特許第5761179号(P5761179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761179
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20150723BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A41B13/02 G
【請求項の数】13
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2012-508335(P2012-508335)
(86)(22)【出願日】2011年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2011057761
(87)【国際公開番号】WO2011122604
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】特願2010-75283(P2010-75283)
(32)【優先日】2010年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】杉山 勝彦
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−089342(JP,A)
【文献】 特開2009−072532(JP,A)
【文献】 特開平06−090979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の胴周りを被包する前被包部及び後被包部と、吸収体が配置され、着用者の股下を被包する股下被包部とを有し、
少なくとも前記後被包部の一部に伸縮性不織布からなる伸縮部が形成され、前記伸縮部は胴周り方向に収縮するように形成されており、
前記後被包部の肌当接面の一部に撥水性不織布からなる通気路形成シートが配置され、
前記通気路形成シートは、前記伸縮部に積層され、
前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されている使い捨ておむつであって、
前記接合部が、前記使い捨ておむつの前後方向に延びる線状に形成されており、
前記接合部同士の間隔は、前記通気路形成シートの幅方向に向かって2〜50mmであり、
前記伸縮部の収縮によって、前記通気路形成シートが撓んで波型に変形され、前記通気路形成シートと前記伸縮部のうち前記接合部以外の部分である非接合部が離間し、前記使い捨ておむつの内部空間と外部空間を連通する通気路が形成されている使い捨ておむつ
【請求項2】
少なくとも前記前被包部の一部に伸縮性不織布からなる伸縮部が形成され、前記伸縮部は胴周り方向に収縮するように形成されており、
前記前被包部の肌当接面の一部に撥水性不織布からなる通気路形成シートが配置され、
前記通気路形成シートは、前記伸縮部に積層され、
前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記伸縮部は、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置されるとともに、前記伸縮材が前記複数の不織布シートに対して固着され、前記複数の不織布シート及び前記伸縮材が一体的に挙動するものである請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記吸収体は、前記股下被包部から前記前被包部及び前記後被包部にかけて連続的に配置されており、
前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方における、前記吸収体の端縁及び前記端縁の延長線よりウエスト端縁側の部分であるウエスト被包部に、前記伸縮部が形成され、
前記通気路形成シートが前記伸縮部に積層され、
前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記吸収体は、前記股下被包部から前記前被包部及び前記後被包部にかけて連続的に配置されており、
前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方における、前記吸収体の端縁及び前記端縁の延長線より股下側の部分であるタミー被包部のうち前記吸収体の側縁より幅方向外側の部分に、前記伸縮部が形成され、
前記通気路形成シートが前記伸縮部に積層され、
前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に、かつ、前記使い捨ておむつの前後方向に向かって連続的に形成された前記接合部により接合されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向と前記使い捨ておむつの前後方向の両方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記通気路形成シートが、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方の肌当接面に配置されるとともにウエスト端縁で折り返され、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方の最外面を構成するシート材の一部を被覆するように配置されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記通気路形成シートが、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方を構成するシート材の折り返し部により形成されている請求項1〜のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項10】
着用者の胴周りを被包する前被包部及び後被包部と、吸収体が配置され、着用者の股下を被包する股下被包部とを有する、使い捨ておむつの製造方法であって、
前記後被包部を構成するシート材の一部を被覆するように、不織布シートを配設し、前記シート材と前記不織布シートとを、前記使い捨ておむつの前後方向に延びる線状の接合部により、胴周り方向に向かって2〜50mmの間隔で間欠的に接合する工程と、
前記シート材の、前記後被包部におけるウエスト周りに、ウエスト伸縮材を伸張状態で配置して伸縮部を形成する工程と、
前記シート材を、前記後被包部のウエスト端縁となる位置で、前記使い捨ておむつの内側に折り返し、
前記使い捨ておむつの内側に折り返された部分からなる折り返し部と前記伸縮部とが積層された状態で、前記折り返し部を固定する工程と、を含み、
前記折り返し部の肌当接面の一部が、撥水性不織布によって構成され、前記伸縮部の収縮によって、前記折り返し部の前記撥水性不織布によって構成された部分が撓んで波型に変形され、前記折り返し部における前記接合部以外の部分である非接合部が離間して、前記使い捨ておむつの内部空間と外部空間を連通する通気路が形成される使い捨ておむつを製造する使い捨ておむつの製造方法。
【請求項11】
前記シート材の前記折り返し部となる部分に、前記不織布シートを、前記シート材の端縁から前記不織布シートがはみ出すように接合し、
前記シート材の、前記折り返し部となる部分を折り返したときに前記折り返し部と重畳する重畳部に、前記ウエスト伸縮材を配置し、
前記伸縮部の肌当接面側に、前記通気路が形成される請求項10に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項12】
前記シート材の前記折り返し部、及び前記折り返し部となる部分を折り返したときに前記折り返し部と重畳する重畳部に、前記不織布シートを接合し、
前記シートの前記折り返し部、及び前記重畳部に間欠的に接合されている前記不織布シートの表面に、前記ウエスト伸縮材を配置し、
前記伸縮部の肌当接面側と外表面側とに、前記通気路が形成される請求項10に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項13】
前記シート材の、前記折り返し部となる部分を折り返したときに前記折り返し部と重畳する重畳部に、前記不織布シートを接合し、
前記後被包部を構成するシート材の前記重畳部に間欠的に接合されている前記不織布シートの表面に、前記ウエスト伸縮材を配置し、
前記伸縮部の外表面側に、前記通気路が形成される請求項10に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつは、着用者の腰周りを被包するように装着される吸収性物品であり、排泄物を吸収・保持させるための吸収体を備えている。
【0003】
従って、おむつの着用時には、吸収体に吸収された尿や汗、体液等から発生する湿気がおむつの内部空間(着用者の肌とおむつの肌当接面との間に形成される空間)に滞留し易い。この湿気は、かぶれ等のスキントラブルの原因となり、蒸れ、べたつき等の不快感を生じさせるため好ましくない。
【0004】
そこで、おむつの内部空間に滞留する湿気をおむつ外部に排出させるために、おむつの通気性、特にウエスト周りにおける通気性を向上させるための種々の提案がなされている。
【0005】
例えば、おむつの前後腰周り域のエンドフラップに腰周り方向へ弾性収縮する弾性部材を取り付け、前記エンドフラップの内面に、おむつの腰周り方向に向かって間欠的に通気性吸汗シートを接合したおむつが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、外層シート、内層シート及び複数本の弾性部材により吸収性物品の外包材が形成され、前記外層シート及び前記内層シートが、腰周り方向及びその直交方向に向かって間欠的に形成した接合部によって相互に接合される一方、前記弾性部材が前記接合部を通らないように配されたパンツ型吸収性物品も提案されている(特許文献2〜6参照)。
【0007】
このパンツ型吸収性物品では、前記弾性部材が前記外層シート及び前記内層シートに固定されないように構成されている。そして、ウエスト部の全周に、ウエスト部の外端部から内端部に亘って延びる複数本の襞が形成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3820043号公報
【特許文献2】特開2008−136793号公報
【特許文献3】特開2008−136794号公報
【特許文献4】特開2008−142316号公報
【特許文献5】特開2008−142341号公報
【特許文献6】特開2008−142342号公報
【発明の概要】
【0009】
特許文献1に記載のおむつは、着用者の肌と接触する通気性吸汗シートによって汗を吸収させるとともに、通気性吸汗シートとエンドフラップとの間に空間を形成させるものである。そして、前記空間を利用して、前記通気性吸汗シートと前記エンドフラップとの積層方向の通気性を向上させることを企図していると考えられる。
【0010】
しかしながら、前記の構造では、前記通気性吸汗シートと前記エンドフラップとの積層方向に通気させる構造であるため、通気性の面で十分ではないという課題があった。即ち、ウエスト周りにおける着用者の肌とおむつの肌当接面との隙間から煙突効果を利用して通気させる方法と比較して通気性の効果が十分でないという点が問題であった。
【0011】
特許文献2〜6に記載のパンツ型吸収性物品は、弾性部材により外層シート及び内層シートをウエスト周方向に収縮させて複数本の襞を形成させるものである。そして、前記襞により吸収性物品の内部空間と外部空間とを連通させ、通気性を向上させることを企図していると考えられる。従って、ウエスト周りにおける着用者の肌とおむつの肌当接面との隙間から煙突効果を利用して通気させることができ、特許文献1に記載のおむつと比較して高い通気性を期待することができる。
【0012】
しかしながら、前記の構造は外装シートと内層シートの間欠的な接合部を通らないように弾性部材が配された特殊な構造である。この構造では弾性部材は外装シート及び内層シートの何れにも拘束されず、自由に伸張することができる。例えば製造時に300%の伸張率で弾性部材を配置しても、使用時において局所的にはその300%の伸張率を超えて弾性部材が伸張する場合が起こり得る。即ち、弾性部材が理想的な伸張率を超えて過度に伸張する場合がある。従って、硬く張り詰めた弾性部材が内層シートを介して肌に当接し、痛みや不快感を生ずるおそれがあるという課題があった。更に、前記の特殊な構造を得るために、製造に際して精密な接合技術が必要となり、製造が困難であるという課題もあった。
【0013】
本発明は、前記のような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、通気性が良好で、容易に製造することができ、快適な着用感を得られる使い捨ておむつを提供するものである。
【0014】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、1)少なくともおむつの後被包部に、胴周り方向に収縮するように伸縮部を形成すること、2)少なくとも後被包部の肌当接面に撥水性不織布からなる通気路形成シートを配置すること、3)通気路形成シートを伸縮部に積層し、通気路形成シートと伸縮部を胴周り方向に向かって間欠的に接合することによって、おむつの胴周りに通気性を向上させる通気路構造が形成され、前記課題が解決されることに想到して、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の使い捨ておむつが提供される。
【0015】
[1]着用者の胴周りを被包する前被包部及び後被包部と、吸収体が配置され、着用者の股下を被包する股下被包部とを有し、少なくとも前記後被包部の一部に伸縮性不織布からなる伸縮部が形成され、前記伸縮部は胴周り方向に収縮するように形成されており、前記後被包部の肌当接面の一部に撥水性不織布からなる通気路形成シートが配置され、前記通気路形成シートは、前記伸縮部に積層され、前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されている使い捨ておむつであって、前記接合部が、前記使い捨ておむつの前後方向に延びる線状に形成されており、前記接合部同士の間隔は、前記通気路形成シートの幅方向に向かって2〜50mmであり、前記伸縮部の収縮によって、前記通気路形成シートが撓んで波型に変形され、前記通気路形成シートと前記伸縮部のうち前記接合部以外の部分である非接合部が離間し、前記使い捨ておむつの内部空間と外部空間を連通する通気路が形成されている使い捨ておむつ
【0016】
[2]少なくとも前記前被包部の一部に伸縮性不織布からなる伸縮部が形成され、前記伸縮部は胴周り方向に収縮するように形成されており、前記前被包部の肌当接面の一部に撥水性不織布からなる通気路形成シートが配置され、前記通気路形成シートは、前記伸縮部に積層され、前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている前記[1]に記載の使い捨ておむつ。
【0017】
[3]前記伸縮部は、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置されるとともに、前記伸縮材が前記複数の不織布シートに対して固着され、前記複数の不織布シート及び前記伸縮材が一体的に挙動するものである前記[1]又は[2]に記載の使い捨ておむつ。
【0018】
[4]前記吸収体は、前記股下被包部から前記前被包部及び前記後被包部にかけて連続的に配置されており、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方における、前記吸収体の端縁及び前記端縁の延長線よりウエスト端縁側の部分であるウエスト被包部に、前記伸縮部が形成され、前記通気路形成シートが前記伸縮部に積層され、前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている前記[1]〜[3]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
【0019】
[5]前記吸収体は、前記股下被包部から前記前被包部及び前記後被包部にかけて連続的に配置されており、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方における、前記吸収体の端縁及び前記端縁の延長線より股下側の部分であるタミー被包部のうち前記吸収体の側縁より幅方向外側の部分に、前記伸縮部が形成され、前記通気路形成シートが前記伸縮部に積層され、前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている前記[1]〜[4]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
【0020】
[6]前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向に向かって間欠的に、かつ、前記使い捨ておむつの前後方向に向かって連続的に形成された前記接合部により接合されている前記[1]〜[5]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
【0021】
[7]前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向と前記使い捨ておむつの前後方向の両方向に向かって間欠的に形成された前記接合部により接合されている前記[1]〜[5]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
【0022】
[8]前記通気路形成シートが、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方の肌当接面に配置されるとともにウエスト端縁で折り返され、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方の最外面を構成するシート材の一部を被覆するように配置されている前記[1]〜[7]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
【0023】
[9]前記通気路形成シートが、前記前被包部及び前記後被包部の少なくとも一方を構成するシート材の折り返し部により形成されている前記[1]〜[]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
[10]着用者の胴周りを被包する前被包部及び後被包部と、吸収体が配置され、着用者の股下を被包する股下被包部とを有する、使い捨ておむつの製造方法であって、前記後被包部を構成するシート材の一部を被覆するように、不織布シートを配設し、前記シート材と前記不織布シートとを、前記使い捨ておむつの前後方向に延びる線状の接合部により、胴周り方向に向かって2〜50mmの間隔で間欠的に接合する工程と、前記シート材の、前記後被包部におけるウエスト周りに、ウエスト伸縮材を伸張状態で配置して伸縮部を形成する工程と、前記シート材を、前記後被包部のウエスト端縁となる位置で、前記使い捨ておむつの内側に折り返し、前記使い捨ておむつの内側に折り返された部分からなる折り返し部と前記伸縮部とが積層された状態で、前記折り返し部を固定する工程と、を含み、前記折り返し部の肌当接面の一部が、撥水性不織布によって構成され、前記伸縮部の収縮によって、前記折り返し部の前記撥水性不織布によって構成された部分が撓んで波型に変形され、前記折り返し部における前記接合部以外の部分である非接合部が離間して、前記使い捨ておむつの内部空間と外部空間を連通する通気路が形成される使い捨ておむつを製造する使い捨ておむつの製造方法。
[11]前記シート材の前記折り返し部となる部分に、前記不織布シートを、前記シート材の端縁から前記不織布シートがはみ出すように接合し、前記後シート材の、前記折り返し部となる部分を折り返したときに前記折り返し部と重畳する重畳部に、前記ウエスト伸縮材を配置し、前記伸縮部の肌当接面側に、前記通気路が形成される前記[10]に記載の使い捨ておむつの製造方法。
[12]前記シート材の前記折り返し部、及び前記折り返し部となる部分を折り返した時に前記折り返し部と重畳する重畳部に、前記不織布シートを接合し、前記シートの前記折り返し部、及び前記重畳部に間欠的に接合されている前記不織布シートの表面に、前記ウエスト伸縮材を配置し、前記伸縮部の肌当接面側と外表面側とに、前記通気路が形成される前記[10]に記載の使い捨ておむつの製造方法。
[13]前記シート材の、前記折り返し部となる部分を折り返したときに前記折り返し部と重畳する重畳部に、前記不織布シートを接合し、前記後被包部を構成するシート材の前記重畳部に間欠的に接合されている前記不織布シートの表面に、前記ウエスト伸縮材を配置し、前記伸縮部の外表面側に、前記通気路が形成される前記[10]に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【0024】
本発明の使い捨ておむつは、通気性が良好で、容易に製造することができ、快適な着用感を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を模式的に示す正面図である。
図1B図1Aに示す使い捨ておむつを展開し、トップシート方向から見た状態を模式的に示す概略平面図である。
図1C図1Bに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図1D図1Bに示す使い捨ておむつのB−B’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図1E図1Aに示す使い捨ておむつを展開し、アウターシート方向から見た状態を模式的に示す概略平面図である。
図1F図1Aに示す使い捨ておむつの伸縮部近傍を模式的に示す斜視図である。
図1G図1Fに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図1H図1Aに示す使い捨ておむつの接合部の形態を拡大して模式的に示す概略平面図であり、折り返し部を展開した状態を示すものである。
図2A図1Aに示す使い捨ておむつの製造工程を模式的に示す概略工程図であり、インナーシート方向から見た各工程を示すものである。
図2B図2Aに示す各工程において、図2Aに示す構造単位の幅方向中央で切断した切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図3A】使い捨ておむつの接合部の別の形態を拡大して模式的に示す概略平面図であり、折り返し部を展開した状態を示すものである。
図3B】使い捨ておむつの接合部の更に別の形態を拡大して模式的に示す概略平面図であり、折り返し部を展開した状態を示すものである。
図3C】使い捨ておむつの接合部の更にまた別の形態を拡大して模式的に示す概略平面図であり、折り返し部を展開した状態を示すものである。
図4A】使い捨ておむつの製造工程を模式的に示す概略工程図であり、インナーシート方向から見た各工程を示すものである。
図4B図4Aに示す各工程において、図4Aに示す構造単位の幅方向中央で切断した切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図5A】使い捨ておむつの製造工程を模式的に示す概略工程図であり、インナーシート方向から見た各工程を示すものである。
図5B図5Aに示す各工程において、図5Aに示す構造単位の幅方向中央で切断した切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図6A】本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図6B図6Aに示す使い捨ておむつを展開し、トップシート方向から見た状態を模式的に示す概略平面図である。
図6C図6Bに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図6D図6Bに示す使い捨ておむつのB−B’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図6E図6Aに示す使い捨ておむつを展開し、アウターシート方向から見た状態を模式的に示す概略平面図である。
図7A】本発明の使い捨ておむつの別の実施形態を模式的に示す概略平面図である。
図7B図7Aに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図7C図7Aに示す使い捨ておむつのB−B’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図7D図7Aに示す使い捨ておむつのC−C’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
図7E図7Aに示す使い捨ておむつの概略裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の使い捨ておむつを実施するための形態について具体的に説明する。
【0027】
[1]本発明の使い捨ておむつの基本的な構成:
本発明の使い捨ておむつは、図1A図1D及び図1Eに示す使い捨ておむつ1のように、着用者の胴周りを被包する前被包部2及び後被包部6と、吸収体22が配置され、着用者の股下を被包する股下被包部4とを有するものである。
【0028】
[1−1]使い捨ておむつ:
「使い捨ておむつ」には、パンツ型、テープ型等の各種形態が含まれる。但し、本発明はその特定事項を備える使い捨ておむつを広く包含し、以下に示すパンツ型、テープ型等に限定されるものではない。
【0029】
[1−2]前被包部及び後被包部:
「前被包部」及び「後被包部」は、使い捨ておむつのうち、着用者の胴周りを被包する部分である。
【0030】
本明細書においては、吸収体が、股下被包部から前被包部及び後被包部にかけて連続的に配置されている場合において、前被包部及び後被包部における、吸収体の端縁及び前記端縁の延長線よりウエスト端縁側の部分を「ウエスト被包部」、前記吸収体の端縁及び前記端縁の延長線より股下側の部分を「タミー被包部」と称することにする。
【0031】
「胴周りを被包する」とは、使い捨ておむつの一部によって、着用者の胴を取り囲む筒状構造が形成された形態又は前記筒状構造が形成され得る形態であることを意味する。「筒状構造が形成された形態」のおむつとしては、パンツ型の使い捨ておむつを挙げることができる。「パンツ型」とは、図1Aに示す使い捨ておむつ1のように、予め一つのウエスト開口部10及び左右一対のレッグ開口部12が形成されたパンツ型を呈する使い捨ておむつを指す。
【0032】
図1A図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、前外装体62と後外装体65の両側縁が相互に接合されて、着用者の胴を取り囲む筒状構造が形成された形態である。このような形態においては、外装体16のうち接合部7,8の間の領域によって前記筒状構造が形成される。従って、前記領域を前被包部2又は後被包部6と称することにする。
【0033】
図1A図1B図1D及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、外装体16が前外装体62と後外装体65から構成されている。但し、予め一つのウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されていてもよい。即ち、外装体が前後に分離されず、一体的に構成されているものも「パンツ型」の一形態である。例えば、図6Bに示す使い捨ておむつ201は、一体的に構成された外装体216の側縁202a,202bと側縁206a,206bが相互に接合されて、着用者の胴を取り囲む筒状構造が形成された形態である。このような形態においては、図6Aに示すように外装体216のうち接合部207,208の間の領域によって前記筒状構造が形成される。従って、前記領域を前被包部202又は後被包部206と称することにする。
【0034】
「筒状構造が形成され得る形態」のおむつとしては、疑似パンツ型又はテープ型の使い捨ておむつを挙げることができる。
【0035】
「疑似パンツ型」とは、図1Aに示す使い捨ておむつ1と同様の形態において、接合部7,8に代えてファスナー(メカニカルファスナー等)を付設した形態の使い捨ておむつを指す。このような「疑似パンツ型」では、ファスナーの係合力によって、外装体のうち着用者の前側を覆う部分と後側を覆う部分とをこれらの両側縁で着脱可能に係合させることができる。従って、着用者の胴を取り囲む筒状構造を形成することができる。
【0036】
前記のような形態のおむつについては、外装体のうち両側縁のファスナーの間の領域によって前記筒状構造が形成される。従って、前記領域を前被包部又は後被包部と称することにする。
【0037】
「テープ型」は、図7A及び図7Eに示す使い捨ておむつ301のように、着用者の後側を被包する部分の左右の各側縁374a,374bから延出するように止着テープ311が付設された使い捨ておむつを指す。「テープ型」は、図7Eに示すように、止着テープ311を構成する基材350にファスニング部材(図示の例ではメカニカルファスナーのフック材348)を有している。従って、着用者の前側を被包する部分のファスニング部材(図示の例ではフロントパッチ313を形成するメカニカルファスナーのループ材346)に止め付けることで、着用者の胴を取り囲む筒状構造を形成することができる。
【0038】
「テープ型」は「パンツ型」のように予め筒状構造が形成されているわけではない。従って、「テープ型」における「前被包部」、「後被包部」は、吸収体及び前記吸収体を被服するシート材(トップシート、バックシート、サイドシート等)により構成されるおむつ本体の形状に応じて以下のように定義することとする。
【0039】
おむつ本体が砂時計型(前後のウエスト端縁が幅広く、股下側が括れて幅狭くなっている形状。図6Bに示す外装体216と同様の形状)に形成されている場合には、前記括れのおむつ前側の起点同士を結ぶ直線と、おむつ前側のウエスト端縁との間の領域を「前被包部」、前記括れのおむつ後側の起点同士を結ぶ直線と、おむつ後側のウエスト端縁との間の領域を「後被包部」と称することにする。
【0040】
図7Aに示す使い捨ておむつ301のように、おむつ本体370のウエスト端縁370c側に、おむつ本体370とは別体の後サイドフラップ374が付設されるとともに、ウエスト端縁370d側にも、おむつ本体370とは別体の前サイドフラップ372が付設されている場合には、前サイドフラップ372のおむつ股下側の角部同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁370dとの間の領域を「前被包部」、後サイドフラップ374のおむつ股下側の起点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁370cとの間の領域を「後被包部」と称することにする。
【0041】
なお、おむつ本体に、おむつ本体とは別体の後サイドフラップのみが付設され、前サイドフラップが付設されていない場合には、後サイドフラップのおむつ股下側の起点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁との間の領域を「後被包部」、おむつ本体をウエスト端縁とウエスト端縁とが重なるように折り畳んだ際に「後被包部」と重畳する領域を「前被包部」と称することにする。
【0042】
[1−3]股下被包部:
「股下被包部」は、使い捨ておむつのうち、着用者の股下を被包する部分を指す。換言すれば、前被包部と後被包部の間の部分である。
【0043】
股下被包部には、排泄物を吸収・保持させるための吸収体が配置される。吸収体の構成については特に限定されず、従来公知の吸収性物品に用いられる吸収体を用いることができる。吸収体の具体的な構成については後述する。
【0044】
図1Dに示す使い捨ておむつ1においては、前外装体62と後外装体65との間に架け渡されるように吸収性本体14が配置され、接合されている(接合部28)。この形態においては、図1A図1B図1D及び図1Eに示すように前外装体62によって前被包部2が、後外装体65の一部によって後被包部6が、後外装体65の一部と吸収性本体14の一部によって股下被包部4が形成されている。吸収体22は吸収性本体14の構成部材として配置されている。
【0045】
[2]本発明の使い捨ておむつの特徴的な構成:
本発明の使い捨ておむつは、図1Dに示す使い捨ておむつ1のように、1)少なくとも後被包部6の一部に伸縮性不織布からなる伸縮部80が形成され、伸縮部80は胴周り方向に収縮するように形成されており、2)後被包部6の肌当接面の一部に撥水性不織布からなる通気路形成シート82が配置され、3)通気路形成シート82は、伸縮部80に積層され、通気路形成シート82と伸縮部80とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84により接合されているものである。
【0046】
このような使い捨ておむつは、図1F及び図1Gに示すように、伸縮部80の収縮によって、通気路形成シート82の接合部84間の距離も狭められる。これにより、通気路形成シート82が撓んで波型に変形され、通気路形成シート82と伸縮部のうち接合部84以外の部分(非接合部)が離間し、通気管、クッションとして機能する通気路86が形成される。
【0047】
また、着用者が立位から座位をとった場合には、おむつは外側から圧縮されて、おむつの内部空間の湿気が通気路86を通過して外部空間に排出される。更に、着用者が歩行をすると、脚の動きでおむつの股下被包部が変形するために、その変形によっておむつの内部空間の湿気が外部空間に排出され、これと交換に外部空間の空気がおむつの内部空間に流入する。従って、おむつの内部空間を快適な環境にすることができる。
【0048】
また、前記通気路は、エアクッションのように緩衝機能を発揮する。従って、単に通気性の向上を図った特許文献1に記載のおむつとは異なり、肌当たりが柔らかく、おむつのウエスト周りの柔軟性を向上させることができる。即ち、着用者は快適な着用感を得ることができる。
【0049】
[2−1]伸縮部:
伸縮部は、伸縮性不織布からなる。「伸縮性不織布」とは、不織布自体が伸縮性を有するもの、又は基材となる不織布に伸縮材(ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性材)を接合等することによって、不織布に伸縮性を付与したものを意味する。
【0050】
例えば、市販のエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布等を用いることができる。具体的には、以下全て商品名で、ストラフレックス(出光ユニテック社製)、エスパンシオーネ(KBセーレン社製)等を好適に用いることができる。これらのエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布は、不織布自体が伸縮性を有するものである。
【0051】
但し、伸縮性不織布として必ずしも前記のような不織布自体が伸縮性を有するものを用いる必要はない。不織布と伸縮材を適宜組み合わせ接合等することによって構成することもできる。即ち、伸縮性不織布が、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置されるとともに、伸縮材が複数の不織布シートに対して固着され、複数の不織布シート及び伸縮材が一体的に挙動するものであってもよい。
【0052】
このような不織布と伸縮材が一体的に挙動する伸縮性不織布を用いることにより、特許文献2〜6のパンツ型吸収性物品とは異なり、伸縮部がシート幅以上に伸張することがなくなる。例えば図7Dに示す使い捨ておむつ301は、おむつ本体370のウエスト端縁370c近傍及びウエスト端縁370d近傍に、複数の不織布シート397,398の層間に伸張状態の伸縮材399が配置されるとともに、伸縮材399が複数の不織布シート397,398に対して固着され、複数の不織布シート397,398及び伸縮材399が一体的に挙動する伸縮性不織布396を配したものである。
【0053】
一般に、使い捨ておむつは、不織布の層間に線状の伸縮材を配した構造を有している。従って、図7A及び図7Dに示す使い捨ておむつ301のように、必ずしも別途、伸縮性不織布396を配する必要はなく、従来の使い捨ておむつの構造の一部を伸縮性不織布として利用して伸縮部を構成してもよい。
【0054】
例えば図1Dに示す使い捨ておむつ1は、後外装体65を構成する押さえシート68とアウターシート66との層間に、伸張状態のウエスト伸縮材42が配置されるとともに、ウエスト伸縮材42が押さえシート68及びアウターシート66に対して固着され、押さえシート68、アウターシート66、ウエスト伸縮材42が一体的に挙動するものを伸縮性不織布として利用している。即ち、ウエスト伸縮材42、タミー伸縮材44を伸縮部(より具体的には伸縮性不織布)を構成する伸縮材として利用している。
【0055】
また、図7Cに示す使い捨ておむつ301は、後サイドフラップ374を構成する伸縮性不織布395を伸縮部として利用している。伸縮性不織布395は不織布シート393,394の層間に伸張状態の伸縮材391を挟み込んで固定したものである。即ち、伸縮材391を伸縮部を構成する伸縮材として利用している。
【0056】
伸縮部は胴周り方向に収縮するように形成されている。「胴周り方向に収縮するように形成」とは、伸縮性不織布が胴周り方向に沿って伸張された際に胴周り方向に沿って収縮力が作用するように、伸縮性不織布が配置されていることを意味する。最も簡単な構造としては、図1A図1D及び図1Eに示す使い捨ておむつ1のように、胴周り方向に沿って線状の伸縮材(この例ではウエスト伸縮材42)を配置する構成を挙げることができる。
【0057】
但し、伸縮性不織布が胴周り方向に収縮する限り、図1A図1D及び図1Eに示す構成には限定されない。例えば胴周り方向に対して上に凸ないし下に凸のカーブを描くように伸縮材が配置されていてもよい。
【0058】
伸縮部が胴周り方向に収縮するものである限り、その形成位置は特に限定されない。例えば、図1Dに示すように、前被包部2及び後被包部6の少なくとも一方におけるウエスト被包部に伸縮部80が形成されていることが好ましい。この形態においては、通気路形成シート82がウエスト被包部の伸縮部80に積層され、通気路形成シート82とウエスト被包部の伸縮部80とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84により接合されていることが好ましい。このような構造は、おむつのウエスト被包部に通気路構造を形成することができる。従って、おむつのウエスト被包部から湿気を逃がすことができ、おむつのウエスト被包部にクッション性を付与することができる点で好ましい。
【0059】
また、前被包部及び後被包部の少なくとも一方における、吸収体の端縁及び前記端縁の延長線より股下側の部分であるタミー被包部のうち吸収体の側縁より幅方向外側の部分に伸縮部が形成されていることも好ましい。この形態においては、通気路形成シートがタミー被包部の伸縮部に積層され、通気路形成シートとタミー被包部の伸縮部とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されていることが好ましい。このような構造は、おむつのタミー被包部に通気路構造を形成することができる。この形態はおむつのタミー被包部にクッション性を付与することができる点で好ましい。また、前記のようにウエスト被包部に通気路構造が形成される場合には、ウエスト被包部の通気路とタミー被包部の通気路が相俟って、おむつの内部空間から湿気を逃がす効果が大きくなる点で好ましい。
【0060】
なお、「吸収体側縁より幅方向内側の部分」には比較的剛性の高い吸収体が配置されている。従って、図1A及び図1Eに示すように、前記部分にはタミー伸縮材44を配置しないことが多い。このような理由から、伸縮部は「タミー被包部のうち吸収体の側縁より幅方向外側の部分」に形成することが好ましい。
【0061】
[2−2]通気路形成シート:
本発明の使い捨ておむつは、図1B及び図1Dに示す使い捨ておむつ1のように後被包部6の肌当接面の一部に撥水性不織布からなる通気路形成シート82が配置される。この通気路形成シート82は、おむつの胴周りに通気管、クッションとして機能する通気路を形成するシートである。
【0062】
「肌当接面」とは、使い捨ておむつの着用時に、着用者の肌に直接当たる面、即ち使い捨ておむつの最内面を意味する。「撥水性不織布」としては、後述するサイドシートと同様の素材を用いることができる。撥水性不織布を用いることで、通気路形成シートを伝った排泄物の漏れが生じ難くなる。
【0063】
「一部」とは、後被包部の肌当接面の全部に通気路形成シートが配置されていなくてもよいことを意味する。通気路形成シートを配置する部位については特に限定されない。但し、図1Bに示すように、少なくとも後被包部6のウエスト被包部に通気路形成シート82を配置することが好ましい。また、図7Aに示すように、おむつ本体370のウエスト端縁370cの幅の60%以上をカバーするように通気路形成シート(この例ではトップシート318、不織布シート332等のうち伸縮性不織布396が重畳される部分)を配置することが好ましい。図1Bに示すように、後被包部6のウエスト端縁6c側の幅方向全域をカバーするように配置することが更に好ましい。
【0064】
通気路形成シートの坪量は10〜50g/mとすることが好ましい。10g/m未満とすると、1)シートの嵩が小さ過ぎて伸縮材を固定する接着剤がシートを透過して染み出す、2)シート強度が低下して、おむつを引き上げた際におむつのウエスト被包部が破れる、等の不具合を生ずるおそれがある。一方、50g/mを超えると、1)シートの剛性が高過ぎて伸縮材の収縮に連動して撓み難くなり、通気路構造を形成し難くなる、2)シートの嵩が大き過ぎてウエスト被包部がゴワゴワし、着用感が低下する等のおそれがある。
【0065】
本発明の使い捨ておむつにおいては、独立した部材として構成された通気路形成シートが、前被包部及び後被包部の少なくとも一方の肌当接面に配置されるとともにウエスト端縁で折り返され、前被包部及び後被包部の少なくとも一方の最外面を構成するシート材(例えば外装体を構成するアウターシート等)の一部を被覆するように配置されていることが好ましい。このような形態は最外面を構成するシート材の端縁が被覆され、露出しなくなるので、当該端縁が着用者の肌に当たって刺激を与えたり、痛みを生じさせたりする等、着用感が低下する事態を防止することができる。
【0066】
但し、通気路形成シートは独立した部材として構成されている必要はない。例えば図7Dに示す使い捨ておむつ301においては、伸縮性不織布396が接合された、トップシート318、不織布シート332等を通気路形成シートとして利用している。また、通気路形成シートは前被包部及び後被包部の少なくとも一方を構成するシート材の折り返し部により形成されていてもよい。この形態は、後被包部等を構成するシート材が折り返されて、前記シート材の端縁がおむつのウエスト端縁に位置しなくなる。従って、前記シート材の端縁が着用者の肌に当たって刺激を与えたり、痛みを生じさせたりする等、着用感が低下する事態を防止することができる。
【0067】
図1B及び図1Dに示すように、折り返し部88とは、通気路形成シート82のうちウエスト端縁2c,6cに形成される折り返し線より先端側の部分であり、おむつの内面側に折り込まれる部分を意味する。この折り返し部88は伸縮部80に積層されて通気路形成シートとして機能することになる。例えば、カバーシートや外装体を構成するアウターシートの一部を折り返して折り返し部を形成することができる。図1B及び図1Dに示す使い捨ておむつ1ではアウターシート63,66の折り返し部88を通気路形成シート82として利用している。
【0068】
通気路形成シートとして外装体を構成するシートを用いる場合、そのまま(即ち、インナーシートとアウターシートが重なった2枚重ねの状態のまま)、折り返して折り返し部を形成することもできる。但し、インナーシートとアウターシートのいずれか一方を他方の端部からはみ出すように構成し、そのはみ出した部分を折り返して折り返し部を形成することが好ましい。このような構成は折り返し線部分(即ち、通気部分)のシート枚数を減じて通気性をより向上させることができる。例えば図1Dに示す使い捨ておむつ1においては、アウターシート63,66をインナーシート61,64の端部からはみ出すように構成し、そのはみ出した部分を折り返して折り返し部88を形成している。
【0069】
折り返し部の長さは特に限定されない。但し、少なくともウエスト被包部を被覆可能な長さとすることが好ましく、ウエスト被包部及びタミー被包部を被覆可能な長さとすることが更に好ましい。タミー被包部まで被覆可能な長さとすると、湿気の多い股下被包部近傍まで通気路構造を到達させることができるため好ましい。具体的には、おむつ内側に折り込まれた部分の長さを20〜100mmとすることが好ましい。
【0070】
通気路形成シートには、おむつの内部空間と、通気路形成シートによって形成された通気路とを連通させる孔が形成されていてもよい。このような構造とすることで、おむつの内部空間から孔を経由して通気路に湿気が流入し、通気路を経由しておむつの外部空間へ湿気が排出される。
【0071】
「孔」とは、おむつの内部空間と通気路とを連通させる開口部を意味し、その形状は特に限定されない。例えば、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形等)等の形状を挙げることができる。
【0072】
なお、「孔」には常時開口しているもののみならず、開閉可能な構造のものも含まれる。例えば通気路形成シートに軌跡が凸形状のスリット又は交差する複数本のスリットを形成することにより、弁として機能する舌片を有する孔とすることができる。前記舌片により、通気路に尿や体液が侵入することを抑制しつつ、湿気を通過させることができる。
【0073】
スリットの形態は特に限定されない。「軌跡が凸形状のスリット」としては、a)湾曲部を有するスリット(逆U字状スリット等)、b)屈曲部を有するスリット(逆V字状スリット等)等を挙げることができる。また、「交差する複数本のスリット」としては、c)二本のスリットを交差させて形成した十字状のスリット、d)3本のスリットを交差させて形成した星型のスリット等を挙げることができる。
【0074】
前記の孔は、通気路形成シートのうち通気路が形成される部位(即ち、接合部間領域)に形成されることが好ましい。特に、通気路形成シートが前記折り返し部により形成されたものである場合には、折り返し部の先端部近傍に孔が形成され、当該孔よりも更に折り返し部の先端寄りの部分が伸縮部に対して接合されていることが好ましい。このような形態は伸縮部の収縮によって孔が強制的に開放されるため好ましい。
【0075】
前記構成では強制的に開放された孔が通気路の端部開口となる。従って、おむつ内部空間の湿気は、強制的に開放された孔から通気路の内部に流入し、通気路を通過し、おむつのウエスト端縁で通気路形成シートを透過しておむつの外部空間に排出される。このような構成は単に通気路形成シートに孔を形成した構造と比較して、湿気が通気路に流入し易く、湿気をおむつ外部に排出し易い点において好ましい。
【0076】
また、通気路形成シートには孔を複数形成してもよい。孔を複数形成することによって、通気性が向上し湿気をおむつ外部に排出し易くなる。
【0077】
「複数」の具体的な数は特に限定されない。孔の開口面積によっても異なるが、開口面積が0.5〜10mmの孔であれば5〜200個形成することが好ましく、10〜100個形成することが更に好ましい。5個以上とすることで通気性向上効果を得ることができる。一方、200個以下とすることで尿や体液が通気路に流入することを有効に防止することができる。
【0078】
通気路形成シートに薬剤を付着させておくことも好ましい形態の一つである。薬剤を付着させることにより、着用者の肌と直接接触する通気路形成シートに当該薬品に基づく薬効を付与することができる。
【0079】
薬剤の種類は特に限定されない。例えば保湿剤(アロエエキス、プロピレングリコール等);保湿効果を奏することに加え、ウレアーゼ阻害活性を有するスキンケア用添加物(ユーカリ抽出物等);の他、消毒剤、抗菌剤(エデト酢酸、塩化ベンザルコニウム等)、消臭剤(各種ポリフェノール化合物等)等を挙げることができる。
【0080】
[2−3]接合部:
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1F及び図1Gに示すように通気路形成シート82が伸縮部80に積層され、通気路形成シート82と伸縮部80とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84により接合されている。
【0081】
前記構造とすることで、伸縮部80の収縮に追従して通気路形成シート82の接合部84間距離も狭められ、おむつの胴周りにおむつの内部空間と外部空間を連通する通気路86が形成される。この通気路86によりおむつの通気性・柔軟性が向上する。また、前記構造であれば、特許文献2〜6に記載のパンツ型吸収性物品のように伸縮材の位置を考慮してシート同士を接合する等の精密な接合技術は不要である。従って、容易に製造することができる。
【0082】
「間欠的」とは、接合部が非連続的ないし断続的に形成されていることを意味する。本発明においては、通気路形成シートや伸縮部における一の接合部と他の接合部との間隙部が収縮して通気路を形成する。従って、接合部同士の間隔は通気路形成シート等の幅方向に向かって2〜50mmとすることが好ましく、5〜10mmとすることが特に好ましい。
【0083】
なお、「間欠的」とはおむつの胴周り方向に対して間欠的であればよい。即ち、接合部が前後方向(胴周り方向と直交する方向)に向かっていかなる形状に形成されているかは特に限定されない。
【0084】
例えば、図1H図1Bに示す使い捨ておむつ1の折り返し部88を展開した状態を模式的に示す展開図である。この例では伸縮部(伸縮性不織布)を構成する一の不織布シートである押さえシート68に対し、通気路形成シート82として機能するアウターシート66の折り返し部88が接合されている(接合部84)。
【0085】
接合部84は折り返し部88及び押さえシート68の前後方向に向かう、複数の線状接合部90からなる。そして、線状接合部90が折り返し部88及び押さえシート68の胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。
【0086】
図3Bに示す形態は、図3Aに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。線状接合部90Aの各々は、複数のドット状接合部92Aが折り返し部88及び押さえシート68の前後方向に向かって一列に配置された集合体として形成されている形態である。
【0087】
図3Aに示す例では、線状接合部90Aが折り返し部88及び押さえシート68の前後方向に向かって配向している。従って、胴周り方向に向かって配向させた場合と比較して湿気等が前記前後方向に向かって流れ易く、おむつのウエスト端縁6c側からの湿気等の排気を促進することができる。また、着用者のウエスト周りの曲線的な形状におむつを追従させ易く、フィット性、着用感にも優れる。更に、線状接合部90Aが円形状のドット状接合部92Aの集合体として形成されている。従って、触感が硬くなり易い接合部84Aが肌に当たっても痛みを生じ難い。
【0088】
なお、本明細書において「線状」というときは、おむつの前後方向に延びる形状を広く包含するものとし、いわゆる線状の他、帯状、短冊状等の形状も含むものとする。また、複数のドット状接合部が「集合体」と把握されるためには、隣接するドット状接合部との間隔が5mm以下であることを要する。
【0089】
また、図3Bに示す形態は、図3Aに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。接合部84Bは、折り返し部88及び押さえシート68の前後方向に向かう、複数の線状接合部90Bからなる。そして、線状接合部90Bが折り返し部88及び押さえシート68の胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。更に、線状接合部90Bの各々は、複数のドット状接合部92Bが折り返し部88及び押さえシート68の前後方向にn行、幅方向にm列で、n>mを満たすマトリクス状に配置された集合体して形成されている形態である。この形態は「n>m」とすることで、各々の線状接合部90Bにおいて胴周り方向に比して前後方向に、より多くのドット状接合部92Bを配置し、胴周り方向よりも前後方向が長い線状に形成したものである。
【0090】
図3Bに示す例では、線状接合部90Bが円形状のドット状接合部92Bの集合体として形成され、そのドット状接合部92Bが5行2列のマトリクス状に配置された集合体として形成されている。
【0091】
前記のような形態では、幅1〜4mm×長さ2〜80mmの線状接合部を、長さ方向に1〜30箇所形成することが好ましい。各々の線状接合部は1個当たりの面積が1〜4mm2のドット状接合部を幅方向に0.2〜5mm間隔、長さ方向に0.5〜3mm間隔でマトリクス状に配置した集合体とすることが好ましい。
【0092】
図3A及び図3Bにおいては、線状接合部をドット状接合部の集合体として形成した例で説明した。但し、図3Cに示すように胴周り方向に向かって間欠的に、かつ、使い捨ておむつの前後方向に向かって連続的に形成された接合部84Cであることも好ましい(線状接合部90C)。図3Cに示す形態も、図3Aに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。
【0093】
中でも、接合部84Cのように胴周り方向と直交するように形成され、通気路がウエスト端縁6cを縦に横切る方向に並んでいる形態が好ましい。この形態では通気路がウエスト端縁6cにおいて、おむつの内部空間と外部空間を連通する。従って、煙突効果(体温で暖められて軽くなった湿気が外気との密度差で通気路上方に押し上げられる)により十分な通気を図ることが可能となる。
【0094】
前記形態では、接合部がおむつの前後方向に延びる線状に形成されている。従って、おむつのウエスト端縁側からの湿気等の排気が促進される点において好ましい。同様の思想から、前後方向に複数の接合部を形成する場合に、その複数の接合部が前後方向に向かう一直線上に乗るように一列に整列させて形成することが好ましい。このように接合部を形成することで、おむつの前後方向に連続する直線的な通気路を形成し易くなる。このような構造は、形成される通気路が潰れ難くなり、通気性を向上させ易い点において好ましい。
【0095】
本発明の使い捨ておむつにおいては、前記通気路形成シートと前記伸縮部とが、前記胴周り方向と前記使い捨ておむつの前後方向の両方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されていることも好ましい。
【0096】
例えば、複数のドット状接合部が千鳥に配置されたものであってもよい。このような形態でも、伸縮部の収縮に追従して通気路形成シートが撓み、おむつの内部空間と外部空間を連通する通気路が形成される。従って、本発明の効果であるウエスト開口部近傍の通気性、柔軟性を得ることができる。
【0097】
[2−4]前被包部への配置:
これまでの説明では通気路形成シートを後被包部に配置する形態について説明してきた。但し、後被包部に加えて前被包部に同様の通気路を形成し得るようにしたものも好ましい。
【0098】
即ち、図1Dに示す使い捨ておむつ1のように、1)少なくとも前被包部2の一部に伸縮性不織布からなる伸縮部80が形成され、伸縮部80は胴周り方向に収縮するように形成されていること、2)前被包部2の肌当接面の一部に撥水性不織布からなる通気路形成シート82が配置されていること、3)通気路形成シート82は、伸縮部80に積層され、通気路形成シート82と伸縮部80とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84により接合されていること、が好ましい。このような形態は、胴周りの全周(前被包部側、後被包部側の双方)において、通気路の有する通気性向上効果・柔軟性向上効果を得ることができる。
【0099】
前被包部においても伸縮部、通気路形成シート及び接合部の構成は、後被包部のものと特に異なることはない。配置位置が前被包部側である点のみが異なる。図1A図1Eに示す使い捨ておむつ1は、後被包部6と同様の通気路形成構造を前被包部2にも形成したものである。
【0100】
[2−5]具体的な実施形態及びその製造方法:
本発明の使い捨ておむつの具体的な実施形態としては、以下の2形態を挙げることができる。以下、製造方法とともに説明する。
【0101】
[2−5a]第1の実施形態:
第1の実施形態は、図1D図1F及び図1Gに示すように、通気路形成シート82と伸縮部80の肌当接面とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84により接合されている形態である。この例では、図1Dに示すように通気路形成シート82(この例ではアウターシート66の折り返し部88)と、伸縮部80の肌当接面を構成する第1不織布シート(この例では押さえシート68)とが、おむつの胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84により接合されている。そして、前記第1不織布シートと、伸縮部80の外表面を構成する第2不織布シート(この例ではアウターシート63,66)との層間に、ウエスト伸縮材42が伸張状態で固定されている形態である。
【0102】
第1の実施形態の場合、おむつの肌当接面側に通気路86が形成される。このような構造は、通気路形成による通気性向上効果や柔軟性向上効果が発揮され易い点において好ましい。また、着用者の肌とウエスト伸縮材42の間に、前記第1不織布シートと通気路形成シート82が介在するため、ウエスト伸縮材42が肌に擦りつけられる不快感が大幅に低減される。
【0103】
第1の実施形態は、例えば図2A及び図2Bに示すような工程により製造することができる。図2A図1Dに示す使い捨ておむつ1を製造する工程を模式的に示す工程図である。この図は作図上の都合により、一のパンツ型おむつの後被包部におけるウエスト端縁近傍に対応する部分のみを拡大して示している。実際には連続的な製造方法を採用してもよい。具体的には、長尺シート材、長尺伸縮材を図面左右方向に送り出すようにして、図示の構造単位が図面左右方向に複数繰り返されるように連続させた形で製造を行うことが好ましい。図2B図2Aに示す各工程を図2Aに示す構造単位の幅方向中央で切断した切断端面を模式的示す概略端面図である。
【0104】
まず、図2A及び図2Bの(a)図に示すように、通気路形成シート82となるアウターシート66と、第1不織布シートとなる押さえシート68を用意する。
【0105】
次いで、図2A及び図2Bの(b)図に示すように、アウターシート66の折り返し部88に押さえシート68を接合し、接合部84を形成する。この際、アウターシート66の端縁から押さえシート68がはみ出すように接合を行う。図示の例ではヒートシールにより接合部84を形成している。そして、使い捨ておむつの前後方向(図面上下方向)に向かって連続的に、おむつの胴周り方向(図面左右方向)に向かって間欠的に接合部84を形成している。
【0106】
また、図示の例では、アウターシート66の一部(露出部78)が露出するように、インナーシート64が積層された積層シートが用いられている。
【0107】
更に、図2A及び図2Bの(c)図に示すように、アウターシート66の露出部78に、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置し、接着する。これに併せて吸収性本体14を付設する。この吸収性本体14内部の破線部分は吸収体22を示している。この場合、ウエスト伸縮材42を挟む不織布間は、連続面で接着されることになる。
【0108】
ウエスト伸縮材42の接着は、1)第2不織布シートとなるアウターシート66の露出部78又は第1不織布シートとなる押さえシート68にホットメルト接着剤を連続的に塗工し、その塗工部分にウエスト伸縮材42を伸張状態で配置し、接着する方法、2)ウエスト伸縮材42に直接ホットメルト接着剤を塗布ないしスプレーし、当該ウエスト伸縮材42を伸張状態で接着する方法、3)露出部78又は第1不織布シートとなる押さえシート68の上部に、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置しておき、その状態でホットメルト接着剤をスプレーし、露出部78又は押さえシート68とウエスト伸縮材42の双方にホットメルト接着剤を付着させ、接着する方法、4)露出部78又は第1不織布シートとなる押さえシート68の表面に、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置しておき、その状態でホットメルト接着剤をスプレーないし連続的に塗工し、露出部78又は押さえシート68とウエスト伸縮材42の双方にホットメルト接着剤を付着させ、接着する方法等により行うことができる。
【0109】
これらの形態における「連続的に塗工」には接着剤を全面にベタ塗り又は全面にスプレーする形態のみならず、スパイラル状に塗工する形態等も含む。即ち、使い捨ておむつの幅方向に向かって接合部が連続的に形成されている形態であればよい。前記1)〜4)のいずれの方法を採用した場合でも、使い捨ておむつの幅方向に向かって接合部が連続的に形成される。従って、伸縮部80を構成する露出部78と押さえシート68との層間には使い捨ておむつの前後方向に向かう連続的な通気路は形成されないことになる。一方、押さえシート68と通気路形成シート82(折り返し部88)との層間には前記通気路が形成され、この通気路によって通気性が向上する。
【0110】
前記1)の接着方法は、スリットコーター(シムコーター)、カーテンスプレー、スパイラルスプレー、オメガコート等の手法により、前記2)の接着方法は、コームガン、オメガコート、サミット等の手法により、前記3)及び4)の接着方法は、オメガコート、サミット等の手法により、実施することができる。なお、オメガコートは、例えばオメガノズルヘッド(ITWダイナテック社製)を用いることにより、サミットは、例えばサミットノズル(ノードソン社製)を用いることにより実施することができる。
【0111】
最後に、図2A及び図2Bの(d)図に示すように、アウターシート66の折り返し部88及びアウターシート66に対して接合された押さえシート68をウエスト端縁6cに相当する位置で折り返してアウターシート66の露出部78に対して重畳させ、押さえシート68の一部でトップシート18の一部を被覆するように、押さえシート68をホットメルト接着剤で固定する。これにより伸縮部80が形成され、伸縮部80の層間にウエスト伸縮材42が挟み込まれる。
【0112】
[2−5b]第2の実施形態:
第2の実施形態は、通気路形成シートが、伸縮部の肌当接面から伸縮部の外表面にかけて連続的に配置されている形態である。そして、通気路形成シートと伸縮部の肌当接面及び外表面とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されている形態である。
【0113】
第2の実施形態の場合、おむつの肌当接面と外表面の双方に通気路形成シートが配置されている。従って、おむつの肌当接面と外表面の双方に通気路が形成され、ウエスト周りに通気路構造が2層形成される。このような構造は、肌当接面側の通気路によって通気性、柔軟性が向上し、外表面側の通気路によって外表面の触感(手触り)を向上させる点において好ましい。
【0114】
図2A及び図2Bと同様の図面である図4A及び図4Bを用いて説明する。以下の説明では第1の実施形態と同様の部分に関しては説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0115】
まず、図4A及び図4Bの(a)図に示すように、通気路形成シート82Aとなるアウターシート66と、第1不織布シート及び第2不織布シートとなる不織布シート76Aを用意する。第2の実施形態では伸縮部の肌当接面から外表面にかけて連続的に通気路形成シート82Aを配置するため、第1の実施形態と比較しておむつ前後方向に長い通気路形成シート82Aを用いている。また、第1の実施形態のように押さえシートを用いない。
【0116】
次いで、図4A及び図4Bの(b)図に示すように、アウターシート66Aの露出部78から折り返し部88にかけて連続的に不織布シート76Aを接合し、接合部84Dを形成する。図示の例ではヒートシールにより接合部84Dを形成しており、使い捨ておむつの前後方向(図面上下方向)に向かって連続的に、幅方向(図面左右方向)に向かって断続的に接合部84Dを形成している。
【0117】
更に、図4A及び図4Bの(c)図に示すように、不織布シート76A(アウターシート66の露出部78及び折り返し部88に間欠的に接合されている。)の表面にホットメルト接着剤を連続的に塗工し、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置する。これに併せて吸収性本体14を付設する。
【0118】
最後に、図4A及び図4Bの(d)図に示すように、不織布シート76A及びアウターシート66の折り返し部88(不織布シート76Aが接合されている。)をウエスト端縁6cに相当する位置で折り返して不織布シート76A及びアウターシート66の露出部78(不織布シート76Aが接合されている。)に対して重畳させ、固定する。これにより伸縮部80が形成され、伸縮部80の層間にウエスト伸縮材42が挟み込まれる。
【0119】
[2−5c]その他:
最後に、通気路形成シートと伸縮部の外表面とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されている形態についても説明する。
【0120】
この形態の場合、伸縮部の外表面に通気路が形成される。おむつの外表面に柔軟性を付与できるので、おむつを交換する者(母親や介護者)がおむつに触れた際に柔らかい触感を得ることができる。また、おむつの着用時にはウエスト被包部がおむつの内側に折れ込むことがある。前記のような構造であれば折れ込んだ部分が着用者の肌に触れても肌当たりが良く、柔らかい触感を得ることができる。
【0121】
図2A及び図2Bと同様の図面である図5A及び図5Bを用いて説明する。以下の説明では第1の実施形態、第2の実施形態と同様の部分に関しては説明を省略し、これらの実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0122】
まず、図5A及び図5Bの(a)図に示すように、通気路形成シート82Bとなるアウターシート66Bと、第2不織布シートとなる不織布シート76Bを用意する。アウターシート66Bの一部で吸収性本体14を構成するトップシート18の一部を被覆するため、第1の実施形態と比較しておむつ前後方向に長いアウターシート66Bを用いている。
【0123】
次いで、図5A及び図5Bの(b)図に示すように、アウターシート66Bのインナーシート64から露出された部分(露出部78)に、不織布シート76Bを接合し、接合部84Eを形成する。図示の例ではヒートシールにより接合部84Eを形成しており、使い捨ておむつの前後方向(図面上下方向)に向かって連続的に、幅方向(図面左右方向)に向かって断続的に接合部84Eを形成している。
【0124】
更に、図5A及び図5Bの(c)図に示すように、不織布シート76B(アウターシート66Bに接合されている。)の表面にホットメルト接着剤を連続的に塗工し、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置する。これに併せて吸収性本体14を付設する。
【0125】
最後に、図5A及び図5Bの(d)図に示すように、折り返し部88をウエスト端縁6cに相当する位置で折り返して不織布シート76B、インナーシート64及びトップシート18に対して重畳させ、固定する。これにより伸縮部80が形成され、伸縮部80の層間にウエスト伸縮材42が挟み込まれる。この例では、アウターシート66Bの折り返し部88によって、吸収性本体14のトップシート18の一部が被覆されている。
【0126】
[3]使い捨ておむつの構成部材:
本発明の使い捨ておむつは、図1C及び図1Dに示す使い捨ておむつ1のように、少なくとも吸収体22を備える。そして、通常は、吸収体22の他に、トップシート18、バックシート20等を構成部材として備える。また、目的に応じて、立体ギャザー、各種伸縮材等の他の構成部材を備えていてもよい。
【0127】
[3−1]吸収体:
「吸収体」は、吸収性材料によって構成された構造体である。着用者の尿等を吸収し保持する目的で用いられる。前記吸収性材料としては、例えばフラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。前記フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したもの等を、前記SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウム等を、前記親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
【0128】
「吸収体」としては、1種又は2種以上の吸収性材料をマット状に成形したものを用いることが好ましい。マットは単層であっても複層であってもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させてもよいし、複数のフラッフパルプマットの層間に層状に配置して用いてもよい。なお、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するために、吸収体全体を前記親水性シートによって被包しておくことが好ましい。図1C及び図1Dに示す吸収体22は、親水性シートである上ティシュ54及び下ティシュ56によって吸収体22全体が被包されている。
【0129】
「吸収体」は、目的に応じて矩形状、砂時計型等の所望の形状に成形されたものを用いればよい。例えば、図1C及び図1Dに示す吸収体22は、矩形状の吸収体を用いた例である。なお、「吸収体」は、通常、図1C及び図1Dに示す吸収体22のように、その表面側をトップシート18によって被覆されるとともに、その裏面側をバックシート20によって被覆される。即ち、吸収体22は、トップシート18とバックシート20の層間に配置されることが一般的である。
【0130】
[3−2]トップシート:
「トップシート」は、吸収体の表面(おむつの装着時に着用者の肌と対向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。着用者の尿等を透過させる必要があるため、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
【0131】
前記液透過性材料としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
【0132】
前記不織布としては、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。前記親水化処理は、不織布の原綿に対して界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
【0133】
トップシートは「少なくとも一部」が液透過性材料によって構成されている。その位置については特に限定されない。但し、平面視した場合に股下被包部における吸収体の配置位置と重畳する部分が液透過性材料により構成されていることが好ましい。
【0134】
なお、本発明の使い捨ておむつは、着用者の肌と対向する側の面全てがトップシートによってカバーされている必要はない。例えば、テープ型使い捨ておむつにおいては、図7A図7Dに示すように、おむつの胴周り方向中央部のみに液透過性材料からなるトップシート318を配置する場合がある。この際、おむつの胴周り方向側縁部(サイドフラップ部分)には通気撥水性材料からなるサイドシート319を配置する形態を採用することが多い。前記通気撥水性材料としては、カードエンボス、スパンボンド等の製法により得られた不織布シートを用いることが好ましい。特に防水性が高いSMS、SMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0135】
[3−3]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時に着用者の肌と背向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止するため、液不透過性材料によって構成される。
【0136】
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体に吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の配置位置をカバーするようにバックシートが配置されていることが好ましい。
【0137】
前記液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されたフィルムであり、液不透過性であるが透湿性を有する。従って、防漏性を確保しつつ、おむつ内部空間の蒸れを防止することができる。
【0138】
テープ型使い捨ておむつにおいては、図7B図7Eに示すようにバックシート320の外表面側にカバーシート324を貼り合わせる形態がよく用いられる。このカバーシート324は、バックシート320を補強し、バックシート320の手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
【0139】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
【0140】
[3−4]立体ギャザー:
「立体ギャザー」は、おむつの肌当接面に配置された、立体的に起立する防漏壁である。着用者の肌に対して当接させ、レッグ伸縮材と相俟って排泄物の横漏れを防止する目的で用いられる。図1B及び図1Cに示す立体ギャザー26、図7Bに示す立体ギャザー326のように、不織布シート32,332によって構成され、不織布シート32,332の層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材36,336が挟み込まれて固定された構造のものを用いることが多い。このような構造とすれば、立体ギャザー伸縮材36,336の収縮力によって立体ギャザー26,326が立体的に起立する。通常は、吸収体22の両側に左右一対配置する。
【0141】
不織布シートの材質は特に限定されない。但し、サイドシートと同様に、通気撥水性材料からなる不織布シートを好適に用いることができる。図1A図1E及び図6B図6Dに示す不織布シート32、図7B図7Dに示す不織布シート332は、全て通気撥水性の不織布シートを用いている。
【0142】
不織布シートは、専ら立体ギャザーを形成するものであってもよいし、立体ギャザーとおむつの他の部材を形成するものであってもよい。パンツ型使い捨ておむつの場合、図1Cに示すように専ら立体ギャザーを形成する不織布シート32を用い、これを吸収性本体14に対して付設し、吸収性本体14と一体的に立体ギャザー26を構成する形態とすることが多い。一方、テープ型使い捨ておむつの場合、図7Bに示すように撥水性不織布からなる不織布シート332によって立体ギャザー326とサイドシート319を構成する形態とすることが多い。
【0143】
[3−5]吸収性本体:
「吸収性本体」は、吸収体が内包された吸収パッドである。吸収性本体は後述する外装体と一体となって使い捨ておむつを構成する。「吸収パッド」とは、吸収体、トップシート及びバックシートが一体的に構成されたパッド状の部材を指す。例えば図1C及び図1Dに示す吸収性本体14のように、吸収体22の表面を被覆するトップシート18と、吸収体22の裏面を被覆するバックシート20とが、吸収体22の周縁部において貼り合わされ、トップシート18とバックシート20との層間に吸収体22が内包された構造のものを挙げることができる。
【0144】
[3−6]外装体:
「外装体」とは、着用者の胴周りを被包する構造体である。「外装体」は単独で又は吸収性本体と一体となって一つのウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型を呈する。
【0145】
図1Aに示す外装体16は、着用者の胴周りを被包する前外装体62及び後外装体65を備えている。そして、吸収性本体14と一体となって一つのウエスト開口部10及び一対のレッグ開口部12が形成されたパンツ型を呈する。また、図6Aに示す外装体216は、着用者の胴周りを被包する部分と股下を被包する部分が一体的に構成され、外装体216単独で一つのウエスト開口部210及び一対のレッグ開口部212が形成されたパンツ型を呈する。
【0146】
外装体16,216において接合部7,8(接合部207,208)に代えて係合可能なファスナー部材が付設され、そのファスナー部材同士を相互に係合させることによってパンツ型とすることが可能な形態、又は前記ファスナー部材同士が予め係合されてパンツ型を呈している形態のものも「外装体」に含まれる。前記ファスナー部材としては、例えばメカニカルファスナー等を挙げることができる。
【0147】
外装体の材質は特に限定されない。但し、おむつ内部空間の蒸れを防止するべく通気性に優れた素材により構成することが好ましい。前記素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の合成繊維からなる不織布等を挙げることができる。
【0148】
外装体は2枚以上の不織布が貼り合わされて構成されることが多い。例えば、図1Dに示す外装体16は2枚以上の不織布(インナーシート64,61、アウターシート66,63及び押さえシート68)を貼り合わせた積層体によって構成されている。図6Dに示す外装体216も2枚以上の不織布(インナーシート215、アウターシート217及び押さえシート268)を貼り合わせた積層体によって構成されている。
【0149】
前記2枚以上の不織布の層間には伸張状態の各種伸縮材が固定されていることが好ましい。前記のような伸縮材は、外装体に対して、ホットメルト接着剤等の流動性の高い接着剤を用いた接着、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着により固定される。図1Dに示す外装体16は、インナーシート64とアウターシート66の層間、インナーシート61とアウターシート63の層間に、伸張状態のレッグ伸縮材40及びタミー伸縮材44が挟み込まれて固定されている。また、外装体16は、押さえシート68とアウターシート66の層間、押さえシート68とアウターシート63の層間に、伸張状態のウエスト伸縮材42が挟み込まれて固定されている。
【0150】
[3−7]おむつ本体:
テープ型の使い捨ておむつは、吸収性本体と外装体の2ピース構成を採らないことが多い。テープ型の使い捨ておむつにおいて、吸収体と、吸収体を被覆する各種シートが一体的に構成された構造体は「おむつ本体」と称される。「おむつ本体」は、各種シートの層間に吸収体が内包されており、おむつの本質的機能である吸収・保持機能を発揮する部材である。一方、吸収体を内包せず、吸収・保持機能が発揮されない部材(サイドシートとは別体のサイドフラップ、止着テープ等)は「おむつ本体」の構成部材ではない。
【0151】
例えば図7B図7Dに示す使い捨ておむつ301は、吸収体322と、吸収体322を被覆するトップシート318、サイドシート319、バックシート320及びカバーシート324が一体的に構成されたおむつ本体370を備えている。図7Aに示す使い捨ておむつ301において、止着テープ311、前サイドフラップ372及び後サイドフラップ374は、おむつ本体370を構成しない。
【0152】
[3−8]各種伸縮材:
本発明の使い捨ておむつには、ウエスト伸縮材、レッグ伸縮材、タミー伸縮材等の伸縮材を配置することが好ましい。既述の如く、ウエスト伸縮材やタミー伸縮材を本発明に言う「伸縮部」、「伸縮性不織布」を構成する伸縮材として利用することもできる。
【0153】
[3−8a]ウエスト伸縮材:
ウエスト伸縮材は、ウエスト被包部に配置される伸縮材である。ウエスト伸縮材によってウエスト被包部にウエストギャザーが形成される。
【0154】
ウエスト伸縮材は、おむつのウエスト端縁に沿って配置することが好ましい。「沿って」とは、基準となる部分に対して概ね平行であることを意味する。即ち、厳密な意味で平行である必要はない。但し、図1Eに示すウエスト伸縮材42はウエスト端縁2c,6cと平行となるように配置されている。
【0155】
パンツ型の使い捨ておむつの場合、図1A及び図1Eに示すように、ウエスト伸縮材42として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、ウエスト端縁2c,6cに沿って、前被包部2と後被包部6の双方にウエスト伸縮材42を配置することが多い。一方、テープ型使い捨ておむつの場合、ウエスト伸縮材として、1枚の面状伸縮材(伸縮性フォーム等)を用いることが多い。また、後被包部のウエスト端縁に沿って、後被包部のみにウエスト伸縮材を配置することが多い。
【0156】
[3−8b]レッグ伸縮材:
レッグ伸縮材は、股下被包部に配置される伸縮材である。レッグ伸縮材によって股下被包部にレッグギャザーが形成される。
させるため)。
【0157】
パンツ型使い捨ておむつの場合、図6A図6B及び図6Eに示すように、レッグ伸縮材240として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、外装体216のレッグ開口部212の外縁に沿って、レッグ伸縮材240を曲線的に配置する形態を採用することが多い。この形態においては、図6Eに示すようにレッグ伸縮材240が股下被包部204における胴周り方向中央を横断しないように配置することが好ましい。この形態によれば、股下被包部204における胴周り方向中央にレッグ伸縮材240の収縮力が作用し難い。従って、吸収体22のヨレが防止され、着用者の股下に対し吸収体22がフィットし易くなる。
【0158】
図1A図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、後外装体65の股下被包部4に、レッグ伸縮材40を直線的に配置している。レッグ伸縮材40はウエスト端縁6cと平行になるように配置されている。また、吸収性本体14における吸収体22の両側縁に沿って、レッグ伸縮材38を直線的に配置している。このような形態においてはレッグ伸縮材38,40及び前外装体62のタミー伸縮材44が一体となって着用者の脚周りに対するフィット性を向上させる。
【0159】
また、レッグ伸縮材38を配置すると、おむつの着用時において、吸収性本体14の両側縁が吸収体22よりも立ち上がった形態になり易い。このような形態は、排尿後に吸収性本体14の幅方向中央部(即ち吸収体22が配置されている部分)に尿が集まり易くなる。従って尿漏れを発生し難くすることができる。
【0160】
一方、テープ型使い捨ておむつの場合、図7A及び図7Eに示すように、レッグ伸縮材340として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、少なくとも股下被包部304に、吸収体322の両側縁に沿う直線状に、左右複数対の線状伸縮材を配置する形態を採用することが多い。
【0161】
[3−8c]タミー伸縮材:
タミー伸縮材は、タミー被包部に配置される伸縮材である。タミー伸縮材によってタミー被包部にタミーギャザーが形成される。主としてパンツ型の使い捨ておむつに配置される伸縮材である。
【0162】
パンツ型使い捨ておむつの場合、図1A図1B及び図1Eに示すように、タミー伸縮材44として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、ウエスト端縁2c,6cに沿って直線的に、また、前被包部2と後被包部6の双方にタミー伸縮材44を配置することが多い。レッグ伸縮材の場合と同様の理由から、図1Eに示すように吸収体22の配置部位を横断しないようにタミー伸縮材44を配置することが好ましい。
【0163】
[3−8d]伸縮材の構成、その他:
伸縮材としては、天然ゴムからなる平ゴム、合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴム等を好適に用いることができる。また、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を用いることもできる。
【0164】
伸縮材は、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することが好ましい。この範囲とすることで着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることができる。伸縮材は、接着剤を用いた接着、熱や超音波等による溶着によって固定することができる。前記接着剤としてはホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いることができる。溶着の方法としてはヒートシール等を挙げることができる。
【0165】
伸縮材の固定の方法は特に限定されない。但し、伸縮材及び前記伸縮材を挟み込む不織布シートの少なくとも一つに、接着剤を塗工ないし噴霧し、固定する方法等を挙げることができる。塗工方法としては、例えばスパイラル塗工等を挙げることができる。
【0166】
パンツ型使い捨ておむつの場合、ウエスト伸縮材、レッグ伸縮材、タミー伸縮材とも、外装体を構成する複数のシートの層間に挟み込むように固定する等の方法で配置することができる。
【0167】
例えば、図6A図6B及び図6Eに示す使い捨ておむつ201は、押さえシート268とアウターシート217の層間に挟み込むように、ウエスト伸縮材242を固定している。そして、インナーシート215とアウターシート217の層間に挟み込むように、レッグ伸縮材240及びタミー伸縮材244を固定している。
【0168】
但し、レッグ伸縮材については、吸収性本体を構成する複数のシートの層間に挟み込むように固定する等の方法で配置してもよい。
【0169】
例えば、図1A図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、不織布シート32(立体ギャザー26を形成するために吸収性本体14に貼り合わされる。)同士の層間又は不織布シート32とカバーシート24との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材38を固定している。なお、使い捨ておむつ1においては、押さえシート68とアウターシート63,66の層間に挟み込むように、ウエスト伸縮材42を固定している。また、インナーシート61,64とアウターシート63,66の層間に挟み込むように、レッグ伸縮材40及びタミー伸縮材44を固定している。
【0170】
一方、テープ型使い捨ておむつの場合、ウエスト伸縮材、レッグ伸縮材とも、おむつ本体を構成する複数のシートの層間に挟み込むように固定する等の方法で配置することができる。
【0171】
例えば、トップシートとカバーシートの層間に挟み込むように、ウエスト伸縮材を固定することができる。但し、図7Aに示す使い捨ておむつ301は、おむつ本体370に対し、そのウエスト端縁370c,370d近傍に伸縮性不織布396を間欠的に接合し(接合部386)、伸縮性不織布396を構成する伸縮材391をウエスト伸縮材として利用している。
【0172】
また、図7Dに示す使い捨ておむつ301は、不織布シート332によって構成されるサイドシート319と、カバーシート324との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材340を固定している。但し、トップシートとカバーシートの層間に挟み込むように、レッグ伸縮材を固定してもよい。
【0173】
[3−9]止着テープ:
「止着テープ」は、前被包部及び後被包部のいずれか一方を他方に対して止め付けるためのテープである。通常は、図7A及び図7Eに示す止着テープ311のように、後被包部306の左右の側縁(この例ではおむつ本体370の側縁374a,374b)から腰周り方向外側に延出するように付設される。
【0174】
止着テープはファスニング部材を有することが好ましい。ファスニング部材の種類は特に限定されない。但し、メカニカルファスナー(面状ファスナー)を用いることが好ましい。メカニカルファスナーは止着力が高く、複数回の脱着を行っても止着力が低下し難い点で好ましい。例えば、図7Eに示すように止着テープ311を構成する基材350の先端近傍にメカニカルファスナーのフック材348を付設する。一方、前被包部302に、メカニカルファスナーのループ材346からなるフロントパッチ313を付設する形態とすることが多い。
【0175】
止着テープの数は特に限定されない。但し、着用者の体型(具体的には、ウエスト周り、脚周り等)の寸法に合わせて、適当な数の止着テープを付設すればよい。一般的には、乳幼児用の使い捨ておむつであれば一対(左右1個ずつ)、成人用の使い捨ておむつであれば二対(左右2個ずつ)が付設される。
【実施例】
【0176】
本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の使い捨ておむつは、その発明特定事項を備えた使い捨ておむつを全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0177】
〔実施例1〕
実施例1の使い捨ておむつとして、パンツ型使い捨ておむつを製造した。具体的な構造は、図1A図1Eに示す使い捨ておむつ1の構造とした。この使い捨ておむつ1は、乳児用Lサイズのものであり、前後方向長さが485mm、前被包部2及び後被包部6の幅(側縁2a,2b間、側縁6a,6b間の長さ)が325mmのものである。製造方法は、図2A及び図2Bに示すような工程により行った。
【0178】
図1Dに示す使い捨ておむつ1においては、図1F及び図1Hに示すように、通気路形成シート82が伸縮部80のうち肌当接面の側のみに配置され、通気路形成シート82が伸縮部80を構成する一の不織布である押さえシート68に対して接合され、その接合部84が通気路形成シート82と押さえシート68の幅方向に向かって間欠的に形成されている。そして、押さえシート68と伸縮部80を構成する他の不織布であるアウターシート63,66との層間には、ウエスト伸縮材42が伸張状態で配置されている。通気路形成構造はおむつの後被包部6側のみならず、前被包部2側にも配置されている。
【0179】
図1Dに示す使い捨ておむつ1においては、図1F図1Hに示すように、通気路形成シート82は前外装体62、後外装体65を構成するアウターシート63,66の折り返し部88を利用している。通気路形成シート82は坪量19g/mのスパンボンド不織布が用いられている。
【0180】
使い捨ておむつ1においては、アウターシート63,66の一の端部がウエスト端縁2c,6cにおいてトップシート18側に折り返されることによって、折り返し部88が形成されている。折り返し部88の前後方向の長さは80mmである。
【0181】
図1Dに示すように、後被包部6を構成するアウターシート63,66に、押さえシート68が積層されて伸縮部80が形成されている。この伸縮部80の層間に、ウエスト伸縮材42が配置されている。
【0182】
押さえシート68としては、インナーシート61,64、アウターシート63,66とは別体の不織布シートが配置されている。押さえシート68としては通気路形成シート82と同種のスパンボンド不織布、即ち、坪量19g/mの撥水性不織布が用いられている。
【0183】
図1D及び図1Fに示すように、押さえシート68の先端は折り返し部88の先端からはみ出すように構成されている。そして、そのはみ出し部分によって吸収性本体14を構成するトップシート18の一部が被覆されている。このはみ出し部分は通気路形成シート82の端部から35mmだけはみ出すように構成されており、トップシート18の端部から25mmの部分を被覆するように構成されている。
【0184】
押さえシート68は長さ80mm(おむつの前後方向の寸法)のものを用い、押さえシート68に対して折り返し部88が接合されている。接合部84は折り返し部88の幅方向に向かって7mm間隔で配置されている。図1Fに示すように、接合部84は折り返し部88及び押さえシート68の前後方向に向かう、複数の線状接合部90とした。線状接合部90は折り返し部88及び押さえシート68の幅方向に向かって間欠的に形成されている。
【0185】
線状接合部90の各々は、複数のドット状接合部92が折り返し部88及び押さえシート68の前後方向に向かって一列に配置された集合体として形成されている。1つのドット状接合部の面積は4.6mmとした。形状は幅1mm、長さ1.5mmの矩形の両端に直径1mmの半円を結合させたようなレーストラック形状とし、ドット状接合部92の前後方向(幅方向と直交する方向)の間隔は0.5mmとした。5個のドット状接合部92の集合体が1つの線状接合部90として構成され、その線状接合部90が折り返し部88及び押さえシート68の前後方向に向かって2mm間隔で配置されている。
【0186】
図1Dに示すように伸縮部80の層間には、ウエスト端縁2c,6cに沿ってウエスト伸縮材42が伸張率300%(元の長さの3倍)の伸張状態で6本配置されている。ウエスト伸縮材42としては天然ゴムからなる平ゴム(厚さ0.35mm×幅0.65mm)を用いた。
【0187】
〔実施例2〕
実施例2の使い捨ておむつとして、パンツ型使い捨ておむつを製造した。具体的な構造は、図6A図6Eに示す使い捨ておむつ201の構造とした。この使い捨ておむつ201は、実施例1の使い捨ておむつと同サイズ、即ち前後方向長さが485mm、後被包部6の幅(側縁6a,6b間の長さ)が325mmのものである。
【0188】
吸収性本体は実施例1の使い捨ておむつと同一構造の吸収性本体14を用いた。外装体216は、実施例1の使い捨ておむつのような前後分離型ではなく、前被包部、股下被包部及び後被包部が一体的に形成された一体型のものを用いた。股下被包部の最狭部(A−A’端面の位置)の幅は175mmとした。外装体216に配されるレッグ伸縮材240は、外装体216のレッグ開口部212の外縁に沿って曲線的に配置した。
【0189】
その他の部分については、実施例1の使い捨ておむつと同様にして構成した。即ち、伸縮部や接合部の構成(各部寸法、使用材料等)、これらの形成方法等は実施例1の使い捨ておむつに準じて構成した。以下、具体的に説明する。
【0190】
図6B及び図6Dに示す使い捨ておむつ201においては、通気路形成シート282が伸縮部280のうち肌当接面の側のみに配置され、通気路形成シート282が伸縮部280を構成する一の不織布である押さえシート268に対して接合され、その接合部284が通気路形成シート282と押さえシート268の幅方向に向かって間欠的に形成されている。そして、押さえシート268と伸縮部280を構成する他の不織布であるアウターシート217との層間には、ウエスト伸縮材242が伸張状態で配置されている。通気路形成構造はおむつの後被包部206側のみならず、前被包部202側にも配置されている。
【0191】
図6Dに示すように、通気路形成シート282は外装体216を構成するアウターシート217の折り返し部288を利用している。通気路形成シート282は坪量19g/mのスパンボンド不織布が用いられている。
【0192】
使い捨ておむつ201においては、アウターシート217の一の端部がウエスト端縁202c,206cにおいてトップシート18側に折り返されることによって、折り返し部288が形成されている。折り返し部288の前後方向の長さは80mmである。
【0193】
図6Dに示すように、後被包部206を構成するアウターシート217に、押さえシート268が積層されて伸縮部280が形成されている。この伸縮部280の層間に、ウエスト伸縮材42が配置されている。
【0194】
押さえシート268としては、インナーシート215、アウターシート217とは別体の不織布シートが配置されている。押さえシート268としては通気路形成シート282と同種のスパンボンド不織布、即ち、坪量19g/mの撥水性不織布が用いられている。
【0195】
図6Dに示すように、押さえシート268の先端は折り返し部288の先端からはみ出すように構成されている。そして、そのはみ出し部分によって吸収性本体14を構成するトップシート18の一部が被覆されている。このはみ出し部分は通気路形成シート282の端部から35mmだけはみ出すように構成されており、トップシート18の端部から25mmの部分を被覆するように構成されている。
【0196】
押さえシート268は長さ80mm(おむつの前後方向の寸法)のものを用い、押さえシート268に対して折り返し部288が接合されている。接合部284は折り返し部288の幅方向に向かって7mm間隔で配置されている。図1Fに示す接合部84と同様に、接合部284は、折り返し部288及び押さえシート268の前後方向に向かう、複数の線状接合部とした。線状接合部は折り返し部288及び押さえシート268の幅方向に向かって間欠的に形成されている。線状接合部の具体的形状については実施例1に説明した通りである。
【0197】
図6Dに示すように伸縮部280の層間には、ウエスト端縁202c,206cに沿ってウエスト伸縮材242が伸張率300%(元の長さの3倍)の伸張状態で6本配置されている。ウエスト伸縮材242としては天然ゴムからなる平ゴム(厚さ0.35mm×幅0.65mm)を用いた。
【0198】
〔実施例3〕
実施例3として、図7A図7Eに示すテープ型の使い捨ておむつ301を作製した。このテープ型使い捨ておむつ301は、乳児用Lサイズのものであり、おむつ本体370の前後方向長さを485mm、幅を230mmの矩形状に構成した。
【0199】
おむつ本体370には、側縁370a,370bから延出されるように、伸縮性不織布395からなる後サイドフラップ374を付設した。伸縮性不織布395を構成する不織布シート393,394としては、坪量18g/mのポリプロピレン製スパンボンド不織布を用いた。2枚の前記スパンボンド不織布の層間に、伸縮材391として10本の糸ゴムを5mmピッチで配し、300%の伸張状態で固定することにより伸縮性不織布395を構成した。
【0200】
後サイドフラップ374のサイズは、側縁374a,374bの上下方向長さを60mm、おむつ本体の側縁370a,370bにおける上下方向長さを108mmとした。おむつ本体370の側縁370a,370bからの左右方向の長さは80mmとした。
【0201】
後サイドフラップ374の肌当接面には通気路形成シート383をおむつの胴周り方向に間欠的に接合した。通気路形成シート383はスパンボンド不織布からなり、坪量18g/mのポリプロピレン製不織布シートを用いた。この通気路形成シート383を超音波シールにて後サイドフラップ374の肌当接面に接合した。接合部385は、より具体的には幅1mm、長さ10mmの矩形状接合部を複数個集合的に形成したものであり、前記矩形状接合部をおむつの長さ方向に50mm間隔、おむつの幅方向に8mm間隔で配列するものとした。
【0202】
また、おむつ本体370のウエスト端縁370c,370d近傍の肌当接面にはおむつの胴周り方向に向かって間欠的に伸縮性不織布396を接合した。伸縮性不織布を構成する不織布シート397,398としては、坪量15g/mの撥水性のSMS不織布シートを用いた。不織布シート397,398の層間には、伸縮材399として10本の糸ゴムを5mmピッチで配し300%の伸張状態で固定した。
【0203】
伸縮性不織布396を超音波シールにておむつ本体370のウエスト端縁370c,370d近傍の肌当接面に接合した(接合部386)。即ち、おむつ本体370のウエスト端縁370c,370d近傍の部分(ウエスト被包部)を通気路形成シート383として利用した。接合部385は、幅0.4mm、長さ10mmの矩形状接合部を複数個集合的に形成したものであり、前記矩形状接合部をおむつの長さ方向に1mm間隔、おむつの幅方向に7mm間隔で配列するものとした。
【0204】
後サイドフラップ374の側縁374a,374bには、側縁374a,374bから更に27mm外側に延出されるように一対の止着テープ311を接合した。止着テープ311は、幅40mm(後サイドフラップ374の上下方向の長さ)、長さ42mm(後サイドフラップ374の左右方向の長さ)とした。後サイドフラップ374と左右方向15mmの範囲で重畳されるように接合した。接合方法はホットメルト接着剤による接着とした。
【0205】
止着テープ311は、基材350に対しその側縁を基準として内側7〜22mmの範囲に幅15mm(止着テープ311の左右方向の長さ)のフック材348を接合したものとした。
【0206】
なお、実施例3の使い捨ておむつ301には、前被包部302側に前サイドフラップ372を付設した。前サイドフラップ372は幅20mmの部分を、サイドシート319とカバーシート324に挟み込み、ホットメルト接着剤により接着することで固定した。おむつ本体370の側縁370a,370bから外部に露出する部分は上底40mm、下底60mmの等脚台形状とし、前記下底がおむつ本体370のウエスト端縁2cから15〜75mmの範囲に配置されるように付設した。材質は後サイドフラップ374と同一の不織布とした。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明の使い捨ておむつは、乳幼児用又は介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ、より具体的にはパンツ型使い捨ておむつやテープ型使い捨ておむつとして利用することができる。
【符号の説明】
【0208】
1:使い捨ておむつ、2:前被包部、2a,2b:側縁、2c:ウエスト端縁、4:股下被包部、6:後被包部、6a,6b:側縁、6c:ウエスト端縁、7,8:接合部、10:ウエスト開口部、12:レッグ開口部、14:吸収性本体、15:インナーシート、16:外装体、17:アウターシート、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、24:カバーシート、26:立体ギャザー、28:接合部、32:不織布シート、36:立体ギャザー伸縮材、38,40:レッグ伸縮材、42:ウエスト伸縮材、44:タミー伸縮材、54:上ティシュ、56:下ティシュ、61,64:インナーシート、62:前外装体、63,66:アウターシート、65:後外装体、66A,66B:アウターシート、68:押さえシート、76A,76B:不織布シート、78:露出部、80:伸縮部、82,82A,82B:通気路形成シート、84,84A,84B,84C,84D,84E:接合部、86:通気路、88:折り返し部、90,90A,90B,90C:線状接合部、92,92A,92B:ドット状接合部、201:使い捨ておむつ、202:前被包部、202a,202b:側縁、202c:ウエスト端縁、204:股下被包部、206:後被包部、206a,206b:側縁、206c:ウエスト端縁、207,208:接合部、210:ウエスト開口部、212:レッグ開口部、214:吸収性本体、215:インナーシート、216:外装体、217:アウターシート、240:レッグ伸縮材、242:ウエスト伸縮材、244:タミー伸縮材、268:押さえシート、280:伸縮部、282:通気路形成シート、284:接合部、288:折り返し部、301:使い捨ておむつ、302:前被包部、304:股下被包部、306:後被包部、311:止着テープ、313:フロントパッチ、318:トップシート、319:サイドシート、320:バックシート、322:吸収体、324:カバーシート、326:立体ギャザー、332:不織布シート、336:立体ギャザー伸縮材、340:レッグ伸縮材、342:ウエスト伸縮材、346:ループ材、348:フック材、350:基材、370:おむつ本体、370a,370b:側縁、370c,370d:ウエスト端縁、372:前サイドフラップ、374:後サイドフラップ、374a,374b:側縁、383:通気路形成シート、385,386:接合部、391:伸縮材、393,394:不織布シート、395,396:伸縮性不織布、397,398:不織布シート、399:伸縮材。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E