(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記光源に供給する電流が目標電流値よりも大きい場合には前記スイッチング素子のオン時間を前記ピーク値の正弦波状を維持させたまま減少させ、前記光源に供給する電流が前記目標電流値よりも小さい場合には前記スイッチング素子のオン時間を前記ピーク値の正弦波状を維持させたまま増加させることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
前記第1インダクタを構成する巻き線と前記第2インダクタを構成する巻き線は、同一磁心に巻きつけられ、前記第1インダクタと前記第2インダクタは磁気的に結合した結合インダクタを構成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の点灯装置。
前記過電圧検出巻き線に直列に接続され、前記スイッチング素子がオフしたときに前記過電圧検出巻き線に発生する電圧が順方向電圧の向きとなるように設けられた第2整流素子と、
前記第2整流素子で整流された電圧を保持する電圧保持用コンデンサと、
を備え、
前記過電圧判定部は、前記電圧保持用コンデンサの電圧を前記過電圧閾値電圧と比較することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の点灯装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる点灯装置100の回路構成図である。点灯装置100は、交流電源1から電力の供給を受けて光源を点灯させる。点灯装置100は、整流回路2、コンバータ部3、制御部4を有する。整流回路2は交流電源1から入力した交流電圧を全波整流して直流電圧に変換する。この直流電圧は平滑されず、交流電源1の2倍の周波数を含むリプル電圧となる。
【0015】
本実施の形態1においては、光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いる。
【0016】
コンバータ部3は、フィルタコンデンサC1、第1インダクタL1、スイッチング素子SW1(例えばMOSFET)、直列コンデンサC2、第2インダクタL2、ダイオードD1、出力平滑コンデンサC3を備えている。コンバータ部3は、これらの回路素子によって構成されたSEPIC(Single Ended Primary Converter)回路を備えている。コンバータ部3の出力には、光源であるLED5が接続される。
【0017】
具体的には、第1インダクタL1は、1次巻き線L1aと、この1次巻き線L1aに磁気的に結合した2次巻き線L1bとを備えている。第1インダクタL1の1次巻き線L1aの一端は、フィルタコンデンサC1の一端に接続されている。フィルタコンデンサC1の他端は接地されている。
【0018】
スイッチング素子SW1は、ドレイン端子、ソース端子、およびこれらの端子間をスイッチングするゲート端子を備えている。スイッチング素子SW1は、ドレイン端子が第1インダクタL1の1次巻き線L1aの他端に接続し、第1インダクタL1を介してフィルタコンデンサC1と並列接続している。スイッチング素子SW1のソース端子はスイッチング電流検出抵抗R2の一端に接続し、スイッチング電流検出抵抗R2の他端は接地されている。
【0019】
直列コンデンサC2の一端は、スイッチング素子SW1のドレイン端子に接続されている。第2インダクタL2の一端は、直列コンデンサC2の他端に接続されている。第2インダクタL2の他端は接地されている。第2インダクタL2は、直列コンデンサC2を介してスイッチング素子SW1と並列接続されている。
【0020】
ダイオードD1のアノードが、第2インダクタL2の一端と直列コンデンサC2の他端の間に接続している。出力平滑コンデンサC3の一端は、ダイオードD1のカソードに接続している。出力平滑コンデンサC3の他端は接地されている。出力平滑コンデンサC3は、ダイオードD1を介して第2インダクタL2と並列に接続している。
【0021】
コンバータ部3は、制御部4の制御を受けて動作する。コンバータ部3は、整流回路が全波整流した直流電圧をLEDの点灯に適した電流および電圧に変換する。コンバータ部3は、制御部4の制御により入力電流波形を正弦波状で且つ交流入力電圧と同位相となるように動作し、力率改善を行う。
【0022】
なお、入力電圧分圧抵抗R1、スイッチング電流検出抵抗R2、および出力電流検出抵抗R3は、後述する制御部4がコンバータ部3を駆動制御する際に必要となる制御用信号を取り出すためのものである。これらの抵抗は、コンバータ部3のSEPIC回路としての動作には直接関係しない。
【0023】
制御部4は、誤差増幅器6、信号増幅器7、乗算器8、第1比較器9、第2比較器10、駆動信号生成部11、およびドライバ回路12を備えている。制御部4は、LED5を流れる電流が所定の電流値になるようにしつつ点灯装置100の入力電流波形が交流入力電圧と同位相で且つ正弦波となるように、スイッチング素子SW1を駆動する。
【0024】
出力電流検出抵抗R3には、出力電流(LED電流)に比例した電圧信号が発生する。誤差増幅器6は、出力電流検出抵抗R3に発生する電圧信号と、目標基準電圧E1を比較し、両者の差に応じた信号を出力する。出力電流検出抵抗R3に発生する電圧が目標基準電圧E1より高ければ、誤差増幅器6の出力電圧は低下していく。逆に、出力電流検出抵抗R3に発生する電圧が目標基準電圧E1より低ければ、誤差増幅器6の出力電圧は上昇していく。
【0025】
本実施の形態では、制御部4が信号増幅器7を備えている。出力電流検出抵抗R3に発生する電圧が小さく、誤差増幅器6の目標基準電圧E1と比較できない場合は、信号増幅器7を用いて出力電流検出抵抗R3で発生する電圧を増幅することが好ましい。この場合、誤差増幅器6は目標基準電圧E1と信号増幅器7の出力電圧を比較することとなる。これは例えば、目標基準電圧E1が予め内蔵され、パッケージ化された誤差増幅器を用いる場合で、目標基準電圧が固定で外部から変えられない場合に有効な手段である。
【0026】
なお、目標基準電圧が自由に選択でき、出力電流検出抵抗R3の発生電圧とマッチングが取れる場合は、信号増幅器7を設けなくともよい。その場合は、出力電流検出抵抗R3の発生電圧を直接に誤差増幅器6に入力すればよい。
【0027】
乗算器8は、誤差増幅器6の出力信号と、入力電圧分圧抵抗R1で発生する電圧信号を入力し、両者を乗算する。入力電圧分圧抵抗R1で発生する電圧信号は、整流回路2により全波整流された入力電圧を分圧したものである。乗算器8で得られた乗算結果は、制御部4の一部を構成する第1比較器9に基準電圧として入力される。
【0028】
第1比較器9の他方の入力には、スイッチング素子SW1に流れる電流を検出するスイッチング電流検出抵抗R2に発生する信号電圧が入力される。第1比較器9は、スイッチング電流検出抵抗R2に発生する信号電圧よりも乗算器8の出力信号電圧のほうが高い場合には、ロー信号(例えば0V)を出力する。また、第1比較器9は、乗算器8の出力信号電圧よりもスイッチング電流検出抵抗R2に発生する信号電圧の方が高い場合には、ハイ信号(例えば5V)を出力する。
【0029】
第2比較器10の入力には基準電圧E2が入力され、他方の入力には、2次巻き線L1bが接続される。2次巻き線L1bは、第1インダクタL1に設けられ、1次巻き線L1aと磁気的に結合している。基準電圧E2の電圧よりも2次巻き線L1bに発生する電圧の方が高い場合には、第2比較器10はハイ信号(例えば5V)を出力する。また、基準電圧E2の電圧よりも2次巻き線L1bに発生する電圧の方が低い場合には、第2比較器10はロー信号(例えば0V)を出力する。
【0030】
駆動信号生成部11は、リセット入力端子R、セット入力端子S、および出力端子Qを備えたフリップフロップ回路である。駆動信号生成部11のリセット入力端子Rには第1比較器9の出力が接続され、セット入力端子Sには第2比較器10の出力が接続される。駆動信号生成部11はこの第1比較器9と第2比較器10の出力信号に基づいてスイッチング素子SW1の駆動信号を生成し、出力端子Qから出力する。出力端子Qにはスイッチング素子を駆動するドライバ回路12に接続される。
【0031】
ドライバ回路12の出力はスイッチング素子SW1のゲート端子に接続される。ドライバ回路12は駆動信号生成部11の出力信号に基づいてスイッチング素子SW1を駆動するのに適切な信号とするため適宜信号増幅等を行い、スイッチング素子SW1を駆動する。
【0032】
駆動信号生成部11は、リセット入力端子Rにハイ信号が入力されると出力端子Qにロー信号を出力し、セット入力端子Sにロー信号が入力されると出力端子Qにハイ信号が出力されるように設計されている。駆動信号生成部11は例えば、論理回路(フリップフロップ回路)あるいはマイクロコンピュータ等で構成される。
【0033】
次に、実施の形態1にかかる点灯装置100の動作を説明する。
【0034】
点灯装置100に交流電源1が印加されると、整流回路2は交流電圧を全波整流し、直流電圧を生成する。フィルタコンデンサC1は、スイッチングリプルを除去する目的で設けられたものであり、ここでは全波整流され、電源周波数の2倍の周波数成分で脈動する電圧を平滑するためのものではない。したがってコンバータ部3には正弦波状に脈動する全波整流波形の電圧が印加される。
【0035】
定常状態におけるコンバータ部3の動作を説明する。スイッチング素子SW1がオンすると交流電源1は第1インダクタL1を介して短絡されるので、電源側から第1インダクタL1、スイッチング素子SW1の順で電流が流れ、第1インダクタL1にエネルギが蓄えられる。このとき、第1インダクタL1の電流は増加していく。
【0036】
また、同時に直列コンデンサC2に蓄えられた電圧が第2インダクタL2に印加される。このため、直列コンデンサC2、スイッチング素子SW1、第2インダクタL2の順に電流が流れ、直列コンデンサC2のエネルギが第2インダクタL2に蓄えられる。このとき、第2インダクタL2の電流は増加していく。
【0037】
次にスイッチング素子SW1をオフすると、第1インダクタL1に蓄えられたエネルギが放出され、第1インダクタL1、直列コンデンサC2、ダイオードD1、出力平滑コンデンサC3の順に電流が流れる。これにより、直列コンデンサC2と出力平滑コンデンサC3を充電することができる。
【0038】
また、同時に第2インダクタL2に蓄えられたエネルギが放出され、第2インダクタL2、ダイオードD1、出力平滑コンデンサC3の順に電流が流れる。これにより、出力平滑コンデンサC3を充電することができる。このように負荷側にエネルギを伝達して、最終的に出力平滑コンデンサC3からLED5に平滑された直流電流が供給され、LED5が発光する。
【0039】
次に、
図2の波形図を用いて、制御部4の動作を説明する。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる点灯装置100の動作を示す波形図である。
【0040】
(期間t0〜t1)
ここでは、コンバータ部3の動作が定常状態で、制御部4によりスイッチング素子SW1がオンした状態から説明する。スイッチング素子SW1がオンしたとき、スイッチング素子SW1に流れる電流は、第1インダクタL1の1次巻き線L1aに流れる電流と第2インダクタL2に流れる電流の合計電流である。
【0041】
第1インダクタL1に流れる電流と第2インダクタL2に流れる電流はともに増加していくため、スイッチング素子SW1に流れる電流も増加していく。このとき、第1インダクタL1の1次巻き線L1aには
図1の矢印の方向に電圧VL1aが印加され、第1インダクタL1の2次巻き線には矢印の方向に電圧VL1bが発生し、第2比較器10の入力側は負電圧となる。
【0042】
したがって、第2比較器10の基準電圧E2よりも電圧が低くなるため、第2比較器10の出力はロー信号が出力される状態となる。すなわち駆動信号生成部11のセット入力端子Sにはロー信号が入力される。
【0043】
また、スイッチング電流検出抵抗R2より検出される信号電圧は、第1比較器9に入力される乗算器8の出力電圧より低い。このため、第1比較器9の出力にはロー信号が出力される。すなわち駆動信号生成部11のリセット入力端子Rにはロー信号が出力される。
【0044】
(時刻t1)
スイッチング素子SW1に流れる電流が所定の値となり、スイッチング電流検出抵抗R2により検出される信号電圧が、第1比較器9に入力される乗算器8の出力電圧に達すると第1比較器9はハイ信号を出力する。
【0045】
(時刻t2)
ハイ信号が駆動信号生成部11のリセット入力端子Rに入力されると、駆動信号生成部11はこれを受けて出力(Q)にロー信号を出力する。これによりスイッチング素子SW1のゲートにOFF信号を入力し、スイッチング素子SW1の電流を遮断する。
【0046】
(期間t2〜t3)
スイッチング素子SW1がオフすると、第1インダクタL1に蓄えられたエネルギは、直列コンデンサC2及びダイオードD1を介して、出力平滑コンデンサC3に放出される。同時に、第2インダクタL2に蓄えられたエネルギも、ダイオードD1を介して出力平滑コンデンサC3に放出される。
【0047】
このとき、第1インダクタL1の1次巻き線L1aに発生する電圧は、スイッチング素子オン時とは逆向きの電圧である。すなわち
図1中の矢印とは、逆方向の電圧である。これにより第1インダクタL1の2次巻き線に発生する電圧も、
図1中の矢印とは逆方向の電圧である。
【0048】
すなわち第2比較器10の入力側には正電圧が発生する。このとき、第2比較器10の基準電圧E2よりも第1インダクタL1の2次巻き線L1bの発生電圧の方が高くなるので、第2比較器10の出力からはハイ信号が出力される。すなわち駆動信号生成部11のセット入力端子Sにはハイ信号が入力される。
【0049】
(期間t3〜t4)
第1インダクタL1及び第2インダクタL2がエネルギを放出するため、ダイオードD1を介して負荷側に流れる電流は減少していく。ダイオードD1の電流がゼロになると、第1インダクタL1の2次巻き線L1bの電圧VL1bは急速に低下する。
【0050】
(時刻t4)
第2比較器10に接続された基準電圧E2よりも第1インダクタL1の2次巻き線L1bの発生電圧VL1bの方が低くなると、第2比較器は駆動信号生成部11のセット入力端子Sにロー信号を出力する。駆動信号生成部11はこれを受けて、出力端子Qにハイ信号を出力し、再びスイッチング素子SW1のゲートにオン信号を入力する。これによりスイッチング素子SW1が導通状態となり、次のスイッチングサイクルに移る。
【0051】
ここで、力率改善動作及び定電流制御について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる点灯装置100の力率改善動作を示す波形図である。
【0052】
スイッチング素子SW1には、第1インダクタL1の1次巻き線L1aに流れる電流と第2インダクタL2に流れる電流の合計電流が流れる。実施の形態1では、スイッチング素子SW1に流れる電流を検出し、乗算器8の出力で決まる基準電圧に達するとスイッチング素子SW1をオフする。1回のスイッチングサイクルにおいては、スイッチング素子SW1がオフする時点が、スイッチング素子SW1に流れる電流のピーク値となる。
【0053】
直列コンデンサC2には、整流回路2による全波整流電圧とほぼ同等の電圧が充電される。一方、
図3には、横軸を時間とし縦軸を電流値とする直交座標系グラフにおいて、スイッチング素子SW1の電流ピーク値が複数個並んでいる様子が示されている。時系列的に並んだ複数の電流ピーク値は、
図3に示すように電源電圧に同期させて正弦波状に並ぶように制御される。このようにすることで、第1インダクタL1の1次巻き線L1aに流れる電流および第2インダクタL2に流れる電流の合計電流のピーク値も、電源電圧に同期したほぼ正弦波状の波形とすることができる。
【0054】
第1インダクタL1に流れる電流からフィルタコンデンサC1によりスイッチングリプルを取り除き、平均化することで、交流電源から流れ込む入力電流をほぼ正弦波状にでき、力率を改善することができる。なお、
図1では示していないが、必要に応じて整流回路2の交流入力側にフィルタ回路を追加してもよい。
【0055】
このようにスイッチング素子SW1に流れる電流を正弦波状に制御するために、本実施の形態では、交流電圧を全波整流した非平滑の電圧を入力電圧分圧抵抗R1により分圧した電圧を、乗算器8に入力している。他方、定常状態でほぼ直流電圧となる誤差増幅器6の出力電圧も、乗算器8に入力している。
【0056】
これら2つの信号を乗算器8により乗算すると電源電圧に比例した正弦波状の波形となる。この正弦波状の波形が第1比較器9の基準電圧となるので、スイッチング素子SW1に流れる電流のピーク値は、
図3に点線で示したように電源電圧に比例する正弦波状の波形となる。このようにして力率を改善することができる。
【0057】
また、LEDの順方向電圧は一般的に定電圧に近い特性を示すので、LED5を所定の明るさで安定的に点灯させるためにはコンバータ部3の出力電流が一定となるように定電流フィードバック制御にてコンバータ部3を動作させる必要がある。本実施の形態においては、出力電流検出抵抗R3により検出した信号を信号増幅器7を介して誤差増幅器6に入力し、誤差増幅器の出力を乗算器8に入力することによりスイッチング素子SW1の駆動を制御する。これにより力率改善と定電流制御を1つのスイッチング素子で両立する。
【0058】
先ず、出力電流検出抵抗R3で検出されて信号増幅器7で増幅された信号が、誤差増幅器の目標基準電圧E1の電圧よりも小さいと仮定する。これは、LED電流が目標電流値よりも小さい状態を意味する。このとき、誤差増幅器6の出力信号の電圧は上昇していく。すなわち乗算器8に入力される電圧が上昇していくので、乗算器8の出力信号の電圧も上昇する。これは第1比較器9の基準電圧が上昇することになるので、スイッチング素子SW1の電流ピーク値を増加させる方向に制御が働くことになる。これによりLED電流は増加する。
【0059】
次に、信号増幅器7で増幅した信号が、誤差増幅器6の目標基準電圧E1よりも大きいと仮定する。これは、LED電流が目標電流値よりも大きい状態を意味する。このとき、誤差増幅器6の出力信号の電圧は低下していく。すなわち乗算器8に入力される電圧が低下していくので、乗算器8の出力信号の電圧も低下する。これは第1比較器9の基準電圧が低下することになるので、スイッチング素子SW1の電流ピーク値を減少させる方向に制御が働くことになる。これによりLED電流は減少する。
【0060】
このように、本実施の形態では、出力電流検出抵抗R3により検出した信号を信号増幅器7を介して誤差増幅器6に入力し、誤差増幅器6の出力を乗算器8に入力することにより定電流制御を達成している。信号増幅器7で増幅した信号が目標電流値よりも大きい場合にはスイッチング素子SW1のオン時間を上述した電流ピーク値が正弦波状に並ぶ状態を維持したまま減少させることが好ましく、信号増幅器7で増幅した信号が目標電流値よりも小さい場合にはスイッチング素子SW1のオン時間を上述した電流ピーク値が正弦波状に並ぶ状態を維持したまま増加させることが好ましい。
【0061】
なお、力率改善制御と定電流制御を両立するために、定電流制御のフィードバック応答速度は十分に遅くすることが好ましい。すなわち応答速度が速いと誤差増幅器6の出力電圧が安定せず、乗算器8の出力がひずみ、交流電圧の位相に沿ったピーク電流制御ができなくなり、力率改善が行えない可能性がある。そこで、フィードバック制御の応答速度は交流入力周波数の2倍以下とすることが望ましい。すなわち電源電圧の周波数が50Hzである場合は、フィードバック制御の応答速度を100Hz以下とすることが望ましい。
【0062】
以上のように、実施の形態1にかかる点灯装置100は、SEPIC回路において、スイッチング素子SW1の電流ピーク値を正弦波状として、且つ負荷電流が所望の電流値となるようにスイッチング素子SW1を制御する。これにより、力率改善制御と定電流制御を1つコンバータで実現でき、部品点数を削減できる。また、電力変換のためにトランスを使用しないので、トランスによる電力変換ロスも削減することができる。これにより回路の小型化、低コスト化が実現でき、且つ高力率、高効率を達成する点灯装置を提供することができる。
【0063】
なお、実施の形態1にかかる制御部4は、誤差増幅器6、第1比較器9、第2比較器10、および乗算器8等を用いてハードウェア制御を行うものである。しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではない。例えばA/D変換器や割り込み機能、タイマー/カウンタ機能等を有したマイクロコンピュータを用い、ソフトウェア制御により同様の力率改善制御、定電流制御を行う制御部を用いることもできる。
【0064】
また、実施の形態1における第1インダクタL1と第2インダクタL2はそれぞれ個別のコア(磁心)に巻き線を巻きつけたものを用いている。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、一つのコアに第1インダクタL1と第2インダクタL2の両方を巻きつけた結合インダクタを用いてもよい。結合インダクタを用いれば、コアが1つでよいので、部品点数を削減することができる。
【0065】
また、本実施の形態においては、光源がLED5を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。光源の発光素子として、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子を用いてもよい。
【0066】
なお、本実施の形態で示したスイッチング素子SW1は半導体スイッチで構成されるものとする。半導体スイッチは例えばMOSFETやパワートランジスタ(バイポーラトランジスタ)、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を用いても良い。
【0067】
スイッチング素子SW1には第1インダクタL1と第2インダクタL2の両方の電流が流れ込むため、大きな電流が流れることになる。したがって従来のSi(シリコン)製MOSFET等を使用した場合、オン抵抗が大きいため素子自体の発熱が大きくなる可能性がある。従来のSi(シリコン)製MOSFETはジャンクション温度の上昇に従ってオン抵抗も上昇するため、放熱手段が大型化するという問題がある。
【0068】
そこで、スイッチング素子SW1が、窒化ガリウムや炭化ケイ素(SiC)等のワイドバンドギャップ半導体で形成したスイッチング素子であってもよく、特にSiCで形成したMOSFETであってもよい。これにより、デバイスの特性としてオン抵抗が小さく、さらにジャンクション温度が上昇してもオン抵抗がほとんど上昇しないため、例えば発熱部品の近くに配置することができ、基板の小型化や低コスト化を図ることができる。また回路効率も向上することができる。
【0069】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置110の回路構成図である。実施の形態1と同様の構成部分は、同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1との違いは、出力電圧の過電圧保護回路30を設けたことである。
【0070】
なお、実施の形態1で示した制御部4の内部回路は、
図4では省略している。しかしながら、制御部4の内部構成および下記の接続関係については実施の形態1と同様であるものとする。
(接続1)入力電圧分圧抵抗R1で発生する電圧信号が乗算器8に入力される。
(接続2)2次巻き線L1bが抵抗を介して第2比較器10の他方の入力に接続される。
(接続3)ドライバ回路12の出力がスイッチング素子SW1のゲート端子に接続される。
(接続4)スイッチング電流検出抵抗R2に発生する信号電圧が第1比較器9の他方の入力に与えられる。
(接続5)出力電流検出抵抗R3に発生する電圧信号が信号増幅器7で増幅されて誤差増幅器6に入力される。
【0071】
過電圧保護回路30は、アノードが第1インダクタL1の2次巻き線L1bに接続する半波整流ダイオードD2、ピーク電圧保持用コンデンサC4、および過電圧判定回路13を備えている。第1インダクタL1の2次巻き線L1bは、実施の形態1で述べたスイッチング素子SW1をオンするためのタイミング検出用と共用している。
【0072】
第1インダクタL1の2次巻き線L1bには、スイッチング素子SW1がオンである時は電源電圧(整流後)に比例した電圧が発生し、スイッチング素子SW1がオフである時は出力電圧に比例した電圧が発生する。このため、スイッチング素子SW1がオフである時の2次巻き線L1bの電圧を検出すれば、出力電圧を間接的に検出することができる。
【0073】
半波整流ダイオードD2は、スイッチング素子SW1のオン時とオフ時でそれぞれ発生する電源入力電圧に比例した電圧と出力電圧に比例した電圧から、出力電圧に比例した電圧のみを取り出すことができる。
【0074】
過電圧判定回路13は、制御部4と接続している。過電圧判定回路13には、予め閾値電圧が設定されている。過電圧保護検出電圧が過電圧判定回路13にて予め設定された閾値電圧に達すると、過電圧判定回路13はスイッチング素子SW1の動作を停止させる。これにより、過電圧判定回路13は、コンバータ部3の出力端子、すなわちLED5の接続部分に過電圧が発生していると判断すると、スイッチング素子SW1の動作を停止することができる。
【0075】
次に、
図5の波形図を用いて、具体的な動作説明を行う。
図5は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置110の動作を示す波形図である。
【0076】
図5における「出力電圧」は、コンバータ部3の出力電圧すなわち出力平滑コンデンサC3の電圧を示し、「出力電流」は、LED5に供給される電流を示し、「過電圧保護検出電圧」は、ピーク電圧保持用コンデンサC4に充電される電圧つまり過電圧判定回路に入力される電圧を示す。
図5の「スイッチング素子ゲート信号」は、スイッチング素子SW1の駆動信号であり、高周波で発振している。
【0077】
(期間t0〜t1)
図5において、t0〜t1の期間は正常に点灯している状態である。このとき、2次巻き線L1bに発生する電圧は、半波整流ダイオードD2により整流され、ピーク電圧保持用コンデンサC4に充電される。ピーク電圧保持用コンデンサC4は、パルス状の波形となる2次巻き線L1bの電圧のパルスピーク値を保持し、直流化する役割を果たす。このパルスピーク値は、出力電圧に比例する。正常動作時は、この過電圧保護検出電圧が過電圧判定回路13にて設定された過電圧判定閾値未満となり、コンバータ部3の動作が継続される。
【0078】
(期間t1〜t2)
次に、
図5のt1時点において、何らかの原因によりLED5が断線故障、あるいはLED5が点灯装置110から外れたと仮定する。すると、コンバータ部3の出力は無負荷状態となるため、出力電流がゼロとなる。しかしながら実施の形態1で述べた通り、コンバータ部3は定電流制御されるため、所定の電流を流し続けようとして出力電流を増加させる方向に制御が働く。このため出力電圧が急激に上昇する。
【0079】
(時刻t2)
このまま上昇し続けると、いずれ回路部品に耐圧以上の電圧が印加されてしまう。そこで、過電圧保護検出電圧が過電圧判定回路13にて予め設定された閾値電圧に達すると、過電圧判定回路13はスイッチング素子SW1の動作を停止させる。これにより出力電圧の上昇が停止し、出力平滑コンデンサC3の放電により徐々に出力電圧が低下していく。
【0080】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置110における過電圧保護回路の変形例を示す回路構成図である。スイッチング素子SW1の動作停止後は2次巻き線からの電圧供給はなくなるが、ピーク電圧保持用コンデンサC4に電荷が保持されたままとなる。そこで、
図6に示すようにピーク電圧保持用コンデンサC4と並列に放電抵抗R4を設けてもよい。これにより素早くコンデンサの放電を行うことができる。
【0081】
図7は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置110における過電圧保護回路の他の変形例を示す回路構成図である。
図7に示すようにピーク電圧保持用コンデンサC4と並列にトランジスタ等のスイッチSW2を設け、スイッチング素子SW1の動作停止後に過電圧判定回路13がスイッチSW2をオンしてもよい。これにより素早くコンデンサの放電を行うことができる。
【0082】
抵抗R5はピーク電圧保持用コンデンサC4の放電電流を制限するもので、必要に応じて用いる。また、過電圧検出時は上記のようにスイッチング素子SW1の動作を停止してもよいが、所定電圧以上に電圧が上昇しないように、ピーク電圧保持用コンデンサC4の電圧を用いて定電圧フィードバック制御を実施してもよい。
【0083】
以上のように、実施の形態2にかかる点灯装置110は、出力電圧を第1インダクタL1の2次巻き線L1bから間接的に検出し、過電圧保護回路30に入力している。
【0084】
一般的な過電圧保護回路では、出力電圧を検出するために出力端子に分圧抵抗を設け、分圧された電圧が所定閾値に達すると過電圧と判定して動作を停止するか、あるいは所定閾値電圧以上に上昇しないように定電圧制御する。一般的に出力電圧を検出する場合、そのままでは電圧が高く、制御部の耐圧を超えるおそれがあるため、このように分圧抵抗で電圧を低下させて検出する。しかしながらこのような構成は正常点灯中も分圧抵抗に常に出力電圧が印加されるため、分圧抵抗で電力損失が発生し、点灯装置全体として電力変換効率を低下させる問題がある。
【0085】
この点、実施の形態2にかかる過電圧保護回路30は、第1インダクタL1の2次巻き線L1bに出力電圧に比例した電圧が発生することを利用する。この電圧は第1インダクタL1の1次巻き線L1aと2次巻き線L1bの巻き数比で決まり、例えば1次巻き線L1aの巻き数をN1、2次巻き線L1bの巻き数をN2、出力電圧をVoとすると、2次巻き線に発生する電圧はVo×N2/N1で表される。したがって巻き数をN1>N2と設定することにより検出電圧を低下させることができ、過電圧保護回路30での電力損失を低減することができる。これにより点灯装置110全体として、電力変換効率を向上させることができる。
【0086】
図8は、本発明の実施の形態2の変形例にかかる点灯装置120の回路構成図である。上記の点灯装置110においては第1インダクタL1の2次巻き線L1bから出力電圧を検出したのに対し、
図8に示す点灯装置120は第2インダクタL2から出力電圧を検出する。点灯装置120では、第2インダクタL2の1次巻き線L2aに磁気的に結合する2次巻き線L2bが設けられている。
【0087】
第1インダクタL1には、スイッチング素子SW1がオフしたとき、出力電圧とほぼ同等の電圧が発生する。回路の各部には
図8の矢印に示す方向に電圧が発生しており、これよりVin+VL1a−Vc−Vd=Voの関係が成り立ち、第1インダクタL1の発生電圧はVL1a=Vo+Vc−Vin+Vdとなる。
【0088】
ここで、VdはダイオードD1の順方向電圧であり、ほぼ一定値で微小電圧であるため無視できる。またVcは電源電圧Vinとほぼ同一電圧が充電されるので、VinとVcは打ち消し合い、結果的にVL1a≒Voとなる。ここで、厳密には、Vcの電圧は完全にVinと同一ではなく、直列コンデンサC2の容量に応じてスイッチング周波数成分のリプル電圧を含む。
【0089】
このリプル電圧は例えば調光した場合などの出力電力の変化や電源電圧に応じて異なる値となる。例えば調光を行い、明るさを下げた(暗くした)場合は出力電力が小さくなるため、直列コンデンサC2の充放電電流が小さくなるためリプル電圧は小さくなる。逆に、明るさを上げた(明るくした)場合は出力電力が増加するため、直列コンデンサC2の充放電電流が大きくなり、リプル電圧は増加する。
【0090】
リプル電圧が大きくなるとVinとVcの電圧が完全に打ち消されないため、VL1aに発生する電圧にリプル電圧分が重畳する。第1インダクタL1の2次巻き線L1bから出力電圧を検出する場合、リプル電圧の影響が大きくなり、出力電圧の検出精度が低下するおそれがある。
【0091】
これに対し、点灯装置120のように第2インダクタL2の2次巻き線L2bから出力電圧を検出する場合、スイッチング素子SW1がオフである時には、VL2a=Vo+Vdとなり、Vcの影響を排除することができる。前述の通りダイオードD1の順方向電圧Vdは無視できるので、
図8に示すように第2インダクタL2から出力電圧を検出すれば、第1インダクタL1の2次巻き線L1bから出力電圧を検出するよりも高い精度で出力電圧を検出できる。これにより過電圧判定時の出力電圧と通常点灯時の出力電圧との間の差(つまりマージン)を小さくすることができる。このため、コンバータ部3に使用する電子部品の耐電圧を小さくすることができる。
【0092】
なお、
図4では第1インダクタL1の1つの2次巻き線L1aが、出力電圧検出と、スイッチング素子SW1をオンするタイミング検出用の信号入力(すなわち
図1の第2比較器10への入力)の両方に用いられている(つまり、共用化されている)。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。下記(変形2−1)〜(変形2−4)の変形が可能である。
【0093】
(変形2−1)出力電圧検出用の2次巻き線と、スイッチング素子SW1をオンするタイミング検出用の2次巻き線を、第1インダクタL1にそれぞれ個別に設けても良い。
【0094】
(変形2−2)出力電圧検出は第1インダクタL1の2次巻き線L1bから行い、スイッチング素子SW1をオンするタイミング検出用の信号入力は第2インダクタL2の2次巻き線L2bから行っても良い。
【0095】
(変形2−3)出力電圧検出とスイッチング素子SW1をオンするタイミング検出用の信号入力を、第2インダクタL2の1つの2次巻き線L2bで行ってもよい。
【0096】
(変形2−4)出力電圧検出用の2次巻き線と、スイッチング素子SW1をオンするタイミング検出用の2次巻き線を、第2インダクタL2にそれぞれ個別に設けても良い。
【0097】
実施の形態2では、第1インダクタL1と第2インダクタL2はそれぞれ個別のコア(磁心)に巻き線を巻きつけたものを用いている。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、一つのコアに第1インダクタL1と第2インダクタL2の両方の巻き線を巻きつけた結合インダクタを用いてもよい。結合インダクタを用いれば、コアが1つでよいので、部品点数を削減することができる。この場合、第1インダクタL1と磁気的に結合する2次巻き線L1bは、第2インダクタL2とも磁気的に結合することとなる。
【0098】
直列コンデンサC2のリプル電圧の影響を排除するために第2インダクタL2の2次巻き線L2bから出力電圧検出を行う場合には、第1インダクタL1と第2インダクタL2はそれぞれ個別のコア(磁心)に巻き線を巻きつけたものを用いる。
【0099】
実施の形態3.
図9は本発明の実施の形態3を示す点灯装置130の回路図である。上述した実施の形態2と同様に、実施の形態3においても、実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略するとともに実施の形態1で示した制御部4の内部の詳細はここでは省略している。実施の形態1との違いは、制御電源回路40を設けたことである。制御電源回路40は、制御部4に電力を供給する制御電源を第2インダクタL2の2次巻き線から供給する。
【0100】
制御電源回路40は、第2インダクタL2に設けられた2次巻き線L2b、半波整流ダイオードD3、制御電源平滑コンデンサC14を備えている。半波整流ダイオードD3のアノードとカソードの方向は、スイッチング素子SW1がオフの時に第2インダクタL2の2次巻き線L2bに発生する電圧が制御電源平滑コンデンサC14に充電される向きである。また、スイッチング素子SW1が起動を開始する前に制御部4に制御電源を供給するために、起動抵抗R6が設けられている。
【0101】
図10は、本発明の実施の形態3にかかる点灯装置130の動作を示す波形図である。
図9において、交流電源1を投入すると、整流回路2により全波整流されて、全波整流された電圧は起動抵抗R6に印加される(
図10の時刻t0)。これにより
図10に示すように制御電源平滑コンデンサC14が充電されて、所定電圧に達すると制御部4は動作を開始する(
図10の時刻t1)。
【0102】
起動抵抗R6のみでは制御部4を駆動するには供給電力が足りない。このため、制御部4が動作すると制御電源平滑コンデンサC14の電圧は低下する。しかし、スイッチング素子SW1が駆動を開始することにより今度は第2インダクタL2の2次巻き線から電力供給が開始される。このため、制御電源平滑コンデンサC14の電圧は、第2インダクタL2の2次巻き線に発生する電圧で決定される電圧まで、再び充電される(
図10の時刻t2)。
【0103】
本実施の形態では、第2インダクタL2の2次巻き線L2bが、制御部4のための制御電源を生成する。実施の形態2でも述べたように、スイッチング素子SW1がオフである時に、第2インダクタL2の2次巻き線L2bにコンバータ部3の出力電圧に比例した電圧が得られ、さらに第1インダクタL1の2次巻き線L1bと比較すると直列コンデンサC2のリプル電圧の影響を受けない。このため、第2インダクタL2の2次巻き線L2bからは安定した電圧が得られるという利点がある。
【0104】
LED5は、定電圧特性に近い特性を有するため、調光するためにLED電流を変化させても出力電圧の変化は僅かである。したがって調光により出力電流が変化しても第2インダクタL2に発生する電圧の変化は僅かであり、制御部4には、負荷変動に対しても安定した電圧が供給される。
【0105】
以上のように、実施の形態3にかかる点灯装置130では、制御部4に供給する電源を出力平滑コンデンサC3にダイオードD1を介して並列に接続された第2インダクタL2の2次巻き線L2bから供給している。このため、電源電圧や直列コンデンサC2のリプル電圧の変動などに影響されず、安定した電圧を制御部4に印加することができる。したがって制御部4を安定的に動作させることができる。
【0106】
なお、本実施の形態においては、第2インダクタL2の2次巻き線L2bは、制御電源の供給のみに使用している。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。下記の(変形3−1)または(変形3−2)の変形が可能である。
【0107】
(変形3−1)2次巻き線L2bから、スイッチング素子SW1のオン時のタイミング検出用電圧と、制御電源供給用の電圧とを取り出すようにしてもよい。これにより、制御電源供給およびスイッチング素子SW1をオンする時のタイミング検出用信号入力に、2次巻き線L2bを兼用することができる。
【0108】
(変形3−2)
図9の点灯装置130に、実施の形態2で示した過電圧判定回路13を追加してもよい。この過電圧判定回路13へ入力すべき過電圧保護用の電圧と、制御電源供給用の電圧とを、2次巻き線L2bから取り出すようにしても良い。これにより、過電圧保護およびスイッチング素子SW1をオンするタイミング検出用信号入力に、2次巻き線L2bを兼用することができる。
【0109】
ただし、本発明はこれに限られるものではなく、スイッチング素子SW1のオン時のタイミング検出用巻き線と、制御電源供給用の巻き線をそれぞれ個別に第2インダクタL2に設けても良い。この場合、第1インダクタL1の2次巻き線L1bは不要となる。また、過電圧保護用の2次巻き線とは別に巻き線を設けても良い。
【0110】
図11は、本発明の実施の形態3の変形例にかかる点灯装置140の回路構成図である。点灯装置140は、点灯装置130に過電圧判定回路13を追加したものである。過電圧判定回路13には、半波整流ダイオードD3のカソードと制御電源平滑コンデンサC14の接続点の電圧が入力される。
図11に示すように、スイッチング素子SW1のオン時のタイミング検出用電圧と、過電圧保護用の電圧と、制御電源供給用の電圧を、全て第2インダクタL2の1つの2次巻き線L2bから取り出すようにしてもよい。この場合、第2インダクタL2の構造を簡素化できるため低コスト化が可能となる。
【0111】
図11に示す点灯装置140では、半波整流ダイオードD3が、
図8の半波整流ダイオードD2の役割をも兼ねている。また、制御電源平滑コンデンサC14が、
図8のピーク電圧保持用コンデンサC4をも兼ねている。半波整流ダイオードD3および制御電源平滑コンデンサC14がそれぞれ複数の役割を果たしているので、半波整流ダイオードD2、D3、ピーク電圧保持用コンデンサC4、および制御電源平滑コンデンサC14を全て別々に備える回路構成と比較して、同等の機能を確保しつつ部品点数を削減できる。
【0112】
図12は、本発明の実施の形態3の変形例にかかる点灯装置150の回路構成図である。
図12に示すように、点灯装置150は、第1インダクタL1と第2インダクタL2にそれぞれに2次巻き線L1b、L2bを設けている。第1インダクタL1の2次巻き線L1bはスイッチング素子SW1のオン時のタイミング検出に用いている。第2インダクタL2の2次巻き線L2bは、過電圧保護および制御電源供給という2つの用途に用いられている。
【0113】
点灯装置150では第1インダクタL1と第2インダクタL2を同一の仕様とする。すなわち同一コア(磁心)、同一ボビンで構成され、巻き線もそれぞれ同一巻き数とする。また、それぞれの2次巻き線L1b、L2bの巻き数も互いに同一とする。これにより点灯装置130は1台につき同一仕様のインダクタを2個使用することになるので、量産効果によりインダクタ1つあたりの価格を抑えることができる。すなわち第1インダクタL1と第2インダクタL2で互いに異なる仕様のインダクタを使用した場合と比較して、点灯装置150は低コスト化されている。
【0114】
また、
図12に示す点灯装置150では、半波整流ダイオードD3が、
図8の半波整流ダイオードD2の役割をも兼ねている。点灯装置150では、制御電源平滑コンデンサC14が、
図8のピーク電圧保持用コンデンサC4の役割をも兼ねている。このように、点灯装置150では、半波整流ダイオードD3および制御電源平滑コンデンサC14がそれぞれ複数の役割を果たしているので、半波整流ダイオードD2、D3、ピーク電圧保持用コンデンサC4、および制御電源平滑コンデンサC14を全て別々に備える回路構成と比較して、同等の機能を確保しつつ部品点数を削減できる。
【0115】
なお、実施の形態3において直列コンデンサC2のリプル電圧の影響を排除するために第2インダクタL2の2次巻き線L2bから出力電圧検出を行う場合には、第1インダクタL1と第2インダクタL2はそれぞれ個別のコア(磁心)に巻き線を巻きつけたものを用いる。
【0116】
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4における照明器具200の断面図である。照明器具200は、照明器具本体20、コネクタ21、光源基板22、点灯装置23を有する。照明器具本体20は、点灯装置23などを取り付けるための筺体である。コネクタ21は、商用電源などの交流電源から電力の供給を受けるための接続部である。光源基板22はLEDなどの電気的光源を実装した基板である。
【0117】
点灯装置23はコネクタ21、配線24を介して交流電源からの電力を入力する。点灯装置23は入力した電力を光源基板22に供給する電力に変換する。点灯装置23は配線25を介して光源基板22に接続している。点灯装置23は、変換した電力を光源基板22に供給する。光源基板22の光源は、点灯装置23から供給された電力により点灯する。
【0118】
点灯装置23の回路構成は、上述した実施の形態1にかかる点灯装置100と同じであるものとする。これにより、実施の形態1にかかる点灯装置100の利点を備えた点灯装置23および照明器具200が提供される。
【0119】
なお、点灯装置23の回路構成を、実施の形態2または実施の形態3にかかるそれぞれの点灯装置110、120、130、140および150からなる群から選択した1つの点灯装置と同じものとしてもよい。
【0120】
実施の形態4にかかる照明器具200によれば、実施の形態1〜3で述べた点灯装置のいずれか1つを組み込むことで、照明器具の小型化および低コスト化が実現でき、且つ高力率および高効率を達成することができる。