、組付座35Bの後方から二段の角部Cを設けた階段状に形成されている。すなわち、組付座35Bの後方側の先端部10が、組付座35Bの後縁8aの第1屈曲部11から、リング面RPと略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくして、上方のリング芯金部3側に延びる第1縦杆部21と、第1縦杆部21の上端21aの第2屈曲部12から、リング面RPと略平行とするように高さ方向の勾配を小さくして、リング芯金部3側に延びる第1横杆部31と、第1横杆部31の後端31bの第3屈曲部13から、リング面RPと略直交する方向に沿うように高さ方向の勾配を大きくして、上方のリング芯金部3側に延びる第2縦杆部22と、第2縦杆部22の上端22aの第4屈曲部14から、リング面RPと略平行とするように高さ方向の勾配を小さくして、リング芯金部3側に延びてリング芯金部3と接続される第2横杆部32と、を備えて構成されている。そして、第1横杆部31が、長さ寸法L1を、第2横杆部32の長さ寸法L2より長く、かつ、第1縦杆部21と第1横杆部31との交差角度θ1が、第2縦杆部22と第2横杆部32との交差角度θ2(約130°)より、90°に接近するように、約100°と小さく設定されて、第2屈曲部12が、応力集中部15としての屈曲部位を構成するように、設定されている。
【0059】
そのため、実施形態では、後側スポーク芯金部7が、組付座35Bからリング芯金部3にかけて、ボス部Bの中央側に二つの角部C,Cを突出させた二段の階段状として構成され、ボス部Bの中央側に一つの角部Cを突出させた一段の階段状に構成する場合に比べて、ボス部B側にエアバッグ装置60の収納スペースを確保し易い。
【0060】
そして、応力集中部15を構成する第2屈曲部12からリング面RPと略平行に延びる第1横杆部31が、第2横杆部32より長い長さ寸法L1として、第2屈曲部12を構成する第1縦杆部21と第1横杆部31との交差角度θ1が、90°に近似しており、リング芯金部3の後端3aへの押圧力FPの作用時、第2横杆部32より長い第1横杆部31が、第2横杆部32より大きな曲げモーメントを受け易く、また、第1横杆部31の前端31a側の第2屈曲部12の交差角度θ2が、第2横杆部32の前端32a側の第4屈曲部14の交差角度θ4より、90°に接近して小さいことから、第2屈曲部12自体が第4屈曲部14より曲がり易いことも相俟って、円滑に、応力集中部15としての第2屈曲部12が、曲げ塑性変形でき、一層、組付座35Bの変形を抑制して、リング芯金部3の後端3aを前方側に移動させることができる。
【0061】
なお、実施形態の場合、押圧力FPの作用時、第2屈曲部12が最も変形しているが、第3屈曲部13、第4屈曲部14、第1屈曲部11も変形して、組付座35Bの変位を抑制している。ちなみに、実施形態の場合、変形量は、第2屈曲部12が最も大きく、第3屈曲部13、第4屈曲部14、第1屈曲部11の順で、小さくなっている。
【0062】
さらに、実施形態のステアリングホイールWでは、後側スポーク芯金部7が、ボス芯金部4の左右両側から後方に延びる二本の後左側部7L及び後右側部7Rを備えて構成されるとともに、後左側部7Lと後右側部7Rとを連結するように左右方向に沿って配置されて、中央に、後側スポーク芯金部7に設けられる組付座35Bを配設させた連結杆部8、を備えて構成されている。また、後左側部7Lと後右側部7Rとが、それぞれ、組付座35Bを設けた連結杆部8の後縁8a側からリング芯金部3側に延びるように、所定の第1屈曲部11、第1縦杆部21、第2屈曲部12、第1横杆部31、第3屈曲部13、第2縦杆部22、第4屈曲部14、及び、第2横杆部32、を配設させて構成されている。さらに、後左側部7Lと後右側部7Rとの第1縦杆部21が、それぞれ、連結杆部8の左右両端となる左端8bや右端8cの後縁8aから、相互に略平行として上方に延びて、上端21aに第2屈曲部12を配設させている。
【0063】
そのため、実施形態では、応力集中部15としての第2屈曲部12が、後側スポーク芯金部7の左右に離れた後左側部7Lと後右側部7Rとに設けられており、曲げ塑性変形される際の回転中心軸PC(
図3,8のB参照)を、左右の後左側部7Lと後右側部7Rとの第2屈曲部12相互を結ぶように、長く確保でき、ねじりを抑制した曲げ塑性変形が可能となって、押圧力作用時の変形状態を、ステアリングホイールW毎により安定させることができる。
【0064】
さらに、後側スポーク芯金部7の組付座35Bは、変形する左右の第2屈曲部12,12の前下側における連結杆部8の左右方向中央に、離れて配置されることから、変形時の第2屈曲部12,12の変形時の影響を受け難く、一層安定して、エアバッグ装置60を保持できる。