【実施例1】
【0023】
[構成]
図1に、本発明を適用した充電制御装置1の実施例1に係る回路ブロック図を示す。
まず、本実施例に係る充電制御装置1は、不図示の商用電源へ接続されるAC入力端子2a、2bと、リチウムイオン電池等、同じく不図示の二次電池へ接続するDC出力端子3a、3bと、外部の通信端末と通信線路で接続され、情報通信を行うことが可能な通信端子10a、10bとからなる3組の端子を備えている。
なお、本実施例に係る充電器1aでは、AC入力端子2a、2bより入力される商用電源からの交流入力を、二次電池の充電に必要な直流出力に変換した後、DC出力端子3a、3bより出力させて二次電池を充電している。
【0024】
なお、本実施例に係る充電制御装置1は、
図1に示す通り、後段回路に対する商用電源の供給または遮断を制御するための主回路リレー4と、商用電源からの入力に対して全波整流を行う整流器15と、昇圧コンバータからなる基本構成を有し、昇圧コンバータ機能と力率改善機能とを備える力率改善回路(PFC回路)5と、力率改善回路5からの直流出力を交流出力に変換するインバータ回路6と、整流機能と平滑機能とを備え、インバータ回路6からの交流出力を整流、平滑して作成した直流出力をDC出力端子3a、3bから出力させるDC出力回路18とからなる充電器1aの主回路を備えている。
本実施例では、インバータ回路6には昇圧用トランスが内蔵されており、スイッチングによって作られた交流出力は昇圧用トランスで昇圧された後、DC出力回路18へ出力されるよう構成されている。
【0025】
力率改善回路5は、昇圧コンバータからなる基本構成を有しており、昇圧用コイル、例えばIGBTからなるスイッチング素子、平滑用コンデンサおよび力率改善回路用制御ICを含んだ構成とされる。
力率改善回路用制御ICは、力率改善回路5の入力電圧および出力電圧、主回路リレー4に流れる電流の各信号入力に基づいて力率改善演算および昇圧制御演算して算出した制御量に基づき、上記スイッチング素子のPWM制御を行っている。このような力率改善回路用制御ICとしては、例えば、テキサス・インスツルメンツ・インコーポレイテッド社製UC2854等を利用することができる。
【0026】
第一の電流センサ7は、例えば数mΩの低抵抗器からなっている。本実施例では、第一の電流センサ7は第一の整流器15と力率改善回路5との間に設けられ、入力電流値の検出に用いられる。
なお、第一の電流センサ7が整流器15の後段に設けられているのは、検出される電流値が直流である方が、信号処理が容易であることによる。本質的には、商用電源からの交流入力電流をモニタするのと等価である。
【0027】
第二の電流センサ8も、第一の電流センサ7と同様に例えば数mΩの低抵抗器からなっている。第二の電流センサ8は、DC出力端子3a、3bに接続された二次電池に対する出力電流すなわち充電電流の検出に用いられる。
【0028】
また本実施例に係る充電制御装置1は、上記した充電器1aの主回路のほかに、充電制御装置1の制御の中心的機能を果たす制御ユニット(マイコン)12と、充電動作モニタ手段9と、通信インターフェース回路11とを備えている。
【0029】
充電動作モニタ手段9は、第一の電流センサ7からの入力電流信号S4、力率改善回路5からの力率改善回路出力電圧信号S5、第二の電流センサ8からの出力電流信号S6およびDC出力回路18から出力される直流出力の電圧値に関するDC出力電圧信号S7をモニタし、各信号の動向を監視する。なお、DC出力電圧信号S7は、出力電圧センサ19(模式的に表記)から出力される。
【0030】
通信インターフェース回路11は、ECUその他の外部機器と、例えばCAN(Controller Area Network)プロトコルによって通信を行うために備えられている。
【0031】
制御ユニット(マイコン)12は、充電動作モニタ手段9を通して入力された第一電流センサ7からの入力電流信号S4、力率改善回路5からの力率改善回路出力電圧信号S5、第二電流センサ8からの出力電流信号S6、およびDC出力回路18からのDC出力電圧信号S7のアナログ信号をデジタル化するためのA/D変換機能と、インバータ回路6へ与える制御信号S3の操作量をパルス幅制御するためのPWM信号出力機能と、通信インターフェース回路11を介してECUその他の外部機器と通信するためのシリアル通信機能と、経過時間を計測するためのタイマ機能とを有している。
制御ユニット(マイコン)12は、充電器1aの異常状態が充電動作モニタ手段9により検出されたときに、充電動作を一時的に停止させて充電器1aを待機モード運転に移行させる待機モード運転移行部12aと、充電器1aが待機モード運転とされる待機時間を規定するタイマ部12bとを含む。
これらの機能は、それぞれ、デジタル回路として構成されている。上記制御ユニットの一例であるマイコンとしては、例えば、ルネサスエレクトロニクス株式会社製のSHシリーズマイコン(SH7142等)を利用することができる。
さらに、本実施例では、上記マイコンはカウンタ部12cを備えており、以下で説明するように、待機モード運転に移行させる毎、または待機モード運転終了後に充電動作を再開させる毎にリトライカウント値をカウントアップさせる。なお、リトライカウント値の計数も、上記マイコンによって行われる。
【0032】
[動作]
次に、
図2に基づき、本実施例に係る充電制御装置1の動作につき説明する。
図2は、本実施例に係る充電制御装置1の動作の流れを示すフローチャートである。なお、本実施例において、充電制御装置1の動作は、
図2に示す通り、ステップ40〜54からなるメイン処理と、ステップ55〜63からなるリトライ処理とからなっている。
【0033】
はじめに、ステップ40〜54からなるメイン処理について説明する。
ステップ40において外部に設けられた不図示のECUから通信インターフェース回路11を介して充電開始指令を受信すると、ステップ41で上記マイコンからリレー制御信号S1を出力することによって主回路リレー4の接点を閉成する。主回路リレー4の接点が閉成されると、力率改善回路5には整流器15を介して全波整流電圧が印加される。
【0034】
この後、ステップ42において上記マイコンから力率改善回路制御信号S2を出力することによって力率改善回路5が作動し、充電器の主回路へ入力される入力電流波形の力率改善とともに力率改善回路5への印加電圧の昇圧が行われる。
【0035】
ステップ43で力率改善回路出力電圧信号S5が所定電圧に達するのを確認した後、ステップ44において上記マイコンからインバータ駆動信号S3を出力してインバータ回路6を動作させる。
インバータ回路6によって直流から交流へと逆変換および該インバータ6に内蔵された昇圧用トランスによって昇圧された交流出力は、DC出力回路18によって直流変換された後、出力端子3a、3bから出力される。二次電池の充電は、当該出力端子3a、3bからの出力によって行われる。
ここで、DC出力端子3aの電圧値はDC出力電圧信号S7として、また充電電流に相当するDC出力回路18からの出力電流は出力電流信号S6として充電動作モニタ手段9を介して上記マイコンに取り込まれ、充電目標電力に対する偏差がゼロとなるよう、フィードバック制御が行われる。かかるフィードバック制御により、安定かつ正確な充電制御を行うことが可能となる。
【0036】
ステップ45では、インバータ回路6を駆動させた後、充電出力が安定するまでディレイ時間txを確保する。
【0037】
ステップ46では、充電状態において充電動作モニタ手段9を介して検出された充電動作モニタ信号(入力電流信号S4、力率改善回路出力電圧信号S5、出力電流信号S6およびDC出力電圧信号S7)の内、少なくとも一つの信号が異常を示した場合、マイコン12はこれを検出すると(ステップ46:Yes)、ステップ55〜63からなるリトライ処理へと移行し、リトライ処理の先頭であるステップ55にて直ちに充電動作の一時停止処置を行う。具体的には、ステップ56にてインバータ駆動信号S3をオフすることによって充電動作を一時的に停止させる。
なお、本実施例では、力率改善回路5の一時動作停止(ステップ57)または主回路リレー4の開成すなわち主回路リレー4の遮断(ステップ58)については、必要に応じて実施するものとしている。
【0038】
ステップ59では、リトライカウント値をカウントアップする。本実施例では、リトライカウント値のカウントアップは、上記マイコンに備えられたカウンタ部12cによって行われる。
ステップ60では、上記リトライカウント値の計数を行う。ここで、計数されたリトライカウント値が予め設定された所定値以下(例えば3以下)のときは、ステップ61においてタイマ部12bを作動させ、当該タイマ部12bにより予め規定された所定の待機時間twが経過するまで充電動作を一時的に停止させた状態のままで待機する待機モード運転となる。
待機時間twの長さは、例えば近くをCB無線搭載の車両が通過し、それから発射された一過性の電波ノイズによって充電動作モニタ手段9へと入力される各信号(第一の電流センサ7からの入力電流信号S4、力率改善回路5からの力率改善回路出力電圧信号S5、第二の電流センサ8からの出力電流信号S6およびDC出力回路18からのDC出力電圧信号S7)が影響を受けることを想定した値(例えば、秒オーダー)に設定するなど、影響を受ける一時的な外乱の種類や特性によって決定すれば良い。
【0039】
ステップ62で待機時間twに達したと判定された場合(ステップ62:Yes)には、メイン処理に再び戻り、ステップ44でインバータ回路6を作動させること(さらに、ステップ41で主回路リレー4を閉成すること若しくはステップ42で力率改善回路5を作動させること)により充電動作を再開させる。
充電動作の一時停止処理後、どの程度経過してから充電動作を再開させるかについては、充電動作の一時停止処理(ステップ55)の内容に応じて、また、本発明が適用される充電器に要求される仕様に応じて決定すれば良い。
例えば、待機時間twが数秒のような短時間が要求される場合では、充電動作の一時停止処理(ステップ55)を、i)ステップ56に規定するインバータ回路6の一時動作停止のみとし、ii)充電動作の再開をステップ44に規定するインバータ回路6の作動から行うこととすることにより、充電動作の立上りを最短時間にすることができる。
一方、充電動作の再開をステップ41に規定する主回路リレー4の閉成から行うこととすると、力率改善回路出力電圧が所定電圧に達するまでには秒オーダーの時間を要するところ(充電立上がり時間)、待機時間twを数十分オーダーで設定する場合であれば、上記の充電立上り時間は全く問題にならない。
なお、充電動作の一時停止処理(ステップ55)の内容として主回路リレー4の開成(ステップ58)を行うことは、省電力の観点からは好適なものと言える。
【0040】
上記の通り、リトライ処理の内ステップ55〜62に規定する各処理を経てメイン処理に戻って充電動作が再開された後、再度、充電動作モニタ信号(入力電流信号S4、力率改善回路出力電圧信号S5、出力電流信号S6およびDC出力電圧信号S7)の少なくとも一つから異常が検出されると(ステップ46:Yes)、再度リトライ処理へと移行し、同処理の先頭であるステップ55へと進むが、ステップ60で上記カウンタ部12cにより計数されたリトライカウント値が所定回数をオーバーした(例えば4となった)場合、この異常は一過性の外来ノイズによるものではなく真の装置異常であると判断し、ステップ63において充電異常情報を、通信インターフェース回路11を介して外部に設けられた不図示のECUに通知する。
この後、ステップ52におけるインバータ回路6の動作停止、ステップ53における力率改善回路5の動作停止、そしてステップ54における主回路リレー4の開成の順に充電動作の停止処理を行うことにより、充電動作を終了させる。
なお、ステップ52〜54に規定する充電動作の停止処理は、
i)充電制御装置1(具体的には、マイコン12)に自発的に行わせてもよいし、
ii)外部に設けられた不図示のECUが、ステップ63に規定する充電異常情報のほかに充電終了指令の通知を行うものであれば、ステップ52の前の段階(ステップ51)においてマイコン12に当該充電終了指令を受信させ、その内容に従って充電動作を停止させても良い。
【0041】
一方、ステップ44でインバータ回路6を作動させること(および、ステップ41で主回路リレー4を閉成すること若しくはステップ42で力率改善回路5を作動させること)によって充電動作を再開させた後、充電動作モニタ信号(入力電流信号S4、力率改善回路出力電圧信号S5、出力電流信号S6およびDC出力電圧信号S7)が正常状態を示した場合は、ステップ47でリトライカウント値をクリアした後、そのままステップ48で充電動作を継続するところ、ステップ49における満充電判定条件を満足した(ステップ49:Yes)ときには、ステップ50において外部に設けられた不図示のECUに充電完了情報を通知する。
この後、上記同様、ステップ52におけるインバータ回路6の動作停止、ステップ53における力率改善回路5の動作停止、そしてステップ54における主回路リレー4の開成の順に充電動作の停止処理を行うことにより、充電動作を終了させる。
また上記同様、ステップ52〜54に規定する充電動作の停止処理は、
i)充電制御装置1(具体的には、マイコン12)に自発的に行わせてもよいし、
ii)外部に設けられた不図示のECUが、ステップ63に規定する充電異常情報のほかに充電終了指令の通知を行うものであれば、ステップ52の前の段階(ステップ51)においてマイコン12に当該充電終了指令を受信させ、その内容に従って充電動作を停止させても良い。
【0042】
図3および4は、本実施例に係る充電制御装置1の基本動作を説明するためのタイミングチャートで、これらを用いて本実施例をより詳細に説明する。
図3は、充電中に充電動作モニタ信号が異常を示すが、それが一時的である場合の動作を示す。一方、
図4は、異常状態が長時間にわたって、具体的には、所定のリトライカウント値を超えて継続しているような場合の動作を示す。
【0043】
図3において、時刻t1で充電開始指令を受信する(ステップ40)と、マイコン12はリレー制御信号S1を出力して主回路リレー4をオン(ステップ41)し、続いて力率改善回路5、インバータ回路6を順次作動させ、充電動作を開始する(ステップ42〜45)。このとき、充電動作モニタ信号(入力電流信号S4、力率改善回路出力電圧信号S5、出力電流信号S6およびDC出力電圧信号S7)は正常、リトライカウント値はゼロである。
【0044】
かかる状況下で充電動作中、時刻t2で突如充電動作モニタ信号の少なくともいずれか1つが異常を示すと、本実施例において上記マイコンはこれを検知(ステップ46:Yes)し、インバータ回路6の動作を一時停止させる(ステップ56)。これによって充電動作は一時停止される(ステップ55)。
リトライカウント値が1つカウントアップされて1となった後(ステップ59、60)、上記マイコンはタイマ機能を起動させる。
【0045】
タイマ起動後、所定の待機時間tw(ステップ61)を経過(ステップ62:Yes)して時刻t3になると、上記マイコンは再びインバータ回路6を作動(ステップ44)させて充電動作を再開させる。
【0046】
充電動作が再開された後、所定のディレイ時間tx(ステップ45)が経過した時刻t4で、充電動作モニタ信号がチェックされる(ステップ46)。このとき、まだ異常状態が継続していれば(ステップ46:Yes)、インバータ回路6の動作を一時停止させ(ステップ56)、リトライカウント値が1つカウントアップされて2となった後(ステップ59、60)、先程と同様、上記マイコンはタイマ機能を起動させる。
【0047】
タイマ起動後、時刻t5において充電動作モニタ信号の異常が解消したのち、所定の待機時間tw(ステップ61)を経過(ステップ62:Yes)して時刻t6になると、上記マイコンは再び、インバータ回路6を作動(ステップ44)させて充電動作を再開させる。
【0048】
そして、充電動作が再開された後、所定のディレイ時間tx(ステップ45)が経過した時刻t7で充電動作モニタ信号がチェック(ステップ46)されたとき、今度は充電動作モニタ信号が正常状態となっているので(ステップ46:No)、充電動作はそのまま継続され(ステップ48)、同時に上記マイコンによりリトライカウンタ値がゼロにクリアされる(ステップ47)。
【0049】
次に、
図4に示す別のタイミングチャートに基づき、引き続き本実施例に係る充電制御装置1の動作を説明する。なお、
図4において、時刻t1〜t5までの動作については上記の通りであり、説明は省略する。
図4では、時刻t6において充電動作モニタ信号は異常を示しており、それゆえ、上記マイコンはこれを検知(ステップ46:Yes)し、インバータ回路6の動作を一時停止させる(ステップ56)。これによって充電動作は一時停止される(ステップ55)。リトライカウント値が1つカウントアップされて3となった後(ステップ59、60)、マイコン12はタイマ機能を起動させる。
【0050】
その後、所定の待機時間tw(ステップ61)が経過(ステップ62:Yes)した時点t7で、上記マイコンは再びインバータ回路6を作動(ステップ44)させて充電動作を再開させる。
ここで、充電動作が再開された後、所定のディレイ時間tx(ステップ45)が経過した時刻t8で充電動作モニタ信号が再びチェックされる(ステップ46)と、充電動作モニタ信号は未だ異常を示しており、そのため、上記マイコンはこれを検知(ステップ46:Yes)し、インバータ回路6の動作を一時停止させる(ステップ56)。これによって再度、充電動作は一時停止される(ステップ55)。こののち、リトライカウント値はカウントアップされて4となる(ステップ59)。
【0051】
上記マイコンは、リトライカウント値が所定回数4に達したこの時点(ステップ60:Yes)で、充電動作モニタ信号(入力電流信号S4、力率改善回路出力電圧信号S5、出力電流信号S6およびDC出力電圧信号S7)が、一過性のノイズ等に基づく異常ではなく、充電器自身に生じた真の異常を示しているものと判断し、本実施例では、まずインバータ回路6の動作を停止させて充電動作を停止させる(ステップ52)。
このとき、上記マイコンは充電異常情報を、通信インターフェース回路11を介して外部に設けられた不図示のECUに通知する(ステップ63)一方、当該ECUは、マイコン12に充電終了指令を送信する。
ここで、リトライ処理からメイン処理に戻った上記マイコンは、上記ECUからの充電終了指令を受信(ステップ51)して、インバータ回路6を動作停止させることに続いて、力率改善回路5の動作停止(ステップ53)および主回路リレー4の開成処理(ステップ54)を行うことにより、充電動作を終了させる。
なお、力率改善回路5の動作停止および主回路リレー4の開成処理は、上記の充電終了指令がなくても充電器自らの判断で行うことも可能である。また、インバータ回路6の動作停止処理と同時に、力率改善回路5の動作停止および主回路リレー4の開成処理を行っても差し支えない。
【実施例3】
【0055】
図7に、本発明を適用した充電制御装置1”の実施例3に係る回路ブロック図を示す。
本実施例に係る充電制御装置1”は、AC入力端子2a、2bより入力される交流入力の電圧値に関する交流入力電圧信号S9が制御ユニット12に入力される点と、充電動作モニタ手段9によって異常状態が検出されたときに、交流入力電圧信号S9に基づいてリトライ回数が設定される点とにおいて、実施例1に係る充電制御装置1と相違している。なお、交流入力電圧信号S9は、入力電圧センサ21(本発明の“入力電圧測定手段”に相当する。模式的に表記)から出力される。
【0056】
具体的には、本実施例に係る充電制御装置1”では、充電動作モニタ手段9によって異常状態が検出されると、制御ユニット12が交流入力電圧信号S9に基づいて交流入力電圧の実効値と振幅ΔVを特定する(
図8(A)参照)。そして、特定された実効値および振幅ΔVに基づいて、異常検出時の状況が
図8(B)に示す領域A〜領域Dのいずれの状況なのかを特定する。
【0057】
領域Aは、交流入力電圧が安定している領域なので、この領域において充電動作モニタ手段9が異常状態を検出したということは、当該異常は充電器1a自身の真の異常である可能性が高い。したがって、この領域であると特定された場合はリトライ回数を比較的少ない3回とする。
領域Bは、深刻な瞬時停電が発生したと考えられる領域なので、このまま充電を継続すると充電器1aやバッテリーを損傷してしまうおそれがある。したがって、この領域であると特定された場合もリトライ回数を比較的少ない3回とする。
【0058】
領域Cは、充電動作モニタ手段9が異常状態を検出してもおかしくない考えられるところまで交流入力電圧が低下した領域なので、当該異常は充電器1a自身の真の異常ではない可能性が高い。また、この程度の交流入力電圧の低下では、充電器1aやバッテリーが損傷することはないと考えられる。したがって、この領域ではリトライ回数を10回に増やし、なるべく充電が続行されるようにする。
領域Dは、ノイズの重畳により交流入力電圧の振幅ΔVが5V以上に増大した領域なので、この領域において充電動作モニタ手段9が検出した異常は、当該ノイズによって引き起こされた一過性のものである可能性が高い。したがって、この領域でもリトライ回数を10回に増やし、なるべく充電が続行されるようにする。
【0059】
このように、本実施形態に係る充電制御装置1”によれば、真の異常ではないと考えられる状況においてリトライ回数が増やされるので、外部から入力される交流入力電圧の一時的な乱れ等により充電が途中で停止されるのをより確実に防ぐことができる。
【0060】
[変形例]
以上、実施例に基づき本発明の充電制御装置に付き説明してきたが、本発明は上記実施例記載の構成に限定されず、種々変形実施することが可能である。
【0061】
例えば、上記各実施例では、待機モード運転については、インバータ回路6が一時停止状態とされているほかは、そして主回路リレー4は閉成されており、力率改善回路5が動作状態である状況下で行われるものとして説明を行ったが(
図3および4参照)、これに何ら限定するものではない。
【0062】
また、上記各実施例では、リトライカウント値のカウントアップを、ステップ55に規定する充電動作の一時停止処置を行った直後のステップ59において行うものとして説明を行ったが、これに何ら限定するものではない。
【0063】
また、上記各実施例では、充電動作の開始指令、一時停止指令若しくは終了指令の受信、または充電異常通知の発信が外部に設けられた不図示のECUにより通信端子10a、10bおよび通信インターフェース回路11を介して行われ得るものとして説明を行ったが、通信プロトコルその他の詳細な要領については上記に何ら限定されない。
【0064】
また、実施例2と実施例3のリトライ回数設定方法は併用してもよい。2つの設定方法を併用する場合は、実施例2の設定方法で求められたリトライ回数と実施例3の設定方法で求められたリトライ回数のうちの大きい方に基づいてステップ60(
図2参照)の判定を行えばよい。
【0065】
また、実施例2および実施例3においてリトライ回数が5回または10回に設定され、3回以上リトライを繰り返した後に異常状態が解消されて平穏無事に充電を終えることができた場合は、当該充電器1aが使用されている環境は一過性の外乱が生じやすい環境であると考えられる。したがって、この場合は、次回以降の充電において標準のリトライ回数である3回を4回以上に変更し、容易に充電が中止されてしまわないようにすることが望ましい。
【0066】
さらに、上記各実施例における具体的な数字(リトライ回数、充電器温度、交流入力電圧の実効値・振幅)はいずれも一例であり、適宜変更することができる。
【0067】
以上の通り、本発明は、充電器にノイズ等の一過性の外乱が進入した場合であっても、これに対してその後の充電継続の可否を正確に判断可能な充電制御装置を提供する新規かつ有用なるものであることが明らかである。