【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例により、本発明の効果を具体的に表す。なお、%は特に断りのない限り質量%を表し、添加量は絶乾パルプに対する固形分または有効成分で表す。
【0029】
(実施例1)
NBKP35質量部(510mlCSF)、LBKP20質量部(220mlCSF)、サーモメカニカルパルプ15質量部(65mlCSF)、上質古紙脱墨パルプ30質量部(160mlCSF)からなるパルプ分散液に、硫酸バンド1.6%(有姿)、カチオン化澱粉(ジー・エス・エル・ジャパン株式会社製 商品名:ジェルトロン24、置換度0.029〜0.033、アミロース含有量17%)0.4%を添加して抄紙した。
次に、ショートドゥエルタイプのブレードコーターを用いて、顔料と接着剤を含む塗料を下記のように原紙の両面に塗工した。
重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ90HS備北粉化工業株式会社製)50質量部、2級カオリン(製品名 KCS、株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製)15質量部、微粒カオリン(製品名 カオファイン 白石カルシウム株式会社製)35質量部
SBRラテックス(製品名 スマーテックスPA8008 日本エイアンドエル株式会社製)7質量部
尿素燐酸エステル化澱粉(製品名 スターコート16 日本食品化工株式会社製)4.5質量部
分散剤(製品名 アロンT50 東亞合成株式会社製)15質量部(対カオリン)
蛍光染料(製品名 カヤホールSTCL 日本化薬株式会社製)0.4質量部
塗料濃度62%、塗料粘度1250cps、塗工量 片面当たり7.5g/m
2、ブレード角度35度
塗工後に乾燥し、ソフトカレンダー3ニップ処理(線圧160kN/m 温度160℃、線圧170kN/m 温度180℃、線圧170kN/m 温度195℃)を行い、坪量49.0g/m
2、水分5.5%の微塗工印刷用紙を得た。
得られた微塗工印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
【0030】
(実施例2)
NBKPの配合率を20質量部、LBKPの配合率を35質量部としたことと、カチオン化澱粉の添加量を1.0%としたこと以外は実施例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(実施例3)
NBKPの配合率を50質量部、LBKPの配合率を5質量部としたことと、カチオン化澱粉の添加量を0.2%としたことと、塗料の塗工量を8.0g/m
2としたこと以外は実施例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(実施例4)
塗料の塗工量を5.2g/m
2としたことと、ブレード角度を40度としたこと以外は実施例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(実施例5)
塗料の塗工量を6.0g/m
2とし、坪量を46.0g/m
2としたこと以外は実施例4と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(実施例6)
NBKPの配合率を45質量部、LBKPの配合率を10質量部としたことと、塗料の塗工量を5.0g/m
2とし坪量を43.0g/m
2としたこと以外は実施例4と同様に微塗工印刷用紙を得た。
【0031】
(比較例1)
カチオン化澱粉を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例2)
NBKPの配合率を10質量部、LBKPの配合率を45質量部としたことと、カチオン化澱粉の添加量を0.1%としたこと以外は実施例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例3)
NBKPの配合率を55質量部、LBKPの配合率を0質量部としたことと、カチオン化澱粉を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例4)
カチオン化澱粉の添加量を1.2%としたこと以外は実施例2と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例5)
塗料の塗工量を4.6g/m
2としたことと、ブレード角度を45度としたこと以外は比較例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例6)
塗料の塗工量を9.0g/m
2としたこと以外は比較例1と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例7)
NBKPの配合率を45質量部、LBKPの配合率を10質量部、塗料の塗工量を6.0g/m
2とし、坪量を43.0g/m
2としたこと以外は実施例4と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例8)
塗料濃度を60%とした以外は比較例2と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例9)
塗料濃度を65%とした以外は比較例2と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例10)
塗料の塗工量を8.5g/m
2としたことと、ブレード角度を30度としたこと以外は比較例2と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例11)
塗料の塗工量を6.5g/m
2としたことと、ブレード角度を45度としたこと以外は比較例2と同様に微塗工印刷用紙を得た。
(比較例12)
塗料に含まれる尿素燐酸エステル化澱粉を6.0質量部としたこと以外は比較例9と同様に微塗工印刷用紙を得た。
実施例と比較例で得た微塗工印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
【0032】
なお、試験方法と評価方法は次のとおりである。
(坪量)JISP8124:1998紙及び板紙−坪量測定方法
(塗工液粘度)B型粘度計(35℃、60rpm)による測定値
(白色度)JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(不透明度)JISP8149:2000紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照射法
(白紙光沢度)JISP8142:2005紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法
(引張り強さ、引張破断伸び)JISP8113:2006紙及び板紙−引張特性の試験方法
(コーター操業性評価)ブレードコーターでの連続操業性を次のとおり評価した。
◎:断紙の発生はなかった。×:断紙が発生した。
(印刷評価)オフセット輪転印刷機を用い、印刷速度700rpm、紙面温度120℃で4色印刷(オフ輪用プロセスインキ 墨・紅・藍・黄)を行い、各試料の印面と印刷作業性を
次の基準で相対評価した。
(印面評価)◎:優れる、○:良い、×:印面にムラがみられた。
(印刷作業性評価)◎:問題なく印刷できた。×:断紙が発生した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表1、表2に示したように、本発明の実施例1〜6では、いずれも、コーター操業性評価、印面評価、印刷作業性評価ともに良好であることがわかる。
比較例1は、カチオン化澱粉の添加がなく、引張り強さ縦が2.18kN/mと低く、伸びが1.3%と低いので、印刷作業性評価が悪くなっている。
比較例2は、NBKP配合率が10質量%と少ないことに加え、カチオン化澱粉の添加量が0.1質量%と少ないため、引張り強さ縦が2.19kN/mと低く、伸びが1.4%と低いので、印刷作業性評価が悪くなっている。
比較例3は、NBKP配合率が55質量%と多いので、地合いムラによる塗工ムラができ、印面評価が悪くなっている。
比較例4は、カチオン化澱粉の添加量が1.2質量%と多いため、印刷作業性評価は良いが、地合いが悪いため塗工ムラができて印面評価が悪くなっている。
比較例5は、塗工量が4.6g/m
2と少ないので、原紙の坪量が高くなり、引張り強さ縦が2.53kN/m、伸びが1.5%と高いため、印刷作業性評価は良いが、印面評価が悪くなっている。
比較例6は、塗工量が9.0g/m
2と多いので、原紙の坪量が低くなり、引張り強さ縦が2.06kN/mと低く、伸びが1.3%と低いので、印刷作業性評価が悪くなっている。
比較例7は、原紙の坪量が低く、引張り強さ縦が2.12kN/mと低く、伸びが1.3%と低いので、印刷作業性評価が悪くなっている。
比較例8は、引張り強さ縦が低く、印刷作業性評価が悪いことに加え、塗料濃度が60%と低く、塗料粘度が700cpsと低いので印面評価が悪くなっている。
比較例9は、引張り強さ縦が低く、印刷作業性評価が悪いことに加え、塗料濃度が65%と高いので、コーター作業性と印面評価が悪くなっている。
比較例10は、NBKP配合率が10質量%と少ないこととカチオン化澱粉の添加量が0.1質量%と少ないことに加え、ブレード角が30度と小さいので塗工量が8.5g/m
2と多いため、引張り強さ縦が1.92kN/mと低く、伸びも1.3%と低いので、コーター操業性評価と印刷作業性評価が悪くなっている。
比較例11は、ブレード角が45度と高いので、コーターでストリークと断紙が発生しコーター操業性評価が悪くなっている。
比較例12は、塗料粘度が65%と高く、塗料粘度が2100cpsと高いので、コーターで断紙が多発し、印面評価と印刷作業性評価はできなかった。。