(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
幅、長さ及び厚みを有するリニア構造の形状の整形外科副子用のブランク材であって、ポリマーによって形成される第1成分と強化材によって形成される第2成分とを有する複合材料を含み、
前記第1成分は、80,000〜200,000g/molの数平均分子量を有するポリカプロラクトンホモポリマーおよび80,000〜200,000g/molの数平均分子量を有するポリカプロラクトンホモポリマーと他の生物分解性熱可塑性ポリマーとの混合物のグループから選択される熱可塑性ポリマーを含み、
前記第2成分は、板状又は顆粒状木材粒子由来の木材材料を含み、その原料は、落葉性及び針葉樹樹木種の木材粒子、チップ又は顆粒を含み、0.6mm以上で3.0mmまでのスクリーンサイズを有し、
前記複合材料は50〜120℃の温度で成形可能であるブランク材。
前記リニア構造は、プレート、シート、リボン又はテープの形状を有し、前記板状木材粒子は、前記リニア構造の長さに沿った軸心に沿って配向され、前記リニア構造は、1〜50mmの厚みを有する矩形プレートの形状を有する請求項2に記載のブランク材。
5〜99重量部の熱可塑性ポリマー成分、および、1〜95重量部の前記木材材料を有し、当該木材材料の重量はこの木材材料の乾燥重量に基づいて計算され、前記第1成分は前記複合材料のマトリクスを形成し、前記第2成分の微小構造は不連続である請求項2または3に記載のブランク材。
更に、強化成分として、粒子状材料、繊維状材料又はそれらの組み合わせを含み、この成分は第2成分の重量の約1〜15%を形成する請求項1〜8の何れか一項に記載のブランク材。
当該ブランク材を50〜70℃の範囲の温度に加熱し、その後、この材料を冷却することによって指副子、手首ギプス又は足首、肘、肩、膝ギプスの形状に形成可能である請求項1〜9の何れか一項に記載のブランク材。
織布、不織布、パッド、すね当て等の整形外科又は保護用パッドを形成するパウチ及びファスナと組み合わせることが可能である請求項1〜9の何れか一項に記載のブランク材。
前記ブランク材は、低温ブランケット、低温スプレー、又は緩いエアブースト、或いは前記ブランク材の表面からの熱伝導を高めるその他の方法、の補助によって能動的に冷却される請求項13または14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一態様は、新規な複合材の提供である。前記材料は、少なくともその組成とその特性とにおいて新規である。この新規の複合材は、その適用前に寸法決定されるべくブランク材の形態で提供されるか、もしくは、その製造中に所望の特定の形状にされる。前記新規の複合材自身に加えて、少なくとも一つ以上の形態のこの材料と、適用のために前記複合材を準備するための加熱手段とを含むキットも提供される。
【0034】
前記複合材は、その冷却時にその形状を保持する。それは支持可能かつ快適であるべく、実質的に硬質でありながら柔軟性を有する。剛性は、一般に、上に示した軟化温度にまで加熱されたサンプルが、50℃以下、特に45℃以下、好ましくは40℃以下に冷却されたときに達成される。通常、前記複合材は、環境温度で硬質であり、適当な使用温度は約20〜〜50℃、特に22〜40℃である。
【0035】
以上から明らかなように、本発明の材料は、第1成分、即ち、例えばペレット状の適当なポリマー材料を、第2成分、即ち、木材粒子又は顆粒と、溶融混合によって混合することによって簡単に製造することができる。この混合は、溶融混合又は溶融処理用に構成された任意の従来の装置で行うことができる。その一例は、機械式拡販装置を備える加熱可能な容器である。
【0036】
熱可塑性ポリマーを混合するのに適した押出成形装置、混練装置、その他任意の装置を使用することによって前記複合材の均質性を増大させることができる。
【0037】
それぞれが前記材料の成分の一つを収納する二つのホッパを例として備える押出成形混合装置を使用して、所望量の各成分を装置の混合チャンバに供給することができる。その後、前記混合装置の混合手段によって、前記材料の形成の前に、前記第1成分と第2成分との均質な混合物が形成される。
【0038】
前記成分のそのような均質な混合物によって形成される材料の一つの利点は、実質的に均質な材料を形成するために必要な力が低減されることである。従って、材料形成工程における前記成分の混合を容易にするために圧縮力はほとんど或いは全く必要無くなる。この要素の重要性は、前記均質混合物によって、それがなければ高圧縮力を受けた時に破壊されるであろう、各成分のより大きな粒子を使用することが可能になることにある。
【0039】
前記材料は前記混合装置から取り出して、所望の形状、例えばシート、プレート、ロール、その他類似の平坦な、折りたたまれた、或いは曲げられた、又は筒状形状に成形された後に使用可能となるものであるが、この材料は患者の上に直接形成することさえ可能である。
【0040】
押出成形機によって混合された材料は、適当なノズルによって、例えば、指副子として、切断後に直接使用可能な、矩形シート又はプレート、などの形状に成形することが可能である。
【0041】
前記副子用の所望のプロファイルは、例えば、レーザ切断、水流切断、偏心プレス、或いは、規則的な形状プロファイルを作り出すことが可能な任意の工具によって、前記押出し成形によって製造されたシート又はプレートで製造することができる。本材料は、又、圧縮成形、射出成形、鋳造、圧力鋳造、によって処理することも可能である。
【0042】
前記シート又はプレートは、一般に約1〜50mm、特に約1.5〜30mm、例えば1.5〜20mmの厚みを有するものとすることができる。典型的な厚みは、約2〜6mmである。前記シート又はプレートの長さと幅とは、約1〜150cm(長さ)、1〜50cm(幅)の範囲で可変であり、典型的な長さは約10〜60cmであり、典型的な幅は約5〜20cmである。
【0043】
前記材料の成分間の割合は広い範囲で変えることができる。従って、一般に5〜90重量%、例えば40〜90重量%の材料が前記熱可塑性ポリマー成分により形成され、1〜95重量%、例えば1〜60重量%が木材材料によって形成される。
【0044】
前記木材に対するポリマーの重量比は、容易に改変可能であり、前記複合材料の総重量/体積に基づく、木材の重量百分率は、1〜70%、好ましくは10〜60重量%、又は20〜60重量%、そして体積で15〜50%又は25〜50%の範囲で変えることができる。
【0045】
前記第2成分は、0.1mm以上の最小直径を有する木材材料を含むか、又は、実質的にそのような木材材料から成る。後述するように、更に、前記第2成分中にその他の木材粒子を含ませることも可能である。前記木材材料は、顆粒状又は板状にすることができる。一実施例において、前記第2成分は、0.1mm以上の最小直径を有する板状木材材料を含む。
【0046】
従って、一般的に、前記木材成分は、一般に粉体よりもサイズが大きいものとして特長付けられる。
【0047】
前記木材粒子のサイズと形状は、規則的なものであっても不規則的なものであってもよい。通常、前記粒子は0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上、例えば0.6mm以上、適切には約1〜40mm、特に約1.2〜20mm、好ましくは約1.5〜10mm、例えば約1.5〜7mmの平均サイズ(最小サイズの)を有する。前記粒子の長さ(粒子の最も長い寸法)は、1mm以上の値から約1.8〜200mmの値、例えば、3〜21mm、範囲で変えることができる。
【0048】
前記木材粒子は、顆粒状、板状、又はこれらの両方とすることができる。顆粒状のものと見なされる木材粒子とは、その一般的サイズの比率が、厚み:幅:長さ=約1:1:1である立方体形状を有するものである。実際には、個々の粒子が完全な立方体であるかを調べるために測定することは困難である。従って、実際には、顆粒状とみなされる粒子は、その一つのサイズが他の二つのサイズと大幅に異ならないものである。
【0049】
板状のものと見なされる木材粒子とは、たとえ他の形状のものが多くその材料内に含まれていたとしても、それらが一般的に板形状の特性を有することを意味する。プレートのエッジの幅又は長さのいずれか短い方に対するプレートの厚みは、一般に1:1〜1:500、特に約1:2〜1:50である。好ましくは、前記木材粒子は、少なくとも10重量%のチップ状粒子を含み、ここでの一般寸法の比率は、厚み:幅:長さの一般的比率=1:1−20:1−100であり、前記寸法の少なくとも一つは他のものと大幅に異なる。
【0050】
上記に基づき、本発明の前記板状粒子は、一般に、1mm以上の少なくとも二つの寸法と、0.1mm以上の一つの寸法とを有する木材粒子であって、前記木材粒子の平均容積は、一般に少なくとも0.1mm
3、以上、より具体的には、少なくとも1mm
3である。
【0051】
「板状木材粒子由来」とは、木材粒子が前記複合材料の処理中になんらかの変化を受けたかもしれないということを意味する。例えば、前記第1及び第2成分の混合が機械式溶融処理装置によって行われる場合、元の板状木材粒子の一部はある程度変形しているかもしれない。
【0052】
その粒子が顆粒状又は板状であってよい、粉体よりもサイズの大きな木材粒子の多くが、前記木材材料の70%以上を構成する。
【0053】
木材の種類は、落葉性及び針葉樹樹木種から、例えば、ブナノキ、カバノキ、ハンの木、アスペン、ポプラ、樫、ヒマラヤスギ、ユーカリ、混合熱帯硬材、マツ、トウヒ、カラマツなどから自由に選択可能である。
【0054】
その他の適当な原料も使用可能であり、前記複合材の木材材料も、任意の木材製品とすることができる。
【0055】
前記粒子は、通常、原料を切断又はチップ化することによってその木材原料から得ることができる。落葉性及び針葉樹樹木種からの木材チップが好ましい。
【0056】
上述したように、特許文献12には、ポリカプロラクトン、粉砕アーモンドシェル、おがくず、をベースとする複合材料が記載されている。この公知の材料には、例えば充填材の粒径が小さい(600ミクロン(600μm)以下の木材)ことによって密度が1.1kg/m
3又はそれ以上に高いといったいくつかの欠点がある。小さい粒径の充填材の使用に関連するもう一つの欠点は、複合材料の粘着性が低いことである。われわれの実験に拠れば(後述する例10を参照)、0−800ミクロンのサイズのおがくず40重量%から成る複合材料は、包帯材料に対する粘着性ゼロである(0.1バールの圧縮力)。
【0057】
副子の可動化を回避し包帯のセット中における骨折手足の固定性を改善するためには、小さな粘着力が必要とされる。更に、特許文献12の例に提示されているポリカプロラクトンポリマー(CAPA656)は、65℃の実用的な使用温度で使用するには粘度が低すぎる(160℃での2.16kgの標準ダイでのメルト・フロー・インデックス7g/10分間の値)。7のMFI値(PCL−7)を有するPCLから製造された複合材料は、余りにも容易に裂け、塗付中の強力な曲げには耐えられない。
【0058】
これに対して、本発明の複合材料は、この点に関しても極めて優れた特性を提供する。
【0059】
木材チップとその他の板状粒子に加えて、本発明は、強化繊維材、例えば、コットンのフラックス又は種繊維、木材の表皮、ジュートの葉又は樹皮繊維、麻、大豆、バナナやココナッツ、干草の茎繊維(藁)、米、大麦やその他の穀物、Tracheobiontaの主類、に属する中空ステムを有する植物を含む植物、そして牧草のサブクラス(竹、ヨシ、トクサ、野生のアンゼリカ、及び牧草)などのセルロース繊維を含むことができる。
【0060】
更に、前記複合材料は、おがくず、典型的には、0.5mm*0.5mm*0.5mm以下のサイズの粒子を有する、などの粒状又は粉末化材料を含むことができる。粒子状又は粉末化材料は、通常、裸眼ではもはやその粒子の特異部位を識別することができないサイズの材料として特徴付けられる。板状粒子は、その一つのサイズが裸眼によって他のものよりも大きなものとして認識できるので容易に識別可能である。実質的に同じ寸法を有する顆粒状粒子は、それらの固有部位が裸眼によって認識可能で、かつ配向可能であるサイズのものである。
【0061】
より具体的には、粒状又は粉末化材料は、それらがそれらの隣接物に対して容易に配向できない小さな又は細かいサイズである。顆粒状又は板状粒子は、それらの部位が識別可能で配向可能なサイズのものである。
【0062】
前記第2成分の所望の組成は、木材粒子を単数又は複数の異なる質を有する単数又は複数のメッシュを通して篩いにかけることによって得ることができる。所望の組成は、又、粒子を所望のカテゴリにソートし分離するその他周知の技術によっても達成することができる。前記所望の組成は、一つの篩い又は分離処理から得られる組成とすることができる。所望の組成は、又、複数の篩い又は分離処理から得られる組成の混合物であってもよい。
【0063】
特に興味深い原料は、0.6mm以上で約3.0mmまで、特に、平均で約1〜2.5mmのスクリーニングサイズを有する上述した木材種のいずれかの、木材粒子、チップ又は顆粒を含む。
【0064】
一実施例に拠れば、前記繊維材(オプションとして前記粉末化材を含む)の前記板状材に対する重量比(乾燥重量)は、約1:100〜100:1、好ましくは約5:100〜50:50である。特に前記板状木材粒子由来の木材材料は、前記第2成分の総重量の、少なくとも10%、好ましくは約20〜100%、特に約30〜100%を形成する。
【0065】
前記木材材料は、前記第2成分の少なくとも70%、好ましくは70%以上を占める。
【0066】
木材ベースの粉末化材料に加えて、雲母、シリカ、シリカゲル、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム(tricalciumorthophosphate)、カーボン、クレイ、カオリンなどのその他のカルシウム塩、などの無機粒子又は粉末化材料も含有又は添加することができる。
【0067】
別構成に拠れば、整形用材料として有用な複合材料は、ポリマーによって形成される第1成分と、強化材によって形成される第2成分とを含み、ここで、前記第1成分は、生物分解可能ポリマー群及びそれらの混合物から選択される熱可塑性ポリマーを含み、前記第2成分は強化繊維を含む。そのような繊維は、例えば、コットンのフラックス又は種繊維、木材の表皮、ジュートの葉又は樹皮繊維、麻、大豆、バナナやココナッツ、干草の茎繊維(藁)、米、大麦やその他の竹や草を含む穀物からなるグループから選択することができる。一つの興味深い実施例に拠れば、木材充填材は、上述した種類の繊維から成るか、若しくは、実質的にそのような繊維から成る。前記ポリマー成分は、下記のポリマーの任意のものとすことができ、約60,000g/molから250,000g/molまでの分子量を有するカプロラクトンホモ又はコポリマーが特に好適である。
【0068】
前記熱可塑性ポリマーとその特性について以下に詳述するが、順番のために、種々の充填材が複合材料の第2及び第3更には第4成分として使用された上述した実施例の全てにおいて、カプロラクトンポリマー、特に、ホモポリマーを、熱可塑性物質として使用した場合に、生物分解性と物理的特性とにおいて大きな利点が得られたということを、指摘しておく。特に好適なポリマーは、80,000g/mol以上の分子量を有するカプロラクトンホモポリマーである。具体的には、100,000g/mol〜200,000g/molの分子量を有するカプロラクトンが、結果として得られる特性とコストとの両面において有利であることがわかった。
【0069】
木材粒子を熱可塑性ポリマーと混合する前に、それらの疎水性、疎水性及び表面張力を変化させる薬剤で、表面処理、例えばサイジングすることができる。そのような薬剤は、マトリクスへの共有結合を提供するべく顆粒の表面上に官能基を導入することができる。水素結合或いはファンデルワールス力による結合の増大でも役立つ。前記木材粒子は、又、木材と高粘度値を有するPCLとの間の保持力を増大させるために、ポリマー、例えば、低粘度およびモル質量値を有するPCLによって表面処理することも可能である。
【0070】
前記木材材料は、更に、老巧化と不純物に対するその特性を改善するべく、抗腐食化合物、例えば、植物油、によってコーティング、或いは処理することも可能である。
【0071】
前記木材材料は、それをポリマーと混合する前に、軽量化するべく脱水することも可能である。前記木材材料の物理的及び化学的特性を、例えば、膨張や収縮を減少させるものとして知られている熱処理によって改善することができる。
【0072】
本発明の一態様による複合材料において、前記第1成分(前記ポリマー)は、前記複合材のマトリクスを形成し、これに対して、前記複合材中の前記第2成分の微小構造は不連続である。前記第2成分の粒子は、ランダムな配合を有してもよいし、或いは、所望の配向に配置してもよい。その所望の配向は、所定の配向とすることができる。
【0073】
上述したように、一好適実施例に拠れば、ポリカプロラクトンポリマー(以下においては、”PCL”との略称する)が前記複合材料中の前記第1成分における熱可塑性ポリマーとして使用される。このポリカプロラクトンポリマーは、エプシロンカプロラクトンモノポリマー由来の単位を反復することによって形成される。前記ポリマーは、乳酸、グリコール酸、などの他のモノマー由来の反復単位を含むコポリマーであってもよいが、好ましくは、前記ポリマーは、エプシロンカプロラクトンモノマーを少なくとも80体積%、特に、少なくとも90体積%、特に約95〜100%のエプシロンカプロラクトンモノマーを含有する。
【0074】
一好適実施例において、前記熱可塑性ポリマーは、エプシロン−カプロラクトンホモポリマー、エプシロン−カプロラクトンホモポリマーと他の生物分解可能熱可塑性ホモポリマーとの混合物とのグループから選択され、5〜99重量%、特に40〜99重量%のエプシロン−カプロラクトンホモポリマーと、1〜95重量%、特に1〜60重量%の生物分解可能熱可塑性ホモポリマーと、エプシロン−カプロラクトンホモポリマーと任意の熱可塑性生物分解可能ポリマーとのコポリマー又はブロックコポリマーであって、5〜99重量%、特に40〜99重量%のエプシロン−カプロラクトン由来の反復単位と、1〜95重量%、特に1〜60重量%の他の重合性材料由来の反復単位と、を含む。
【0075】
他の生物分解可能熱可塑性ポリマーの具体例としては、ポリラクチド、ポリ(乳酸)、ポリグリコチド、更に、乳酸及びグリコール酸のコポリマーがある。
【0076】
前記第1ポリマー成分、特に前記エプシロンカプロラクトンホモ−又はコポリマーは、60,000〜500,000g/mol、例えば65,000〜300,000/mol、特に少なくとも80,000g/mol、好ましくは80,000以上250,000以下、の平均分子量を有する。
【0077】
本発明の複合材料の成形性は、エプシロンカプロラクトンホモ−又はコポリマー等の前記ポリマーの平均分子量(M
n)によって測定することができる。PCLのMn値の特に好適な平均分子量範囲は、約100,000から200,000g/molである。
【0078】
数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)、更に多分散性(PDI)を、ゲル透過クロマトグラフィによって測定した。GPC測定のためのサンプルを重合反応炉から直接採り、テトラヒドロフラン(THF)中に溶解させた。前記GPCは、Watersカラムセットstyragel HR(1.2及び4)とWaters2410屈折率検出器とを備えていた。THFを、溶離剤として0.80ml/分の流速、35℃のカラム温度で使用した。従来のポリスチレン較正を使用した。異なる温度での前記モノマーの水分含有率の測定において、Metroohm 756KF電量計を使用した。
【0079】
本発明の複合材料の成形特性は、又、前記ポリマーの粘度値によっても測定可能である。エプシロンカプロラクトンホモポリマーの場合、PCLの固有粘度(IV)値が1dl/g以下である時、前記複合材は粘度が高く、形成中に流れ、冷却中に不要な皺を形成する。2dlg/に近いIV値を有するPCLを使用する場合、複合材は患者上での成形中にその構造を維持し、粘着性無しで取り扱うことができる。従って、1dl/gを超えるIV値が好ましく、1.2dl/gを超える値が好適であり、1.3dl/gを超える値が特に好適である。好適には、前記値は、約1.5〜2.5dl/g、例えば、1.6〜2.1dl/gの範囲である。固有粘度値は、LAUDA PVS 2.55d流量計によって25℃で測定された。前記サンプルは、1mgのPCLを1mlのクロロフォルム(CH
3Cl)中に溶解させることによって調製された。
【0080】
前記熱可塑性ポリマーの特に重要な特徴は、その比較的高い粘度、通常は、70℃, 1/10sで少なくとも1,800Pas、であり、前記本例は、その粘度が70℃, 1/10sで約8,000〜13,000 Pas(溶融相から測定された動的粘度)でありうることを示している。この示した値以下では、強化材が患者の上でのその形成中に容易に皺を形成してしまう。
【0081】
前記熱可塑性材料は、好ましくは、生物分解可能ポリマー(のみ)であるが、更に、非生物分解可能ポリマーも利用可能である。そのようなポリマーの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、などのポリオレフィンや、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレート及びポリアミドが含まれる。上記生物分解可能ポリマーと前記非生物分解可能ポリマーとの組み合わせも使用可能である。一般に、任意の非生物分解可能ポリマーに対する生物分解可能ポリマーの重量比率は、100:1〜1:100、好ましくは、50:50〜100:1、特に、75:25〜100:1である。好ましくは、前記複合材料は、生物分解特性が大きく、前記材料は前記熱可塑性材単体よりも、より早く、又は、より完全に生物分解する。
【0082】
本発明に拠れば、上述したタイプのポリマーは、好ましくは、+50℃もの低温、特に、+65℃から僅かにそれよりも高い温度、で成形可能であり、木材粒子又は一般に任意の多孔性材料と混合することによって形成される複合材料の剛性を高めることができる。ポリカプロラクトンホモポリマーなどの前記ポリマー成分が、皮膚に対する副子固定材料の形状を規定する。
【0083】
前記ポリマー成分の、環境温度における係数(比ヤング係数)は、300MPaよりも大きい。前記ポリマーを木材成分と複合化することにより、前記係数は改善され(下記を参照)、通常、それは、前記複合材料において約350〜2000MPaになる。
【0084】
本材料は、マイクロメータ範囲よりも大きな粒子サイズ、例えば、約0.75mm〜50mm、を有する木材顆粒を多量に含有する。前記材料がシートに成形されるとき、前記木材顆粒(少なくともその大半)は、前記熱可塑製材のシートへの形成中に二つの次元において配向される。
【0085】
一好適実施例に拠れば、整形外科用材料として有用な複合材料を作る本発明の方法は以下の工程を含む。
− 生物分解可能ポリマーとそれらの混合物とから成るグループから選択されるポリマーから形成される第1成分の10〜100重量部、好ましくは、50〜100重量部と、
− 板状の木材粒子として存在する補強材から形成される第2成分の1〜100重量部、好ましくは、10〜50重量部とを混合する。
【0086】
前記混合は、前記熱可塑性ポリマーを溶融するために十分な温度、例えば、約50〜150℃、で行われる溶融混合とすることができる。
【0087】
バイオポリマーと強化板状又は顆粒状粒子とを含む前記溶融ポリマー塊は、手作業によって、或いは、好適実施例ではモールド内での成形、によって成形することができる。
【0088】
前記ポリマー、特に、前記強化粒子の所望の配列を達成するために、前記溶融ポリマー塊に張力を付与することができる。
【0089】
前記製造方法は、工業規模で、以下のようにして行うことができる。
【0090】
第1工程において、木材チップ又は顆粒とプラスチック顆粒とを混合して、押出し成形装置のフィードホッパに注入する前に、均質な混合物を形成する。この混合処理は、又、別々のフィードホッパを使用して、押出成形装置に直接原材料を供給することによっても行うことが可能である。
【0091】
次に、押出成形装置、特に、単スクリュー押出成形装置、において複合化を行う。この複合化処理において、前記スクリューのスクリュー押出成形装置プロファイルは、好ましくは、その寸法が、比較的大きな木材チップがそれらを破損せさることなく、スクリューに沿って移動することを可能なように構成される。従って、通路幅とフライト深さ(flight depth)は、木材粒子の破壊を引き起こす可能性のある過剰な局所圧の形成の増大が回避されるように選択される。前記シリンダの温度とスクリュー回転速度も、押出成形中に、過剰に高い圧力によって木材チップの構造が分解することを回避するように選択される。例えば、適当なバレル温度は、ホッパからダイにかけて約110〜150℃の範囲とすることができ、他方、スクリュー回転速度は25-50 rpmであった。勿論、これらは例示的なデータに過ぎず、正確な設定は実際に使用される装置に応じたものなるであろう。
【0092】
次に、前記溶融処理/複合化から得られた複合化された複合材材料を、例えば適当な機械的処理を使用して、工具中で均質な製品、例えはシートやプレートに形成する。一つの特に好適な方法はカレンダ加工である。もう一つの適当な処理はプレス加工である。
【0093】
機械処理中に木材材料の構造が変化することを回避するために、前記複合材材料に対して、上記処理と処理との間に、緩やかな折り畳み処理を行うことができる。通常、前記機械的処理は、前記ポリマーのガラス遷移/溶解温度を十分に上回る温度で行われる。
【0094】
製造された複合材の密度は、通常、材料中の木材の重量百分率に応じて、約600〜850kg/m
3の範囲である。
【0095】
前記製造方法は、その内容をここに参考文献として合体させる、「複合材の製造方法」と題する我われの同時係属特許出願により詳細に記載されている。
【0096】
前記補強材は、通常、以下のうちの単数又は複数から選択される特性を示す。
- 前記複合材の密度は、前記ポリマー成分(例えば、エプシロン-カプロラクトンホモポリマー)自体の密度よりも少なくとも5%低い、
- 前記複合材の3点屈曲テストでの比ヤング係数は、前記ポリマー成分(例えば、エプシロン−カプロラクトンホモポリマー)自体のそれよりも少なくとも10%高い、そして
− 熱伝導性は、最大で約0.5W/mKである。
【0097】
50〜70℃、通常は、約+65℃又は僅かにそれよりも高い温度、である操作温度において、前記副子材料を最大で10分間、操作し手作業によって成形することができ、それは、通常、副子のサイズに応じて、加熱終了後、3−10分間は成形可能である。前記材料は一時間以内に完全に硬化する。材料を保護手袋無しで取り扱う温度である+100℃近くにまで加熱することによって溶融材料の作業時間を延長することができる。前記材料を+150℃にまで加熱して、その材料の特性の変化無しで数時間そのままで保持することが可能である。
【0098】
材料の急速な固化を達成するために、冷却スプレーや冷却ゲル又はラップを使用することが可能である。
【0099】
上述したように、そして、具体例に関連して以下に記載するように、本発明の複合材は、外科成形用材料としていずれかの請求項の複合材材料として使用することが可能である。そのような材料の具体例は、指副子、手首ギプス、足首ギプスである。一般に前記板状粒子は、複合材の総重量の約30〜70%、好ましくは40%以上から60%までを形成し、指副子と足首ギプスの場合は複合材の総重量の約20〜60%、好ましくは約30〜50%を形成する。比較的大型のギプスでは大きな粒子がより高い比率で含まれ、それによってその強度特性を損なうことなく、ギプスの総重量を低減する。
【0100】
新規な複合材の特性
前記複合材ギプス/副子は非常にユーザフレンドリーである。揮発性化学物質からの不快なにおいは無く、その反対に、原木、例えばトウヒやアスペンの穏やかなにおいがするだけである。又、前記ギプス材料の外観も信頼性が高い。前記ポリマー材料は目には見えず、その全体の外観は小さな木材粒子を基調とする。
【0101】
前記複合材の利用の観点から重要であることは、加熱処理が終了した後に成形可能で適用可能な状態に留まることである。更に、複合材が凝固し完全に固化するのにどのくらい時間がかかるかを見出すことが必須である。複合材副子の硬化の評価に対する一つの明らかな問題は、共に大幅に変化しうる患者の皮膚と周囲の温度である。皮膚の温度は、最も低い場合で、20℃を僅かに下回るかもしれず、最も高い場合では37℃の体温に近い。室温(22−24℃)平均で、平均皮膚温度は30と34の間である。凝固と硬化のこれらの時間窓を得るために、いくつかの実験を行った。加熱後、テスト標本を〜22℃の環境温度と、31℃の皮膚温度にまで冷却した。標本を異なる熱伝導率を有する材料上に置いた。
【0102】
低熱伝導性を有するプラットフォーム上に載置した場合の複合材の冷却は、副子が RTで均衡温度に達するのに長時間かかる場合の状況を表している。結果に基づき、冷却プロセスを三つの段階に分けることができる。
1)テスト標本の温度が〜65℃の開始温度から38℃へ5分間で低下する急速冷却段階。
2)テスト標本の温度が5分間38℃に留まる定常状態段階。
3)テスト標本の温度が50分間で周囲の均衡温度にゆっくりと近づく遅速冷却段階。
【0103】
大腿部の皮膚に直接に載置した場合の複合材の冷却は、追加の冷却手段(例えば、冷却噴霧)がなんら利用されない場合に副子が〜31℃の四肢温度に最も短時間で達する状況を表している。一般に、テスト標本の温度挙動は、前の実験で提示したデータに類似している。冷却プロセスの相違は、前記急速冷却段階と遅速冷却段階との間の相違である。テスト標本の温度は、前記第1段階において3分間で〜67℃から38℃に低下する。2)39℃での定常状態段階は5分間続く。3)遅速冷却段階中はテスト標本の温度が30分間で周囲の均衡温度にゆっくりと近づく。
【0104】
テスト標本の柔軟性を、サンプルの片側を持ち上げそれが落ち着くのを許すことによって手作業でテストした。サンプルプレートの定着がもはや完全でなくなった時、柔軟性は失われる。このレベルに到達する時間をマークした。この時点後、複合材の成形性は限定されたものであった。自己支持テストを、表面温度テストとして提示される二つの異なる温度環境(皮膚と周囲)で行った。
【0105】
部分的に分離されたテスト設定(カーペット)において、柔軟性は5分後に失われた。この時点後、テスト標本は、更に5分間は部分的に柔軟な状態に留まり、その後、一時間で最終硬化した。
【0106】
前記皮膚テスト設定(太腿)において、柔軟性は3分後に失われた。この時点後、テスト標本は、更に5分間は部分的に柔軟な状態に留まり、その後、半時間で最終硬化した。
【0107】
15分間の冷却後、複合材はかなりの負荷支持能力(最大値の80〜90%)を獲得した。この時点において、複合材の形状の変更を行うことは不可能であった。
【0108】
〜65℃の表面温度を有する複合材は、患者に対する不快感も、皮膚の変化(痒み灼熱感等)も起こさなかった。
【0109】
50〜70℃、通常は約+65℃又は僅かにそれよりも高い温度である操作温度において、前記副子材料を最大で10分間、操作し手作業によって成形することができ、それは、通常、副子のサイズに応じて、加熱終了後3−10分間は柔軟である。前記材料は一時間以内に完全に硬化する。材料を、保護手袋無しで取り扱う温度限度である+100℃近くにまで加熱することによって溶融材料の作業時間を延長することができる。独特の木材-熱可塑性複合材に基づく副子固定システムの良好な断熱特性により、副子の表面は100℃近くになっても灼熱感はない。前記材料を、+150℃にまでは加熱しても、その材料の特性の変化無しで数時間そのままで保持することが可能である。
【0110】
副子固定システムの表面温度がその物理的硬化温度〜55℃以下に急速(1分間以内)に低下し、40℃の低い温度まで副子固定材料がまだ柔軟なままであることが本発明のユニークな特徴である。固化温度への冷却時間は通常3−5分間である。これは、適用中に皮膚に近い高温を回避しなければならない時に明らかな利点である。
【0111】
前記材料の急速な固化を達成するために、冷却スプレー又は冷却ゲルやラップを使用することができる。
【0112】
最初の骨折後浮腫又は腫れが収まると、我われの複合材ギプスを再加熱、再形成し、更には、カットして骨折四肢の新たな解剖学的輪郭にマッチさせることができる。
【0113】
本発明の複合材は、既存の材料には無い特定の特性を有する。この材料のユニークさは、利用されるポリカプロラクトンポリマーと特定サイズの木材チップとの両方に基づくものである。
【0114】
熱可塑性ポリマーに関して、ポリマー又は複数のポリマーのブレンドの処理能力を示すためにメルト・フロー・インデックス(MFI)がしばしば使用される。分子量と鎖分岐度がポリマーのMFIに影響する。通常、室温での物理的特性は、ポリマーのMFIによって劇的に影響されることはない。このことは、様々なポリカプロラクトンポリマーの曲げ強度を図示している
図13に示されている。
【0115】
副子固定システムの適用性と最終特性にとって、溶融段階における複合化ポリマーの特性が、室温での純粋なポリマーの曲げ強度よりもより関連性が高い。
【0116】
本発明の副子固定適用のユニークさを示すために、破壊テストを行い、その結果を
図9に示す。破壊テストの目的は、適用温度における溶融WPC−副子の圧縮強度に関する情報を得ることにある。ここに紹介したWPC−材の輪郭形成能力のユニークさは、WPC材の粘度を〜65℃の適用温度で、グリース、ワックス、化粧品、などの半固体ないし固体材料の堅さの測定に一般的に使用されている汎用針入度計によって適切に測定することができる。
【0117】
測定は、修正標準D1321,D1988又はEN−1426(石油ワックスとビチューメンの針入の標準テスト方法)に従って行われた。65℃で行われる測定は、前記ポリカプロラクトンホモポリマーの圧縮強度に関するのみならず、溶融状態のWPC−材料に関する有用な情報を明らかにする。100gの針の針入深さは、適用中におけるWPCの挙動を良好に反映する。
【0118】
40のMFI値を有するPCLをベースにする複合材は通常は非常に粘着性が高く、65℃の温度で強力な破断無くしてはいかなる圧縮にも耐えることができない。これらの複合材は骨折固定における副子として使用されるのには適していない。7のMFIを有するPCLをベースにする複合材(CAPA656)は、特許出願IE050593に提示されているように、僅かな粘着性しか有さないが、その四肢への適用中に、それは破断や凹みの形成無く、強力な曲げ又は強力な圧縮に耐えることができない。更に、PCL−7は針アセンブリ侵入に対して耐性を持たない。58℃の温度でさえ、一秒間の針アセンブリ針入深さは、測定値を超える(針がホイルカップの底に達する)。PCL−40の推定針入値は1000以上である。
【0119】
それぞれ7と3のMFI値を有するPCL−7とPCL−3とはより粘度の高いポリマーであるが、それらの針入深さを標準的環境において測定した。
図9に見られるように、PCL−7の針入値は240であり、PCL−3の対応値は103であった。
【0120】
100の針入値を有する材料は、骨折四肢上に取り付け容易な材料を良好に反映するが、クリープ形成又は皺形成無く、設置中に圧縮に耐えることはできない。ポリカプロラクトンPCL−7, PCL−35及びPCL−40からなる複合材は7又はそれ以上のMFI値を有し、平均の針入値は56から88の間であった。市販の副子固定材であるAquaplast(登録商標)(respecta blue)は、55の針入値を示したことが銘記される。これらの複合材は、中程度の圧縮に耐え、理論的には、副子固定用に使用可能である。残念ながら、圧力下又は曲げ中において裂けて凹みが形成される虞が医療用途のためには高すぎる。加えて、これらの複合材の粘着性によって骨折固定作業室で使用される材料に対する不要な固定が生じる可能性がある。
【0121】
我われの発明の複合材は、15から50の平均針入値を示す。この値は、複合材中の木材の重量%に依存する。木材が多ければ多いほど、値は小さくなる。複合材中の木材の含有率が15〜50重量%に維持されるならば、複合材は、取り付け中の適度の圧縮に耐え、適用中の凹みの形成を回避することができる。前記針アセンブリを木材チップ表面に直接載置することによって、予想されるよりも低い針入値が達成されることが銘記される。
【0122】
複合材の粘着性は、材料に異なる割合の木材を導入することによって変えることができる。この現象を、異なる種類の副子固定用途を作り出すことに利用することができる。全てのギプス固定/副子固定用途において適度の粘着性が必要とされる。ここに紹介した複合材の粘着力を剥離粘着テストでテストした。この剥離粘着テストの目的は、種々のガーゼ包帯として使用される時において高い粘着力を示す木材−プラスチック複合材のための適切な組成を見出すことにある。副子の包帯との間の適切な粘着力によって、骨折固定システムの安定性が改善される。剥離力のレベルは、ガーゼ包帯が患者に対して不要な苦痛を与えることなく素手によって容易に剥離できるようなものにするべきである。
【0123】
前記標準SFS−EN1939に従って行われるテストにおいて、粘着テープを基材上の2kgのシリンダ形状のローラでローリングする。但し、我われのシステムにおいては、それによって基材の表面上に凹凸が形成させる可能性があるため、ローラは使用することができない。従って、ローラを、重さ3.3kgの矩形スチールスラブと交換した。これにより、テストの再現性は著しく改善された。このスチールスラブは、ガーゼに0.09barの圧力を付与し、これは手のひらで軽く押し付けることに相当する。
【0124】
前記剥離実験を、高い分子量値と、160℃で2.16kg標準ダイでの3(PCL−3)及び7(PCL−7)g/10分の高いメルト・フロー・インデックス(MFI)とを併せ持つ原料ポリカプロラクトンポリマーから始めた。35と40のMFI値を有する原料ポリマーは、65℃の温度で流れるため、剥離テスト用に適していなかった。PCL−7は剥離テスト用に適していなかった。プレス処理中に、ガーゼがPCL−7基材にまで沈み込み、更に、引っ張り力が193Nに達したときに剥離は観察されなかった。ガーゼが切断無しで副子から取り外すことができないことは明らかである。
【0125】
前記PCL−3は、プレス処置中に僅かな変形しか示さず、問題無くテストを行うことが可能であった。19Nの平均剥離力が達成された。
【0126】
35重量%以下の木材を含む複合材は、3N以上の剥離力を示したが、これはガーゼと副子との間の粘着力の使用可能限界である。PCL−3/s−30%は、20N以上の剥離力を示した。木材とポリマーとのこの複合比において、複合材の表面はガーゼが複合材との比較的強い結合を形成するのに理想的であるように思える。他方、特許文献12に提示されている材料に類似の、PCL−7と0〜0.8mmの大きさの木材粒子とからなる複合材料(PCL−7/s−40%(小))は、事実上ゼロの剥離力を示した。複合材中の小木材粒子/ファイバのより高い比率は、包帯材料と副子との間に粘着力が必要とされる場合には有用性が無いことは明らかである。
【0127】
ギプス固定/副子固定用途においては自己粘着力が通常必要とされる。例えば、骨折した足の固定は、副子アセンブリの不具合の可能性を減少させる強力な自己粘着力性ストラップを備える副子によって良好に行うことができる。骨折四肢が周囲ギプス固定適用によって固定されるいくつかの場合において、その支持が容易に取り外して再度セット可能であれば有利である。我われの材料によれば、弱い粘着力と強い粘着力との両方を達成することができる。
【0128】
〜0.1barの圧力を使用した時(手の平で軽く押さえることに相当)、30重量%以下の木材を含有する複合材は400Nに近い粘着力を示し、40重量%以上の木材を含有する複合材は、10N以下の粘着力を示した。100N以上の粘着力を有する前者は、ギプス鋸を使用すること無しでは壊すことのできない「永続的」接合と見なすことができる。10N以下の粘着力を有する後者の複合材は、手によって簡単に分離可能である。
【0129】
上述したように、本発明の新規な複合材は、整形外科における状況に非常に適した組成及び特徴を有する。
【0130】
一般に、前記複合材は、動物又は人間の身体又は身体の部分又は身体部分上に骨格外装置を形成するために使用することができる。この骨格外装置は、すね当て、リストガード、或いは履物用の足置き(foot bed)としても使用可能である。しかし、それは、動物又は人間の身体又は身体の部分の固定、又は部分固定のための副子又はギプスとして特に適している。
【0131】
複合材の使用方法
本発明の前記複合材は、ブランク材又は、所望の特定の形状又は形態で製造される。理想的には、前記ブランク材又は形態は、直線的な、二次元形状で容易に積み重ね可能なものである。前記ブランク材は、ここでは、患者として言及される動物又は人間に使用されることを意図するサイズよりも遥かに大きなサイズであるか、若しくは、それらに類似のサイズのものとすることができる。
【0132】
前記ブランク材が所望のサイズよりも大きい場合、前記ブランク材を使用前に、普通のはさみ又はその他従来の切断手段によってカットすることができる。そのような大きなブランク材は、一つのブランク材を、それぞれによって必要とされるサイズに応じて様々な時に複数の副子にカットすることが出来る点において有利である。従って、場所をとりめったに使用されることないかもしれない多くの異なる形状及びサイズの材料を蓄えておく必要はない。更に、使用される材料を最大化し多量の廃棄物を作り出すことがないように、一つのブランク材から複数の副子をカットすることができる。
【0133】
一旦、切断や選択により適当なサイズ及び形状の材料が得られると、次に、その材料を加熱手段によって所望の作業温度にまで加熱する。様々な加熱手段が知られているが、材料を特定の所望温度にまで均一に加熱することが好ましい。もしも温度が高すぎれば、患者の皮膚に対して不快感又は損傷を与える虞がある。もしも温度が十分に高くなければ、その場合、材料が患者の体に対して適切に適合することができなくなるであろう。
【0134】
従って、一実施例において、前記複合材材料は、これら複合材材料の使用のために特に設計されたヒータと共に提供される。このヒータは、調節可能なサーモスタットを備えるものとしたり、或いは、所望の温度へと自動的に加熱するようにプログラミングされたものとすることができる。理想的には、前記ヒータは、ブランク材全体又はある形態の複合材材料を均一かつ完全に加熱することが可能な加熱素子を備えたものとされる。前記ヒータのサイズは、使用される複合材のサイズが十分に扱えるものにすべきである。前記ヒータは、人々がそのシステムと材料を使用することを促進するように、無料又は有料の複合材ブランク、又は形態と共に無償で提供することも可能である。
【0135】
前記加熱素子が本発明の複合材料に対して特に設計されたものではない場合は、それは、コンタクトヒータ、対流ヒータ、化学加熱等を含む様々な従来の加熱素子から選択することができる。
【0136】
一旦、複合材材料ブランク又は形態が所望の温度にまで加熱されると、上述したように、前記材料は、患者の体の所望の位置に載置されて骨格外装置を形成する。本発明の材料の利点は、手袋などの保護装置をなんら必要とせずに手で取り扱うことが可能であることにある。同様に重要なことは、この材料は患者の皮膚に対して直接に形成することが可能であることである。但し、患者の皮膚に直接触れるガーゼやその他のクロス/クロス様材料のように他の材料を備えて、その材料の上に複合材を形成すると有利である。
【0137】
前記複合材がまだ成形可能で曲げることが可能である間に、それを患者の身体の輪郭にほぼ又は完全に沿ってフィットさせることができる。更に、もしも最初の位置付けが望ましいものでなかった場合、その材料がまだ成形可能である間により望ましい位置へと移動せさることも可能である。もしも材料がその所望の成形性を失ってしまった場合には、それを再度加熱して、同様に新たな位置へと移動させることができる。本発明の材料の特に有利な点の一つは、その物理的特性を劣化させることなくそれを何回も加熱、冷却することが可能であることにある。
【0138】
前記複合材材料が適切に位置決めされ所望の形状に成形されたならば、次に、それを、除去可能でかつその形状を維持することが可能な温度にまで冷却させることができる。冷却は、環境条件によって材料の温度を下げることを可能にすることによって行ってもよいし、或いは、冷却をスピードアップするべく、冷却を水やその他の化学物質を材料にスプレーすることによって冷却を補助することも可能である。更に、材料を冷却するために、コールドパックやアイスプレースなどの固体冷却手段を複合材材料に直接当ててもよい。
【0139】
もしも最終装置が前記特定の身体部分や部位に付着したまま残されることが意図される場合は、この装置をその身体部分に付着させるために固定手段を使用することができる。副子の場合、ガーゼをその副子と身体部分とに巻きつけることができる。まだ冷却されていない複合材の粘着性によって、ガーゼが位置保持され、それによって、意図される身体部分の固定を容易にする。所望又は必要の場合、ガーゼ以外その他の固定手段も使用可能である。
【0140】
一旦、装置が室温、又は室温近くにまで冷却されると、固定手段の有無に関わらず、それは、再加熱されるまでは、実質的にリジッドなままに留まる。副子又はギプスの場合、装置をx線などの医療撮像のために取り外す必要は無い。但し、副子又はギプスが最初に、まだ腫れが存在する間に配置された場合、身体部分の腫れの無い形状により良好にフィットするようにそれを容易に加熱し再成形することができる。この意味において、従来の副子固定装置では完全に新しい副子/ギプスが必要となるのに対して、浪費される材料はより少なくなる。
【0141】
装置が以前の目的のためにはもはや不要になると、それを必要な場合には、再加熱し取り除くことができ、それをそれが必要となる次ぎの時まで折りたたむか保存しておく。その結果得られる材料は、その後の使用においても、前の使用時と同じ物理的特性を有したものとなり、従って、複数回の使用を通して劣化することがない。但し、複合材を廃棄することが望まれる場合には、それは生物分解性であり、従って、環境に優しい。
【0142】
上述したように、又、具体例に関連して以下に説明するように、本複合材は、整形外科材料として使用される複合材料として使用可能である。そのような材料の具体例は、
図4に図示されるような指副子、
図5−7に図示されるような手首ギプス、そして足首ギプスである。一般に、前記板状粒子は、指副子の場合、その複合材の総重量の約30〜70%、好ましくは40〜60%まで、足首ギプスの場合には、複合材の総重量の約20〜60%、好ましくは約30〜50%を構成する。より大きなギプスにおいてはより大きな粒子がより大きな割合で含まれ、それによって、ギプスの強度特性を損なうことなく、ギプスの総重量が低減される。
【実施例】
【0143】
以下の非限定的な例によって本発明を例示する。
【0144】
以下に提示する全ての例において、ポリカプロラクトンポリマーは、Perstorp,Ltd.(スウェーデン)によってCAPA6800の商品名で市販されているPLCホモポリマーを使用した。前記ポリカプロラクトンは、約3g/10分の溶融流速(150℃で、2.16kgの重しでの測定)を有し、”PLC−3”と称されている。上述したように、同様に使用された別のカプロラクトンホモポリマーは、それよりも遥かに高い溶融流速約7g/10分を有していた(“PCL−7”と称される)。
【0145】
前記木材材料は、特に銘記されない限り、フィンランドの製材工場で作り出された従来のトウヒチップであった。これらの例のいくつかにおいては、他の木材種の木材粒子が使用された。前記チップ、特に、前記トウヒチップは、時として、1−2.5mmの平均サイズに篩い分けられたフラクションとして使用された。
【0146】
〔例1〕
物理的特性に対する前記補強成分の影響を、3点曲げテストで調べた。複合材の曲げ強度及び係数を、汎用テスト装置Instron4411によって測定した。補強材をなんら含まない純粋なPCLを対照として使用した。
【0147】
前記テストサンプル(寸法55×10.5×5.5mm)は、サイズの異なる木材チップ(30重量%)とε−ポリカプロラクトンホモポリマー(70重量%)とを一定の比率で混合し、テフロンモールドにプレス加工することによって作成した。成分の均質な分布が達成されるまでサンプルを溶解成形した。これらのサンプルを、10mm/分の一定のクロスヘッド速度でテストした。前記3点曲げ力を、
図1においてグラフ表示し、弾性の比ヤング係数を
図2に示す。
【0148】
図1において、複合材の曲げ強度に対する木材粒子の強化作用を明白に認めることができる。ニートポリマーPCL(CAPA6800)では、降伏時の応力は19MPaであるが、このポリマーに30重量%のサイズの異なる木材粒子を導入した後は、応力値は、20%以上増加し、最良時では〜27MPaに達した。純粋なPCLとここに紹介した複合材との比係数の差は更に大きかった(
図2)。純粋なPCLは〜400MPaの比係数値を示し、木材、平均体積10mm
3の粒子、で強化された複合材での対応の値は、1500MPaよりも僅かに高かった。複合材が小木材粒子で強化された最悪の場合でも、係数値はまだ純粋PLCホモポリマーの二倍以上に高かった。
【0149】
〔例2〕
物理テストのために例1において作成されたサンプルの密度を、規則的サイズのサンプルの寸法を測定しそれらを重みづけすることによって測定した。前記複合材の密度を
図3においてグラフ表示している。これから明らかなように、本発明の複合材は、ポリカプロラクトン自体よりもはるかに小さな密度を有し、従って軽量の副子固定用途用に適している。
【0150】
上述したように、特許文献12において、ポリカプロラクトン、挽いたアーモンド殻、木材粉、をベースにした複合材が記載されている。この公知の材料には、充填材料(木材、600ミクロン以下(600μm))の小さな粒径による1.1kg/dm
3又はそれ以上の高い密度、などのいくつかの欠点がある。
【0151】
〔例3〕
例3において作成した複合材を、指を支持するための副子ギプス(「指副子」)を作るのに適したプレートに加工した。
【0152】
約5グラムの複合材を、100℃でプレートに鋳造し、冷却させた。この複合材を70℃にまで再加熱し、まだ温かく、成形可能である間に(65℃以上)、前記鋳造複合材をローラーピンを使用して加工して、約2mmの厚みのプレートに成形した。得られた複合材プレートのサイズは35×60mmであった。
【0153】
図4は、前記指副子の使用を図示している。上側の図面は伸筋コルドン(extensor cordon)に裂け目を有する怪我(槌指)した人差し指2を図示している。これから明らかなように、前記複合材プレート1を槌指の背側から直接当てることができる。この複合材プレートは、指の掌側が開放状態に残されるように指にフィットするように形成することができる。冷却されると、複合材副子は固化する。冷却を、濡れティッシュによって加速した。冷却後、処置された指を固定するために通常の包帯(片3a及び3b)を追加することができる。
【0154】
前記複合材ギプス1を取り除くと、副子内の滑らかな表面が皺や、皮膚の炎症を引き起こすその他の不規則な形状が無いものであることが観察される。
【0155】
〔例4〕
この例は、
図5に図示した一般的形状を有する再成形可能な手首ギプス11の製造を記載するものである。
【0156】
例1で作成した約100gの複合材を100℃で金属プレートと剥離紙上に投じ冷却させた。複合材は、70℃にまで再加熱し、まだ温かく成形可能な間に、成形した複合材を約6mmの厚みの厚いプレートの形状に加工した。まだ温かい間に、余剰の材料をはさみで切除した。鋭利なエッジを滑らかにするために切断されたエッジを手によってなだらかに輪郭形成した。得られた複合材プレートのサイズは12×25cmであった。
【0157】
前記複合材プレートを再位置決めした手首に直接当てた。この複合材プレートは手首の内側において開放状態のままにした。ギプスが固化するまで手首を再位置決め状態に維持した。
【0158】
もしも撮像後に臨床医が得られた手首の骨の再位置決め状態を修復する必要がある場合、半開放状態の手首ギプスは容易に取り外し再度成形することが可能である。前記手首ギプスはオーブン内で70℃にまで、又は、水浴中において再度軟化させて、手首上の正しい位置に配置することができる。
〔例5〕
この例は、解剖学的足首ギプスの作成とその利用とを例示するものである。
【0159】
例2で製造した複合材200gを100℃で剥離紙上に投じ、冷却させた。この複合材を熱オーブン内で70℃にまで再加熱し、約8mmの厚みの厚プレート様にした。サイズ15×40cmの得られた複合材プレートをそれがまだ温かい間に、はさみで解剖学的形状にカットした。特に、足首を再位置決めする時に足を保持するために医療担当者にとって必要な領域をカットして僅かに開放した。又、後にギプスの前部に取り付けられる余分の片をカットした。鋭利なエッジを滑らかにするために切断されたエッジを手によってなだらかに輪郭形成した。
図6は得られたギプスプレートの全体的形状を図示している。参照番号21はギプスプレートを示し、番号22−24は折り畳み可能フラップを示している。
【0160】
図7a及び7bは、怪我の後の足首の再位置決め中に脚に直接適用される時、いかにして前記複合材プレート21が再成形可能であるかを図示している。
【0161】
従って、この用途において、脚は、前記ギプスが固化するまでは再位置決め状態に維持される。まだ温かい間に、前記切断フラップ(cut flap)22及び23は折り畳み線25及び26に沿って折り畳まれ、複合材ギプスの前側上に緩やかに圧縮される。前記切断フラップ24も折り畳み線27及び28に沿ってその側方部を折り曲げることによって同様に折り曲げることができる。前記材料は、ノンタック(non-tack)ではあるが、まだ成形可能な状態において、即ち、65℃以上の状態においては、それ自身で良好にグリップする。
【0162】
〔例6〕
この例は、剥離粘着テスト方法によるテストが前記複合材副子の表面(材料と構造)に対する或るテープ/包帯の相対的接合強度をどのように示すかを例示するものである。溶融されているWPC材料は、圧力感応粘着材と見なすことができる。このテストにおいて、ガーゼ包帯を、溶融複合材のスチールスラブ面で30秒間プレスし、その後、RT(室温)にまで冷却させた。複合材の硬化後、ガーゼをInstron機械式テスト装置を使用して、基材から一定の剥離速度で180°で剥離する。測定は、改造標準式SFS−EN1939 (Standard Test Method for Peel Adhesion of Pressure-Sensitive Tape)に従って行った。
【0163】
複合材プレート(幅−長さ−厚み=60mm・〜90m・〜3.5mm)をオーブンに入れ、65℃、30分間で硬化させた。加熱処理後、前記複合材プレートをオーブンから取り出し、その後、3.3kgの重し(0.09bar)を使用して弾性ガーゼ包帯片(幅50mm、長さ〜250mm、厚み0.6mm)を複合材プレートにプレスした。領域サイズw・1=60mm・20mm・3.1mmが自由になるように前記ガーゼを複合材プレート上で二度折りたたんだ。30秒間のプレス後、前記スラブを取り出し、前記複合材/ガーゼアセンブリを室温にまで冷却させた。冷却後、前記システムをInstronテスト機内に投入した。前記包帯片の自由端部を剥離アームに接続し、テープを複合材の表面から引き離すときに、〜180°の角度を維持するべく複合材プレートをステージに水平に取り付けた(
図8)。剥離の速度を、50mm/分で一定に維持した。距離の関数としての剥離力を収集した。最後の20mmのテスト例が達成される前に剥離は終えられた。
【0164】
図8に最もよく図示されているように、60:40(粒径0−0.8mm)の重量比のPCL−7から製造された複合材と小木材粒子はゼロ粘着力を示した(特許文献12において述べられている材料とよく似た特性を有する材料)。木材粒子をより大きなもの(粒径1−5mm)に交換後は、1〜50Nの範囲の粘着力が検出された。この力は、患者に対して副子を適用する時に、包帯がスライドすることを回避するために包帯をその表面に粘着させるのに十分なものである。この大きな木材粒子を高モル質量ポリカプロラクトンと70:30の重量比で組み合わせた時には、23Nの粘着力が検出された。
【0165】
40重量%以上の木材を含有する複合材中の木材粒子のサイズは複合材の粘着性に劇的な影響を与える。例えば、40重量%の木材ダストと60重量%のCAPA6500とからなる複合材は、なんら粘着性を持たない極めて滑らな表面、合板状である。木材粒子をより大きなものと交換した後、周囲ギプス固定処置中において包帯を静止状態に保持するために十分な僅かな接着性が観察された。
【0166】
尚、PLC−7自体は197Nの粘着力を有していたことが銘記される。この粘着力は非常に強力で、ガーゼ包帯をポリマーサンプルから手で取り外すことはもはや不可能なものである。
【0167】
〔例7〕
ある量の材料を、ホイル容器ビーカー(予想される針入を超える少なくとも15mmの深さ)内において65℃の作業温度へ軟化させる。前記ビーカーを、針入装置(
図9)「取り除き」のスタンドに載置し、ニードルをサンプルの表面と接触するように調節する。ダイアル読み取りをゼロに調節し、ニードルを正確に5秒間開放する。ダイアル読み取り値を記録する。この手順を三回反復する。
【0168】
針入を、それぞれが0.1mの針入を表す0−400の部分のインジケータダイアルから読み取る。これらの図面に示す材料は、PCL−3(MFI 3g/10分/2.16kg/ダイ160℃を有するポリカプロラクトンホモポリマー)、PCL−40(MFI 40g/10分/2.16kg/ダイ160℃を有するポリカプロラクトンホモポリマー)、PCL−3/s−40%(ポリカプロラクトンMFI=3とトウヒ40重量%とから成る複合材)、PCL−3/s−50%(ポリカプロラクトンMFI=3とトウヒ50重量%とから成る複合材)である。
【0169】
図9は、PCLホモポリマーと木材−プラスチック複合材への針入深さを示している。汎用手動式針入計によって実験を行う。
【0170】
前記具体例及び具体的実施例は本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することないここに提示した複合材の使用法及び改造を認識するであろう。具体的には、快適性のために患者に直接接触するファブリック層や、活性化時に、自動的に複合材を成形可能な状態にまで加熱し、従って、もはや加熱手段を別に設ける必要のない、化学的組成物を含有する層、などの追加層を複合材に追加することが考えられる。
【0171】
我われの複合材は、15〜50の平均針入値を示す。この値は、複合材中の木材の重量%に依存する。木材が多ければ多いほど、値は小さくなる。複合材中の木材の含有率が15〜50に維持された時、複合材は、取り付け中の適度の圧縮に耐え、適用中の凹みの形成を回避することができる。
【0172】
〔例8〕
表面温度テストは、オーブン内でのテスト標本の加熱処置が終わった後での複合材表面温度の基本的情報を明らかにする。実際の塗付状況における複合材プレートの冷却プロセスをシミュレートするために、テスト標本を65℃まで加熱し、太腿の皮膚上に直接載置し、均衡温度にまで到達させた。プレートの冷却は、IR温度計ピストルで追跡した。加熱したテスト標本を環境温度(22℃)でオフィステーブル上に置かれた低熱伝導性を有する材料(Astro Turf(登録商標)カーペット)上に載置し、均衡温度に到達させることによって類似のテストを行った。
【0173】
前記複合材テスト標本(10cm*40cm*4mm)を、組織内で開発した加熱装置に投入し、65℃まで加熱した。加熱処理後、サンプルをオーブンから取り出し、太腿の皮膚又はベーキングペーパーによってカバーされた前記カーペット(Astro Turf(登録商標))上に載置した。冷却する前記複合材副子表面の温度を前記IR温度計ピストル(Tamo Distance Thermo)で追跡した。
【0174】
低熱伝導性を有する前記カーペット上に載置された場合の本発明の複合材副子の冷却は、副子が室温で均衡温度に達するのに最も長い時間かかる場合の状況を表している。その結果に基づき、冷却プロセスを三つの段階に分けることができる。
1)テスト標本の温度が〜65℃の開始温度から38℃へ5分間で低下する急速冷却段階。
2)テスト標本の温度が5分間38℃に留まる定常状態段階。
3)テスト標本の温度が50分間で周囲の均衡温度にゆっくりと近づく遅速冷却段階。
【0175】
大腿部の皮膚に直接に載置した場合の本複合材副子の冷却は、追加の冷却手段(例えば、冷却噴霧)がなんら利用されない場合に副子が〜31℃の四肢温度で最も短時間で均衡温度に達する状況を表している。一般に、テスト標本の温度挙動は、前の実験で提示したデータに類似していた。唯一の相違点は、前記急速冷却段階と遅速冷却段階との間の相違である。テスト標本の温度は、3分間で〜67℃から38℃に低下する。2)39℃での定常状態段階は5分間続く。3)テスト標本の温度が30分間で周囲の均衡温度にゆっくりと近づく遅速冷却段階。
【0176】
〔例9〕
自己支持/全硬化テストは、前記複合材テスト標本を65℃から均衡温度にまで冷却する間の柔軟性の変化の情報を明らかにする。テスト標本の柔軟性を、サンプルの片側を持ち上げそれが落ち着くのを許すことによって手作業でテストした。サンプルプレートの定着がもはや完全でなくなった時、柔軟性は失われた。このレベルに到達する時間をマークした。この時点後、複合材の成形性は限定されることになる。自己支持テストは、前記表面温度テストにおいて提示した二つの異なる温度環境(皮膚と周囲)で行われる。分離されたテスト設定(カーペット)においては、柔軟性は5分間後に失われる。この時点後、前記テスト標本は5分間部分的に柔軟な状態に留まり、その後、1時間で最終的に硬化する。前記皮膚テスト設定(太腿)においては、柔軟性は3分間後に失われた。この時点後、前記テスト標本は5分間部分的に柔軟な状態に留まり、その後、30分で最終的に硬化する。15分間の冷却後、前記複合材副子は、その最大値の80−90%の適度の荷重支持能力を得た。この時点において、前記複合材副子の形状に対する変更を行うことはできない。
【0177】
〔例10〕
ポリマーの体積変化の分析を例1で利用した熱可塑性ポリマーについて行った。熱膨張曲線(
図12)から判るように、ポリマーの過冷却効果が40℃に下がった加熱副子固定システムの望ましい成形性をもたらすものである。ポリマーを再び65℃まで加熱するだけで、ポリマーの再形成が回復する。