特許第5761722号(P5761722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5761722改良された燃焼挙動を有する射出成形多部材複合系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761722
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】改良された燃焼挙動を有する射出成形多部材複合系
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20150723BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20150723BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20150723BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20150723BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20150723BHJP
【FI】
   B32B27/00 B
   B32B27/18 B
   B29C45/14
   B29C45/16
   B29L9:00
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-530232(P2012-530232)
(86)(22)【出願日】2010年9月20日
(65)【公表番号】特表2013-505856(P2013-505856A)
(43)【公表日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】EP2010063816
(87)【国際公開番号】WO2011036122
(87)【国際公開日】20110331
【審査請求日】2013年9月6日
(31)【優先権主張番号】102009042938.7
(32)【優先日】2009年9月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504037346
【氏名又は名称】バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】リューディガー・ハーン
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン・シュヴェッケ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・フランセン
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−136663(JP,A)
【文献】 特開2005−335101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 45/14
B29C 45/16
B29L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚a+bを有し、厚さa中に部材Aを、厚さb中に部材Bを含有している、全または部分射出成形多部材複合材料系であって、
部材A)は、1つの材料および1つの層からなり、バックモールド熱可塑性プラスチックフィルムまたは射出成形熱可塑性プラスチックの一層であり、該フィルムの厚さまたは一層のその厚さが、厚さaであり、そして
部材B)は、1つの材料および1つの層からなり、射出成形熱可塑性プラスチックの一層であり、一層のその厚さが、厚さbであり、かつ
部材AおよびBが以下の1つの基準を満たす、ことを特徴とする多部材複合材料系:
1.部材Aは、厚さaにおいて少なくともV2を、そして厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bは厚さbにおいてV2を、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a/bは≦2.5である;
2.部材Aが厚さaにおいておよび厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bが厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a/bは≦0.3;または
3.部材AまたはBの少なくとも1つが、それぞれ厚さaまたはbにおいてV2のみを達成し、両部材が、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成する。
【請求項2】
部材Aが、厚さaにおいて少なくともV2を、そして厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bが厚さbにおいてV2を、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a/bが≦2.5である、請求項1記載の多部材複合材料系。
【請求項3】
部材Aが厚さaにおいておよび厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bが厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a/bは≦0.3である、請求項1記載の多部材複合材料系。
【請求項4】
バックモールド熱可塑性プラスチックフィルムが部材Aを構成している、請求項1〜3いずれかに記載の多部材複合材料系。
【請求項5】
部材AおよびBの少なくとも1つが、ポリカーボネート、コポリカーボネートまたはコポリエステルカーボネートを含有する、請求項1〜4いずれかに記載の多部材複合材料系。
【請求項6】
全または部分射出成形多部材複合材料系の製造方法であって、以下のステップからなる製造方法:
a. 以下の基準の1つを満たすように部材AまたはBに適した材料を選択すること:
1.)部材Aは、厚さaにおいて少なくともV2を、そして厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bは厚さbにおいてV2を、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a/bは≦2.5である;
2.)部材Aが厚さaにおいておよび厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bが厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a/bは≦0.3;または
3.)部材AまたはBの少なくとも1つが、それぞれ厚さaまたはbにおいてV2のみを達成し、両部材が、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成する;
b. 2成分または多成分射出成形プロセスにより、部材Aからなるフィルムを部材Bでバックモールドすることにより、または部材Bからなる射出成形パーツを部材Aを含有するコーティング材でコーティングすることにより、全または部分射出成形複合系を製造すること。
【請求項7】
ステップbにおける製造プロセスが、2成分または多成分射出成形プロセスであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップbにおける製造プロセスが、部材Aからなるフィルムを部材Bでバックモールドすることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された燃焼挙動を有する、全または部分射出成形多部材複合系に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に薄い肉厚を有する全または部分射出成形多部材複合系は、流動性や燃焼挙動に関して個々の部材に非常に高い要求がなされることがある。両特性は、ますます大きな役割を有している。例えば難燃性は各会社が従わなければならない安全基準などのためである。ある環境においては、用途によって異なる安全基準に従わなければならない。しかしながら、同時に、魅力的なデザインやエコラベル基準を満たすことにますます重要性が置かれつつある。添加物、特に難燃性の添加物の選択は、法律または規格条項に加え、そのような基準に制限されている。保険業者研究所試験室の耐火基準に基づくULリストは、個々の部材の一般的に認知されている格付けである。
【0003】
熱可塑性樹脂の耐燃性を解消する努力は、絶え間なく行なわれている。例えば、WO00/26287Aは、剥離剤を含有する押出ポリカーボネートシートにおけるポリカーボネートの粘度を減少させることにより、燃焼挙動を改良することに関する。
【0004】
EP−A 1 339 546は、熱成形可能なポリカーボネート複合材料、難燃性ポリカーボネート成形部品における使用を開示している。29未満のLOIを有する少なくとも1つの層および29より大きなLOIを有する少なくとも1つの層からなる熱成形可能なポリカーボネート複合材料が請求されている。さらなるクレーム、実施例において、出願は29未満のLOI値を有する層が30μm〜500μmの厚さを有する押出複合材料に焦点を置いている。その材料は航空機建造組み込み要求仕様に適していると言われている。異なる燃焼挙動を有する材料からなるそのような複合材料がUL分類を達成することができるとう程度にまで特定されていない。特に、ほとんどまたは全く難燃性を有さない材料を高い割合で含有するにもかかわらず、複合材料がどのように良好なULリストを達成することができるのか記載されていない。
【0005】
US−A4824723もまた,難燃性の熱可塑性プラステックからなるコアーが、非難燃性電気伝導性層で被覆されている押出多層材料に関する。一般に4〜240mmの厚さがコアーに対して、1〜10mmの厚さが外層に対して規定されている。その出願は、多成分射出成形プロセスにより製造される材料に関するものでもなく、また外層のUL分類や選択された材料に対して確立された厚さ比に何ら言及されていない。
【0006】
US−A2008/0014446は、共押出により製造された難燃性多層構造を記載しているが、個々の層それ自身が十分な難燃性を有し、必要な燃焼テストにパスすることが要求されている。本発明は、このことは射出成形多成分複合系に不必要であることを示している。
【0007】
WO−A 1999/028128は、難燃性と非難燃性フィルムからなる共押出多層構造体を記載している。最大750μmの厚さを有し、その多層構造体は少なくとも5層からなる。しかしながら、そのような系の特性、特に燃焼挙動は、射出成形多部材複合系に転用することはできない。
【0008】
最後に、ポリカーボネート組成物からなるラミネートおよび、該ラミネートからなる製品、その製造方法がWO2007/024456A1に知られており、該ラミネートは第1層および第2層からなり、第1層はポリカーボネート、ポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマー、耐衝撃性改良材およびポリエーテルイミドからなり、該ポリカーボネートは、ポリカーボネート、ポリカーボネート-ポリシロキサンコポリマー、耐衝撃性改良材およびポリエーテルイミド合計量の約50重量%からなる。材料が燃えた場合の改良された難燃性、衝撃強度および煙形成の減少が、このように達成される。しかしながら、特に難燃性は、さらなる改良が依然として必要とされている。射出成形多部材複合系は、同一の材料タイプ、異なった添加剤を有する同じ材料タイプおよび異なる材料のみからなりうる。射出成形多部材複合系の燃焼挙動は、往々にして知られていない。例えば、2層は、分離し、別々に燃焼できるであろう。2部材の相互の影響も可能である。
【0009】
それ故、多部材複合系は、耐火性等級(例えば、UL94-V)を必要とする場合、各個々の部材の耐火性等級リストに関係してくる。そのためこれらの各部材は個々の肉厚における要求等級を達成しなければならない。デザイン分野で高い基準、特に透明性が要求される場合、またはある難燃剤の使用を最小量に維持または全体の中での小分けを要求される場合、薄い肉厚で多くの熱可塑性材料に対して等級が達成されることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO00/26287A
【特許文献2】EP−A 1 339 546
【特許文献3】US−A4824723
【特許文献4】US−A2008/0014446
【特許文献5】WO−A 1999/028128
【特許文献6】WO2007/024456A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それ故、本発明の目的は、射出成形多部材複合材料において一定の耐火性等級を、たとえ少なくとも1つの部材がその耐火性等級を達成していないとしても、達成することのできる複合系を提供することにある。本発明のさらなる目的は、このような多部材複合系に必要な、所望の難燃性という点で、適した材料を選択することを可能とする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
適した材料のコンビネーションをもってすれば、燃焼挙動に関連してはその総肉厚において射出成形多部材複合系を検討できるということを見出したものである。全部材が1つの材料からなるものとして考えることができるので、ULリストプラスチックの材料選択(燃焼挙動に関して)が、本発明により大変簡単になる。このことは、ULリストの現時の手法が、そのような系の観点に対しては今まで許されていなかったので、驚くべきことである。上記したように、今までは、異なる難燃性の層を有する射出系のみを記載しており、個々の層や全系の要求特性および提案されてきた解決策は、ここに提案発明と比較することはできない。このことは、すなわち、驚くべき事に、全または部射出成形多部材複合系において、個々の部材のULリストにより、材料を組み合わせの広範囲な可能性が生まれる、ということを明らかに示している。
【0013】
本発明による全または部分射出成形多部材複合系は、バックモールド(back-moulded)フィルム、または2成分あるいは多成分射出成形複合材料であってよい。
【0014】
以下に使用される省略形、"HB", "V0", "V1"および"V2"はUL燃焼試験に基づく防火レーティングに対応関連するものであり、更に後述する。
【0015】
本発明による多部材複合系は、厚さa+bを有し、厚さa中に少なくとも部材Aを、厚さb中に少なくとも部材Bを含有しており、
部材A)は、バックモールド熱可塑性プラスチックフィルムまたは少なくとも射出成形熱可塑性プラスチックの少なくとも一層であり、該フィルムの厚さまたは一層のその厚さ、または数層の場合、部材Aから作られている層の総厚が、厚さaであり、そして
部材B)は、射出成形熱可塑性プラスチックの少なくとも一層であり、一層のその厚さ、または数層の場合は、部材Bから作られている層の総厚が、厚さbであり、かつ
部材AおよびBが以下の1つの基準を満たす:
1.部材Aは、厚さaにおいて少なくともV2を、そして厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bは厚さbにおいてV2を、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a:bは≦2.5、好ましくは≦1.8、特に好ましくは≦1.2である;
2.部材Aが厚さaにおいておよび厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bが厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a:bは≦0.3,好ましくは≦0.2;または
3.部材AまたはBの少なくとも1つが、それぞれ厚さaまたはbにおいてV2のみを達成し、両部材が、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成する。
【0016】
これらのケースにおいては、驚くべき事に、全系が防火レーティングV0またはV1を達成する。
【0017】
本発明はまた、以下の工程からのみなる、そのような複合系の製造方法を提供するものである。
a)部材AおよびBに適した材料を選択すること、部材の選択された組合せが基準1〜3の1つを満たす、
b)2成分または多成分射出成形プロセスにより、部材Aからなるフィルムを部材Bでバックモールドすることにより、または部材Bからなる射出成形パーツを部材Aを含有するコーティング材でコーティングすることにより、全または部分射出成形複合系を製造すること。
【0018】
部材Aは、射出成形熱可塑性プラスチック材料あるいはフィルム、または直接あるいは溶液から製造されたコーティングである。決定的な要因は、部材Aは、難燃剤を全く含有しないか、あるいはほんのわずかの量しか含有しておらず、厚さa+bおよび厚さaの両方において部材Aは、UL分類で決められているような実際に要求されている難燃性特性を達成しないということである。部材Aは透明であっても、透明でなくてもよい。
【0019】
全ての熱可塑性および熱可塑性-弾性ポリマーは、熱可塑性プラスチック材料として、またフィルムを製造する出発材料として、一般に適している。ポリアミド(PA)、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアクリレート、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリオレフィン、特にポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、コポリカーボネート(CoPC)、コポリエステルカーボネート、TPU、スチレン-エチレン-ブタジエンポリマー(SEBS)またはこれらのプラスチックの混合物に基づいた非強化、強化および/または充填プラスチックが特に適している。
【0020】
一態様において、部材Aの出発材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シアノアクリレート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、エチルビニルアセテート(EVA)、プロピルビニルアセテート(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、コポリカーボネート(CoPC)、コポリエステルカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアミド(PA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルロースニトレートおよび前記ポリマーのモノマー少なくとも2つのコポリマー、それらポノマーの2以上の混合物からなるグループから好ましく選択される透明ポリマー材料によって提供される。
【0021】
部材Aが既成フィルムである場合、それは押出しにより、溶液から、または射出成形により、従来法により製造することができる。そして該フィルムは、モールド中に置かれ、部材Bの材料でバックモールドされる。
【0022】
コーティングプロセスに適している従来技術から知られる全てのポリマーが、コーティング材として適している。そのような例として、高分子の、エステル、カーボネート、アクリレート、エーテル、ウレタンまたはアミドを含み、塗布、溶媒の蒸発乾燥に続いて、例えば熱的または化学線作用的ポストトリートメントによりにほとんどの場合硬化される。従来の全てのコーティングプロセス、例えばスプレー塗布、フローコーティング、ディッピング、ローラーコーティングまたはナイフ塗布が、コーティングに適している。
【0023】
射出成形により加工できる全ての熱可塑性ポリマーは、部材B用材料として適している。ポリアミド(PA)、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアクリレート、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリオレフィン、特にポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、コポリカーボネート(CoPC)、コポリエステルカーボネート、TPU、またはこれらのプラスチックの混合物に基づいた非強化、強化および/または充填プラスチックが特に適している。
【0024】
本発明によるプロセスのステップa)においては、部材AおよびBは、基準1〜3の1つを満たすように選択される。さらに、部材Aの部材Bへの接着が保証されなければならない。
【0025】
本発明によるプロセスのステップb)において、部材は、特に、多部材射出成形プロセスによって、またはフィルムバックモールディング(film back moulding)によって製造される。両方法とも原則的に従来技術から十分に知ることができる。
【0026】
プラスチックの接着特性および対応する製造プロセスに関しては、例えば、ハンドブック(Handbuch) 射出成形(Spritzgiessen)(ISBN 3-446-15632-1 -カールハンサー出版 2001(Carl Hanser Verlag 2001), チャプター(chapter) "6.5 射出成形による複数部材の接合(Verbinden mehrerer Komponenten beim Spritzgiessen)", 多部材射出成形(multi-component injection moulding) 第. 488, 489, 505, 508, 510, 514, 527 頁/ 部材AのBへの接着(adhesion of component A to B)第. 517頁 / フィルムバックモールディング(film back-moulding)第. 566, 573頁における詳細な記述が参考となる。
【0027】
予想外にも、厚さa+bにおける部材Bが、ULレーティングで決定されるような、実際に要求される難燃性特性を達成しなければならないにもかかわらず、厚さbにおける防火レーティングを達成する必要がない、ということが見出された。決定的要因は、部材Aおよび部材Bからなる層のコンビネーションが、上記基準1〜3の1つを満足することである。
【0028】
本発明は、特に、複合形状および/または機能の複合化、例えば、ねじボス(screw bosses)等の理由で、押出しまたは共押出しプロセスでは製造することができないか、または多大な努力を払って初めて製造できるような複合部材に関するものである。
【0029】
部材AおよびBの材料は、難燃剤に加え、さらに添加剤を含有することができる。原則として、添加剤の選択を左右する制限は存在しない。可能な添加剤は、例えばWO99/55772第15-25頁、EP1 308 084および"Plastics Additives Handbook"("プラスチック添加剤ハンドブック")、ハンス・ツバイフェル(Hans Zweifel)編集、第5版、2000年、ハンサー出版(Hanser Publishers)、ミュンヘンの対応する章に記載されている。
【0030】
以下の添加剤を含むことができる。例えば:染料、即ち無機および有機の染料および顔料、離型剤、潤滑剤、流れ調整剤、紫外線安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、無機および有機の光散乱粒子、帯電防止剤、熱安定剤、核剤、充填剤、ガラス球、グラスおよびカーボンファイバー、耐衝撃性改良剤およびカーボンナノチューブ等である。染料および顔料は有機または無機であってよく、例えば、チタニウムオキサイド、バリウムスルフェートおよびジンクオキサイド等である。カーボンブラックおよび金属光輝顔料も使用できる。ポリマー光散乱粒子の例は、ポリアクリレートおよびPMMA、例えば、コア-シェルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアルキルトリアルコキシシロキサンおよびこれらの混合物である。UV吸収剤は、例えばベンゾトリアゾール類、オギザルアニリド類(oxalanilides)、2-シアノアクリレート類、ベンジリデンマロネート類およびホルムアミジン類、並びにベンゾフェノン類、特にジベンゾイルレゾルシノール類、およびトリアジン類、特に、2−(2−ヒドロキシフェニル)―1,3,5−トリアジン類の部類に属する。
【0031】
部材Aおよび所望により部材Bは難燃剤を含有し、その選択は、使用される熱可塑性プラスチック材料の種類および達成される防火により決定される。
【0032】
リン化合物が、難燃剤の例として挙げることができる、例えば一般式(1)のリン化合物などである:
【化1】
式中、R〜R20は、それぞれ独立して、水素、直鎖または分岐鎖の炭素数6以下のアルキル基を示す;
nは0.5〜50の平均値を示す;
Bは、それぞれC〜C12アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン、好ましくは塩素または臭素を示す;
qは、それぞれ独立して0,1または2を示す;
Xは、単結合、C=O,S,O,SO,C(CH,C−Cアルキレン、C−Cアルキリデン、C−Cシクロアルキリデン、C−C12アリーレン、それにはさらにヘテロ原子を含有していてもよい芳香族環が結合してもよい、または式(2)または(3)の基:
【化2】
【化3】
式中、
Yは、カーボンを示す;
21およびR22は各Yに対して個々にそれぞれ独立して選択され、水素またはC〜Cアルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルである;
mは、少なくとも1つのY原子上のR21およびR22の両者がアルキルであるという条件で、4〜7,好ましくは4または5の整数を示す。
【0033】
このような式(1)のリン化合物は、R〜R20が、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、q=0であることが特に好ましい。XがSO,O,S、C=O,C−Cアルキリデン、C−Cシクロアルキリデン、C−C12アリーレンを示す化合物が特に好ましい。X=C(CHである化合物が特にもっとも好ましい。
【0034】
オリゴマー化の程度は、リストに記載されたリン含有化合物の製造プロセスから平均値として計算される。ここでは、オリゴマー化の程度は一般にn<10である。0.5〜5のn
値を有する化合物が好ましく、特に好ましくは0.7〜2.5である。60%と70%との間で、好ましくは70%と100%の間で、特に好ましくは79%と100%の間での、n=1を有する分子の割合が高い化合物が、特に最も好ましい。製造的理由のために、上記化合物は少量のトリフェニルホスフェートを含有してもよい。挙げられているリン化合物は、公知(例えば、EP-A 363 608, EP-A 640 655参照)であり、公知の方法(例えば、工業化学ウルマン百科事典(Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie)、第18巻、第301ff頁、1979年;有機化学ホウベン-ウェイル法(Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie)、第12/1巻、第43頁;バイルスタイン(Beilstein)、第6巻、第177頁)で製造することができる。
【0035】
脂肪族または芳香族スルホン酸のアルカリまたはアルカリン土類塩、スルホンアミドおよびスルホンイミド誘導体は特に難燃剤としてさらに使用でき、例えば、ナトリウムまたはカリウムパーフルオロブタンスルフェート、ナトリウムまたはカリウムパーフルオロオクタンスルフェート、ナトリウムまたはカリウムジフェニルスルホンスルフォネートおよびナトリウムまたはカリウム-2-4-6-トリクロロベンゾエートおよびN-(p−トリルスルホニル)-p-トルエンスルフィミド(sulfimide)カリウム塩およびN-(N'-ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドカリウム塩等である。カリウムパーフルオロブタンスルホネートは、とりわけ、Bayowet登録商標C4 (ランクセス、レバークーセン(Lanxess, Leverkusen)ドイツ), RM64 (ミテニ(Miteni), イタリア)として、 または3MTMパーフルオロブタンスルホニルフルオライド(Perfluorobutanesulfonyl Fluoride) FC-51 (3M, 米国)として入手可能である。
【0036】
ハロゲン含有難燃剤は、例えば、臭素化オリゴカーボネート、例えばテトラブロモビスフェノール-AオリゴカーボネートBC-52登録商標, BC-58登録商標, BC-52HP登録商標(ケムチュラから)等の臭素化化合物が例示できる。また、ポリペンタブロモベンジルアクリレート(例えば、FR1025(デッドシーブロミン(Dead Sea Bromine)(DBS)から)、テトラブロモビスフェノールAとエポキシドのオリゴマー反応生成物(例えば、FR2300、2400(DSBから)、または臭素化オリゴ-またはポリスチレン(例えばPyro-Chek登録商標 68PB(フェロコーポレーション(Ferro Corporation)から)、ケムチュラ(Chemtura)からPDBS80およびFiremaster登録商標 PBS-64HWが例示できる。
【0037】
熱可塑性プラスチックへの添加剤の取り込みは、従来の混合プロセスを使用して行ない、例えば、ジクロロメタン、ハロアルカン、ハロゲン芳香族化合物、クロロベンゼン、およびキシレン等の適した溶媒の添加剤溶液とポリカーボネート溶液とを混合することにより行なうことができる。次に、物質の混合物は押出しより公知の方法で好ましくは均質化される。溶液の混合物は溶媒のエバポレーションおよび続く押出しにより公知の方法で好ましくは加工処理される。
【0038】
組成物は押出し成形機(例えば、二軸スクリュー押出し機)、配合機、ラベンダー(Brabender)またはバンバリー(Banbury)粉砕機等の従来の混合装置でさらに混合され、押出されてもよい。押出しに続いて、押出物は冷却し細断してよい。個々の部材は前混合(pre-mixed)されてもよいし、そして残りの出発物質を個々におよび/または混合物のように添加されてもよい。
【0039】
添加剤、特に難燃剤および/または紫外線吸収剤は、コンセントレート(concentrates)(マスターバッチ)の手段により、出発物質に添加してもよい。このプロセスでは、添加剤(複数でもよい)は、上記取り込み方法の1つにより、可能な限り高い濃度で熱可塑性プラスチック支持体に取り込まれる。そして、添加剤コンセントレートは、添加剤の所望の最終濃度を得るために、加工前に熱可塑性プラスチック中に混合される。
【0040】
さらなる変形においては、多くの熱可塑性プラスチックは、ハロゲン化またはハロゲンフリー難燃剤を含有する変形種として商業的に入手可能でもある。
【0041】
種々の態様において、難燃性部材Bは、例えば商業的に入手できるポリカーボネートおよびポリカーボネート/ABSブレンドにより構成されており、部材Aは射出成形品質において弱難燃性または非難燃性ポリカーボネートで、またはポリカーボネートまたはTPUフィルムで構成されている。
【0042】
部材Aは1つの材料および1つの層からなることができ、また複数の材料および複数の層からなることができる。この場合、個々の層の積層総厚さは、厚さaとみなすべきである。
【0043】
部材Bは1つの材料および1つの層からなることができ、また複数の材料および複数の層からなることができる。この場合、個々の層の積層総厚さは、厚さbとみなすべきである。
【0044】
特定の態様においては、部材Bは、ポリカーボネート≧95wt.%および少なくとも0.05 wt.%、好ましくは0.1 wt.%のテフロン(登録商標)およびまたさらに難燃剤を含有し、部材Aは、ポリカーボネート≧95 wt.%を含有し、部材Aは、厚さaにおいて少なくともV2を、厚さa+bにおいてHBだけを達成し、部材Bは厚さbにおいてV2を、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a:bは≦2.5,好ましくは≦1.8,特に好ましくは≦1.2である。
【0045】
厚さa、厚さbおよび総厚さa+bは、関連材料のULリストに対して関連する部材中における(肉)厚((wall)thickness)であると理解される。しかしながら、前記の基準のみを部材材料を選択するために決定的なものとして検討できる。
【0046】
部材における総厚さa+bは、好ましくは1ないし10mm、最も特に好ましくは2ないし8mmである。
【0047】
このような複合系を製造するための新規なプロセスは、以下のステップa-b)からなり:
a)部材AおよびBに適した材料を選択すること、部材の選択された組合せが基準1〜3の1つを満たす:
1.)部材Aは、厚さaにおいて少なくともV2を、そして厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bは厚さbにおいてV2を、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a:bは≦2.5、好ましくは≦1.8、特に好ましくは≦1.2である;
2.)部材Aが厚さaにおいておよび厚さa+bにおいてHBのみを達成し、部材Bが厚さa+bにおいてV0またはV1を達成し、比a:bは≦0.3,好ましくは≦0.2;または
3.)部材AまたはBの少なくとも1つが、それぞれ厚さaまたはbにおいてV2のみを達成し、両部材が、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成する;
b)2成分または多成分射出成形プロセスにより、部材Aからなるフィルムを部材Bでバックモールドすることにより、または部材Bからなる射出成形パーツを部材Aを含有するコーティング材でコーティングすることにより、全または部分射出成形複合系を製造すること;
上記プロセスは、全または部分射出成形多部材系に対して従来よりもユーザーに極めて多くの材料から選択することを可能とする簡単なプロセスを提供するものである。しかしながら、同時に、時間浪費のトライアンドエラー試験において最適材料コンビネーションを決定することが必要なくなり、その代わりに、本発明による基準が、個々の部材のUL特性を利用して材料を選択することを可能とする。
【0048】
実施例
1.使用材料
使用熱可塑性プラスチック材料は、Makrolon登録商標タイプ、Bayblend登録商標タイプのポリカーボネート/ABSブレンドおよびMakrofol登録商標タイプのポリカーボネートフィルム、以上バイエルマテリアルサイエンス社から入手、である。特定の特性を有する以下のタイプを使用した。
【0049】
M1: Makrolon登録商標 6555: ポリカーボネート, MVR (300℃/1.2 kg) 9.5 cm3/10 分; 塩素ーおよび臭素フリー難燃剤含有; UL 94V-0/3.0 mm; 中粘度; 成形品取り出し容易
【0050】
M2: Makrolon登録商標 6557: ポリカーボネート; MVR (300℃/1.2 kg) 9.5 cm3/10 分; 塩素ーおよび臭素フリー難燃剤含有; UL 94V-0/3.0 mm; 中粘度; UV-安定化; 成形品取り出し容易
【0051】
M3: Makrolon登録商標 DP1-1884: ポリカーボネート, MVR (300℃/1.2 kg) 17 cm3/10 分; 塩素ーおよび臭素フリー難燃剤含有; 低粘度; 成形品取り出し容易
【0052】
M4: Makrolon登録商標 1952: ポリカーボネート, MVR (300℃/1.2 kg) 9.5 cm3/10 分; 塩素ーおよび臭素フリー難燃剤含有; UL 94V-0/2.3 mm; 中粘度; 成形品取り出し容易
【0053】
M5: Makrolon登録商標 7101: ポリカーボネート, MVR (300℃/1.2 kg) 33 cm3/10 分; 特別の難燃剤系; 塩素ーおよび臭素フリー難燃剤含有; UL 94V-0/1.5 mm; 低粘度; 成形品取り出し容易; ビカー軟化温度 50 N; 50℃/時間 = 110℃
【0054】
M6: Makrolon登録商標 2205: ポリカーボネート, MVR (300℃/1.2 kg) 35 cm3/10 分; 一般目的; 低粘度; 成形品取り出し容易
【0055】
M7: Bayblend FR3005HF: ポリカーボネート/ABS ブレンド, 射出成形グレード; 非常に流動性; Vicat/B 120 = 96℃; UL リスト 94 V-0 (1.5 mmで); アンチモンー、塩素ーおよび臭素ーフリー難燃剤含有
【0056】
M8: Bayblend FR3020: ポリカーボネート/ABS ブレンド, ミネラル充填剤5%含有; 薄肉タイプ; 射出成形; Vicat/B 120 = 103℃; HDT/A >= 85℃; 低い肉厚において非常に良好な UL リスト (V-0 at 0.75 mm), アンチモンー、塩素ーおよび臭素ーフリー難燃剤含有
【0057】
M9: Bayblend FR3021: ポリカーボネート/ABS ブレンド, ミネラル充填剤15%含有; 射出成形グレード; 高剛性; 弾性率 = 4800 MPa; Vicat/B 120 = 98℃; UL リスト 94 V-0 (1.5 mmで); アンチモンー、塩素ーおよび臭素ーフリー難燃剤含有; グローワイヤー燃焼性指数(glow wire flammability index) (GWFI): 960℃ (2.0 mmで)
【0058】
M10: Bayblend T65XF: ポリカーボネート/ABS ブレンド, 標準グレード; 射出成形; Vicat/B 120 = 120℃; T65と比べて改良された流動特性
【0059】
M11: Makrofol TP1243: 500 μm厚さを有する非難燃性光散乱性ポリカーボネートフィルム
【0060】
M12: Makrofol FR 7-2: 500 μm厚さを有する難燃性光散乱性ポリカーボネートフィルム, UL 94V-0/500 μm
【0061】
2.射出成形試料の製造
最大800kNの型締圧および25mmのスクリュー直径を有するアーバーグ・オールラウンダ(Arburg Allrounder)370S 800-150射出成型機で2成分射出成形により試料を製造した。交換可能なインサートを有する標準成形ユニットを使用し、種々の厚さのキャンパス試料(Campus specimen)を製造した(厚さ0.8 mm - 1.5 mm -2.0 mm - 3.0 mm -3.8 mmのインサート[ASTM試料 127X12.7xd, mm])。
【0062】
使用する前に、表1に挙げたパラメータを使用し各材料を乾燥した。表1に挙げられた溶融温度は、材料の射出成形のためにセットされたものである。二成分射出成形プロセスの第1ステップにおいて、種々の厚さa(例えば、0.8 mm/ 1.5 mm/ 2.0mm/ 3.0 mm)の試料(燃焼試験試料 125 x 13 x a)を材料部材Aから製造した。第2ステップにおいて、これらの燃焼試験試料を、より厚い肉厚b(3.0 mm / 3.8 mm)を有するモールドに入れ、材料部材Bでバックモールドした。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1〜26を作製するために、テーブル2および3にリスとされた材料部材AおよびBを加工し、それぞれ厚さaおよびb、結果として総厚さa+bの2部材テスト試料を作製した。燃焼試験に対するテスト結果を同様に表2に示す。
【0065】
部材A=M11およびM12(表4)でフィルムバックモールディングするために、500μmフィルムを燃焼テスト試料モールド(3.2 mm / 3.8 mm)中に配置し、部材Bでバックモールドし、標準UL94−Vで定義されているような燃焼テストを同様に行なった。
【0066】
図1は、2部材射出モールド試験試料の模式的構造図を示す。
【0067】
3.)テスト
試料の試験は標準UL94-V(図2参照)で定義されているような燃焼テストにおける基準に従い貯蔵後行なった。
全ての結果を、下記表2〜4にまとめてある。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
予想外にも、製造されテストされた2部材燃焼テスト試料の幅広い多様な難燃性結合体は、耐火性等級UL94 V-0または少なくともUL94 V1を達成した。耐火性等級における改良は、個々の層がこれらの耐火性等級を達成しないであろう難燃性材料においてさえ見出された。
【0072】
難燃性および非難燃性試料(フィルム)の結合体は、特に驚かされる。3.8mmの総厚さの半分を超えるまでのケースには、非難燃性材料からなるものもあり、および/または厚さaまたはbそれぞれにおける個々の成分が、両者V2しか達成しなかったときでさえ、UL94 V0/V1の結果をここでは達成した。
【0073】
本発明による実施例14〜16(表3)においては、部材Aは厚さaにおいて少なくともV2を、厚さa+bにおいてはHBしか達成せず、部材Bは厚さbにおいてV2を、厚さa+bにおいてV0またはV1を達成するが、驚いたことに、両部材を含有するテスト試料は、リストV0を達成する。a:bの比は≦2.5である。
【0074】
本発明による実施例23および25(表4)においては、部材Aは、厚さaおよび厚さa+bにおいてUL94リストHBしか達成しない。比a:bは、≦0.3である。部材bは厚さa+bにおいてUL94リストV0またはV1を達成するが、驚いたことに、両部材を含有するテスト試料は、リストV0を達成する。
【0075】
本発明による実施例1〜4,6〜7,9〜10および12(表2)および実施例18〜20(表3)および26(表4)においては、部材AまたはBの少なくと1つは、それぞれ厚さaまたはbにおいてV2のみを達成し、厚さa+bにおいて両部材はV0またはV1を達成する。驚いたことに、両部材を含有するテスト試料はリストV0を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】2部材射出モールド試験試料の模式的構造図。
図2】標準燃焼テストUL94-V基準を説明するための図。
図1
図2