(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761491
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】色処理装置及び色処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/46 20060101AFI20150723BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20150723BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
H04N1/46 Z
H04N1/40 D
G06T1/00 510
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-288446(P2010-288446)
(22)【出願日】2010年12月24日
(65)【公開番号】特開2012-138676(P2012-138676A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101948
【弁理士】
【氏名又は名称】柳澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】岸本 康成
【審査官】
豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−018416(JP,A)
【文献】
特開2003−018415(JP,A)
【文献】
特開2003−298865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46−62
G06T 1/00
H04N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられた処理対象の色情報の白色点である第一の白色点の輝度情報と目標とする白色点の輝度情報の比を用いて第二の白色点への補正情報を生成する生成手段と、前記生成手段で生成した前記第二の白色点への補正情報を各色成分に適用する色補正処理を前記処理対象の色情報に対して行う色補正手段を有することを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記第一の白色点の輝度情報から前記目標とする白色点の輝度情報までの間で輝度情報を設定した前記第二の白色点への補正情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の色処理装置。
【請求項3】
前記色補正手段は、前記色情報に白色点の情報が存在する場合には、前記第二の白色点を光源の代わりに正規化の分母とする色補正処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記色情報が出力カラープロファイルの色データである場合に、前記目標とする白色点の輝度情報として用紙の白色点の輝度情報を用いて前記第二の白色点への補正情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の色処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記色情報が入力カラープロファイルの色データである場合に、前記第一の白色点の輝度情報として出力側の白色点の輝度情報を用いて前記第二の白色点への補正情報を生成し、前記色補正手段は、前記補正情報を利用して生成した前記第二の白色点を光源の代わりに正規化の分母として色補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の色処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の色処理装置の機能を実行させるものであることを特徴とする色処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色処理装置及び色処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
色処理は異なる入出力装置に依存した色空間の整合をとるために必要とされている。装置依存の色空間は、例えば、印刷や電子写真などの画像形成装置では4色以上の色材を使用することから、これらの色材の色を要素とした色空間が用いられている。また、モニタなどの表示装置や、カメラやスキャナなどの画像読取装置ではRGB色空間などが利用されている。また、装置依存の色空間の整合をとるために、装置に依存しないCIELABなどの知覚均等色空間やCIELCAM02などの色の見えモデルの特徴を備えた色空間が利用される。さらには三刺激値CIEXYZやLMS色空間なども利用される。
【0003】
白色点の補正は、異なる色空間での色の整合をとる処理の1つである。出力装置による表示や紙媒体による反射画像などでは、白色点(用紙白色点、紙白など、概ね最明度点に相当)が、ある値に決まっておらず、処理系や媒体(用紙など)により異なる場合がある。そのため、与えられた色情報と出力する色情報とのダイナミックレンジを合わせるために白色点の補正が必要である。この場合、与えられた色情報の色空間を共通する色空間に変換して白色点の補正処理を行い、処理後の色情報を出力すべき色空間に変換することにより、白色点の補正処理は共通の色空間で処理すればよい。例えば共通の色空間をCIELABとし、白色点の補正処理自体はCIELAB色空間の色情報からCILEABの色情報への補正処理を行えばよい。
【0004】
白色点の補正としては、例えばICCプロファイルの仕様(ISO15076−1)で設定されている用紙の白色点の測色値であるCIEXYZによって正規化する方法がある。(相対Colorimetricレンダリングインテントの正規化する方法は三刺激値CIEXYZからCIELABへの変換で用いる光源の代わりに用紙の白色点を利用することと等しい。例えば、この処理方法はCIELABからCIEXYZへの変換およびCIEXYZからCIELABへの変換の途中経過を利用するCIELABからCIELABへの色変換としても実現されるためCIEXYZの処理なのかCIELABの処理なのか説明上曖昧さが残る。しかしながら、原理的にはCIEXYZへの変換を利用して可逆を連結すると計算を省けることと等価であることから、本発明ではCIEXYZからCIEXYZへの変換の処理として表現する。)また、例えば色順応を利用して白色点の補正を行うものとして、特許文献1、特許文献2、特許文献3などに記載されている技術がある。これらは、視覚的には絶対輝度(物体色と表面色)の違い、また相対的には参照する再現色情報が用紙の地色が表示装置の白色かの違いなどはあるが、いずれも色順応モデルを用いた色変換を行っており、組み合わせは色々提案されている。
【0005】
異なる用紙での白色点の補正を行うものとして、例えば、特許文献4や特許文献5などに記載されている技術がある。さらに、表示装置または投影装置と用紙での白色点を補正するものとして、例えば特許文献6では3刺激値XYZを用いて、表示装置に表示されている画像を記録材料に形成する際の白色点の補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−033936号公報
【特許文献2】特許第3412985号公報
【特許文献3】特開平11−112819号公報
【特許文献4】特開平10−341348号公報
【特許文献5】特開平11−177834号公報
【特許文献6】特開平01−281524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、表示されている画像と見た目に近い画像を画像形成媒体上に色再現可能な色情報を得ることができる色処理装置及び色処理プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に記載の発明は、与えられた処理対象の色情報の白色点である第一の白色点の輝度情報と目標とする白色点の輝度情報の比を用いて第二の白色点への補正情報を生成する生成手段と、前記生成手段で生成した前記第二の白色点への補正情報を各色成分に適用する色補正処理を前記処理対象の色情報に対して行う色補正手段を有することを特徴とする色処理装置である。
【0009】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記生成手段が、前記第一の白色点の輝度情報から前記目標とする白色点の輝度情報までの間で輝度情報を設定した前記第二の白色点への補正情報を生成することを特徴とする色処理装置である。
【0010】
本願請求項3に記載の発明は、本願請求項1または請求項2に記載の発明における前記色補正手段が、前記色情報に白色点の情報が存在する場合には、前記第二の白色点を光源の代わりに正規化の分母とする色補正処理を行うことを特徴とする色処理装置である。
【0011】
本願請求項4に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記生成手段が、前記色情報が出力カラープロファイルの色データである場合に、前記目標とする白色点の輝度情報として用紙の白色点の輝度情報を用いて前記第二の白色点への補正情報を生成することを特徴とする色処理装置である。
【0012】
本願請求項5に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記生成手段が、前記色情報が入力カラープロファイルの色データである場合に、前記第一の白色点の輝度情報として出力側の白色点の輝度情報を用いて前記第二の白色点への補正情報を生成し、前記色補正手段は、前記補正情報を利用して生成した前記第二の白色点を光源の代わりに正規化の分母として色補正処理を行うことを特徴とする色処理装置である。
【0013】
本願請求項6に記載の発明は、コンピュータに、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の色処理装置の機能を実行させるものであることを特徴とする色処理プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本願請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比べて、表示されている画像と見た目に近い画像を画像形成媒体上に色再現可能な色情報を得ることができる。
【0015】
本願請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、色かぶりや明度方向のかぶりを低減することができる。
【0016】
本願請求項3に記載の発明によれば、色かぶりの発生を防ぐことができる。
【0017】
本願請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比べて、表示されている画像と見た目に近い画像の色情報を得るための出力カラープロファイルを得ることができる。
【0018】
本願請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比べて、表示されている画像と見た目に近い画像の色情報を得るための入力カラープロファイルを得る、または入力プロファイルの色情報を変更することができる。
【0019】
本願請求項6に記載の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の色処理装置の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の実施の一形態における動作の一例を示す流れ図である。
【
図3】本発明の実施の一形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の一形態を示す構成図である。図中、11は生成部、12は色補正部である。以下の説明では、処理対象の色情報及び出力される処理後の色情報は標準化団体(国際照明委員会やISOなど)にて測色の規定が存在しており最も利用されていることから三刺激値CIEXYZを利用するものとしている。もちろん、CIEXYZに限定されるものではなく、光エネルギーを扱う色空間としては分光分布をもとに計算される色空間やCIEXYZから線形変換される色空間(例えば、LMS色空間)の色情報など、他の色情報であってもよい。なお、CIECAM02、sRGB、CMYK、CIELAB、濃度などはエネルギーに対して線形ではないので該当しないが、CIELABなどからは色変換すればよい。また、処理対象の色情報及び出力される処理後の色情報は、実数値そのものであっても符号化されていてもよく、また、色変換係数やICCプロファイルの形態などであってよく、限定されるものではない。
【0022】
生成部11は、与えられた処理対象の色情報の白色点である第一の白色点の輝度Y(CIEXYZの輝度Yの相当)情報と目標とする白色点の輝度Y情報から第二の白色点への補正情報を生成する。ここでは、第一の白色点の輝度と目標とする白色点の輝度は同属性であればよく、例えばYとYの組み合わせでなくても、XとXの組み合わせや、さらにはXYZ色空間のYとLMS色空間のMであってもよい。また色補正部12は、生成部11で生成した第二の白色点への補正情報を用いた色補正処理を、処理対象の色情報に対して行う。
【0023】
以下、具体例として表示装置に表示させている色情報を画像形成装置に出力する際の色補正処理である場合を想定して説明する。もちろん、本発明はこの場合に限られるものではない。表示装置に表示させる際の色情報はRGB色情報であり、白色点はCIEXYZ(D50)に変換するとD50光源のCIEXYZそのものになる。画像形成装置の画像形成媒体の測定は分光分布で行われ、画像形成媒体の白色点はCIEXYZ(D50)そのものを入手すればよい。この場合のCIEXYZはBCRAタイルなどの基準白色でそれぞれの輝度を正規化している。
【0024】
一方、例として表示装置で表示した画像を見つつ画像形成物の見栄えがよくなるように画像編集(レタッチ)を前提にすると、ある観察環境で表示装置に表示された画像と画像形成媒体に形成された画像を比べながら観察する。この場合、表示装置の白色点の輝度(例えば、分光視感効率や輝度Yなど)と観察環境の照度を管理して同程度の白色にすることで、2つの画像の色が近づきダイナミックレンジや色管理などの比較がしやすくなる。言い換えると、表示装置の白色点CIEXYZの輝度Ywと、画像形成媒体の白色点CIEXYZの輝度Ypは、いずれもある輝度となる。ここで、表示装置に表示された画像の観察環境における白色点は、外部環境の影響よりも表示装置の設定に依存する場合があるため、原理的に、表示装置と画像形成媒体とを観察する場所が異なっていてもよい。従って、おのおのの観察や測定条件で正規化した三刺激値CIEXYZから、2つの観察環境に共通した明暗を表す輝度で整合化した三刺激値CIEXYZを生成するのと表示装置に表示される色と画像形成媒体上の色とが近づくことになる。
【0025】
なお、このような白色点の補正は入出力の関係から決定するため、出力される色情報が画像を形成する際の色域を超える場合がある。表示装置に表示される画像と画像形成媒体に形成される画像とは測色的に整合しているものとするが、色域を超える場合には色域マッピングなどの処理を行うことから、色が変更される場合がある。
【0026】
図2は、本発明の実施の一形態における動作の一例を示す流れ図である。S51において、生成部11は第一の白色点(Xw,Yw,Zw)の輝度情報Yw、および、目標とする白色点の輝度情報Ypを取得する。第一の白色点(Xw,Yw,Zw)は、例えば標準的なRGB色空間の規格値(色温度を合わせるとD50光源のCIEXYZ)や表示装置に表示させる際に用いるICCプロファイルのタグ情報から取得すればよい。あるいは、表示装置に与えた色情報と表示された色の測色情報との組から取得してもよい。また、第一の白色点が表示装置の白色点ではない場合には、例えば標準的な画像形成媒体の白色点や、平均的な白色点や、与えられた処理対象の色情報のうちの白色の情報など、種々の白色点を仮想的に第一の白色点としてもよい。また、目標とする白色点(Xp,Yp,Zp)は画像を形成する画像形成媒体(例えば用紙)の白色(例えば用紙そのもの)を測色した情報などを取得すればよい。また観察環境に画像形成媒体を配置して分光輝度計などで計測してもよい。もちろん、この目標とする白色点の輝度情報も種々の方法により与えられてよい。
【0027】
S52において、生成部11はS51で取得した第一の白色点(Xw,Yw,Zw)の輝度情報Ywと目標とする白色点(Xp,Yp,Zp)の輝度情報Ypから第二の白色点(Xt,Yt,Zt)への補正情報を生成する。この第二の白色点(Xt,Yt,Zt)の情報と補正情報の関係は、例えば
【数1】
になり、補正情報は(Yp/Yw)である。この例では、第二の白色点(Xt,Yt,Zt)の輝度情報Ytは目標とする白色点の輝度情報Ypとなる。生成部11は、色補正部12が上記の(1)式を用いて補正処理を行う場合には補正情報(Yp/Yw)を色補正部12に渡してもよい。あるいは、知覚的な色空間(CIELAB色空間やCIECAM02色空間など)のように三刺激値CIEXYZから色変換を行う前提である場合には、知覚的な色空間を生成するための色情報は三刺激値CIEXYZそのものの値を利用するのではなく、三刺激値CIEXYZと光源情報との相対関係(ある輝度/照明情報の輝度)を利用している。このことから、三刺激値CIEXYZを新たに生成するのではなく、生成した第二の白色点(Xt,Yt,Zt)との相対関係を色補正部12に渡してもよい。さらに、例えば、設定や校正機器で計測される表示装置の輝度に対して観察環境の照度が管理されず照度が標準よりも高い場合に、目標とする白色点の輝度情報Ypは用紙の白色点そのものの輝度Yを利用して画像形成すると見た目にて全体的に標準よりも高彩度になる場合が生じる。これを調整するには目標とする白色点の輝度情報を制御する。または、後述の(4)式のαを利用してもよい。
【0028】
S53において、色補正部12はS52で生成部11が生成した第二の白色点への補正情報を用いて、与えられた色情報(Xs,Ys,Zs)に対して補正を施し、補正処理後の色情報(Xd,Yd,Zd)を出力する。白色点の補正処理としては、輝度に応じて補正量を変更してもよい。さらに、画像を形成する際の色域に応じて補正後の色情報の色域を幾何変換したり、補正処理の際に画像を形成する色域を外れる場合には、色域内の色へ変換する処理なども行うとよい。
【0029】
補正処理の例としては、上記の(1)式と同様に
【数2】
により、与えられた色情報(Xs,Ys,Zs)から補正処理後の色情報(Xd,Yd,Zd)を求めるとよい。この場合、第二の白色点(Xt,Yt,Zt)の情報として補正の係数となる(Yt/Yp)を受け取ればよい。なお、与えられた色情報がRGBなどの他の色空間の色情報である場合には、CIEXYZに変換してから補正処理を行えばよい。また、補正処理はCIEXYZにおいて行うほか、例えばCIELABなどの他の色空間に変換する途中の式を利用してもよい。もちろん、補正処理後の色情報も種々の色空間に変換してもよい。
【0030】
なお、与えられる色情報に、例えば画像形成媒体の白色点に対応する色情報が存在する場合には、上述の補正処理を行うと色かぶりが発生する場合がある。このような場合には、画像形成媒体の白色点については一律の補正処理を行わずに例えばD50やD65などの標準光源の色と見なして補正処理を行うとよい。処理対象が色情報ではなく写真画像の色信号などであれば、利用者によっては色かぶりが気にならず一律の補正処理が好ましい場合がある。
【0031】
さらに、例えば、用紙1上の色をCIEXYZ色空間上で相対に用紙2上の色で擬似的に再現する場合など、与えられた色情報(Xs,Ys,Zs)に対しての白色点(Xj,Yj,Zj)の設定(用紙1の白色点のこと)があり、その白色点を、画像を形成する画像形成媒体(用紙2)の白色点(目標とする白色点(Xp,Yp,Zp))に合わせる場合には、
【数3】
によって第二の白色点の情報を生成すればよい。またこの場合も、色補正部12における色補正処理において、この式と同様に色補正処理を行ってもよい。
【0032】
この場合において、第一の白色点(Xw,Yw,Zw)が白色点(Xj,Yj,Zj)であり、用紙1と用紙2を共通の測定条件で、共通の観察環境で観察しているとすると第一の白色点の輝度情報Ywと目標とする白色点の輝度情報YpはYw=Ypとなり、第二の白色点(Xt,Yt,Zt)の輝度情報Yt=Yp(=Yw)となる。
【0033】
さらにまた、例えば色かぶりや明度方向のかぶりなどの対策として、第一の白色点の輝度情報Ywを目標とする白色点の輝度情報Ypまで補正せず、第二の白色点の輝度情報Ytを輝度情報Ywから輝度情報Ypまでの間に設定してもよい。例えば、係数αを用い、
【数4】
により第二の白色点(Xt,Yt,Zt)の情報を求めてもよく、補正情報は(Yp/Yw×α)となる。もちろん、(3)式においても係数αを導入し、第二の白色点(Xt,Yt,Zt)の情報を求めてもよい。
【0034】
なお、上述の説明では白色点についての補正処理について説明したが、白色点の場合と条件が共通する他の色についての補正処理に上述の構成を適用してもよい。
【0035】
次に、補正の対象として与えられる色情報(Xs,Ys,Zs)を出力カラープロファイル生成に利用する場合について説明する。出力カラープロファイルは受け取る色情報として標準光源の白色点(D50など)にも対応する必要がある。そのため、第一の白色点の明るさを示す輝度は最大の値とする。例えばCIEXYZの各値を0から100の範囲の数値で表現した場合(Y以外は0以下や100を超える数値があってもよい)には、100とすればよい。この場合、第一の白色点(Xw,Yw,Zw)から第二の白色点(Xt,Yt,Zt)は、
【数5】
で求めればよく、補正情報は(100/Yw)となる。もちろん、(4)式で説明した係数αを導入してもよい。
【0036】
色補正部12は(5)式で示した第二の白色点への補正情報を用いて、与えられた出力カラープロファイルの色情報(Xs,Ys,Zs)に対する補正処理として、輝度に対する白色点比率100/Ywを乗算すればよい。
【0037】
ここで、画像形成媒体の白色点に対しては、色かぶりの発生を回避するために光源(例えば,D50光源)のCIEXYZの値を設定するとよい。その場合、計算上の画像形成媒体の白色点と光源とが乖離している場合には、色の連続性が失われて階調の段差が発生する場合がある。そのため、光源に設定した画像形成媒体の白色点を中心に既存の色変更処理(色域マッピング処理や加重平均、幾何変換など)を行うとよい。
【0038】
また、補正の対象として与えられる色情報(Xs,Ys,Zs)が入力カラープロファイルの色情報(D50やD65などの標準光源下での色情報)に利用する場合について説明する。この場合にも上述の(5)式やさらに係数αを導入した式などを用いて第二の白色点への補正情報を求めればよいが、入力カラープロファイルと画像形成媒体に対して相対で設計された出力カラープロファイルを組み合わせて利用する場合には、相対的に色ずれが生じている出力側に、入力側の色を合わせる補正を行う必要がある。具体的には、出力カラープロファイルで設定されている画像形成媒体を白色点(Xj,Yj,Zj)および第一の白色点(Xw,Yw,Zw)とし、同じく出力カラープロファイルで設定されている画像形成媒体の白色点を目標とする白色点(Xp,Yp,Zp)の輝度Ypとして、(3)式と同様にすることで、第二の白色点(Xt,Yt,Zt)への補正情報を求めればよい。そして色補正部12は、求めた第二の白色点への補正情報を利用して色補正処理を行えばよい。また、もし三刺激値CIEXYZから知覚的な色空間(例えばCIELAB)に変換する必要があるならば、ここで求めた補正情報から第二の白色点(Xt,Yt,Zt)を求めて、CIEXYZからCIELABに変換する際の、光源(正規化する際の分母)とすればよい。ここでの第二の白色点(Xt,Yt,Zt)は画像形成媒体の白色点(Xw,Yw,Zw)そのものの輝度Ywで正規化するものと等しい。
【0039】
図3は、本発明の実施の一形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。図中、21はプログラム、22はコンピュータ、31は光磁気ディスク、32は光ディスク、33は磁気ディスク、34はメモリ、41はCPU、42は内部メモリ、43は読取部、44はハードディスク、45はインタフェース、46は通信部である。
【0040】
上述の本発明の実施の一形態で説明した各部の機能を全部あるいは部分的に、コンピュータに実行させるプログラム21によって実現してもよい。その場合、そのプログラム21およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取る記憶媒体に記憶させておけばよい。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部43に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部43にプログラムの記述内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク31,光ディスク32(CD、DVDなどを含む)、磁気ディスク33,メモリ34(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0041】
これらの記憶媒体にプログラム21を格納しておき、例えばコンピュータ22の読取部43あるいはインタフェース45にこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム21を読み出し、内部メモリ42またはハードディスク44(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU41によってプログラム21を実行することによって、上述の本発明の実施の一形態で説明した機能が全部あるいは部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラム21をコンピュータ22に転送し、コンピュータ22では通信部46でプログラム21を受信して内部メモリ42またはハードディスク44に記憶し、CPU41によってプログラム21を実行することによって実現してもよい。
【0042】
コンピュータ22には、このほかインタフェース45を介して様々な装置と接続してもよい。もちろん、部分的にハードウェアによって構成することもできるし、全部をハードウェアで構成してもよい。あるいは、他の構成とともに本発明の各実施の形態で説明した機能の全部あるいは部分的に含めたプログラムとして構成してもよい。他の用途に適用する場合には、その用途におけるプログラムと一体化してもよい。
【符号の説明】
【0043】
11…生成部、12…色補正部、21…プログラム、22…コンピュータ、31…光磁気ディスク、32…光ディスク、33…磁気ディスク、34…メモリ、41…CPU、42…内部メモリ、43…読取部、44…ハードディスク、45…インタフェース、46…通信部。