(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行車体(2)の後側に苗植付部(4)を昇降可能に装着し、苗植付部(4)には昇降用モータ(114)により収納位置と作業位置とに昇降可能な整地ロータ(27)を設け、次行程における機体進路を表土面に線引きする線引きマーカ(48)を設け、整地ロータ(27)を収納位置に上昇させ且つ整地ロータ(27)を非駆動状態にし且つ線引きマーカ(48)を旋回に連動して作動させる自動状態にする第一の状態と、整地ロータ(27)を作業位置に下降させ且つ整地ロータ(27)を駆動状態にし且つ線引きマーカ(48)を作動させない切り状態にする第二の状態とに切り換えるスイッチ(165)を設けた苗移植機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び
図2は本発明の苗移植機の典型例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが苗移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0019】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0020】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0021】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(
図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0022】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
一方の側(
図2には左側の例を示す)の予備苗載台38はそれぞれ傾斜支持部材で三段に構成されている。最上段の第1予備苗載台38aの中央部側面と第2予備苗載台38bの最前部側面がそれぞれ回動自在に第1移動リンク部材39aの両端で支持され、また最上段の第1予備苗載台38aの最後部側面と第2予備苗載台38bの中央部側面と第三予備苗載台38cの最前部側面がそれぞれ回動自在に第2移動リンク部材39bの両端と中央部に支持され、また第2予備苗載台38bの後部側面と最下段の第三予備苗載台38cの最前部側面とがそれぞれ回動自在に第三移動リンク部材39cの両端で支持されている。
【0023】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0024】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ48(
図1,
図2)等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0025】
また植付装置52の作動及び停止を隣接する2条づつの単位で切り替える植付ユニットクラッチ130が設けられている。このクラッチ130は、畦際での作業時に「切」に操作されることが多いことから、通常「畦クラッチ」と呼んでいる。畦クラッチ130の入・切操作は、ハンドルポストに設けた畦クラッチレバー14で行う。
【0026】
本実施例の伝動ケース50内には、苗植付装置52、…の作動を2条づつの単位で入り・切りする計3個の畦クラッチ130が設けられている。
図3には畦クラッチ130と苗送りベルト51bへの動力伝動入切装置の要部の背面図を示す。畦クラッチレバー14で作動制御される畦クラッチ作動用のケーブル131は苗植付部4までは3本(6条植えの場合)であるが、本実施例では該ケーブル131を作動させると同時に苗送りベルト51bを作動させ、また同時に非作動させる構成にする。
【0027】
苗載台51の裏面に配置される図示しないフレームには畦クラッチ作動用の3つの畦クラッチ操作部133をそれぞれ固定し、該畦クラッチ操作部133にはそれぞれ揺動アーム134を設け、該揺動アーム134の中心部を回転支点として、該アーム134の一端に各畦クラッチ作動用のケーブル131を連結する。また揺動アーム134の他端に苗送りベルト51b作動用のケーブル135の先端を固定する。
【0028】
また、
図4には畦クラッチ130とその作動用のケーブル131の接続部を示し、
図5には苗送りベルト51bとその作動用のケーブル135の接続部を示す。伝動ケース50内に設けられた畦クラッチ130は苗植付装置52の伝動軸52bに固着した駆動側クラッチ体137と該クラッチ体137のクラッチ歯137aと係脱自在のクラッチ歯138aを有する受動側クラッチ体138を備えており、該受動側クラッチ体138はスプリング139とスプロケット140とワッシャ141により常時伝動軸52b側に付勢されており、常時は畦クラッチ130は作動状態にある(畦クラッチケーブル131を引いた状態)。
【0029】
受動側クラッチ体138の側面にはクラッチピン溝138bが設けられており該溝内にケーブル131の先端に接続された畦クラッチピン144が挿脱自在に設けられている。畦クラッチピン144は伝動ケース50の壁面の穴を貫通するように穴内に設けられ、かつスプリング143でケース50の壁面からケース50の内側に突出自在になっている。従ってケーブル131を引くと畦クラッチピン144は受動側クラッチ体138のクラッチピン溝138bから引き抜かれる方向に移動される。畦クラッチピン144は受動側クラッチ体138のクラッチピン溝138b内を所定の引き抜き量で引き抜かれると、スプリング143の付勢力により畦クラッチ130が「入」となる。畦クラッチ130は苗の植え付けを行わない時(畦クラッチ130:「切」)は定位置停止クラッチとなっており、ケーブル131を引くと畦クラッチ130が「入」となる。
【0030】
畦クラッチ130を切にするときは、ケーブル131が弛められるので、圧縮スプリング143の付勢により畦クラッチピン144がクラッチピン溝138bに入り、その状態で受動側クラッチ体138が回転することにより、クラッチピン溝138bの案内により受動側クラッチ体138が圧縮スプリング139に抗して徐々に該圧縮スプリング139側に移動し、受動側クラッチ体138の所定の回転位置(クラッチピン溝138bの回転方向端部に畦クラッチピン144が位置する状態)でクラッチ歯137a、138aの係合が初めて外れ、受動側クラッチ体138が定位置で停止する。
【0031】
なお、圧縮スプリング139の付勢力で、圧縮スプリング143が縮んで畦クラッチピン144がケーブル131側へ押し戻されることはない。
また、畦クラッチ130は定位置停止クラッチになっている。その理由は苗植付装置52の植付具を所定の位置で停止させる(一方の植付具は苗掻き取り直前で、他方の植付具は植え付けた後となる位相で停止させる)ためであり、該植付具が苗を保持したまま停止しないようにしているためである。ちなみに、受動側クラッチ体138と一体回転するスプロケット140から苗植付装置52の伝動軸52bへのチェーン146による伝動比は、2分の1に減速されており、苗植付装置52の作動周期は前記伝動軸52bの1回転の2分の1(半回転)であるから、受動側クラッチ体138による一箇所の停止位置に対して、苗植付装置52の伝動軸52bは180度位相が異なる2箇所で停止する構成としている。
【0032】
畦クラッチ130が「入」となると、スプロケット140に係止しているチェーン146が駆動され、苗植付装置52が作動する。
また、
図3に示す構成で揺動アーム134の矢印A方向への揺動で畦クラッチ作動用のケーブル131を畦クラッチ130を作動側に動かすことで、同時に苗送りベルト51b作動用のケーブル135を苗送りベルト51bを作動側に動かすことができる。
【0033】
図5には苗送りベルト51bの作動部の構成を示す。ケーブル135はL字状のシフターアーム147の一端部に接続しており該シフターアーム147の他端部は苗送り駆動ローラ149の駆動側クラッチ体170に接続しており、ケーブル135の「入」、「切」側への動きに応じて駆動側クラッチ体170が「入」、「切」に切り替わる構成になっている。駆動側クラッチ体は苗送りローラ149にクラッチ歯149a、170aを介して係脱可能な構成であり、苗送り駆動ローラ149の駆動側クラッチ体170とは反対側には隣接条の苗送り駆動ローラ149に常時噛合したクラッチ歯149b、149cを介して接続している。苗送り駆動ローラ149の並列位置に苗送り従動ローラ171があり、これらのローラ149、171間には苗送りベルト51bが巻かれている。
【0034】
従って、畦クラッチ作動用のケーブル131が畦クラッチ130の受動側クラッチ体138を作動・非作動に切り換えることで苗送りベルト51bの駆動側クラッチ体を作動・非作動に切り換えることができる。こうして
図3に示す構成で揺動アーム134の矢印A方向への揺動で畦クラッチ作動用のケーブル131を畦クラッチを作動側に動かし、同時に苗送りベルト51b作動用のケーブル135を苗送りベルト51bを作動側に動かすことができ、揺動アーム134の矢印A方向の反対方向への揺動で畦クラッチ作動用のケーブル131を畦クラッチ130を非作動側に動かし、同時に苗送りベルト51b作動用のケーブル135を苗送りベルト51bを非作動側に動かすことができる。
【0035】
すなわち、各畦クラッチレバー14の作動で畦クラッチ130と苗送りベルト51bを同時に作動させることができ、また同時に非作動とさせることができる。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0036】
苗植付部4には整地装置Aの一例であるロータ27(第1ロータ27a,第2ロータ27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0037】
図6の側面図と
図7の背面図にロータ支持構造の要部を示し、
図8にロータ27とフロート55,56と苗植付装置52部分の要部平面図を示す。
ロータ支持構造には、苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられている。該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(第1ロータ27a,第2ロータ27b)の駆動軸70(第1駆動軸70a,第2駆動軸70b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
【0038】
図8に示すように、フロート55,56との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にある第2ロータ27bはサイドフロート56の前方にある第1ロータ27aより前方に配置されている。そのため後輪11のギアケース18内のギアから自在継手72を介して左側の第1ロータ27aを駆動する第1駆動軸70aへ動力が伝達され、さらに第1駆動軸70aに内側の端部に設けられた図示しないベベルギアから、該ベベルギアに噛合するベベルギア(図示せず)を端部に有し、左側の伝動ケース73内に配置される伝動軸に動力が伝達され、該伝動軸から第2ロータ27bを固着した第2駆動軸70bに動力が伝達される。また第2駆動軸70bの右側端部に設けられたベベルギアを介して、右側の伝動ケース73内に配置される伝動軸に動力が伝達され、該伝動軸から右側の第1ロータ27aを固着した第1駆動軸70aに動力が伝達される。なお、第1ロータ27aと第2ロータ27bの両方を言うときは単にロータ27ということがある。
【0039】
また、第2ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
該一対のリンク部材76,77は梁部材66に一端部が固着支持された第1リンク部材76と該第1リンク76の他端部に一端が回動自在に連結した第2リンク部材77からなり、該第2リンク部材77の他端部と補強部材74に回動自在に支持された取付片74aとの間に前記スプリング78が接続している。
【0040】
またロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向(
図7の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動すると、突出部66aの前記回動により第1リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第1リンク部材76の上方への回動により第2リンク部材77とスプリング78を介して第2ロータ27bを上方に上げることができる。第2ロータ27bを上方に移動させると、第2駆動軸70bと第1駆動軸70aを介して第1ロータ27aも同時に上方に移動する。
【0041】
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、第1ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
また、梁部材66にはクラッチレバーを兼ねるロータ収納用レバー84が固着しており、該レバー84を矢印T方向(
図6)に回動すると梁部材66の回動に連動して支持アーム67が同じく矢印T方向に回動する。該支持アーム67の矢印T方向への回動で該ロータ支持フレーム68が上方に移動するので、第1、第2ロータ27a,27bを収納位置、すなわち苗載台51の裏面側に収納状態となるように移動させることができる。
【0042】
本実施例ではロータ上下位置調節レバー81の低速位置で圃場面より45mmの高さにあるロータ27a,27bを
図7の矢印S方向への回動で低速位置より最大15mm高くでき、
図7の矢印S方向の反対方向への回動で低速位置より最大15mm低くできるように設定している。
【0043】
また、
図1に示すようにロータ27の後ろ上方には第1ロータカバー37a、第2ロータカバー37bを設けてフロート55,56上に泥が掛からないようにしている。
図8に示すように、左右の第1ロータ27a,27aと中央の第2ロータ27bを互いに前後に偏位させて配置し、両第1ロータ27a,27b間の前後方向に延びる一対の伝動ケース73,73が配置されるが、該伝動ケース73,73は機体平面視で前後傾斜状に配置されている。機体平面視で一対の伝動ケース73,73の互いの前側の幅が後側の幅より小さくなるように構成されている。
【0044】
一対の伝動ケース73,73の前部には、該ケース73,73より左右内側に第2ロータ27bが配置され、また一対の伝動ケース73,73の後部には、該ケース73,73の外側に第1ロータ27a,27aがそれぞれ配置されている。
【0045】
従って、ロータ27が田植機1ひいては田植機1の植付位置の左右方向全幅にわたり、まんべんなく配置されることになり、圃場の整地幅が広くなり、整地性の向上が図れる。
本実施例の構成ではロータ27(第1ロータ27aと第2ロータ27bの組み合わせを単にロータ27ということがある)の回転速度を低速と高速の2段階に切り換え可能にしている。そのために後輪ギヤケース18に連接しているロータ変速装置ケース19内に第1ロータ27a,第2ロータ27bの回転速度を低速と高速の2段階に
切り換え可能にしたロータ変速装置Bが開示されている。
【0046】
上記ロータ27の2段切換クラッチ機構の構成図は平面展開断面図(
図9(a))と
図9(a)の矢印S方向から見た正面図(
図9(b))に示す。
ロータ変速装置ケース19内には後輪ギヤケース18からの動力入力軸64と該入力軸64と平行位置に配置されるロータ軸69と、入力軸64とロータ軸69にそれぞれ一対固着された低速用スプロケット83,85と高速用スプロケット86,87と、前記低速用スプロケット83,85同士、前記高速用スプロケット86,87同士にそれぞれ掛け渡されるチェーン89,90、ロータ軸69に固着された低速用スプロケット85と高速用スプロケット87の間のロータ軸69の軸上に遊嵌された移動用クラッチ体91と、該クラッチ体91に常時係止しているシフタ92が装着されている。またクラッチ体91の両側面に爪91a,91bが設けられ、ロータ軸69上の低速用スプロケット85と高速用スプロケット87のクラッチ体91に対向する側面にはそれぞれ爪85a,87aが設けられ、クラッチ体91の両側の各爪91a,91bは低速用スプロケット85と高速用スプロケット87の各爪85a,87aがそれぞれ係止可能になっている。
【0047】
なお、ロータ軸69には自在継手72(
図8)に接続しており、該自在継手72を経由してロータ27を駆動させる。
シフタ92は、ロータ軸69の隣接位置でロータ軸69と平行位置に配置され、シフタ92上に巻き付けられた圧縮スプリング93により常時シフタ92の低速用スプロケット85と高速用スプロケット87と係止しない位置に保持されるように付勢されている。
【0048】
ロータ変速装置ケース19の外側に突出するシフタ92に対向する位置にロータ変速装置ケース19に固着したカバー102に設けられる回動支点に回動自在に支持されたシフタ操作アーム95が取り付けられている。該シフタ操作アーム95の一端はロータ変速装置ケース19の外部に延出したシフタ92に係止されている。シフタ操作アーム95は前記シフタ92に取り付けられたスプリング93の付勢力に抗してシフタ92を摺動させることができる構成である。
【0049】
シフタ92を操作する操作アーム95の回動支点95aに対して一側には高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96aが連結し、前記回動支点95aに対して他側には低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97aが連結している。高速用操作ケーブル96のアウター96b及び低速用操作ケーブル97のアウター97bを取付用回動支点99aの周りの回動で移動可能な取付用アーム99に取り付ける。取付用アーム99にはロータの駆動を入切する駆動入切用操作ケーブル100のアウター100bを取り付け、駆動入切用操作ケーブル100のインナーワイヤ100aを機体側の固定部材101に移動しないように連結する。
【0050】
駆動入切用操作ケーブル100の作動はロータ高さ調節レバー106の作動で機体に一端が固定されたインナーワイヤ100aの他端がアウター100bに対して引かれて駆動入切用操作ケーブル100のアウターワイヤ100bが矢印C方向(
図9(a))に動き、この動きに連動する取付用アーム99が
図9(b)の矢印D方向に回動することで高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛み、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータを駆動させない中立位置に動く。
【0051】
図10には苗植付部4の昇降リンク40,41と後輪ギヤケース18付近の側面図を示すが、昇降リンク連動アーム108を苗植付部4の上昇動作させる上リンク40と下リンク41のいずれか(
図10に示す例では下リンク41)に設けているので、苗植付部4の昇降スイッチ(図示せず)が上昇操作されると昇降リンク40,41が上昇し、この上昇動作に連動して前記ロータ高さ調節レバー106の作動時と同様に、昇降リンク連動アーム108が作動して駆動入切用操作ケーブル100が引かれ、駆動入切用操作ケーブル100のアウターワイヤ100bが矢印C方向(
図9(a))に動き、この動きに連動する取付用アーム99が
図9(b)の矢印D方向に回動することで高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛み、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータを駆動させない中立位置に動く。こうして苗植付部4を上昇させたときには、ロータ27が高速又は低速ポジションに設定したままで誤作動されることが防止できる。
【0052】
なお、駆動入切用操作ケーブル100はロータ高さ調節レバー106及び昇降リンク連動アーム108に連結するように途中の分岐部116で2本に分岐している。
また、
図10に示すように高速用操作ケーブル96及び低速用操作ケーブル97を操作するロータ変速操作装置であるロータ変速レバー105を操縦座席31の近くに配置している。従って、ロータ変速レバー105を高速側又は低速側に切換操作すると、該レバー105に接続した高速用操作ケーブル96又は低速用操作ケーブル97のインナー96a又はインナー97aが引っ張られててシフタ操作アーム95が動き、該シフタ操作アーム95の動きに連動するシフタ92が高速側のスプロケット87又は低速側のスプロケット85を作動させてロータ軸を高速又は低速回転させ、第1ロータ27aと第2ロータ27bが高速又は低速回転することになる。
【0053】
ロータ変速装置Bのシフタ92の部分に泥が付着することによる作動不良を解消するために、シフタ操作アーム95、ケーブル96,97,100のインナーワイヤ96a,97a,100aと取付用アーム99及び固定部材101を覆うカバー102を設け、該カバー102でシフタ92の操作アーム95の回動支点95aの軸及び取付用アーム99の軸の軸受けと兼用した。
【0054】
また、前述のように苗植付部4が上昇すると自動的にロータ27が自動的に回転停止位置(中立位置)に戻るようにした構成において、
図10に示すように苗植付部4が上昇すると
図10に示すようにロータ変速レバー105がロータ変速装置Bを自動的に高速側から低速側に移動させる位置に復帰する。なお、苗植付部4の上昇時にロータ変速レバー105が前記低速位置に移動しても、前述のように、駆動入切用操作ケーブル100の作動に連動する取付用アーム99により高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛んでいるので、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータ27を駆動させない中立位置に保持される。
【0055】
また、苗植付部4が上昇中に畦クラッチ130を「入」にしてくことで、次の条分の苗を植え付けるときに畦クラッチ130を「入」にすることを忘れる不具合を防止できる。
すなわち、圃場での作業機が一条分の苗を植え付けで畦際に来ると畦クラッチ130を「切」として圃場を旋回する。そして旋回を終了した時点で苗植付部4を圃場に降ろして次の条分の苗を植え付けるときに畦クラッチ130を「入」にすることを忘れやすく、そのまま苗を圃場に植え付けないに作業機を前進させるおそれがある。そのため苗植付部4が上昇すると畦クラッチ130を「入」にしておく。
【0056】
そのために、
図10に示すように苗植付部4が上昇すると昇降リンク連動アーム108に引かれたケーブル110が畦クラッチ(植付ユニットクラッチ)レバー14を操作して畦クラッチ130を「入」状態にする。
【0057】
なお、苗植付部4の上昇時に畦クラッチ130を「入」しておいても、苗植付部4の上昇時には苗植付ギヤケース25から苗植付部に動力伝達がされていないので苗植付部4が作動することはない。
【0058】
上記ロータ変速装置Bは、ロータ27の回転速度を高速状態と低速状態に切り換え可能であるが、ロータ変速装置Bのクラッチ体91を高速用スプロケットと低速用スプロケットの係合しない中立状態に維持することで可能となり、別途クラッチ機構を設ける必要が無い。
【0059】
従来のロータ27は、ロータ27の回転速度が後輪11の周速に対して約1.7倍前後と一定であり、この回転比は苗の植付速度が最大となる状態で作業を行っても、隣接条への水押しや泥押しの影響が出ない様に設定しているため、枕地でロータ27の圃場の均平化処理で凹凸の多い圃場面を低速で走行する場合には十分な均平が得られないことがあった。
【0060】
そこで、
図9に示すロータ27回転速度の高速と低速の切り換え可能にして圃場の均平化処理が効果的に行えるようにすることができるが、
図11にはロータ27変速装置のロータ27の回転速度の高速と低速の切り換えを電動モータ113により行う構成を示す。
【0061】
図11に示す構成は
図9に示すケーブル96,97,100に代えて電動モータ113を用いてシフタ操作アーム95を作動させるための構成であり、電動モータ113により作動する回動軸に固着した回動アーム118とその回転軸を挟んで互いに反対側にそれぞれ一端を係止させたスプリング117からなり、該スプリング117の他端をシフタ操作アーム95に係止させた構成である。
【0062】
この場合は表1に示すように、畦クラッチレバーセンサ159で畦クラッチ130が「切」であると検知されると枕地処理中であると判断して、畦クラッチ130の「切」時は制御装置200はモータ113を作動させてロータ変速装置Bによりロータ27を高速回転にして圃場の荒れを素早く直し、畦クラッチ「入」時は電動モータ113により素早く低速回転に切り換える。
【0063】
【表1】
上記電動モータ113を用いて行うロータ27の回転速度の二段切換は、旋回後の苗の植始めの位置を後輪11の回転数に基づいて自動的に行う制御モード(自動植付開始モードの設定ができる構成を備えている作業機において、有効に活用できる。
【0064】
この制御モード設定は旋回開始タイミングをハンドル34の旋回角度センサ161で検知し、該旋回角度センサ161で検知した旋回開始時からの走行距離を車輪(旋回内側に後輪)の回転数に基づき測定し、前記走行距離が所定値に達すると畦クラッチ(苗植付)レバー14の操作をしなくても、制御装置の指令で電動モータ113が作動することより自動的に苗の植え付けを開始する自動植付開始モードである。
【0065】
表2に示すように枕地処理では、車速センサ157により検知される車速がゼロから比較的低速であるときは制御装置200はモータ113を作動させてロータ変速装置Bによりロータ27を高速側で回転させ、低速走行でも十分に圃場の均平化処理できるようにし、車速が比較的低速で走行中は自動的にロータ27を高速で回転させて、圃場表面をよりきれいな仕上がり面とする。
【0066】
【表2】
さらに、上記電動モータ113を用いて行うロータ27の2段の回転速度の切り換えは、エンジンの回転センサー162で検知できるエンジン回転数がアイドリング時から低速状態にあるときは、制御装置200はモータ113を作動させて表3に示すようにロータ変速装置Bによりロータ27を高速回転にし、中速回転以上になるとロータ27回転を低速に自動的に切り換える様にしてもよい。
【0067】
【表3】
この場合は、低速走行時は自動的にロータ27の回転が高速になるために、よりきれいな仕上がりが得られる。
【0068】
図示しないが、ロータ27の回転速度の2段切換用のロータ変速レバー105を畦クラッチレバー14(
図2参照)と共用とすることもできる。畦クラッチレバー14として作用させるために、該ロータ変速レバー105の中間部に畦クラッチ130を入/切するためのケーブル110の端部を接続してもよい。
【0069】
この場合は、通常の苗植付時にはロータ27を低速回転させ、枕時での苗植付時にはロータ27を高速回転させることが多いので、通常の苗植付時には上記ロータ変速レバー105が邪魔にならないように下向きになるようにする。
【0070】
なお、畦クラッチレバー14は、例えば6条植の苗移植機では3本(複数本)あり、これらの畦クラッチレバー14は通常の畦クラッチレバー14として機能させるとともに、これらの畦クラッチレバー14の内、どの畦クラッチレバー14を畦クラッチ130の「切」位置に操作してもロータ27を高速回転となる構成にすればよい。このとき、何れかの畦クラッチレバー14が畦クラッチ130の切り側に操作されたことを畦クラッチレバーセンサ159で検出すると電動モータ113でロータ変速装置Bを高速側に切り換えてロータ27を高速回転させる。
【0071】
図12に一部断面図で示すロータ変速装置Bは、該変速装置Bのケース(ロータ出力軸ケース)19の内部に設けられる伝動機構として一対の互いに直交する方向に設けられた入力軸64とロータ軸69にそれぞれ二段の径の異なるベベルギヤの組を設け、キー127の切換により、小径ベベルギヤ121,122の組か大径のベベルギヤ123,124の組のいずれかの組み合わせによりロータ27の回転数の切換を行う構成である。キー127をロータ軸69に沿って摺動することで、二段の径の異なるベベルギヤ121,122の組か大径のベベルギヤ123,124の動力伝動系を切り換える。
【0072】
例えばロータ軸69にあるキー部分の構成を示す一部断面図であるが、キー127をロータ軸69に沿って摺動させるために、移動体128の溝128aにロータ変速レバー105で操作されるピン129が出入させて、キー127をベベルギヤ123またはベベルギヤ121に出力軸125から動力を伝達する。
【0073】
図13に示す電動モータ114を使用するロータ整地装置Aでは、ロータ27を有する乗用田植機において、畦クラッチ「入」時(通常植付作業)は、ロータ27は収納位置で「切」とし、畦クラッチ「切」(枕地植付作業)でロータ27は作動位置で「入」としてロータ27で整地作業を行う。
【0074】
すなわち、第1ロータ27a,第2ロータ27bの上下位置の調節は、例えば畦クラッチレバー14(
図2)が操作されると、該レバー14の操作位置を畦クラッチレバーセンサ159(
図14)の検出値により行われる。すなわち、畦クラッチレバー14の操作位置に対応した梁部材66を回動させるロータ整地装置昇降用モータ(ロータ昇降用モータ)114(
図13)の作動量を制御部がコントロールする。
【0075】
次に別
の構成例を説明する。前記電動モータ114を使用するロータ整地装置Aと前記した旋回後の苗の植始めの位置を後輪11の回転数に基づいて自動的に行う制御モード(自動植付開始モードの設定ができる構成)を備えている作業機においては、自動植付開始モードが作動中はロータ27を収納位置に配置してロータ27を「切」とし、自動植付開始モードが非作動中はロータ27を「入」にしてロータ27による整地作業が行えるようにしている。
【0076】
図15に示す座席31の近傍に配置される操作盤150には作業機の旋回時に苗植付部4を自動的に上昇させる制御機構として、ハンドル34を左右いずれかの方向に200度回転させたときに自動リフト切換スイッチ151をオンにしていると制御装置200(
図14)による指令で油圧装置(図示せず)が作動して油圧シリンダ46を作動させて苗植付部4を上昇させる構成を備えている。
【0077】
そして前記自動リフト切換スイッチ151をオンとすると
図13に示すロータ昇降用モータ114が作動してロータ27を収納状態に上昇させると共に
図11に示すロータ変速装置作動用モータ(ロータ変速用モータ)113がロータ27の非作動状態(中立位置)に移動させる制御構成を備えている。
【0078】
また、自動リフト切換スイッチ151をオフ状態であるとロータ昇降用モータ114がロータ27を作業位置に下降させると共にロータ変速用モータ113がロータ27を作動状態(高速位置又は低速位置)に移動させる。
【0079】
さらに上記実施例とは異なる実施例を説明する。本実施例は電動の線引きマーカ48(
図1,
図2)を備えた作業機における線引きマーカ48の作動装置とロータ27の昇降用モータ114及びロータ変速用モータ113との作動を関連付けた構成に関するものである。
【0080】
そして、上記線引きマーカ作動装置を機体の旋回に連動させて作動させる「自動」状態とマーカ48を一切作動させない「切」状態とに切り換えるスイッチ165を操作盤150(
図15)に設けている。
【0081】
スイッチ165を「自動」状態にすると、ロータ昇降用モータ114を作動させてロータ27を収納位置に上昇させると共に、ロータ変速用モータ113によりロータ27を非駆動状態にする。またスイッチ165を「切」状態にすると、ロータ昇降用モータ114を作動させてロータ27を作業位置に下降させると共に、ロータ変速用モータ113によりロータ27を駆動状態にする。
【0082】
スイッチ165により線引きマーカ48を「自動」状態にする操作を行うことで、電動の線引きマーカ48の「入」時はロータ27を収納位置で「切」とし、電動線引きマーカ48が「切」のときはロータ27が「入」になるようにできるので、一般的には圃場が荒れている枕地及び枕地近くでは、マーカ48を使わないが、そのマーカ48を使わないのに連動してロータ27を下降させて駆動し、荒れた圃場を整地しようとすることができる。
【0083】
ロータ変速用モータ113で2段切換作動が可能な
図11に示すロータ変速装置Bを有する作業機において、
図16に示すようにロータ27の高さ調整ダイヤル125を操作盤150に設けた実施例で採用してもよい。このロータ27の高さ調整ダイヤル125は、ロータ27を収納位置に上昇させる収納操作と、手動で作業時のロータ27の圃場面からの高さを調整出来る手動調整操作と植付深さを調節に連動して自動で作業時のロータ高さを設定できる操作を順次選択択出来る構成である。
【0084】
なお、前記苗植付深さの調節は、
図14に示す植付深さ調節ダイヤル158と前後進変速レバーセンサ166の操作量に応じて制御装置200によりセンタフロート55の上下方向の位置を植付深さモータ207(
図17)の駆動を制御して行う。
【0085】
すなわち、センタフロート55の前後にはそれぞれ前部アーム231と後部アーム218が回動自在に取り付けられており、後部アーム218の先端にはギヤ216aを備えたアーム216が固着している。該アーム216のギヤ216aは植付深さモータ207の駆動力で回転するギヤ214と噛合している。
【0086】
また、センタフロート55の前部には上向きの前部アーム231の基部が回動自在に接続し、アーム231の先端部は平行リンクの上側リンク221の中間部に回動自在に連結している。平行リンクの上側リンク221と下側リンク222は縦方向に設けられる小ロッド220と大ロッド223に平行移動自在に連結している。
【0087】
大ロッド223の上端部側にはフロート迎角センサ224が固定されている。また大ロッド223の下端部側にはスプリング226とアーム227の各下端部をそれぞれ連結した支持アーム225が回動自在に連結している。フロート迎角センサ224には揺動アーム228の基部が回動自在に連結し、揺動アーム228の先端にはアーム227の上端部が回動自在に連結している。また、スプリング226の上端部はケーブル230の下端部に接続し、該ケーブル230は大ロッド223と一体の取付板229に支持固定されている。また、平行リンクの下側リンク222には、ねじ付きアーム219の前端部が回動自在に連結し、ねじ付きアーム219の後端部がアーム216の中間部に回動自在に連結している。なお、ねじ付きアーム219の前端部のねじ部分でねじ付きアーム219の長さを調節可能になっている。
【0088】
上記構成からなるセンタフロート55が圃場面に対応して、その前後方向の傾きが変化するとポテンショメータからなるフロート迎角センサ224に回動自在に設けられた揺動アーム228の揺動角度に応じた出力がフロート迎角センサ224で検知できるのでフロート55の前後方向の傾斜角度が分かる。
【0089】
また圃場への苗の植付深さの調節量を植付深さ調節ダイヤル158で設定し、その植付深さの調節量に応じて制御装置200が植付深さモータ(図示せず)207を駆動させると、後部アーム218が矢印方向に回動するのでセンタフロート55の後部側の沈み込み量に応じて
図17には図示しない苗植付装置52の苗植付深さが決まる。
【0090】
圃場が凹凸が大きく、苗植付部4の昇降用の油圧バルブ(図示せず)が頻繁に動く時にはロータ27を作業位置に下降させて整地させる。一方、前記油圧バルブがあまり作動しないときは圃場表面が安定しているときであり、ロータ27を収納位置に上昇させるか又は上方寄りに動かしておいて、あまり整地作用させないようにしておくことで水のはき出しを少なくする。このような制御を制御装置200で行う構成とするが、畦際以外では水のはき出し防止のためにロータ27はあまり使わなくても良い。
【0091】
またロータ27を収納している時、畦植で収納のまま忘れてしまうことがあるが上記制御なら自動的にロータ27を作業状態にできる。
図18に示す実施例は、所定角度(位相)ごとにロータ片271を第1駆動軸70a,第2駆動軸70bに沿って左右に並べて構成される整地ロータ27において、隣接するロータ片271の位相が互いに異なるように設け、機体を格納するとき、第1駆動軸70aと第2駆動軸70bに沿ってロータ片271を内側に移動させて隣接するロータ片271が第1駆動軸70a,第2駆動軸70bの軸方向(左右方向)で重なり合うようにして、整地ロータ27の左右幅を縮小させる。こうして機体を車庫などに格納時にスペースを節約できる。
【0092】
圃場が深水状態であるとロータ27の両サイド側に水を押して隣接位置にある苗を倒してしまうことがある。そこで、
図19(a)のロータ側面図と
図19(b)のロータ平面図に示すように、所定角度(位相)ごとに設けたロータ片271を第1駆動軸70aと第2駆動軸70bの周りに均等に配置して左右に並べて構成されるロータ27において、左右最外側のロータ片271の内部に圃場の水を機体の左右内側へ送る送水羽根152を設ける。こうして送水羽根152があることでロータ27の両サイド側に水押しがなくなる。
【0093】
また、作業機の肥料ホッパ60から施肥ホース62を通ってフロート55,56に支持される作溝器160の施肥ガイドに肥料が散布されるが、
図18のフロート付近の平面図に示すように作溝器160が通過する部分のロータ27の径を他のロータ27の径より大きくする。こうして、作溝器160が通過する部分のロータ径の大きい部分で予め圃場がえぐられているので、作溝器が通過するとき圃場からの抵抗が小さくなるため整地性が良くなり、フロート55,56の整地性も良くなるため苗の植え付けが安定する。