(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高圧ガスを吐出させる高圧側の吐出ポートと低圧ガスを吸い込む低圧側の吸込ポートとを有する圧縮機と、冷媒ガスを膨張させて寒冷を発生させる冷凍機と、前記圧縮機の高圧側の前記吐出ポートと前記冷凍機とを連通させ且つ前記圧縮機の吐出ポートから吐出された高圧の冷媒ガスを開弁により前記冷凍機に供給させる高圧バルブと、前記圧縮機の低圧側の前記吸込ポートと前記冷凍機とを連通させ且つ前記冷凍機の冷媒ガスを開弁により前記圧縮機の前記吸込ポートに帰還させる低圧バルブとを具備する低温冷凍装置において、
前記高圧バルブおよび前記低圧バルブのうちの少なくとも一方は、
弁口を形成する弁座と軸孔を形成する軸受とをもつ基部と、直線方向に沿って往復直動可能に前記軸受の前記軸孔に保持され且つ一直線状をなす中心軸線をもつ棒状のステムと前記ステムに連設され前記弁口を開閉させる弁部とを有する弁体と、前記弁部が前記弁座に着座して前記弁口を閉鎖するように前記弁体を付勢する閉弁付勢力を発揮する付勢バネと、旋回中心をもち前記旋回中心を中心として一方向および逆方向に旋回可能に設けられ前記一方向への旋回に伴い前記弁体の前記ステムの先端部に接触して前記ステムの前記先端部を開弁方向に加圧させることにより弁部を開弁させる加圧領域を有する旋回部材と、前記旋回部材を前記一方向に旋回させて規定の開放タイミングで前記ステムの前記先端部を直線方向に沿って加圧させるカムとを具備しており、
前記弁部が前記弁口を開弁させる瞬間のときにおいて、前記加圧領域のうち前記ステムの先端部を開弁方向に加圧させる領域を第1領域とし、且つ、前記ステムの前記中心軸線と交差する前記第1領域の角度をθstartとするとき、θstartは90°プラスマイナス3°の範囲内に設定され、
前記弁部が弁口を開弁させた後に開弁方向へ移動して開弁ストローク終端に位置するときにおいて、前記加圧領域のうち前記ステムの先端部を開弁方向に加圧させる領域を第2領域とし、且つ、前記ステムの前記中心軸線と交差する前記第2領域の角度をθfinalとするとき、θfinalが90°プラスマイナス3°の範囲内に設定されていることを特徴とする低温冷凍装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レバーが揺動可能なため、揺動する角度分だけ、レバーがステムを押している角度も変わる。従って、詳しく観察すると、レバーがステムをこれの中心軸線に沿った真っ直ぐではなく、斜めに加圧させている。この場合、横方向(ステムの中心軸線に対して直角方向)にも力が発生する。閉弁状態の弁体には差圧及び付勢バネの付勢力が加わっている。弁体を開弁動作させるためには、これらの力を克服する必要がある。レバーがステムをこれの中心軸線に対して斜めに押していれば、横方向の力も大きくなる。高圧バルブ装置のステムが長期間にわたり横方向の力を受けていると、軸受や弁座が偏摩耗し、軸受や弁座のシール性能が低下するおそれがある。この場合、冷凍機の性能も劣化するおそれがある。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、バルブの弁口の開弁時において、弁口を閉鎖している弁部を備えるステムをもつ弁体を開弁方向にできるだけ真っ直ぐに加圧させ、軸受や弁座の偏摩耗を抑制させるのに有利な低温冷凍装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の様相1に係る低温冷凍装置は、高圧ガスを吐出させる高圧側の吐出ポートと低圧ガスを吸い込む低圧側の吸込ポートとを有する圧縮機と、冷媒ガスを膨張させて寒冷を発生させる冷凍機と、圧縮機の高圧側の吐出ポートと冷凍機とを連通させ且つ圧縮機の吐出ポートから吐出された高圧の冷媒ガスを開弁により冷凍機に供給させる高圧バルブと、圧縮機の低圧側の吸込ポートと冷凍機とを連通させ且つ冷凍機の冷媒ガスを開弁により圧縮機の吸込ポートに帰還させる低圧バルブとを具備する極低温冷凍装置において、
高圧バルブおよび低圧バルブのうちの少なくとも一方は、
弁口を形成する弁座と軸孔を形成する軸受とをもつ基部と、直線方向に沿って往復直動可能に軸受の軸孔に保持され且つ一直線状をなす中心軸線をもつ棒状のステムとステムに連設され弁口を開閉させる弁部とを有する弁体と、弁部が弁座に着座して弁口を閉鎖するように弁体を付勢する閉弁付勢力を発揮する付勢バネと、旋回中心をもち旋回中心を中心として一方向および逆方向に旋回可能に設けられ一方向への旋回に伴い弁体のステムの先端部に接触してステムの先端部を開弁方向に加圧させることにより弁部を開弁させる加圧領域を有する旋回部材と、旋回部材を一方向に旋回させるように規定の開放タイミングでステムの先端部を直線方向に沿って加圧させるカムとを具備しており、弁部が弁口を開弁させる瞬間のときにおいて、加圧領域のうちステムの先端部を開弁方向へ加圧させる領域を第1領域とし、且つ、ステムの中心軸線と交差する第1領域の角度をθstartとするとき、θstartは90°プラスマイナス3°の範囲内に設定さ
れ、弁部が弁口を開弁させた後に開弁方向へ移動して開弁ストローク終端に位置するときにおいて、加圧領域のうちステムの先端部を開弁方向に加圧させる領域を第2領域とし、且つ、ステムの中心軸線と交差する第2領域の角度をθfinalとするとき、θfinalが90°プラスマイナス3°の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0007】
本様相によれば、高圧バルブまたは低圧バルブにおいて、付勢バネの付勢力は、弁部が弁座に着座して弁口を閉鎖するように、つまり、弁口を閉弁させるように弁体を付勢する。高圧バルブおよび低圧バルブのうちの少なくとも一方において、カムが作動すると、カムに操作されて旋回部材がこれの旋回中心を中心として一方向に旋回する。従って、旋回部材の加圧領域は、規定の開放タイミングでステムの先端部に接触して先端部を加圧させる。これによりステムは軸受の軸孔に沿って直線方向に沿って後退され、弁部を弁座から離脱させて弁口を開弁させる。
【0008】
弁部が弁口を開弁させる直前のとき、弁部を閉弁方向に作用させるバルブの差圧は最大となる。従って、軸受および弁座の偏摩耗を抑制させるためには、弁部が弁座から弁口を開弁させる瞬間のとき、弁体のステムをこれの中心軸線に沿ってできるだけ真っ直ぐに加圧させることが好ましい。
【0009】
ここで、弁部が弁座から離脱させて弁口を開弁させる瞬間のときにおいて、加圧領域のうちステムの先端部を開弁方向に加圧させる領域を第1領域とする。ステムの中心軸線と交差する第1領域の角度をθstartと定義する。第1領域に係るθstartは90°プラスマイナス3°の範囲内に設定されている。このため本様相によれば、弁部が弁口を開弁させる直前のとき、弁部を閉弁方向に作用させる差圧は最大となるにも拘わらず、弁部が弁口を開弁させる瞬間のとき、旋回部材の加圧領域の第1領域は、ステムをこれの中心軸線に沿って加圧させて開弁方向に沿ってできるだけ真っ直ぐに後退させることができる。このように開弁時においてステムの中心軸線の傾きを抑制させつつステムを開弁方向に真っ直ぐに移動できる。このため、開弁動作時においてステムの中心軸線を傾斜させることが抑制され、ステムを往復移動可能に支持する軸受や、弁部が着座する弁座等の偏摩耗も抑制できる。このように開弁時において弁体のステムの中心軸線の傾きを抑制させれば、同様に、逆方向動作である閉弁動作時においても、弁体のステムを開弁方向にできるだけ真っ直ぐに移動できるため、閉弁動作時においてステムの中心軸線を傾斜させることが抑制され、ステムを往復移動可能に支持する軸受や弁座等の偏摩耗も抑制できる。
【0011】
付勢バネは閉弁用であるため、付勢バネのバネ荷重は、弁体のステムの開弁ストロークの増加と共に増加する。従って、弁体の弁部が弁座から離脱して弁口を開弁させた後に開弁ストローク終端に位置するとき、弁体を閉弁方向に付勢させる付勢バネのバネ荷重は、最も増加するといえる。このときにおいても、弁体のステムを開弁方向にできるだけ真っ直ぐに移動させることが好ましい。そこで本様相によれば、加圧領域の第2領域に係るθfinalは、90°プラスマイナス3°の範囲内に設定されている。このため、付勢バネのバネ荷重が最も増加するときにおいても、弁体のステムを開弁方向にできるだけ真っ直ぐに維持させることができる。従って、閉弁動作時においてステムの中心軸線を傾斜させることが抑制され、ステムを往復移動可能に支持する軸受や弁座等の偏摩耗も抑制できる。ステムに作用する力を考慮すると、θstartはθfinalよりも90°に近いことが好ましい。
【0012】
(2)本発明の様相2に係る低温冷凍装置によれば、上記様相において、旋回部材の加圧領域は、第1領域および第2領域のほかに、第1領域と第2領域とを繋ぐ第3領域とを備えていることを特徴とする。カムが作動すると、カムに操作されて旋回部材が旋回中心を中心として一方向に旋回し、旋回部材の加圧領域の第1領域、第3領域および第2領域は、この順に、ステムの先端部に接触して先端部を直線方向に沿って加圧させる。これによりステムはこれの中心軸線に沿ってできるだけ真っ直ぐに後退され、弁部を弁座から離脱させて弁口を開弁させる。この点について本様相によれば、弁部が弁口を開弁させる瞬間を開弁ストローク始端とすると、開弁ストローク始端から開弁ストローク終端に至るまで、すなわち、弁部が弁口を開弁させる瞬間から開弁終端の位置まで、旋回部材の加圧領域はステムをできるだけ真っ直ぐに加圧させて開弁方向に後退させることができる。更に、ステムの中心軸線の傾きを抑制させつつ、ステムを開弁方向に移動できるため、軸受や弁座の偏摩耗を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、弁体を開弁させるにあたり、バルブの弁口の開弁時において、弁口を閉鎖している弁部を備えるステムをもつ弁体を開弁方向にできるだけ真っ直ぐに加圧させるため、ステムが往復移動可能に支持される軸受の偏り摩耗、弁部が着座する弁座の偏摩耗を抑制させるのに有利な極低温冷凍装置等の低温冷凍装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
冷凍機としては、GM(ギフォードマクマホン)サイクル冷凍機、パルス管冷凍機、ソルベイサイクル冷凍機等の公知のものが例示される。旋回部材は旋回中心を中心として旋回できるものであれば良く、レバーが例示される。
【0016】
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念を示す。低温冷凍装置の代表例である極低温冷凍装置は、高圧の冷媒ガスを吐出させる高圧側の吐出ポート11と低圧の冷媒ガスを吸い込む低圧側の吸込ポート12とを有する圧縮機1と、高圧の冷媒ガスが膨張し寒冷が発生する膨張室となる中空室20をもつ冷凍機2と、圧縮機1の高圧側の吐出ポート11に繋がる高圧バルブ3と、冷媒ガスを開弁により圧縮機1の吸込ポート12に帰還させる低圧バルブ7とを有する。
【0017】
冷凍機2はGM(ギフォードマクマホン)サイクル冷凍機であり、
高温部20aおよび低温部20cをもつ中空室20を形成するシリンダ21と、シリンダ21において矢印X1,X2方向に往復移動可能に設けられたディスプレーサ22と、ディスプレーサ22の外周部に設けられたシールリング23と、ディスプレーサ22に設けられた蓄冷器24とをもつ。蓄冷器24は冷媒ガスが通過可能とされている。ディスプレーサ22は、高圧バルブ3および低圧バルブ7のバルブ開閉タイミングと位相差をもって矢印X1,X2方向に往復移動する。
【0018】
まず、ディスプレーサ22が矢印X1方向に移動して低温部20c側に移動している状態において、低圧バルブ7が閉弁し高圧バルブ3が開弁する。これにより圧縮機1の吐出ポート11から供給された高圧の冷媒ガスは、高圧バルブ3、高圧通路81を介して冷凍機2の中空室20の高温部20aおよび低温部20cに供給され、高温部20aおよび低温部20cは高圧となる。この状態で、他の駆動源によりディスプレーサ22が中空室20の低温部20c側の容積を増加させる方向に、つまり、矢印X2方向に移動する。すると、高温部20aの冷媒ガスは蓄冷器24で冷却されながら低温部20cに流れる。更にディスプレーサ22の矢印X2方向の移動により、低温部20cが最大容積となる。次に、高圧バルブ3が閉弁し、低圧バルブ7が開弁する。すると、冷媒ガスが膨張し、温度が下がり、蓄冷器24を冷却し蓄冷させつつ、蓄冷器24を通過し低圧通路82に供給される。この状態で、ディスプレーサ22が中空室20の低温部20cの容積を減少させる方向に、つまり、矢印X1方向に移動すると、低温部20cに存在する低温の冷媒ガスは蓄冷器24を冷却して蓄冷器24を蓄冷させつつ、低圧通路82に供給される。低圧バルブ7が開弁しているため、冷媒ガスは低圧バルブ7を介して低圧室38に供給され、ひいては吸込ポート12から圧縮機1に吸い込まれ、再び高圧ガスとなる。このような動作が繰り返されて冷凍機2の中空室20の低温部20cにおいて温度が低下し冷凍出力(寒冷)が得られる。
【0019】
さて本実施形態の特徴について説明する。即ち、
図1および
図2を参照しつつ、高圧バルブ3について説明を更に加える。高圧バルブ3は、基部30と、弁体4と、閉弁用の付勢バネ47と、旋回部材5と、カム6とを有する。基部30は、圧縮機1の高圧の吐出ポート11に連通し吐出ポート11から高圧の冷媒ガスが供給される高圧ガス室31(ガス室)と、弁口32を形成する弁座33と、軸孔34をもつ軸受35と、中間圧室36とを有する。高圧バルブ3の中間圧室36は、高圧通路81を介して冷凍機2の中空室20に繋がると共に弁口32を介して高圧ガス室31に繋がる。軸受35、弁体4および弁座33により中間圧室36が形成される。高圧バルブ3の弁口32が開弁すると、圧縮機1の吐出ポート11から供給された高圧ガス室31の高圧の冷媒ガスは、開弁状態の弁口32から中間圧室36に至り、高圧通路81により冷凍機2の中空室20に供給される。このように高圧バルブ3は開弁により、圧縮機1の高圧側の吐出ポート11と冷凍機2の中空室20とを連通させ、高圧ガス(例えば1.5〜2.5MPa程度,これに限定されるものではない)を冷凍機2の中空室20に供給させる。
【0020】
上記した弁体4は、軸受35の軸孔34により嵌合されており、直線方向(矢印A1,A2方向)に沿って往復直動可能に支持されている。弁体4は、一直線状をなす中心軸線Pをもつ棒状のステム40と、ステム40の基端部43に連設され弁口32を開閉させる径大な弁部42とを有する。
弁部42は、弁口32に対面する円錐面42kをもつ。付勢バネ47は、弁部42が弁座33に着座して弁口32を閉鎖するように、弁体4を閉弁方向(矢印A2方向)に付勢する閉弁付勢力を発揮する。従って付勢バネ47の一端部は基部30の着座面30aに着座していると共に、付勢バネ47の他端部は弁部42の着座面42aに着座している。
【0021】
図2に示すよう、旋回部材5は旋回中心55をもち、旋回中心55を中心として一方向(矢印B1方向,開弁方向)および逆方向(矢印B2方向)に旋回可能に設けられている。旋回部材5は、ステム40に対向する対向面58と、カム6の偏芯カム部60に対向するカム従動面59とを有する。旋回部材5の対向面58は、ステム40の先端部41に接触して先端部41を加圧させる加圧領域50を有する。旋回部材5が一方向(矢印B1方向,開弁方向)へ旋回すると、旋回部材5の加圧領域50は、弁体4のステム40の先端部41と接触した状態で、ステム40の先端部41を開弁方向(矢印A1方向)に加圧させる。これにより弁部42をステム40の中心軸線Pに沿って直線方向に沿って後退させ、弁部42を弁座33から離脱させて弁口32を開弁させる。
【0022】
図1に示すように、カム6は、回転中心60を中心として回転する回転体61と、回転体61に設けられた偏芯カム部62とをもつ。カム6は、規定の開放タイミングで旋回部材5をこれの旋回中心55を中心として一方向(矢印B1方向)に旋回させる。この結果、旋回部材5の加圧領域50でステム40の先端部41をこれの中心軸線Pに沿って直線方向に沿って矢印A1方向に加圧させる。
【0023】
図3は、高圧バルブ3のステム40がこれの閉弁位置から開弁方向に後退するときにおいてステム40の先端部41付近を模式的に示す図であり、旋回部材5の旋回方向(矢印B1,B2方向)に沿っていると共にステム40の中心軸線Pに沿った断面を示す。この断面において、ステム40は側面40a,40eをもつ。ステム40の先端部41は、ステム40の中心軸線Pに対して直角方向に沿った受圧面積を確保するために平坦状とされた先端立面410と、中心軸線Pよりも旋回中心55に近い側の先端円弧面411と、中心軸線Pよりも旋回中心55に遠い側の先端円弧面412とを備えている。なお、高圧バルブ3の開弁後には、カム6の偏芯カム部62が旋回部材5のカム従動面59から退避するため、付勢バネ47の閉弁方向(矢印A2方向)の付勢力によりステム40は閉弁方向(矢印A2方向)に付勢されて弁座33に着座して弁口32を閉鎖させる。
【0024】
次に、低圧バルブ7について説明を更に加える。低圧バルブ7は高圧バルブ3と基本的には同様の構造をもつ。
図1に示すように、低圧バルブ7は、基部30Cと、弁体4Cと、閉弁用の付勢バネ47Cと、旋回部材5Cとを有する。基部30Cは、冷凍機2の中空室20から冷媒ガスが供給される中間圧室36Cと、弁口32Cを形成する弁座33Cと、軸孔34Cをもつ軸受35Cとを有する。低圧バルブ7の中間圧室36Cは、低圧通路82を介して冷凍機2の中空室20に繋がると共に、弁口32Cを介して低圧室38に繋がる。低圧バルブ7の基部30Cにおいて弁座33Cにより中間圧室36Cが形成されている。ここで、低圧バルブ7の弁口32Cが開弁すると、低圧バルブ7の中間圧室36Cの冷媒ガスは、開弁状態の弁口32Cから低圧室38に至り、更に圧縮機1の吸込ポート12に吸い込まれる。このように低圧バルブ7の開弁により、冷凍機2の中空室20は低圧通路82および低圧バルブ7の弁口32Cを介して圧縮機1の低圧側の吸込ポート12に連通し、吸込ポート12に吸い込まれ、圧縮機1の圧縮により再び高圧の冷媒ガスとして高圧バルブ3の高圧ガス室31に供給される。
【0025】
上記した低圧バルブ7において、弁体4Cは、軸受35Cの軸孔34Cに嵌合されており、直線方向(矢印A3,A4方向)に沿って往復直動可能に支持されている。弁体4Cは、一直線状をなす中心軸線PCをもつ棒状のステム40Cと、ステム40Cの基端部43Cに連設され弁口32Cを開閉させる径大な弁部42Cとを有する。付勢バネ47Cは、弁部42Cが弁座33Cに着座して弁口32Cを閉鎖するように、弁体4Cを閉弁方向(矢印A4方向)に付勢する閉弁付勢力を発揮する。旋回部材5Cの対向面58Cは、ステム40Cの先端部41Cに接触して先端部41Cを加圧させる加圧領域50Cを有する。旋回部材5Cは旋回中心55Cをもち、旋回中心55Cを中心として一方向(矢印B3方向,開弁方向)および逆方向(矢印B4方向)に旋回可能に設けられている。旋回部材5Cが一方向(矢印B3方向)へ旋回すると、旋回部材5Cの加圧領域50Cは、弁体4Cのステム40Cの先端部41Cと接触した状態でステム40Cの先端部41Cを開弁方向(矢印A3方向)に加圧させる。これにより弁部42Cをステム40Cの中心軸線PCに沿って直線方向に沿って後退させ、弁部42Cを弁座33Cから離脱させ弁口32Cを開弁させる。
【0026】
図4は、低圧バルブ4Cのステム40Cが開弁方向に後退するときにおいてステム40Cの先端部付近を模式的に示す図であり、旋回部材5Cの旋回方向(矢印B3,B4方向)に沿っていると共にステム40Cの中心軸線PCに沿った断面を示す。この断面において、ステム40Cは側面40ac,40ecをもつ。ステム40Cの先端部41Cは、ステム40Cの中心軸線PCに対して直角方向に沿った受圧面積を確保するために平坦状とされた先端立面410cと、中心軸線PCよりも旋回中心55Cに近い側の先端円弧面411cと、中心軸線PCよりも旋回中心55Cに遠い側の先端円弧面412cとを備えている。
【0027】
なお、低圧バルブ7の開弁後には、カム6の偏芯カム部62が旋回部材5Cのカム従動面59Cから退避するため、付勢バネ47Cの付勢力によりステム40Cは閉弁方向(矢印A4方向)に付勢されて弁座33Cに着座して弁口32Cを閉鎖させる。
【0028】
さて、本実施形態に係る要部構成について、
図3および
図4を参照しつつ説明する。高圧バルブ3において、旋回部材5の加圧領域50は、ステム40の先端部41を加圧させる領域である。
図3に示すように、ステム40の開弁ストローク始端(閉弁時)をSstartとし、開弁ストローク終端(全開時)をSfinalとし、開弁ストロークをSwとする。加圧領域50のうち第1領域51は、弁部42が弁口32を開弁させる瞬間(開弁ストローク始端Sstartの位置に相当)のとき、ステム40の先端部41を開弁方向(矢印A1方向)に加圧させる領域であり、ステム40の中心軸線Pに沿って中心軸線Pを通る断面(
図3参照)において直線状に形成されている。ここで、ステム40の中心軸線Pと交差する第1領域51の交差角度をθstart(
図3参照)と定義する。第1領域51に係る角度θstartは、90°プラスマイナスΔαの範囲内に設定されている。Δαとしてはできるだけ小さい方が好ましく、0〜3°の範囲内、0〜2°の範囲内であることが好ましい。
【0029】
本実施形態によれば、高圧バルブ3において、カム6が作動方向(
図1の矢印K1方向)に作動すると、カム6の偏芯カム6部に押圧操作されて旋回部材5が旋回中心55を中心として一方向(矢印B1方向)に旋回する。従って、旋回部材5の加圧領域50は、規定の開放タイミングで、ステム40の先端部41に接触して先端部41を直線方向に沿って開弁方向(矢印A1方向)に加圧させる。これにより
図1から理解できるようにステム40は、これの中心軸線Pに沿って直線方向に後退され、弁部42を弁座33から離脱させて弁口32を開弁させる。このとき本実施形態によれば、前述したように、高圧バルブ3について、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51に係る角度θstartは、90°プラスマイナスΔαの範囲内に設定されている。従って、高圧バルブ3について、弁部42が弁口32を開弁させる直前のとき、弁部42を閉弁方向に作用させる差圧(中間圧室36と高圧ガス室31との差圧)は最大となるにも拘わらず、弁部42が弁口32を開弁させる瞬間のとき、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51は、ステム40をこれの中心軸線Pに沿って加圧させて開弁方向(矢印A1方向)に沿ってできるだけ真っ直ぐに一直線状に後退させることができる。
【0030】
このように高圧バルブ3の開弁動作の初期において、ステム40の中心軸線Pの傾きを抑制させつつステム40を開弁方向に真っ直ぐに一直線状に後退させることができるため、開弁動作時においてステム40の中心軸線Pを傾斜させることが抑制され、ステム40を往復移動可能に支持する軸受35の偏摩耗、弁部42が着座する弁座33等の偏摩耗を抑制できる。このように開弁動作時において弁体4のステム40の中心軸線Pの傾きを抑制させれば、同様に、逆方向動作であ
る時においても、弁体4のステム40を閉弁方向(矢印A2方向)にできるだけ真っ直ぐに一直線状に前進させ得る。このため、閉弁動作時においてステム40の中心軸線Pを傾斜させることが抑制され、軸受35や弁座33等の偏摩耗を一層抑制できる。
【0031】
上記した説明は高圧バルブ3についてであるが、低圧バルブ7についても同様な構造とされている。すなわち本実施形態によれば、
図4に示すように、低圧バルブ7において、旋回部材5Cの加圧領域50Cの第1領域51Cは、弁部42Cが弁口32Cを開弁させる瞬間のとき、ステム40Cの先端部41Cを開弁方向(矢印A3方向)に加圧させる領域である。旋回部材5Cの加圧領域50Cについて、ステム40Cの中心軸線PCと交差する第1領域51Cの交差角度をθcstart(
図4参照)と定義する。θcstartは、高圧バルブ3におけるθstartに相当するものであり、低圧バルブ7用として単に区別するため、cの添え字を付記している。従って、低圧バルブ7用の角度θcstartは、高圧バルブ3における角度θstartと同様に、請求項における角度θstartに相当する。第1領域51Cに係る角度θcstartは、90°プラスマイナスΔβの範囲内に設定されている。Δβとしてはできるだけ小さい方が好ましく、0〜3°の範囲内、0〜2°の範囲内であることが好ましい。
【0032】
従って、高圧バルブ3と同様に低圧バルブ7について、弁部42Cが弁口32Cを開弁させる直前のとき、弁部42Cを閉弁方向に作用させる差圧は最大となるにも拘わらず、弁部42Cが弁口32Cを開弁させる瞬間のとき、旋回部材5Cの加圧領域50Cの第1領域51Cは、ステム40Cをこれの中心軸線PCに沿って加圧させて開弁方向(矢印A3方向)に沿ってできるだけ真っ直ぐに一直線状に後退させることができる。このように低圧バルブ7についても、開弁動作の初期においてステム40Cの中心軸線PCの傾きを抑制させつつステム40Cを開弁方向(矢印A3方向)に真っ直ぐに一直線状に後退させることができるため、開弁動作時においてステム40Cの中心軸線PCを傾斜させることが抑制され、ステム40Cを往復移動可能に支持する軸受35Cの偏摩耗、弁座33C等の偏摩耗を抑制できる。
【0033】
低圧バルブ7について、開弁動作時において弁体4Cのステム40Cの中心軸線PCの傾きを抑制させれば、同様に、逆方向の動作である閉弁動作時においても、ステム40Cを閉弁方向(矢印A4方向)にできるだけ真っ直ぐに一直線状に前進させ得る。このため、閉弁動作時においてステム40Cの中心軸線PCを傾斜させることが抑制され、ステム40Cを往復移動可能に支持する軸受35Cや弁座33C等の偏摩耗を一層抑制できる。なお本実施形態によれば、高圧バルブ3について、弁部42が弁口32を開弁させる瞬間のとき、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51(ステム40の先端部41を加圧する部位)と旋回中心55とを一直線で仮想的に結ぶ線を仮想線W(
図1,
図2)とする。弁部42が弁口32を開弁させる瞬間のとき、仮想線Wとステム40の中心軸線Pとがなす角度θset(
図1参照)は、75〜105°の範囲内、殊に80〜100°の範囲内とされていることが好ましい。この場合、旋回部材5の加圧領域50がステム40の先端部41を効果的に加圧させることができる。低圧バルブ7についても同様である。
【0034】
(実施形態2)
図5は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏するため、
図3および
図4を準用する。但し、冷凍機2Eは、高圧バルブ3および低圧バルブ7を介して圧縮機1と繋がるパルス管冷凍機とされており、蓄冷材をもつ蓄冷器24と、中空室90をもつパルス管91とが並設されている。圧縮機1、高圧バルブ3及び低圧バルブ7は、パルス管冷凍機2Eに供給する冷媒ガスの圧力波形を発生させる圧力波形発生装置として機能する。蓄冷器24は、高圧通路81を介して高圧バルブ3と繋がり、且つ、低圧通路82を介して低圧バルブ7と繋がる。パルス管91は高温端91aと低温端91cとをもつ。高温端91a側には位相制御機構95が配置されている。位相制御機構95は、蓄冷器24の高温端24a、パルス管91の高温端91aと高圧通路81および低圧通路82との間に配置されており、パルス管91の中空室90に供給される冷媒ガスの流れと圧力間の位相差を調整する。位相制御機構95は開閉バルブ、バッファタンク又はイナータンスチューブ機構で形成できる。
【0035】
まず、低圧バルブ7が閉弁し高圧バルブ3が開弁する。これにより圧縮機1の吐出ポート11から供給された高圧の冷媒ガスは、高圧バルブ3、高圧通路81を介して、蓄冷器24の高温端24a及び位相制御機構95に至り、蓄冷器24を経て蓄冷器24の低温端24c、パルス管91の高温端91aから中空室90に供給される。その後、高圧バルブ3が閉弁し、低圧バルブ7が開弁する。この状態で、パルス管91の中空室90の低温端91c側の冷媒ガスは蓄冷器24に接触して冷熱を蓄冷器24に蓄冷させると共に、低圧通路82を経て低圧バルブ7に供給される。低圧バルブ7が開弁すると、冷媒ガスは、低圧バルブ7を介して低圧室38に供給され、ひいては吸込ポート12から圧縮機1に吸い込まれ、再び高圧ガスとなる。このような動作が繰り返されて冷凍機2Eのパルス管91の低温端91cにおいて冷凍が発生する。
【0036】
本実施形態によれば、高圧バルブ3において、旋回部材5の加圧領域50は、ステム40の先端部41を加圧させる領域である。加圧領域50の第1領域51は、弁部42が弁口32を開弁させる瞬間のとき、ステム40の先端部41を開弁方向(矢印A1方向)に加圧させる領域であり、中心軸線Pに沿った断面において一直線状に形成されている。
【0037】
準用する
図3に示すように、高圧バルブ3において旋回部材5の加圧領域50について、ステム40の中心軸線Pと交差する第1領域51の交差角度をθstartと定義する。第1領域51に係るθstartは、90°プラスマイナスΔαの範囲内に設定されている。Δαとしてはできるだけ小さい方が好ましく、0〜3°の範囲内、0〜2°の範囲内であることが好ましい。このため、高圧バルブ3において、開弁動作時においてステム40の中心軸線Pを傾斜させることが抑制され、ステム40を往復移動可能に支持する軸受35や弁座33等の偏摩耗を抑制できる。
【0038】
本実施形態においても、低圧バルブ7において、旋回部材5Cの加圧領域50Cについて、ステム40Cの中心軸線PCと交差する第1領域51Cの交差角度をθcstartと定義する。旋回部材5Cの加圧領域50Cの第1領域51Cに係るθcstartは、90°プラスマイナスΔβの範囲内に設定されている。Δβとしてはできるだけ小さい方が好ましく、0〜3°の範囲内、0〜2°の範囲内であることが好ましい。このため、低圧バルブ7において、開弁動作時においてステム40Cの中心軸線PCを傾斜させることが抑制され、ステム40Cを往復移動可能に支持する軸受35Cや弁座33C等の偏摩耗を抑制できる。
【0039】
(実施形態3)
本実施形態は実施形態1と同様にGM冷凍機に適用されており、実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏するため、
図1を準用する。高圧バルブ3について、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51に係るθstartは、前記したように90°プラスマイナスΔαの範囲内に設定されている。Δαとしては0〜3°の範囲内が好ましい。但し、低圧バルブ7については施されていない。
【0040】
(実施形態4)
本実施形態は実施形態2と同様にパルス管冷凍機に適用されており、実施形態2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏するため、
図5を準用する。高圧バルブ3について、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51に係るθstartは、前記したように90°プラスマイナスΔαの範囲内に設定されている。Δαとしては0〜3°の範囲内が好ましい。但し、低圧バルブ7については施されていない。
【0041】
(実施形態5)
図6〜
図8は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏する。
図6は、高圧バルブ3のステム40が開弁方向に後退するときにおいてステム40の先端部付近を模式的に示す。
図7は、低圧バルブ7のステム40Cが開弁方向に後退するときにおいてステム40Cの先端部付近を模式的に示す。
図8は、極低温冷凍装置を模式的に示す。
図8は実施形態1に係る
図1に相当するため、
図8についての説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、高圧バルブ3において、旋回部材5の加圧領域50は、ステム40の先端部41を加圧させる領域である。
図6に示すように、ステム40の開弁ストローク始端(閉弁時)をSstartとし、開弁ストローク終端(全開時)をSfinalとし、旋回中心55を中心とする旋回軌跡をSmとして示す。
【0043】
本実施形態によれば、高圧バルブ3について、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51は、弁部42が弁口32を開弁させる瞬間のとき、ステム40の先端部41を開弁方向(矢印A1方向)に加圧させる領域である。
図6に示すように、第1領域51は、ステム40の先端部41の平坦状をなす先端立面410のうち先端円弧面411側を加圧する。ここで、実施形態1と同様に、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51(断面で直線状)について、ステム40の中心軸線Pと第1領域51とが交差する交差角度をθstart(
図6参照)と定義する。第1領域51に係る角度θstartは、90°プラスマイナスΔαの範囲内に設定されている。Δαとしてはできるだけ小さい方が好ましく、0〜3°の範囲内、0〜2°の範囲内であることが好ましい。
【0044】
このため実施形態1と同様に、弁体4のステム40を開弁させるとき、弁体4の中心軸線Pの傾きを抑制させつつ、弁体4を開弁方向(矢印A1方向)に移動できる。このためステム40を往復移動可能に支持する軸受35の偏摩耗や弁座33の偏摩耗も抑制できる。軸受35や弁座33の長寿命化に貢献できる。
【0045】
ところで、
図8から理解できるように付勢バネ47の閉弁弁用付勢力は、弁体4を閉弁方向(矢印A2方向)に付勢する。従って、弁体4の開弁ストロークが増加すると共に、付勢バネ47のバネ荷重は増加する。前述したように、
図6においてSstartは、弁部42が弁口32を開弁させるとき開弁ストローク始端に位置する状態を示し、Sfinalは、弁部42が弁口32を開弁させた後に開弁ストローク終端に位置する状態を示す。
図6に示すように、開弁ストローク終端Sfinalにおいて、即ち、弁部42の全開時において、旋回部材5の加圧領域50の第1領域51ではなく、第2領域52がステム40の先端部41を開弁方向(矢印A1方向)に加圧させている。このように開弁ストローク終端Sfinalにおいて、即ち、弁部42の全開時において、弁体4を閉弁方向(矢印A2方向)に付勢させる付勢バネ47のバネ荷重は、最も増加する。このように付勢バネ47のバネ荷重が最大のときにおいても、旋回部材5の加圧領域50は、ステム40の先端部41を真っ直ぐに一直線状に加圧させることが好ましい。
【0046】
そこで本実施形態によれば、
図6に示すように、高圧バルブ3において、ステム40が開弁ストローク終端Sfinalに到達するとき、加圧領域50のうち第2領域52がステム40の先端部41を加圧する。ここで、
図6に示すように、第2領域52はステム40の先端部41の先端立面410のうち先端円弧面412側を加圧する。
【0047】
ここで、ステム40の中心軸線Pと交差する第2領域52の角度をθfinal(
図6参照)と定義する。このとき第2領域52に係る角度θfinalは、90°プラスマイナスΔβの範囲内に設定されている。Δβは0〜3°の範囲内、0〜2°の範囲内とされている。このため高圧バルブ3において、付勢バネ47のバネ荷重が最も増加するとき(Sfinal)においても、旋回部材5の加圧領域50の第2領域52は、ステム40を開弁方向(矢印A1方向)にできるだけ真っ直ぐに加圧させることができる。この場合、実施形態1と同様に、軸受35や弁座33の偏摩耗を抑制でき、軸受35や弁座33の長寿命化に一層貢献できる。θstartにおいてステム40に作用する差圧に基づく閉弁力が最も大きいことを考慮すると、θstartはθfinalよりも90°に近いことが好ましい。なお、本実施形態によれば、
図6から理解できるように、開弁ストローク始端Sstart、開弁ストローク終端Sfinalの双方において、旋回部材50の加圧領域50はステム40の中心軸線Pを加圧させており、ステム40を真っ直ぐに矢印A1方向(開弁方向)に後退させるのに貢献できる。
【0048】
図6に示すように、高圧バルブ3において旋回部材5の加圧領域50は、断面で一直線状をなす第1領域51と、断面で一直線状をなす第2領域52とを有するほかに、第1領域51と第2領域52とを円弧で繋ぐ第3領域53とを備えている。このため第1領域51から第2領域52への切り替えが円滑となる。従って、弁体4の開弁ストロークの全距離において、旋回部材5の加圧領域50はステム40の先端部41を真っ直ぐに加圧させるのに有利となる。高圧バルブ3の軸受35や弁座33の長寿命化に一層貢献できる。第3領域53を形成する円弧については、第1領域51のうち第3領域53側の端、第2領域52のうち第3領域53側の端がそれぞれ接線となっている円弧であることが好ましい。また、円弧でなくても、旋回部材5からステム40に加わる応力の方向と、ステム40の中心軸線Pとのなす角度が3°以内であれば良い。なお、
図6において第1領域51と第2領域52との交差角度をγとして示す。但し、場合によっては、高圧バルブ3において第3領域53が設けられておらず、第1領域51および第2領域52のみでも良い。
【0049】
図7は低圧バルブ7について示す。
図7に示すように、低圧バルブ7においても、旋回部材5Cの加圧領域50Cの第1領域51Cは、弁部42Cが弁口32Cを開弁させる瞬間のとき、ステム40Cの先端部41Cを開弁方向(矢印A3方向)に加圧させる領域である。ステム40Cの中心軸線PCと第1領域51Cとの交差角度をθcstart(
図7参照)と定義する。第1領域51Cに係るθcstartは、90°プラスマイナスΔαの範囲内に設定されている。Δαとしてはできるだけ小さい方が好ましく、0〜3°の範囲内であることが好ましい。このため実施形態1と同様に、弁体4Cのステム40Cを開弁させるとき、弁体4Cの中心軸線PCの傾きを抑制させつつ、弁体4Cを開弁方向(矢印A3方向)に移動できる。このためステム40Cを往復移動可能に支持する軸受35Cの偏摩耗、弁座33Cの偏摩耗も抑制できる。軸受35Cや弁座33Cの長寿命化に貢献できる。
【0050】
更に低圧バルブ7において、ステム40Cが開弁ストローク終端Sfinal(全開時)に到達するとき、加圧領域50Cのうち第2領域52Cがステム40Cの先端部41を開弁方向に加圧させる。ここで、加圧領域50Cのうち中心軸線PCと第2領域52Cとの交差角度をθcfinal(
図7参照)と定義する。θcfinalは、高圧バルブ3におけるθfinalと同意義であり、低圧バルブ7用の角度であるため、cの添え字が単に付記されているものである。従って、低圧バルブ7用の角度θcfinalは、高圧バルブ3における角度θfinalと同様に、請求項における角度θfinalに相当する。
【0051】
本実施形態によれば、第2領域52Cに係る角度θcfinalは、90°プラスマイナスΔβの範囲内に設定されている。Δβは0〜3°の範囲内が好ましい。このため低圧バルブ7において、付勢バネ47Cのバネ荷重が最も増加するときにおいて(開弁ストローク終端Sfinal,全開時)についても、旋回部材5Cの加圧領域50Cはステム40Cを開弁方向(矢印A3方向)にできるだけ真っ直ぐに加圧させることができる。この場合、軸受35Cや弁座33Cの偏摩耗を抑制できる。
【0052】
本実施形態によれば、
図7に示すように、低圧バルブ7において旋回部材5Cの加圧領域50Cは、第1領域51Cおよび第2領域52Cを有するほかに、第1領域51Cと第2領域52Cとを円弧で繋ぐ第3領域53Cとを備えている。このため、ステム40Cのストロークの全距離において、旋回部材5Cの加圧領域50Cはステム40Cの先端部41Cをできるだけ真っ直ぐに且つ円滑に加圧させるのに有利となる。低圧バルブ7Cの軸受35Cや弁座33Cの長寿命化に一層貢献できる。
図7において第1領域51Cと第2領域52Cとの交差角度をηとして示す。但し、場合によっては、低圧バルブ7において第3領域53Cが設けられておらず、第1領域51Cおよび第2領域52Cのみでも良い。なお、本実施形態によれば、
図7から理解できるように、開弁ストローク始端Sstart、開弁ストローク終端Sfinalの双方において、加圧領域50Cはステム40Cの長手方向に延びる中心軸線Pを加圧させており、ステム40Cを真っ直ぐに矢印A3方向(開弁方向)に後退させるのに貢献できる。
【0053】
(その他)カムは上記構造に限定されず、要するに旋回部材を加圧させる方向に移動させるものであれば良い。極低温冷凍装置に限定されず、低温冷凍装置であれば良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。