特許第5761283号(P5761283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761283
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ギヤポンプまたはギヤモータ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20150723BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20150723BHJP
   F03C 2/08 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   F04C2/18 311D
   F04C2/18 321Z
   F04C15/00 A
   F04C15/00 G
   F03C2/08 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-193274(P2013-193274)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-59489(P2015-59489A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2014年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】都築 克成
【審査官】 尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭47−016424(JP,Y1)
【文献】 実公昭54−2407(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
F03C 2/08
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10,21,22)と、
上記ハウジング(10,21,22)内に収納され、互いに噛み合う斜歯歯車であるドライブギヤ(1)およびドリブンギヤ(2)と、
上記ドライブギヤ(1)の回転軸に働くスラスト荷重をキャンセルするように、高圧側からの作動流体により上記ドライブギヤ(1)の回転軸の端面を付勢する第1ピストン(30)と、
上記ドリブンギヤ(2)の回転軸に働くスラスト荷重をキャンセルするように、高圧側からの作動流体により上記ドリブンギヤ(2)の回転軸の端面を付勢する第2ピストン(40)と、
上記ハウジング(10,21,22)に設けられ、上記第1ピストン(30)が摺動可能に収納された第1シリンダ室(22a)と、
上記ハウジング(10,21,22)に設けられ、上記第2ピストン(40)が摺動可能に収納された第2シリンダ室(22b)と、
上記第1ピストン(30)の外周と上記第1シリンダ室(22a)の内周との間をシールする第1シール部材(31)と、
上記第2ピストン(40)の外周と上記第2シリンダ室(22b)の内周との間をシールする第2シール部材(41)と
を備え、
上記第1ピストン(30)の上記ドライブギヤ(1)の回転軸に対して周方向の回動を阻止する第1回り止め機構と、
上記第2ピストン(40)の上記ドリブンギヤ(2)の回転軸に対して周方向の回動を阻止する第2回り止め機構と
を備えたことを特徴とするギヤポンプまたはギヤモータ。
【請求項2】
請求項に記載のギヤポンプまたはギヤモータにおいて、
上記第1回り止め機構は、上記第1シリンダ室(22a)の上記ドライブギヤ(1)と反対の側に設けられた第1係合部(23)と、上記第1ピストン(30)の上記ドライブギヤ(1)と反対の側の端面に設けられ、上記第1ピストン(30)の回動を阻止するように上記第1係合部(23)に係止する第1係止部(30a)を有すると共に、
上記第2回り止め機構は、上記第2シリンダ室(22b)の上記ドリブンギヤ(2)と反対の側に設けられた第2係合部(24)と、上記第2ピストン(40)の上記ドリブンギヤ(2)と反対の側の端面に設けられ、上記第2ピストン(40)の回動を阻止するように上記第2係合部(24)に係止する第2係止部(40a)を有することを特徴とするギヤポンプまたはギヤモータ。
【請求項3】
請求項に記載のギヤポンプまたはギヤモータにおいて、
上記第1,第2回り止め機構の上記第1,第2係合部(23,24)は、高圧側からの作動流体が導入される高圧導入路の開口部の少なくとも一部であって、
上記第1,第2回り止め機構の上記第1,第2係止部(30a,40a)は、上記高圧導入路の開口部の少なくとも一部に係止する凸部であることを特徴とするギヤポンプまたはギヤモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ギヤポンプまたはギヤモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギヤポンプとしては、図5に示すように、互いに噛み合う斜歯歯車であるドライブギヤ101とドリブンギヤ102に対して、軸方向に働くスラスト荷重(矢印R101,R102)を打ち消すために、軸111,112の端部をギヤポンプの吐出圧力を圧力源としてピストン130,140で押し返すものがある(例えば、特開2013−15108号公報(特許文献1)参照)。上記スラスト荷重は、ドライブギヤ101の歯101aとドリブンギヤ102の歯102aの噛合い力と液圧力に起因する。
【0003】
上記ギヤポンプのドライブギヤ101とドリブンギヤ102では、それぞれに働くスラスト荷重が異なるので、ピストン130,140の径を変えてスラスト荷重を打ち消す力を適切に調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−15108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のギヤポンプでは、ピストン130,140とカバー122の嵌合部に狭いながらも隙間があるため、高圧導入路123,124の圧油がギヤポンプの低圧側へ漏れる。このため、ギヤポンプの吐出流量が減少して、容積効率が低下するという問題がある。
【0006】
このようなギヤポンプでピストン130,140とカバー122の嵌合部の隙間からの油漏れを減らすためには、ピストン130,140が長い方が望ましいが、ピストン130,140を長くするとその分だけギヤポンプの全長が長くなる。
【0007】
そこで、この発明の課題は、簡単な構成で作動流体の漏れを防いで容積効率の低下を防止できるギヤポンプまたはギヤモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明のギヤポンプまたはギヤモータは、
ハウジングと、
上記ハウジング内に収納され、互いに噛み合う斜歯歯車であるドライブギヤおよびドリブンギヤと、
上記ドライブギヤの回転軸に働くスラスト荷重をキャンセルするように、高圧側からの作動流体により上記ドライブギヤの回転軸の端面を付勢する第1ピストンと、
上記ドリブンギヤの回転軸に働くスラスト荷重をキャンセルするように、高圧側からの作動流体により上記ドリブンギヤの回転軸の端面を付勢する第2ピストンと、
上記ハウジングに設けられ、上記第1ピストンが摺動可能に収納された第1シリンダ室と、
上記ハウジングに設けられ、上記第2ピストンが摺動可能に収納された第2シリンダ室と、
上記第1ピストンの外周と上記第1シリンダ室の内周との間をシールする第1シール部材と、
上記第2ピストンの外周と上記第2シリンダ室の内周との間をシールする第2シール部材と
を備え
上記第1ピストンの上記ドライブギヤの回転軸に対して周方向の回動を阻止する第1回り止め機構と、
上記第2ピストンの上記ドリブンギヤの回転軸に対して周方向の回動を阻止する第2回り止め機構と
を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、第1ピストンの外周と第1シリンダ室の内周との間を第1シール部材でシールすると共に、第2ピストンの外周と第2シリンダ室の内周との間を第2シール部材でシールすることによって、ドライブギヤ,ドリブンギヤの回転軸に第1,第2ピストンを付勢させる高圧側からの作動流体がポンプ低圧側へ漏れることがなくなる。すなわち、ポンプの吐出流量が減少することがなくなる。
【0010】
また、第1,第2シール部材(例えばOリング)によりシールすることにより、第1,第2シール部材でシールするのに必要な幅があればシールできるようになるため、第1,第2ピストンの全長を短くできる分、ギヤポンプ本体の全長も短くできる。
【0011】
【0012】
また、第1回り止め機構によって第1ピストンのドライブギヤの回転軸に対して周方向の回動を阻止すると共に、第2回り止め機構によって第2ピストンのドリブンギヤの回転軸に対して周方向の回動を阻止するので、第1,第2ピストンの回動により第1,第2シール部材が摩耗するのを防いで、シール性能を保つことができる。
【0013】
また、一実施形態のギヤポンプまたはギヤモータでは、
上記第1回り止め機構は、上記第1シリンダ室の上記ドライブギヤと反対の側に設けられた第1係合部と、上記第1ピストンの上記ドライブギヤと反対の側の端面に設けられ、上記第1ピストンの回動を阻止するように上記第1係合部に係止する第1係止部を有すると共に、
上記第2回り止め機構は、上記第2シリンダ室の上記ドリブンギヤと反対の側に設けられた第2係合部と、上記第2ピストンの上記ドリブンギヤと反対の側の端面に設けられ、上記第2ピストンの回動を阻止するように上記第2係合部に係止する第2係止部を有する。
【0014】
上記実施形態によれば、第1シリンダ室のドライブギヤと反対の側に設けられた第1係合部に第1係止部を係止して、第2シリンダ室のドリブンギヤと反対の側に設けられた第2係合部に第2係止部を係止することによって、簡単な構成で第1,第2ピストンの回動を阻止することができる。
【0015】
また、一実施形態のギヤポンプまたはギヤモータでは、
上記第1,第2回り止め機構の上記第1,第2係合部は、高圧側からの作動流体が導入される高圧導入路の開口部の少なくとも一部であって、
上記第1,第2回り止め機構の上記第1,第2係止部は、上記高圧導入路の開口部の少なくとも一部に係止する凸部である。
【0016】
上記実施形態によれば、第1シリンダ室の高圧導入路に高圧側から作動流体が導入されることによって、第1ピストンがドライブギヤの回転軸の端面をドライブギヤ側に向かって付勢する。また、第2シリンダ室の高圧導入路に高圧側から作動流体が導入されることによって、第2ピストンがドリブンギヤの回転軸の端面をドリブンギヤ側に向かって付勢する。このとき、第1,第2回り止め機構の第1,第2係止部が高圧導入路の開口部の少なくとも一部に係止するので、高圧導入路を作動流体の導入と第1,第2回り止め機構の両方に兼用でき、構成を簡略化できる。
【発明の効果】
【0017】
以上より明らかなように、この発明によれば、簡単な構成で作動流体の漏れを防いで容積効率の低下を防止できるギヤポンプまたはギヤモータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1はこの発明の実施の一形態のギヤポンプの断面図である。
図2図2は上記ギヤポンプの要部の拡大断面図である。
図3図3は上記ギヤポンプの第1ピストンの斜視図である。
図4図4は上記ギヤポンプの第2ピストンの斜視図である。
図5図5は従来のギヤポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明のギヤポンプまたはギヤモータを図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0020】
図1はこの発明の実施の一形態のギヤポンプの断面図を示している。
【0021】
この実施の一形態のギヤポンプは、図1に示すように、軸が平行でかつ一部が重なり合う2つの円筒空間を有するボディ10と、上記ボディ10内に所定の間隔をあけて配置された2つのベアリングケース20,20と、そのベアリングケース20,20間に配置された斜歯歯車であるドライブギヤ1(駆動ギヤ)と、ベアリングケース20,20間に配置され、ドライブギヤ1と互いに噛み合う斜歯歯車であるドリブンギヤ2(従動ギヤ)とを備えている。上記ボディ10に吸入ポート(図示せず)と吐出ポート(図示せず)を設けている。なお、上記ボディ10には、鋳鉄,アルミニウム合金等を用いている。また、上記ドライブギヤ1とドリブンギヤ2には、浸炭焼入れ鋼等を用いている。
【0022】
また、上記ボディ10内にドライブギヤ1とドリブンギヤ2の両側面を挟むように第1サイドプレート5と第2サイドプレート6を配置している。上記第1サイドプレート5と第2サイドプレート6によって、ドライブギヤ1,ドリブンギヤ2の側面と第1,第2サイドプレート5,6の表面とをシールし、吸入ポートに連通する低圧室および吐出ポートに連通する高圧室を形成している。また、ボディ10の図中左端をマウンティング21により覆うと共に、ボディ10の図中右側をカバー22で覆っている。上記ボディ10とマウンティング21とカバー22でハウジングを構成している。このハウジング内に、互いに噛み合う歯1a,2aを有するドライブギヤ1とドリブンギヤ2を収納している。
【0023】
上記ドライブギヤ1を駆動する第1回転軸11の一端(図1中右側)は、ベアリングケース20に軸受13Aを介して回転自在に支持され、第1回転軸11の他端(図1中左側)は、ベアリングケース20に軸受13Bを介して回転自在に支持されている。上記第1回転軸11の他端側の連結部11aがマウンティング21から突出し、その連結部11aに図示しないモータの駆動軸が連結される。また、上記ドリブンギヤ2の第2回転軸12の一端(図1中右側)は、ベアリングケース20に軸受14Aを介して回転自在に支持され、第2回転軸12の他端(図1中左側)は、ベアリングケース20に軸受14Bを介して回転自在に支持されている。図1中において、15はオイルシールである。
【0024】
また、上記ギヤポンプは、カバー22のドライブギヤ1の第1回転軸11の端面に対向する位置に設けられた第1シリンダ室22aと、カバー22のドリブンギヤ2の第2回転軸12の端面に対向する位置に設けられ第2シリンダ室22bと、第1シリンダ室22a内に軸方向に摺動可能に収納された第1ピストン30と、第2シリンダ室22b内に軸方向に摺動可能に収納された第2ピストン40と、第1ピストン30の外周と第1シリンダ室22aの内周との間をシールする第1シール部材31と、第2ピストン40の外周と第2シリンダ室22bの内周との間をシールする第2シール部材41とを備える。この実施の形態では、第1,第2シール部材31,41として、第1ピストン30に設けられた嵌合溝と第2ピストン40に設けられた嵌合溝に夫々嵌合されたOリングを用いている。
【0025】
図2は上記ギヤポンプの要部の拡大断面図を示している。図2において、図1に示す同一構成部には同一参照番号を付している。
【0026】
図2に示すように、第1シリンダ室22aのドライブギヤ1(図1に示す)と反対の側に、高圧導入路の一例としての吐出圧導入路23を設けている。また、上記第2シリンダ室22bのドリブンギヤ2(図1に示す)と反対の側に、高圧導入路の一例としての吐出圧導入路24を設けている。上記吐出圧導入路23,24は、吐出ポートに連通している。
【0027】
また、図3は上記ギヤポンプの第1ピストン30の斜視図を示し、図4は第2ピストン40の斜視図を示している。
【0028】
図1,図2に示す吐出圧導入路23に高圧側からの作動流体が導入されることによって、第1ピストン30は、ドライブギヤ1の第1回転軸11に働くスラスト荷重をキャンセルするように、ドライブギヤ1の第1回転軸11の端面を付勢する。また、図1,図2に示す吐出圧導入路24に高圧側からの作動流体が導入されることによって、第2ピストン40は、ドリブンギヤ2の第2回転軸12に働くスラスト荷重をキャンセルするように、ドリブンギヤ2の第2回転軸12の端面を付勢する。
【0029】
上記第1シリンダ室22aのドライブギヤ1と反対の側に設けられた吐出圧導入路23(第1係合部)に、第1ピストン30のドライブギヤ1と反対の側の端面に設けられた第1係止部の一例としての凸部30a(図2,図3に示す)が係止することにより、第1ピストン30の回動を阻止する。
【0030】
また、上記第2シリンダ室22bのドリブンギヤ2と反対の側に設けられた吐出圧導入路24(第2係合部)に、第2ピストン40のドリブンギヤ2と反対の側の端面に設けられた第2係止部の一例としての凸部40a(図2,図4に示す)が係止することにより、第2ピストン40の回動を阻止する。
【0031】
上記構成のギヤポンプにおいて、図1に示すように、ドライブギヤ1に連結された第1回転軸11の回転によりドライブギヤ1が回転すると、ドリブンギヤ2が第2回転軸12を軸中心に回転する。そうして、吸入ポートから吸入された流体が、ドライブギヤ1,ドリブンギヤ2の歯1a,2aによって吐出ポートに連通する高圧室側に送り出される。
【0032】
このとき、第1ピストン30の外周と第1シリンダ室22aの内周との間を第1シール部材31でシールすると共に、第2ピストン40の外周と第2シリンダ室22bの内周との間を第2シール部材41でシールすることによって、ドライブギヤ1,ドリブンギヤ2の第1,第2回転軸11,12に第1,第2ピストン30,40を付勢させる高圧側の作動流体がポンプ低圧側へ漏れることがなくなる。すなわち、ポンプの吐出流量が減少することがなくなる。
【0033】
また、第1,第2シール部材31,41(例えばOリング)によりシールすることにより、第1,第2シール部材31,41でシールするのに必要な幅があればシールできるようになるため、第1,第2ピストン30,40の全長を短くできる分、ギヤポンプ本体の全長も短くできる。
【0034】
また、上記第1回り止め機構によって第1ピストン30のドライブギヤ1の第1回転軸12に対して周方向の回動を阻止すると共に、第2回り止め機構によって第2ピストン40のドリブンギヤ2の第2回転軸12に対して周方向の回動を阻止する。これにより、第1,第2ピストン30,40が回転して第1,第2シリンダ室22a,22bの内面との摺動による第1,第2シール部材31,41の摩耗を防いで、シール性能を保つことができる。
【0035】
また、上記第1シリンダ室22aのドライブギヤ1と反対の側に設けられた吐出圧導入路23(第1係合部)に凸部30a(第1係止部)を係止して、第2シリンダ室22bのドリブンギヤ2と反対の側に設けられた吐出圧導入路24(第2係合部)に凸部40a(第2係止部)を係止することによって、簡単な構成で第1,第2ピストン30,40の回動を阻止することができる。
【0036】
また、上記第1シリンダ室22aの吐出圧導入路23(高圧導入路)に高圧側から作動流体が導入されることによって、第1ピストン30がドライブギヤ1の第1回転軸11の端面をドライブギヤ1側に向かって付勢する。また、第2シリンダ室22bの吐出圧導入路24(高圧導入路)に高圧側から作動流体が導入されることによって、第2ピストン40がドリブンギヤ2の第2回転軸12の端面をドリブンギヤ2側に向かって付勢する。このとき、第1,第2回り止め機構の凸部30a,40a(第1,第2係止部)が吐出圧導入路23,24(高圧導入路)の開口部の一部に係止するので、吐出圧導入路23,24を作動流体の導入と第1,第2回り止め機構の両方に兼用でき、構成を簡略化できる。
【0037】
上記実施の形態では、ギヤポンプについて説明したが、ギヤモータに関しても作用が反対であるだけで構造は同様であるため、本発明を適応できる。
【0038】
また、上記実施の形態では、第1,第2シール部材31,41として、第1ピストン30に設けられた嵌合溝と第2ピストン40に設けられた嵌合溝に夫々嵌合されたOリングを用いたギヤポンプについて説明したが、第1,第2シール部材をハウジング側に設けてもよく、第1ピストンの外周と第1シリンダ室の内周との間や第2ピストンの外周と第2シリンダ室の内周との間をシールする第1,第2シール部材であればよい。
【0039】
また、上記実施の形態では、第1,第2回り止め機構の凸部30a,40a(第1,第2係止部)が吐出圧導入路23,24(高圧導入路)の開口部の一部に係止するようにしたが、第1,第2回り止め機構はこれに限らず、第1,第2ピストンの外周にスプライン構造を設けたり、第1,第2シリンダ室の高圧導入路側から第1,第2ピストンの偏心位置に出没自在に挿入されたピンを設けたりしてもよい。
【0040】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…ドライブギヤ
1a…歯
2…ドリブンギヤ
2a…歯
5…第1サイドプレート
6…第2サイドプレート
10…ボディ
11…第1回転軸
11a…連結部
12…第2回転軸
13A,13B,14A,14B…軸受
15…オイルシール
20…ベアリングケース
21…マウンティング
22…カバー
22a…第1シリンダ室
22b…第2シリンダ室
23,24…吐出圧導入路
30…第1ピストン
30a…凸部
31…第1シール部材
40…第2ピストン
40a…凸部
41…第2シール部材
図1
図2
図3
図4
図5