特許第5761216号(P5761216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5761216情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761216
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20150723BHJP
   G06F 3/0485 20130101ALI20150723BHJP
【FI】
   G06F3/048 620
   G06F3/048 656D
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-9452(P2013-9452)
(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-142707(P2014-142707A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2014年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】牧野 哲司
(72)【発明者】
【氏名】中込 浩一
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−025023(JP,A)
【文献】 特開2012−168621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/24
G01C 23/00−25/00
G06F 3/01
G06F 3/03− 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラッグ操作により描画領域範囲内に画像を描画する描画モードと、ドラッグ操作により前記画像をスクロールさせて表示するスクロールモードを備えた情報処理装置であって、
前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が、前記描画領域範囲を示す境界上に位置するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が前記描画領域範囲を示す境界上に位置すると判断されると、ドラッグ操作を中断することなく前記描画モードから、前記スクロールモードに切り替えるドラッグモード切替手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ドラッグ操作による前記描画モードは、前記画像の位置を固定して表示する固定モードで行なわれることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
物体の接触又は近接の操作をタッチ操作として検出するタッチ操作検出手段
前記タッチ操作検出手段による前記タッチ操作に基づいて前記スクロールモードと前記固定モードを切り替える表示モード切替手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示モード切替手段は、前記スクロールモード中に前記タッチ操作検出手段により、所定の時間前記タッチ操作の検出ができない場合には、前記固定モードに切り替える
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示モード切替手段は、前記スクロールモード中に前記タッチ操作検出手段により検出されたタッチ操作の位置が所定の時間変化しない場合には、前記固定モードに切り替える
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示モード切替手段は、前記スクロールモード中に同時期に前記タッチ操作検出手段により複数のタッチ操作を検出すると、前記固定モードに切り替える
ことを特徴とする請求項乃至5のうち何れかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示モード切替手段は、前記スクロールモード中に任意の領域まで前記画像をスクロールすると、前記固定モードに切り替える
ことを特徴とする請求項乃至6のうち何れかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記任意の領域は、表示部の周辺領域である
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示モード切替手段は、前記タッチ操作検出手段により連続して検出された2点操作の回数に応じて、前記スクロールモードと前記固定モードを切り替える
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記スクロールモードから前記固定モードに切り替わると、ドラッグ操作により描画領域範囲内に画像を描画する前記描画モードが引き続き実行されることを特徴とする請求項4乃至9のうち何れかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
ドラッグ操作により描画領域範囲内に画像を描画する描画モードと、ドラッグ操作により前記画像をスクロールさせて表示するスクロールモードを備えた情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が、前記描画領域範囲を示す境界上に位置するか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が前記描画領域範囲を示す境界上に位置すると判断されると、ドラッグ操作を中断することなく前記描画モードから、前記スクロールモードに切り替えるドラッグモード切替ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
ドラッグ操作により描画領域範囲内に画像を描画する描画モードと、ドラッグ操作により前記画像をスクロールさせて表示するスクロールモードを備えた情報処理装置のコンピュータを、
前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が、前記描画領域範囲を示す境界上に位置するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段により前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が前記描画領域範囲を示す境界上に位置すると判断されると、ドラッグ操作を中断することなく前記描画モードから、前記スクロールモードに切り替えるドラッグモード切替手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大画面の表示部を備えたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置は、写真等の画像に対し各種画像処理を実行している。そのような画像処理を実行するアプリケーションソフトウェアの1つとして、画像から絵柄データ(オブジェクト)の切り抜きを行うアプリケーションソフトウェアが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方で、昨今、液晶ディスプレイに積層されたタッチパネルを備えた情報処理装置の需要が高まりつつある。情報処理装置は、タッチパネルに対するユーザの指やタッチペン等の物体の接触の操作に基づいて、表示部に表示されるオブジェクトに関する処理を実行する(例えば、特許文献2参照)。
近年の情報処理分野の著しい高度化により、このようなタッチパネルを備えた情報処理装置の小型化が進み、スマートフォンに代表される、片手で筐体全体を保持できる程度の情報処理装置も登場してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−271008号公報
【特許文献2】特開平07−334308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スマートフォン等の小型の情報処理装置は、装置全体の小型化を反映して、必然的に表示部も小型になる。ユーザが、そのような小型化された表示部に表示される画像からオブジェクトを指等の物体の接触の操作に基づいて選択する操作をする際、選択する操作と、表示されている画像をスクロールする操作が必要な場合は、選択する操作の連続性が失われる問題がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、操作の連続性を保ちながら画像を表示するモードを切り替えやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
ドラッグ操作により描画領域範囲内に画像を描画する描画モードと、ドラッグ操作により前記画像をスクロールさせて表示するスクロールモードを備えた情報処理装置であって、
前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が、前記描画領域範囲を示す境界上に位置するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記描画モードにおけるドラッグ操作の位置が前記描画領域範囲を示す境界上に位置すると判断されると、ドラッグ操作を中断することなく前記描画モードから、前記スクロールモードに切り替えるドラッグモード切替手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作の連続性を保ちながら画像を表示するモードを切り替えやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図2図1の情報処理装置の機能的構成のうち、軌跡描画画像生成処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
図3】モード切替処理により現在のモードが固定モード又はスクロールモードに切り替えられた場合の概要を示す、情報処理装置の正面図である。
図4】モード切替処理により現在のモードが固定モード又はスクロールモードに切り替えられた場合の概要を示す、情報処理装置の正面図である。
図5】モード切替処理により現在のモードが固定モード又はスクロールモードに切り替えられた場合の概要を示す、情報処理装置の正面図である。
図6図2の機能的構成を有する図1の情報処理装置が実行する軌跡描画画像生成処理の流れを説明するフローチャートである。
図7図2の機能的構成を有する図1の情報処理装置が実行するスクロールモード終了判定処理の流れを説明するフローチャートである。
図8図2の機能的構成を有する別実施形態の図1の情報処理装置が実行するスクロールモード終了判定処理の流れを説明するフローチャートである。
図9図2の機能的構成を有する別実施形態の図1の情報処理装置が実行するスクロールモード終了判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態の情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
情報処理装置1は、例えばスマートフォンとして構成される。
【0011】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、タッチパネル16と、表示部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0012】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムにしたがって各種の処理を実行する。
【0013】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0014】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、タッチパネル16、表示部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0015】
タッチパネル16は、表示部17の表示画面に積層される静電容量式又は抵抗膜式のタッチパネルとして構成され、タッチ操作がなされた位置(以下、「タッチ位置」と呼ぶ)の座標を検出する。ここで、タッチ操作とは、タッチパネル16に対する物体(ユーザの指やタッチペン等)の接触又は近接の操作をいう。タッチパネル16は、同時期になされたタッチ位置の座標を複数箇所検出する、いわゆるマルチタッチの機能を有する。
表示部17は、ディスプレイにより構成され画像を表示する。
記憶部18は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0016】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0017】
このような構成の情報処理装置1のCPU11は、人物等のオブジェクト領域を含む画像を原画像として、当該原画像からオブジェクト領域を切り抜く画像処理を実行することができる。このような画像処理を、以下、「切抜処理」と呼ぶ。
CPU11は、このような切抜処理により原画像から切り出されたオブジェクト領域のデータを、原画像とは別の新たな画像(新たな背景画像等)のデータと合成することによって、合成画像のデータを生成する。
【0018】
CPU11は、このような切抜処理を実行するに際し、原画像から、切抜き対象のオブジェクト領域を指定する必要がある。そこで、CPU11は、次のような一連の処理を実行する。
CPU11は、原画像のデータを記憶部18から読み出して、当該原画像を表示部17に表示させる。
この状態で、ユーザは、表示部17に表示された画像内のオブジェクト領域とその他の領域とを区分する境界線に沿って、ユーザの指等を移動させるタッチ操作(マウスのドラッグ操作に模して、以下「ドラッグ操作」と呼ぶ)をする。
CPU11は、当該ドラッグ操作の軌跡上に線を描画する。そして、CPU11は、ドラッグ操作の軌跡上に描画された線が重畳された画像(以下、「軌跡描画画像」と呼ぶ)を表示部17に表示させ、当該軌跡描画画像のデータを記憶部18に記憶させる。
このような一連の処理を、以下、「軌跡描画画像生成処理」と呼ぶ。
軌跡描画画像生成処理により生成された軌跡描画画像のうち、描画された線により囲まれる領域が、切抜き処理で切り抜かれるオブジェクト領域として指定される。
【0019】
図2は、情報処理装置の機能的構成のうち、このような軌跡描画画像生成処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
CPU11においては、軌跡描画画像生成処理の実行が制御される場合、表示制御部41と、タッチ操作検出部42と、描画部43と、判断部44と、モード切替部45と、記憶制御部46と、が機能する。
記憶部18の一領域として、切抜処理における原画像となり得る各種画像のデータを記憶している画像記憶部51が設けられている。
【0021】
表示制御部41は、所定の画像のデータを画像記憶部51から読み出して、当該画像を、切抜き処理における原画像として表示部17に表示させる制御を実行する。
【0022】
タッチ操作検出部42は、ユーザによるタッチ操作がタッチパネル16に対してなされたことを検出し、そのタッチ操作の位置を認識する。タッチ操作検出部42は、タッチパネル16に対する物体(ユーザの指やタッチペン等)の接触又は近接の操作(以下、「タッチダウン」と呼ぶ)やタッチダウンの状態から物体(ユーザの指やタッチペン等)の接触を解除する操作(以下、「タッチアップ」と呼ぶ)を検出することができる。タッチ操作検出部42は、タッチパネル16に対して同時期に複数なされたタッチダウンやタッチアップの操作を検出することができる。タッチ操作検出部42は、検出したタッチアップ及びタッチダウンの情報を描画部43及びモード切替部45へ伝達する。
【0023】
判断部44は、判断部44により描画中の位置が描画領域範囲の境界上に位置するか否かを判断する。
モード切替部45は、判断部44による判断結果に基づいて、画像を固定させて表示する固定モードと、画像をスクロールさせて表示するスクロールモード、とを少なくとも含む複数のモードのうち何れかのモードに切り替える。
「固定モード」とは、タッチパネル16に対する物体(ユーザの指やタッチペン等)のフリック操作、スライド操作、スワイプ操作等に関わらず、画像を表示部17に固定させて表示するモードをいう。
「スクロールモード」とは、タッチパネル16に対する物体(ユーザの指やタッチペン等)のフリック操作、スライド操作、スワイプ操作等に対応して、表示部17に表示されている画像を任意の方向にスクロールさせて表示するモードをいう。
モード切替部45は、判断部44により描画中の画像の位置が、描画領域範囲の境界線上に位置すると判断されると、現在のモードを固定モードからスクロールモードに切り替える。
【0024】
また、モード切替部45は、スクロールモード中に同時期にタッチ操作検出部42により複数のタッチ操作を行う、いわゆるマルチタッチを検出すると、現在のモードを固定モードに切り替える。
【0025】
また、モード切替部45は、タッチ操作検出部42により連続して検出された2点操作の回数に応じて、固定モードと、スクロールモードと、を含む複数のモードの中から何れかのモードに切り替える。例えば、モード切替部45は、前回タッチ操作検出部42により、2点により行われるタッチ操作を連続して2回検出した場合には、現在のモードを固定モードに切り替える。これに対し、モード切替部45は、2点により行われるタッチ操作を連続して3回検出した場合には、現在のモードをスクロールモードに切り替える。モード切替部45は、切り替えたモードの情報を描画部43及び表示制御部41へ供給する。
【0026】
モード切替部45により、現在のモードが固定モード又はスクロールモードのうち何れかのモードに切り替える処理を、以下、「モード切替処理」と呼ぶ。
図3乃至図5は、モード切替処理により現在のモードが固定モード又はスクロールモードに切り替えられた場合の概要を示す、情報処理装置1の正面図である。
【0027】
図3(A)に示すように、表示部17のうち描画領域範囲ADには、人間の上半身を示すオブジェクト領域OBを含む原画像が、透過レイヤとともにオーバラップ表示されている。描画部43は、この描画領域範囲ADをユーザのタッチパネル16の操作に基づき任意の範囲に設定することができる。
このような図3(A)の状態で、ユーザが、描画領域範囲ADに表示されたオブジェクト領域OBの外周に対して第1の指UF1を接触させ、タッチ操作を開始したとする。
【0028】
ここで図2に戻り、描画部43は、第1の指UF1の接触位置における線の開始点L1のデータを生成する。このようにして、描画部43が、表示部17の所定位置における線のデータを生成する処理を、以下、「所定位置に線を描画する」と表現する。
【0029】
表示制御部41は、線の開始点L1を、原画像のオブジェクト領域OBのうち第1の指UF1の接触位置に重畳させて表示させる。より具体的には、表示制御部41は、透過レイヤにおける第1の指UF1の接触位置に線の開始点L1を表示させる。
【0030】
その後、図3(B)に示すように、ドラッグ操作による第1の指UF1の移動の軌跡(オブジェクト領域OBの外周)に沿って線L2が描画され、図3(C)に示すように、オブジェクト領域OBの外周の上に線L2が表示されるようになる。
【0031】
ドラッグ操作により指UF1の位置が更に移動して、図3(C)に示すように、指UF1の位置、即ち描画部43による線L2の描画中の位置が、描画領域範囲ADの境界上に到達すると、判断部44により、描画中の位置が描画領域範囲ADの境界上に位置すると判断され、現在のモードが固定モードからスクロールモードに切り替えられる。
なお、指UF1の移動速度が速くて、判断部44により描画領域範囲ADの境界上に位置すると判断する前に、指UF1が描画領域範囲ADの境界を越えてしまう場合がある。このような場合にも、判断部44が描画領域範囲ADの境界上に位置すると適切に判断することができるように、本実施形態では、ドラッグ操作をしながら移動している指UF1の位置を検出することが可能な範囲が、描画領域範囲ADよりも広い範囲AMとして設けられている。このような範囲AMを、以下、移動検出範囲AMと呼ぶ。
【0032】
即ち、描画部43は、モード切替部45により現在のモードがスクロールモードに切り替えられた時又は直前に描画部43により線が描画された位置を、所定位置にスクロール移動させる場合における、そのスクロール量を算定する。
本実施形態では、所定の描画領域範囲ADの境界上の所定位置に線L2が到達した時の当該所定位置(図3(C)に示す位置)を始点として、その後、ユーザのドラッグ操作による第1の指UF1の移動の軌跡に沿って移動するタッチ位置が停止した点を終点として、始点から終点までスクロール移動させるための移動量が、スクロール量として算定される。
表示制御部41は、図4(A)に示すように、描画部43により算定されたスクロール量にしたがって、原画像及びそれに重畳された線(透過レイヤ)をスクロールさせて表示部17に表示させる。
【0033】
その後、図4(B)に示すように、スクロールモード中に、ユーザが指UF1をタッチアップすることにより、タッチ操作検出部42によるタッチ操作の検出ができなくなった場合には、モード切替部45は、現在のモードを固定モードに切り替える。
【0034】
また、図4(C)に示すように、スクロールモード中に、ユーザが指UF1を所定の時間動かさずに停止することにより、タッチ操作検出部42により検出されるタッチ位置が所定の時間変化しない場合には、モード切替部45は、現在のモードを固定モードに切り替える。ユーザは、タッチパネル16を操作することにより、この所定の時間を予め任意に設定することができる。
【0035】
また、図5(A)に示すように、スクロールモード中に、ユーザが指UF1とは別の指UF2によりタッチ操作を行うことにより、タッチ操作検出部42により同時期に2点のタッチ操作を検出すると、モード切替部45は、現在のモードを固定モードに切り替える。この場合、ユーザは、指UF1で前回のタッチ位置を保持しつつ、他の指UF2で他のタッチ位置をタッチ操作することにより、2点のタッチ操作を行うことができる。
【0036】
また、図5(B)に示すように、スクロールモード中に、ユーザが指UF1でドラッグ操作することにより、タッチ操作検出部42により表示部17により表示される描画領域範囲ADの周辺領域でタッチ操作を検出すると、モード切替部45は、再び現在のモードを固定モードに切り替える。現在のモードが固定モードに切り替わることにより、ユーザは画像の位置を任意の位置に移動することができるので、図5(C)に示すように、ユーザは継続して線L2の描画を行うことができる。
【0037】
なお、表示制御部41は、モード切替部45により切り替えられたモードに応じて、異なる色の画像を表示する。本実施形態では、表示制御部41は、モード切替部45により現在のモードがスクロールモードに切り替えられた場合には、描画領域範囲ADの背景画像を赤色で表示する。これに対し、表示制御部41は、モード切替部45により現在のモードが固定モードに切り替えられた場合には、描画領域範囲ADの背景画像を白色で表示する。
【0038】
原画像のスクロール表示処理についてまとめると、切抜き処理で切り抜かれるオブジェクト領域を指定するためには、ユーザは、当該オブジェクトの境界線に沿って第1の指UF1を動かす、といったドラッグ操作をする必要がある。
ただし、継続した結果、描画された線L2が描画領域範囲ADの端部に達しそうな状態では、ドラッグ操作を継続して実行することができない場合が多い。
このため、原画像をスクロール表示させることを繰り返すことで、ドラッグ操作で指定されていない(第1の指UF1でタッチされていない)境界線が描画領域範囲ADに常時含まれるようにする必要がある。
従来では、ドラッグ操作により、図3(C)に示すように、第1の指UF1の位置、即ち描画部43による線L2の描画中の位置が、描画領域範囲ADの端部に達しそうな状態に到達すると、ユーザは、線を描画するためのドラッグ操作を中断して、ドラッグ操作の操作モードを切り替えて、ドラッグ操作により原画像をスクロールしていた(この間、ドラッグ操作で線を描画することは禁止される)。
しかしながら、ユーザにとって、このような一連の操作、即ち、線を描画するためのドラッグ操作を中断して、ドラッグ操作の操作モードを切り替えて、ドラッグ操作により原画像をスクロールすることを繰り返すといった操作は、煩雑で手間のかかる操作であり高負荷となっている。また、操作モードを切り替えるためにタッチアップしたり、自動的に画像のスクロールを行うためにタッチアップしたりした後に、引き続き同じタッチ位置をタッチダウンしたとしても、タッチ位置がずれる可能性が高いため、線の連続性を保ちながらドラッグ操作を継続して行うことは困難であった。
そこで、本実施形態では、第1の指UF1のタッチ位置を変えずに、モード切替処理を実行するだけで、現在のモードを固定モードからスクロールモードに切り替わることになり、ユーザの操作負担が軽減される。
【0039】
そして、所定の終了指示がなされると、図2の記憶制御部48は、オブジェクト領域の境界線上に線L2が重畳された原画像のデータを、軌跡描画画像のデータとして画像記憶部51に記憶させる。
これにより、情報処理装置1のCPU11は、その後の任意のタイミングで、軌跡描画画像のデータを用いて切抜き処理を実行することで、当該原画像からオブジェクト領域を切り抜くことができるようになる。
【0040】
次に、図6を参照して、このような図2の機能的構成の情報処理装置1が実行する軌跡描画画像生成処理について説明する。
図6は、図2の機能的構成を有する図1の情報処理装置1が実行する軌跡描画画像生成処理の流れを説明するフローチャートである。
【0041】
軌跡描画画像生成処理は、ユーザによりタッチパネル16に対する所定の操作がなされたことを契機として開始され、次のような処理が実行される。
【0042】
ステップS11において、描画部43は、ユーザのタッチパネル16の操作に基づき、描画領域範囲AD(図3乃至図5)を設定。
【0043】
ステップS12において、表示制御部41は、原画像のデータを記憶部18から読み出して、処理対象となる原画像(以下、「処理対象画像」と呼ぶ)を表示部17に表示する。
【0044】
ステップS13において、モード切替部45は、現在のモードを固定モードに切り替え、固定モードにセットする。現在のモードが固定モードに切り替えられると、表示制御部41は、処理対象画像に対して、ドラッグ操作による指の移動の軌跡に沿って描画される線を表示する。
【0045】
ステップS14において、タッチ操作検出部42は、ユーザによるタッチパネル16に対してなされたタッチ操作を検出する。
ステップS15において、タッチ操作検出部42は、ステップS14において検出したタッチ操作は、タッチダウンであるか否かを判定する。タッチダウンが行われていない場合には、ステップS15においてNOであると判定されて、処理はステップS19に進む。ステップS19以降の処理については、後述する。タッチダウンが行われた場合には、ステップS15においてYESであると判定されて、処理はステップS16に進む。
【0046】
ステップS16において、タッチ操作検出部42は、同時期に2点のタッチ操作を検出したか否かを判定する。この処理では、タッチ操作検出部42は、ユーザにより、指UF1で前回のタッチ位置を保持しつつ、他の指UF2で他のタッチ位置をタッチ操作することにより、2点のタッチ操作が行われたか否かを判定する。同時期に2点のタッチ操作を検出した場合には、ステップS16においてYESであると判定されて、処理はステップ24に進む。ステップS24以降の処理については後述する。同時期に2点のタッチ操作を検出しない場合には、ステップS16においてNOであると判定されて、処理はステップ17に進む。
【0047】
ステップS17において、終了指示を受けたか否かを判定する。終了指示を受けていない場合には、ステップS17においてNOであると判定されて、処理はステップS14に戻る。これに対し、終了指示を受けた場合には、ステップS17においてYESであると判定されて、処理はステップS18に進む。
【0048】
ステップS18において、記憶制御部48は、線が描画された処理対象の画像のデータを軌跡描画画像として画像記憶部51に記憶する。この処理が終了すると軌跡描画画像生成処理は終了となる。即ち、タッチダウンが行われた場合には、再びタッチダウンが解除されるか、終了指示があるまでの間、ステップS14乃至ステップS17の処理が繰り返し実行され、描画画像生成処理は待機状態となる。
【0049】
ステップS19において、タッチ操作検出部42は、ドラッグ操作が行われたか否かを判定する。ドラッグ操作が行われた場合には、ステップS19においてYESであると判定されて、処理はステップS21に進む。ステップS21以降の処理については、後述する。これに対し、ドラッグ操作が行われていない場合には、ステップS19においてNOであると判定されて、処理はステップS20に進む。
【0050】
ステップS20において、タッチ操作検出部42は、タッチアップが行われたか否かを判定する。タッチアップが行われていない場合には、ステップS20においてNOであると判定されて、処理はステップS14に戻る。これに対し、タッチアップが行われた場合には、ステップS20においてYESであると判定されて、処理はステップS24に進む。ステップS24以降の処理については、後述する。
【0051】
ステップS21において、モード切替部45は、現在のモードがスクロールモード中であるか否かを判定する。スクロールモード中ではない場合、即ち、固定モードである場合には、ステップS21においてNOであると判定されて、処理はステップS26に進む。ステップS26以降の処理については、後述する。これに対し、スクロールモード中である場合には、ステップS21においてYESであると判定されて、処理はステップS22に進む。
【0052】
ステップS22において、モード切替部45は、後述の図7を参照して説明するスクロールモード終了判定処理を行う。この処理では、モード切替部45が、タッチ位置が所定の時間変化しない場合には、スクロールモードを終了するためのスクロールモード終了フラグをセットする処理を行う。
【0053】
ステップS23において、モード切替部45は、スクロールモードが終了であるか否かを判定する。この処理では、モード切替部45は、スクロールモード終了フラグがセットされているか否かを判定することで、スクロールモードが終了であるか否かを判定する。スクロールモード終了フラグがセットされ、スクロールモードが終了である場合、ステップS23においてYESであると判定されて、処理はステップS24に進む。
【0054】
ステップS24において、モード切替部45は、現在のモードを固定モードに切り替え、固定モードにセットする。この処理が終了すると、処理はステップS14に戻る。
スクロールモード終了フラグがセットされずに、スクロールモードが終了しない場合、ステップS23においてNOであると判定されて、処理はステップS25に進む。
【0055】
ステップS25において、表示制御部41は、ユーザのタッチパネル16に対する物体(ユーザの指やタッチペン等)のフリック操作、スライド操作、スワイプ操作等に対応して、表示部17に表示されている画像を任意の方向にスクロールさせて表示する制御を行う。この処理が終了すると、処理はステップS14に戻る。
【0056】
ステップS26において、判断部44は、描画中のタッチ位置が描画領域範囲AD(図3(C))の境界上であるか否かを判定する。描画中のタッチ位置が描画領域範囲ADの境界上である場合には、ステップS26においてYESであると判定されて処理はステップS27に進む。これに対し、描画中のタッチ位置が描画領域範囲ADの境界上ではない場合には、ステップS26においてNOであると判定されて、処理はステップS28に進む。
【0057】
ステップS27において、モード切替部45は、現在のモードをスクロールモードに切り替え、スクロールモードにセットする。この処理が終了すると、処理はステップS14に戻る。
【0058】
ステップS28において、描画部43は、ユーザのドラッグ操作による指UF1の移動の軌跡に沿って線L2を描画する。そして、表示制御部41は、描画された線を表示部17に表示する制御を実行する。この処理が終了すると、処理はステップS14に戻る。
【0059】
次に、図7を参照して、このような図2の機能的構成の情報処理装置1が実行する図6のステップS22において行われるスクロールモード終了判定処理について説明する。
図7は、図2の機能的構成を有する図1の情報処理装置1が実行するスクロールモード終了判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【0060】
スクロールモード終了判定処理は、図6のステップS21においてスクロールモード中であると判定されたことを契機として開始され、次のような処理が実行される。
ステップS41において、タッチ操作検出部42は、タッチ位置を検出する。
【0061】
ステップS42において、タッチ操作検出部42は、ステップS41において検出したタッチ位置が変化したか否かを判定する。この処理では、タッチ操作検出部42は、ユーザにより指が動かされることにより、タッチ位置が移動したか否かが判定される。タッチ位置が変化した場合には、ステップS42においてYESであると判定されて、スクロールモード終了判定処理は終了となる。これに対し、タッチ位置が変化していない場合には、ステップS42においてNOであると判定されて、処理はステップS43に進む。
【0062】
ステップS43において、タッチ操作検出部42は、所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していない場合には、ステップS43においてNOであると判定されて、処理はステップS42に戻る。即ち、タッチ位置が変化しない場合には、所定の時間が経過するまでの間、ステップS42及びステップS43の処理が繰り返し実行され、スクロールモード終了判定処理は待機状態となる。これに対し、所定の時間が経過した場合には、ステップS43においてYESであると判定されて、処理はステップS44に進む。
【0063】
ステップS44において、モード切替部45は、スクロールモード終了フラグをセットする。この処理が終了すると、スクロールモード終了判定処理が終了し、処理は図6のステップS23に進む。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置1は、描画部43と、判断部44と、モード切替部45と、表示制御部41と、を備える。
描画部43は、固定モード中に表示された描画領域範囲AD内の画像上を指定して線を描画する。判断部44は、描画部43による線の描画中の位置が、描画領域範囲ADの境界線上に位置するか否かを判断する。モード切替部45は、判断部44により描画中の位置が描画領域範囲ADの境界上に位置すると判断されると、固定モードから、固定モード以外の所定のモードに切り替える。表示制御部41は、モード切替部45により切り替えられたモードに基づいて画像を表示する制御を実行する。
これにより、ユーザは、固定モード中に描画中の位置が描画領域範囲ADの境界上になった場合には、自動的に固定モードから所定のモードに切り替えることができる。したがって、固定モードから、固定モード以外の所定のモードに切り替えた場合であっても、ユーザの第1の指UF1のタッチ位置を変えずに操作モードを変更することができ、操作負担が軽減される。これにより、操作の連続性を保ちながら画像を表示するモードを切り替えやすくすることができる。
【0065】
また、本実施形態の情報処理装置1のモード切替部45により切り替えられる所定のモードは、画像をスクロールさせて表示するスクロールモードである。
これにより、ユーザは、固定モード中に描画中の位置が描画領域範囲ADの境界上になった場合には、自動的にスクロールモードに切り替えることができる。したがって、固定モードからスクロールモードに切り替えた場合であっても、ユーザの第1の指UF1のタッチ位置を変えずに、操作モードを変更することができ、操作負担が軽減される。これにより、操作の連続性を保ちながら画像を表示するモードを切り替えやすくすることができる。
【0066】
また、本実施形態の情報処理装置1は、タッチ操作検出部42を更に備える。
タッチ操作検出部42は、物体の接触又は近接の操作をタッチ操作として検出する。そして、モード切替部45は、スクロールモード中にタッチ操作検出部42によりタッチ操作の検出ができない場合には、固定モードに切り替える。
これにより、ユーザは、タッチアップすることにより、自動的に固定モードに切り替えることができる。したがって、ユーザの指UF1をタッチアップするだけで、固定モードに変更することができ、操作負担が軽減される。これにより、操作の連続性を保ちながら画像を表示するモードを切り替えやすくすることができる。
【0067】
また、本実施形態の情報処理装置1のモード切替部45は、スクロールモード中にタッチ操作検出部42により検出されたタッチ操作の位置が所定の時間変化しない場合には、固定モードに切り替える。
これにより、ユーザは、所定の時間タッチ位置を変えずに待機することにより、自動的に固定モードに切り替えることができる。したがって、スクロールモードから固定モードに切り替えた場合であっても、ユーザの指UF1のタッチ位置を変えずに、操作モードを変更することができ、操作負担が軽減される。これにより、操作の連続性を保ちながら画像を表示するモードを切り替えやすくすることができる。
【0068】
また、本実施形態の情報処理装置1のモード切替部45は、スクロールモード中に同時期にタッチ操作検出部42により複数のタッチ操作を検出すると、固定モードに切り替える。
これにより、ユーザは、固定モードに切り替えたい場合には、タッチダウンしている指の数を増加又は減少することによりタッチ操作の数を変えることで、容易に固定モードに切り替えることができる。したがって、固定モードからスクロールモードに切り替えた場合であっても、ユーザの第1の指UF1のタッチ位置を変えずに、第2の指UF2によりタッチ操作を加えるだけで、操作モードを変更することができ、操作負担が軽減される。これにより、操作の連続性を保ちながら画像を表示するモードを切り替えやすくすることができる。
【0069】
また、本実施形態の情報処理装置1のモード切替部45は、タッチ操作検出部42により連続して検出された2点操作の回数に応じて、モードを切り替える。
これにより、ユーザはタッチ操作の数を変えるだけで、タッチ位置を変えずに、2点操作によるタッチ操作の数を変えるだけで、画像をスクロールすることができる。したがって、タッチ位置を変えずに線の連続性を保ちながら線の描画を継続して行うことができる。
【0070】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0071】
上述の実施形態では、モード切替部45は、スクロールモード中にタッチ操作検出部42により検出されたタッチ操作の位置が所定の時間変化しない場合には、固定モードに切り替えているがこれに限られるものではない。例えば、モード切替部45は、スクロールモード中に表示部17の周辺領域まで画像をスクロールすると、固定モードに切り替えることができる。
例えば、図5(B)に示すように、スクロールモード中に、ユーザが指UF1でドラッグ操作することにより、タッチ操作検出部42により表示部17により表示される描画領域範囲ADの周辺領域でタッチ操作を検出すると、モード切替部45は、再び現在のモードを固定モードに切り替える。現在のモードが固定モードに切り替わることにより、ユーザは画像の位置を任意の位置に移動することができるので、図5(C)に示すように、ユーザは継続して線L2の描画を行うことができる。
このような構成のモード切替部45を有する情報処理装置1は、図7のスクロールモード終了判定処理に変えて、図8のスクロールモード判定処理を実行する。
【0072】
図8を参照して、このような図2の機能的構成の情報処理装置1が実行する図6のステップS22において行われる別実施形態のスクロールモード終了判定処理について説明する。
図8は、図2の機能的構成を有する別実施形態の図1の情報処理装置1が実行するスクロールモード終了判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【0073】
スクロールモード終了判定処理は、図6のステップS21においてスクロールモード中であると判定されたことを契機として開始され、次のような処理が実行される。
ステップS61において、タッチ操作検出部42は、タッチ位置を検出する。
【0074】
ステップS62において、タッチ操作検出部42は、ステップS61において検出したタッチ位置は描画領域範囲AD(図5(B))の周辺領域であるか否かを判定する。タッチ位置は描画領域範囲ADの周辺領域ではない場合は、ステップS62においてNOであると判定されて、スクロールモード終了判定処理は終了となる。これに対し、タッチ位置は描画領域範囲ADの周辺領域である場合は、ステップS62においてYESであると判定されて、処理はステップS63に進む。
【0075】
ステップS63において、モード切替部45は、スクロールモード終了フラグをセットする。この処理が終了すると、スクロールモード終了判定処理が終了し、処理は図6のステップS23に進む。
【0076】
また、上述の実施形態では、モード切替部45は、スクロールモード中にタッチ操作検出部42により検出されたタッチ操作の位置が所定の時間変化しない場合には、固定モードに切り替えているがこれに限られるものではない。例えば、モード切替部45は、スクロールモード中に任意の領域まで画像をスクロールすると、固定モードに切り替えることができる。ユーザは、タッチパネル16を操作することにより、この任意の領域を自由に設定することができる。例えば、ユーザは、表示部17の画角周辺や、画角の中央を任意の領域として設定することができる。
このような構成のモード切替部45を有する情報処理装置1は、図7のスクロールモード終了判定処理に変えて、図9のスクロールモード判定処理を実行する。
【0077】
図9を参照して、このような図2の機能的構成の情報処理装置1が実行する図6のステップS22において行われる別実施形態のスクロールモード終了判定処理について説明する。
図9は、図2の機能的構成を有する別実施形態の図1の情報処理装置1が実行するスクロールモード終了判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【0078】
スクロールモード終了判定処理は、図6のステップS21においてスクロールモード中であると判定されたことを契機として開始され、次のような処理が実行される。
ステップS81において、タッチ操作検出部42は、タッチ位置を検出する。
【0079】
ステップS82において、タッチ操作検出部42は、ステップS81において検出したタッチ位置は任意の領域であるか否かを判定する。タッチ位置は任意の領域ではない場合は、ステップS82においてNOであると判定されて、スクロールモード終了判定処理は終了となる。これに対し、タッチ位置は任意の領域である場合は、ステップS82においてYESであると判定されて、処理はステップS83に進む。
【0080】
ステップS83において、モード切替部45は、スクロールモード終了フラグをセットする。この処理が終了すると、スクロールモード終了判定処理が終了し、処理は図6のステップS23に進む。
【0081】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される情報処理装置1は、スマートフォンを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、表示機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0082】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図2の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図2の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0083】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0084】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図1のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、Blu−ray Disc(ブルーレイディスク)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)、等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図1のROM12や、図1の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0085】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0086】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0087】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
画像の位置を固定して表示する固定モード中に表示された描画領域範囲内の画像上を指定して線を描画する描画手段と、
前記描画手段による線の描画中の位置が、前記描画領域範囲を示す境界上に位置するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記描画中の位置が前記描画領域範囲を示す境界上に位置すると判断されると、前記固定モードから、前記固定モード以外の所定のモードに切り替えるモード切替手段と、
前記モード切替手段により切り替えられたモードに基づいて前記画像を表示する制御を実行する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
[付記2]
前記モード切替手段により切り替えられる前記所定のモードは、前記画像をスクロールさせて表示するスクロールモードである
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
[付記3]
物体の接触又は近接の操作をタッチ操作として検出するタッチ操作検出手段を更に備え、
前記モード切替手段は、スクロールモード中に前記タッチ操作検出手段により、所定の時間前記タッチ操作の検出ができない場合には、固定モードに切り替える
ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
[付記4]
前記モード切替手段は、スクロールモード中に前記タッチ操作検出手段により検出されたタッチ操作の位置が所定の時間変化しない場合には、固定モードに切り替える
ことを特徴とする付記3に記載の情報処理装置。
[付記5]
物体の接触又は近接の操作をタッチ操作として検出するタッチ操作検出手段を更に備え、
前記モード切替手段は、スクロールモード中に同時期に前記タッチ操作検出手段により複数のタッチ操作を検出すると、固定モードに切り替える
ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
[付記6]
前記モード切替手段は、スクロールモード中に任意の領域まで前記画像をスクロールすると、固定モードに切り替える
ことを特徴とする付記1乃至5のうち何れかに記載の情報処理装置。
[付記7]
前記所定の範囲は、前記表示制御手段により表示される表示部の周辺領域である
ことを特徴とする付記1乃至6のうち何れかに記載の情報処理装置。
[付記8]
前記モード切替手段は、前記タッチ操作検出手段により連続して検出された2点操作の回数に応じて、モードを切り替える
ことを特徴とする付記3又は4に記載の情報処理装置。
[付記9]
画像の表示を制御する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
画像の位置を固定して表示する固定モード中に表示された描画領域範囲内の画像上を指定して線を描画する描画ステップと、
前記描画ステップによる線の描画中の位置が、前記描画領域範囲を示す境界上に位置するか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより前記描画中の位置が前記描画領域範囲を示す境界上に位置すると判断されると、前記固定モードから、前記固定モード以外の所定のモードに切り替えるモード切替ステップと、
前記モード切替ステップにより切り替えられたモードに基づいて前記画像を表示する制御を実行する表示制御ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
[付記10]
画像の表示を制御するコンピュータを、
画像の位置を固定して表示する固定モード中に表示された描画領域範囲内の画像上を指定して線を描画する描画手段、
前記描画手段による線の描画中の位置が、前記描画領域範囲を示す境界上に位置するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段により前記描画中の位置が前記描画領域範囲を示す境界上に位置すると判断されると、前記固定モードから、前記固定モード以外の所定のモードに切り替えるモード切替手段、
前記モード切替手段により切り替えられたモードに基づいて前記画像を表示する制御を実行する表示制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0088】
11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・タッチパネル、17・・・表示部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、41・・・表示制御部、42・・・タッチ操作検出部、43・・・描画部43・・・判断部、45・・・モード切替部、46・・・記憶制御部、51・・・画像記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9