(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記光源の上記蛍光体板側に、上記複数の発光素子のそれぞれに対応した複数のレンズをアレイ状に配置し、上記光源から発せられる上記励起光を平行光として上記蛍光体板に向けて照射させる第二レンズアレイをさらに有する請求項1乃至6の何れか記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明をDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るデータプロジェクタ装置10の概略機能構成を示す図である。
【0010】
入力部11は、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D−sub15タイプのRGB入力端子などにより構成される。入力部11に入力された各種規格のアナログ画像信号は、入力部11でデジタル化された後に、システムバスSBを介して画像変換部12に送られる。
【0011】
画像変換部12は、スケーラとも称され、入力される画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに統一して投影処理部13へ送る。
【0012】
この際、OSD(On Screen Display)用の各種動作状態を示すシンボル等のデータも必要に応じて画像変換部12により画像データに重畳加工され、加工後の画像データを投影処理部13へ送る。
【0013】
投影処理部13は、送られてきた画像データに応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子であるマイクロミラー素子14を表示するべく駆動する。
【0014】
このマイクロミラー素子14は、アレイ状に配列された複数、例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して画像を表示することで、その反射光により光像を形成する。
【0015】
一方で、光源部15から時分割でR,G,Bの原色光を含む複数色の光源光が循環的に時分割で順次出射される。この光源部15からの光源光が、ミラー16で全反射して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0016】
そして、マイクロミラー素子14での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部17を介して、投影対象となる図示しないスクリーンに投影表示される。
【0017】
上記各回路の動作すべてをCPU18が制御する。このCPU18は、メインメモリ19及びプログラムメモリ20と直接接続される。メインメモリ19は、例えばSRAMで構成され、CPU18のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ20は、電気的に書換可能な不揮発性メモリで構成され、CPU18が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。CPU18は、上記メインメモリ19及びプログラムメモリ20を用いて、このデータプロジェクタ装置10内の制御動作を実行する。
【0018】
上記CPU18は、操作部21からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。
この操作部21は、データプロジェクタ装置10の本体に設けられるキー操作部と、このデータプロジェクタ装置10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光する赤外線受光部とを含み、ユーザが本体のキー操作部またはリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU18へ直接出力する。
【0019】
上記CPU18はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部22とも接続される。音声処理部22は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部23を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0020】
[光源部の第1の構成例]
図2により上記光源部15を3種類の発光素子を用いて構成した場合の光学系の構成について説明する。
【0021】
光源部15−1は、光源光としての赤色光を発するLED(発光ダイオード)31を有する。このLED31の発する赤色光は、コリメータレンズとして機能するレンズ32,33を介し、ダイクロイックミラー34,35を透過した後、照明用レンズアレイ36、フィールドレンズ37を介して上記ミラー16に至る。
【0022】
ミラー16で反射された赤色光はさらに、フィールドレンズ38を介して上記マイクロミラー素子14に照射される。そして、このマイクロミラー素子14での反射光で形成された赤色の光像がフィールドレンズ38を介して上記投影レンズ部17により図示しないスクリーンに向けて照射される。
【0023】
さらに光源部15−1は、光源光としての青色光を発するLED39、緑色光励起用の青色光を発するLD(レーザダイオード、半導体レーザ)アレイ42を有する。
【0024】
このLED39の発する青色光は、コリメータレンズとして機能するレンズ40,41を介し、上記ダイクロイックミラー34で反射された後に上記ダイクロイックミラー35を透過し、照明用レンズアレイ36、フィールドレンズ37を介して上記ミラー16に至る。
【0025】
上記LDアレイ42は、例えば6×6(図面鉛直方向)の計36個のLDがアレイ状に配列される。このLDアレイ42が発する青色のレーザ光は、レンズアレイ43を介して各光束が拡大され、上記ダイクロイックミラー35を透過した後、上記LDアレイ42と対向するべく同一配列で構成されたレンズアレイ44を介して、蛍光板45に照射される。
【0026】
また、このレンズアレイ43によって、LDアレイ42のLDから照射されるそれぞれの光の進行方向が微修正され、これらの光がレンズアレイ44のそれぞれのレンズに互いに平行な平行光として良好に入射することになり、集光効率を高めることができる。
【0027】
また、レンズアレイ44の焦点位置近傍に蛍光体層が位置するように蛍光板45が配置されている。
【0028】
この蛍光板45は、蛍光体層を全面に形成している。すなわち、蛍光板45の蛍光体層がある全面は、LDアレイ42からの青色のレーザ光が照射される面に蛍光体が塗布されて蛍光層を形成すると共に、蛍光体層が形成されている面の裏面には反射板が蛍光体層と重なるように設けられている。LDアレイ42の青色のレーザ光が蛍光板45の蛍光体層に照射されると、蛍光体層が励起され、所望の波長の光として緑色の蛍光発光光を発する。この緑色の蛍光発光光も光源光として用いられる。
【0029】
蛍光板45から発した拡散光である緑色光は、蛍光板45の裏面側に形成された上記反射板により一様に上記レンズアレイ44側に導かれ、レンズアレイ44で集光されて略平行な光束となってダイクロイックミラー35で反射された後、上記照明用レンズアレイ36、フィールドレンズ37を介して上記ミラー16に至る。
【0030】
上述した如く、ダイクロイックミラー34は赤色光を透過する一方で、青色光を反射する。ダイクロイックミラー35は、赤色光及び青色光を透過する一方で、緑色光を反射する。
【0031】
[光源部の第1の構成例における動作]
データプロジェクタ装置10で投影するカラー画像の1フレームが、例えばR(赤色)フィールド、G(緑色)フィールド、及びB(青色)フィールドの計3フィールドで構成される場合、投影処理部13により、赤色発光用のLED39、緑色励起用の青色光を発するLDアレイ42、及び青色発光用のLED39が順次時分割で循環的に発光駆動される。
【0032】
主としてGフィールドでの動作について説明する。
Gフィールドにおいて、レンズアレイ43から出射する青色光の光線群は、レンズアレイ43で各光線の幅が拡大された後にダイクロイックミラー35を透過し、レンズアレイ44を介して再び各光線の幅が絞られた上で蛍光板45に照射される。
【0033】
図3は、レンズアレイ44と蛍光板45における励起光としての青色光の照射、及び該励起光によって励起された蛍光体層による蛍光発光光の出射を示す概略構成図である。レンズアレイ44を構成する個々のレンズは短い焦点距離を持ち、その焦点距離近傍に蛍光板45が設置されている。
【0034】
蛍光板45は、図示する如く蛍光体層の裏面側に反射体45refが形成されており、励起光である青色光の照射により発生する緑色光は、レンズアレイ44側に拡散しながら反射する。レンズアレイ44では、これら緑色光を集光し、平行な光束に整えた上でダイクロイックミラー35側へ出射する。
【0035】
図4は蛍光板45への励起光の照射により発生する光源光としての緑色の蛍光発光光を例示するものである。こうして各照射位置で発生した蛍光発光光はレンズアレイ44により個々のレンズ毎に対応する領域からの光が集光され、その出射光が平行光とされる。
図5は、上記レンズアレイ44による蛍光板45の分割対応領域を示す。
【0036】
このとき、レンズアレイ44の焦点位置近傍に蛍光体層が位置するように蛍光板45が配置されているので、蛍光体層のレンズ毎に対応する各領域から発せられる各蛍光発光光の拡散を小さくでき、対応するレンズにより良好に光が集光され、集光効率を高めることができる。
【0037】
こうして投影画面の全面に対応して平行光とされた緑色の光源光は、ダイクロイックミラー35で反射し、照明用レンズアレイ36、フィールドレンズ37を介してミラー16で反射され、フィールドレンズ38を介してマイクロミラー素子14に照射される。
【0038】
このとき上記投影処理部13はマイクロミラー素子14により緑色用の画像を表示するため、その反射光により緑色の光像が形成され、フィールドレンズ38を介して投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に向けて出射される。
【0039】
図6は、上記照明用レンズアレイ36とマイクロミラー素子14との間の光路図である。同図では示していないが、光源光の光軸と垂直な面の断面形状は上記
図4、
図5でも示した通り矩形であり、これも全体で矩形の形状を有する照明用レンズアレイ36を構成する個々のレンズを用いてそれぞれ部分的な光束を拡大、重畳した上でマイクロミラー素子14に照射する光源光を生成することにより、マイクロミラー素子14に照射される光源光としての輝度分布を均一化している。
【0040】
なお、Rフィールドにおいては、LED31の発する赤色光がレンズ32,33で略平行とされ、2つのダイクロイックミラー34,35を透過した後に上記照明用レンズアレイ36に入射される。照明用レンズアレイ36以降の動作経路についてはGフィールドの緑色光と同様となる。
【0041】
またBフィールドにおいては、LED39の発する青色光がレンズ40,41で略平行とされ、ダイクロイックミラー34で反射された後にダイクロイックミラー35を透過して上記照明用レンズアレイ36に入射される。照明用レンズアレイ36以降の動作経路等についてはGフィールドの緑色光と同様となる。
【0042】
[光源部の第2の構成例とその動作]
図7により上記光源部15を3種類の発光素子を用いて構成した場合の光学系の構成について説明する。
【0043】
同図に示す光源部15−2は、基本的には上記
図2で示した構成とほぼ同様であるため、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
しかして、蛍光体層を励起して緑色光を発生させるための青色光を発するLDアレイ42′は、円形の領域内をほぼ等分に照明するようなLDの配列、例えば6×4の矩形状のLDの配列から4箇所のコーナー位置にある各1個のLDを削除した計20個のLDがアレイ状に配列される。
【0045】
このLDアレイ42′の構成に合わせてレンズアレイ44′も同様の配列を有する。
【0046】
さらに、蛍光板45′は、
図8に示すように円形状で構成し、LDアレイ42′を発光させる投影動作時はモータ(M)46により回転させる。
【0047】
動作時のR,G,B各フィールドにおけるLED31、LDアレイ42′、及びLED39の各発光動作と発光された光の経路等は上記第1の構成例と同様である。
【0048】
Gフィールドにおいて、LDアレイ42からの励起光としての青色光がレンズアレイ44′を介して照射される蛍光板45′にあっては、レーザ光である青色光が照射されて、緑色の蛍光発光光を発する位置が上記
図8に示すようになる。
【0049】
この蛍光板45′は上述した如くモータ46により回転されるため、蛍光板45′側から見た場合にはGフィールド期間中であっても励起光が照射される位置は回転に連れて移動することになる。
【0050】
したがって、蛍光体へのレーザ光の照射密度が高められている場合であっても、上記
図2の構成でも示した如くそもそもレーザ光を照射するスポット位置を分散させていることと合わせて、蛍光板45′の特定の照射スポットが熱的負荷により劣化、損傷する可能性を著しく低減できる。
【0051】
[光源部の第3の構成例]
図9により上記光源部15を2種類の発光素子を用いて構成した場合の光学系の構成について説明する。
【0052】
光源部15−3は、光源光としての青色光を発するLED51を有する。このLED51の発する青色光は、コリメータレンズとして機能するレンズ52,53を介し、ダイクロイックミラー54を透過した後、照明用レンズアレイ55、フィールドレンズ56を介して上記ミラー16に至る。
【0053】
ミラー16で反射された青色光はさらに、フィールドレンズ57を介して上記マイクロミラー素子14に照射される。そして、このマイクロミラー素子14での反射光で形成された青色の光像がフィールドレンズ57を介して上記投影レンズ部17により図示しないスクリーンに向けて照射される。
【0054】
さらに光源部15−3は、赤色光及び緑色光励起用の青色光を発するLDアレイ58を有する。
【0055】
このLDアレイ58は、例えば6×6(図面鉛直方向)の計36個のLDがアレイ状に配列される。このLDアレイ58が発する青色のレーザ光は、レンズアレイ59を介して各光束が拡大され、上記ダイクロイックミラー54を透過した後、上記レンズアレイ59と対向するべく同一配列で構成されたレンズアレイ60を介して、蛍光板61に照射される。
【0056】
このレンズアレイ59によって、LDアレイ58のLDから照射されるそれぞれの光の進行方向が微修正され、これらの光がレンズアレイ60のそれぞれのレンズに互いに平行な平行光として良好に入射することになり、集光効率を高めることができる。
【0057】
また、レンズアレイ60の焦点位置近傍に蛍光体層が位置するように蛍光板45が配置されている。
【0058】
この蛍光板61は、2種類の蛍光体層を市松状に全面に形成している。すなわち、蛍光板61の蛍光体層がある全面は、LDアレイ58からの青色のレーザ光が照射される面に2種類の蛍光体が市松状に区分を交互に配列するように塗布されて全体で1つの蛍光層を形成すると共に、その蛍光体層が形成されている面の裏面には反射板が蛍光体層と重なるように設けられている。LDアレイ58の青色のレーザ光が蛍光板61の蛍光体層に照射されると、所望の波長の蛍光発光光としての赤色光及び緑色光を発する。これらの蛍光発光光も光源光として用いられる。
【0059】
蛍光板45から発した拡散光である赤色光及び緑色光は、蛍光板61の裏面側に形成された上記反射板により一様に上記レンズアレイ60側に導かれ、レンズアレイ60で集光されて略平行な光束となってダイクロイックミラー54で反射された後、照明用レンズアレイ55、フィールドレンズ56を介して上記ミラー16に至る。
【0060】
上述した如く、ダイクロイックミラー54は青色光を透過する一方で、赤色光、緑色光を反射する。
【0061】
なお、上記蛍光板45に市松状に分割して形成された2種類の蛍光体に1:1に対応するものとして、LDアレイ42を構成する個々のLDも対応し、それぞれ互いに隣り合うLDが同時に発光しないような市松状の発光パターンで駆動させることが可能であるものとする。
【0062】
[光源部の第3の構成例における動作]
データプロジェクタ装置10で投影するカラー画像の1フレームが、例えばB(青色)フィールド、G(緑色)フィールド、及びR(赤色)フィールドの計3フィールドで構成される場合、投影処理部13により、青色発光用のLED51、LDアレイ58中の半分の緑色励起用の青色光を発するLD、及びLDアレイ58中の残る半分の赤色励起用の青色光を発するLDが順次時分割で循環的に発光駆動される。
【0063】
Bフィールドにおいて、LED51の発する光源光としての青色光がレンズ52,53で略平行とされ、ダイクロイックミラー54を透過して上記照明用レンズアレイ55に入射される。照明用レンズアレイ55では、この照明用レンズアレイ55を構成する個々のレンズで部分的な光束を拡大、重畳した上で青色の光を出力するもので、出射された青色の光はミラー16で反射され、フィールドレンズ57を介してマイクロミラー素子14に照射される。
【0064】
このとき上記投影処理部13はマイクロミラー素子14により青色用の画像を表示するため、その反射光により青色の光像が形成され、フィールドレンズ57を介して投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に向けて出射される。
【0065】
Gフィールドにおいて、LDアレイ58を構成する半分のLDから出射する青色光の光線群は、レンズアレイ59で各光線の幅が拡大された後にダイクロイックミラー54を透過し、レンズアレイ60を介して再び各光線の幅が絞られた上で蛍光板61に照射される。
【0066】
図10(A)は、蛍光板61への励起光の照射により発生する緑色の蛍光発光光を例示するものである。こうして市松状に分散して配置された各照射位置で発生した緑色の蛍光発光光はレンズアレイ60により個々のレンズ毎に対応する領域からの光が集光され、その出射光が平行光とされる。
【0067】
このとき、レンズアレイ60の焦点位置近傍に蛍光体層が位置するように蛍光板61が配置されているので、蛍光体層のレンズ毎に対応する各領域から発せられる各緑色の蛍光発光光の拡散を小さくでき、対応する各レンズにより良好に光が集光され、集光効率を高めることができる。
【0068】
こうして平行光とされた緑色の蛍光発光光は、照明用レンズアレイ55において照明用レンズアレイ55を構成する個々のレンズで部分的な光束を拡大、重畳して出射するもので、出射された緑色の蛍光発光光はミラー16で反射され、フィールドレンズ57を介してマイクロミラー素子14に照射される。
【0069】
このとき上記投影処理部13はマイクロミラー素子14により緑色用の画像を表示するため、その反射光により緑色の光像が形成され、フィールドレンズ57を介して投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に向けて出射される。
【0070】
Rフィールドにおいて、LDアレイ58を構成する残る半分のLDから出射する青色光の光線群は、レンズアレイ59で各光線の幅が拡大された後にダイクロイックミラー54を透過し、レンズアレイ60を介して再び各光線の幅が絞られた上で蛍光板61に照射される。
【0071】
図10(B)は、蛍光板61への励起光の照射により発生する赤色の蛍光発光光を例示するものである。こうして、上記
図10(A)で示した位置を補間するように市松状に分散して配置された各照射位置で発生した赤色の蛍光発光光はレンズアレイ60により個々のレンズ毎に対応する領域からの光が集光され、その出射光が平行光とされる。
【0072】
このとき、レンズアレイ60の焦点位置近傍に蛍光体層が位置するように蛍光板61が配置されているので、蛍光体層のレンズ毎に対応する各領域から発せられる各赤色の蛍光発光光の拡散を小さくでき、対応する各レンズにより良好に光が集光され、集光効率を高めることが出来る。
【0073】
こうして平行光とされた赤色の蛍光発光光は、照明用レンズアレイ55において照明用レンズアレイ55を構成する個々のレンズで部分的な光束を拡大、重畳して出射するもので、出射された赤色の蛍光発光光はミラー16で反射され、フィールドレンズ57を介してマイクロミラー素子14に照射される。
【0074】
このとき上記投影処理部13はマイクロミラー素子14により赤色用の画像を表示するため、その反射光により赤色の光像が形成され、フィールドレンズ57を介して投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に向けて出射される。
【0075】
なお上記動作例ではカラー画像の1フレームが、B(青色)フィールド、G(緑色)フィールド、及びR(赤色)フィールドの計3フィールドで構成される場合について説明したが、これら原色のフィールドに加えて、投影画像の輝度を上げると共により、きめ細かな色調を上げるべく補色系のフィールドを設けることも考えられる。
【0076】
例えばLDアレイ58を構成する個々のLDをすべて発光するフィールドを考えた場合、上記Gフィールド及びRフィールドで説明した動作が同時に実行されることになり、蛍光板61で発生する緑色光及び赤色光が共にダイクロイックミラー54で反射されて照明用レンズアレイ55に至り、この照明用レンズアレイ55で混色によりY(イエロー(黄))色光が得られる。
【0077】
このとき同時に青色光をLED51により発していない場合はYフィールドとして、青色光を発している場合にはさらに混色によりW(ホワイト)フィールドとして、黄色または白色の光源光に対応した画像をマイクロミラー素子14で表示することにより、その反射光により黄色または白色の光像が形成されて投影レンズ部17により出射される。
【0078】
図10(C)は、上記YフィールドまたはWフィールドで蛍光板61への励起光の照射により発生する緑色及び赤色の光源光としての蛍光発光光を例示するものである。このように互いの位置を補間するように市松状に分散して配置された2種類の蛍光体の照射位置で発生した緑色及び赤色の各光が共にレンズアレイ60により平行光とされて出射される。
【0079】
[光源部の第4の構成例]
図11により上記光源部15を2種類の発光素子を用いて構成した場合の光学系の構成について説明する。
【0080】
同図に示す光源部15−4は、基本的には上記
図9で示した構成とほぼ同様であるため、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
しかして、蛍光体層を励起して赤色光及び緑色光を発生させるための青色光を発するLDアレイ58′は、円形を同心的に区分するような2つの領域それぞれに複数のLDをアレイ状に配列したものとして構成される。具体的には、例えば2重同心円の内側の円形領域内に緑色光を発するための励起用青色光を発するLDアレイを、外側のリング状領域内に赤色光を発するための励起用青色光を発するLDアレイを、それぞれ配置する。
【0082】
このLDアレイ58′の構成に合わせてレンズアレイ59′も同様の配列を有する。
【0083】
さらに、蛍光板61′も上記LDアレイ58′、レンズアレイ59′、レンズアレイ60′の構成に合わせて
図12に示すように円形状で構成する。この場合に蛍光板61′は、円形を同心的に区分するような2つの領域それぞれに異なる蛍光体層を形成する。
【0084】
具体的には、例えば2重同心円の内側の円形領域内に青色光が照射されることで緑色光を発する蛍光体層を、外側のリング状領域内に青色光が照射されることで赤色光を発する蛍光体層を、それぞれ形成する。この蛍光板61′は、LDアレイ58′を発光させる投影動作時はモータ(M)62により回転させる。
【0085】
[光源部の第4の構成例における動作]
データプロジェクタ装置10で投影するカラー画像の1フレームが、例えばB(青色)フィールド、G(緑色)フィールド、及びR(赤色)フィールドの計3フィールドで構成される場合、投影処理部13により、青色発光用のLED51、緑色励起用の青色光を発するLDアレイ58中の一部のLD、及び赤色励起用の青色光を発するLDアレイ58中の残る部分のLDが順次時分割で循環的に発光駆動される。
【0086】
Bフィールドにおいて、LED51の発する青色光がレンズ52,53で略平行とされ、ダイクロイックミラー54を透過して上記照明用レンズアレイ55に入射される。照明用レンズアレイ55では、この照明用レンズアレイ55を構成する個々のレンズで部分的な光束を拡大、重畳した上で光源光としての青色の光を出力するもので、出射された青色光はミラー16で反射され、フィールドレンズ57を介してマイクロミラー素子14に照射される。
【0087】
このとき上記投影処理部13はマイクロミラー素子14により青色用の画像を表示するため、その反射光により青色の光像が形成され、フィールドレンズ57を介して投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に向けて出射される。
【0088】
Gフィールドにおいて、LDアレイ58を構成する一部分、具体的には2重同心円の内側の円形領域内に配置されたLDから出射する青色光の光線群は、レンズアレイ59′で各光線の幅が拡大された後にダイクロイックミラー54を透過し、レンズアレイ60′を介して再び各光線の幅が絞られた上で蛍光板61′に照射される。
【0089】
図12(A)は、蛍光板61′への励起光の照射により発生する緑色の蛍光発光光を例示するものである。こうして2重同心円の内側の円形領域内に形成された蛍光体層の各照射位置で発生した緑色の蛍光発光光はレンズアレイ60′により個々のレンズ毎に対応する領域からの光が集光され、その出射光が平行光とされる。
【0090】
こうして平行光とされた緑色の蛍光発光光は、照明用レンズアレイ55において照明用レンズアレイ55を構成する個々のレンズで部分的な光束を拡大、重畳して出射するもので、出射された緑色の蛍光発光光はミラー16で反射され、フィールドレンズ57を介してマイクロミラー素子14に照射される。
【0091】
このとき上記投影処理部13はマイクロミラー素子14により緑色用の画像を表示するため、その反射光により緑色の光像が形成され、フィールドレンズ57を介して投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に向けて出射される。
【0092】
Rフィールドにおいて、LDアレイ58を構成する他の部分、具体的には2重同心円の外側のリング状領域内に配置されたLDから出射する青色光の光線群は、レンズアレイ59′で各光線の幅が拡大された後にダイクロイックミラー54を透過し、レンズアレイ60′を介して再び各光線の幅が絞られた上で蛍光板61′に照射される。
【0093】
図12(B)は、蛍光板61′への励起光の照射により発生する赤色の蛍光発光光を例示するものである。こうして、2重同心円の外側のリング状領域内に形成された蛍光体層の各照射位置で発生した赤色の蛍光発光光はレンズアレイ60により個々のレンズ毎に対応する領域からの光が集光され、その出射光が平行光とされる。
【0094】
こうして平行光とされた赤色の蛍光発光光は、照明用レンズアレイ55において照明用レンズアレイ55を構成する個々のレンズで部分的な光束を拡大、重畳して出射するもので、出射された赤色の蛍光発光光はミラー16で反射され、フィールドレンズ57を介してマイクロミラー素子14に照射される。
【0095】
このとき上記投影処理部13はマイクロミラー素子14により赤色用の画像を表示するため、その反射光により赤色の光像が形成され、フィールドレンズ57を介して投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に向けて出射される。
【0096】
なお上記動作例ではカラー画像の1フレームが、B(青色)フィールド、G(緑色)フィールド、及びR(赤色)フィールドの計3フィールドで構成される場合について説明したが、これら原色のフィールドに加えて、投影画像の輝度を上げると共により、きめ細かな色調を上げるべく補色系のフィールドを設けることも考えられる。
【0097】
例えばLDアレイ58′を構成する個々のLDをすべて発光するフィールドを考えた場合、上記Gフィールド及びRフィールドで説明した動作が同時に実行されることになり、蛍光板61′で発生する光源光としての緑色光及び赤色光が共にダイクロイックミラー54で反射されて照明用レンズアレイ55に至り、この照明用レンズアレイ55で混色によりY(イエロー(黄))色光が得られる。
【0098】
このとき同時に光源光としての青色光をLED51により発していない場合はYフィールドとして、青色光を発している場合にはさらに混色によりW(ホワイト)フィールドとして、黄色または白色の光に対応した画像をマイクロミラー素子14で表示することにより、その反射光により黄色または白色の光像が形成されて投影レンズ部17により出射される。
【0099】
図12(C)は、上記YフィールドまたはWフィールドで蛍光板61′への励起光の照射により発生する緑色及び赤色の蛍光発光光を例示するものである。このように同心円の径位置の異なる種類の蛍光体の照射位置で発生した緑色及び赤色の各蛍光発光光が共にレンズアレイ60により平行光とされて出射される。
【0100】
この蛍光板61′は上述した如くモータ62により回転されるため、蛍光板61′側から見た場合にはGフィールド、及びRフィールド(またはさらに上記Yフィールド及びWフィールド)のいずれの期間中であっても励起光が照射される位置は回転に連れて移動することになる。
【0101】
したがって、蛍光体へのレーザ光の照射密度が高められている場合であっても、上記
図9の構成でも示した如くそもそもレーザ光を照射するスポット位置を分散させていることと合わせて、蛍光板61′の特定の照射スポットが熱的負荷により劣化、損傷する可能性を著しく低減できる。
【0102】
以上第1乃至第4の光源部の構成とその動作とにより詳述した如く本実施形態によれば、でき得る限り光源系の機械的な構造を簡略化しながら、励起光を照射して所望の波長帯の光を発生させるための蛍光体が劣化、破損するのを確実に抑制することが可能となる。
【0103】
加えて上記実施形態では、光源部の第2及び第4の構成例でも説明した如く、蛍光板45′,61′を回転する機構をさらに設けたことで、該蛍光板の特定の照射スポット位置が熱的負荷により劣化、損傷する可能性を著しく低減できる。
【0104】
さらに上記実施形態では、光源部の第3及び第4の構成例でも説明した如く、発する光の波長が異なる複数種類の蛍光体を分割して配置した蛍光体層を形成し、それら分割した領域に合わせてLDアレイ58,58′を構成するLDの発光タイミングを切換えるようにしたので、装置の構成をよりコンパクトなものとしながら多色を発光する光源部を実現できる。
【0105】
また、第1乃至第4の光源部の構成例で説明したように、LDアレイ43、43´、59,59´の蛍光体板側にレンズアレイ43、43´、59、59´を設けたので、LDアレイ42のLDから照射されるそれぞれの光の進行方向が微修正され、これらの光がレンズアレイ44のそれぞれのレンズに互いに平行な平行光として良好に入射することになり、集光効率を高めることができる。
【0106】
また、光源部の第1乃至第4の構成例で説明したように、レンズアレイ44、44´、60、60´の略焦点位置に、蛍光体層が位置するように蛍光体板が配置されているので、蛍光体層のレンズ毎に対応する各領域から発せられる各蛍光発光光の拡散を小さくでき、対応する各レンズにより良好に光が集光され、集光効率を高めることができる。
【0107】
また、光源部の第1乃至第4の構成例の説明で述べたようにLD、LED、蛍光板またはダイクロイックミラーを配置すれば光源部の小型化にも寄与することができる。
【0108】
なお上記実施形態は、DLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合について説明したが、本発明は光像を形成するための表示素子等を限定するものではなく、例えば透過型のモノクロ液晶パネルを用いたフィールドシーケンシャル方式の投影装置等にも適用可能となる。
【0109】
また、上述した光源部の第3及び第4の構成例で示した、青色光を発するLDアレイ58中の、緑色励起用のLDの個数及び赤色励起用のLDの個数以外にも青色光を発するLDアレイ58中の緑色励起用のLDの個数及び赤色励起用のLDの個数はユーザの自由に設定することが可能である。
【0110】
例えば、緑色光の輝度を強くしたければ、緑色励起用の蛍光体層の面積を広くし、そこに光を照射する緑色励起用のLDの個数を増やせば良いし、赤色光の輝度を強くしたければ、赤色励起用の蛍光体層の面積を広くし、そこに光を照射する赤色励起用のLDの個数を増やせば良い。上記のようにすることでユーザが所望する光の輝度を自由に調整することが可能となる。
【0111】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0112】
以下に、本願出願の当所の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、複数の発光素子をアレイ状に配置し、それぞれ励起光を出射する光源と、上記光源からの励起光の照射により所望の波長の蛍光発光光を発する蛍光体層を形成した蛍光体板と、上記蛍光体板の上記光源側に設けられ、上記複数の発光素子のそれぞれに対応した複数のレンズをアレイ状に配置して、上記蛍光体板が発する蛍光発光光を集光し、且つ上記蛍光発光光を互いに平行な方向に進む平行光として照射させる第一レンズアレイと、上記第一レンズアレイを介して取り出した上記蛍光発光光を用いて光像を形成し、投影対象に向けて投射する投影手段とを具備したことを特徴とする。
【0113】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記蛍光体板は、発する蛍光発光光の波長が異なる複数種類の蛍光体を分割して配置した蛍光体層を形成し、上記光源の複数の発光素子は、上記蛍光体板に分割して配置された複数種類の蛍光体に対応して発光タイミングを切換えることを特徴とする。
【0114】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記第一レンズアレイの略焦点位置に、上記蛍光体層が位置するように上記蛍光体板が配置されていることを特徴とする。
【0115】
請求項4記載の発明は、上記請求項1乃至3いずれか記載の発明において、上記光源の上記蛍光体板側に、上記複数の発光素子のそれぞれに対応した複数のレンズをアレイ状に配置し、上記光源から発せられる上記励起光を平行光として上記蛍光板に向けて照射させる第二レンズアレイをさらに有する。
【0116】
請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至4いずれか記載の発明において、上記蛍光体板を回転する回転機構をさらに具備したことを特徴とする。