(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部の前記タイヤ空洞領域に面する面には、前記通気孔の前記タイヤ空洞領域に面する外側開口部を囲み、前記タイヤ空洞領域側に突出する突起が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の送信装置。
前記突出部の前記タイヤ空洞領域に面する面には、前記通気孔の前記タイヤ空洞領域に面する外側開口部を囲み、前記タイヤ空洞領域側に突出する突起が設けられている、請求項6〜8のいずれか一項に記載のタイヤ情報監視システム。
前記第2傾斜面の前記タイヤ空洞領域に面する面には、前記通気孔の前記タイヤ空洞領域に面する外側開口部を囲み、前記タイヤ空洞領域側に突出する突起が設けられている、
請求項12に記載のタイヤ組立体。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に装着されたタイヤの空気圧を点検管理することが、タイヤの耐久性向上、耐摩耗性向上、燃費の向上、あるいは、乗り心地の向上、さらには、操縦性能の向上の点で望まれている。このため、タイヤの空気圧を監視するシステムが種々提案されている。このシステムは、一般的に、車輪に装着されたタイヤの空気圧の情報を検出し、その情報を送信する送信装置を各車輪のタイヤ空洞領域に設けるとともに、各タイヤの空気圧の情報を送信装置から取得してタイヤの空気圧を監視する。
【0003】
一方、タイヤがパンクしたときに、タイヤとリムとにより挟まれたタイヤ空洞領域内に注入するパンク修理液がよく用いられている。このパンク修理液は液体であるため、パンク修理液がタイヤ空洞領域に注入されると、タイヤ空洞領域内に面するタイヤ内表面の他、タイヤ空洞領域に設けられた送信装置にもパンク修理液が付着し、場合によっては固化して送信装置に設けられた開口部を塞ぎ、空気圧の計測に影響を与えるといった問題がある。
【0004】
この問題に対して、検出用の連通部からの異物の侵入を防止して、正常な検出状態を保持することができる車輪状態検出装置が提案されている(特許文献1)。
具体的には、車輪状態検出装置のTPMS(Tire Pressure Monitoring System)バルブには、ケースに設けられた連通孔を開閉する連通部開閉機構が設けられている。パンク修理の際にそのパンク修理液が連通孔を介して検出空間に侵入するのが規制される。この連通部開閉機構は、蓋体およびねじりコイルばねを含むメカ的機構により構成され、車輪に作用する遠心力により連通孔が自動的に開閉されるようになっている。
【0005】
また、パンク修理液を用いてタイヤのパンクを修理しても、依然としてタイヤの空気圧情報等のタイヤ情報を適切に検出し送信できる送信装置およびタイヤの異常の有無を判定するタイヤ情報監視システムが知られている(特許文献2)。
当該送信装置は、タイヤ空洞領域に充填される気体の状態を、タイヤ情報として検出するセンサと、検出したタイヤ情報を無線により送信する送信機と、センサおよび送信機を覆う壁を備えた筐体と、を有する。筐体は、筐体の壁によりタイヤ空洞領域から画された内部空間を備える。この筐体には、壁を貫通して内部空間とタイヤ空洞領域とを連通する通気孔が設けられている。このとき、通気孔の、タイヤ空洞領域に面する筐体の表面における外側開口部の開口面積は、0.4mm
2以下であり、この通気孔の、内部空間に面した筐体の表面における内側開口部は、外側開口部に比べて開口面積が広い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の車輪状態検出装置の連通部開閉機構は、蓋体およびねじりコイルばねを含むメカ的機構により構成されるので、装置自体が複雑になり、コストもかかるといった問題が生じる。
一方、タイヤ情報監視システムの送信装置では、パンク修理液を用いてタイヤのパンクを修理しても、依然としてタイヤの空気圧情報等のタイヤ情報を適切に検出し送信できるが、外側開口部の開口面積は0.4mm
2以下あるため、微細で正確な加工が必要である。
【0008】
本発明は、上述したタイヤ情報監視システムの送信装置とは別の形態を用いた送信装置であって、パンク修理液を用いてタイヤのパンクを修理しても、依然としてタイヤの空気圧情報等のタイヤ情報を適切に検出し送信できる送信装置、この送信装置を用いてタイヤの異常の有無を判定するタイヤ情報監視システム、及びタイヤ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤの状態に関するタイヤ情報を送信する送信装置である。当該送信装置は、
タイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される気体の状態をタイヤ情報として感知する平面状のセンサ検出面を有するセンサと、
検出した前記タイヤ情報を無線により送信する送信機と、
前記センサと前記送信機が内部に設けられ、前記センサの前記センサ検出面に接する内部空間と、前記内部空間と前記タイヤ空洞領域を連通する直線状に延びた通気孔と、を有する筐体と、を備える。
前記内部空間に面する前記通気孔の内側開口部は、前記センサ検出面に対して傾斜した方向を向き、かつ、前記通気孔の延在方向及び前記センサ検出面の法線方向のいずれにも直交する方向に延びる前記内部空間の壁面に設けられる。
前記通気孔の前記延在方向と、前記センサ検出面の前記法線方向との間の角度θが、10度以上120度以下である。
【0010】
本発明の他の一態様は、タイヤ組立体である。当該タイヤ組立体は、
タイヤと、
前記タイヤに装着されたリムと、
前記タイヤと前記リムの間のタイヤ空洞領域に設けられた、タイヤの状態に関するタイヤ情報を送信する送信装置と、を備える。
前記送信装置は、
タイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される気体の状態をタイヤ情報として感知する平面状のセンサ検出面を有するセンサと、
検出した前記タイヤ情報を無線により送信する送信機と、
前記センサと前記送信機が内部に設けられ、前記センサの前記センサ検出面に接する内部空間と、前記内部空間と前記タイヤ空洞領域を連通する直線状に延びた通気孔と、を有する筐体と、を備える。
前記内部空間に面する前記通気孔の内側開口部は、前記センサ検出面に対して傾斜した方向を向き、かつ、前記通気孔の延在方向及び前記センサ検出面の法線方向のいずれにも直交する方向に延びる前記内部空間の壁面に設けられる。
前記通気孔の前記延在方向と、前記センサ検出面の前記法線方向との間の角度θが、10度以上120度以下である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、タイヤ状態監視システムである。
前記システムは、送信装置と、受信装置と、監視部と、を備える。
前記送信装置は、
タイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される気体の状態をタイヤ情報として感知する平面状のセンサ検出面を有するセンサと、
検出した前記タイヤ情報を無線により送信する送信機と、
前記センサと前記送信機が内部に設けられ、前記センサの前記センサ検出面に接する内部空間と、前記内部空間と前記タイヤ空洞領域を連通する直線状に延びた通気孔と、を有する筐体と、を備える。
このとき、前記内部空間に面する前記通気孔の内側開口部は、前記センサ検出面に対して傾斜した方向を向き、かつ、前記通気孔の延在方向及び前記センサ検出面の法線方向のいずれにも直交する方向に延びる前記内部空間の壁面に設けられ、前記通気孔の前記延在方向と、前記センサ検出面の前記法線方向との間の角度θが、10度以上120度以下である。
前記受信装置は、前記送信機から送信された前記タイヤ情報を受信する。
前記監視部は、前記タイヤ情報に基づいて、タイヤの異常の有無を判定し、判定結果を報知する。
【0012】
前記送信装置、前記タイヤ組立体の前記送信装置、及び前記システムの前記送信装置の各態様において、前記センサ検出面を前記法線方向に沿って、前記内部空間の内壁面に投射して得られる前記内壁面上の領域を投射領域としたとき、前記センサ検出面を基準として前記法線方向に沿って測った前記内部空間の内壁面における高さのうちの最大高さH
1は、前記センサ検出面を基準として前記法線方向に沿って測った前記投射領域における高さのうちの最大高さH
2に比べて高い、ことが好ましい。
【0013】
前記送信装置、前記タイヤ組立体の前記送信装置、及び前記システムの前記送信装置の各態様において、前記通気孔を前記内部空間に仮想的に延長したとき、仮想した前記通気孔の延長部分は、前記センサ検出面ではなく、前記筐体の前記内部空間に面した内壁面に当たる、ことが好ましい。
【0014】
また、前記送信装置、前記タイヤ組立体の前記送信装置、及び前記システムの前記送信装置の各態様において、前記通気孔の前記タイヤ空洞領域に面する外側開口部は、前記筐体の外壁面から突出した部分の、前記センサ検出面に対して傾斜した傾斜面に設けられている、ことが好ましい。
【0015】
前記送信装置、前記タイヤ組立体の前記送信装置、及び前記システムの前記送信装置の各態様において、前記内部空間は、前記筐体の前記突出した部分における内壁面と、前記センサ検出面を含む前記センサの外周面とにより区画された空間である、ことが好ましい。
【0016】
前記送信機、前記タイヤ組立体の前記送信装置、及び前記システムの前記送信装置は、タイヤに空気を充填するタイヤバルブに連結されて設けられる。
前記タイヤバルブから前記タイヤ空洞領域に導入される空気の前記タイヤ空洞領域側の空気導入口の中心位置と、前記通気孔の前記タイヤ空洞領域に面する外側開口部の中心位置と、前記内側開口部の中心位置を、前記センサ検出面に対して直交する方向から平面視して見るとともに、前記外側開口部の中心位置を通り、前記空気導入口の中心位置から前記外側開口部の中心位置に向かう直線に直交する仮想平面を想定したとき、前記内側開口部の中心位置は、前記センサ検出面に対して直交する方向から平面視して見たときの前記仮想平面に対応する仮想直線を境界線にして前記空気導入口の中心位置と同じ側に位置する、ことが好ましい。
【0017】
前記送信装置、前記タイヤ組立体の前記送信装置、及び前記システムの前記送信装置の各態様において、前記センサ検出面を基準として測った前記内部空間の内壁面の最大高さを有する最大高さ領域は、前記センサ検出面に直交する方向から平面視して前記最大高さ領域、前記通気孔及び前記センサ検出面を見たとき、前記通気孔の前記内側開口部と前記センサ検出面との間に位置する、ことが好ましい。
【0018】
これらの態様の前記送信装置、前記タイヤ組立体の前記送信装置、及び前記システムの前記送信装置では、前記センサ検出面の法線方向と、前記タイヤのタイヤ径方向の外側方向との間の成す角度は0度〜15度である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の送信装置、タイヤ組立体、及びタイヤ状態監視システムによれば、パンク修理液を用いてタイヤのパンクを修理しても、依然としてタイヤの空気圧情報等のタイヤ情報を適切に検出し送信装置から適切なタイヤ情報を送信することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の送信装置、タイヤ状態監視システム、及びタイヤ組立体について、添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
(タイヤ空気圧モニタリングシステムの概要)
図1は、タイヤ情報監視システムの実施形態であるタイヤ空気圧モニタリングシステム10の全体概要を示す図である。
タイヤ空気圧モニタリングシステム(以下、システムという)10は、車両12に搭載されている。システム10は、車両12の各タイヤ14a,14b,14c,14dのタイヤ空洞領域に設けられた空気圧情報送信デバイス(以下、送信デバイスという)16a,16b,16c,16dと、監視装置18と、を有する。
【0023】
送信デバイス16a,16b,16c,16dのそれぞれは、タイヤ14とリム19(
図2参照)で囲まれたタイヤ空洞領域に充填される空気の圧力に関する情報を、タイヤ情報として検出し、このタイヤ情報を監視装置18に無線で送信する。以降、送信デバイス16a,16b,16c,16dをまとめて説明するとき、送信デバイス16a,16b,16c,16dを総称して送信デバイス16という。
【0024】
(送信デバイスの構成)
図2は、送信デバイス16がタイヤ空洞領域内に固定されたタイヤ組立体の一例を説明する図である。
図3は、
図2に示す送信デバイス16がタイヤバルブ20と一体化したデバイス全体を示す斜視図である。
タイヤ組立体は、タイヤ14とリム19と送信デバイス16を含む。リム19はタイヤ14に装着される。送信デバイス16は、後述するように、タイヤ14とリム19の間のタイヤ空洞領域に設けられ、タイヤ情報を送信する。
具体的には、送信デバイス16は、タイヤ空洞領域の側に延びるタイヤバルブ20の端部に設けられ、
図2に示すように、タイヤバルブ20がリム19に機械的に固定されることにより、タイヤ空洞領域内に固定されて配置される。また、送信デバイス16は、タイヤ14の周方向(
図2のX方向)に延びる筐体22を有する。ここで、タイヤ14の周方向とは、タイヤ回転軸の周りにタイヤ14のトレッド部を回転させたときのトレッド部の回転方向、すなわちタイヤ14の回転方向をいう。
また、本実施形態では、タイヤバルブ20は、タイヤ14の周方向の回転方向(
図2のX方向)に直交する方向(
図2のY方向)に延びるように設けられる。タイヤ径方向は、X方向及びY方向に直交する方向をいい、タイヤ径方向の外側方向は、タイヤの回転軸から離れる方向をいう。
【0025】
図4は、
図3に示すA−A線に沿った送信デバイス16の矢視断面図である。
図4に示すように、送信デバイス16は、筐体22と、筐体22の内部に設けられた回路24と、を有する。回路24は、基板26と、基板26に設けられたセンサユニット28と、送信機30と、処理ユニット32と、電源部34と、アンテナ40(
図5参照)と、を有する。筐体22の内部には、内部空間38が設けられている。
センサユニット28は、空気圧を検出するためのセンサ検出面28cを有し、センサ検出面28cは、内部空間38に面する壁面となっている。したがって、センサユニット28は、内部空間38の圧力を感知することができる。
【0026】
筐体22には、筐体22の内部空間38とタイヤ空洞領域の間を連通する1つの通気孔36が、筐体22の壁を貫通するように設けられている。筐体22には、その外壁面から突出した突出部35が外壁面に設けられ、突出部35の内側に内部空間38が設けられている。この筐体22の突出部35の傾斜面には通気孔36が設けられている。通気孔36は、内部空間38とタイヤ空洞領域とを連通する孔である。内部空間38は、筐体22の突出部35における内壁面とセンサユニット28のセンサ検出面28cを含む外周面で区画されている。筐体22の内壁面と回路24との間の隙間は、内部空間38を残して封止樹脂39で充填されている。センサ検出面28cは、センサ検出面28cにパンク修理液の液滴が万一衝突して付着しても、タイヤの回転によって生じる遠心力によってパンク修理液がタイヤ径方向の外側方向に向かって移動するように、センサ検出面28cは、タイヤ径方向の外側方向を向いている。本実施形態では、センサ検出面28cの向き(法線方向)とタイヤ径方向の外側方向との間のなす角度は0度〜15度であることが好ましい。したがって、センサ検出面28cの法線方向のタイヤ径方向の外側方向に対する角度が15度を上限として、センサ28は筐体22に設けられることが好ましい。
筐体22の突出部35に設けられた通気孔36の断面積は通気孔36の延在方向に沿って一定である。内部空間38に面する通気孔36の内側開口部は、センサ検出面28cに対して傾斜した方向に向き、かつ、通気孔36の延在方向及びセンサ検出面28cの法線方向のいずれにも直交する方向(
図4の紙面に対して垂直方向)に延びる内部空間38の壁面に設けられている。ここで、
図4の紙面に対して垂直方向に延びる内部空間38の壁面は、
図4の紙面に対して垂直方向に延びる平面の他、曲面を含む。さらに、通気孔36の、内部空間38からタイヤ空洞領域に延びる延在方向と、センサユニット28の空気を感知するセンサ検出面28cの法線方向との間の成す角度は10度以上120度以下、好ましくは、30度以上120度以下となっている。通気孔36、内部空間38及びセンサ検出面28cとの間の位置関係については、以降で詳細に説明する。
【0027】
図5は、送信デバイス16の回路構成図である。
センサユニット28は、空気圧センサ28aとA/D変換器28bを有する。空気圧センサ28aは、筐体22内の内部空間38の空気圧を感知し、圧力信号を出力する。ここで、内部空間38は、通気孔36を介してタイヤ空洞領域と連通しているため、空気圧センサ28aは、タイヤ空洞領域の空気圧を感知することができる。
A/D変換器28bは、空気圧センサ28aから出力された圧力信号をデジタル変換し、圧力データを出力する。
【0028】
処理ユニット32は、中央処理部32aと記憶部32bとを有する。中央処理部32aは、記憶部32bの半導体メモリに格納されているプログラムに基づいて動作する。中央処理部32aは、電力が供給されて駆動すると、センサユニット28から送られてくる圧力データを所定時間間隔、例えば5分毎に、送信機30を介して監視装置18に空気圧の情報である圧力データを送信するように制御する。記憶部32bには送信デバイス16に固有の識別情報が予め記憶されており、中央処理部32aは圧力データと共に識別情報を監視装置18に送信するように制御する。
【0029】
記憶部32bは、中央処理部32aを動作するプログラムが記録されているROMと、例えばEEPROM等の書き換え可能な不揮発性のメモリとを備える。送信デバイス16の固有の識別情報は、記憶部32bの書き換え不可領域に記憶されている。
【0030】
送信機30は、発振回路30aと、変調回路30bと、増幅回路30cとを有する。
発振回路30aは、搬送波信号、例えば315MHz帯の周波数のRF信号を生成する。
変調回路30bは、中央処理部32aから送られた圧力データと送信デバイス16に固有の識別情報とを用いて、搬送波信号を変調して送信信号を生成する。変調方式は、振幅偏移変調(ASK)、周波数変調(FM)、周波数偏移変調(FSK)、位相変調(PM)、位相偏移変調(PSK)等の方式を用いることができる。
増幅回路30cは、変調回路30bで生成された送信信号を増幅する。増幅された送信信号は、アンテナ40を介して、監視装置18に無線で送信される。
電源部34は、例えば二次バッテリが用いられ、センサユニット28と、送信機30と、処理ユニット32と、に電力を供給する。
【0031】
(監視装置の構成)
図6は、監視装置18の回路構成図である。
監視装置18は、例えば車両10の運転席の位置に配置され、運転者に空気圧の情報を報知する。監視装置18は、アンテナ52と、受信部54と、受信バッファ56と、中央処理部58と、記憶部60と、操作部62と、スイッチ64と、表示制御部66と、表示部68と、電源部70と、を有する。
【0032】
アンテナ52は、送信デバイス16の送信周波数と同じ周波数に整合され、受信部54に接続されている。
受信部54は、送信デバイス16から送信された所定の周波数の送信信号を受信し、復調処理をして圧力データと識別情報のデータを取り出す。これらのデータは、受信バッファ56に出力される。
受信バッファ56は、受信部54から出力された圧力データと識別情報のデータを一時的に格納する。格納された圧力データと識別情報のデータは、中央処理部58からの指示にしたがって、中央処理部58に出力される。
【0033】
中央処理部58は、主にCPUで構成され、記憶部60に記憶されているプログラムに基づいて動作する。中央処理部58は、受信した圧力データと識別情報のデータに基づいて、識別情報毎にタイヤ14a〜14dの空気圧を監視する。具体的には、圧力データに基づいて、タイヤ14a〜14dの異常の有無を判定し、判定結果を運転者に報知する。タイヤの異常の有無を判定するとは、例えば、空気圧が異常に低くなり、あるいは短時間に急激に低下し、タイヤがパンクしているか否かを判定することをいう。
【0034】
中央処理部58は、判定結果を表示制御部66に出力し、表示制御部66を介して判定結果を表示部68に出力させる。
さらに、中央処理部58は、操作部62からの情報やスイッチ64からの情報に応じて、送信デバイス16との間の通信方式等の初期設定を行う。また、操作部62からの情報により、中央処理部58においてタイヤの異常の有無の判定を行うための判定条件を設定することもできる。
記憶部60は、中央処理部58のCPUを動作するプログラムが記憶されたROMと、EEPROM等の不揮発性メモリとを有する。この記憶部60には、製造段階で、送信デバイス16との間の通信方式のテーブルが記憶されている。送信デバイス16と監視装置18は、初期段階において予め設定されている通信方式で通信する。通信方式テーブルには、送信デバイス16のそれぞれの固有の識別情報に対応して、通信プロトコル、転送ビットレート、データフォーマット等の情報が含まれている。これらの情報は、操作部62からの入力により自在に設定変更をすることができる。
【0035】
操作部62は、キーボード等の入力デバイスを含み、各種情報や条件を入力するために用いられる。スイッチ64は、初期設定の開始を中央処理部58に指示するために用いられる。
表示制御部66は、中央処理部58からの判定結果に応じて、タイヤ14a〜14dの装着位置に対応させてタイヤの空気圧を表示部68に表示させるように制御する。その際、表示制御部66は、タイヤがパンク状態にあるといった判定結果も、表示部68に同時に表示させるように制御する。
電源部70は、車両10に搭載されているバッテリから供給された電力を、監視装置18の各部分に適した電圧に制御して、図示されない電源ラインを通して電力を供給する。
このように、送信デバイス16と監視装置18は構成される。
【0036】
(送信デバイスの通気孔、内部空間、及びセンサ検出面)
図7,8は、
図4に示す突出部35周辺を拡大して記した模式図である。
図7,8では、突出部35を強調するために、突出部35はセンサユニット28に比べて大きく記している。
図8は、
図4に示す突出部35の周辺を拡大して、パンク修理液の液滴が進入した状態を説明している。
【0037】
ここで、内部空間38に面する通気孔36の内側開口部36aは、内部空間38の壁面38aに設けられている。この壁面38aは、センサ検出面28cに対して傾斜した方向を向き、かつ通気孔36の延在方向及びセンサ検出面28cの法線方向(
図7中のN方向)のいずれにも直交する方向に延びている。さらに、通気孔36の、内部空間38からタイヤ空洞領域に延びる延在方向(
図7中の矢印の方向)と、センサユニット28の空気を感知するセンサ検出面28cの法線方向(
図7中のN方向)との間の角度θ(
図7参照)は10度以上120度以下となっている。通気孔36は、突出部35の傾斜面35a,35bのうち、傾斜の強い傾斜面35aに設けられている。
【0038】
このような通気孔36の構成を用いることにより、
図8に示すように、通気孔36を通してパンク修理液の液滴Dが内部空間38に進入したとしても、センサ検出面28cの
図7中の上方に位置する通気孔36の延在方向はセンサ検出面28cの法線方向に対して角度θ=10度〜120度をもって傾斜しているので、液滴Dは内側開口部36aに対向する内部空間38の内壁面等に当たり液滴Dはセンサ検出面28cから離れた内壁面上の場所に衝突して膜状に広がる。一方、内側開口部36aは、センサ検出面28cに対して傾斜した方向を向き、かつ、通気孔36の延在方向及びセンサ検出面28cの法線方向のいずれにも直交する方向に延びる内部空間38の壁面38aに設けられているため、内側開口部36aよりも十分面積が大きい内部空間38の壁面に膜状に広がったパンク修理液の一部が内側開口部36aに戻ってくることは少なくなる。このため、内部空間38内の液滴Dあるいは微小液滴が内側開口部36aに付着して、あるいはその周囲に付着して、通気孔36を塞ぐことは少なくなる。
【0039】
図9は、通気孔36、内部空間38、及びセンサ検出面28cの位置関係をより具体的に示す図である。センサ検出面28cの法線方向Nに沿って、センサ検出面28cを内部空間38の内壁面に投射して得られる内壁面上の領域を投射領域P(
図9中太線部分)とする。このとき、センサ検出面28cを基準として法線方向Nに沿って測った内部空間の内壁面における高さのうちの最大高さH
1は、センサ検出面28cを基準として法線方向Nに沿って測った投射領域Pにおける高さのうちの最大高さH
2に比べて高い。最大高さH
1を最大高さH
2に比べて高くすることにより、たとえ遠心力がセンサ検出面28cの法線方向Nに作用しても、液滴Dが
図10に示すように、最大高さH
1の周辺に集まり、この位置で固化するので、液滴Dが内側開口部36aから通気孔36に進入して固化することは少なくなる。
【0040】
さらに、センサ検出面28cを基準として測った内部空間38の内壁面の高さのうち最大高さを有する最大高さ領域R
H1を定める。このとき、
図11に示すように、センサ検出面28cに直交する方向から平面視して最大高さ領域R
H1、通気孔36及びセンサ検出面28cを見たとき、通気孔36の内側開口部36aとセンサ検出面28cとの間に位置することが好ましい。このような位置関係にセンサ検出面28c、最大高さ領域R
H1、及び通気孔36を配置することで、
図10に示すように紙面上方向に遠心力が作用したとしても、最大高さ領域R
H1の周辺に確実に液滴Dを捕獲することができ、液滴Dが内側開口部36aから通気孔36に進入して固化することは少なくなる。
【0041】
特に、通気孔36を内部空間38に仮想的に延長したとき、仮想した通気孔36の延長部分は、センサ検出面28cではなく、内部空間38の内壁面に当たることが好ましい。通気孔36を通して内部空間38に進入した液滴Dが内部空間38の内壁面に当たることが多くなり、液滴Dが通気孔36からセンサ検出面28cに直接当たって付着し固化することは少ない。また、液滴Dが内部空間38の内壁面に当たることが多くなるので、液滴Dはセンサ検出面28cから離れた壁面上の場所で膜状に広がる。しかし、パンク修理液は、内側開口部36aよりも十分面積が大きい内部空間38の壁面に膜状に広がっているので、パンク修理液の一部が通気孔36の内側開口部36aに戻ってくることは少なくなる。このため、液滴Dが内側開口部36aから通気孔36に進入して固化することはより一層少なくなる。
【0042】
また、
図8〜
図11に示されるように、通気孔36のタイヤ空洞領域に面する外側開口部は、筐体22の外壁面から突出した突出部の、センサ検出面28cに対して傾斜した傾斜面に設けられていることが好ましい。ここで、傾斜面には、センサ検出面28cに対して垂直な壁面も含まれる。このようにセンサ検出面28cに対して傾斜した傾斜面に通気孔36の外側開口部を設けることにより、角度θを容易に10度以上120度以下にすることができる。
【0043】
図12は、
図7に示す通気孔、内部空間、及びセンサ検出面の位置関係のより好ましい例を、センサ検出面28cに対して垂直方向から平面視したときの平面図である。送信機30は、
図3に示すように、タイヤ14に空気を充填するタイヤバルブ20に連結されて設けられている。タイヤバルブ20からタイヤ空洞領域に導入される空気のタイヤ空洞領域側の空気導入口20a(
図12参照)の中心位置X(
図12参照)と、通気孔36のタイヤ空洞領域に接する外側開口部36b(
図12参照)の中心位置Y(
図12参照)と、内側開口部36aの中心位置Z(
図12参照)を、センサ検出面28cに対して直交する方向から平面視して見る。そして、空気導入口20aの中心位置Xから外側開口部36bの中心位置Yに向かう直線に直交する仮想平面であって、外側開口部36bの中心位置Yを通る仮想平面を想定する。この時、
図12に示すように、内側開口部36aの中心位置Zは、センサ検出面28cに対して直交する方向から平面視して見たときの仮想平面に対応する仮想直線αを境界線にして空気導入口20aの中心位置Xと同じ側に位置することが好ましい。なお、仮想直線αは外側開口部36bの中心位置Yを通る直線である。タイヤ19がパンクしたとき、パンク修理液は、タイヤバルブ20から空気導入口20aを通ってタイヤ空洞領域内に導入されるので、送信機30の空気導入口20aからタイヤ空洞領域内に勢い良くパンク修理液は導入される。しかし、通気孔36の内側開口部36aの中心位置Zが、仮想直線αを境界線にして空気導入口20aの中心位置Xと同じ側に位置するように通気孔36を設けることにより、上記空気導入口20aから導入されたパンク修理液が直接、通気孔36の外側開口部36bに付着しさらに通気孔36に進入することは少なくなる。
【0044】
(変形例1〜5)
図13A〜13Cは、本実施形態の変形例1,2,3を示す図である。変形例1〜3は、いずれも、通気孔36の延在方向とセンサ検出面28cの法線方向との間の角度θが、10度以上120度以下である。さらに、内部空間38に接する通気孔36の内側開口部36aは、センサ検出面28cに対して傾斜した方向を向き、かつセンサ検出面28cの法線方向と通気孔36の延在方向に直交する方向に延びた内部空間の壁面38aに設けられている。したがって、上述した本実施形態と同様の効果を有する。
【0045】
図13Aに示す変形例1では、筐体22の外壁面から突出した球面状の突出部35が外壁面に設けられている。球面状の突出部35の内壁面38は、内部空間38の球面状を成した壁面であり、この壁面はセンサ検出面28cの法線方向と通気孔36の延在方向に直交する方向に少なくとも延びている。すなわち、センサ検出面28cの法線方向と通気孔36の延在方向に直交する方向に延びた内部空間の壁面38aには、球面状を成した壁面も含まれる。
【0046】
図13Bに示す変形例2では、筐体22の外壁面から突出した突出部35が外壁面に設けられている。この突出部35は、
図13Bの紙面垂直方向に延びている。変形例2においても、内部空間の内壁面における高さのうち最大高さH
1は、センサ検出面28cを基準として法線方向Nに沿って測った投射領域Pにおける高さのうち最大高さH
2に比べて高い。しかし、最大高さH
1と通気孔36の内側開口部36aのセンサ検出面28cからの最大高さが同じであるため、
図10に示すようにパンク修理液を最大高さ領域R
H1で捕獲することはできない。しかし、内部空間38に接する通気孔36の内側開口部36aは、センサ検出面28cに対して傾斜した方向を向き、かつセンサ検出面28cの法線方向と通気孔36の延在方向に直交する方向に延びた内部空間の壁面38aに設けられている。このため、上述した実施形態と同様に、パンク修理液の一部が内側開口部36aに戻ってくることは極めて少なくなる。
【0047】
図13Cに示す変形例3では、筐体22の突出部35の外側開口部36bは、突起35cによって囲まれている。このような突起35cが設けられることにより、筐体22に付着したパンク修理液が筐体22の外壁面を伝って外側開口部36bの周囲に流れてきても、突起35cにより外側開口部36bに近づくことができない。このため、突起35cにより、タイヤパンク修理液が通気孔36に進入することを防ぐことができる。
【0048】
図13Dは、変形例4を示す図である。変形例4では、突出部35が
図13Dの紙面垂直方向に延びている。すなわち、変形例4では、内部空間38に面する通気孔36の内側開口部36aは、センサ検出面28cに対して垂直方向に立設(傾斜し)、かつ、通気孔36の延在方向及びセンサ検出面28cの法線方向Nのいずれにも直交する方向(
図13Dの紙面垂直方向)に延びる内部空間38の壁面に設けられている。通気孔36の延在方向と、センサ検出面28cの法線方向Nとの間の角度θが90度となっている。したがって、変形例4も、上述した
図7に示す実施形態と同様の効果を有する。
【0049】
図13E,
図13Fは変形例5を示す図である。変形例5では、突出部35は円柱形状に突出しているが、突出先端の面35aは、筐体22の外壁面に対して傾斜している。変形例5では、内部空間38に面する通気孔36の内側開口部36aは、センサ検出面28cに対して垂直方向に立設(傾斜し)、かつ、通気孔36の延在方向及びセンサ検出面28cの法線方向Nのいずれにも直交する方向(
図13Fの紙面垂直方向)に延びる内部空間38の壁面に設けられている。変形例5における通気孔36の内側開口部36aの設けられる面は、円柱形状の曲面状に湾曲した側面であるが、
図13Fの紙面垂直方向に延びている。この湾曲した曲面も、通気孔36の延在方向及びセンサ検出面28cの法線方向Nのいずれにも直交する方向に延びる内部空間38の壁面に含まれる。また、変形例5における通気孔36の延在方向と、センサ検出面28cの法線方向Nとの間の角度θは90度となっている。したがって、変形例5も、上述した
図7に示す実施形態と同様の効果を有する。
【0050】
(実験例)
本実施形態の効果を調べるために、筐体22の通気孔36の形態を種々変更して、正しい空気圧の測定ができなくなるまでのタイヤの走行時間を調べた。
【0051】
具体的には、送信デバイス16を195/65R15のタイヤ14のタイヤ空洞領域内に設け、タイヤ空洞領域内にパンク修理液を注入した。タイヤ14の空気圧は200kPaとした。このタイヤ14について、室内ドラム試験を用いて30km/時の走行試験を行った。30分の走行を1走行ステップとし、各走行ステップ後に走行を停止させて、タイヤ空気圧を50kPa減少させて、タイヤの空気圧を測定した。空気圧は、監視装置18を用いて取得した。正しい空気圧を検出する場合、すなわち、圧力データが50kPa減少したことを示す場合、この後、空気圧を50kPa増やして元に戻し、再び走行をさせることを繰り返した。このタイヤの走行試験について、正しい空気圧の測定ができなくなるまでのタイヤの走行時間を調べた。走行時間は48時間を上限とし、この時間の間、正しい空気圧を測定できれば、パンク修理液が注入されても正しい空気圧を長時間、問題なく測定できると評価した。走行時間が48時間に達していなくても、走行時間が5時間以上であれば、合格レベルとした。下記表1,2では、合格レベルのものを可とし、不合格レベルのものを不可とした。
図14は、比較例3に用いた通気孔36、内部空間38、及びセンサ検出面28aの位置関係を説明する図である。いずれの例においても、センサ検出面の法線方向はタイヤ径方向の外側方向になるようにセンサを設けた。
【0054】
角度θが130度である比較例2では、筐体22の外壁面に付着したパンク修理液が、走行による遠心力により通気孔36の位置に移動して一部のパンク修理液が通気孔36内に進入することにより、通気孔36内でパンク修理液が固化して、パンク修理テストが不可になった。
以上より、通気孔36の形態が、
図7に示す形態あるいは
図13Bに示す形態であっても、角度θを10度以上120度以下とすることにより、パンク修理テストが合格レベルになることがわかる。
図13Aに示す形態においても、角度θを10度以上120度以下とする実施例9,10は、パンク修理テストが合格レベルになっている。
これより、本実施形態の効果は明らかである。
【0055】
以上、本発明の送信装置及びタイヤ状態監視システムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよい。