(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電源(52)と、線状ないし棒状に形成される複数の放電針(64)を有する放電電極(61)と、上記各放電針(64)に沿って形成される対向電極(71)とを備え、上記電源(52)から放電電極(61)及び対向電極(71)に電位差が付与されることで、上記各放電針(64)の先端から対向電極(71)に向かってストリーマ放電が行われる放電装置であって、
上記複数の放電針(64)は互いに平行に配列され、
上記放電電極(61)は、上記放電針(64)の配列方向に延びる板部(67)を有し、
上記放電針(64)は、上記板部(67)の側縁から側方に突出する棒状に構成され、
上記放電電極(61)は、上記板部(67)を挟んで対向電極(71)と反対側に配置されるスタビライザ(62)を備え、
上記スタビライザ(62)との間に上記板部(67)を挟持して保持する絶縁部材(73)を備えている
ことを特徴とする放電装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
《発明の
参考形態》
〈空気処理装置の全体構成〉
図1は、本発明の
参考形態に係る空気処理装置の全体構成を示す斜視図であり、水タンクをケーシングから引き出した状態を示すものである。
図2は、空気処理装置の内部を表した概略の縦断面図である。
図3は、空気処理装置における空気の流れを示すブロック図である。
【0029】
図1〜
図3に示すように、
参考形態に係る空気処理装置(10)は、空気を浄化するための種々の空気浄化手段(20)と、空気を加湿する加湿手段としての加湿ユニット(40)とを備えている。
【0030】
空気処理装置(10)は、ケーシング(11)を有している。ケーシング(11)は、前後に扁平な矩形状に形成されている。ケーシング(11)には、その前側(
図1における左側寄り)に前面パネル(11a)が形成されている。前面パネル(11a)には、空気をケーシング(11)内に導入するための吸込口(12)が形成されている(
図2を参照)。吸込口(12)は、例えば前面パネル(11a)の左右側方にそれぞれ形成されている。また、ケーシング(11)には、その上部後方寄りの部位にケーシング(11)内の空気を吹き出すための吹出口(13)が形成されている。そして、ケーシング(11)の内部には、前記吸込口(12)から吹出口(13)に亘って空気が流通する空気通路(14)が形成されている。
【0031】
図2及び
図3に示すように、空気通路(14)には、空気の流れの上流側から下流側に向かって順に、プレフィルタ(21)、イオン化部(22)、プリーツフィルタ(23)、脱臭部材(24)、加湿ユニット(40)、及び遠心ファン(18)が設けられている。
【0032】
また、遠心ファン(18)の上方で且つ吹出口(13)の下側には、返送通路(15)の流入端が開口している。つまり、返送通路(15)には、空気通路(14)から吹出口(13)へ流出する空気の一部が分流する。返送通路(15)は、前記空気通路(14)と区画されるように前後に延びる空間を構成している。返送通路(15)の流出端は、前記プレフィルタ(21)の上流側と繋がっている。また、返送通路(15)の通路途中には、放電処理部(51)が設けられている。
【0033】
図4に示すように、プレフィルタ(21)の前側には、前記返送通路(15)と連通する案内通路(16)が形成されている。案内通路(16)は、例えば前面パネル(11a)の背面側に形成される仕切部材等によって区画形成されている。案内通路(16)は、返送通路(15)を流出した空気をプレフィルタ(21)の幅方向の中間部まで案内し、この空気を左右側方に流出させてプレフィルタ(21)側へ送るように構成されている(
図4の矢印を参照)。
【0034】
ここで、返送通路(15)は、放電処理部(51)の下流側において分岐しており、そのうちの一方は案内通路(16)に連通し、他方は加湿ユニット(40)の水タンク(41)に向かう移送配管(30)に連通している。移送配管(30)の通路途中には、放電処理部(51)で生成された活性種を含む空気を水タンク(41)内の水に供給するための送風ポンプ(31)が設けられている。なお、この送風ポンプ(31)を省略した構成としてもよい。
【0035】
〈空気浄化手段の構成〉
図2に示すように、空気処理装置(10)は、空気を浄化するための空気浄化手段(20)として、上述したプレフィルタ(21)、イオン化部(22)、プリーツフィルタ(23)、脱臭部材(24)を有している。
【0036】
プレフィルタ(21)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を物理的に捕捉する集塵用のフィルタを構成している。
【0037】
イオン化部(22)は、空気中の塵埃を帯電させる塵埃荷電手段を構成している。イオン化部(22)には、例えば線状の電極と、この線状の電極に対向する板状の電極とが設けられている。イオン化部(22)では、両者の電極に電源から電圧が印加されることで、両電極の間でコロナ放電が行われる。このコロナ放電により、空気中の塵埃が所定の電荷(正又は負の電荷)に帯電される。
【0038】
プリーツフィルタ(23)は、波板状の静電フィルタを構成している。つまり、プリーツフィルタ(23)では、イオン化部(22)で帯電された塵埃が電気的に誘引されて捕捉される。なお、プリーツフィルタ(23)に光触媒等の脱臭用の材料を担持させても良い。
【0039】
脱臭部材(24)は、ハニカム構造の基材の表面に空気を脱臭するための脱臭剤が担持されて構成されている。脱臭剤は、空気中の被処理成分(臭気物質や有害物質)を吸着する吸着剤や、該被処理成分を酸化分解するための触媒等が用いられる。
【0040】
〈加湿ユニットの構成〉
図5に示すように、加湿ユニット(40)は、水を貯留するための水タンク(41)と、水タンク(41)の水を汲み上げる水車(42)と、水車(42)によって汲み上げられた水を空気中へ付与する加湿ロータ(43)と、加湿ロータ(43)を回転駆動するための駆動モータ(44)とを備えている。
【0041】
水タンク(41)は、上側が開口する横長の水容器を構成している。水タンク(41)は、ケーシング(11)内の下部の空間に設置され、ケーシング(11)の引出口(11b)を通じて出し入れ自在に構成されている(
図1を参照)。これにより、ユーザー等は水タンク(41)内に加湿用の水を適宜補充することができる。また、水タンク(41)の底面には、水車(42)を回転自在に保持するための軸受部材(41a)が立設している。
【0042】
水車(42)は、前後に扁平な略円板状に形成され、その軸心部に回転軸(42a)が突設されている。回転軸(42a)は、前記軸受部材(41a)の上端に枢支されている。水車(42)は、水タンク(41)の加湿水中に一部(下端部を含む所定部位)が浸漬するように回転自在に設けられており、回転部材を構成している。
【0043】
水車(42)には、その後側の側面(加湿ロータ(43)に面する側面)の軸周りに複数の後側凹部(42b)が形成されている。後側凹部(42b)は、加湿水を加湿ロータ(43)側へ汲み上げるための加湿用凹部を構成している。複数の後側凹部(42b)は、径方向外側に向かうに連れて幅が拡大されるような略台形形状の開口を有している。また、後側凹部(42b)の開口の周方向の幅は、該後側凹部(42b)の内部空間の周方向の幅よりも狭くなっている。さらに、後側凹部(42b)の径方向内側の内壁は、開口端に向かうに連れて徐々に軸心側に近づくように傾斜している。各後側凹部(42b)は、水車(42)の径方向外側端部において周方向に等間隔で配列されている。回転動作中の水車(42)では、後側凹部(42b)が水タンク(41)の水中に浸漬する位置と、水中から引き出される位置とを交互に変位する。
【0044】
また、水車(42)の後側の側面には、その軸心寄りの部位に歯車(42c)が一体的に形成されている。歯車(42c)は、後述する加湿ロータ(43)の従動歯車(43a)と噛み合うように構成されている。
【0045】
加湿ロータ(43)は、環状の従動歯車(43a)と、この従動歯車(43a)に内嵌して保持される円板状の吸湿部材(43b)とを有している。吸湿部材(43b)は、吸水性を有する不織布によって構成されている。加湿ロータ(43)は、前記水タンク(41)の満水時の水位よりも高い位置において、回転軸を介して回転自在に保持されている。また、加湿ロータ(43)は、その下端を含む所定部位が水車(42)と実質的に接触するように配置されている。つまり、加湿ロータ(43)は、水車(42)の後側凹部(42b)と軸方向に一致する部位を有している。これにより、加湿ロータ(43)には、水車(42)の後側凹部(42b)によって汲み上げられた加湿水が吸湿部材(43b)に吸収可能に構成されている。
【0046】
駆動モータ(44)は、駆動歯車(44a)を有している。駆動歯車(44a)は、ピニオン(45)を介して加湿ロータ(43)の従動歯車(43a)と歯合している。すなわち、駆動モータ(44)が駆動歯車(44a)を回転駆動させると、ピニオン(45)及び従動歯車(43a)が回転し、さらに従動歯車(43a)と歯合する水車(42)が回転する。
【0047】
〈浄化ユニットの構成〉
空気処理装置(10)は、空気や加湿水を浄化するための浄化ユニット(放電装置(50)を備えている。この浄化ユニット(50)は、放電電極(61)及び対向電極(71)を有する放電処理部(51)と、電源(52)とを備えている。浄化ユニット(50)の詳細について
図6〜
図8を参照しながら説明する。
【0048】
図8に示すように、電源(52)は、高圧の直流電源で構成され、放電電極(61)と対向電極(71)との間に電圧を印加する。具体的に、放電電極(61)は、電源(52)の正極側に接続され、対向電極(71)は、電源(52)の負極側(厳密にはアース側)に接続される。電源(52)では、放電電極(61)と対向電極(71)との間の放電電流を一定とするように制御される、いわゆる定電流制御が行われる。
【0049】
放電電極(61)は、電極支持部材(62)と基台部(63)と放電針(64)とを備えている。電極支持部材(62)は、板状に形成され、基台部(63)及び放電針(64)を支持するように構成される。
参考形態の電極支持部材(62)は、金属材料で構成されるが、これに代えて導電性の樹脂材料を用いてもよい。電極支持部材(62)は、対向電極(71)と対向するように配置される。
【0050】
基台部(63)は、電極支持部材(62)から対向電極(71)に向かって突出するブロック状の部材で構成される。具体的に、基台部(63)は、電極支持部材(62)と対向電極(71)とが対向する方向(
図6の上下方向)に扁平な直方体形状に形成されている。基台部(63)の基端側は電極支持部材(62)に固定される。基台部(63)の突端部(63a)には、複数の放電針(64)が固定される。基台部(63)は、複数の放電針(64)の配列方向に延びている。
参考形態の電極支持部材(62)は、金属材料で構成されるが、これに代えて導電性の樹脂材料を用いてもよい。
【0051】
複数の放電針(64)は、棒状ないし線状に形成され、基台部(63)の突端部(63a)に固定される。複数の放電針(64)は、電極支持部材(62)及び対向電極(71)と平行に配置される。複数の放電針(64)は、互いに平行となるように、基台部(63)の延伸方向に配列される。複数の放電針(64)の長手方向の長さは互いに等しい。本
参考形態では、放電針(64)の先端は、同一線上に位置している。
【0052】
複数の放電針(64)は、基台部(63)の突端部(63a)に固定される固定部(64a)と、該固定部(64a)から放電針(64)の両端に向かってそれぞれ突出する一対の突出部(64b)とを有している。放電針(64)の固定部(64a)は、基台部(63)の突端部(63a)の内部に埋設している。対向電極(71)は、板状に形成され、放電針(64)と平行となるように配置される。放電処理部(51)では、放電針(64)の配列方向に沿って空気が流れる。つまり、複数の放電針(64)は、空気の流れる方向に配列されている。
【0053】
放電電極(61)では、各部材の間隔が以下のように設定されている。まず、隣り合う放電針(64)の間隔D1は、5.0mmであり、2.0mm以上であることが好ましい。また、放電針(64)と電極支持部材(62)との間隔D2は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。また、放電針(64)と対向電極(71)との間の距離D3は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。このように、各距離D1〜D3を設定することで、安定したストリーマ放電を生起することができる。
【0054】
電源(52)から放電電極(61)及び対向電極(71)に電位差が付与されると、放電針(64)の突出部(64b)の先端から対向電極(71)に向かってストリーマ放電が生起される。このストリーマ放電により、空気中には活性種(ラジカル、オゾン、高速電子、励起分子等)が発生する。放電処理部(51)で生成された活性種を含む空気の一部は、案内通路(16)を介して空気浄化手段(20)の最上流側に配置されたプレフィルタ(21)に供給される。また、残りの活性種を含む空気は、移送配管(30)を介して水タンク(41)内に供給される。そして、この活性種が空気中又は水中の被処理成分と反応することで、この被処理成分が酸化分解されて除去される。
【0055】
−運転動作−
参考形態に係る空気処理装置(10)は、上述した各種の空気浄化手段によって空気の浄化が行われるとともに、加湿ユニット(40)により室内の加湿が同時に行われる。
【0056】
具体的に、まず、駆動モータ(44)によって加湿ロータ(43)及び水車(42)が回転駆動される。また、遠心ファン(18)が運転されることで、室内の空気が吸込口(12)を通じて空気通路(14)内に導入される。さらに、電源からは放電処理部(51)の電極(61,71)に高圧の電圧が印加される。さらに、電源からはイオン化部(22)の電極に電圧が印加される。
【0057】
図2に示すように、空気通路(14)に流入した空気は、プレフィルタ(21)を通過して塵埃が捕捉された後、イオン化部(22)を通過する。イオン化部(22)では、電極間でコロナ放電が行われており、空気中の塵埃が帯電される。イオン化部(22)を流出した空気は、プリーツフィルタ(23)を通過する。プリーツフィルタ(23)では、帯電した塵埃が電気的に誘引されて捕捉される。プリーツフィルタ(23)を流出した空気は、脱臭部材(24)を通過する。脱臭部材(24)では、空気中に含まれる被処理成分が吸着剤に吸着され、あるいは触媒によって酸化分解される。
【0058】
ところで、空気通路(14)では、遠心ファン(18)の吹出側(陽圧側)の空気の一部が返送通路(15)に流入している。返送通路(15)を流れる空気は、前方に送られて放電処理部(51)を流れる。放電処理部(51)では、互いに対向する電極(61,71)の間でストリーマ放電が行われている。その結果、放電処理部(51)では、ストリーマ放電に伴い上述の活性種が発生する。この活性種を含んだ空気の一部は、返送通路(15)を通じて、プレフィルタ(21)の上流側を流れる空気と合流する。従って、空気通路(14)では、その流入端から流出端に亘って活性種が流れることになり、空気中の被処理成分と活性種との反応時間が確保されて脱臭性能が向上する。
【0059】
一方、返送通路(15)を流れる活性種を含んだ残りの空気は、通路途中で分岐した移送配管(30)を通じて水タンク(41)内に供給される。この活性種は、水中に含まれている有害物質を酸化分解して除去し、加えて加湿水の殺菌に利用される。
【0060】
加湿運転時には、脱臭部材(24)を通過した空気が加湿ロータ(43)へ流入する。ここで、加湿ユニット(40)では、水車(42)が回転することで、水タンク(41)内の加湿水が加湿ロータ(43)の吸湿部材(43b)に適宜供給される。具体的に、水車(42)では、水タンク(41)に貯留された加湿水中に後側凹部(42b)が浸漬する。これにより、加湿水中では、後側凹部(42b)内に加湿水が侵入して保持される。加湿水を保持した状態の後側凹部(42b)は、加湿水中から引き上げられてさらに上方へ変位する。この後側凹部(42b)が加湿ロータ(43)に徐々に近接していくと、後側凹部(42b)内に保持された加湿水も自重により徐々に後側凹部(42b)内から流出する。そして、後側凹部(42b)が最上端位置に変位する際には、後側凹部(42b)内の加湿水が概ね全量流出することになる。
【0061】
後側凹部(42b)から流出した加湿水は、該後側凹部(42b)と近接する加湿ロータ(43)と接触し、吸湿部材(43b)に吸収される。このような動作により、加湿ユニット(40)では、加湿ロータ(43)に連続的に加湿水が供給される。
【0062】
加湿ロータ(43)では、水分が補給された部位を空気が流通する。その結果、吸湿部材(43b)に含まれた加湿水が空気中へ放出され、これにより空気の加湿が行われる。以上のようにして清浄化及び加湿された空気は、吹出口(13)を通じて室内へ供給される。
【0063】
〈放電針の固定構造〉
次いで、放電電極(61)における放電針(64)の固定方法、及び固定構造の詳細について、
図9(A)〜(C)を参照しながら説明する。
参考形態の放電電極(61)では、放電針(64)が金属製の基台部(63)の突端部(63a)にはんだ付け(ろう付け)によって固定される。
【0064】
より詳細に、
図9(A)に示すように、
参考形態の放電電極(61)の基台部(63)の突端部(63a)には、複数の溝(65)が形成される。これらの溝(65)は、その底部に円弧面(65a)が形成され、放電針(64)が内嵌するように構成される。各溝(65)は、基台部(63)の突端部(63a)において、基台部(63)の幅方向の両端に亘って延びている。
【0065】
放電針(64)の取り付け時には、
図9(B)に示すように、各放電針(64)を各溝(65)に一本ずつ嵌め込む。これにより、各放電針(64)が各溝(65)の上方で仮止めされる。
【0066】
次いで、各溝(65)に各放電針(64)が嵌まり込んだ状態において、放電針(64)の上側にロウ材(はんだ)を充填し、放電針(64)と各溝(65)の内面とをろう付け部(66)を介して固定する。この結果、
図9(C)に示すように、基台部(63)の突端部(63a)の内部に放電針(64)が埋設される。
【0067】
−
参考形態の効果−
上記
参考形態では、複数の放電針(64)を互いに平行に配列している。複数の放電針(64)を平行に配列すると、複数の放電針を同一線上に配置する場合と比較して、隣り合う放電針の先端から進展するストリーマ放電が互いに干渉しにくくなる。このため、隣り合う放電針(64)の先端の距離を狭めたとしても、安定したストリーマ放電を行うことができる。従って、本
参考形態では、従来例と比較して各放電針(64)の間隔を狭めることができる。この結果、放電装置の小型化を図るとともに、放電に伴って生成される活性種等の濃度を高めることができる。従って、小型化且つ高い浄化効率を有する浄化ユニット(50)を提供できる。
【0068】
上記
参考形態では、ブロック状の基台部(63)の突端部(63a)に、複数の放電針(64)を固定している。つまり、上記
参考形態では、従来例のように、板状の部材を折り返して放電針を固定する構造を採用していない。このため、本
参考形態では、放電針(64)を基台部(63)に取り付ける際、放電針(64)に力が作用することを防止でき、この放電針(64)が曲がってしまうことを回避できる。この結果、放電針(64)の先端部と、対向電極(71)との間の距離を所望の間隔とすることができ、歩留まりの改善を図ることができる。
【0069】
また、上記
参考形態では、
図9(C)に示すように、基台部(63)の突端部(63a)の内部に放電針(64)を埋設している。これにより、従来例にように板状の部材を折り返して放電針を固定する構造と比較すると、基台部(63)と放電針(64)との間の接触面積を十分に確保できる。この結果、放電針(64)と電源(52)との間の通電状態を十分に確保でき、安定した放電を行うことができる。
【0070】
−
参考形態の変形例−
上述した
参考形態では、次の変形例のように放電針(64)を固定することもできる。
【0071】
〈変形例1〉
図10に示すように、基台部(63)の突端部(63a)に超音波溶着により放電針(64)を固定するようにしてもよい。具体的に、変形例1の基台部(63)は、所定の体積抵抗率を有する微導電性の樹脂材料で構成される。この微導電性の樹脂材料としては、例えばポリプロピレンが挙げられる。なお、基台部(63)の体積抵抗率は、10
−3Ω・cm以上10
6Ω・cm以下であることが好ましい。そして、本
参考形態では、基台部(63)の突端部(63a)に放電針(64)が設置された状態で、超音波振動が付与されることで、基台部(63)の突端部(63a)に放電針(64)が溶着される。
【0072】
この変形例1においても、放電針(64)に力を作用させることなく、放電針(64)を基台部(63)に固定できる。従って、放電針(64)が曲がってしまうことを防止でき、最適な電極間距離を確保することができる。
【0073】
また、この変形例1では、微導電性の基台部(63)が電源(52)の正極側に抵抗体として機能する。このため、浄化ユニット(50)では、放電電流の上昇を抑えることができ、放電電極(61)と対向電極(71)との間での異常放電(スパーク放電)を防止することができる。
【0074】
〈変形例2〉
図11に示すように、基台部(63)に放電針(64)をインサート成形してもよい。具体的に、変形例2の基台部(63)は、基台部本体(63b)と、突端部を構成する表層部(63c)とを有している。基台部本体(63b)及び表層部(63c)は、微導電性の樹脂材料で構成される。
【0075】
変形例1では、
図11(A)に示すように、微導電性の樹脂が放電針(64)とともにインサート成形されることで、内部に放電針(64)を保持した表層部(63c)が形成される。この表層部(63c)を基台部本体(63b)の表面に固定することで、
図11(B)に示すように、基台部(63)の突端部(表層部(63c))に放電針(64)が埋設された放電電極(61)が構成される。
【0076】
この変形例2においても、放電針(64)に力を作用させることなく、放電針(64)を基台部(63)に固定できる。従って、放電針(64)が曲がってしまうことを防止でき、最適な電極間距離を確保できる。
【0077】
また、この変形例2においても、微導電性の基台部(63)が電源(52)の正極側に抵抗体として機能する。このため、浄化ユニット(50)では、放電電流の上昇を抑えることができ、放電電極(61)と対向電極(71)との間での異常放電(スパーク放電)を防止することができる。
【0078】
〈変形例3〉
例えば基台部(63)の突端部(63a)上に放電針(64)を設置した後、テープや接着剤等を用いて放電針(64)を基台部(63)に固定するようにしてもよい。
【0079】
《その他の
参考形態》
上記
参考形態については、以下のような構成としてもよい。
【0080】
図12及び
図13に示すその他の
参考形態(第1の例)は、電極支持部材(62)の厚さ方向の両側(
図12及び
図13の上下方向の両側)にそれぞれ基台部(63)を設けたものである。つまり、この例では、1つの電極支持部材(62)が2つの基台部(63)に兼用された構成となっている。この例では、各基台部(63)に対応して1つずつ電極支持部材(62)を設ける場合と比較して、部品点数を削減でき、浄化ユニット(50)のコンパクト化を図ることができる。
【0081】
図14に示すその他の
参考形態(第2の例)は、上記
参考形態と放電針(64)の配置パターンが異なるものである。この例の放電電極(61)には、互いに平行に配列される第1列(L1)の放電針(64)と、互いに平行に配列される第2列(L2)の放電針(64)とが設けられる。第2列(L2)の各放電針(64)は、第1列(L1)の隣り合う放電針(64)の中間位置に配置される。第1列(L1)の各放電針(64)は、基台部(63)に固定される固定部(64a)と、該固定部(64a)から
図14の手前側に突出する突出部(64b)とを有している。第2列(L2)の各放電針(64)は、基台部(63)に固定される固定部(64a)と、該固定部(64a)から
図14の奥側に突出する突出部(64b)とを有している。
【0082】
この例においても、複数の放電針(64)が互いに平行に配置されるため、各放電針(64)の間隔を狭めることができる。この結果、この例においても、放電装置の小型化、あるいは空気の浄化効率の向上を図ることができる。
【0083】
《発明の実施形
態》
本発明の実施形
態に係る浄化ユニット(放電装置(50))について、
図15〜
図17を参照しながら説明する。浄化ユニット(50)は、ユニットケーシング(70)と、基板(80)と、電源トランス(81)と、コネクタ(82)と、電源(図示省略)とを有している。なお、以下の説明では、
図15における手前側を「正面側」、奥側を「背面側」、上側を「上側」、下側を「下側」、右側を「右側」、左側を「左側」と表現する。
【0084】
ユニットケーシング(70)は、左右に横長の直方体の箱状の形成されている。ユニットケーシング(70)は、下側に配置された下側ケース(70a)と、この下側ケース(70a)の上側に嵌められた下側ケース(70b)とを有している。下側ケース(70a)は、上方に向かって開放された箱状に形成されている。下側ケース(70a)は、絶縁材料で構成されている。下側ケース(70b)は、下方に向かって開放された箱状に形成されている。下側ケース(70b)は、絶縁材料で構成されている。ユニットケーシング(70)には、放電処理部(51)の近傍において、前後方向に空気を流通させるための複数の開口(図示省略)が形成されている。つまり、ユニットケーシング(70)の内部では、放電処理部(51)を前後方向に空気が流通する。
【0085】
図15に示すように、下側ケース(70a)の左右方向の中間部には、下側ケース(70a)の底面から上方に延びる中間支持部(73)が形成されている。この中間支持部(73)は、下側ケース(70a)の底面から上方に突出する横長の下側壁部(73a)と、この下側壁部(73a)の前後方向の中間部から上方に延びる略正方形板状の中央壁部(73b)と、この中央壁部(73b)の前後方向の中間部から上方に突出する突起部(73c)とを有している。下側壁部(73a)の上縁のうち中央壁部(73b)の両側には、それぞれ下方に凹んだ基板用凹部(73d)が形成されている。
【0086】
下側ケース(70a)の左側端部には、下側ケース(70a)の底面から上方に延びる側端支持部(74)が形成される。側端支持部(74)は、縦長の角柱状に形成されている。中間支持部(73)及び側端支持部(74)は、絶縁材料で構成される。
【0087】
基板(80)は、下側ケース(70a)の内部の左右両端に亘って延びる板状に形成される。基板(80)の左右方向の中間部には、前後に細長い挿通孔(80a)が形成されている。基板(80)は、中間支持部(73)の中央壁部(73b)が挿通孔(80a)に挿通され、且つ該挿通孔(80a)の前後の部位が基板用凹部(73d)に嵌合することで、下側ケース(70a)に保持されている。
【0088】
電源トランス(81)及びコネクタ(82)は、基板(80)における中間支持部(73)の右側に設置されている。コネクタ(82)は、図示しない電気配線を介して電源と接続されている。電源トランス(81)は、コネクタ(82)に供給された電圧を昇圧する。昇圧された電圧は、放電電極(61)のスタビライザ(62)に印加される。
【0089】
浄化ユニット(50)は、放電電極(61)と対向電極(71)とを有する放電処理部(51)を備えている。対向電極(71)は、基板(80)における中間支持部(73)の左側に設置されている。対向電極(71)は、基板(80)に形成された接地配線に電気的に接続され、アースされている。対向電極(71)は、平板を折り曲げたコの字(Uの字)状の部材に形成され、左右方向に延びている。対向電極(71)は、前後の側板(71a,71b)及び上側の上板(71c)を有し、下側に向かって開放されている。対向電極(71)では、上板(71c)が放電電極(61)に対向する対向面を構成している。本実施形態の対向電極(71)は、金属材料で構成されているが、これに代わって導電性の樹脂材料で構成してもよい。
【0090】
放電電極(61)は、対向電極(71)の上側に配置されている。放電電極(61)は、スタビライザ(電極支持部材(62))と、板部(67)と、放電針(64)とを有している。
【0091】
スタビライザ(62)は、導電性の樹脂材料で構成される。スタビライザ(62)は、上述した中間支持部(73)と側端支持部(74)とによって支持されている。スタビライザ(62)は、板部(67)に沿って延びる梁部(中間部(90))と、該梁部(90)の長手方向の両端部にそれぞれ形成される第1と第2の支持部(91,92)とを備えている。
【0092】
梁部(90)は、板部(67)を挟んで対向電極(71)と反対側に配置されている。梁部(90)は、板部(67)と平行に配置され、該板部(67)と離間している。第1支持部(91)は、梁部(90)の右端部から板部(67)に向かって突出し、第2支持部(92)は、梁部(90)の左端部から板部(67)に向かって突出している。
【0093】
第1支持部(91)の突端の前後方向の中間部には、中間凹部(91a)が形成されている。中間凹部(91a)には、中間支持部(73)の突起部(73c)が嵌合する。放電電極(61)の板部(67)の右端は、中間凹部(91a)と突起部(73c)との間に挟持されて保持される(
図17を参照)。
【0094】
第2支持部(92)は、下方に突出する突壁部(92a)と、該突壁部(92a)から内方(右側)に屈曲する鉤部(92b)とを有している。また、突壁部(92a)の内面の前後方向の中間部には、突壁部(92a)及び梁部(90)に亘るように挟持部(93)が形成される。挟持部(93)は、突壁部(92a)から内方に延出する縦板状に形成され、鉤部(92b)と僅かな隙間を置いている。放電電極(61)の板部(67)の左端は、鉤部(92b)と挟持部(93)との間に挟持されて保持される(
図17を参照)。
【0095】
また、挟持部(93)の右下端部には、下方に突出する係止部(93a)が形成される。放電電極(61)の板部(67)には、係止部(93a)に対応する位置に係止穴(67a)が形成される。つまり、板部(67)がスタビライザ(62)に保持される状態では、板部(67)の係止穴(67a)に係止部(93a)が嵌まり込む。これにより、スタビライザ(62)と板部(67)の相対位置、ひいてはスタビライザ(62)と放電針(64)の相対位置が決定される。
【0096】
板部(67)は、スタビライザ(62)及び対向電極(71)の上板(71c)よりも幅(
図16の上下方向の長さ)が小さい細長の板状に形成されている。板部(67)は、スタビライザ(62)及び対向電極(71)の上板(71c)と略平行に配置されている。
【0097】
放電針(64)は、板部(67)の前後方向の側縁から側方(前後方向)に突出する棒状に形成されている。つまり、放電針(64)は、放電処理部(51)を通過する空気流れに沿う方向に延びている。本実施形態の放電針(64)は、細長の四角柱状に形成されている。つまり、放電針(64)は、軸直角断面の形状が略正方形に形成され、その断面形状は放電針(64)の全体に亘って同じとなっている。
【0098】
放電電極(61)では、板部(67)の各側縁にそれぞれ10本ずつ放電針(64)が設けられている。なお、放電針(64)の本数は、単なる例示であり、複数であれば如何なる本数であってもよい。放電電極(61)では、板部(67)を挟んで隣り合う複数の放電針(64)が、互いに同軸上に配置されている。なお、板部(67)を挟んで隣り合う複数の放電針(64)を互いにずらすように配置してもよい。また、
参考形態と同様にして、放電電極(61)の側縁に配列される各放電針(64)は、互いに平行に配置される。
図16に示すように、複数の放電針(64)は、上下方向においてスタビライザ(62)の梁部(90)及び対向電極(71)の上板(71c)と重なる位置にある。
【0099】
放電針(64)及び板部(67)は、互いに一体形成された金属材料で構成されている。放電針(64)及び板部(67)は、互いに同一平面上に形成される。
【0100】
放電処理部(51)では、放電電極(61)の各放電針(64)と対向電極(71)の上板(71c)(対向面)とが略平行に配置されている。ここでいう、「平行」とは放電針(64)と対向電極(71)とが実質的に平行であることを意味する。従って、例えば放電針(64)の先端等に塵埃や不純物が付着して放電針(64)が撓んだ場合、放電針(64)と対向電極(71)とが平行にならないこともある。
【0101】
放電処理部(51)では、各部材の間隔が、以下のように設定されている。まず、隣り合う放電針(64)の間隔D1(
図16を参照)は、5.0mmであり、2.0mm以上であることが好ましい。また、放電針(64)とスタビライザ(62)との間隔D2(
図17を参照)は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。また、放電針(64)と対向電極(71)の上板(71c)との間の距離D3(
図17を参照)は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。このように各距離D1〜D3を設定することで、安定したストリーマ放電を生起することができる。
【0102】
−実施形
態の効果−
本実施形態の放電電極(61)では、板部(67)の側縁に複数の棒状の放電針(64)を突設する構成としたため、放電電極(61)の薄型化、軽量化、小型化を図ることができる。
【0103】
また、本実施形態では、板部(67)を挟んで対向電極(71)の反対側にスタビライザ(62)を配置している。スタビライザ(62)の梁部(90)は、放電針(64)と同じ極性となるため、ストリーマ放電は、梁部(90)側には進展せず、その逆側(即ち、対向電極(71)側)へ進展する。この結果、ストリーマ放電を安定して行うことができる。
【0104】
また、各放電針(64)が突設される板部(67)と、梁部(90)との間には、各放電針(64)をそれぞれ支持するための支持部材等が設けられず、板部(67)と梁部(90)とが離間する構成となる。このため、放電針(64)と同じ極性の支持部材等の電気的な干渉の影響により、放電が不安定となることも回避できる。
【0105】
実施形
態のそれ以外の作用効果は、上述した
参考形態と同様である。