(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
マウンターなどの産業機器には、移動する物体の位置を検出するために、磁気や光ビームを利用して物体の位置検出を行う位置検出装置を備えるものがある。
【0003】
図23(a)は、磁気を利用するタイプ(磁気式)の位置検出装置10の構成を示す図である。同図に示すように、位置検出装置10は、位置検出対象の物体(不図示)に貼付される磁気センサー20と、物体の移動方向(以下、x方向という。)に延伸する表面30aを有し、この表面30aにN極とS極とが等間隔で交互に現れるように着磁した磁気スケール30とを備えている。
【0004】
図23(a)には、磁気スケール30によって形成される磁界の強さも示している。同図に示すように、磁気スケール30によって形成される磁界の強さは、磁気スケール30の表面30aに現れる各磁極の幅(x方向の長さ)をλとすると、波長2λのサイン波として近似される。
【0005】
磁気センサー20は、
図23(a)に示すように4つのAMR(Anisotropic magnetoresistive)素子MRA〜MRDを有しており、これらはx方向に沿ってλ/4の間隔で配置されている。
【0006】
図23(b)は、AMR素子MRA〜MRDの電気的な接続形態を示す図である。同図に示すように、磁気センサー20では、AMR素子MRAとAMR素子MRCとがハーフブリッジ接続され、AMR素子MRBとAMR素子MRDとがハーフブリッジ接続される。磁気センサー20の出力信号は2つあり、一方の出力信号VsinはAMR素子MRAとAMR素子MRCの接続点から取り出され、他方の出力信号VcosはAMR素子MRBとAMR素子MRDの接続点から取り出される。
【0007】
AMR素子は、印加される磁界の強さによってその抵抗値が変化する素子である。
図23(a)には、AMR素子がx方向に移動するときの、AMR素子の抵抗値の変化(読み出し信号)も示している。同図に示すように、AMR素子の抵抗値は、磁気スケール30によって形成される磁界の半分の波長λで変化する。
【0008】
図24は、位置検出対象の物体がx方向に移動するときの、AMR素子MRA〜MRDの抵抗値R
MRA〜R
MRD及び出力信号Vsin,Vcosの変化を示す図である。同図に示すように、抵抗値R
MRA〜R
MRDの位相はπ/4ずつずれたものとなる。これは、AMR素子MRA〜MRDがx方向に沿ってλ/4ずつ間隔を空けて配置されていることに対応するものである。また、出力信号Vsin,Vcosも波長λで変化し、その位相は互いにπ/4だけ異なるものとなる。
【0009】
AMR素子MRA〜MRDの抵抗値R
MRA〜R
MRDはそれぞれ、近似的に次の式(1)〜式(4)のように表される。ただし、θ=2π・x/λであり、A
0及びA
1は定数である。
【0010】
【数1】
【0011】
式(1)〜式(4)より、出力信号Vsin,Vcosはそれぞれ、次の式(5),式(6)で表される。ただし、式(5),式(6)では、θの0次項成分を除去している。0次項成分は既知であるので、減算処理により除去することが可能である。なお、0次項成分を取り除くためにフィルタを用いることは適切でない。位置検出装置は、静止している物体の位置も検出する必要があるためである。
【0012】
【数2】
【0013】
物体の位置xは、以上のようにして得られる出力信号Vsin,Vcosを用いて、次の式(7)により求められる。
【0014】
【数3】
【0015】
ところで、式(1)〜式(4)ではAMR素子の読み出し信号が完全な正弦波であるとしたが、実際には完全な正弦波となるわけではない。このことをフーリエ級数展開を用いて数式化すると、抵抗値R
MRA〜R
MRDの読み出し信号はそれぞれ、次の式(8)〜式(11)で表されることになる。ただし、A
2,A
3,・・・は定数である。これらの式から明らかなように、抵抗値R
MRA〜R
MRDの読み出し信号には高調波成分が含まれる。
【0016】
【数4】
【0017】
高調波成分も考慮して出力信号Vsin,Vcosを求めると、それぞれ次の式(12),式(13)のようになる。
【0018】
【数5】
【0019】
式(12),式(13)から理解されるように、高調波成分は出力信号Vsin,Vcosにも残り、これは、式(7)により求められる位置xの誤差の原因となる。したがって、抵抗値R
MRA〜R
MRDに現れる高調波成分は除去することが好ましい。この点、例えば特許文献1には、奇数次の高調波を除去するための技術が開示されている。
【0020】
また、式(12),式(13)から理解されるように、出力信号Vsin,Vcosには、θの0次項成分(DC成分)も残存する。DC成分は、上述したように減算処理によって除去することもできるが、フルブリッジ接続を利用することによっても除去できる。そこで以下では、このフルブリッジ接続について説明する。
【0021】
図25は、磁気センサー20にフルブリッジ接続を適用した場合の、AMR素子MRA〜MRDの具体的な接続形態を示す図である。同図に示すように、フルブリッジ接続を行う場合、
図23(b)に示したハーフブリッジが2セットずつ用意される。各セットからの出力はそれぞれオペアンプの反転入力端子と非反転入力端子とに入力され、オペアンプの出力が出力信号Vsin,Vcosとなる。
【0022】
図25の例では、出力信号Vsin,Vcosはそれぞれ、次の式(14),式(15)で表される。
【0023】
【数6】
【0024】
式(12),式(13)とを比較すると理解されるように、式(14),式(15)によれば、出力信号Vsin,VcosからVcc/2の項が除去されている。このことは、フルブリッジ接続を行うことによって、出力信号Vsin,VcosからDC成分が除去されたことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ところで、検出素子としては、上述したAMR素子の他にも各種の素子が知られている。中でもGMR(giant magnetoresistive)素子は、他の検出素子に比べて大きな出力を得られることが知られている。GMR素子を用いて位置検出装置を構成すれば、AMR素子を用いる場合に比べて大きな出力を得ることが可能になる。
【0027】
しかしながら、GMR素子には、少なくとも通常の使い方をする限り、その抵抗値が、磁気スケール30によって形成される磁界の波長(AMR素子の2倍)で変化するという問題がある。このことは、GMR素子を用いる位置検出装置では、AMR素子を用いるものに比べて1/2の分解能しか得られないことを意味する。これでは、如何に高出力であっても、GMR素子を用いて位置検出装置を構成することは困難である。したがって、検出素子としてGMR素子を用いることができるよう、より高い分解能を有する位置検出装置が求められている。
【0028】
より高い分解能を有する位置検出装置が求められるという点では、光ビームを利用するタイプ(光学式)の位置検出装置においても事情は同様である。すなわち、光学式の位置検出装置では、磁気スケールに代えて表面に回折パターンが形成された反射板(光学スケール)が用いられ、この光学スケールに光ビームが照射される。そして、磁気センサーに代えて光センサーが用いられ、光センサーは、光学スケールで反射した光ビームを受光する。このときの受光量は、式(8)〜式(11)に示した読み出し信号と同様の信号となり、その波長が長いほど分解能が低下する。したがって、光学式の位置検出装置についても、磁気を利用する位置検出装置と同じように、より高い分解能を有する位置検出装置が求められている。
【0029】
したがって、本発明の目的の一つは、より高い分解能を有する位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成するための本発明による位置検出装置は、位置検出対象の物体の移動方向に沿って延伸する第1の表面を有するスケールと、前記物体とともに移動可能に構成され、かつ前記第1の表面に対向して配置されたセンサーと、前記センサーの出力信号に基づいて前記位置検出対象の物体の位置を取得する位置取得手段とを備え、前記センサーは、第1の電源電位が供給される第1の電源端子と、前記第1の電源電位とは異なる第2の電源電位が供給される第2の電源端子と、第1及び第2の出力端子と、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第1の素子と、前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に接続された第2の素子と、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第3の素子と、前記第2の電源端子と前記第2の出力端子との間に接続された第4の素子とを有し、前記第1の素子は、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第3の検出素子からなり、前記各第1の検出素子及び前記各第3の検出素子はそれぞれ、前記第1の表面に沿って前記移動方向に移動する際、前記スケールの対向位置に応じた所定の読み出し信号を生成するよう構成され、前記複数個の第1の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定され、前記複数個の第3の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定され、前記位置取得手段は、前記第1の出力端子に現れる電圧信号と、前記第2の出力端子に現れる電圧信号とに基づいて前記位置検出対象の物体の位置を算出することを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、2次以上の高調波が基本波となる。したがって、従来の位置検出装置に比べて2倍以上の分解能を得ることが可能になる。なお、本発明において「移動」とは、位置検出対象の物体とスケールの相対的な移動を意味する。すなわち、例えば地表面を基準として考えると、スケールが地表面に対して固定され、物体が地表面に対して移動することとしてもよいし、物体が地表面に対して固定され、スケールが地表面に対して移動することとしてもよいし、物体・スケールの双方が地表面に対して互いに異なる方向へ移動することとしてもよい。なお、電源電位は定電圧源の電位であってもよく、定電流源の電位であってもよい。
【0032】
上記位置検出装置において、前記第2の素子は、前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、前記第2の電源端子と前記第2の出力端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第4の検出素子からなり、前記複数個の第2の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定され、前記複数個の第4の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第4の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0033】
また、上記位置検出装置において、前記第1の素子は、2
n個(nは任意の自然数の中から選択される数)の前記第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、2
n個の前記第3の検出素子からなり、前記2
n個の第1の検出素子は、n=1である場合には、第1の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2離れた第1及び第2の位置に1個ずつ配置され、n≧2である場合には、前記第1の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n−1個の位置に1個ずつ、前記第2の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n−1個の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、前記2
n個の第3の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に第1の所定距離ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、2次の高調波が基本波となる。したがって、従来の位置検出装置に比べて2倍の分解能を得ることが可能になる。
【0034】
さらに、この位置検出装置において、前記第2の素子は、2
n個の前記第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、2
n個の前記第4の検出素子からなり、前記2
n個の第2の検出素子は、n=1である場合には、前記第1の基準位置から前記移動方向にπl/2(lは任意の奇数から選択される数)離れた第2の基準位置からさらに前記移動方向にそれぞれ±π/2離れた第3及び第4の位置に配置され、n≧2である場合には、前記第3の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n−1個の位置に1個ずつ、前記第4の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n−1個の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、前記2
n個の第4の検出素子は、前記2
n個の第2の検出素子それぞれを前記移動方向に第2の所定距離ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第4の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0035】
また、上記位置検出装置において、前記第1の素子は、2
n個(nは任意の自然数の中から選択される数)の前記第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、2
n個の前記第3の検出素子からなり、前記2
n個の第1の検出素子の前記移動方向の配置は、2
k次項成分(kは任意の自然数の中から選択される数)以外の2のべき乗次成分と、2
kP次成分(Pは3以上の素数)との中から選択されるn個の成分が除去されるよう決定され、前記2
n個の第3の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に第1の所定距離ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、基本波より高次の高調波を適切に除去することが可能になる。
【0036】
さらに、この位置検出装置において、前記第2の素子は、2
n個の前記第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、2
n個の前記第4の検出素子からなり、前記2
n個の第2の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に第3の所定距離ずらした位置に配置され、前記2
n個の第4の検出素子は、前記2
n個の第2の検出素子それぞれを前記移動方向に第2の所定距離ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第4の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0037】
また、上記位置検出装置において、前記第1の素子は、2
n個(nは任意の2以上の自然数の中から選択される数)の前記第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、2
n個の前記第3の検出素子からなり、前記2
n個の第1の検出素子は、n=2である場合には、第1の基準位置から前記移動方向に+π/2離れた第1の位置からさらに前記移動方向にそれぞれ±π/4離れた第5及び第6の位置に1個ずつ、前記第1の基準位置から前記移動方向に−π/2離れた第2の位置からさらに前記移動方向にそれぞれ±π/4離れた第7及び第8の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、n≧3である場合には、前記第5の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第6の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第7の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第8の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、前記2
n個の第3の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に第1の所定距離ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、4次の高調波が基本波となる。したがって、従来の位置検出装置に比べて4倍の分解能を得ることが可能になる。
【0038】
さらに、この位置検出装置において、前記第2の素子は、2
n個の前記第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、2
n個の前記第4の検出素子からなり、前記2
n個の第2の検出素子は、n=2である場合には、前記第1の基準位置から前記移動方向にπl/4(lは任意の奇数から選択される数)離れた第2の基準位置からさらに前記移動方向に+π/2離れた第3の位置からさらに前記移動方向にそれぞれ±π/4離れた第9及び第10の位置に1個ずつ、前記第2の基準位置から前記移動方向に−π/2離れた第4の位置からさらに前記移動方向にそれぞれ±π/4離れた第11及び第12の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、n≧3である場合には、前記第9の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第10の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第11の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第12の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、前記2
n個の第4の検出素子は、前記2
n個の第2の検出素子それぞれを前記移動方向に第2の所定距離ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第4の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0039】
また、上記各位置検出装置において、前記スケールは、前記第1の表面に前記移動方向に沿ってN極とS極とが交互に現れるように着磁した磁気スケールであり、前記検出素子は磁気抵抗素子であることとしてもよい。これによれば、磁気を利用する位置検出装置において、従来の2倍以上の分解能を得ることが可能になる。したがって、AMR素子の半分の分解能しか得られないGMR素子を用いても、従来と同等若しくはそれ以上の分解能を得ることができることになるので、検出素子としてGMR素子を用いることが可能になる。
【0040】
また、上記各位置検出装置において、前記スケールは、前記第1の表面に前記移動方向に沿ってN極とS極とが交互に現れるように着磁した磁気スケールであり、前記検出素子は磁気抵抗素子であり、前記第2及び第4の素子はそれぞれ、前記磁気スケールによって形成される磁界の影響を受けないよう構成された抵抗素子からなることとしてもよい。
【0041】
また、上記各位置検出装置において、前記磁気抵抗素子はGMR素子、AMR素子、又はTMR素子のいずれかであることとしてもよい。
【0042】
また、上記各位置検出装置において、前記スケールは、前記第1の表面に回折パターンが形成された光学スケールであり、前記検出素子は光検出素子であることとしてもよい。これによれば、光学式の位置検出装置において、従来の2倍以上の分解能を得ることが可能になる。
【0043】
また、上記位置検出装置において、前記第2及び第4の素子はそれぞれ定電流源からなることとしてもよい。
【0044】
また、上記各位置検出装置において、前記第1の電源電位は接地電位であることとしてもよい。
【0045】
また、本発明の他の一側面による位置検出装置は、位置検出対象の物体の移動方向に沿って延伸する第1の表面を有するスケールと、前記物体とともに移動可能に構成され、かつ前記第1の表面に対向して配置されたセンサーと、前記センサーの出力信号に基づいて前記位置検出対象の物体の位置を取得する位置取得手段とを備え、前記センサーは、第1の電源電位が供給される第1の電源端子と、前記第1の電源電位とは異なる第2の電源電位が供給される第2の電源端子と、第1及び第2の出力端子と、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第1の素子と、前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に接続された第2の素子と、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第3の素子と、前記第2の電源端子と前記第2の出力端子との間に接続された第4の素子とを有し、前記第1の素子は、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第3の検出素子からなり、前記各第1の検出素子及び前記各第3の検出素子はそれぞれ、前記第1の表面に沿って前記移動方向に移動する際、前記スケールの対向位置に応じた所定の読み出し信号を生成するよう構成され、前記複数個の第1の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の出力端子に現れる電圧信号に少なくとも位相の2
k次項成分及び2
k+2
k+1・N次項成分(kは任意の自然数の中から選択される数、Nは正の整数)が残り、前記第1の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の2
m次項成分及び2
m+2
m+1・N次項成分(mはkより小さい正の整数)が除去されるよう決定され、前記複数個の第3の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の出力端子に現れる電圧信号に少なくとも位相の2
k次項成分及び2
k+2
k+1・N次項成分が残り、前記第2の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の2
m次項成分及び2
m+2
m+1・N次項成分が除去されるよう決定され、前記位置取得手段は、前記第1の出力端子に現れる電圧信号と、前記第2の出力端子に現れる電圧信号とに基づいて前記位置検出対象の物体の位置を算出することを特徴とする。これによれば、2
k次の高調波が基本波となる。したがって、従来の位置検出装置に比べて2
k倍の分解能を得ることが可能になる。
【0046】
また、上記位置検出装置において、前記複数個の第1の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の出力端子に現れる電圧信号から位相の2
k+2
k+1・N次項成分も除去されるよう決定され、前記複数個の第3の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の出力端子に現れる電圧信号から位相の2
k+2
k+1・N次項成分も除去されるよう決定されることとしてもよい。これによれば、基本波より高次の高調波を適切に除去することが可能になる。
【0047】
また、本発明のさらに他の一側面による位置検出装置は、位置検出対象の物体の移動方向に沿って延伸する第1の表面を有するスケールと、前記物体とともに移動可能に構成され、かつ前記第1の表面に対向して配置されたセンサーと、前記センサーの出力信号に基づいて前記位置検出対象の物体の位置を取得する位置取得手段とを備え、前記センサーは、第1の電源電位が供給される第1の電源端子と、前記第1の電源電位とは異なる第2の電源電位が供給される第2の電源端子と、第1乃至第4の出力端子と、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第1の素子と、前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に接続された第2の素子と、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第3の素子と、前記第2の電源端子と前記第2の出力端子との間に接続された第4の素子と、前記第3の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第5の素子と、前記第2の電源端子と前記第3の出力端子との間に接続された第6の素子と、前記第4の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第7の素子と、前記第2の電源端子と前記第4の出力端子との間に接続された第8の素子と、前記第1の出力端子に現れる電圧信号から前記第3の出力端子に現れる電圧信号を減算してなる電圧信号を出力する第1の減算回路と、前記第2の出力端子に現れる電圧信号から前記第4の出力端子に現れる電圧信号を減算してなる電圧信号を出力する第2の減算回路とを有し、前記第1の素子は、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第3の検出素子からなり、前記第5の素子は、前記第3の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第5の検出素子からなり、前記第7の素子は、前記第4の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第7の検出素子からなり、前記各第1の検出素子、前記各第3の検出素子、前記各第5の検出素子、及び前記各第7の検出素子はそれぞれ、前記第1の表面に沿って前記移動方向に移動する際、前記スケールの対向位置に応じた所定の読み出し信号を生成するよう構成され、前記複数個の第1の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第5の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の減算回路の出力信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定され、前記複数個の第3の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第7の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の減算回路の出力信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定され、前記位置取得手段は、前記第1の減算回路の出力信号と、前記第2の減算回路の出力信号とに基づいて前記位置検出対象の物体の位置を算出することを特徴とする。これによれば、フルブリッジ接続を行う場合において、従来の位置検出装置に比べて2倍以上の分解能を得ることが可能になる。
【0048】
上記位置検出装置において、前記第2の素子は、前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、前記第2の電源端子と前記第2の出力端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第4の検出素子からなり、前記第6の素子は、前記第2の電源端子と前記第3の出力端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第6の検出素子からなり、前記第8の素子は、前記第2の電源端子と前記第4の出力端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第8の検出素子からなり、前記複数個の第2の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第6の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の減算回路の出力信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定され、前記複数個の第4の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第8の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の減算回路の出力信号から少なくとも位相の1次項成分が除去されるよう決定されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第8の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0049】
また、上記位置検出装置において、前記第1の素子は、2
n個(nは任意の自然数の中から選択される数)の前記第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、2
n個の前記第3の検出素子からなり、前記第5の素子は、2
n個の前記第5の検出素子からなり、前記第7の素子は、2
n個の前記第7の検出素子からなり、前記2
n個の第1の検出素子は、第1の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置され、前記2
n個の第3の検出素子は、前記第1の基準位置から前記移動方向に(2i
2−1)π/4(i
2は任意の整数の中から選択される数)離れた第3の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置され、前記2
n個の第5の検出素子は、前記第1の基準位置から前記移動方向に(2i
4−1)π/2(i
4は任意の整数の中から選択される数)離れた第5の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置され、前記2
n個の第7の検出素子は、前記第1の基準位置から前記移動方向に(2i
6−1)π/2+(2i
2−1)π/4(i
6は任意の整数の中から選択される数)離れた第7の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置されることとしてもよい。これによれば、フルブリッジ接続を行う場合において、従来の位置検出装置に比べて2倍の分解能を得ることが可能になる。
【0050】
さらに、この位置検出装置において、前記第2の素子は、2
n個の前記第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、2
n個の前記第4の検出素子からなり、前記第6の素子は、2
n個の前記第6の検出素子からなり、前記第8の素子は、2
n個の前記第8の検出素子からなり、前記2
n個の第2の検出素子は、前記第1の基準位置から前記移動方向に(2i
1−1)π/2(i
1は任意の整数の中から選択される数)離れた第2の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置され、前記2
n個の第4の検出素子は、前記第1の基準位置から前記移動方向に(2i
3−1)π/2+(2i
2−1)π/4(i
3は任意の整数の中から選択される数)離れた第4の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置され、前記2
n個の第6の検出素子は、前記第1の基準位置から前記移動方向に2i
5π/2(i
5は任意の整数の中から選択される数)離れた第6の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置され、前記2
n個の第8の検出素子は、前記第1の基準位置から前記移動方向に2i
7π/2+(2i
2−1)π/4(i
7は任意の整数の中から選択される数)離れた第8の基準位置から前記移動方向にそれぞれ±π/2±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n個の位置に1個ずつ配置されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第8の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0051】
また、上記位置検出装置において、前記第1の素子は、2
n個(nは任意の自然数の中から選択される数)の前記第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、2
n個の前記第3の検出素子からなり、前記第5の素子は、2
n個の前記第5の検出素子からなり、前記第7の素子は、2
n個の前記第7の検出素子からなり、前記2
n個の第1の検出素子の前記移動方向の配置は、2
k次項成分(kは任意の自然数の中から選択される数)以外の2のべき乗次成分と、2
kP次成分(Pは3以上の素数)との中から選択されるn個の成分が除去されるよう決定され、前記2
n個の第3の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
2−1)π/2
k+1(i
2は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第5の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
4−1)π/2
k(i
4は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第7の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
6−1)π/2
k+(2i
2−1)π/2
k+1(i
6は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、フルブリッジ接続を行う場合において、基本波より高次の高調波を適切に除去することが可能になる。
【0052】
さらに、この位置検出装置において、前記第2の素子は、2
n個の前記第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、2
n個の前記第4の検出素子からなり、前記第6の素子は、2
n個の前記第6の検出素子からなり、前記第8の素子は、2
n個の前記第8の検出素子からなり、前記2
n個の第2の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
1−1)π/2
k(i
1は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第4の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
3−1)π/2
k+(2i
2−1)π/2
k+1(i
3は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第6の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に2i
5π/2
k(i
5は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第8の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に2i
7π/2
k+(2i
2−1)π/2
k+1(i
7は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第8の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0053】
また、上記位置検出装置において、前記第1の素子は、2
n個(nは任意の2以上の自然数の中から選択される数)の前記第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、2
n個の前記第3の検出素子からなり、前記第5の素子は、2
n個の前記第5の検出素子からなり、前記第7の素子は、2
n個の前記第7の検出素子からなり、前記2
n個の第1の検出素子は、n=2である場合には、第1の基準位置から前記移動方向に+π/2離れた第1の位置からさらに前記移動方向にそれぞれ±π/4離れた第5及び第6の位置に1個ずつ、前記第1の基準位置から前記移動方向に−π/2離れた第2の位置からさらに前記移動方向にそれぞれ±π/4離れた第7及び第8の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、n≧3である場合には、前記第5の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第6の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第7の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、前記第8の位置から前記移動方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつ、それぞれ配置され、前記2
n個の第3の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
2−1)π/8(i
2は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第5の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
4−1)π/4(i
4は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第7の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
6−1)π/4+(2i
2−1)π/8(i
6は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、フルブリッジ接続を行う場合において、従来の位置検出装置に比べて4倍の分解能を得ることが可能になる。
【0054】
さらに、この位置検出装置において、前記第2の素子は、2
n個の前記第2の検出素子からなり、前記第4の素子は、2
n個の前記第4の検出素子からなり、前記第6の素子は、2
n個の前記第6の検出素子からなり、前記第8の素子は、2
n個の前記第8の検出素子からなり、前記2
n個の第2の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
1−1)π/4(i
1は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第4の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に(2i
3−1)π/4+(2i
2−1)π/8(i
3は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第6の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に2i
5π/4(i
5は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置され、前記2
n個の第8の検出素子は、前記2
n個の第1の検出素子それぞれを前記移動方向に2i
7π/4+(2i
2−1)π/8(i
7は任意の整数の中から選択される数)ずらした位置に配置されることとしてもよい。これによれば、第1乃至第8の素子の温度特性を揃えることが可能になる。
【0055】
また、本発明のさらに他の一側面による位置検出装置は、位置検出対象の物体の移動方向に沿って延伸する第1の表面を有するスケールと、前記物体とともに移動可能に構成され、かつ前記第1の表面に対向して配置されたセンサーと、前記センサーの出力信号に基づいて前記位置検出対象の物体の位置を取得する位置取得手段とを備え、前記センサーは、第1の電源電位が供給される第1の電源端子と、前記第1の電源電位とは異なる第2の電源電位が供給される第2の電源端子と、第1乃至第4の出力端子と、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第1の素子と、前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に接続された第2の素子と、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第3の素子と、前記第2の電源端子と前記第2の出力端子との間に接続された第4の素子と、前記第3の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第5の素子と、前記第2の電源端子と前記第3の出力端子との間に接続された第6の素子と、前記第4の出力端子と前記第1の電源端子との間に接続された第7の素子と、前記第2の電源端子と前記第4の出力端子との間に接続された第8の素子と前記第1の出力端子に現れる電圧信号から前記第3の出力端子に現れる電圧信号を減算してなる電圧信号を出力する第1の減算回路と、前記第2の出力端子に現れる電圧信号から前記第4の出力端子に現れる電圧信号を減算してなる電圧信号を出力する第2の減算回路とを有し、前記第1の素子は、前記第1の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第1の検出素子からなり、前記第3の素子は、前記第2の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第3の検出素子からなり、前記第5の素子は、前記第3の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第5の検出素子からなり、前記第7の素子は、前記第4の出力端子と前記第1の電源端子との間に直列接続され、かつ前記移動方向に沿って並置された複数個の第7の検出素子からなり、前記各第1の検出素子、前記各第3の検出素子、前記各第5の検出素子、及び前記各第7の検出素子はそれぞれ、前記第1の表面に沿って前記移動方向に移動する際、前記スケールの対向位置に応じた所定の読み出し信号を生成するよう構成され、前記複数個の第1の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第5の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の減算回路の出力信号に少なくとも位相の2
k次項成分及び2
k+2
k+1・N次項成分(kは任意の自然数の中から選択される数、Nは正の整数)が残り、前記第1の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の2
m次項成分及び2
m+2
m+1・N次項成分(mはkより小さい正の整数)が除去されるよう決定され、前記複数個の第3の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第7の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の減算回路の出力信号に少なくとも位相の2
k次項成分及び2
k+2
k+1・N次項成分が残り、前記第2の出力端子に現れる電圧信号から少なくとも位相の2
m次項成分及び2
m+2
m+1・N次項成分が除去されるよう決定され、前記位置取得手段は、前記第1の減算回路の出力信号と、前記第2の減算回路の出力信号とに基づいて前記位置検出対象の物体の位置を算出することを特徴とする。これによれば、フルブリッジ接続を行う場合において、従来の位置検出装置に比べて2
k倍の分解能を得ることが可能になる。
【0056】
上記位置検出装置において、前記複数個の第1の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第5の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第1の減算回路の出力信号から位相の2
k+2
k+1・N次項成分も除去されるよう決定され、前記複数個の第3の検出素子の前記移動方向の配置及び前記複数個の第7の検出素子の前記移動方向の配置は、前記第2の減算回路の出力信号から位相の2
k+2
k+1・N次項成分も除去されるよう決定されることとしてもよい。これによれば、フルブリッジ接続を行う場合において、基本波より高次の高調波を適切に除去することが可能になる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、2次以上の高調波が基本波となる。したがって、従来の位置検出装置に比べて2倍以上の分解能を得ることが可能になる。また、本発明を磁気を利用する位置検出装置に適用した場合には、AMR素子の半分の分解能しか得られないGMR素子を用いても、従来と同等若しくはそれ以上の分解能を得ることができることになるので、検出素子としてGMR素子を用いることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0060】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態による位置検出装置1の構成を示す図である。位置検出装置1は磁気式の位置検出装置であり、同図に示すように、位置検出対象の物体(不図示)に貼付される磁気センサー2と、x方向(物体の移動方向)に延伸する表面3aを有し、この表面3aにx方向に沿ってN極とS極とが交互に現れるように着磁した磁気スケール3と、磁気センサー2の出力信号に基づいて位置検出対象の物体のx方向の位置を取得する位置取得部9(位置取得手段)とを備えている。
【0061】
図1(a)には、磁気スケール3によって形成される磁界の強さも示している。同図に示すように、磁気スケール3によって形成される磁界の強さは、磁気スケール3の表面3aに現れる各磁極の幅(x方向の長さ)をλとすると、波長2λのサイン波として近似される。つまり、磁気スケール3自体が磁界の強さに関し周期性を有していることが好ましい。
【0062】
磁気センサー2は、第1乃至第4の素子4
A〜4
Dを有している。
図1(a)では、これらがx方向に並んでいるかのように描いているが、この描画は便宜的なものであり、実際の第1乃至第4の素子4
A〜4
Dの配置とは異なっている。実際の配置については後に詳述する。
【0063】
図1(b)は、第1乃至第4の素子4
A〜4
Dの電気的な接続形態を示す図である。同図に示すように、本実施の形態では、第1乃至第4の素子4
A〜4
Dはそれぞれ2個のGMR素子によって構成される。具体的には、第1の素子4
Aは2個のGMR素子5
A1,5
A2(2個の第1の検出素子)によって構成され、第2の素子4
Bは2個のGMR素子5
B1,5
B2(2個の第2の検出素子)によって構成され、第3の素子4
Cは2個のGMR素子5
C1,5
C2(2個の第3の検出素子)によって構成され、第4の素子4
Dは2個のGMR素子5
D1,5
D2(2個の第4の検出素子)によって構成される。
【0064】
GMR素子は、AMR素子と同様に、印加される磁界の強さによってその抵抗値が変化する素子である。通常の使い方では、GMR素子は、ピン方向(
図1(a)に示したP方向)が表面3aの法線方向と平行になるよう設置され、そうすることによって、GMR素子が表面3aに沿ってx方向に移動する際、その抵抗値は磁気スケール3の対向位置に応じて変化することになる。GMR素子がx方向に移動するときの、GMR素子の抵抗値の変化(読み出し信号)の波長は、
図1(a)に示すように2λとなる。これは、AMR素子の2倍である(
図23(a)参照)。GMR素子の読み出し信号をフーリエ級数展開を用いて示すと、次の式(16)のようになる。ただし、RはGMR素子の抵抗値、φ=2π・x/2λであり、A
0,A
1,・・・は定数である。
【0066】
ここで、一般的には、周期的な信号のフーリエ級数展開は次の式(17)のように正弦項と余弦項の合計となる。これに対し、式(16)及び後述の各式では、正弦項のみを用いて読み出し信号を表している。これは、読み出し信号が奇関数であることによる。
【0068】
図1(b)に示すように、磁気センサー2は、接地電位(第1の電源電位)が供給される電源端子6(第1の電源端子)と、電源電位Vcc(第2の電源電位)が供給される電源端子7(第2の電源端子)と、2つの出力端子8a,8b(第1及び第2の出力端子)とを有している。GMR素子5
A1,5
A2は、この順で出力端子8aと電源端子6との間に直列接続される。同様に、GMR素子5
B1,5
B2は、この順で電源端子7と出力端子8aとの間に直列接続され、GMR素子5
C1,5
C2は、この順で出力端子8bと電源端子6との間に直列接続され、GMR素子5
D1,5
D2は、この順で電源端子7と出力端子8bとの間に直列接続される。出力端子8aに現れる電圧信号は磁気センサー2の一方の出力信号Vsinとなり、出力端子8bに現れる電圧信号は磁気センサー2の他方の出力信号Vcosとなる。なお、素子を構成する複数のGMR素子の接続の順番は順不同で構わない。例えば、GMR素子5
A1,5
A2の接続の順番は逆であってもよい。
【0069】
以上の構成により、出力信号Vsin,Vcosはそれぞれ、次の式(18),式(19)で表される。ただし、R
X(xはA1,A2など)は、GMR素子5
Xの抵抗値である。これらの式に示されるように、出力信号Vsinの分子は、第1の素子を構成するGMR素子の読み出し信号の合算信号となり、出力信号Vcosの分子は、第3の素子を構成するGMR素子の読み出し信号の合算信号となる。また、出力信号Vsinの分母は、第1及び第2の素子を構成するGMR素子の読み出し信号の合算信号となり、出力信号Vcosの分母は、第3及び第4の素子を構成するGMR素子の読み出し信号の合算信号となる。
【0071】
各GMR素子の物理的な配置は、出力信号Vsin,Vcosを算出する際、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が除去され、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となるように決定される。以下、各GMR素子の具体的な配置について説明する。
【0072】
図2(a)は、GMR素子5
A1,5
A2の配置を示す図である。同図に示すように、GMR素子5
A1は、x=B
1の位置を基準位置(第1の基準位置)とすると、そこからx方向に+π/2(=+λ/2)離れた第1の位置P
1(=B
1+λ/2)に配置される。また、GMR素子5
A2は、第1の基準位置B
1からx方向に−π/2(=−λ/2)離れた第2の位置P
2(=B
1−λ/2)に配置される。
【0073】
図2(b)は、GMR素子5
B1,5
B2の配置を示す図である。同図に示すように、GMR素子5
B1は、x=B
2の位置を基準位置(第2の基準位置)とし、そこからx方向に+π/2(=+λ/2)離れた第3の位置P
3(=B
2+λ/2)に配置される。なお、第2の基準位置B
2は、ここでは第1の基準位置B
1からx方向に+π/2(=+λ/2)(第3の所定距離)離れた位置に設定される。GMR素子5
B2は、第2の基準位置B
2からx方向に−π/2(=−λ/2)離れた第4の位置P
4(=B
2−λ/2)に配置される。
【0074】
各GMR素子を以上のように配置した結果、GMR素子5
A1,5
A2,5
B1,5
B2の読み出し信号はそれぞれ、次の式(20)〜式(23)のように表される。
【0076】
式(18)に式(20)〜式(23)を代入すると、出力信号Vsinが次の式(24)のように求められる。
【0078】
式(24)から理解されるように、本実施の形態による出力信号Vsinでは、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が消え、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となっている。
【0079】
図3は、GMR素子5
C1,5
C2,5
D1,5
D2の配置を示す図である。同図に示すように、GMR素子5
C1,5
C2,5
D2,5
D2は、GMR素子5
A1,5
A2,5
B1,5
B2それぞれをx方向に所定距離+λ/4(=+π/4)だけずらした位置に配置される。なお、この所定距離は+λ/4に限られるものではなく、出力信号Vcosの位相が、出力信号Vsinの位相に比べてπ/2の奇数倍だけ異なることとなるように決定すればよい。また、GMR素子5
C1,5
C2についての所定距離(第1の所定距離)とGMR素子5
D2,5
D2についての所定距離(第2の所定距離)とが異なっていてもよい。これにより、GMR素子5
C1,5
C2,5
D1,5
D2の読み出し信号はそれぞれ、次の式(25)〜式(28)のように表される。
【0081】
式(19)に式(25)〜式(28)を代入すると、出力信号Vcosが次の式(29)のように求められる。
【0083】
式(29)から理解されるように、出力信号Vcosにおいても、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が消え、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となっている。
【0084】
位置取得部9は、以上のようにして求められる出力信号Vsin,Vcosを用いて、位置検出対象である物体のx方向の位置を算出する。具体的には、次の式(30)により物体の位置xを算出する。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態による位置検出装置1では、2次の高調波が基本波となる。したがって、本実施の形態による位置検出装置1では、従来の位置検出装置に比べて2倍の分解能が実現されている。別の見方をすれば、GMR素子を用いているにも関わらず、式(12)や式(13)に示したAMR素子を用いる場合と同等の分解能が得られている。したがって、位置検出装置1によれば、位置検出装置用の検出素子としてGMR素子を用いることが可能になっている。
【0087】
図4(a)は、第1の実施の形態による位置検出装置1の第1の変形例を示す図である。本変形例では、同図に示すように、第2及び第4の素子4
B,4
Dが、磁気スケール3によって形成される磁界の影響を受けないよう構成された抵抗素子によって構成される。なお、「磁気スケール3によって形成される磁界の影響を受けないよう構成された抵抗素子」とは、磁気抵抗効果を有しない抵抗素子であってもよいし、磁気スケール3によって形成される磁界から磁気的に遮蔽された場所に配置されたGMR素子であってもよい。この場合の出力信号Vsin,Vcosは、第2及び第4の素子4
B,4
Dの抵抗をR
Sとすると、次の式(31),式(32)のように求められる。
【0089】
式(31),式(32)から理解されるように、本変形例による出力信号Vsin,Vcosでも、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が消え、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となっている。したがって、位置検出装置用の検出素子としてGMR素子を用いることが可能になっている。
【0090】
また、第2及び第4の素子4
B,4
Dを、磁気スケール3によって形成される磁界から磁気的に遮蔽された場所に配置されたGMR素子によって構成した場合には、第1及び第3の素子4
A,4
Cと第2及び第4の素子4
B,4
Dとで温度特性を揃えることが可能になる。ただし一方で、磁気的に遮蔽する必要があることから、第1及び第3の素子4
A,4
Dと第2及び第4の素子4
B,4
Dとを一体の回路として構成できない可能性がある。したがって、これらを一体の回路とする必要があり、かつこれらの温度特性を揃える必要がある場合には、第1の実施の形態による位置検出装置1を用いることが好ましい。
【0091】
図4(b)は、第1の実施の形態による位置検出装置1の第2の変形例を示す図である。本変形例では、同図に示すように、第2及び第4の素子4
B,4
Dが、定電流源によって構成される。この場合の出力信号Vsin,Vcosは、第2及び第4の素子4
B,4
Dによって生成される電流をI
Sとすると、次の式(33),式(34)のように求められる。
【0093】
式(33),式(34)から理解されるように、本変形例による出力信号Vsin,Vcosでも、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が消え、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となっている。したがって、位置検出装置用の検出素子としてGMR素子を用いることが可能になっている。また、素子間の配線が長くなると、配線抵抗が無視できなくなることがある。このような場合、定電流源を使用することが好ましい。
【0094】
図5は、本発明の第2の実施の形態による位置検出装置1における第1乃至第4の素子4
A〜4
Dの電気的な接続形態を示す図である。本実施の形態による位置検出装置1は、第1乃至第4の素子4
A〜4
Dがそれぞれ4個のGMR素子によって構成される点で第1の実施の形態による位置検出装置1と相違し、それ以外の点では共通している。以下では、相違点を中心に、本実施の形態による位置検出装置1について説明する。
【0095】
図5に示すように、本実施の形態では、第1の素子4
Aは4個のGMR素子5
A1〜5
A4(4個の第1の検出素子)によって構成され、第2の素子4
Bは4個のGMR素子5
B1〜5
B4(4個の第2の検出素子)によって構成され、第3の素子4
Cは4個のGMR素子5
C1〜5
C4(4個の第3の検出素子)によって構成され、第4の素子4
Dは4個のGMR素子5
D1〜5
D4(4個の第4の検出素子)によって構成される。
【0096】
図5に示すように、GMR素子5
A1〜5
A4は、この順で出力端子8aと電源端子6との間に直列接続され、GMR素子5
B1〜5
B4は、この順で電源端子7と出力端子8aとの間に直列接続され、GMR素子5
C1〜5
C4は、この順で出力端子8bと電源端子6との間に直列接続され、GMR素子5
D1〜5
D4は、この順で電源端子7と出力端子8bとの間に直列接続される。以上の接続により、出力信号Vsin,Vcosはそれぞれ、次の式(35),式(36)で表される。
【0098】
各GMR素子の物理的な配置は、第1の実施の形態同様、出力信号Vsin,Vcosを算出する際、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が除去され、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となるように決定される。加えて本実施の形態では、4次の高調波(φの4次項成分)も除去されるように決定される。以下、各GMR素子の具体的な配置について説明する。
【0099】
図6(a)は、GMR素子5
A1〜5
A4の配置を示す図である。同図に示すように、GMR素子5
A1は、上述した第2の位置P
2(=B
1−λ/2)からx方向に+π/8(=+λ/8)離れた位置(=B
1−3λ/8)に配置される。また、GMR素子5
A2は、第2の位置P
2からx方向に−π/8(=−λ/8)離れた位置(=B
1−5λ/8)に配置される。また、GMR素子5
A3は、上述した第1の位置P
1(=B
1+λ/2)からx方向に+π/8(=+λ/8)離れた位置(=B
1+5λ/8)に配置される。また、GMR素子5
A4は、第1の位置P
1からx方向に−π/8(=−λ/8)離れた位置(=B
1+3λ/8)に配置される。
【0100】
次に、
図6(b)は、GMR素子5
B1〜5
B4の配置を示す図である。同図に示すように、GMR素子5
B1は、上述した第3の位置P
3(=B
1+λ/2)からx方向に+π/8(=+λ/8)離れた位置(=B
2+5λ/8)に配置される。また、GMR素子5
B2は、第3の位置P
3からx方向に−π/8(=−λ/8)離れた位置(=B
2+3λ/8)に配置される。また、GMR素子5
B3は、上述した第4の位置P
4(=B
2−λ/2)からx方向に+π/8(=+λ/8)離れた位置(=B
2−3λ/8)に配置される。また、GMR素子5
B4は、第4の位置P
4からx方向に−π/8(=−λ/8)離れた位置(=B
2−5λ/8)に配置される。
【0101】
次に、
図7は、GMR素子5
C1〜5
C4,5
D1〜5
D4の配置を示す図である。同図に示すように、GMR素子5
C1〜5
C4,5
D1〜5
D4は、GMR素子5
A1〜5
A4,5
B1〜5
B4それぞれをx方向に所定距離+λ/4(=+π/4)だけずらした位置に配置される。ここでも、この所定距離は+λ/4に限られるものではなく、出力信号Vcosの位相が、出力信号Vsinの位相に比べてπ/2の奇数倍だけ異なることとなるように決定すればよい。また、GMR素子5
C1〜5
C4についての所定距離(第1の所定距離)とGMR素子5
D1〜5
D4についての所定距離(第2の所定距離)とが異なっていてもよい。
【0102】
以上説明した配置に基づいて各GMR素子の読み出し信号を算出し、式(35),式(36)に代入することによって出力信号Vsin,Vcosを求めると、出力信号Vsin,Vcosは次の式(37),式(38)のように求められる。
【0104】
式(37),式(38)から理解されるように、本実施の形態による出力信号Vsin,Vcosでも、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が消え、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となっている。したがって、本実施の形態による位置検出装置1でも、従来の位置検出装置に比べて2倍の分解能が実現されている。加えて、本実施の形態では4次の高調波(φの4次項成分)も除去されている。したがって、第1の実施の形態に比べ、より精度よく位置xを求めることが可能になっている。
【0105】
図8(a)(b)は、第2の実施の形態による位置検出装置1の変形例を示す図である。本変形例は、第2の基準位置B
2を、第1の基準位置B
1からx方向に+3π/2(=+3λ/2)離れた位置に設定している点で、第2の実施の形態と異なっている。本変形例によっても、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0106】
このように、第1の基準位置B
1と第2の基準位置B
2の間の距離は必ずしもπ/2(=λ/2)でなければならないわけではなく、lπ/2(lは奇数)であればよい。
【0107】
ここで、2次の高調波を基本波として用いる場合のGMR素子の配置について、一般化した説明を行う。以下の説明では第1の素子4
Aに着目し、この第1の素子4
Aが、出力端子8aと電源端子6の間に直列接続された2
n個(nは任意の自然数の中から選択される数)のGMR素子からなるものとして説明する。第2の素子4
Bについては、以下の説明においてB
1,P
1,P
2をそれぞれB
2,P
3,P
4に変更することで、同じ一般化を適用可能である。
【0108】
図9は、n=1〜4のそれぞれの場合について、GMR素子の位置を示す図である。同図に示すように、まずn=1の場合(第1の素子4
Aが2個のGMR素子からなる場合)、2個のGMR素子は、第1の基準位置B
1からx方向にそれぞれ±π/2離れた第1及び第2の位置P
1,P
2に、1個ずつ配置される。
【0109】
なお、本発明において、例えば「X
1から±X
2±X
3±X
4離れた8個の位置」(X
1〜X
4はx軸上の位置)という表現を用いる場合、X
1+X
2+X
3+X
4+2π・i、X
1+X
2+X
3−X
4+2π・i、X
1+X
2−X
3+X
4+2π・i、X
1+X
2−X
3−X
4+2π・i、X
1−X
2+X
3+X
4+2π・i、X
1−X
2+X
3−X
4+2π・i、X
1−X
2−X
3+X
4+2π・i、及びX
1−X
2−X
3−X
4+2π・iの8個の位置を意味することとする。ただし、iは任意の整数であり、検出素子ごとに異なる値であってもよい。2π・iを加算しているのは、ある位置と、そこから2π・i離れた位置とで、GMR素子の出力は同じになるからである。これは、GMR素子の出力信号の波形が、磁界の周期に依存した波形となることによる。以上の定義によれば、第1の位置P
1は、第1の基準位置B
1からx方向に+π/2+2π・i離れた位置となり、第2の位置P
2は、第1の基準位置B
1からx方向に−π/2+2π・i離れた位置となる。
【0110】
次にn≧2である場合には、第1の位置P
1からx方向にそれぞれ±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n−1個の位置に1個ずつGMR素子が配置されるとともに、第2の位置P
2からx方向にそれぞれ±π/8・・・±π/2
n+1離れた2
n−1個の位置にも1個ずつGMR素子が配置される。
【0111】
nの値ごとに再度説明すると、n=2の場合には、第1の位置P
1からx方向にそれぞれ±π/8離れた2個の位置(より一般的に言えば、第1の位置P
1からx方向にπ/8+2π・i離れた位置と、第1の位置P
1からx方向に−π/8+2π・i離れた位置。以下同様。)に1個ずつGMR素子が配置されるとともに、第2の位置P
2からx方向にそれぞれ±π/8離れた2個の位置にも1個ずつGMR素子が配置される。n=3の場合には、第1の位置P
1からx方向にそれぞれ±π/8±π/16離れた4個の位置に1個ずつGMR素子が配置されるとともに、第2の位置P
2からx方向にそれぞれ±π/8±π/16離れた4個の位置にも1個ずつGMR素子が配置される。n=4の場合には、第1の位置P
1からx方向にそれぞれ±π/8±π/16±π/32離れた8個の位置に1個ずつGMR素子が配置されるとともに、第2の位置P
2からx方向にそれぞれ±π/8±π/16±π/32離れた8個の位置にも1個ずつGMR素子が配置される。
【0112】
以上のような配置を採用することにより、第1及び第2の実施の形態で説明したように、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が消え、2次の高調波(φの2次項成分)を基本波として用いることが可能になる。また、n≧2の場合には4次の高調波が、n≧3の場合には8次の高調波が、n≧4の場合には16次の高調波がそれぞれさらに除去されることとなり、nが大きいほど、より精度よく位置xを求めることが可能になる。
【0113】
なお、GMR素子の配置と除去される高調波の間には、一般的には次のような関係がある。すなわち、第1の基準位置B
1からx方向に±π/Y
1±π/Y
2±π/Y
3・・・±π/Y
n離れた2
n個の位置に1個ずつGMR素子を配置した場合、Y
1/2次、Y
2/2次、Y
3/2次、・・・Y
n/2次の波が除去される。例えば
図9のn=4の場合であれば、Y
1=2、Y
2=8、Y
3=16、Y
4=32であるので、2/2=1次、8/2=4次、16/2=8次、32/2=16次の各波が除去されることになる。
【0114】
次に、本発明の第3の実施の形態による位置検出装置1について説明する。本実施の形態による位置検出装置1は、第1乃至第4の素子4
A〜4
Dがそれぞれ4個のGMR素子によって構成される点で第2の実施の形態による位置検出装置1と共通しているが、各GMR素子の物理的な配置の点で、第2の実施の形態による位置検出装置1と相違している。具体的には、本実施の形態による各GMR素子の物理的な配置は、出力信号Vsin,Vcosを算出する際、φの1次項成分を含む奇数次の高調波に加えて2次の高調波(φの2次項成分)も除去され、4次の高調波(φの4次項成分)が基本波となるように決定される。以下では、相違点を中心に、本実施の形態による位置検出装置1について説明する。
【0115】
図10(a)は、本実施の形態による位置検出装置1におけるGMR素子5
A1〜5
A4の配置を示す図である。同図に示すように、本実施の形態でのGMR素子5
A1は、上述した第1の位置P
1(=B
1+λ/2)からx方向に+π/4(=+λ/4)離れた第5の位置P
5(=B
1+3λ/4)に配置される。また、GMR素子5
A2は、第1の位置P
1からx方向に−π/4(=−λ/4)離れた第6の位置P
6(=B
1+λ/4)に配置される。また、GMR素子5
A3は、上述した第2の位置P
2(=B
1−λ/2)からx方向に+π/4(=+λ/4)離れた第7の位置P
7(=B
1−λ/4)に配置される。また、GMR素子5
A4は、第2の位置P
2からx方向に−π/4(=−λ/4)離れた第8の位置P
8(=B
1−3λ/4)に配置される。
【0116】
図10(b)は、本実施の形態による位置検出装置1におけるGMR素子5
B1〜5
B4の配置を示す図である。同図に示すように、本実施の形態では、第2の基準位置B
2は第1の基準位置B
1からx方向に+π/4(=+λ/4)離れた位置に設定される。
【0117】
なお、第1の基準位置B
1と第2の基準位置B
2の間の距離は、一般的には、基本波が2
k次の高調波である場合にπ/2
kの奇数倍となる。第1及び第2の実施の形態では、基本波が2次の高調波であったため、第1の基準位置B
1と第2の基準位置B
2の間の距離はπ/2の奇数倍であった。これに対し、本実施の形態では、基本波の次数が4であるため、第1の基準位置B
1と第2の基準位置B
2の間の距離はπ/4の奇数倍となる。
【0118】
さて、GMR素子5
B4は、第3の位置P
3(=B
2+λ/2)からx方向に+π/4(=+λ/4)離れた第9の位置P
9(=B
2+3λ/4)に配置される。また、GMR素子5
B3は、第3の位置P
3からx方向に−π/4(=−λ/4)離れた第10の位置P
10(=B
2+λ/4)に配置される。また、GMR素子5
B2は、第4の位置P
4(=B
2−λ/2)からx方向に+π/4(=+λ/4)離れた第11の位置P
11(=B
2−λ/4)に配置される。また、GMR素子5
B1は、第4の位置P
4からx方向に−π/4(=−λ/4)離れた第12の位置P
12(=B
2−3λ/4)に配置される。
【0119】
図11は、本実施の形態による位置検出装置1におけるGMR素子5
C1〜5
C4,5
D1〜5
D4の配置を示す図である。同図に示すように、GMR素子5
C1〜5
C4,5
D1〜5
D4は、GMR素子5
A1〜5
A4,5
B1〜5
B4それぞれをx方向に所定距離+λ/8(=+π/8)だけずらした位置に配置される。ここでも、この所定距離は+λ/8に限られるものではなく、出力信号Vcosの位相が、出力信号Vsinの位相に比べてπ/2の奇数倍だけ異なることとなるように決定すればよい。また、GMR素子5
C1〜5
C4についての所定距離(第1の所定距離)とGMR素子5
D1〜5
D4についての所定距離(第2の所定距離)とが異なっていてもよい。
【0120】
以上説明した配置に基づいて各GMR素子の読み出し信号を算出し、式(35),式(36)に代入することによって出力信号Vsin,Vcosを求めると、出力信号Vsin,Vcosは次の式(39),式(40)のように求められる。
【0122】
式(39),式(40)から理解されるように、本実施の形態による出力信号Vsin,Vcosでは、φの1次項成分を含む奇数次の高調波に加えて2次の高調波(φの2次項成分)も除去され、4次の高調波(φの4次項成分)が基本波となっている。したがって、本実施の形態による位置検出装置1では、従来の位置検出装置に比べて4倍の分解能が実現されている。
【0123】
ここで、4次の高調波を基本波として用いる場合のGMR素子の配置について、一般化した説明を行う。以下の説明では第1の素子4
Aに着目し、この第1の素子4
Aが、出力端子8aと電源端子6の間に直列接続された2
n個(nは2以上の任意の自然数の中から選択される数)のGMR素子からなるものとして説明する。第2の素子4
Bについては、以下の説明においてB
1,P
1,P
2,P
5〜P
8をそれぞれB
2,P
3,P
4,P
9〜P
12に変更することで、同じ一般化を適用可能である。
【0124】
図12は、n=2〜4のそれぞれの場合について、GMR素子の位置を示す図である。同図に示すように、まずn=2の場合(第1の素子4
Aが4個のGMR素子からなる場合)、4個のGMR素子は、第1の基準位置B
1からx方向にそれぞれ±π/2離れた第1及び第2の位置P1,P2からさらに±π/4離れた第5乃至第8の位置P
5〜P
8に、1個ずつ配置される。
【0125】
次にn≧3である場合には、第5の位置P
5からx方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつGMR素子が配置され、第6の位置P
6からx方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずGMR素子がつ配置され、第7の位置P
7からx方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつGMR素子が配置され、第8の位置P
8からx方向にそれぞれ±π/16・・・±π/2
n+1離れた2
n−2個の位置に1個ずつGMR素子が配置される。
【0126】
以上のような配置を採用することにより、第3の実施の形態で説明したように、φの1次項成分を含む奇数次の高調波に加えて2次の高調波(φの2次項成分)も除去され、4次の高調波(φの4次項成分)を基本波として用いることが可能になる。また、n≧3の場合には8次の高調波が、n≧4の場合には16次の高調波がそれぞれさらに除去される。n=4の場合について上述した変数Y
1,Y
2,・・・を用いて説明すると、Y
1=2、Y
2=4、Y
3=16、Y
4=32であるので、2/2=1次、4/2=2次、16/2=8次、32/2=16次が除去されることになる。したがって、nが大きいほど、より精度よく位置xを求めることが可能になる。
【0127】
以上説明したように、本発明によれば、2次又は4次の高調波を基本波として用いることが可能になる。したがって、従来の位置検出装置に比べて2倍又は4倍の分解能を得ることが可能になっている。別の見方をすれば、AMR素子の半分の分解能しか得られないGMR素子を用いても、従来と同等若しくはそれ以上の分解能を得ることができるので、検出素子としてGMR素子を用いることが可能になる。
【0128】
なお、本発明では、2次又は4次の高調波だけでなく、2
k(kは自然数)次の高調波が基本波となり得る。したがって、例えば8次や16次の高調波が基本波となるようGMR素子を配置することにより、より高い分解能を得ることが可能になる。
【0129】
一方で、2
k次以外の高調波は基本波とはなり得ない。これは、2
k次項成分を除去することで、2
k+2
k+1・N次項成分(NはN≧0を満たす整数)も除去されてしまうためである。以下、この点について詳しく説明する。
【0130】
高調波の除去は要するに、元の信号の位相をプラスの方向とマイナスの方向に所定量ずつずらしてなる2つの信号を足し合わせることによって実現される。つまり、上述した式(17)に示したf(φ)においてφにオフセット±ρを乗せたものを足し合わせてなるg(φ)=f(φ+ρ)+f(φ−ρ)は、f(φ)からρに応じた高調波が除去された信号となる。
【0131】
式(41)は、信号g(φ)を数式で表したものである。式(41)によれば、ある次数m
0(m
0は自然数)が式(42)の関係を満たす場合、φのm
0次項成分が信号g(φ)から除去される。cos(m
0ρ)=0となるからである。ただし、式(42)中のk
1は整数である。逆に言えば、m
0次項成分を除去したい場合、式(42)を満たすようにρを決定すればよい。
【0133】
ここで、式(42)を満たすようにρを決定した場合、cos(xρ)=0を満たすx(xは自然数)はm
0だけとはならない。具体的には、式(43)を満たすxはすべてcos(xρ)=0を満たすことになる。ただし、式(43)中のk
2は整数である。
【0135】
k
1=0とすると、式(43)は、次の式(44)のように書き直せる。式(44)から、m
0次項成分が除去されるようにρを決定した場合、m
0次項成分の他に、式(45)で表されるm
N次項成分(NはN≧0を満たす整数)も同時に除去されることになる。
【0137】
次の表1は、m
0の値ごとに、同時に除去される次数m
Nを具体的に列挙したものである。この表に示されるように、1次項成分が除去されるようにρを決定した場合、すべての奇数次項成分が除去される。また、2次項成分が除去されるようにρを決定した場合、6次項、10次項、14次項、・・・の各成分が除去される。以下も同様である。
【0139】
同時に除去される一連の次数のうち最も小さい次数を基本次数と呼ぶことにすると、基本次数は1,2,4,・・・,2
k(kはk≧0を満たす整数)となる。したがって、式(45)より、2
kを基本次数とする場合に同時に除去される次数は、一般的に次の式(46)で表されることになる。
【0141】
このように、本発明によれば、2
k次項成分を除去することで2
k+2
k+1・N次項成分(NはN≧0を満たす整数)も除去される。
【0142】
ここで、式(46)に現れる2
k(1+2N)で表される数には、2
k+1未満の全自然数が含まれる。これは、全ての自然数は偶数の素数(2)と奇数の素数の積で示され、(1+2N)は全奇数(奇数の素数の積)を示し、2
kは偶数の素数の積を示すことによる。したがって、2
k次項成分(0≦k≦n)を最初に除去する配置をとれば、2
n+1次項成分が基本波となる。
【0143】
逆の観点から見ると、例えば4次の高調波を基本波として用いるためには1次項成分と2次項成分を除去すれば足り、3次項成分についてはわざわざ除去する必要がないと言える。つまり、2
k次(k≧1)の高調波を基本波とするためのGMR素子の配置は、2
m次項成分(mはkより小さい正の整数)が除去されるように決定すれば足りる。上述した
図9や
図12に示した例は、本発明のこのような性質を利用したものである。
【0144】
ただし、2
m次項成分(mはkより小さい正の整数)を除去するだけでは、基本波より高次の高調波の除去の観点から、問題となる場合もある。以下、詳しく説明する。
【0145】
例えば
図9のn=3の例では、除去対象の基本次数が1,4,8になるので、除去される次数は、1,3,5,7,・・・,2N+1次、4,12,20,28,・・・,8N+4次、8,24,40,56,・・・,16N+8次の各成分となる。結局、除去される成分は1,3,4,5,7,8,9,11,12・・・次の各成分となり、6次項成分や10次項成分等が除去されないことになる。また、
図12のn=3の例では、除去対象の基本次数が1,2,8になるので、除去される次数は、1,3,5,7,・・・,2N+1次、2,6,10,14,・・・,4N+2次,8,24,40,56,・・・,16N+8次の各成分となる。結局、除去される成分は1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13,・・・次の各成分となり、12次項成分等が除去されない。
【0146】
ここで問題としている「除去されない成分」は、要するに、基本波として用いる2
k次が除去されていれば同時に除去されるはずの高調波の成分、すなわち2
k+2
k+1・N次項成分のうちN≧1の部分である。したがって、上記「除去されない成分」を適切に除去するためには、2
k+2
k+1・N次項成分(N≧1)が除去されるよう、GMR素子を配置すればよい。以下、例を挙げて説明する。
【0147】
図13は、2次の高調波を基本波として用いる場合のGMR素子の位置の変形例を示す図である。同図と
図9とを比較すると理解されるように、n=1,2の場合のGMR素子は
図9の例と同一である。
【0148】
一方、n=3である場合、第1の位置P
1からx方向にそれぞれ±π/8±π/12離れた4個の位置に1個ずつGMR素子が配置されるとともに、第2の位置P
2からx方向にそれぞれ±π/8±π/12離れた4個の位置にも1個ずつGMR素子が配置される。また、n=4である場合、第1の位置P
1からx方向にそれぞれ±π/8±π/12±π/16離れた8個の位置に1個ずつGMR素子が配置されるとともに、第2の位置P
2からx方向にそれぞれ±π/8±π/12±π/16離れた8個の位置にも1個ずつGMR素子が配置される。
【0149】
要するに、
図13では、
図9の例と比較して2
1+2
1+1・1=6次項成分を除去するための配置(±π/12)が挿入された形となっている。この配置は式(45)でm
0=6とした場合に相当するので、6次項成分の他に18,30,・・・,12N+6次の各成分も除去される。したがって、例えばn=3の場合には1,3,5,7,・・・,2N+1次、4,12,20,28,・・・,8N+4次、6,18,30,・・・,12N+6次の各成分が除去されることとなる。まとめると、1,3,4,5,6,7,・・・次の各成分が除去されることになり、6次項成分も除去されていることが理解される。
【0150】
また、n=4の場合には1,3,5,7,・・・,2N+1次、4,12,20,28,・・・,8N+4次、6,18,30,・・・,12N+6次、8,24,40,56,・・・,16N+8次の各成分が除去されることとなる。まとめると、1,3,4,5,6,7,8,・・・次の各成分が除去されることになり、n=3の場合と同様に6次項成分も除去されていることが理解される。
【0151】
以上はk=1である場合にN=1の高調波を除去する例であるが、k≧2又はN≧1の場合についても同様である。具体的には、変数Y
1,Y
2,・・・を用いて上述した説明の内容から明らかなように、GMR素子の配置系列に±π/{(2
k+2
k+1・N)×2}=±π/(2
k+1+2
k+2・N)という配置を追加すればよい。こうすることで、基本波より高次の高調波を好適に除去することが可能になる。
【0152】
なお、基本波以外の成分を実質的に完全に除去するには、次のようにすればよい。基本波として2
k次項成分(kは任意の自然数の中から選択される数)を残すものとすると、まず基本となるのは、2
k次項成分以外の2のべき乗次成分を除去できる配置である。これは、第1の基準位置B
1からx方向にそれぞれ±π/2
1・・・±π/2
k±π/2
k+2±π/2
k+3・・・離れた複数個の位置に1個ずつGMR素子を配置することに相当する。しかし、この配置では、2
k次項成分を除去するとすれば自動的に除去される成分、すなわち2
k+2
k+1N次項成分(N≧1)が除去されない(式(46)参照)ので、実際には、さらに2
k+2
k+1N次項成分(N≧1)を除去できる配置を採用する必要がある。
【0153】
ここで、2
k+2
k+1Nは2
k(2N+1)に等しい。したがって、上記基本の配置に、基本波の次数2
kの奇数倍に相当する次数の高調波を除去できる配置を追加すれば、基本波以外の成分を完全に除去できることになる。ただし、この配置では除去される次数が重複する場合があり、効率がよくない。例えば、2
k・9は2
k・3・(2・1+1)と書けるので、2
k・3次の高調波を除去する配置によって自動的に除去される。このような重複を避けた効率のよい配置は、2
kP(Pは3以上の素数)に相当する次数の高調波を除去できる配置となる。つまり、上記基本の配置に、2
kPに相当する次数の高調波を除去できる配置を追加すれば、効率よく、基本波以外の成分を完全に除去できる。
【0154】
現実的には、配置できるGMR素子の個数には限りがある。そこで、2
n個のGMR素子によって第1の素子4
Aを構成するものとすると、2
k次項成分以外の2のべき乗次成分(2
0,2
1,・・・,2
k−1,2
k+1,2
k+2,・・・)と、2
kP次成分(2
k・3,2
k・5,2
k・7,2
k・11,・・・)との中から任意のn個を選択し、選択した次数に対応する配置を採用すればよい。この選択に際しては、出力信号に与える影響の大きい成分を選択することが好ましい。すなわち、式(24)や式(29)に示したように、基本波の次数の偶数倍の次数を有する高調波成分は、出力信号の分子には残らない。このような高調波成分は出力信号に与える影響が小さいので選択せず、分子に残る高調波成分を優先的に選択することが好ましい。具体的な例を挙げて説明すると、例えばk=1であれば、2
k次項成分以外の2のべき乗次成分は2
0,2
2,2
3,・・・であり、2
kPで表される成分は2
1・3,2
1・5,2
1・7,2
1・11,・・・となる。そして、基本波の次数2の偶数倍は、4,8,12,・・・となる。したがって、例えばk=1,n=5とするならば、1,6,10,14,22の各次数を選択し、これらに対応する配置、すなわち第1の基準位置B
1からx方向にそれぞれ±π/2±π/12±π/20±π/28±π/44離れた位置に1個ずつ、2
5個のGMR素子を配置することが好ましい。
【0155】
第2乃至第4の素子4
B〜4
Dについては、後述する表3にも示すように、第1の素子4
Aをx方向に+(2i
1−1)π/2
k(i
1は任意の整数)ずらした位置に第2の素子4
Bを配置し、第1の素子4
Aをx方向に+(2i
2−1)π/2
k+1+(i
2は任意の整数)ずらした位置に第3の素子4
Cを配置し、第3の素子4
Cをx方向に+(2i
3−1)π/2
k(i
3は任意の整数)ずらした位置に第4の素子4
Dを配置すればよい。以上の配置を採用することで、nの値を十分に大きな値とすることにより、基本波以外の成分を実質的に完全に除去することが可能になる。
【0156】
図14(a)は、本発明の第4の実施の形態による位置検出装置1の構成を示す図である。本実施の形態による位置検出装置1は、磁気センサー2が第1乃至第8の素子4
A〜4
Hを有している点で、第1の実施の形態による位置検出装置1と異なっている。以下、第1乃至第8の素子4
A〜4
Hの電気的な接続形態及び物理的な配置について、詳しく説明する。
【0157】
図14(b)は、第1乃至第8の素子4
A〜4
Hの電気的な接続形態を示す図である。同図に示すように、本実施の形態では、第1乃至第8の素子4
A〜4
Hはそれぞれ2個のGMR素子によって構成される。具体的には、第1乃至第4の素子4
A〜4
Dについては、第1の実施の形態と同様である。第5の素子4
Eは2個のGMR素子5
E1,5
E2(2個の第5の検出素子)によって構成され、第6の素子4
Fは2個のGMR素子5
F1,5
F2(2個の第6の検出素子)によって構成され、第7の素子4
Gは2個のGMR素子5
G1,5
G2(2個の第7の検出素子)によって構成され、第8の素子4
Hは2個のGMR素子5
H1,5
H2(2個の第8の検出素子)によって構成される。
【0158】
また、磁気センサー2は、第1の実施の形態と同様、電源端子6(第1の電源端子)、電源端子7(第2の電源端子)、出力端子8a,8b(第1及び第2の出力端子)を有する他、出力端子8c,8d(第3及び第4の出力端子)と、減算器10,11(第1及び第2の減算回路)とをさらに有している。GMR素子5
A1,5
A2,5
B1,5
B2,5
C1,5
C2,5
D1,5
D2と各端子との接続は、第1の実施の形態と同様である。一方、GMR素子5
E1,5
E2は、この順で出力端子8cと電源端子6との間に直列接続される。同様に、GMR素子5
F1,5
F2は、この順で電源端子7と出力端子8cとの間に直列接続され、GMR素子5
G1,5
G2は、この順で出力端子8dと電源端子6との間に直列接続され、GMR素子5
H1,5
H2は、この順で電源端子7と出力端子8dとの間に直列接続される。出力端子8aは減算器10の非反転入力端子に接続され、出力端子8bは減算器11の非反転入力端子に接続され、出力端子8cは減算器10の反転入力端子に接続され、出力端子8dは減算器11の反転入力端子に接続される。減算器10からは、出力端子8aに現れる電圧信号から出力端子8cに現れる電圧信号を減算してなる電圧信号が出力され、この電圧信号は磁気センサー2の一方の出力信号Vsinとなる。また、減算器11からは、出力端子8bに現れる電圧信号から出力端子8dに現れる電圧信号を減算してなる電圧信号が出力され、この電圧信号は磁気センサー2の他方の出力信号Vcosとなる。
【0159】
以上のような接続形態は、要するに、
図25に示した接続形態と同様のフルブリッジ接続である。本実施の形態では、フルブリッジ接続を行う場合において、第1の実施の形態と同様に2次の高調波を基本波として用いるためのGMR素子の配置について説明する。
【0160】
各GMR素子の物理的な配置は、ハーフブリッジの場合と同様、出力信号Vsin,Vcosを算出する際、φの1次項成分を含む奇数次の高調波が除去され、2次の高調波(φの2次項成分)が基本波となるように決定される。具体的には、まず第1乃至第4の素子4
A〜4
Dの配置は、第1の実施の形態で説明した配置(
図2,
図3に示した配置)と同様でよい。すなわち、第1の素子4
Aを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
A1,5
A2)は、第1の基準位置B
1からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置すればよい。また、第2の素子4
Bを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
B1,5
B2)は、第2の基準位置B
2(=B
1+(2i
1−1)π/2)からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置すればよい。第3の素子4
Cを構成するGMR素子5
C1,5
C2は、GMR素子5
A1,5
A2それぞれをx方向に+(2i
2−1)π/4だけずらした位置に配置すればよい。第4の素子4
Dを構成するGMR素子5
D1,5
D2は、GMR素子5
B1,5
B2それぞれをx方向に+(2i
3−1)π/2だけずらした位置に配置すればよい。ただし、i
1,i
2,i
3はいずれも任意の整数の中から選択される数である。
【0161】
以下の説明では、GMR素子5
C1とGMR素子5
C2の中間位置を「第3の基準位置B
3」と称する。これによれば、第3の基準位置B
3はB
1+(2i
2−1)π/4に等しくなる。そして、第3の素子4
Cを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
C1,5
C2)は、第3の基準位置B
3からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置されることとなる。また、GMR素子5
D1とGMR素子5
D2の中間位置を「第4の基準位置B
4」と称する。これによれば、第4の基準位置B
4はB
1+(2i
1−1)π/2+(2i
3−1)π/2に等しくなる。そして、第4の素子4
Dを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
D1,5
D2)は、第4の基準位置B
4からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置されることとなる。
【0162】
第5乃至第8の素子4
E〜4
Hはそれぞれ、第1乃至第4の素子4
A〜4
Dをx方向に所定距離ずらしたところに配置すればよい。具体的には、第1の基準位置B
1からx方向に+(2i
4−1)π/2離れた位置を第5の基準位置B
5とすると、第5の素子4
Eを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
E1,5
E2)は、この第5の基準位置B
5からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置すればよい。また、第1の基準位置B
1からx方向に+2i
5π/2離れた位置を第6の基準位置B
6とすると、第6の素子4
Fを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
F1,5
F2)は、この第6の基準位置B
6からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置すればよい。同様に、第1の基準位置B
1からx方向に+(2i
6−1)π/2+(2i
2−1)π/4離れた位置を第7の基準位置B
7とすると、第7の素子4
Gを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
G1,5
G2)は、この第7の基準位置B
7からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置すればよい。また、第1の基準位置B
1からx方向に+2i
7π/2+(2i
2−1)π/4離れた位置を第8の基準位置B
8とすると、第8の素子4
Hを構成する2つのGMR素子(GMR素子5
H1,5
H2)は、この第8の基準位置B
8からx方向に±π/2離れた2つの位置に、1個ずつ配置すればよい。ただし、i
4〜i
7はいずれも任意の整数の中から選択される数である。
【0163】
表2は、第1乃至第8の基準位置B
1〜B
8の配置について、第1の基準位置B
1を起点としてまとめたものである。第1乃至第8の素子4
A〜4
Hそれぞれを構成する2つのGMR素子を、同表に示す各基準位置のうちの対応するものからx方向に±π/2離れた2つの位置に1個ずつ配置することで、2次の高調波を基本波とすることが可能になる。
【0165】
本実施の形態による位置検出装置1によれば、2次の高調波を基本波とすることが可能になる。また、フルブリッジ接続を用いるので、ハーブブリッジ接続の場合に比べて2倍の出力を得ることができ、さらに、出力信号Vsin,VcosからDC成分を除去することが実現される。
【0166】
なお、上記第4の実施の形態では2次の高調波を基本波とする例について説明したが、上述したハーフブリッジ接続の場合と同様、フルブリッジ接続を行う場合においても、より高次の高調波を基本波とすることが可能である。表3は、2
k次の高調波を基本波とする場合の、第1乃至第8の基準位置B
1〜B
8の配置をまとめたものである。
【0168】
表3においてkに1を代入すると、表2に示した配置と同一の配置が得られる。第1乃至第8の素子4
A〜4
Hそれぞれを構成する2個のGMR素子の配置は、上述したように、対応する基準位置から±π/2離れた2つの位置に1個ずつとすればよい。
【0169】
図15(a)は、k=1であり、かつ第1乃至第8の素子4
A〜4
Hそれぞれを2個のGMR素子により構成した場合のGMR素子の具体的な配置例を示す図である。同図において、縦長の四角形は個々のGMR素子を示している。同図の例では、i
1=3,i
2=2,i
3=3,i
4=1,i
5=3,i
6=1,i
7=3としている。i
1〜i
7の値をこのように設定することで、同図に示すように、各GMR素子をx軸上で互いに異なる位置に配置することが可能になる。
【0170】
k≧2である場合には、第1乃至第8の素子4
A〜4
Hそれぞれを構成する2
n個のGMR素子を、対応する基準位置から±π/Y
1±π/Y
2±π/Y
3・・・±π/Y
n離れた2
n個の位置に1個ずつ配置すればよい。変数Y
1,Y
2,・・・の具体的な値は、例えば
図9に示したn=4の場合と同様に2次の高調波を基本波として用い、1次、4次、8次、16次の各波を除去したい場合には、Y
1=2、Y
2=8、Y
3=16、Y
4=32とすればよい。また、例えば
図13に示したn=4の場合と同様に2次の高調波を基本波として用い、1次、4次、6次、8次の各波を除去したい場合には、Y
1=2、Y
2=8、Y
3=12、Y
4=16とすればよい。
【0171】
図15(b)は、k=2であり、かつ第1乃至第8の素子4
A〜4
Hそれぞれを2
2個のGMR素子により構成した場合のGMR素子の具体的な配置例を示す図である。同図においても、縦長の四角形は個々のGMR素子を示している。同図の例は、4次の高調波を基本波として用いる場合(Y
1=2、Y
2=4)の例であり、i
1=5,i
2=2,i
3=5,i
4=1,i
5=5,i
6=1,i
7=5としている。i
1〜i
7の値をこのように設定することで、同図に示すように、各GMR素子をx軸上で互いに異なる位置に配置することが可能になる。
【0172】
以上、フルブリッジ接続を採用する場合のGMR素子の配置について説明したが、上記の配置以外の配置を採用することも、もちろん可能である。具体的な例としては、
図12に示した例と同様な配置が挙げられる。この場合、第1の素子4
Aについて
図12に示したようにGMR素子を配置し、さらに第2乃至第8の素子4
B〜4
Hについても、
図12に示した第1の基準位置B
1を表3に示した各基準位置B
2〜B
8により置き換えたうえで、同様にGMR素子を配置すればよい。これによっても、2
k次の高調波を基本波として用いることが可能になる。
【0173】
なお、2
k次以外の高調波が基本波とはなり得ない点は、フルブリッジ接続においてもハーフブリッジ接続と同様である。したがって、2
k次(k≧1)の高調波を基本波とするためのGMR素子の配置は、2
m次項成分(mはkより小さい正の整数)が除去されるように決定すれば足りる。加えて、基本波より高次の高調波を適切に除去するためのGMR素子の配置は、ハーフブリッジ接続の場合と同様でよい。つまり、基本波として用いる高調波が2
k次である場合に、2
k+2
k+1・N次項成分が除去されるようGMR素子を配置すれば、基本波より高次の高調波も適切に除去することが可能になる。
【0174】
フルブリッジ接続を行う場合において基本波以外の成分を実質的に完全に除去するための配置は、上述したハーフブリッジ接続の場合と同様である。すなわち、第1乃至第8の素子4
A〜4
Hのそれぞれを2
n個のGMR素子によって構成し、かつ基本波として2
k次項成分(kは任意の自然数の中から選択される数)を残す場合、まず第1の素子4
Aについては、2
k次項成分以外の2のべき乗次成分(2
0,2
1,・・・,2
k−1,2
k+1,2
k+2,・・・)と、2
kP(Pは3以上の素数)で表される成分(2
k・3,2
k・5,2
k・7,2
k・11,・・・)との中から任意のn個を選択し、選択した次数に対応する配置を採用すればよい。選択基準は、ハーフブリッジ接続の場合と同様でよい。そして、第2乃至第8の素子4
B〜4
Hについては、第1の基準位置B
1に代えて表3に示した基準位置を用いて、第1の素子4
Aと同様に配置すればよい。以上の配置を採用することで、nの値を十分に大きな値とすることにより、基本波以外の成分を実質的に完全に除去することが可能になる。
【0175】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0176】
例えば、上述したように、本発明によれば、2
k次項成分を除去することで2
k+2
k+1N次項成分も除去されるが、これら自動的に除去される成分を除去するための配置をしてはいけないというわけではない。例えば、
図12に示す例では2次項成分を除去しているため6次項成分は自動的に除去されるが、
図16に示すように、ことさらに6次項成分を除去する配置を採用しても構わない。
【0177】
また、例えば
図15(a)(b)の例では、各検出素子をx軸上で互いに異なる位置に配置したが、必ずしもこのようにしなければならないわけではない。例えば、検出素子を表面3aの法線方向に並べて配置することで、位相関係を損なうことなく、各検出素子をx軸上で互いに異なる位置に配置した場合と同様の出力を得ることが可能になる。
【0178】
また、上記各実施の形態では検出素子としてGMR素子を用いる例を説明したが、本発明はAMR素子やTMR(tunnel magnetoresistive)素子など他の種類の磁気抵抗素子を検出素子として用いる場合にも適用できる。AMR素子を用いる場合には、同じくAMR素子を用いる従来の位置検出装置に比べて高い分解能を得ることが可能になる。
【0179】
また、本発明は、上述した光学式の位置検出装置にも適用できる。この場合、磁気スケール3に代えて表面に回折パターンが形成された光学スケールを用いる。また、磁気センサー2に代えて光センサーを用い、検出素子は光検出素子となる。光センサーを光学スケールの表面に沿って移動させた場合、その受光量は、式(20)〜式(23)に示したGMR読み出し信号と同様の信号となる。本発明によれば、この信号において偶数次の高調波を基本波とすることができるので、光学式の位置検出装置においても、従来の2倍以上の分解能を得ることが可能になる。
【0180】
また、上記各実施の形態においては、説明の分かりやすさを優先してGMR素子の電気的な接続順と物理的な配置順とを対応付けて説明したが、これらは本来対応付ける必要がないものである。例えば、
図17には、
図2(a)(b)に示したGMR素子の配置の変形例を示している。同図に示す例では、各GMR素子の物理的な配置順が
図2(a)(b)に示した例とは異なっているが、2次の高調波を基本波とするという、
図2(a)(b)に示した例と同一の効果を得ることが可能である。具体的にどのような配置順を採用するかについては、配線の容易さなどを考慮して決定すればよい。
【0181】
また、本発明は、
図1(a)に示したような直線状のスケール(磁気リニアスケール、光学式リニアスケール)の他、環状や曲線状のスケール(磁気ロータリーエンコーダ、光学式ロータリーエンコーダ)を用いる場合にも同様に適用可能である。つまり、ある物性値に対し周期性を有する測定機器全般に適用可能である。
【0182】
図18、
図19、
図20、
図21はそれぞれ、
図9、
図12、
図13、
図16と同様のGMR素子の配置を、環状のエンコーダに適用した例を示している。また、
図22には、
図15(a)(b)のそれぞれと同様のGMR素子の配置を、環状のエンコーダに適用した例を示している。これらの図に示すように、本発明は、環状のエンコーダにも適用可能である。