特許第5761402号(P5761402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761402
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20150723BHJP
   A01F 12/46 20060101ALI20150723BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20150723BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A01D41/12 E
   A01F12/46
   B60K13/04 B
   F02B67/00
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-39888(P2014-39888)
(22)【出願日】2014年2月28日
(62)【分割の表示】特願2009-175134(P2009-175134)の分割
【原出願日】2009年7月28日
(65)【公開番号】特開2014-144001(P2014-144001A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2014年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 靖
(72)【発明者】
【氏名】上村 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】上路 嘉隆
(72)【発明者】
【氏名】森本 寛之
【審査官】 柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−034241(JP,A)
【文献】 特開2006−029233(JP,A)
【文献】 特開2010−166878(JP,A)
【文献】 特許第5534143(JP,B2)
【文献】 特開2011−46320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/00 − 41/16
A01F 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)を備えた機体フレーム(1)の上部左側に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の前方に刈取装置(4)を設け、前記脱穀装置(3)の右側部にはグレンタンク(5)を設け、前記脱穀装置(3)からグレンタンク(5)に穀粒を投入する揚穀装置(27)を設け、前記グレンタンク(5)の前側に操縦部(6)を設けたコンバインにおいて、前記操縦部(6)の運転座席(10)の下方に設けたエンジン(11)の排気マニホールド(13)にDOC(16)部の始端部を接続し、該DOC(16)部の終端側にはSCR(17)の始端部を接続し、該DOC(16)部とSCR(17)をグレンタンク(5)の内側下部に形成される傾斜面(21)の下方に配置し、前記SCR(17)へ尿素水溶液を供給する尿素水溶液タンク(18)を、機体後部に備えた燃料タンク(30)の近傍に配置して機体後方からメンテナンスできる構成とし、該尿素水溶液タンク(18)に尿素水溶液を補給するために備える補給口(31)を、前記燃料タンク(30)に燃料を供給するために備える燃料供給口(32)の近傍に配置しことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
機体背面視において、前記燃料タンク(30)の燃料供給口(32)の上側に、前記尿素水溶液タンク(18)の補給口(31)が配置された請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記DOC(16)部の終端側とSCR(17)の始端中間接続排気管(14B)を介して接続され、該中間接続排気管(14B)の左右幅がDOC(16)部およびSCR(17)の左右幅よりも狭く形成され、該DOC(16)部とSCR(17)の間における中間接続排気管(14B)の側方の部位に、前記揚穀装置(27)が入り込む凹部空間(26)が形成された請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記DOC(16)部の終端側とSCR(17)の始端部を接続する中間接続排気管(14B)の左右幅が、DOC(16)部およびSCR(17)の左右幅よりも狭く形成され、該DOC(16)部とSCR(17)の間における中間接続排気管(14B)の側方の部位に、機体の傾斜を修正する機体水平機構のピッチングシリンダ(29)を配置する凹部空間(26)が形成された請求項2に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機体フレームの上方の左側に脱穀装置を、右側にグレンタンクをそれぞれ設け、グレンタンクの前側にエンジンを設け、エンジンの排気装置を脱穀装置とグレンタンクの間の上方に突き出すように設けた構成は公知である(特許文献1)。
【0003】
また、走行装置等の各部をエンジンの排気ガスを昇温または還元雰囲気で浄化する排気装置を設けた構成は公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−68719号公報
【特許文献2】特開2008−298036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記公知例のうち、前者のものは、エンジンの排気ガスを浄化する排気浄化装置を設けていないという課題がある。
【0006】
前記公知例のうち、後者のものは、エンジンの排気ガスを浄化する排気浄化装置について提案されているが、実際のコンバインにどのように搭載するかが不明であるという課題がある。
【0007】
本願は、コンバインの特性に鑑み、排気浄化装置の設置箇所を工夫し、排気ガスの浄化効率を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
【0009】
請求項1記載の発明は、走行装置(2)を備えた機体フレーム(1)の上部左側に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の前方に刈取装置(4)を設け、前記脱穀装置(3)の右側部にはグレンタンク(5)を設け、前記脱穀装置(3)からグレンタンク(5)に穀粒を投入する揚穀装置(27)を設け、前記グレンタンク(5)の前側に操縦部(6)を設けたコンバインにおいて、前記操縦部(6)の運転座席(10)の下方に設けたエンジン(11)の排気マニホールド(13)にDOC(16)部の始端部を接続し、該DOC(16)部の終端側にはSCR(17)の始端部を接続し、該DOC(16)部とSCR(17)をグレンタンク(5)の内側下部に形成される傾斜面(21)の下方に配置し、前記SCR(17)へ尿素水溶液を供給する尿素水溶液タンク(18)を、機体後部に備えた燃料タンク(30)の近傍に配置して機体後方からメンテナンスできる構成とし、該尿素水溶液タンク(18)に尿素水溶液を補給するために備える補給口(31)を、前記燃料タンク(30)に燃料を供給するために備える燃料供給口(32)の近傍に配置しことを特徴とするコンバインとした。
【0010】
請求項2記載の発明は、機体背面視において、前記燃料タンク(30)の燃料供給口(32)の上側に、前記尿素水溶液タンク(18)の補給口(31)が配置された請求項1に記載のコンバインとした。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記DOC(16)部の終端側とSCR(17)の始端中間接続排気管(14B)を介して接続され、該中間接続排気管(14B)の左右幅がDOC(16)部およびSCR(17)の左右幅よりも狭く形成され、該DOC(16)部とSCR(17)の間における中間接続排気管(14B)の側方の部位に、前記揚穀装置(27)が入り込む凹部空間(26)が形成された請求項2に記載のコンバインとした。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記DOC(16)部の終端側とSCR(17)の始端部を接続する中間接続排気管(14B)の左右幅が、DOC(16)部およびSCR(17)の左右幅よりも狭く形成され、該DOC(16)部とSCR(17)の間における中間接続排気管(14B)の側方の部位に、機体の傾斜を修正する機体水平機構のピッチングシリンダ(29)を配置する凹部空間(26)が形成された請求項2に記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、DOC(16)部とSCR(17)をグレンタンク(5)の内側下部に形成される傾斜面(21)の下方に配置しているので、グレンタンク(5)の周辺のスペースにこれらの排気浄化装置を配置でき、空間を有効利用できる。
【0014】
また、SCR(17)に尿素水溶液を供給する尿素水溶液タンク(18)が、機体後部に設けた燃料タンク(30)の近傍に配置されているので、この尿素水溶液タンク(18)が、エンジン(11)およびDOC(16)部とSCR(17)から構成される排気浄化装置の高温部からの影響を受けにくくなるうえに、機体の後方から尿素水溶液タンク(18)のメンテナンスを容易に行える。
【0015】
そして、尿素水溶液タンク(18)の補給口(31)を燃料タンク(30)の燃料供給口(32)の近傍に配置することによって、尿素水溶液の補給を忘れにくくなる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえで、機体背面視において、燃料タンク(30)の燃料供給口(32)の上側に尿素水溶液タンク(18)の補給口(31)が配置されることにより、尿素水溶液の補給を忘れにくくなる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、DOC(16)部の終端側とSCR(17)の始端部が、中間接続排気管(14B)を介して接続され、該中間接続排気管(14B)の左右幅がDOC(16)部およびSCR(17)の左右幅よりも狭く形成され、該DOC(16)部とSCR(17)の間における中間接続排気管(14B)の側方の部位に、揚穀装置(27)が入り込む凹部空間(26)が形成されるので、これらDOC(16)部とSCR(17)を有する排気浄化装置を脱穀装置(3)側に接近させて配置することができ、機体全体の左右幅を小さくできる。また、脱穀装置(3)とグレンタンク(5)との間に、より左右幅の大きい排気浄化装置を設置することができ、エンジン(11)の排気の浄化効率を向上させることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、DOC(16)部の終端側とSCR(17)の始端部を接続する中間接続排気管(14B)の左右幅が、DOC(16)部およびSCR(17)の左右幅よりも狭く形成され、該DOC(16)部とSCR(17)の間における中間接続排気管(14B)の側方の部位に、機体の傾斜を修正する機体水平機構のピッチングシリンダ(26)を配置する凹部空間(26)が形成されるので、脱穀装置(3)とグレンタンク(5)の間のデッドスペースを利用して、機体の傾斜を修正する機体水平機構のピッチングシリンダ(29)を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】コンバインの側面図。
図2】同一部省略した平面図。
図3】同背面図。
図4】排気浄化装置の配置を換えた他の実施例の平面図。
図5】機体水平機構を搭載した他の実施例の平面図。
図6】他の実施例の機体フレームと排気装置の位置関係を示す概略側面図。
図7】排気浄化装置の設置位置を脱穀装置の上方にした他の実施例の平面図。
図8】同正面図。
図9】排気浄化装置を脱穀装置内に設けた他の実施例の平面図。
図10】排気浄化装置の配置を換えた他の実施例の側面図。
図11】同概略背面図。
図12】排気浄化装置をグレンタンクと一体で外側オープンさせる他の実施例の平面図。
図13】排気浄化装置をグレンタンク内に設けた他の実施例の側面図。
図14】同概略背面図。
図15】排気浄化装置の設置位置を脱穀装置の上方にした他の実施例の平面図。
図16】同側面図。
図17】排気浄化装置の設置位置の他の実施例の概略平面図。
図18】同概略側面図。
図19】排気浄化装置の設置位置の他の実施例の平面図。
図20】同側面図。
図21】排気浄化装置の設置位置の他の実施例の概略平面図。
図22】同概略側面図。
図23】排気浄化装置の設置位置の他の実施例の平面図。
図24】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施例を図により説明すると、1は作業機の機体フレームであり、本願はコンバインの実施例である。
【0021】
機体フレーム1の下方には走行装置2を設け、機体フレーム1の上方の一側には脱穀装置3を設ける。脱穀装置3の前方には刈取部4を設け、脱穀装置3の側部にはグレンタンク5を設ける。6は操縦部である。
【0022】
操縦部6の運転座席10の下方にはエンジン11を設け、エンジン11には排気装置12を接続する。排気装置12は、エンジン11の排気マニホールド13に接続した排気管14に排気浄化装置15を設けて構成している。
【0023】
排気浄化装置15は、窒素酸化物を昇温させて吸着除去するDOC16(Diesel Oxidation Catalyst)と、窒素酸化物に尿素を触媒として加水分解されたアンモニアを窒素酸化物に反応させて窒素酸化物を無害な窒素に変えるSCR(Selective Catalytic Reduction)17とにより構成する。
【0024】
前記DOC16は、ハニカム担体に触媒(Pt)を担持し、SOF成分を酸化させるものであり、ハニカム担体とは複数の隔壁から成り、多角形断面を有する貫通孔を複数持つ、蜂の巣状のセル構造体と、それを取り囲む外壁から形成される。
【0025】
は触媒となる尿素水溶液の尿素水溶液噴射装置、1は尿素水溶液タンクである。
【0026】
DOC16とSCR17は排気管14の中間接続排気管14Bにより機体進行方向と平行な略直線状に配置接続する。DOC16とSCR17は、グレンタンク5の下方に位置させる。
【0027】
即ち、グレンタンク5の下部は、上部に比し下方部分の左右幅が細くなる漏斗部20に形成し、漏斗部20の内側傾斜面(傾斜面)21の下方にDOC16とSCR17を位置させる。
【0028】
そのため、グレンタンク5の漏斗部20周辺のデッドスペースに排気浄化装置15を配置して、空間を有効利用する。
【0029】
また、排気浄化装置15は脱穀装置3とグレンタンク5の間に配置され、DOC16とSCR17の何れか一方または両方の一部または全部が脱穀装置3の唐箕23の吸気用開口部24に臨ませる(図2)。
【0030】
そのため、唐箕23は、エンジン11からの排気により熱っせられた排気浄化装置15が放熱した熱気を吸気して脱穀装置3内に送風することができる。
【0031】
14Aはエンジン11の排気マニホールド13に接続した始端側排気管、14CはSCR17に接続した終端側排気管、22は終端側排気管14Cに設けたマフラーである。
【0032】
排気浄化装置15のDOC16とSCR17を接続する中間接続排気管14Bは平面視においてDOC16とSCR17の左右幅よりも狭い左右幅(小径)に形成し、DOC16とSCR17の間の中間接続排気管14Bの側方に凹部空間26を形成する(図4)。凹部空間26には、脱穀装置3より脱穀されて回収された穀粒をグレンタンク5に揚穀する揚穀装置27を配置する。
【0033】
そのため、排気浄化装置15を脱穀装置3に接近させて設けることができ、機体全体の左右幅を小さくできる。
【0034】
また、凹部空間26に揚穀装置27を配置するので、脱穀装置3とグレンタンク5との間により左右幅の大きいDOC16とSCR17により構成した排気浄化装置15を設置することができ、エンジン11の排気の浄化効率を向上させられる。
【0035】
排気浄化装置15のDOC16とSCR17を接続する中間接続排気管14Bは平面視においてDOC16とSCR17の左右幅よりも狭い左右幅(小径)に形成し、DOC16とSCR17の間の中間接続排気管14Bの側方に凹部空間26を形成し、凹部空間26には、機体の傾斜を修正する機体水平機構(図示省略)のピッチングシリンダ29を配置する(図5)。
【0036】
そのため、脱穀装置3とグレンタンク5の間のデッドスペースを有効利用して、機体水平機構(図示省略)のピッチングシリンダ29を配置できる。
【0037】
排気浄化装置15のSCR17に供給する尿素水溶液タンク1は、機体後方に設けた燃料タンク30の近傍に配置する(図1)。
【0038】
そのため、尿素水溶液タンク1はエンジン11および排気浄化装置15の高温部からの影響を受けにくい。
【0039】
また、機体後方から尿素水溶液タンク1のメンテナンス作業が行え、尿素水溶液タンク1のメンテナンス作業を容易にできる。
【0040】
尿素水溶液タンク1の補給口31は、燃料タンク30の燃料供給口32の近傍に配置する(図3)。
【0041】
尿素水溶液タンク1の補給口31を燃料タンク30の燃料供給口32の近傍に配置することで、さらに使い勝手がよくなり、また、尿素水溶液の補給忘れも無くなる。
【0042】
図6の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、走行装置2の左右のクローラー35の間で、機体フレーム1の上面よりDOC16とSCR17の上面を低く配置して設ける。
【0043】
そのため、機体フレーム1の下方空間を有効利用できる。
【0044】
高温の排気浄化装置15を機体フレーム1の下方空間に配置するので、脱穀装置3やグレンタンク5への高温の影響を抑制でき、安全性が向上する。
【0045】
排気浄化装置15および排気管14は機体フレーム1の下方空間に設置するので、配管の設計を容易にし、配管作業も容易に行える。
【0046】
図7,8の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、脱穀装置3の上側に、DOC16とSCR17とが前後に直線状となるように配置し、DOC16とSCR17の間の中間接続排気管14Bの側方の凹部空間26を脱穀装置3からグレンタンク5に穀粒を揚穀する揚穀装置27に合わせて配置する。
【0047】
そのため、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を、脱穀装置3の上側の大きな空間に配置でき、大型のDOC16とSCR17により構成した排気浄化装置15を設置可能となり、エンジン11の排気の浄化効率を向上させられる。
【0048】
また、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を、脱穀装置3の上側に配置しても、DOC16とSCR17の間の凹部空間26を揚穀装置27に合わせているので、排気浄化装置15をグレンタンク5に寄せて配置でき、脱穀装置3の脱穀室の上方を包囲する扱胴カバー36の開閉に支障を生じさせない。
【0049】
また、脱穀装置3の上側の大きな空間に排気浄化装置15のDOC16とSCR17を配置するので、排気浄化装置15の熱気を大気中に放熱でき、排気浄化装置15の冷却効果を高め、その結果、エンジン11の冷却効率を向上させられる。
【0050】
28はプレクリーナーである。
【0051】
図9の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、脱穀装置3の扱胴40の側方に位置させて、脱穀装置3内に設ける。
【0052】
そのため、排気浄化装置15および排気管14は脱穀装置3内にあるので、刈取脱穀作業中に、作業者が排気浄化装置15および排気管14に接触するのを防止でき、安全である。
【0053】
また、排気浄化装置15および排気管14は脱穀装置3内の扱胴40の側方にあるので、脱穀作業中に、脱穀装置3内を乾燥させられ、湿った穀物の脱穀作業でも、詰まり発生を抑制し、脱穀効率を向上させられる。
【0054】
図10,11の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、グレンタンク5の下部の漏斗部20の外側傾斜面41の下方に配置する。
【0055】
そのため、グレンタンク5の漏斗部20周辺のデッドスペースに排気浄化装置15を配置して、空間を有効利用する。
【0056】
また、排気浄化装置15はグレンタンク5の表側下方に配置されるので、排気浄化装置15のメンテナンス作業を容易にする。
【0057】
この場合、グレンタンク5を機体フレーム1側から任意の回動機構により、外側へ縦軸回動オープンするように構成し、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17はグレンタンク5と共に、回動オープンするように構成する(図12)。
【0058】
そのため、グレンタンク5と排気管14および排気浄化装置15の周辺空間を広くでき、一層、メンテナンス作業を容易にする。
【0059】
図13,14の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、グレンタンク5の上下中間部に形成した凹部42内に配置する。
【0060】
凹部42は、グレンタンク5の脱穀装置3側の側面に形成する。
【0061】
したがって、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、グレンタンク5内に収納され、設置スペースを小さくでき、コンバインの左右の機体幅をコンパクトにすることができる。
【0062】
また、DOC16とSCR17の発する熱によってグレンタンク5を加熱し、該グレンタンク5内の穀粒の乾燥を促進することができる。
【0063】
図15,16の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、脱穀装置3の上側に、DOC16とSCR17とが前後に直線状となるように配置する。
【0064】
そのため、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を、脱穀装置3の上側の大きな空間に配置でき、大型のDOC16とSCR17により構成した排気浄化装置15を設置可能となり、エンジン11の排気の浄化効率を向上させられる。
【0065】
また、脱穀装置3の上側の大きな空間に排気浄化装置15のDOC16とSCR17を配置するので、排気浄化装置15の熱気を大気中に放熱でき、排気浄化装置15の冷却効果を高め、その結果、エンジン11の冷却効率を向上させられる。
【0066】
図17,18の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、上下二段となるように配置し、SCR17はDOC16の下方に、平面視DOC16に重なるように配置する。
【0067】
即ち、DOC16とSCR17は排ガスの通過方向が横向きとなる横置きで、上下二段に配置する。
【0068】
そのため、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、排気浄化装置15のコンパクト化が図れる。
【0069】
したがって、排気浄化装置15をエンジン11の近傍に配置できる。
【0070】
図19,20の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、縦向きの上下二段となるように配置し、SCR17はDOC16の上方に、平面視DOC16に重なるように配置する。
【0071】
そのため、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、エンジン11とグレンタンク5の間の内側のコーナースペースを有効利用して排気浄化装置15を配置できる。
【0072】
また、SCR17に接続された終端側排気管Cは脱穀装置3の上方に設置している。
【0073】
図21,22の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、縦向きの上下二段となるように配置し、SCR17はDOC16の下方に、平面視DOC16に重なるように配置する。
【0074】
そのため、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、エンジン11とグレンタンク5の間の内側スペースに排気浄化装置15を配置できる。
【0075】
図23,24の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、排ガスの通過方向が左右方向となる横向きで前後に、操縦部6のステップ45の下方に配置する。
【0076】
そのため、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、ステップ45の下方空間を有効利用できる。
【0077】
この場合、ステップ45を取り外しできる構成とすると、DOC16とSCR17のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0078】
また、SCR17から伸びる終端側排気管14Cはエンジン11の内側側方を、後方に伸びるように配置する。
【0079】
そのため、終端側排気管14Cは脱穀装置3とグレンタンク5との間に位置するので、刈取脱穀作業中に、作業者が終端側排気管14Cに接触するのを防止でき、安全である。
(実施例の作用)
エンジン11を始動し、エンジン11の回転により脱穀装置3と刈取部4の各部を駆動し、走行装置2を駆動して走行して刈取脱穀作業を行う。
【0080】
エンジン11は供給された燃料を燃焼させて得た駆動力を各部に伝達し、燃焼した燃料は排気ガスとして排気装置12を通して機外に排出する。
【0081】
排気装置12は、エンジン11の排気マニホールド13に接続した排気管14に排気浄化装置15を設けて構成し、排気浄化装置15はDOC16とSCR17とにより構成し、DOC16とSCR17とは排気管14の中間接続排気管14Bにより略直線状に、グレンタンク5の下方に位置させているので、グレンタンク5の周辺のデッドスペースに排気浄化装置15を配置でき、空間を有効利用できる。
【0082】
グレンタンク5の下部は、上部に比し下方部分が細くなる漏斗部20に形成し、漏斗部20の内側傾斜面21の下方にDOC16とSCR17を位置させているので、平面視において、グレンタンク5の下方となる部分に排気浄化装置15が位置し、漏斗部20の下方の空間を有効利用できる。
【0083】
また、排気浄化装置15は脱穀装置3とグレンタンク5の間に配置され、DOC16とSCR17の何れか一方または両方の一部または全部が脱穀装置3の唐箕唐箕23の吸気用開口部24または吸気用開口部24の付近に臨ませているので、排気浄化装置15が放熱した熱い空気を唐箕23が吸気して脱穀装置3内に送風する。
【0084】
そのため、脱穀装置3内の乾燥を促進させ、湿った穀粒の脱穀作業の作業精度および作業効率を向上させられる。
【0085】
排気浄化装置15のDOC16とSCR17を接続する中間接続排気管14BはDOC16とSCR17の左右幅よりも狭い左右幅に形成して、DOC16とSCR17の間の中間接続排気管14Bの側方に凹部空間26を形成し、DOC16とSCR17は、凹部空間26に脱穀装置3からグレンタンク5に穀粒を揚穀する揚穀装置27が位置するように配置しているので、排気浄化装置15を脱穀装置3に接近させて設けることができ、機体全体の左右幅を小さくできる。
【0086】
また、凹部空間26に揚穀装置27を配置するので、脱穀装置3とグレンタンク5との間により左右幅の大きいDOC16とSCR17により構成した排気浄化装置15を設置することができ、エンジン11の排気の浄化効率を向上させられる。
【0087】
また、図5の実施例では、機体の傾斜を修正する機体水平機構を搭載し、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を接続する中間接続排気管14Bの側方の凹部空間26に、前記機体水平機構の一部を構成するピッチングシリンダ29を配置しているので、脱穀装置3とグレンタンク5の間のデッドスペースを有効利用してピッチングシリンダ29を配置できる。
【0088】
排気浄化装置15のSCR17に供給する尿素水溶液タンク1は、機体後方に設けた燃料タンク30の近傍に配置しているので、尿素水溶液タンク1はエンジン11および排気浄化装置15の高温部からの影響を受けにくい。
【0089】
また、機体後方から尿素水溶液タンク1のメンテナンス作業が行え、尿素水溶液タンク1のメンテナンス作業を容易にできる。
【0090】
尿素水溶液タンク1の補給口31は燃料タンク30の燃料供給口32の近傍に配置しているので、さらに使い勝手がよくなり、また、尿素水溶液の補給忘れも無くなる。
【0091】
図6の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を、走行装置2の左右のクローラー35の間で、機体フレーム1の上面よりDOC16とSCR17の上面を低く配置して設けているので、機体フレーム1の下方空間を有効利用できる。
【0092】
また、高温の排気浄化装置15を機体フレーム1の下方空間に配置するので、脱穀装置3やグレンタンク5への高温の影響を抑制でき、安全性が向上する。
【0093】
また、排気浄化装置15および排気管14は機体フレーム1の下方空間に設置するので、配管の設計を容易にし、配管作業も容易に行える。
【0094】
図7、8の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17を脱穀装置3の上側に設け、DOC16とSCR17とは前後に直線状となるように配置し、DOC16とSCR17の間の中間接続排気管14Bの側方の凹部空間26を脱穀装置3からグレンタンク5に穀粒を揚穀する揚穀装置27に合わせて配置しているので、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を、脱穀装置3の上側の大きな空間に配置でき、大型のDOC16とSCR17により構成した排気浄化装置15を設置可能となり、エンジン11の排気の浄化効率を向上させられる。
【0095】
また、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を、脱穀装置3の上側に配置しても、DOC16とSCR17の間の凹部空間26を揚穀装置27に合わせているので、排気浄化装置15をグレンタンク5に寄せて配置でき、脱穀装置3の脱穀室の上方を包囲する扱胴カバー36の開閉に支障を生じさせない。
【0096】
また、脱穀装置3の上側の大きな空間に排気浄化装置15のDOC16とSCR17を配置するので、排気浄化装置15の熱気を大気中に放熱でき、排気浄化装置15の冷却効果を高め、その結果、エンジン11の冷却効率を向上させられる。
【0097】
図9の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、脱穀装置3の扱胴40の側方に位置させて脱穀装置3内に設けているので、刈取脱穀作業中に、作業者が排気浄化装置15および排気管14に接触するのを防止でき、安全である。
【0098】
また、排気浄化装置15および排気管14は脱穀装置3内の扱胴40の側方にあるので、湿った穀物の脱穀作業では、脱穀作業中に、脱穀装置3内を乾燥させられ、詰まり発生を抑制し、脱穀効率を向上させられる。
【0099】
また、扱胴40は軸心方向を前後とし、この扱胴40の側方にDOC16とSCR17を前後に並設して構成した排気浄化装置15を設けているので、合理的な配置となって、機体の左右幅をコンパクトにすることができる。
【0100】
図10、11の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、グレンタンク5の下部の漏斗部20の外側傾斜面41の下方に配置しているので、グレンタンク5の漏斗部20周辺のデッドスペースに排気浄化装置15を配置でき、空間を有効利用する。
【0101】
また、排気浄化装置15はグレンタンク5の表側下方に配置されるので、排気浄化装置15のメンテナンス作業を容易にする。
【0102】
この場合、グレンタンク5を機体フレーム1側から任意の回動機構により、外側へ縦軸回動オープンするように構成し(図12)、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17はグレンタンク5と共に、回動オープンするように構成しているので、グレンタンク5と排気管14および排気浄化装置15の周辺空間を広くでき、一層、メンテナンス作業を容易にする。
【0103】
図13、14の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、グレンタンク5の上下中間部の脱穀装置3側の側面に形成した凹部42内に配置しているので、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、グレンタンク5内に収納され、設置スペースを小さくでき、コンバインの左右の機体幅をコンパクトにすることができる。
【0104】
図15、16の実施例では、排気管14および排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、脱穀装置3の上側に、DOC16とSCR17とが前後に直線状となるように配置しているので、排気浄化装置15のDOC16とSCR17を、脱穀装置3の上側の大きな空間に配置でき、大型のDOC16とSCR17により構成した排気浄化装置15を設置可能となり、エンジン11の排気の浄化効率を向上させられる。
【0105】
また、脱穀装置3の上側の大きな空間に排気浄化装置15のDOC16とSCR17を配置するので、排気浄化装置15の熱気を大気中に放熱でき、排気浄化装置15の冷却効果を高め、その結果、エンジン11の冷却効率を向上させられる。
【0106】
図17,18の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、上下二段となるように配置しているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、排気浄化装置15のコンパクト化が図れる。
【0107】
SCR17はDOC16の下方に、平面視DOC16に重なるように配置しているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、排気浄化装置15のコンパクト化が図れる。
【0108】
また、DOC16とSCR17は排ガスの通過方向が横向きとなる横置きで、上下二段に配置しているので、排気浄化装置15をエンジン11の近傍に配置でき、エンジン11とグレンタンク5の間の狭い空間内に排気浄化装置15を設置できる。
【0109】
図19,20の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、縦向きの上下二段となるように配置しているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、排気浄化装置15のコンパクト化が図れる。
【0110】
SCR17はDOC16の上方に、平面視DOC16に重なるように配置ているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、排気浄化装置15のコンパクト化が図れる。
【0111】
したがって、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、エンジン11とグレンタンク5の間の狭い空間内の内側のコーナースペースを有効利用して排気浄化装置15を配置できる。
【0112】
図21、22の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、縦向きの上下二段となるように配置し、SCR17はDOC16の下方に、平面視DOC16に重なるように配置しているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、エンジン11とグレンタンク5の間の内側スペースに排気浄化装置15を配置できる。
【0113】
図23,24の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、排ガスの通過方向が左右方向となる横向きで前後に、操縦部6のステップステップ45の下方に配置しているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、ステップ45の下方空間を有効利用できる。
【0114】
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【0115】
また、DOC16とSCR17とは、理解を容易にするために、図中のDOC16とSCR17に斜線を付しているが、これにより構成が限定されることはない。
【0116】
また、DOC16とSCR17は、理解を容易にするために、DOC16とSCR17の順に設置し、これにより排気ガスの浄化効果を向上させているが、順序を入れ替えても良い。
【符号の説明】
【0117】
機体フレーム
走行装置
3 脱穀装置
刈取装置
5 グレンタンク
操縦部
10 運転座席
11 エンジン
13 排気マニホールド
14B 中間接続排気管
16 DOC
17 SCR
18 尿素水溶液タンク
21 内側傾斜面(傾斜面)
26 凹部空間
27 揚穀装置
29 ピッチングシリンダ
30 燃料タンク
31 補給口
32 燃料供給口
図1
図2
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