(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、各階のエレベータ乗場の乗場操作盤の表示画面、前記乗場操作盤毎に設けられた乗場ディスプレイ、前記かごのかご操作盤の表示画面および前記かごのかご室ディスプレイの何れかであり、
これらの表示画面、乗場ディスプレイおよびかご室ディスプレイの少なくとも何れか一以上は省エネ効果情報を、前記省エネ運行時の運行状態と前記通常運行時の運行状態とを視覚的に区別するデザインおよび色により表示することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレベータ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態に係るエレベータについて、
図1乃至
図9を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータの斜視図である。本実施形態に係るエレベータは、昇降路10と、この昇降路10内に設けられた一対のガイドレール11によって昇降するかご12と、一対のガイドレール13に案内されロープ14により吊下げられて昇降し切離し可能な錘体15を有する釣合い錘16とを備えている。このエレベータは、ロープ14が巻掛けられるシーブ17と、このシーブ17を回転させるモータ18とを備えている。
【0009】
図2はエレベータの構成図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。本実施形態に係るエレベータは、モータ18へモータ駆動電力を供給する電力変換部19と、この電力変換部19により給電される交流電力により釣合い錘16およびかご12をつるべ式に昇降させるシーブ17及びモータ18を有する巻上機20とを備えている。このエレベータはこの巻上機20を駆動制御し、エレベータ運行を通常運行および省エネ運行の間で切替えるエレベータ制御部21と、このエレベータ制御部21によるエレベータ運行中、巻上機20を含む複数の負荷が消費する電力消費分を合計した電力量を計測する電力量計22とを備えている。
【0010】
通常運行とは釣合い錘16が全ての錘体15を装着した状態の運行である。省エネ運行とはフレキシブルカウンタの実施による錘体15の分離によって通常運行時の電力使用量よりも省電力な状態の運行である。ここでフレキシブルカウンタとは錘体15を切離して釣合い錘16の重量を軽くするエレベータの機能を言う。複数の負荷とはモータ18の駆動系統や、かご室や乗降口の蛍光灯や白熱灯などの照明系統や、エレベータ制御盤内のプロセッサ類や制御機器といった機器系統などを言う。
【0011】
本実施形態に係るエレベータは、通常運行と、少なくともフレキシブルカウンタを利用した省エネ運行とを切替え可能になっている。エレベータはかご12の乗車人数が多いとき通常時の重量の釣合い錘16により運転し、乗車人数が少ないときフレキシブルカウンタの実施により釣合い錘16の重量を必要最小限に減らして巻上機20のトルクを軽減させる。例えば予め調査した一日におけるビルの人の流れにより例えば0時から6時までの間はフレキシブルカウンタを実行し、各種照明を落とし、及び操作盤による消費電力を低くした状態でエレベータは運行を行うようになっている。また、このエレベータは、省エネ運行の実施による省エネ効果情報を利用者に表示し、省エネ運行を乗客へアピール可能にされている。省エネ効果情報とは、過去の平均電力量に対して電力削減量が反映されたときの平均電力量の消費電力差、その差のパーセント値、節約された電力料金、省電力量からCO
2への換算値などの情報を言う。アピールの手法として、本実施形態に係るエレベータは、時間帯毎に、省エネ運行を利用しない通常運行時の電力量と比較して例えば30パーセントの電力量を削減したといった情報をかご室内と各乗場とにおいてそれぞれ乗客へ表示するようにしている。
【0012】
本実施形態に係るエレベータは、電力量計22の電力量にタイムスタンプ(時刻情報)を付して電力量をタイムスタンプと共に記録しこのタイムスタンプにより区分した複数の時間帯および時間帯毎に省エネ運行による電力削減量が反映された平均電力量を記録する記録部23と、エレベータ制御部21にネットワーク接続されたサーバ装置24へ送る送受信部25を備えている。エレベータは更に、サーバ装置24内に、自号機を含む複数のエレベータ全台の時系列の平均電力量データを求める演算部26と、各エレベータとの間でデータを授受する送受信部53とを備えている。自号機である本実施形態に係るエレベータは、演算部26による比較結果を受信しこの比較結果により省エネ運行の実行による平均電力量の省エネ効果情報を表示するかご室内のかご室ディスプレイ28(表示部)および各階の乗降口38に設けられた乗場ディスプレイ29(表示部)とを備えている。
【0013】
かご12はテールコード30を介してこのかご12に必要な電力をエレベータ制御部21から給電されている。
図3はかご室内の外観を示す斜視図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。かご12は、乗客により操作され行先階情報をエレベータ制御部21へ出力するかご操作盤31を備える。かご操作盤31にはCOP(car operation panel)が用いられる。かご操作盤31は階ボタンや戸開閉ボタンをそれぞれ点灯表示させるLED(light emitting diode)、音声スピーカ及び表示器28を表示駆動する回路により電力を消費する。かご12はかご12の現在位置を階番号により表示するかご位置表示器32を設けてもよい。更にかご12はかごドアを開閉させる戸開閉装置33と、蛍光灯又はLEDを使った天井照明34とを備えている。かご12は、かご床下に設けられたリニアフォーマなどの荷重検出器である積載センサ35と、エレベータ制御部21との間でテールコード30を介して信号を授受するかご制御装置36とを備えている。
【0014】
図1の釣合い錘16は、補助的な錘体15と、この錘体15を着脱自在に取付けている錘本体55と、この錘本体55から錘体15を切離す着脱装置56とを備えている。
【0015】
図2の巻上機20のモータ18は複数の負荷のうち最も支配的な電力需要量を有する負荷である。巻上機20はかご12を各階の乗場へ着床させる。
【0016】
図4は乗場側から見たエレベータ乗降口の正面図である。各階の乗場37にはそれぞれ乗降口38が設けられている。エレベータは各乗降口38の脇に乗場操作盤39を備え、壁面に乗場ディスプレイ29を、乗降口38の上方にかご位置表示器40をそれぞれ備えている。乗場操作盤39にはHIB(hall indicator board又はhall indicator button)が用いられる。乗場操作盤39はかご位置表示器40及び表示器29を表示駆動する回路、音声スピーカ、点灯によって火災や地震を報知する案内表示灯、乗客により操作される方向ボタン類、及びこれらの表示灯やボタン類用のLEDによって電力を消費する。
【0017】
また、エレベータ制御部21(
図2)は、かご12の運行モードを通常運行モード及び省エネ運行モードの間で切替えるモード管理部41と、各乗場操作盤39からの乗場呼び及びかご操作盤31からのかご呼びにより呼び登録を行う呼び登録部42とを備えている。エレベータ制御部21は、巻上機20が出力するパルス信号列によりかご位置を検出するかご位置検出部43と、このかご位置および呼び登録部42による呼びに応じてかご12の運転方向、目的階及び速度を巻上機20へ出力する運行制御部44とを備えている。エレベータ制御部21の機能はCPU(central processing unit)、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)により実行される。
【0018】
また、電力量計22はビル受電設備45より分岐配電された主電源46に設けられており、この主電源46よりも後段の全ての負荷によって消費される有効電力量を積算する。主電源46は例えば商用三相交流である。主電源46からの交流電力は例えば受電ブレーカ47を介して絶縁トランス48の一次側に入力される。絶縁トランス48の二次側から出力される交流電力はこの交流電力に含まれる高調波成分を抑制するためのフィルタ49を介して電力変換部19へ入力される。この電力変換部19は交流電力を直流電力に変換するコンバータ50と、このコンバータ50からの直流電力を所望の周波数を持つ交流電力に変換するインバータ51とを備えている。
【0019】
記録部23は、電力量計22からの電力量の値にタイムスタンプを付与して得られる時刻の列と、各時刻における電力量の値とを対応付けて、これらの対応データをRAMである電子媒体52に書込む。記録部23は例えば1時間毎あるいは3時間毎の電力量の平均値を求める。記録部23は例えば8つの時間帯毎に省エネ運行による電力削減量が反映された平均電力量を求める。省エネ運行による電力削減量が反映された平均電力量とは、通常運行の合間にこの省エネ運行を実行したときの時系列の電力量データを1又は3時間毎に平均をとった値を言う。
【0020】
図5は記録部23による電力量データの一例を示す図である。横軸は時間軸を表し縦軸は平均の電力量を表す。曲線Aは平均の電力量データを表し、どの時間帯において電力使用量のピークを迎えたかといったエレベータ運行状況が表されている。また、記録部23はかご12の積載センサ35からの積載値を、電力量計22によるスタンプタイミングと実質同じタイミングで記録してもよい。曲線Bは積載値を表し乗車人数に対応する。記録部23は、タイムスタンプによって電力量データの推移を示し、かご室ディスプレイ28や乗場ディスプレイ29に表示される時系列の乗車人数データを蓄積する。
【0021】
演算部26(
図2)は、観測対象のエレベータを監視するデータ監視センタ内のサーバ装置24に実装されている。演算部26はある範囲内のエレベータ全台から送られてくる電力削減量が反映された平均電力量によりこれらのエレベータの過去の時系列の平均値を計算する。平均値とは例えば一日前の時間帯毎の平均電力量の平均値であり、例えば0時から3時、…、12時から15時、…、21時から24時までの8つの時間帯においてそれぞれ複数のエレベータ間で平均された平均電力量(W)である。また、演算部26は、各エレベータについてそれぞれ現状の省エネ効果情報を表す度合いが前日の平均値を越えている、同等あるいは平均値以下といった比較結果を演算する。具体的には比較結果は例えば12時から15時の時間帯において、エレベータ番号1による平均電力量(W)は、同じ時間帯における前日のエレベータ全台の平均の平均電力量(W)よりも多くの電力を削減できたという情報である。
【0022】
サーバ装置24はLAN(local area network)又はインターネットといったネットワーク54に接続されており、送受信部53及びネットワーク54によってエレベータ全台との間でパケットデータを授受する。
【0023】
また、かご室ディスプレイ28および各階の乗場ディスプレイ29には何れも液晶表示パネルが用いられており、これらの駆動用の電力はエレベータ制御部22から壁内を通過したケーブルによって与えられている。これらのかご室ディスプレイ28及び乗場ディスプレイ29は、観測対象のエレベータ全台の各記録部23によるエレベータ毎の平均電力量データと、サーバ装置24内の演算部26による全台平均電力量データとの間の比較結果による省エネ効果情報を表示する。かご室ディスプレイ28及び乗場ディスプレイ29は省エネ効果情報を表示する。省エネ効果情報は例えば利用中のエレベータが全国平均のエレベータによる消費電力量よりも省エネであることを示す簡易なグラフを表示した情報である。かご室ディスプレイ28及び乗場ディスプレイ29はこの省エネ効果情報を、省エネ運行時の運行状態と通常運行時の運行状態とを視覚的に区別するデザインおよび色により表示する。
【0024】
上述の構成の本実施形態に係るエレベータ(以下、自号機と呼ぶことがある)では、釣合い錘16の質量が、かご12自体の重量、定員及び最大積載量を足し合わせた重量の所定パーセントの重量に釣合うように予め調整されている。予め動作設定された時間帯において、錘体15を切離したフレキシブルカウンタを実行し、自号機は巻上トルクを定員乗車時の巻上トルクよりも小さくする。フレキシブルカウンタの実施や各種照明を低電力で動作させることによってこの自号機は余計な電力を消費せずに、より小さい電力消費量で省エネ運行を行う。
【0025】
自号機は、比較される基準となる過去の時間帯別電力量の時間平均を求める。0時から3時、3時から6時、6時から9時、9時から12時、12時から15時、15時から18時、18時から21時及び21時から24時までの8つの時間帯についてそれぞれ、比較対象の基準となる時間平均電力量(
図5の曲線A参照)を計算する。例えば前日の8つの時間帯の時間平均電力量、あるいは前日までの所定日数の間で平均された8つの時間帯の時間平均電力量を自号機は生成する。
【0026】
また、データ監視センタのサーバ装置24は、この自号機を含む所定範囲の地域内に設置された複数台のエレベータの運行状況を観測している。このサーバ装置24は毎日、自号機及びこの自号機以外の他のエレベータ(以下、他号機と呼ぶことがある)から時間帯別電力量の時間平均を収集する。8つの時間帯毎に、省エネ運行により電力削減をされた複数のエレベータ間の平均をとった時間平均電力量を計算する。各エレベータ間で平均をとった時間帯毎の時間平均電力量をサーバ装置24の演算部27は比較基準として蓄積する。
【0027】
図6は本実施形態に係るエレベータによる省エネ効果情報の表示方法を説明するためのフローチャートであり、自号機及びサーバ装置24の処理を含めて表示している。同図の処理は例えば午前0時から開始される。サーバ装置24は観測対象のエレベータ全台の時間帯毎の時間平均電力量データを蓄積している。
【0028】
ステップS1において、自号機は電力量計22により電力量を測定する。巻上機20、かご12の天井照明34、乗場操作盤39、かご操作盤31や、昇降路10内のエレベータ制御部22などの機器が消費した電力量が測定される。ステップS2において、自号機は積載センサ35等により乗客人数を測定する。
【0029】
ステップS3において、自号機は8つの時間帯毎の電力削減が反映された平均電力量を記録する。自号機は対応する時間帯毎に乗客人数データを記録してもよい(
図5の曲線B参照)。時系列の測定データはエレベータ制御部21内の電子媒体52に蓄積される。乗車人数データの時間推移により、自号機はかご12がどれくらいの人数を載せて運行しているかについて使用稼働率も時間帯毎に収集する。
【0030】
ステップS4において自号機はステップS3で得られた8つの時間帯毎の時間平均電力量データと、予め計算した比較基準となる過去の時間帯別電力量の時間平均データとを比較する。過去の平均電力量に対する現状消費している平均電力量の差やその差のパーセント値が求められる。8つの時間帯別の値あるいは全時間帯の値を平均した値が得られる。
【0031】
図7はかご室ディスプレイ28の省エネ効果情報の表示例を示す図である。同図中の2つの棒グラフのうち左、右はそれぞれ省エネ運行なし、省エネ運行有りの例を示す。かご室ディスプレイ28は
図7(a)のように自号機について省エネの電力値を比較する。かご室ディスプレイ28は
図7(b)のように自号機について省エネ効果を電力差のパーセント値により表示する。あるいは、自号機の演算部26は、過去の電力使用量と、現状の電力使用量との差分をとり、この差分にワット当たりの電気料金を乗算する。
図7(c)のようにかご室ディスプレイ28は節約された電力料金を表示する。あるいは
図7(d)のように演算部26は、省電力量からCO
2の排出量へ換算し換算値を演算出力してもよい。自号機は自号機の省エネ効果情報を計算し表示する。省エネ運行による電力削減量が反映した平均電力量が求められる。省エネ運行時の運行状態と通常運行時の運行状態とを視覚的に区別するデザインおよび色によりかご室ディスプレイ28は表示する。
【0032】
自号機は、計算した自号機についての平均電力量データをサーバ装置24へ送る。自号機はメモリ容量の限られた電子媒体52を使っているため、短い間隔毎に電力量をとらずにデータ量を間引する。全台エレベータは膨大な数の時系列データを蓄積し、又はそれらを転送する必要がなくなる。サーバ装置24は扱うデータ量を小さくできる。
【0033】
ステップS5において、サーバ装置24は観測対象のエレベータから個々に8つの時間帯毎の時間平均電力量データを蓄積する。
【0034】
ステップS6においてサーバ装置24は複数のエレベータの間で平均をとった8つの時間帯毎の全台の時間平均電力量データと、予め蓄積しておいた比較基準となる過去の時間帯別電力量の時間平均データとを比較する。これらのエレベータからなるエレベータシステム全体について、サーバ装置24は過去の平均電力量に対する現状の平均電力量の消費電力差やその差のパーセント値を求める。サーバ装置24は、節約された電力料金やCO
2の排出量の換算値を求めてもよい。
【0035】
ステップS7において、サーバ装置24はステップS6で求めた消費電力の差、その差のパーセント値、電力料金やCO
2排出換算値を含む省エネ効果情報を自号機へ送信する。また、サーバ装置24はこの省エネ効果情報をサーバ装置24内のメモリ57に蓄積する。
【0036】
ステップS8において自号機は、サーバ装置24から受信した全台の省エネ効果情報と、ステップS4において求めた自号機の省エネ効果情報とを比較する。例えば現時点において自号機は自号機をエレベータシステム全体と比べたときの省エネ効果情報を計算する。自号機はかご室ディスプレイ28、かご操作盤31(COP)、エレベータホールの乗場操作盤39(HIB)、及びエレベータホールに設置の乗場ディスプレイ29にそれぞれ省エネ効果情報を表示する。
【0037】
図8はかご室ディスプレイ28の省エネ効果情報の表示例を示す図である。かご室ディスプレイ28は
図8(a)のように全国平均に対する省エネの電力値の差や、
図8(b)のようにその差のパーセント値により表示する。あるいは、かご室ディスプレイ28は
図8(c)のように電力料金や、
図8(d)のようにCO
2排出量への換算値を表示する。自号機は受信した省エネ効果情報そのものを表示させてもよい。
【0038】
このように本実施形態に係るエレベータによれば、かご室ディスプレイ28や乗場ディスプレイ29により利用者へ、省エネ効果を表示できる。エレベータの省エネ状態の電力消費量と、通常(非省エネ)状態の電力消費量とを換算し、消費電力の差、差のパーセント値及びCO
2削減状態といった省エネ効果情報をエレベータはHIB、COB等の案内表示機器、並びにエレベータかご内やホール設置のディスプレイにおいて表示できるようになり、自社製品の優位性をアピールできるとともに、乗客への省エネヘの意識を啓発することができるようになる。
【0039】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、サーバ装置24がエレベータ全台から時間平均電力量を収集して、エレベータ全台についての加算平均をとっていたが、本発明の第2の実施形態に係るエレベータはサーバ装置24との送受信を行わずに、自号機の現状の状態と、自号機の過去の状態とを自号機内で比較して現時点での省エネ効果情報を表示する。本実施形態に係るエレベータは、
図2中のネットワーク54やサーバ装置24を介した通信部分を有しない。本実施形態に係るエレベータは、
図2の演算部26の代わりに以下に述べる演算機能を持つ他の演算部をこのエレベータ内の例えばエレベータ制御部21に備える。それ以外の点についてエレベータは
図2の例と実質同じ構成を有する。
【0040】
このような構成の本実施形態に係るエレベータ(
図2)は、比較される基準となる2種類の時間平均電力量を計算する。一つ目としてエレベータは前日の時間帯別電力量の時間平均を求める。8つの時間帯についてそれぞれ、比較基準となる時間平均電力量を計算する。二つ目として、このエレベータは先月の1箇月間の時間帯別電力量の時間平均を求め、先月分の時間帯毎の時系列の平均電力量データを蓄積する。本実施形態に係るエレベータはこの平均電力量データをエレベータ制御部21に接続されたデータ記憶装置58に書込む。データ記憶装置58はハードディスクドライブやシリコンディスクドライブなど記憶容量が十分大きい媒体を用いる。
【0041】
図9は第2の実施形態に係るエレベータによる省エネ効果情報の表示方法を説明するためのフローチャートである。
【0042】
ステップT1において、本実施形態に係るエレベータは巻上機20や天井照明34などによる消費電力量を測定する。
【0043】
ステップT2において、エレベータは乗客人数を測定する。
【0044】
ステップT3においてエレベータは8つの時間帯毎に電力削減が反映された平均電力量を記録してもよい。エレベータは対応する時間帯毎に乗客人数データを記録する。時系列の測定データをエレベータはデータ記憶装置58に蓄積する。
【0045】
ステップT4においてエレベータはステップT3で得られた8つの時間帯毎の時間平均電力量データと、予め計算した一つ目の比較の基準となる前日の時間帯別電力量の時間平均データとを比較し、省エネ効果情報を計算する。例えば
図7の表示例による消費電力の差、差のパーセント値、電気料金あるいはCO
2排出量への換算値が計算される。
【0046】
ステップT5において、エレベータはステップT3で得られた時系列の8つの時間帯毎の時間平均電力量データを蓄積する。
【0047】
ステップT6においてエレベータは、ステップT5で蓄積した8つの時間帯毎の時間平均電力量データと、二つ目の比較の基準となる先月1箇月間分の自号機の時間帯毎の時系列の平均電力量データとを比較する。エレベータは先月1箇月分の平均電力量に対する現状の平均電力量について、
図8の例と同様に消費電力の差、差のパーセント値、電気料金あるいはCO
2排出量への換算値を計算する。
【0048】
ステップT7において、エレベータはステップT6で求めた消費電力の差や、差のパーセント値、電力料金やCO
2排出換算値を含む省エネ効果情報をかご室ディスプレイ28、かご操作盤31(COP)、エレベータホールの乗場操作盤39(HIB)、及びエレベータホールに設置の乗場ディスプレイ29にそれぞれを表示する。
【0049】
本実施形態に係るエレベータによれば、全台のエレベータとの比較演算に要する演算量の多い処理工程が含まれず、先月の1箇月分の値などを用いた推定演算を行うため、計算量を簡略化できる。エレベータ自号機内で計算を完了させることができる。
【0050】
一般にエレベータを設置するビル毎に乗客の流れは異なるものであり、8つの時間帯毎の乗客人数は異なる。エレベータの据付前に調査したエレベータの利用者の流れから、フレキシブルカウンタを実行すべき時間帯データはエレベータ制御部21中のROMに書込まれる。この時間帯は徐々に変化することがある。時間帯毎の乗客人数が変わると、もう一回人の流れを調査してROM値を書替え調整し直す。その後、フレキシブルカウンタを実行すべき時間帯がシフトされる。本発明のこの実施の形態に係るエレベータによれば、同じビルの例えば先月分のデータを使って省エネ効果情報を計算しているため、フレキシブルカウンタを実行する時間帯を必要に応じて的確に変更可能になる。ビルの管理者に対して、エレベータ機器の据え付けのみならず、サービスも一体化した運用を行って保守作業など全てを連動させる営業が行える。
【0051】
(変形例)
錘体15の切離しは時間帯に応じて実行されていたが、本実施形態に係るエレベータはエレベータ制御部21により、省エネ運行の実行中、積載センサ35によりかご室内の乗車人数が予め決められた閾値よりも少ないことの検知により着脱装置56に切離しを指令するようにしてもよい。
【0052】
図5の曲線は一例でありエレベータが設置される数や建物によって異なる。
図7、
図8の表示例は種々変更可能である。
【0053】
電力消費する複数の要素の消費割合の内訳を予め定めておいてもよい。電力量の総量に対してかご12内で消費される電力量、及びモータ17で消費される電力量等をかご室ディスプレイ28等は列挙して表示してもよい。電力量の総量に対して1階の乗場で消費される電力量、2階の乗場で消費される電力量など各階毎に電力消費量をかご室ディスプレイ28等は列挙して表示してもよい。これらの変更をして実施をしたに過ぎない実施品に対して実施形態に係るエレベータの優位性は何ら損なわれるものではない。
【0054】
また、上記例では、電力量計22を大元のエレベータ受電端に設けていたが、電力を消費する複数の要素に個別に電力量計を設置してもよい。かご12、巻上機20、各階の乗場毎など個別に電力消費量を計測することによって、一層精度の高い省エネ効果情報を表示できる。個別の電力量計22はスマートメータであってもよい。電力量計22は無線式のスマートメータであってもよい。例えばかご天井部など、測定対象が照明や駆動機器により電力消費量が多い箇所に無線式のスマートメータを設置する。エレベータ内の複数の箇所にそれぞれスマートメータを配置し、エレベータ制御部21に受信機を設けておくことにより、個別の精度の高い省エネ効果情報を計算することができる。
【0055】
第1の実施形態による演算部26及び第2の実施形態による演算部による比較演算はデータ間の差分であったが、演算部26、他の演算部はデータ間の平均や分散などの統計値を求め、この統計値により両データを比較してもよい。
【0056】
上記例では、かご室ディスプレイ28、乗場ディスプレイ29が表示部として省エネ効果情報を表示していたが、各階の乗場操作盤39の表示画面やかご操作盤31の表示画面が表示部として省エネ効果情報を表示してもよい。かご室ディスプレイ28、乗場ディスプレイ29、各階の乗場操作盤39の表示画面及びかご操作盤31が全て省エネ効果情報を表示してもよい。
【0057】
また、例えば停電時などにおいて、建物の非常用電源によりエレベータを駆動する場合、かごを駆動できるだけの電力が確保できない可能性がある。効率のより管制運転、避難運転を行う必要がある。この場合であっても、実施の形態に係るエレベータは電力消費量を節約できる。節約した実績をかご室ディスプレイ28、乗場ディスプレイ29に表示してもよく、安全に配慮した設計が行われていることを利用客にアピールすることができる。
【0058】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0059】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組合わせてもよい。