【実施例】
【0022】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0023】
実施例1
ニトリルゴム(JSR製品JSR N240S;AN含量26%、 100重量部
ムーニー粘度ML
1+4(100℃)56)
カーボンブラック(東海カーボン製品シーストS-SVH) 25 〃
グラファイト(日本黒鉛工業製品HOP;平均粒子径 約3μm) 30 〃
ケッチェンブラック(ライオン製品EC-600JD) 7 〃
酸化亜鉛(堺化学工業製品) 10 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品) 1 〃
ワックス(精工化学製品サンタイトR) 2 〃
ジフェニルアミンのスチレンおよび 4 〃
2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物
(大内新興化学工業製品ノクラックODA-NS)
N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン 2 〃
(同社製品ノクラックWhite)
可塑剤(ランクセス製品ブルカノールOT) 9 〃
イオウ(鶴見化学工業製品) 1 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーTT) 2.8 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーCZ) 3.8 〃
以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールで混練し、生地特性(ムーニー粘度、スコーチタイム)を測定した後、混練物について170℃、10分間のプレス加硫および150℃、30分間のオーブン加硫を行ない、250×120×2mmおよび50×20×0.2mmのテストピースを作製した。得られたテストピースを用いて、常態物性の測定および浸漬試験を行った。
生地特性:ISO 289-1:1994、ISO 289-2:1994に対応するJIS K6300-
1:2001(ムーニー試験)準拠
125℃で最低ムーニー粘度およびスコーチタイムT5を測定
スコーチタイムは、生地の安定性、加硫成形性の観点より
、6分以上が好ましい
常態物性:ISO 7619:2004に対応するJIS K6253:1997(硬さ;デュロメ
ータA瞬時)準拠
ISO 37:2005に対応するJIS K6251:2010(引張強さ、破断時
伸び)準拠
250×120×2mmのテストピースを使用
浸漬試験:50×20×0.2mmのテストピース2個を鉄製の虫ピンで刺して固
定し、a〜cの手順で塩水浸漬、乾燥、水道水浸漬を行った後
、試験前後の体積変化率を算出
a.5重量%の塩水50mlに70℃で70時間浸漬
−降雪路面走行時の凍結防止剤散布によるオイルシールの
暴露を想定−
b.23℃で12時間常温乾燥
−凍結防止剤の散布されていない路面を走行し、洗浄前の
状態を想定−
c.水道水50mlに23℃、70時間浸漬
−自動車金属部の防錆のため、水道水による洗浄を想定−
【0024】
実施例2
実施例1において、N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン量が1重量部に変更されて用いられた。
【0025】
実施例3
実施例1において、N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンの代わりにチオジプロピオン酸ジラウリル(大内新興化学工業製品ノクラック400)1重量部が用いられた。
【0026】
比較例1
実施例1において、ジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物およびN,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンが用いられなかった。
【0027】
比較例2
実施例1において、N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンが用いられなかった。
【0028】
比較例3
実施例1において、ジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物が用いられなかった。
【0029】
比較例4
実施例1において、ジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物の代わりに、オクチル化ジフェニルアミン(大内新興化学工業製品ノクラックAD-F)が同量(4重量部)用いられた。
【0030】
比較例5
実施例1において、ジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物の代わりに、4,4´-ビス(α、α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業製品ノクラックCD)が6重量部用いられた。
【0031】
比較例6
実施例1において、N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン量が3重量部に変更されて用いられた。
【0032】
比較例7
実施例3において、チオジプロピオン酸ジラウリル量が3重量部に変更されて用いられ、ジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物が用いられなかった。
【0033】
以上の各実施例および比較例で得られた結果は、次の表に示される。
【0034】
以上の結果より、次のことがいえる。
(1) 各実施例ではスコーチタイムT5はいずれも7分以上と十分に長く、また浸漬試験後の体積変化率も3.3%以下と小さくなっており、これらの両特性にすぐれた加硫物が得られている。
(2) 老化防止剤を全く使用しない場合には、浸漬試験後の体積変化率が非常に大きく、耐塩水性に劣っている(比較例1)。
(3) 特許文献1で規定されている配合で、その実施例で用いられている老化防止剤、すなわちジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物1種類のみが添加された場合は、浸漬試験後のゴムの膨潤が大きく、耐塩水性に劣っている(比較例2)。
(4) 老化防止剤としてN,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンのみを添加した場合は、浸漬試験後のゴムの膨潤が大きく、耐塩水性に劣っている(比較例3)。
(5) N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンにジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物ではないアミン系老化防止剤を添加した場合は、浸漬試験後のゴムの膨潤が抑えられず、耐塩水性に劣っている(比較例4〜5)。
(6) ジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物とN,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンが用いられた場合であっても、N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン量が規定量以上用いられると、浸漬試験後のゴムの膨潤は抑えられるものの、スコーチタイムT5が短くなってしまい、生地保管性あるいは加硫成形性が劣るようになる(比較例6)。
(7) 老化防止剤としてチオジプロピオン酸ジラウリルのみが規定量以上添加されると、浸漬試験後のゴムの膨潤は抑えられるものの、スコーチタイムT5が短くなってしまい、生地保管性あるいは加硫成形性が劣るようになる(比較例7)。