(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の扁平管(32)と、各扁平管(32)の一端が接続された第1ヘッダ集合管(60)と、各扁平管(32)の他端が接続された第2ヘッダ集合管(70)と、上記扁平管(32)に接合された複数のフィン(36)とを備え、
上記扁平管(32)を流れる冷媒を空気と熱交換させることによって蒸発器として機能し得る熱交換器であって、
上記第1ヘッダ集合管(60)及び上記第2ヘッダ集合管(70)は、起立した状態であり、
上記第1ヘッダ集合管(60)には、該第1ヘッダ集合管(60)へ気液二相状態の冷媒を導入するための配管が接続される一つの接続口(66)が形成される一方、
上記第1ヘッダ集合管(60)は、
該第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を横断し、一つ又は複数の上記扁平管(32)がそれぞれに連通する複数の連通室(62a〜62c)を形成する主横仕切板(80a,80b)と、
該第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を縦断し、上記接続口(66)と全ての上記連通室(62a〜62c)とに連通する混合室(63)を形成する縦仕切板(90)と、
上下に隣り合う主横仕切板(80a,80b)の間に配置されて該第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を横断し、上記縦仕切板(90)と共に上記混合室(63)を形成する副横仕切板(85a)とを備え、
上記混合室(63)の高さは、上記縦仕切板(90)を挟んで該混合室(63)と隣り合う上記連通室(62b)の高さよりも低い
ことを特徴とする熱交換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、気液二相状態の冷媒を複数の扁平管に分配する場合は、各扁平管へ流入する冷媒の湿り度をなるべく均一にするのが望ましい。各扁平管へ流入する冷媒の湿り度を均一化するには、ヘッダ集合管へ流入した気液二相状態の冷媒を、できるだけ均質化してから扁平管へ供給するのが望ましい。そうするための手法としては、ヘッダ集合管内に形成した部屋に気液二相状態の冷媒を流入させて撹拌し、その後に各扁平管へ冷媒を分配することが考えられる。しかし、気液二相状態の冷媒が各扁平管へ分配される前に流入する部屋をヘッダ集合管に形成するための構造については、これまで充分に検討されていなかった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、一対のヘッダ集合管と扁平管を備えた熱交換器において、気液二相状態の冷媒が各扁平管へ分配される前に流入する部屋をヘッダ集合管に形成し、各扁平管へ流入する冷媒の湿り度を平均化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、複数の扁平管(32)と、各扁平管(32)の一端が接続された第1ヘッダ集合管(60)と、各扁平管(32)の他端が接続された第2ヘッダ集合管(70)と、上記扁平管(32)に接合された複数のフィン(36)とを備え、上記扁平管(32)を流れる冷媒を空気と熱交換させることによって蒸発器として機能し得る熱交換器を対象とする。そして、上記第1ヘッダ集合管(60)及び上記第2ヘッダ集合管(70)は、起立した状態であり、上記第1ヘッダ集合管(60)には、該第1ヘッダ集合管(60)へ気液二相状態の冷媒を導入するための配管が接続される一つの接続口(66)が形成される一方、上記第1ヘッダ集合管(60)は、該第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を横断し、一つ又は複数の上記扁平管(32)がそれぞれに連通する複数の連通室(62a〜62c)を形成する主横仕切板(80a,80b)と、該第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を縦断し、上記接続口(66)と全ての上記連通室(62a〜62c)とに連通する混合室(63)を形成する縦仕切板(90)と、上下に隣り合う主横仕切板(80a,80b)の間に配置されて該第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を横断し、上記縦仕切板(90)と共に上記混合室(63)を形成する副横仕切板(85a)とを備えるものである。
【0008】
第1の発明の第1ヘッダ集合管(60)には、一つの混合室(63)と、複数の連通室(62a〜62c)とが形成される。この発明の熱交換器(23)が蒸発器として機能する状態では、気液二相状態の冷媒が第1ヘッダ集合管(60)へ供給される。具体的に、気液二相状態の冷媒は、接続口(66)を通って一つの混合室(63)へ流入し、その後に複数の連通室(62a〜62c)へ分配される。各連通室(62a〜62c)へ流入した気液二相状態の冷媒は、その連通室(62a〜62c)に連通する扁平管(32)へ流入し、その後に第2ヘッダ集合管(70)へ流入する。気液二相状態の冷媒に含まれる液冷媒は、扁平管(32)を通過する間に空気から吸熱し、その一部または全部が蒸発する。
【0009】
第1の発明の第1ヘッダ集合管(60)には、主横仕切板(80a,80b)と、縦仕切板(90)と、副横仕切板(85a)とが設けられる。第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を横断するように配置された主横仕切板(80a,80b)は、複数の連通室(62a〜62c)を形成する。一方、第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を縦断するように配置された縦仕切板(90)と、第1ヘッダ集合管(60)の内部空間を横断するように配置された副横仕切板(85a)とは、混合室(63)を形成する。
【0010】
第1の発明において、副横仕切板(85a)は、上下に隣り合う主横仕切板(80a,80b)の間に配置される。ここで、混合室(63)を縦仕切板(90)と主横仕切板(80a,80b)によって形成する場合、混合室(63)の高さは、主横仕切板(80a,80b)の間隔と同じになる。一方、第1の発明では、縦仕切板(90)と副横仕切板(85a)とが混合室(63)を形成する。このため、混合室(63)の高さは、主横仕切板(80a,80b)の間隔とは無関係に設定可能となる。
【0011】
また、第1の発明は、
上記の構成に加えて、上記混合室(63)の高さは、上記縦仕切板(90)を挟んで該混合室(63)と隣り合う上記連通室(62b)の高さよりも低いものである。
【0012】
第1の発明の混合室(63)は、縦仕切板(90)を挟んで混合室(63)と隣り合う連通室(62b)に比べて、高さが低い。つまり、この発明では、混合室(63)の高さが、連通室(62b)を形成する主横仕切板(80a,80b)の間隔よりも低くなる。
【0013】
第2の発明は、上記
第1の発明において、上記縦仕切板(90)は、上記第1ヘッダ集合管(60)の中心軸(64)を基準に上記扁平管(32)とは逆側に配置されるものである。
【0014】
第2の発明では、混合室(63)を形成する縦仕切板(90)が、第1ヘッダ集合管(60)の中心軸(64)に対して扁平管(32)とは逆側に配置される。このため、第1ヘッダ集合管(60)の中心軸(64)と直交する方向における混合室(63)の幅は、第1ヘッダ集合管(60)の内径の半分よりも短くなる。
【0015】
第3の発明は、上記第1
又は第2の発明において、上記混合室(63)は、上記縦仕切板(90)と、該混合室(63)の上側と下側の一方に配置された一つの上記主横仕切板(80a)と、該混合室(63)の上側と下側の他方に配置された一つの上記副横仕切板(85a)とによって上記連通室(62a〜62c)から仕切られるものである。
【0016】
第3の発明では、縦仕切板(90)と、一つの主横仕切板(80a)と、一つの副横仕切板(85a)とによって、混合室(63)が連通室(62a〜62c)から仕切られる。混合室(63)を連通室(62a〜62c)から仕切る主横仕切板(80a)と副横仕切板(85a)は、その一方が混合室(63)の上方に配置され、その他方が混合室(63)の下方に配置される。
【0017】
第4の発明は、上記
第3の発明において、上記混合室(63)を上記連通室(62a〜62c)から仕切る上記縦仕切板(90)と上記主横仕切板(80a)と上記副横仕切板(85a)のそれぞれには、上記混合室(63)の冷媒を上記各連通室(62a〜62c)へ所定の割合で分配するための連通用貫通孔(81a,86a,95)が形成されるものである。
【0018】
第4の発明では、混合室(63)を連通室(62a〜62c)から仕切る縦仕切板(90)と主横仕切板(80a)と副横仕切板(85a)のそれぞれに、連通用貫通孔(81a,86a,95)が形成される。これら連通用貫通孔(81a,86a,95)の大きさを調節すれば、混合室(63)から各連通室(62a〜62c)へ流入する冷媒の流量の比が所定の値となる。
【0019】
第5の発明は、上記第1
又は第2の発明において、上記混合室(63)は、上記縦仕切板(90)と、該混合室(63)の上下に配置された一対の上記副横仕切板(85a,85b)とによって上記連通室(62a〜62d)から仕切られるものである。
【0020】
第5の発明では、縦仕切板(90)と、一対の副横仕切板(85a,85b)とによって、混合室(63)が連通室(62a〜62d)から仕切られる。混合室(63)を連通室(62a〜62d)から仕切る副横仕切板(85a,85b)は、混合室(63)の上方と下方に一つずつ配置される。
【0021】
第6の発明は、上記
第5の発明において、上記混合室(63)を上記連通室(62a〜62d)から仕切る一対の上記副横仕切板(85a,85b)と上記縦仕切板(90)のそれぞれには、上記混合室(63)の冷媒を上記各連通室(62a〜62d)へ所定の割合で分配するための連通用貫通孔(86a,86b,95a,95b)が形成されるものである。
【0022】
第6の発明では、混合室(63)を連通室(62a〜62d)から仕切る一対の副横仕切板(85a,85b)と縦仕切板(90)のそれぞれに、連通用貫通孔(86a,86b,95a,95b)が形成される。これら連通用貫通孔(86a,86b,95a,95b)の大きさを調節すれば、混合室(63)から各連通室(62a〜62d)へ流入する冷媒の流量の比が所定の値となる。
【0023】
第7の発明は、上記第1
又は第2の発明において、上記混合室(63)は、上記縦仕切板(90)を挟んで一つ又は二つの上記連通室(62b,62c)と隣り合うものである。
【0024】
第7の発明では、縦仕切板(90)を挟んで混合室(63)が一つ又は二つの連通室(62b,62c)と隣り合う。
【0025】
第8の発明は、上記第1
又は第2の発明において、上記縦仕切板(90)には、該縦仕切板(90)を挟んで上記混合室(63)と隣り合う連通室(62b)を、該混合室(63)と連通させるための連通用貫通孔(95)が形成されるものである。
【0026】
第8の発明では、縦仕切板(90)に連通用貫通孔(95)が形成される。縦仕切板(90)を挟んで混合室(63)と隣り合う連通室(62b)へは、混合室(63)の冷媒が連通用貫通孔(95)を通って流入する。
【0027】
第9の発明は、上記
第8の発明において、上記接続口(66)は、上記第1ヘッダ集合管(60)の側壁に形成されて上記縦仕切板(90)と向かい合い、上記縦仕切板(90)の連通用貫通孔(95)は、上記接続口(66)の正面から外れた位置に設けられるものである。
【0028】
第9の発明の第1ヘッダ集合管(60)では、接続口(66)が縦仕切板(90)と向かい合っている。このため、接続口(66)を通って混合室(63)へ流入した気液二相状態の冷媒は、接続口(66)と向かい合った縦仕切板(90)に衝突する。また、この発明の縦仕切板(90)において、連通用貫通孔(95)は、接続口(66)の正面から外れた位置に設けられる。このため、接続口(66)から混合室(63)へ流入した冷媒が縦仕切板(90)の連通用貫通孔(95)へ集中的に流入することはない。
【0029】
第10の発明は、上記第1〜
第9のいずれか一つの発明において、それぞれが複数の上記扁平管(31,32)を有する主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)に区分され、上記補助熱交換領域(52)が上記主熱交換領域(51)の下方に位置する一方、上記補助熱交換領域(52)は、それぞれが複数の扁平管(32)を有して上記各連通室(62a〜62c)に一つずつ対応する複数の補助熱交換部(52a〜52c)に区分され、上記各補助熱交換部(52a〜52c)の扁平管(32)は、該補助熱交換部(52a〜52c)に対応する連通室(62a〜62c)に連通し、上記主熱交換領域(51)は、それぞれが複数の扁平管(31)を有して上記各補助熱交換部(52a〜52c)に一つずつ対応する複数の主熱交換部(51a〜51c)に区分され、上記各主熱交換部(51a〜51c)の扁平管(31)は、該主熱交換部(51a〜51c)に対応する補助熱交換部(52a〜52c)の扁平管(32)と上記第2ヘッダ集合管(70)を介して連通するものである。
【0030】
第10の発明では、熱交換器(23)が主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)に区分される。また、主熱交換領域(51)は複数の主熱交換部(51a〜51c)に区分され、補助熱交換領域(52)は複数の補助熱交換部(52a〜52c)に区分される。主熱交換部(51a〜51c)と補助熱交換部(52a〜52c)は、一対一に対応している。熱交換器(23)が蒸発器として機能する状態では、気液二相状態の冷媒が第1ヘッダ集合管(60)の混合室(63)へ流入する。混合室(63)の冷媒は、複数の連通室(62a〜62c)へ分配され、各連通室(62a〜62c)に対応する補助熱交換部(52a〜52c)の扁平管(32)へ流入する。各補助熱交換部(52a〜52c)の扁平管(32)を通過した冷媒は、第2ヘッダ集合管(70)を通り、対応する主熱交換部(51a〜51c)の扁平管(31)へ流入する。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、第1ヘッダ集合管(60)に設けられた主横仕切板(80a,80b)と縦仕切板(90)と副横仕切板(85a)とによって、第1ヘッダ集合管(60)内に一つの混合室(63)と複数の連通室(62a〜62c)とが形成される。そして、熱交換器(23)が蒸発器として機能する状態において、第1ヘッダ集合管(60)へ供給された気液二相状態の冷媒を混合室(63)へ導入して撹拌すれば、複数の連通室(62a〜62c)へ分配される冷媒の湿り度を平均化できる。従って、本発明によれば、各扁平管(32)へ流入する冷媒の湿り度を平均化することが可能となる。
【0032】
ここで、混合室(63)へ流入した気液二相状態の冷媒には、重力が作用する。このため、混合室(63)の高さがある程度以上になると、混合室(63)の上端付近と下端付近における冷媒の湿り度の差が無視できない程度に拡大するおそれがある。
【0033】
これに対し、本発明では、縦仕切板(90)と共に混合室(63)を形成する副横仕切板(85a)が、上下に隣り合う主横仕切板(80a,80b)の間に配置される。このため、混合室(63)の高さを、主横仕切板(80a,80b)の間隔とは無関係に設定可能となる。従って、本発明によれば、副横仕切板(85a)を適切な位置に配置することによって、混合室(63)の高さを低く抑えることが可能となる。その結果、混合室(63)内の気液二相状態の冷媒を均質化することが可能となり、各扁平管へ流入する冷媒の湿り度を平均化することが可能となる。
【0034】
また、本発明では、混合室(63)の高さが、縦仕切板(90)を挟んで混合室(63)と隣り合う連通室(62b)の高さよりも低くなる。このため、混合室(63)の高さが低く抑えられ、混合室(63)に存在する気液二相状態の冷媒の均質化を図ることができる。
【0035】
上記
第2の発明では、混合室(63)を形成する縦仕切板(90)が、第1ヘッダ集合管(60)の中心軸(64)に対して扁平管(32)とは逆側に配置される。このため、混合室(63)の幅を第1ヘッダ集合管(60)の内径の半分よりも短くすることができ、混合室(63)の容積を抑えることによって、混合室(63)に存在する気液二相状態の冷媒の均質化を図ることができる。
【0036】
上記
第9の発明では、接続口(66)を通って混合室(63)へ流入した気液二相状態の冷媒が縦仕切板(90)に衝突する。このため、接続口(66)から混合室(63)へ流入した冷媒は、縦仕切板(90)に衝突することによって激しく掻き乱される。従って、この発明によれば、混合室(63)内の冷媒に含まれるガス冷媒と液冷媒の混合を促進させ、混合室(63)内の気液二相状態の冷媒の均質化を促進することができる。
【0037】
また、
第9の発明の縦仕切板(90)では、連通用貫通孔(95)が接続口(66)の正面から外れた位置に設けられる。このため、接続口(66)から混合室(63)へ流入した冷媒が縦仕切板(90)の連通用貫通孔(95)へ集中的に流入ことを回避できる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0040】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の熱交換器は、空気調和機(10)に設けられた室外熱交換器(23)である。以下では、先ず空気調和機(10)について説明し、その後に室外熱交換器(23)について詳細に説明する。
【0041】
−空気調和機−
空気調和機(10)について、
図1を参照しながら説明する。
【0042】
〈空気調和機の構成〉
空気調和機(10)は、室外ユニット(11)および室内ユニット(12)を備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)によって、冷媒回路(20)が形成されている。
【0043】
冷媒回路(20)には、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが設けられている。圧縮機(21)、四方切換弁(22)、室外熱交換器(23)、および膨張弁(24)は、室外ユニット(11)に収容されている。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(23)へ室外空気を供給するための室外ファン(15)が設けられている。一方、室内熱交換器(25)は、室内ユニット(12)に収容されている。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(25)へ室内空気を供給するための室内ファン(16)が設けられている。
【0044】
冷媒回路(20)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(20)において、圧縮機(21)は、その吐出管が四方切換弁(22)の第1のポートに、その吸入管が四方切換弁(22)の第2のポートに、それぞれ接続されている。また、冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが配置されている。
【0045】
圧縮機(21)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機である。四方切換弁(22)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(
図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(
図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(24)は、いわゆる電子膨張弁である。
【0046】
室外熱交換器(23)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(23)については後述する。一方、室内熱交換器(25)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(25)は、円管である伝熱管を備えたいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。
【0047】
〈空気調和機の運転動作〉
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。冷房運転と暖房運転のそれぞれにおいて、空気調和機(10)の冷媒回路(20)は、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う。
【0048】
冷房運転中の冷媒回路(20)は、四方切換弁(22)が第1状態に設定される。このとき、冷媒回路(20)では、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、室内熱交換器(25)の順に冷媒が循環し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)では、圧縮機(21)から流入したガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮し、凝縮後の冷媒が膨張弁(24)へ向けて流出してゆく。
【0049】
暖房運転中の冷媒回路(20)は、四方切換弁(22)が第2状態に設定される。このとき、冷媒回路(20)では、室内熱交換器(25)、膨張弁(24)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(21)へ向けて流出してゆく。
【0050】
−室外熱交換器−
室外熱交換器(23)について、
図2〜7を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明に示す扁平管(31,32)の本数と、主熱交換部(51a〜51c)及び補助熱交換部(52a〜52c)の数は、何れも単なる一例である。
【0051】
〈室外熱交換器の構成〉
図2及び
図3に示すように、室外熱交換器(23)は、一つの第1ヘッダ集合管(60)と、一つの第2ヘッダ集合管(70)と、多数の扁平管(31,32)と、多数のフィン(36)とを備えている。第1ヘッダ集合管(60)、第2ヘッダ集合管(70)、扁平管(31,32)およびフィン(35)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。
【0052】
詳しくは後述するが、室外熱交換器(23)は、主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)に区分されている。この室外熱交換器(23)では、一部の扁平管(32)が補助熱交換領域(52)を構成し、残りの扁平管(31)が主熱交換領域(51)を構成している。
【0053】
第1ヘッダ集合管(60)と第2ヘッダ集合管(70)は、何れも両端が閉塞された細長い円筒状に形成されている。
図2及び
図3において、第1ヘッダ集合管(60)は室外熱交換器(23)の左端に、第2ヘッダ集合管(70)は室外熱交換器(23)の右端に、それぞれ起立した状態で設置されている。つまり、第1ヘッダ集合管(60)及び第2ヘッダ集合管(70)は、それぞれの軸方向が上下方向となる状態で設置されている。
【0054】
図4に示すように、扁平管(31,32)は、その断面形状が扁平な長円形となった伝熱管である。
図3に示すように、室外熱交換器(23)において、複数の扁平管(31,32)は、その伸長方向が左右方向となり、それぞれの平坦な側面が対向する状態で配置されている。また、複数の扁平管(31,32)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配置され、互いに実質的に平行となっている。各扁平管(31,32)は、その一端が第1ヘッダ集合管(60)に挿入され、その他端が第2ヘッダ集合管(70)に挿入されている。
【0055】
図4に示すように、各扁平管(31,32)には、複数の流体通路(34)が形成されている。各流体通路(34)は、扁平管(31,32)の伸長方向に延びる通路である。各扁平管(31,32)において、複数の流体通路(34)は、扁平管(31,32)の幅方向(即ち、長手方向と直交する方向)に一列に並んでいる。各扁平管(31,32)に形成された複数の流体通路(34)は、それぞれの一端が第1ヘッダ集合管(60)の内部空間に連通し、それぞれの他端が第2ヘッダ集合管(70)の内部空間に連通している。室外熱交換器(23)へ供給された冷媒は、扁平管(31,32)の流体通路(34)を流れる間に空気と熱交換する。
【0056】
図4に示すように、フィン(36)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。フィン(36)には、フィン(36)の前縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(36)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(45)が、多数形成されている。フィン(36)では、多数の切り欠き部(45)が、フィン(36)の長手方向(上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(45)の風下寄りの部分は、管挿入部(46)を構成している。管挿入部(46)は、上下方向の幅が扁平管(31,32)の厚さと実質的に等しく、長さが扁平管(31,32)の幅と実質的に等しい。扁平管(31,32)は、フィン(36)の管挿入部(46)に挿入され、管挿入部(46)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(36)には、伝熱を促進するためのルーバー(40)が形成されている。そして、複数のフィン(36)は、扁平管(31,32)の伸長方向に配列されることで、隣り合う扁平管(31,32)の間を空気が流れる複数の通風路(38)に区画している。
【0057】
図2及び
図3に示すように、室外熱交換器(23)は、上下に二つの熱交換領域(51,52)に区分されている。室外熱交換器(23)では、上側の熱交換領域が主熱交換領域(51)となり、下側の熱交換領域が補助熱交換領域(52)となっている。
【0058】
各熱交換領域(51,52)は、上下に三つずつの熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)に区分されている。つまり、室外熱交換器(23)では、主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)のそれぞれが、複数且つ互いに同数の熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)に区分されている。なお、各熱交換領域(51,52)に形成される熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)の数は、二つであってもよいし、四つ以上であってもよい。
【0059】
具体的に、主熱交換領域(51)には、下から上に向かって順に、第1主熱交換部(51a)と、第2主熱交換部(51b)と、第3主熱交換部(51c)とが形成されている。補助熱交換領域(52)には、下から上に向かって順に、第1補助熱交換部(52a)と、第2補助熱交換部(52b)と、第3補助熱交換部(52c)とが形成されている。各主熱交換部(51a〜51c)と各補助熱交換部(52a〜52c)は、扁平管(31,32)が複数本ずつ備えている。また、
図3に示すように、各主熱交換部(51a〜51c)を構成する扁平管(31)の本数は、各補助熱交換部(52a〜52c)を構成する扁平管(32)の本数よりも多い。従って、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)の本数は、補助熱交換領域(52)を構成する扁平管(32)の本数よりも多い。
【0060】
なお、本実施形態の室外熱交換器(23)において、第1補助熱交換部(52a)を構成する扁平管(32)の本数は三本であり、第2補助熱交換部(52b)を構成する扁平管(32)の本数は三本であり、第3補助熱交換部(52c)を構成する扁平管(32)の本数は五本である。
【0061】
図3に示すように、第1ヘッダ集合管(60)の内部空間は、仕切板(39a)によって上下に仕切られている。第1ヘッダ集合管(60)では、仕切板(39a)の上側の空間が上側空間(61)となり、仕切板(39a)の下側の空間が下側空間(62)となっている。
【0062】
上側空間(61)は、主熱交換領域(51)に対応した主連通空間を構成している。上側空間(61)は、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)の全てと連通する単一の空間である。つまり、上側空間(61)は、各主熱交換部(51a〜51c)の扁平管(31)と連通している。
【0063】
下側空間(62)は、補助熱交換領域(52)に対応した補助連通空間を構成している。詳細は後述するが、下側空間(62)は、補助熱交換部(52a〜52c)と同数(本実施形態では三つ)の連通室(62a〜62c)に区画されている。最も下方に位置する第1連通室(62a)は、第1補助熱交換部(52a)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。第1連通室(62a)の上方に位置する第2連通室(62b)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。最も上方に位置する第3連通室(62c)は、第3補助熱交換部(52c)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。
【0064】
第2ヘッダ集合管(70)の内部空間は、主熱交換領域(51)に対応した主連通空間(71)と、補助熱交換領域(52)に対応した補助連通空間(72)とに区分されている。
【0065】
主連通空間(71)は、二枚の仕切板(39c)によって上下に仕切られている。この仕切板(39c)は、主連通空間(71)を、主熱交換部(51a〜51c)と同数(本実施形態では三つ)の部分空間(71a〜71c)に区画している。最も下方に位置する第1部分空間(71a)は、第1主熱交換部(51a)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第1部分空間(71a)の上方に位置する第2部分空間(71b)は、第2主熱交換部(51b)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。最も上方に位置する第3部分空間(71c)は、第3主熱交換部(51c)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。
【0066】
補助連通空間(72)は、二枚の仕切板(39d)によって上下に仕切られている。この仕切板(39d)は、補助連通空間(72)を、補助熱交換部(52a〜52c)と同数(本実施形態では三つ)の部分空間(72a〜72c)に区画している。最も下方に位置する第4部分空間(72a)は、第1補助熱交換部(52a)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。第4部分空間(72a)の上方に位置する第5部分空間(72b)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。最も上方に位置する第6部分空間(72c)は、第3補助熱交換部(52c)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。
【0067】
第2ヘッダ集合管(70)には、二本の接続用配管(76,77)が取り付けられている。これら接続用配管(76,77)は、何れも円管である。
【0068】
第1接続用配管(76)は、その一端が第2主熱交換部(51b)に対応する第2部分空間(71b)に接続され、その他端が第1補助熱交換部(52a)に対応する第4部分空間(72a)に接続される。第2接続用配管(77)は、その一端が第3主熱交換部(51c)に対応する第3部分空間(71c)に接続され、その他端が第2補助熱交換部(52b)に対応する第5部分空間(72b)に接続される。また、第2ヘッダ集合管(70)では、第3補助熱交換部(52c)に対応する第6部分空間(72c)と、第1主熱交換部(51a)に対応する第1部分空間(71a)とが、互いに連続した一つの空間を形成している。
【0069】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、第1主熱交換部(51a)と第3補助熱交換部(52c)が直列に接続され、第2主熱交換部(51b)と第1補助熱交換部(52a)が直列に接続され、第3主熱交換部(51c)と第2補助熱交換部(52b)が直列に接続されている。
【0070】
図2及び
図3に示すように、室外熱交換器(23)には、液側接続管(55)とガス側接続管(57)とが設けられている。液側接続管(55)及びガス側接続管(57)は、円管状に形成されたアルミニウム合金製の部材である。液側接続管(55)及びガス側接続管(57)は、第1ヘッダ集合管(60)とロウ付けによって接合されている。
【0071】
詳細は後述するが、管状部材である液側接続管(55)の一端は、第1ヘッダ集合管(60)の下部に接続され、下側空間(62)に連通している。液側接続管(55)の他端は、室外熱交換器(23)と膨張弁(24)を繋ぐ銅製の配管(17)に、継手(図示せず)を介して接続されている。
【0072】
ガス側接続管(57)の一端は、第1ヘッダ集合管(60)の上部に接続され、上側空間(61)に連通している。ガス側接続管(57)の他端は、室外熱交換器(23)と四方切換弁(22)の第3のポートを繋ぐ銅製の配管(18)に、継手(図示せず)を介して接続されている。
【0073】
〈第1ヘッダ集合管の下部の構成〉
第1ヘッダ集合管(60)の下部の構造について、
図5〜
図7を適宜参照しながら詳細に説明する。なお、この説明では、第1ヘッダ集合管(60)の側面のうち扁平管(32)側の部分を「前面」とし、第1ヘッダ集合管(60)の側面のうち扁平管(32)とは反対側の部分を「背面」とする。
【0074】
第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)には、第1主横仕切板(80a)と、第2主横仕切板(80b)と、副横仕切板(85a)と、縦仕切板(90)とが一つずつ設置されている(
図5を参照)。この下側空間(62)は、二枚の主横仕切板(80a,80b)と一枚の副横仕切板(85a)と一枚の縦仕切板(90)とによって、三つの連通室(62a〜62c)と一つの混合室(63)とに仕切られている。第1主横仕切板(80a)、第2主横仕切板(80b)、副横仕切板(85a)、及び縦仕切板(90)の材質は、アルミニウム合金である。
【0075】
第1主横仕切板(80a)、第2主横仕切板(80b)、及び副横仕切板(85a)のそれぞれは、概ね円板状の部材であって、下側空間(62)を横断するように設けられている。つまり、第1主横仕切板(80a)、第2主横仕切板(80b)、及び副横仕切板(85a)は、下側空間(62)を上下に仕切っている。第1主横仕切板(80a)、第2主横仕切板(80b)、及び副横仕切板(85a)は、ロウ付けによって第1ヘッダ集合管(60)と接合されている。
【0076】
第1主横仕切板(80a)は、第1補助熱交換部(52a)と第2補助熱交換部(52b)の境界に配置され、第1連通室(62a)と第2連通室(62b)を仕切っている。第2主横仕切板(80b)は、第2補助熱交換部(52b)と第3補助熱交換部(52c)の境界に配置され、第2連通室(62b)と第3連通室(62c)を仕切っている。副横仕切板(85a)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する三本の扁平管(32)のうち、下から二本目と三本目の間に配置されている。つまり、副横仕切板(85a)は、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間に配置されている。
【0077】
第1主横仕切板(80a)、第2主横仕切板(80b)、及び副横仕切板(85a)のそれぞれには、スリット孔(82a,82b,87a)が一つずつ形成されている(
図5及び
図6を参照)。スリット孔(82a,82b,87a)は、細長い長方形状の孔であって、横仕切板(80a,80b,85a)を厚さ方向に貫通している。スリット孔(82a,82b,87a)の長辺は、扁平管(32)の端面と実質的に平行である。第1主横仕切板(80a)、第2主横仕切板(80b)、及び副横仕切板(85a)のそれぞれにおいて、スリット孔(82a,82b,87a)は、第1ヘッダ集合管(60)の中心軸(64)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに位置している。スリット孔(82a,82b,87a)は、その幅が縦仕切板(90)の厚さとほぼ同じであり、その長さが縦仕切板(90)の幅とほぼ同じである。
【0078】
図6(D)に示すように、第1主横仕切板(80a)には、一つの流量調節孔(81a)が形成されている。流量調節孔(81a)は、第1主横仕切板(80a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。流量調節孔(81a)は、スリット孔(82a)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに配置されている。
【0079】
図6(B)に示すように、第2主横仕切板(80b)には、三つの接続孔(83b)が形成されている。各接続孔(83b)は、第2主横仕切板(80b)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。三つの接続孔(83b)は、スリット孔(82a)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに配置されている。
【0080】
図6(C)に示すように、副横仕切板(85a)には、一つの流量調節孔(86a)と三つの接続孔(88a)とが形成されている。流量調節孔(86a)と各接続孔(88a)は、いずれも副横仕切板(85a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。流量調節孔(86a)は、スリット孔(87a)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに配置されている。三つの接続孔(88a)は、スリット孔(87a)よりも第1ヘッダ集合管(60)の前面寄りに配置されている。
【0081】
縦仕切板(90)は、縦長の長方形板状に形成されている(
図7を参照)。縦仕切板(90)は、第1主横仕切板(80a)のスリット孔(82a)と、第2主横仕切板(80b)のスリット孔(82b)と、副横仕切板(85a)のスリット孔(87a)とに通されている(
図5及び
図6を参照)。縦仕切板(90)は、第1ヘッダ集合管(60)内の下側空間(62)を縦断している。また、縦仕切板(90)は、第1ヘッダ集合管(60)へ差し込まれた扁平管(32)の端面と向かい合っている。
【0082】
縦仕切板(90)は、その下端が第1ヘッダ集合管(60)の底部に当接し、その上端が仕切板(39a)に当接している。また、縦仕切板(90)は、幅方向(
図6における左右方向)の両側部が第1ヘッダ集合管(60)の内周面に接している。縦仕切板(90)は、他の部材に対して接合されていない。この縦仕切板(90)は、各主横仕切板(80a,80b)のスリット孔(82a,82b,87a)に差し込まれ、仕切板(39a)と第1ヘッダ集合管(60)の底部に当接することによって、その姿勢が保持されている。
【0083】
縦仕切板(90)は、第2主横仕切板(80b)よりも上側の部分が上側部分(91)となり、第2主横仕切板(80b)と第1主横仕切板(80a)の間の部分が中間部分(92)となり、第1主横仕切板(80a)よりも下側の部分が下側部分(93)となっている(
図5及び
図6を参照)。
【0084】
縦仕切板(90)の中間部分(92)は、下側空間(62)のうち第2主横仕切板(80b)と第1主横仕切板(80a)に挟まれた部分を、第1ヘッダ集合管(60)の前面側と背面側に仕切っている。縦仕切板(90)の中間部分(92)に対して第1ヘッダ集合管(60)の前面側に位置する空間は、第2連通室(62b)である。縦仕切板(90)の中間部分(92)に対して第1ヘッダ集合管(60)の背面側に位置する空間は、背面空間(67)である。
【0085】
背面空間(67)は、副横仕切板(85a)によって上下に仕切られている。背面空間(67)は、副横仕切板(85a)よりも上側の部分が中間室(68)となり、副横仕切板(85a)よりも下側の部分が混合室(63)となる。つまり、副横仕切板(85a)は、背面空間(67)を混合室(63)と中間室(68)に仕切っている。
【0086】
このように、混合室(63)は、縦仕切板(90)の中間部分(92)と、第1主横仕切板(80a)と、副横仕切板(85a)と、第1ヘッダ集合管(60)の側壁部とによって囲まれている。つまり、第1ヘッダ集合管(60)内では、混合室(63)が縦仕切板(90)の中間部分(92)を挟んで第2連通室(62b)と隣り合っている。
【0087】
また、副横仕切板(85a)は、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間に配置されている。このため、第1主横仕切板(80a)と副横仕切板(85a)に挟まれた混合室(63)の高さは、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)に挟まれた第2連通室(62b)の高さよりも低い。
【0088】
縦仕切板(90)には、長方形状の開口部(94a,94b)と、円形の流量調節孔(95,95)とが二つずつ形成されている。各開口部(94a,94b)と各流量調節孔(95,95)は、縦仕切板(90)を厚さ方向に貫通している。
【0089】
開口部(94a,94b)は、縦仕切板(90)の上側部分(91)と下側部分(93)とに一つずつ形成されている。上側の開口部(94b)は、縦仕切板(90)の上側部分(91)の大半を占めている。従って、第2主横仕切板(80b)の上側に位置する第3連通室(62c)は、縦仕切板(90)の両側の部分が実質的に一つの空間となっている。下側の開口部(94a)は、縦仕切板(90)の下側部分(93)の大半を占めている。従って、第1主横仕切板(80a)の下側に位置する第1連通室(62a)は、縦仕切板(90)の両側の部分が実質的に一つの空間となっている。
【0090】
二つの流量調節孔(95)は、いずれも縦仕切板(90)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。各流量調節孔(95)は、縦仕切板(90)の中間部分(92)のうち第1主横仕切板(80a)と副横仕切板(85a)の間の部分(即ち、混合室(63)に臨む部分)に形成されている。また、二つの流量調節孔(95)は、縦仕切板(90)の幅方向の中心線に沿って上下に並んで配置されている。つまり、二つの流量調節孔(95)は、一方が副横仕切板(85a)の近傍に配置され、他方が第1主横仕切板(80a)の近傍に配置されている。
【0091】
第1ヘッダ集合管(60)の側壁部には、液側接続管(55)を差し込むための接続口(66)が形成されている。接続口(66)は、円形の貫通孔である。接続口(66)は、第1ヘッダ集合管(60)のうち第1主横仕切板(80a)と副横仕切板(85a)の間の部分に形成され、混合室(63)に連通している。接続口(66)の中心は、混合室(63)の高さ方向の中央に位置している。なお、液側接続管(55)は、第1ヘッダ集合管(60)の接続口(66)へ差し込まれる接続端部(56)が窄まった形状となっている。
【0092】
上述したように、縦仕切板(90)の流量調節孔(95)は、縦仕切板(90)のうち混合室(63)に臨む部分の上端付近と下端付近に一つずつ配置されている。一方、接続口(66)の中心は、混合室(63)の高さ方向の中央に位置している。つまり、縦仕切板(90)では、接続口(66)の正面から外れた部分に流量調節孔(95)が配置されている。
【0093】
また、上述したように、第1主横仕切板(80a)、副横仕切板(85a)、及び縦仕切板(90)には、流量調節孔(81a,86a,95)が形成されている。これら流量調節孔(81a,86a,95)は、混合室(63)の冷媒を各連通室(62a〜62c)へ所定の割合で分配するための連通用貫通孔である。そして、これら流量調節孔(81a,86a,95)は、混合室(63)の冷媒を各連通室(62a〜62c)へ所定の割合で分配する分配通路(65)を構成している。
【0094】
第1主横仕切板(80a)の流量調節孔(81a)は、混合室(63)を第1連通室(62a)と連通させている。この流量調節孔(81a)の直径は、例えば2mm程度である。
【0095】
副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)は、中間室(68)を介して混合室(63)を第3連通室(62c)と連通させている。この流量調節孔(86a)は、第1主横仕切板(80a)の流量調節孔(81a)に比べて、直径が少しだけ大きい。
【0096】
縦仕切板(90)の二つの流量調節孔(95)は、混合室(63)を第2連通室(62b)と連通させている。これら二つの流量調節孔(95)の断面積の合計は、第1主横仕切板(80a)の流量調節孔(81a)の断面積と実質的に等しい。
【0097】
また、上述したように、第2主横仕切板(80b)には、三つの接続孔(83b)が形成されている。第2主横仕切板(80b)の接続孔(83b)は、中間室(68)を第3連通室(62c)と連通させている。各接続孔(83b)は、副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)に比べて、直径が大幅に大きい。そして、三つの接続孔(83b)の断面積の合計は、副横仕切板(85a)に形成された流量調節孔(86a)の断面積よりも充分に大きな値(例えば10倍以上)となっている。従って、中間室(68)は、断面積の大きな接続孔(83b)を介して第3連通室(62c)と連通しており、実質的に第3連通室(62c)と一体の空間である。
【0098】
また、上述したように、副横仕切板(85a)は、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間に配置されている。つまり、副横仕切板(85a)は、第2連通室(62b)を横断している。一方、副横仕切板(85a)には、三つの接続孔(88a)が形成されている。このため、第2連通室(62b)のうち副横仕切板(85a)の上側と下側の部分は、接続孔(88a)を介して互いに連通する。
【0099】
副横仕切板(85a)の各接続孔(88a)は、縦仕切板(90)の流量調節孔(95)に比べて、直径が大幅に大きい。そして、三つの接続孔(88a)の断面積の合計は、縦仕切板(90)に形成された二つの流量調節孔(95)の断面積の合計よりも充分に大きな値(例えば10倍以上)となっている。従って、副横仕切板(85a)は第2連通室(62b)を横断するように配置されているが、第2連通室(62b)は実質的に一つの空間である。
【0100】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/凝縮器の場合〉
空気調和機(10)の冷房運転中には、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。冷房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0101】
室外熱交換器(23)には、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒が供給される。圧縮機(21)から送られたガス冷媒は、ガス側接続管(57)を介して第1ヘッダ集合管(60)の上側空間(61)へ流入した後、主熱交換領域(51)の各扁平管(31)へ分配される。主熱交換領域(51)の各主熱交換部(51a〜51c)において、扁平管(31)の流体通路(34)へ流入した冷媒は、流体通路(34)を流れる間に室外空気へ放熱して凝縮し、その後に第2ヘッダ集合管(70)の対応する各部分空間(71a〜71c)へ流入する。
【0102】
主連通空間(71)の各部分空間(71a〜71c)へ流入した冷媒は、補助連通空間(72)の対応する部分空間(72a〜72c)へ送られる。主連通空間(71)の第1部分空間(71a)へ流入した冷媒は、下方へ流れ落ちて補助連通空間(72)の第6部分空間(72c)へ流れ込む。主連通空間(71)の第2部分空間(71b)へ流入した冷媒は、第1接続用配管(76)を通って補助連通空間(72)の第4部分空間(72a)へ流入する。主連通空間(71)の第3部分空間(71c)へ流入した冷媒は、第2接続用配管(77)を通って補助連通空間(72)の第5部分空間(72b)へ流入する。
【0103】
補助連通空間(72)の各部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、対応する補助熱交換部(52a〜52c)の各扁平管(32)へ分配される。各扁平管(32)の流体通路(34)を流れる冷媒は、室外空気へ放熱して過冷却液となり、その後に第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)の対応する連通室(62a〜62c)へ流入する。その後、冷媒は、混合室(63)を経て液側接続管(55)へ流れ込み、室外熱交換器(23)から流出してゆく。
【0104】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/蒸発器の場合〉
空気調和機(10)の暖房運転中には、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。暖房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0105】
室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が供給される。膨張弁(24)から流れてきた気液二相状態の冷媒は、接続口(66)に差し込まれた液側接続管(55)を通って第1ヘッダ集合管(60)内の混合室(63)へ流入する。その際、冷媒が液側接続管(55)の接続端部(56)を通過する際にその流速が上昇し、液側接続管(55)から噴出した高流速の冷媒が縦仕切板(90)に衝突する。このため、混合室(63)内では、冷媒が激しく掻き乱され、その冷媒中のガス冷媒と液冷媒が混合される。つまり、混合室(63)内の冷媒が均質化され、混合室(63)内の冷媒の湿り度が概ね均一となる。
【0106】
混合室(63)内の冷媒は、各連通室(62a〜62c)へ分配される。上述したように、混合室(63)内の気液二相状態の冷媒は、均質化されている。このため、各連通室(62a〜62c)へ混合室(63)から流入する冷媒の湿り度は、概ね等しい。
【0107】
混合室(63)内の冷媒は、第1主横仕切板(80a)の流量調節孔(81a)を通過し、第1連通室(62a)へ流入する。また、混合室(63)内の冷媒は、縦仕切板(90)の流量調節孔(95)を通過し、第2連通室(62b)のうち副横仕切板(85a)よりも下側の部分へ流入する。第2連通室(62b)のうち副横仕切板(85a)よりも下側の部分へ流入した冷媒の一部は、副横仕切板(85a)の接続孔(88a)を通過し、第2連通室(62b)のうち副横仕切板(85a)よりも上側の部分へ流入する。つまり、縦仕切板(90)の流量調節孔(95)を通過した冷媒は、第2連通室(62b)の全体に行き渡る。また、混合室(63)内の冷媒は、副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)を通過して中間室(68)へ一旦流入し、その後に第2主横仕切板(80b)の接続孔(83b)を通過して第3連通室(62c)へ流入する。
【0108】
本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(63)から各連通室(62a〜62c)への冷媒の分配割合が所定の割合となるように、分配通路(65)を構成する流量調節孔(81a,86a,95)の大きさが設定されている。具体的に、本実施形態の室外熱交換器(23)では、補助熱交換部(52a〜52c)を構成する各扁平管(32)へ流入する冷媒の質量流量が実質的に等しくなるように、混合室(63)から各連通室(62a〜62c)への冷媒の分配割合が設定される。従って、本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(63)から第2連通室(62b)へ流入する冷媒の質量流量が、混合室(63)から第1連通室(62a)へ流入する冷媒の質量流量と実質的に等しく、混合室(63)から第3連通室(62c)へ流入する冷媒の質量流量が、混合室(63)から第1連通室(62a)へ流入する冷媒の質量流量よりも多い。
【0109】
第1ヘッダ集合管(60)の各連通室(62a〜62c)へ流入した冷媒は、対応する補助熱交換部(52a〜52c)の各扁平管(32)へ分配される。各扁平管(32)の流体通路(34)へ流入した冷媒は、流体通路(34)を流れる間に室外空気から吸熱し、一部の液冷媒が蒸発する。扁平管(32)の流体通路(34)を通過した冷媒は、第2ヘッダ集合管(70)の補助連通空間(72)の対応する部分空間(72a〜72c)へ流入する。この部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、依然として気液二相状態のままである。
【0110】
補助連通空間(72)の各部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、主連通空間(71)の対応する部分空間(71a〜71c)へ送られる。補助連通空間(72)の第4部分空間(72a)へ流入した冷媒は、第1接続用配管(76)を通って主連通空間(71)の第2部分空間(71b)へ流入する。補助連通空間(72)の第5部分空間(72b)へ流入した冷媒は、第2接続用配管(77)を通って主連通空間(71)の第3部分空間(71c)へ流入する。補助連通空間(72)の第6部分空間(72c)へ流入した冷媒は、上方へ向かって流れて主連通空間(71)の第1部分空間(71a)へ流入する。
【0111】
主連通空間(71)の各部分空間(71a〜71c)へ流入した冷媒は、対応する主熱交換部(51a〜51c)の各扁平管(31)へ分配される。各扁平管(31)の流体通路(34)を流れる冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、実質的にガス単相状態となった後に、第1ヘッダ集合管(60)の上側空間(61)へ流入する。その後、冷媒は、ガス側接続管(57)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく。
【0112】
−実施形態1の効果−
本実施形態の室外熱交換器(23)では、第1ヘッダ集合管(60)に主横仕切板(80a,80b)と副横仕切板(85a)と縦仕切板(90)とが設けられ、これらの仕切板(80a,80b,85a,90)によって、第1ヘッダ集合管(60)内に一つの混合室(63)と三つの連通室(62a〜62c)とが形成される。そして、蒸発器として機能する室外熱交換器(23)へ供給された気液二相状態の冷媒は、第1ヘッダ集合管(60)内の混合室(63)へ流入し、縦仕切板(90)に衝突することによって撹拌される。従って、本実施形態によれば、混合室(63)から各連通室(62a〜62c)へ分配される冷媒の湿り度を平均化でき、連通室(62a〜62c)に連通する各扁平管(32)へ流入する冷媒の湿り度を平均化することが可能となる。
【0113】
ここで、混合室(63)へ流入した気液二相状態の冷媒には、重力が作用する。このため、混合室(63)の高さがある程度以上になると、混合室(63)の上端付近と下端付近における冷媒の湿り度の差が無視できない程度に拡大するおそれがある。また、混合室(63)の容積が大きいと、混合室(63)の各部における冷媒の湿り度の差が無視できない程度に拡大するおそれがある。
【0114】
これに対し、本実施形態の室外熱交換器(23)では、縦仕切板(90)と共に混合室(63)を形成する副横仕切板(85a)が、上下に隣り合う第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間に配置される。このため、混合室(63)の高さを、主横仕切板(80a,80b)の間隔とは無関係に設定可能となる。そこで、本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(63)の高さを、縦仕切板(90)を挟んで混合室(63)と隣り合う第2連通室(62b)の高さよりも低くしている。
【0115】
また、本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(63)を形成する縦仕切板(90)が、第1ヘッダ集合管(60)の中心軸(64)に対して扁平管(32)とは逆側に配置される。このため、混合室(63)の幅が狭く抑えられ、混合室(63)の容積が小さく抑えられる。
【0116】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する際に気液二相状態の冷媒が流入する混合室(63)について、その高さが低く抑えられ、更にはその容積が小さく抑えられる。従って、本実施形態によれば、混合室(63)内の各部における冷媒の湿り度の差を低く抑えることが可能となり、混合室(63)から各連通室(62a〜62c)へ分配される冷媒の湿り度を均一化することが可能となる。
【0117】
また、本実施形態の室外熱交換器(23)の縦仕切板(90)では、流量調節孔(95)が接続口(66)の正面から外れた位置に設けられる。このため、接続口(66)から混合室(63)へ流入した冷媒が縦仕切板(90)の流量調節孔(95)へ集中的に流入ことを回避でき、混合室(63)から各連通室(62a〜62c)に対して、所定の分配割合で冷媒を確実に分配することが可能となる。
【0118】
−実施形態1の変形例−
図5に示す第1ヘッダ集合管(60)では、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間の下寄りに混合室(63)が形成されている。しかし、混合室(63)は、
図8に示すように、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間の上寄りに形成されていてもよい。ここでは、本変形例の第1ヘッダ集合管(60)の構造について、
図5に示された第1ヘッダ集合管(60)の構造と異なる点を説明する。
【0119】
本変形例の第1主横仕切板(80a)は、第2補助熱交換部(52b)と第3補助熱交換部(52c)の境界に配置されている。この第1主横仕切板(80a)は、第2連通室(62b)と第3連通室(62c)を仕切る。
【0120】
本変形例の第2主横仕切板(80b)は、第1補助熱交換部(52a)と第2補助熱交換部(52b)の境界に配置されている。この第2主横仕切板(80b)は、第1連通室(62a)と第2連通室(62b)を仕切る。
【0121】
本変形例の副横仕切板(85a)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する三本の扁平管(32)のうち、下から一本目と二本目の間に配置されている。本変形例の第1ヘッダ集合管(60)の背面空間(67)は、副横仕切板(85a)よりも上側の部分が混合室(63)となり、副横仕切板(85a)よりも下側の部分が中間室(68)となる。
【0122】
本変形例の接続口(66)は、第1ヘッダ集合管(60)のうち副横仕切板(85a)と第1主横仕切板(80a)の間の部分に形成され、混合室(63)に連通している。
【0123】
本変形例の縦仕切板(90)では、中間部分(92)のうち副横仕切板(85a)と第1主横仕切板(80a)の間の部分(即ち、混合室(63)に臨む部分)に、二つの流量調節孔(95)が形成されている。この流量調節孔(95)は、混合室(63)を第2連通室(62b)と連通させる。
【0124】
本変形例の第1主横仕切板(80a)は、
図6(D)に図示された第1主横仕切板(80a)と同じ形状の部材である。本変形例の第1主横仕切板(80a)には、一つの流量調節孔(81a)が形成されている。この流量調節孔(81a)は、混合室(63)を第3連通室(62c)と連通させる。
【0125】
本変形例の第2主横仕切板(80b)は、
図6(B)に図示された第2主横仕切板(80b)と同じ形状の部材である。本変形例の第2主横仕切板(80b)には、三つの接続孔(83b)が形成されている。この接続孔(83b)は、中間室(68)を第1連通室(62a)と連通させる。
【0126】
本変形例の副横仕切板(85a)は、
図6(C)に図示された副横仕切板(85a)と同じ形状の部材である。本変形例の副横仕切板(85a)には、一つの流量調節孔(86a)と三つの接続孔(88a)とが形成されている。本変形例の流量調節孔(86a)は、混合室(63)を中間室(68)と連通させる。本変形例の接続孔(88a)は、第2連通室(62b)における副横仕切板(85a)の上側と下側の部分を連通させる。
【0127】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。ここでは、本実施形態の室外熱交換器(23)について、実施形態1の室外熱交換器(23)と異なる点を説明する。
【0128】
〈室外熱交換器の構成〉
図9に示すように、本実施形態の室外熱交換器(23)は、補助熱交換領域(52)が四つの補助熱交換部(52a〜52d)に区分されている。補助熱交換領域(52)には、下から上に向かって順に、第1補助熱交換部(52a)と、第2補助熱交換部(52b)と、第3補助熱交換部(52c)と、第4補助熱交換部(52d)とが形成されている。また、図示しないが、本実施形態の室外熱交換器(23)は、主熱交換領域(51)が四つの主熱交換部に区分されている。
【0129】
実施形態1の室外熱交換器(23)と同様に、本実施形態の室外熱交換器(23)では、補助熱交換部(52a〜52d)と主熱交換部が一対一に対応している。そして、本実施形態の室外熱交換器(23)では、各補助熱交換部(52a〜52d)が対応する主熱交換部と直列に接続される。
【0130】
本実施形態の室外熱交換器(23)において、第1補助熱交換部(52a)を構成する扁平管(32)の本数は三本であり、第2補助熱交換部(52b)を構成する扁平管(32)の本数は三本であり、第3補助熱交換部(52c)を構成する扁平管(32)の本数は三本であり、第4補助熱交換部(52d)を構成する扁平管(32)の本数は五本である。
【0131】
〈第1ヘッダ集合管の下部の構成〉
本実施形態の第1ヘッダ集合管(60)の下部の構造について、
図9〜
図11を適宜参照しながら詳細に説明する。なお、この説明では、第1ヘッダ集合管(60)の側面のうち扁平管(32)側の部分を「前面」とし、第1ヘッダ集合管(60)の側面のうち扁平管(32)とは反対側の部分を「背面」とする。
【0132】
図9に示すように、第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)には、三枚の主横仕切板(80a〜80c)と、二枚の副横仕切板(85a,85b)と、一枚の縦仕切板(90)とが設置されている。この下側空間(62)は、これらの主横仕切板(80a〜80c)、副横仕切板(85a,85b)、及び縦仕切板(90)によって、四つの連通室(62a〜62d)と一つの混合室(63)とに仕切られている。なお、これらの主横仕切板(80a〜80c)、副横仕切板(85a,85b)、及び縦仕切板(90)の材質は、アルミニウム合金である。
【0133】
三枚の主横仕切板(80a〜80c)と二枚の副横仕切板(85a,85b)は、いずれも概ね円板状の部材であって、下側空間(62)を横断するように設けられている。つまり、これらの主横仕切板(80a〜80c)と副横仕切板(85a,85b)は、下側空間(62)を上下に仕切っている。これらの主横仕切板(80a〜80c)と副横仕切板(85a,85b)は、ロウ付けによって第1ヘッダ集合管(60)と接合されている。
【0134】
第1主横仕切板(80a)は、第1補助熱交換部(52a)と第2補助熱交換部(52b)の境界に配置され、第1連通室(62a)と第2連通室(62b)を仕切っている。第2主横仕切板(80b)は、第2補助熱交換部(52b)と第3補助熱交換部(52c)の境界に配置され、第2連通室(62b)と第3連通室(62c)を仕切っている。第3主横仕切板(80c)は、第3補助熱交換部(52c)と第4補助熱交換部(52d)の境界に配置され、第3連通室(62c)と第4連通室(62d)を仕切っている。
【0135】
第1副横仕切板(85a)は、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間に配置されている。この第1副横仕切板(85a)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する三本の扁平管(32)のうち、下から二本目と三本目の間に配置されている。第2副横仕切板(85b)は、第2主横仕切板(80b)と第3主横仕切板(80c)の間に配置されている。この第2副横仕切板(85b)は、第3補助熱交換部(52c)を構成する三本の扁平管(32)のうち、下から一本目と二本目の間に配置されている。
【0136】
三枚の主横仕切板(80a〜80c)と二枚の副横仕切板(85a,85b)のそれぞれには、スリット孔(82a,82b,82c,87a,87b)が一つずつ形成されている。
図11に示すように、スリット孔(82a〜82c,87a,87b)は、細長い長方形状の孔であって、横仕切板(80a〜80c, 85a,85b)を厚さ方向に貫通している。スリット孔(82a〜82c,87a,87b)の長辺は、扁平管(32)の端面と実質的に平行である。
【0137】
三枚の主横仕切板(80a〜80c)と二枚の副横仕切板(85a,85b)のそれぞれにおいて、スリット孔(82a〜82c,87a,87b)は、第1ヘッダ集合管(60)の中心軸(64)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに位置している(
図11を参照)。スリット孔(82a〜82c,87a,87b)は、その幅が縦仕切板(90)の厚さとほぼ同じであり、その長さが縦仕切板(90)の幅とほぼ同じである。
【0138】
図11(E)に示すように、第1主横仕切板(80a)には、三つの接続孔(83a)が形成されている。各接続孔(83a)は、第1主横仕切板(80a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。三つの接続孔(83a)は、スリット孔(82a)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに配置されている。
【0139】
図11(C)に示すように、第2主横仕切板(80b)には、一つの切り欠き孔(84b)が形成されている。切り欠き孔(84b)は、第2主横仕切板(80b)の外周縁からその中心へ向かって伸びる矩形状の切欠きである。切り欠き孔(84b)は、スリット孔(82a)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに配置されている。また、切り欠き孔(84b)は、
図11(C)における左右方向の幅が、接続口(66)の直径と実質的に等しい。
【0140】
図11(A)に示すように、第3主横仕切板(80c)には、三つの接続孔(83c)が形成されている。各接続孔(83c)は、第3主横仕切板(80c)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。三つの接続孔(83c)は、スリット孔(82c)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに配置されている。
【0141】
図11(B)及び(D)に示すように、第1副横仕切板(85a)と第2副横仕切板(85b)のそれぞれには、一つの流量調節孔(86a,86b)と三つの接続孔(88a,88b)とが形成されている。流量調節孔(86a,86b)と各接続孔(88a)は、いずれも副横仕切板(85a,85b)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。流量調節孔(86a,86b)は、スリット孔(87a,87b)よりも第1ヘッダ集合管(60)の背面寄りに配置されている。三つの接続孔(88a,88b)は、スリット孔(87a,87b)よりも第1ヘッダ集合管(60)の前面寄りに配置されている。
【0142】
縦仕切板(90)は、実施形態1と同様に、縦長の長方形板状に形成されている(
図12を参照)。縦仕切板(90)は、各主横仕切板(80a〜80c)のスリット孔(82a〜82c)と、各副横仕切板(85a,85b)のスリット孔(87a,87b)とに通されている(
図9,11を参照)。実施形態1と同様に、縦仕切板(90)は、第1ヘッダ集合管(60)内の下側空間(62)を縦断し、第1ヘッダ集合管(60)へ差し込まれた扁平管(32)の端面と向かい合っている。
【0143】
縦仕切板(90)は、第3主横仕切板(80c)よりも上側の部分が上側部分(91)となり、第3主横仕切板(80c)と第1主横仕切板(80a)の間の部分が中間部分(92)となり、第1主横仕切板(80a)よりも下側の部分が下側部分(93)となっている(
図9及び
図10を参照)。
【0144】
縦仕切板(90)の中間部分(92)は、下側空間(62)のうち第3主横仕切板(80c)と第1主横仕切板(80a)に挟まれた部分を、第1ヘッダ集合管(60)の前面側と背面側に仕切っている。縦仕切板(90)の中間部分(92)に対して第1ヘッダ集合管(60)の前面側に位置する空間は、第2主横仕切板(80b)によって第2連通室(62b)と第3連通室(62c)に仕切られている。縦仕切板(90)の中間部分(92)に対して第1ヘッダ集合管(60)の背面側に位置する空間は、背面空間(67)である。
【0145】
背面空間(67)は、二枚の副横仕切板(85a,85b)によって上下に仕切られている。背面空間(67)は、第1副横仕切板(85a)よりも下側の部分が第1中間室(68a)となり、第2副横仕切板(85b)よりも上側の部分が第2中間室(68b)となり、第1副横仕切板(85a)と第2副横仕切板(85b)の間の部分が混合室(63)となる。つまり、二枚の副横仕切板(85a,85b)は、背面空間(67)を一つの混合室(63)と二つの中間室(68a,68b)に仕切っている。
【0146】
このように、混合室(63)は、縦仕切板(90)の中間部分(92)と、第1副横仕切板(85a)と、第2副横仕切板(85b)と、第1ヘッダ集合管(60)の側壁部とによって囲まれている。つまり、第1ヘッダ集合管(60)内では、混合室(63)が縦仕切板(90)の中間部分(92)を挟んで第2連通室(62b)及び第3連通室(62c)と隣り合っている。
【0147】
また、第1副横仕切板(85a)は、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間で且つ第2主横仕切板(80b)寄りに配置され、第2副横仕切板(85b)は、第2主横仕切板(80b)と第3主横仕切板(80c)の間で且つ第2主横仕切板(80b)寄りに配置されている。このため、二枚の副横仕切板(85a,85b)に挟まれた混合室(63)の高さは、第2連通室(62b)の高さよりも低く、第3連通室(62c)の高さよりも低い。
【0148】
縦仕切板(90)には、長方形状の開口部(94a,94b)と、円形の流量調節孔(95a,95b)とが二つずつ形成されている。各開口部(94a,94b)と各流量調節孔(95a,95b)は、縦仕切板(90)を厚さ方向に貫通している。
【0149】
開口部(94a,94b)は、縦仕切板(90)の上側部分(91)と下側部分(93)とに一つずつ形成されている。上側の開口部(94b)は、縦仕切板(90)の上側部分(91)の大半を占めている。従って、第3主横仕切板(80c)の上側に位置する第4連通室(62d)は、縦仕切板(90)の両側の部分が実質的に一つの空間となっている。下側の開口部(94a)は、縦仕切板(90)の下側部分(93)の大半を占めている。従って、第1主横仕切板(80a)の下側に位置する第1連通室(62a)は、縦仕切板(90)の両側の部分が実質的に一つの空間となっている。
【0150】
二つの流量調節孔(95a,95b)は、いずれも縦仕切板(90)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。第1流量調節孔(95a)は、縦仕切板(90)の中間部分(92)のうち第2主横仕切板(80b)と第1副横仕切板(85a)の間の部分に形成されている。第2流量調節孔(95b)は、縦仕切板(90)の中間部分(92)のうち第2主横仕切板(80b)と第2副横仕切板(85b)の間の部分に形成されている。また、二つの流量調節孔(95a,95b)は、縦仕切板(90)の幅方向の中心線に沿って上下に並んで配置されている。
【0151】
実施形態1と同様に、第1ヘッダ集合管(60)の側壁部には、接続口(66)が形成されている。接続口(66)は、第2主横仕切板(80b)と同じ高さに配置され、混合室(63)に連通している。接続口(66)の中心は、混合室(63)の高さ方向の中央に位置している。
【0152】
縦仕切板(90)では、縦仕切板(90)のうち混合室(63)に臨む部分の上端付近と下端付近に流量調節孔(95a,95b)が一つずつ配置されている。一方、接続口(66)の中心は、混合室(63)の高さ方向の中央に位置している。つまり、縦仕切板(90)では、接続口(66)の正面から外れた部分に流量調節孔(95a,95b)が配置されている。
【0153】
上述したように、第1副横仕切板(85a)、第2副横仕切板(85b)、及び縦仕切板(90)には、流量調節孔(86a,86b,95a,95b)が形成されている。これら流量調節孔(86a,86b,95a,95b)は、混合室(63)の冷媒を各連通室(62a〜62d)へ所定の割合で分配するための連通用貫通孔である。そして、これら流量調節孔(86a,86b,95a,95b)は、混合室(63)の冷媒を各連通室(62a〜62d)へ所定の割合で分配する分配通路(65)を構成している。
【0154】
第1副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)は、第1中間室(68a)を介して混合室(63)を第1連通室(62a)と連通させている。この流量調節孔(86a)の直径は、例えば2mm程度である。
【0155】
第2副横仕切板(85b)の流量調節孔(86b)は、第2中間室(68b)を介して混合室(63)を第4連通室(62d)と連通させている。この流量調節孔(86b)は、第1副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)に比べて、直径が少しだけ大きい。
【0156】
縦仕切板(90)の第1流量調節孔(95a)は、混合室(63)を第2連通室(62b)と連通させている。この第1流量調節孔(95a)の直径は、第1副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)の直径と実質的に等しい。
【0157】
縦仕切板(90)の第2流量調節孔(95b)は、混合室(63)を第3連通室(62c)と連通させている。この第2流量調節孔(95b)の直径は、第1副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)の直径と実質的に等しい。
【0158】
また、上述したように、第1主横仕切板(80a)には、三つの接続孔(83a)が形成されている。第1主横仕切板(80a)の接続孔(83a)は、第1中間室(68a)を第1連通室(62a)と連通させている。各接続孔(83a)は、第1副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)に比べて、直径が大幅に大きい。そして、三つの接続孔(83a)の断面積の合計は、第1副横仕切板(85a)に形成された流量調節孔(86a)の断面積よりも充分に大きな値(例えば10倍以上)となっている。従って、第1中間室(68a)は、断面積の大きな接続孔(83a)を介して第1連通室(62a)と連通しており、実質的に第1連通室(62a)と一体の空間である。
【0159】
また、上述したように、第3主横仕切板(80c)には、三つの接続孔(83c)が形成されている。第3主横仕切板(80c)の接続孔(83c)は、第2中間室(68b)を第4連通室(62d)と連通させている。各接続孔(83c)は、第2副横仕切板(85b)の流量調節孔(86b)に比べて、直径が大幅に大きい。そして、三つの接続孔(83c)の断面積の合計は、第2副横仕切板(85b)に形成された流量調節孔(86c)の断面積よりも充分に大きな値(例えば10倍以上)となっている。従って、第2中間室(68b)は、断面積の大きな接続孔(83c)を介して第4連通室(62d)と連通しており、実質的に第4連通室(62d)と一体の空間である。
【0160】
また、上述したように、第1副横仕切板(85a)は、第1主横仕切板(80a)と第2主横仕切板(80b)の間に配置されている。つまり、第1副横仕切板(85a)は、第2連通室(62b)を横断している。一方、第1副横仕切板(85a)には、三つの接続孔(88a)が形成されている。このため、第2連通室(62b)のうち第1副横仕切板(85a)の上側と下側の部分は、接続孔(88a)を介して互いに連通する。
【0161】
第1副横仕切板(85a)の各接続孔(88a)は、縦仕切板(90)の第1流量調節孔(95a)に比べて、直径が大幅に大きい。そして、三つの接続孔(88a)の断面積の合計は、縦仕切板(90)に形成された第1流量調節孔(95a)の断面積よりも充分に大きな値(例えば10倍以上)となっている。従って、第1副横仕切板(85a)は第2連通室(62b)を横断するように配置されているが、第2連通室(62b)は実質的に一つの空間である。
【0162】
また、上述したように、第2副横仕切板(85b)は、第2主横仕切板(80b)と第3主横仕切板(80c)の間に配置されている。つまり、第2副横仕切板(85b)は、第3連通室(62c)を横断している。一方、第2副横仕切板(85b)には、三つの接続孔(88b)が形成されている。このため、第3連通室(62c)のうち第2副横仕切板(85b)の上側と下側の部分は、接続孔(88b)を介して互いに連通する。
【0163】
第2副横仕切板(85b)の各接続孔(88b)は、縦仕切板(90)の第2流量調節孔(95b)に比べて、直径が大幅に大きい。そして、三つの接続孔(88b)の断面積の合計は、縦仕切板(90)に形成された第2流量調節孔(95b)の断面積よりも充分に大きな値(例えば10倍以上)となっている。従って、第2副横仕切板(85b)は第3連通室(62c)を横断するように配置されているが、第3連通室(62c)は実質的に一つの空間である。
【0164】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ〉
実施形態1と同様に、蒸発器として機能する室外熱交換器(23)へは、気液二相状態の冷媒が供給される。そして、本実施形態の室外熱交換器(23)へ供給された気液二相状態の冷媒は、四つの補助熱交換部(52a〜52d)へ分配される。ここでは、蒸発器として機能する本実施形態の室外熱交換器(23)へ供給された冷媒の流れについて説明する。
【0165】
蒸発器として機能する室外熱交換器(23)へ供給される気液二相状態の冷媒は、液側接続管(55)を通って第1ヘッダ集合管(60)内の混合室(63)へ流入する。混合室(63)では、液側接続管(55)から噴出した高流速の冷媒が縦仕切板(90)に衝突し、その冷媒中のガス冷媒と液冷媒が混合される。つまり、混合室(63)内の冷媒が均質化され、混合室(63)内の冷媒の湿り度が概ね均一となる。
【0166】
混合室(63)内の冷媒は、各連通室(62a〜62d)へ分配される。上述したように、混合室(63)内の気液二相状態の冷媒は、均質化されている。このため、各連通室(62a〜62d)へ混合室(63)から流入する冷媒の湿り度は、概ね等しい。
【0167】
混合室(63)内の冷媒は、第1副横仕切板(85a)の流量調節孔(86a)を通過して第1中間室(68a)へ一旦流入し、その後に第1主横仕切板(80a)の接続孔(83a)を通過して第1連通室(62a)へ流入する。
【0168】
また、混合室(63)内の冷媒は、縦仕切板(90)の第1流量調節孔(95a)を通過し、第2連通室(62b)のうち第1副横仕切板(85a)よりも上側の部分へ流入する。第2連通室(62b)のうち第1副横仕切板(85a)よりも上側の部分へ流入した冷媒の一部は、第1副横仕切板(85a)の接続孔(88a)を通過し、第2連通室(62b)のうち第1副横仕切板(85a)よりも下側の部分へ流入する。つまり、縦仕切板(90)の第1流量調節孔(95a)を通過した冷媒は、第2連通室(62b)の全体に行き渡る。
【0169】
また、混合室(63)内の冷媒は、縦仕切板(90)の第2流量調節孔(95b)を通過し、第3連通室(62c)のうち第2副横仕切板(85b)よりも下側の部分へ流入する。第3連通室(62c)のうち第2副横仕切板(85b)よりも下側の部分へ流入した冷媒の一部は、第2副横仕切板(85b)の接続孔(88b)を通過し、第3連通室(62c)のうち第2副横仕切板(85b)よりも上側の部分へ流入する。つまり、縦仕切板(90)の第2流量調節孔(95b)を通過した冷媒は、第3連通室(62c)の全体に行き渡る。
【0170】
また、混合室(63)内の冷媒は、第2副横仕切板(85b)の流量調節孔(86b)を通過して第2中間室(68b)へ一旦流入し、その後に第3主横仕切板(80c)の接続孔(83c)を通過して第4連通室(62d)へ流入する。
【0171】
本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(63)から各連通室(62a〜62d)への冷媒の分配割合が所定の割合となるように、分配通路(65)を構成する流量調節孔(86a,86b,95a,95b)の大きさが設定されている。具体的に、本実施形態の室外熱交換器(23)では、補助熱交換部(52a〜52d)を構成する各扁平管(32)へ流入する冷媒の質量流量が実質的に等しくなるように、混合室(63)から各連通室(62a〜62d)への冷媒の分配割合が設定される。
【0172】
従って、本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(63)から第1連通室(62a)へ流入する冷媒の質量流量と、混合室(63)から第2連通室(62b)へ流入する冷媒の質量流量と、混合室(63)から第3連通室(62c)へ流入する冷媒の質量流量とが、互いに実質的に等しく、混合室(63)から第4連通室(62d)へ流入する冷媒の質量流量が、混合室(63)から第1連通室(62a)へ流入する冷媒の質量流量よりも多い。
【0173】
第1ヘッダ集合管(60)の各連通室(62a〜62d)へ流入した冷媒は、対応する補助熱交換部(52a〜52d)の各扁平管(32)へ分配される。その後、冷媒は、各補助熱交換部(52a〜52d)と、それに対応する主熱交換部とを順に通過し、実質的にガス単相状態となって室外熱交換器(23)から流出してゆく。
【0174】
−実施形態2の効果−
本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。つまり、本実施形態の室外熱交換器(23)では、第1ヘッダ集合管(60)に設けられた二枚の副横仕切板(85a,85b)と縦仕切板(90)によって混合室(63)が形成され、混合室(63)へ流入した気液二相状態の冷媒が縦仕切板(90)と衝突することによって撹拌される。従って、本実施形態によれば、混合室(63)から各連通室(62a〜62d)へ分配される冷媒の湿り度を平均化でき、連通室(62a〜62d)に連通する各扁平管(32)へ流入する冷媒の湿り度を平均化することが可能となる。
【0175】
また、本実施形態の第1ヘッダ集合管(60)では、二枚の副横仕切板(85a,85b)の間に混合室(63)が形成されており、混合室(63)の高さが第2連通室(62b)及び第3連通室(62c)の高さよりも低く抑えられている。従って、本実施形態によれば、三枚の主横仕切板(80a〜80c)によって第1ヘッダ集合管(60)内に四つの連通室(62a〜62d)が形成される場合でも、混合室(63)の高さを低く抑えることによって、混合室(63)内の気液二相状態の冷媒を確実に均質化することが可能となる。
【0176】
《その他の実施形態》
−第1変形例−
上述したように、実施形態1の室外熱交換器(23)では、第2主横仕切板(80b)と副横仕切板(85a)のそれぞれに、円形の接続孔(83b,88a)が三つずつ形成されている(
図6(B)(C)を参照)。また、実施形態2の室外熱交換器(23)では、第1主横仕切板(80a)と第3主横仕切板(80c)と第1副横仕切板(85a)と第2副横仕切板(85b)のそれぞれに、円形の接続孔(83a,83c,88a,88b)が三つずつ形成されている(
図11(A)(B)(D)(E)を参照)。
【0177】
しかし、これらの横仕切板(80a〜80c,85a,85b)に形成された接続孔(83a〜83c,88a,88b)の形状と数は、単なる一例である。つまり、これらの横仕切板(80a〜80c,85a,85b)に形成された接続孔(83a〜83c,88a,88b)は、流量調節孔(81a,86a,86b,95,95a,95b)に比べて断面積が充分に大きな貫通孔であればよい。例えば、
図13に示すように、実施形態1の第2主横仕切板(80b)と副横仕切板(85a)のそれぞれには、長円形の接続孔(83b,88a)が一つずつ形成されていてもよい。
【0178】
−第2変形例−
上述したように、各実施形態の室外熱交換器(23)では、補助熱交換部(52a〜52d)を構成する各扁平管(32)へ流入する冷媒の質量流量が実質的に等しくなるように、流量調節孔(81a,86a,86b,95,95a,95b)の開口面積が設定されている。しかし、補助熱交換部(52a〜52d)を構成する全ての扁平管(32)について、そこへ流入する冷媒の質量流量を均一にする必要は無い。
【0179】
つまり、各実施形態の室外熱交換器(23)では、例えば、混合室(63)から第1連通室(62a)へ流入する冷媒の質量流量が、混合室(63)から第2連通室(62b)へ流入する冷媒の質量流量よりも多くなるように、流量調節孔(81a,95,86a,95a)の開口面積が設定されていてもよい。各実施形態の室外熱交換器(23)では、第1連通室(62a)と第2連通室(62b)のそれぞれに三本の扁平管(32)が連通している。従って、この場合は、第1連通室(62a)に連通する各扁平管(32)へ流入する冷媒の質量流量が、第2連通室(62b)に連通する各扁平管(32)へ流入する冷媒の質量流量よりも多くなる。
【0180】
−第3変形例−
上述したように、各実施形態の室外熱交換器(23)には、板状のフィン(36)に代えて波形のフィンが設けられていてもよい。このフィンは、いわゆるコルゲートフィンであって、上下に蛇行する波形に形成されている。そして、この波形のフィンは、上下に隣り合った扁平管(31,32)の間に一つずつ配置される。