(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記の樹脂板の端面に設けた複数の発光素子の発光制御手段を設け、該発光制御手段は、発光素子の個々の点灯・消灯及び発光照度・色彩を制御し、面状発光体の発光形状・発光色・発光模様などを任意に変化させることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の窓構造ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の窓では、照明装置が、透明板状体の中央部に位置している。このため、室内側から透明板状体を通して室外側を見通す場合、窓の中心部を見通せず、見通しが悪い。また、照明装置のコストやメンテナンスの問題も生じる。
【0007】
特許文献2に記載の採光用材料は、昼間にハーフミラー(外部からは鏡面)として機能し、採光用材料が外部側から内部側の覗き見を防ぐ。しかしながら、内部側から外部側を見通す場合、乳白色の結像シートによって、昼間においても外部を見通すことはできない。
【0008】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、昼間は、室内空間からの眺望景観を確保し、かつ、昼夜間を問わず、室外からの覗き見防止を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1の窓構造ユニットは、
室内側にハーフミラー層が設けられた透光性を有する面状発光体と、該面状発光体の
室内側と
室外側に
透明性を有するガラス製の板体が設けられていることを特徴とする窓構造ユニットである。
【0010】
該ハーフミラー層は、内側(室内側)からは外部(室外側)が透視でき、外側(室外側)から内側(室内側)を見ると鏡面となるものであればいずれでも良く、透明な板体の表面に金属薄膜層を設けた
ハーフミラーフィルムや
ハーフミラーガラスなどでも良い。
【0011】
該面状発光体の
室内側面及び室外側面に設けられるガラス製の板体は、透明性を有し、窓に使用できる強度、耐久性を有するガラス製の板体であればいずれでも良く、窓用として市販されているガラス板が使用できる。カラー透明板でも良い。紫外線カットガラスなどでも良い。
【0012】
該面状発光体は、面形状であり、発光しない状態では透光性を有し、発光時にはその全面が発光し、透視できなくなるものであればいずれでも良く、透明性の板材に発光装置を設けて発光させたものでも良く、透明性を有する有機ELなどでも良い。
【0013】
本発明の請求項2の窓構造ユニットは、
前記のハーフミラー層は
前記の発光体の
室内側の
透明性を有するガラス製の板体の
室内側又は
室外側のいずれかに設けられていることを特徴とする
請求項1に記載の窓構造ユニットである。
【0014】
該ハーフミラー層は該発光体の内側(室内側)に設けられたガラス製の板体の内側(室内側)、外側(室外側)のいずれの側に設けても良いが、ガラス製の板体の
室外面側(発光体側)に設けるのが好ましい。
【0015】
本発明の請求項3の窓構造ユニットは、
前記の透光性を有する面状発光体が、
透光性樹脂板と、該樹脂板の端面に設けられた発光素子と、該透光性樹脂板の表面に設けられた光拡散層とからなり、該発光素子の光が該樹脂板の端面から入光し、該光拡散層で拡散することにより、面状発光体が発光することを特徴とする窓構造ユニットである。
【0016】
該透光性樹脂板は、透光性を有し、端面から光を入光できるものであればいずれでも良く、市販されているアクリル樹脂板などが使用できる。光透過性の高い樹脂板が好ましい。メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂でも良い。
【0017】
該発光素子は、該樹脂板の端面から光を入光できるものであればいずれでも良く、端面に光が入光できるように、レンズなどで導光された小型の蛍光灯・照明灯や、細長い形状の照明装置や発光装置などでも良い。端面から均等に入光できるものが好ましい。
【0018】
該光拡散層は、発光素子により樹脂板内に入光した光を受けて樹脂板の表面全体が発光するように光を拡散するものであればいずれでも良く、拡散素子としては、細かな粒子や粒、気泡体などでも良く、樹脂板内部あるいは表面に設けても良い。樹脂板の表面や内部に細かな凹凸や空洞を設けたものでも良い。また、該光拡散層として気体層や液体層を設けたものでも良い。
【0019】
本発明の請求項4の窓構造ユニットは、
前記の発光素子が発光ダイオード(LED)であることを特徴とする窓構造ユニットである。
【0020】
該発光ダイオード(LED)は、単色(白色)でも3色(赤、青、黄)を使用しても良い。LEDを樹脂板の端面に沿って複数並べて配置したバーモジュールを使用するのが好ましい。
【0021】
LEDの発光部と樹脂板の端面との距離は、光が端面からすべて入光させることが好ましく、0〜1.0mm程度が好ましい。また、集光カバーや集光レンズを設けても良い。
【0022】
樹脂板の1端面から入光させて、相対する端面には反射処理をすることが好ましく、相対する両方の端面にLEDバーモジュールを設けても良い。さらに3端面に設けたものや4端面すべての端面にLEDバーモジュールを設けても良い。
【0023】
本発明の請求項5の窓構造ユニットは、
前記の樹脂板の端面に設けた複数の発光素子の発光制御手段を設け、該発光制御手段は、発光素子の個々の点灯・消灯及び発光照度・色彩を制御し、面状発光体の発光形状・発光色・発光模様などを任意に変化させることを特徴とする窓構造ユニットである。
【0024】
該発光制御手段は、LEDなどの発光素子の発光状態を制御できるものであればいずれでも良く、個々の発光素子の発光時間、強度、タイミングを制御し、窓を広告、宣伝に活用できるように発光させることができるものが好ましい。窓のカーテンのように光によりカーテン状に開閉させるものなどでも良く、コンピュータ画面のように、様々な画面デザインとするものでも良い。
【0025】
本発明の請求項6の窓構造ユニットは、
前記の光拡散層は光拡散粒子を内部に分散させたことを特徴とする窓構造ユニットである。
【0026】
該光拡散粒子は、光を拡散する粒子であればいずれでも良く、アクリル系架橋ビーズやMS系架橋ビーズなどの有機系微粒子や、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウムなどの無機系微粒子などでも良い。
【0027】
本発明の請求項7の窓構造ユニットは、
前記の光拡散層は該層の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする窓構造ユニットである。
【0028】
該凹凸は、表面の透過性を保持した状態で凹凸を形成する必要があり、サンドブラスト処理、擦りガラス処理などは好ましくない。一定の間隔を保ちながら凸部や凹部を設けるものなどが好ましい。樹脂板の表面整形時に小さな凹凸を一定間隔で熱間プレス成型などしたものでも良い。
【0029】
本発明の請求項8の窓構造ユニットは、
前記の光拡散層は該層の表面に光拡散効果を有する印刷が施されていることを特徴とする窓構造ユニットである。
【0030】
光拡散効果を有する印刷インキを用いてシルク印刷するものでも良い。白色の樹脂インクなどが使用できる。また、樹脂インクに光拡散剤として、酸化チタン微粒子、アクリルビーズ粒子、シリカ微粒子、微細中空粒子などの乱反射微粒子、蛍光体などを混合して用いても良い。揮発性硬化型、紫外線硬化型のインクを用いても良い。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
1)窓部に本窓構造ユニットを設置した場合、日中のように室内側が室外側より暗い場合には通常の
ハーフミラーとして機能し、夜間のように室内空間が室外空間より明るい場合には面状発光体を発光させて窓全体が発光して、外部から内部が見通せない状態とすることができる。したがって、日中は内部側からの眺望景観を確保でき、かつ日中及び夜間のいずれにおいても、室外側からの覗き見防止を実現できる。
【0032】
2)通常のライトではなく、LED灯を使用するので、ランニングコストが安価である。
【0033】
3)LED灯を使用するので、耐久性が良く、また、小型軽量でありメンテナンスが容易である。
【0034】
4)夜間のライトアップとなり、宣伝、広告用に使用できる。
【0035】
5)発光素子の発光制御手段により、建築物の窓を様々な模様、色彩でデザインすることが可能となる。
【0036】
6)LEDバーモジュールを使用し、発光制御することで、カーテンの開け閉めのように光る面積を変化させることが可能となり、光のカーテンを実現できる。
【0037】
7)面状発光体の内部及び外部をガラス製の板体で覆うので、強度、耐久性、防火性などの窓構造条件を十分に確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
実施の一形態を、
図1に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第一の実施の形態と呼ぶ。
【0040】
[実施例1]
図1は、本発明による窓構造ユニット1を断面視で見た模式図である。本実施の形態の窓構造ユニット1は、面状発光体部2とその発光装置部3と、面状発光体部2の内側及び外側を保護するガラス製板体4a、4bを有する。
【0041】
面状発光体部2は、透光性を有する樹脂製の板体による基材22を有する。図示はしないが、基材22は、
図1の右側又は左側から見て、矩形状に形成される。基材22には、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等を用いることができる。
【0042】
基材22は、無色透明であっても有色透明であってもよい。基材22の内側の面(V1側)には、金属薄膜層23が積層される。
【0043】
該金属薄膜層23は、アルミニウムや銀等の光線反射率の高い金属によって、所定の光線透過率(光線反射率)を有するように設けられた薄膜層である。金属薄膜層23は、蒸着やコーティングによって基材22の内側の面22aに形成される。
【0044】
基材22と金属薄膜層23とは、いわゆる
ハーフミラーMを構成する。
ハーフミラーMが明るい空間と暗い空間とを仕切る箇所に配置される場合、明るい空間から
ハーフミラーMを見る人には、
ハーフミラーMに映ったその人自身の像が見える。また、
暗い空間から
ハーフミラーMを見る人は、この
ハーフミラーM越しに明るい空間を見ることができる。
【0045】
基材22の外側の面(V2側)には、拡散層24が積層される。
【0046】
拡散層24は、透光性を有するシート状のもので、基材22の外側の面(V2側)22bに貼着される。拡散層24内には、反射粒子25が、分散した状態で含まれる。反射粒子25には、例えば、銀粒子が採用される。
【0047】
該発光装置部3は、発光部31が設けられ、基材22の上部に配置される。また、底面反射部26は、基材22の下部に配置される。
【0048】
該発光部31は、発光素子32と、ハウジング33と、制御回路(図示せず)とを有する。ハウジング33は、基材22の上端面に取付けられ、発光素子32を収納する。発光素子は、基材22の上端面に対面させて配置される。
【0049】
該底面反射部26には、例えば、平面鏡や凸面鏡が採用される。底面反射部26は、基材22の上端面から入射され基材22を通過し基材22の下端面まで到達した発光部31からの光Lを、上方に偏向する。底面反射部26は、入射された光Lを拡散層24に到達させるような向きに向けられる。
【0050】
発光部31から基材22の上端面を通して
基材22内に入射された光Lは、基材22内で金属膜層23や底面反射部26などで反射し、拡散層24内の反射粒子25により拡散され、拡散層24の外面側(V2側)が発光する。
【0051】
ガラス製板体4a、4bは、面状発光体2の内側、すなわち、金属薄膜層23の内側(V1側)と、面状発光体2の外側、すなわち、拡散層24の外側(V2側)に各々(4a、4b)配置される。
【0052】
該ガラス製板体は、窓構造としての強度と耐久性、防火性を有するものが使用でき、市販されている窓用のガラス板が用いられる。透明性の高い商品が好ましい。
【0053】
本実施の形態の窓構造ユニット1を用いる場合、室内空間V1が室外空間V2より明るい場合(例えば、夜間)に、発光部31を点灯する。発光素子32から照射された光Lは、拡散して下方に照射され、一部は直接、拡散層24に入り、反射粒子25によって拡散される。
【0054】
また、一部は、金属薄膜層23の
ハーフミラー面で反射し、拡散層24に入り、拡散する。
【0055】
さらに一部は直接的に底面反射部26で反射して拡散層24に入り、拡散される。
【0056】
これにより、基材22の外面(V2側)の拡散層24が明るく発光し、外側のガラス製板体4b全体が発光し、室外側(V2側)から室内側(V1側)を視認できなくすることができる。
【0057】
尚、本実施例では、拡散層24は、透光性を有するシート状のものを用いたが、基材22の外面側22bに、光を拡散するための反射粒子25を分散して固着したものでも良く、多数の細かな突起部を形成するようにしたものでも良い。基材22の表面処理や蒸着、印刷等で突起部を形成しても良い。
【0058】
また、シルク印刷で透明色、白色、あるは銀色などの光を反射しやすい色を斑点状に印刷したものでも良い。
【0059】
シルク印刷において、多数の斑点を形成する場合には、発光源に遠い部分は近い部分より斑点の大きさを大きくするか、あるいは斑点の間隔を狭くすると良い。さらに、拡散効果を高めるために、印刷する斑点の形状は、円形の他に多角形状や星形などの不定形としても良い。さらにまた、使用するインクにおいて、透明色に反射粒子を混在させたインクを使用しても良い。
【0060】
また、本実施例では、基材22の内側面22a側に金属薄膜層23を形成して
ハーフミラーMとしているが、基材22の内側面22a側に
ハーフミラー機能を有するフィルムを貼着したものでも良い。
【0061】
このように、本実施の形態の窓構造ユニット1によれば、日中は、
ハーフミラー機能により、室内側(V1側)からの眺望景観の確保と室外側(V2側)からの覗き見防止が実現され、夜間は、発光機能により、室外側(V2側)からの覗き見防止が実現されるものである。
【0062】
さらに、本実施の形態の窓構造ユニット1によれば、
窓枠からの突出部を有さず、室内側(V1側)から窓を通して外部を見た視界が一層広がる。また、窓枠に突出部が無く、突出部と窓との間に汚れが溜まらない。さらに、突出部が破損するような事態も生じ得ない。
【0063】
さらに、本実施の形態の窓構造ユニット1は、底面反射部26を有している。このため、発光部31からの光Lが無駄なく拡散層24に導かれ、拡散層24の外面22b側が一層明るくなり、室外側(V2側)からの覗き見防止が一層確実になる。
【0064】
[実施例2]
別の実施の一形態を、
図2に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第二の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態は、窓構造ユニットに関するものであって、基本的には第一の実施の形態に準ずるものである。第一の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
図2は、窓構造ユニット1−2を断面視で見た模式図である。本実施の形態の窓構造ユニット1−2は、面状発光体部40と、面状発光体部40の内側及び外側を保護するガラス製板体4a、4bを有する。
【0066】
面状発光体部40は、内面側(V1側)に金属薄膜層41が積層された透明な有機EL照明板42と、制御回路43とを有する。制御回路43は、有機EL照明板42に加えられる電圧の制御を行う。有機EL照明板42は、電圧が印加されていないと透光を許容した状態となり、電圧が印加されると板全体が均等に光る。
【0067】
面状発光体40の内側と外側のガラス製板体4a、4bは、面状発光体を保護するものであり、適度な強度、耐久性を有する透明なガラスであり、市販されている窓用のガラスが使用される。
【0068】
本実施の形態の窓構造ユニット1を用いる場合、室内側(V1側)が室外側(V2側)より明るい場合(例えば、夜間)において、制御回路43を用いて有機EL照明板42に電圧を印加する。これにより、有機EL照明板42の全体が光り、面状発光体40の外面40bが光り、外側のガラス製板体4bが明るくなり、室外側(V2側)から室内側(V1側)を視認できなくすることができる。
【0069】
[実施例3]
図3は、窓構造ユニット1−3を断面視で見た模式図である。本実施の形態の窓構造ユニット1−3は、面状発光体部2とその発光装置部3と、面状発光体部2の内側及び外側を保護するガラス製板体4a、4bを有する。
【0070】
面状発光体部2は、透光性を有する樹脂製の板体による基材22を有し、内側(V1側)に金属薄膜層23が積層され、外側(V2側)に拡散部27が設けられている。
【0071】
該金属薄膜層23は、アルミニウムや銀等の光線反射率の高い金属によって、所定の光線透過率(光線反射率)を有するように設けられた薄膜層である。
【0072】
基材22と金属薄膜層23とは、いわゆる
ハーフミラーを構成する。
【0073】
該発光装置部3は、発光部31が設けられ、基材22の上部に配置される。また、底面反射部26は、基材22の下部に配置される。
【0074】
該発光部31は、発光素子32と、ハウジング33と、制御回路(図示せず)とを有する。ハウジング33は、基材22の上端面に取付けられ、発光素子32を収納する。発光素子は、基材22の上端面に対面させて配置される。
【0075】
本実施例の拡散部27は、基材22の外面(V2側)22bの表面に白色インクにより、斑点を配置したものであり、直径1mm〜2mmの円形の斑点を0.5mm〜2mm間隔で全体に分散してシルク印刷により形成したものである。
【0076】
面状発光体部2の内側及び外側を保護するガラス製板体4a、4bは、市販の窓用ガラス板が使用できる。
【0077】
面状発光体2と外側(V2側)のガラス製板体4bとの隙間は、少ない方が良いが、その空間は空気層としても良く、透明性を有するものであれば、他のガス層、液体層、ジェル状層、固化層や透明な接着剤層などとしても良い。
【0078】
図4に拡散部27の光拡散粒子による斑点28の配置状況を示す。(斑点は白色であるが図面では黒色で示している。)斑点28の径は、最上部では直径が1mm程度であり、下部になるにしたがって大きくなり最下部では2mm程度となっている。また、斑点28の間隔についても、上部では、間隔が広く(2mm程度)、下部になるにしたがって間隔が狭く(0.5mm程度)なっている。
【0079】
LED発光体32から照射される光は、基材22の上端面を通してその内部に入光し、L1の矢印に示すように、直接、基材の22の外側面(V2側)22b面に形成された拡散部27の光拡散粒子による斑点28により、拡散して室外側(V2側)が発光し外側のガラス製板体4bが明るくなる。
【0080】
また、LED発光体32から照射された光の一部は、L2の矢印に示すように、金属薄膜層23の
ハーフミラー面で反射し、基材22の外面(V2側)22b側に反射光として照射される。そして拡散部27の光拡散粒子による斑点28により拡散、発光し、室外側(V2側)のガラス製板体24bが明るくなる。
【0081】
さらにまた、LED発光体32から照射された光の一部は、L3の矢印に示すように、直接、底部に配置された底面反射部26で基材22の外面22b側に反射し、また、一部は上記の金属薄膜層23の
ハーフミラー面で反射し、拡散部27の光拡散粒子による斑点28で拡散し、室外側(V2側)が発光し、ガラス製板体24bが明るくなる。
【0082】
本実施の形態の窓構造ユニット1−3を用いる場合、室内側(V1側)が室外側(V2側)より明るい場合(例えば、夜間)に、LED発光体32を点灯する。
【0083】
LED発光体32から照射された光Lは、拡散して下方に照射され、直接または間接的に、拡散部27に入り、拡散し発光する。
【0084】
これにより、外側(V2側)のガラス製板体4bが明るくなり、夜間であっても、室外側(V2側)から室内側(V1側)を視認できなくすることができる。
【0085】
図5に本発明の実施例3に示す窓構造ユニットを用いた、発光制御方法の一例について示す。
【0086】
図は、窓枠に面状発光体の内側と外側をガラス製板体で保護した窓構造ユニットを示す。
【0087】
上部の枠内にLEDを発光素子とするバーモジュールが設けられており、基材22の上部端面に光が入光するようにLEDを複数個並べて配置されているものである。
【0088】
このため、これらのLEDの発光制御を行うことにより、様々な発光状態を実現できる。
【0089】
図に示すように、並べられたLEDを両端部からそれぞれ中心に向かって連続的に点灯させることにより、窓のカーテンを閉じるときのように光で表現することができる。光によるカーテンが実現できるものである。
【0090】
このように発光制御を自由に行うことができるため、様々なデザインの発光形状、動的な変化など光による広告、宣伝が行うことができる。LEDを単色光ではなく、光の3原色のLEDを用いると、様々な色彩によるデザインや動的変化も実現できる。
【0091】
本実施の形態の
窓構造ユニット1−3を用い、店舗の1階の大型窓において、面状発光体2の外面(V2側)4bと、面状発光体2の内面(V1側)4aの照度の違いをデジタル照度計((株)マザーツール社製)で調べた結果を示す。
【0092】
●窓構造ユニットの仕様
白色LED 光束:0.61lm(ルーメン)
取り付けピッチ:14mm
金属薄膜シート 厚さ:46μm、日射反射率:40%
基材 アクリル樹脂板:板厚:10mm
ガラス製板 フロート透明 板厚:6mm
拡散部 印刷処理 白色インク斑点 直径1〜2mm、ピッチ0.5〜2mm
●測定時間:日没2時間後
●測定場所:沖縄県南風原町内マンション 1階ウィンドウ
●測定結果
室内側面照度 ユニット 上部: 12Lux
(V1側面) ユニット中央部: 8Lux
ユニット 下部: 3Lux
室外側面照度 ユニット 上部:300Lux
(V2側面) ユニット中央部:120Lux
ユニット 下部: 95Lux
【0093】
測定結果より、本窓構造ユニットにおける室内側面と室外側面の照度差は約30倍となった。夜間においては、外部からは、青白く光り、内部を見通すことはできなかった。また、ベランダ内部から外部を見た場合には、一部反射するが外部を見通すことが可能であった。
【0094】
尚、日中においては、LED発光体23は消灯しているが、通常の
ハーフミラーとしての機能が発揮され、ベランダ内部から外部を見通すことができ、外部からは鏡面となって反射し、内部を見通すことはできなかった。
【0095】
このように、本実施の形態の窓構造ユニットによれば、日中は、
ハーフミラー効果により、室内側(V1側)からの眺望景観の確保と室外側(V2側)からの覗き見防止が実現され、夜間は、発光効果により、室外側(V2側)からの覗き見防止が実現される。
【0096】
さらに、これまでに述べた窓構造ユニットは、中空の窓構造を有したどのような被取付物(例えば、ビルの壁部、看板、店舗のショーウィンドウ)に対しても適用できる。そして、室外側(V2側)をライトアップすることにより、室内側(V1側)からの眺望景観の確保、室外側(V2側)からの覗き見防止、さらには、室外側(V2側)から見える被取付物の外観のデザイン性の向上を図ることができるものである。
【0097】
さらに、本実施の形態の窓構造ユニットでは、発光装置が窓枠内に収まるため、様々な窓に適用可能である。例えば、電車や自動車などの窓にも適用可能である。