特許第5761776号(P5761776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761776
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】有機発光表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/30 20060101AFI20150723BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20150723BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20150723BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20150723BHJP
   H05B 33/08 20060101ALI20150723BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   G09G3/30 K
   G09G3/30 J
   G09F9/30 338
   G09F9/30 365
   G09G3/20 611H
   G09G3/20 624B
   G09G3/20 641D
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 642D
   G09G3/20 642P
   G09G3/20 670K
   H05B33/08
   H05B33/14 A
【請求項の数】32
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-106608(P2010-106608)
(22)【出願日】2010年5月6日
(65)【公開番号】特開2011-175226(P2011-175226A)
(43)【公開日】2011年9月8日
【審査請求日】2010年5月6日
【審判番号】不服2014-11595(P2014-11595/J1)
【審判請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0016383
(32)【優先日】2010年2月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】柳 明煥
(72)【発明者】
【氏名】呉 春烈
(72)【発明者】
【氏名】權 五敬
【合議体】
【審判長】 清水 稔
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 酒井 伸芳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−53647(JP,A)
【文献】 特開2009−301037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 1/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード;
前記有機発光ダイオードに駆動電流を供給する駆動トランジスタ;
前記駆動トランジスタに対応するデータ信号を伝達するデータ線;
前記有機発光ダイオードの一電極に連結されている第1電極及び前記データ線に連結されている第2電極を含む第1トランジスタ;
前記データ線に連結されている第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に連結されている第2電極を含む第2トランジスタ;及び
前記第1トランジスタをターンオンさせて、前記有機発光ダイオードに所定の第1電流を供給する間に、有機発光ダイオードの一電極に印加される第1電圧が前記データ線を通して伝達されて、前記第1電圧によって前記有機発光ダイオードの劣化程度を検出し、前記検出された劣化を補償するために前記データ線に伝達されるデータ信号を補償し、
前記第1トランジスタ、第2トランジスタ、及び駆動トランジスタをターンオンさせて、前記データ線を通して前記駆動トランジスタから有機発光ダイオードに至る駆動電流の経路で第2電流及び第3電流を各々シンクし、前記第2電流及び第3電流のシンクに対応して前記駆動トランジスタのゲート電極に各々印加される第2電圧及び第3電圧が前記第2トランジスタ及び前記データ線を通して伝達されて、前記駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出し、前記算出された駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度によって前記データ線に伝達されるデータ信号を補償する補償部;を含み、
前記駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の算出において、前記有機発光ダイオードが最低輝度で発光する時電流値をシンクした時に検出される駆動トランジスタのゲート電極に印加される電圧値を得るために、前記第3電圧所定の補償電圧値(Vshift)を加える
ことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
前記データ線と前記補償部との間に各々位置して、対応する選択信号によってターンオンされて、前記第1電圧を前記補償部に伝達する補償部選択スイッチをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記補償部は、前記第1電圧を検出するために第1電流を供給する電流ソース部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記補償部は、前記第1電圧によって有機発光ダイオードの劣化程度を判断し、前記判断された劣化程度によってデータ信号による補償量を決定する制御部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第3電流は、前記第2電流より電流値が低い、
ことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第2電流は、高階調データ電圧に対応する電流値である、
ことを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記第2電流は、有機発光ダイオードが最大輝度で発光する時に前記有機発光ダイオードに流れる電流値である、
ことを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第3電流は、低階調データ電圧に対応する電流値である、
ことを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記第3電流は、前記第2電流の電流値の0.1%乃至50%の電流値である、
ことを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記データ線と補償部との間に各々位置して、対応する選択信号によってターンオンされて、前記第2電圧または前記第3電圧を前記補償部に各々伝達する補償部選択スイッチをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記補償部は、前記第2電圧を検出するために第2電流をシンクする第1電流シンク部、及び前記第3電圧を検出するために第3電流をシンクする第2電流シンク部を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記補償部は、前記第2電圧及び前記第3電圧によって駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出し、前記算出された駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度によってデータ信号による補償量を決定する制御部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
複数の有機発光ダイオード及び前記複数の有機発光ダイオード各々に駆動電流を供給する複数の駆動トランジスタ各々を含む複数の画素、
前記複数の画素各々に対応するデータ信号を伝達する複数のデータ線、及び補償部を含み、
前記補償部は、前記データ線各々を通して前記複数の有機発光ダイオード各々に所定の第1電流を供給する間に、前記複数の有機発光ダイオード各々の駆動電圧が対応するデータ線を通して伝達され、前記伝達された駆動電圧によって前記複数の有機発光ダイオード各々の劣化程度を判断し、前記判断された劣化程度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々を補償し、
前記データ線各々を通して駆動トランジスタから有機発光ダイオードに至る駆動電流の経路で第2電流及び第3電流を各々シンクする間に、前記複数の駆動トランジスタ各々のゲート電極に印加される複数の第2電圧及び複数の第3電圧によって前記複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度を算出し、前記算出された複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々を補償し、
前記駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の算出において、前記有機発光ダイオードが最低輝度で発光する時電流値をシンクした時に検出される駆動トランジスタのゲート電極に印加される電圧値を得るために、前記第3電圧所定の補償電圧値(Vshift)を加える
ことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項14】
前記有機発光表示装置は、前記複数のデータ線各々に接続される複数のデータ選択スイッチ及び前記複数のデータ線各々から分岐された複数の分岐線の接続点に接続される複数の補償部選択スイッチを含む選択部をさらに含み、
前記複数の補償部選択スイッチ各々は、対応する選択信号によってターンオンされて、前記複数の有機発光ダイオード各々の駆動電圧を前記補償部に伝達する、
ことを特徴とする請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記補償部は、前記複数の有機発光ダイオード各々に前記所定の第1電流を供給する電流ソース部を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記補償部は、前記複数の有機発光ダイオード各々の駆動電圧によって複数の有機発光ダイオード各々の劣化程度を判断し、前記判断された劣化程度によってデータ信号による補償量を決定する制御部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記第3電流は、前記第2電流より電流値が低い、
ことを特徴とする請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記第2電流は、高階調データ電圧に対応する電流値である、
ことを特徴とする請求項17に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記第2電流は、前記有機発光ダイオードが最大輝度で発光する時に前記有機発光ダイオードに流れる電流値である、
ことを特徴とする請求項17に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記第3電流は、低階調データ電圧に対応する電流値である、
ことを特徴とする請求項17に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記第3電流は、前記第2電流の電流値の0.1%乃至50%の電流値である、
ことを特徴とする請求項17に記載の有機発光表示装置。
【請求項22】
前記補償部は、
前記複数の第2電圧を検出するために第2電流をシンクする第1電流シンク部、及び前記複数の第3電圧を検出するために第3電流をシンクする第2電流シンク部を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項23】
前記補償部は、前記複数の第2電圧及び複数の第3電圧によって前記複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度を算出し、前記算出された複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々による補償量を決定する制御部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項22に記載の有機発光表示装置。
【請求項24】
前記有機発光表示装置は、前記複数のデータ線各々に接続される複数のデータ選択スイッチ及び前記複数のデータ線各々から分岐された複数の分岐線の接続点に接続される複数の補償部選択スイッチを含む選択部をさらに含み、
前記複数の補償部選択スイッチ各々は、対応する選択信号によってターンオンされて、前記複数の第2電圧及び前記複数の第3電圧を各々前記補償部に伝達する、
ことを特徴とする請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項25】
複数の有機発光ダイオード及び前記複数の有機発光ダイオード各々に駆動電流を供給する複数の駆動トランジスタを各々含む複数の画素、前記複数の画素各々に対応するデータ信号を伝達する複数のデータ線、及び前記データ線各々を通して前記複数の有機発光ダイオード各々に所定の第1電流を供給する間に、前記複数の有機発光ダイオード各々に伝達された駆動電圧によって前記複数の有機発光ダイオード各々の劣化程度を判断し、前記判断された劣化程度によって前記複数の画素各々に伝達され複数のデータ信号各々を補償し、前記データ線各々を通して駆動トランジスタから有機発光ダイオードに至る駆動電流の経路で第2電流及び第3電流を各々シンクする間に、前記複数の駆動トランジスタ各々のゲート電極に印加される複数の第2電圧及び複数の第3電圧が前記データ線各々を通して伝達される補償部を含む有機発光表示装置の駆動方法において、
対応するデータ線を通して前記複数の駆動トランジスタ各々のゲート電極に印加される複数の第2電圧及び複数の第3電圧が伝達される電圧感知段階;
前記伝達された複数の第2電圧及び複数の第3電圧によって前記複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度を算出する演算段階;及び
前記算出された複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々を補償する補償段階;を
含み、
前記駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の算出において、前記有機発光ダイオードが最低輝度で発光する時電流値をシンクした時に検出される駆動トランジスタのゲート電極に印加される電圧値を得るために、前記第3電圧所定の補償電圧値(Vshift)を加える
ことを特徴とする有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項26】
前記電圧感知段階が行われる期間に、前記複数の画素各々に含まれている前記有機発光ダイオードに前記所定の第1電流が流れるようにして、前記有機発光ダイオードの駆動電圧を対応するデータ線に伝達する複数の画素各々の第1トランジスタはターンオンされる、
ことを特徴とする請求項25に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項27】
前記電圧感知段階が行われる期間に、前記複数の有機発光ダイオード各々の一電極及び前記対応するデータ線間に連結された複数の画素各々の第1トランジスタ、前記複数の有機発光ダイオード各々に駆動電流を供給する複数の画素各々の駆動トランジスタ、及び前記対応するデータ線及び前記駆動トランジスタのゲート電極の間に連結された複数の画素各々の第2トランジスタはターンオンされる、
ことを特徴とする請求項25に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項28】
前記第3電流は、前記第2電流より電流値が低い、
ことを特徴とする請求項25に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項29】
前記第2電流は、高階調データ電圧に対応する電流値である、
ことを特徴とする請求項28に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項30】
前記第2電流は、前記有機発光ダイオードが最大輝度で発光する時に前記有機発光ダイオードに流れる電流値である、
ことを特徴とする請求項28に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項31】
前記第3電流は、低階調データ電圧に対応する電流値である、
ことを特徴とする請求項28に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項32】
前記第3電流は、前記第2電流の電流値の0.1%乃至50%の電流値である、
ことを特徴とする請求項28に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその駆動方法に関し、より詳細には、有機発光ダイオードの劣化を迅速に補償して、駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度と関係なく均一な輝度の映像を表示することができる、有機発光表示装置及びその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近になって、陰極線管(Cathode−Ray−Tube)の短所である重量及び体積を減少させる各種平板表示装置が開発されている。平板表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)、電界放出表示装置(Field Emission Display:FED)、プラズマ表示パネル(Plasma‐Display‐Panel:PDP)、及び有機発光表示装置(Organic‐Light Emitting Display Device)などがある。
【0003】
平板表示装置のうちの有機発光表示装置は、電子及び正孔の再結合によって光を発生させる有機発光ダイオード(Organic‐Light Emitting Diode、OLED)を利用して映像を表示するものであって、応答速度が速く、低い消費電力で駆動され、発光効率、輝度、及び視野角が優れている長所があるため注目されている。
通常の有機発光表示装置は、有機発光ダイオードを駆動する方式によってパッシブマトリックス型有機発光表示装置(PMOLED)及びアクティブマトリックス型有機発光表示装置(AMOLED)に分類される。
【0004】
パッシブマトリックス型は、陽極及び陰極を互いに直交するように形成し、陰極ライン及び陽極ラインを選択して駆動する方式であり、アクティブマトリックス型は、薄膜トランジスタ及びキャパシタを各ピクセル内に集積し、キャパシタ容量によって電圧を維持して駆動する方式である。パッシブマトリックス型は、構造が簡単で廉価であるが、大型または高精密度のパネルの実現が難しい。反面、アクティブマトリックス型は、大型及び高精密度のパネルの実現が可能であるが、その制御方法が技術的に難しく、比較的高価である。
従って、解像度、コントラスト、動作速度の観点から、単位画素ごとに選択して点灯するアクティブマトリックス型有機発光表示装置(AMOLED)が主流をなしている。
【0005】
しかし、有機発光ダイオードの劣化によって発光効率が低下し、同一な電流に対して発光輝度が低下する問題が発生する。
また、有機発光ダイオードに流れる電流を制御する駆動トランジスタのしきい電圧の不均一及び電子移動度(electron mobility)の偏差によって、同一なデータ信号によって有機発光ダイオードに流れる電流が異なる問題がある。
有機発光ダイオードの劣化はイメージスティッキング(image−sticking)の原因となり、駆動トランジスタの特性の偏差はムラ(mura)の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために案出されたものであって、有機発光表示装置の各々の画素のトランジスタのしきい電圧の不均一及び電子移動度の偏差による輝度の不均一及び偏差を防止して、画質を向上させることができる、有機発光表示装置及びその駆動方法を提供することに目的がある。
また、有機発光表示装置の各々の画素に含まれる有機発光ダイオードの劣化をリアルタイムで迅速に感知し、これを補償することによって、有機発光ダイオードの劣化に関係なく目的とする輝度を実現することができる、有機発光表示装置及びその駆動方法を提供することに他の目的がある。
【0007】
本発明が目的とする技術的課題は、前記で言及した技術的課題に限定されず、言及されないまた他の技術的課題も、本発明の記載から当該分野における通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、有機発光ダイオード;前記有機発光ダイオードに駆動電流を供給する駆動トランジスタ;前記駆動トランジスタに対応するデータ信号を伝達するデータ線;前記有機発光ダイオードの一電極に連結されている第1電極及び前記データ線に連結されている第2電極を含む第1トランジスタ;及び前記データ線に連結されている第1電極及び前記駆動トランジスタのゲート電極に連結されている第2電極を含む第2トランジスタ;を含む。
前記第1トランジスタ、第2トランジスタ、及び駆動トランジスタをターンオンさせると、前記データ線を通して前記駆動トランジスタから有機発光ダイオードに至る駆動電流の経路で第1電流及び第2電流が各々シンクされる。
【0009】
この時、前記第1電流及び第2電流のシンクに対応して前記駆動トランジスタのゲート電極に各々印加される第1電圧及び第2電圧が前記第2トランジスタ及び前記データ線を通して伝達されて、前記駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出する。その後、本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、前記駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度に関係なく前記データ線に伝達されるデータ信号を補償する。
本発明の有機発光表示装置は、前記第1トランジスタをターンオンさせて、前記有機発光ダイオードに所定の第3電流を供給する間に、有機発光ダイオードの一電極に印加される第3電圧が前記データ線を通して伝達される。この時、前記第3電圧によって前記有機発光ダイオードの劣化程度を検出し、前記検出された劣化を補償するために前記データ線に伝達されるデータ信号を補償する。
【0010】
また、本発明の有機発光表示装置は、前記データ線を通して前記第3電圧が伝達される補償部、及び前記データ線と前記補償部との間に各々位置して、対応する選択信号によってターンオンされて、前記第3電圧を前記補償部に伝達する補償部選択スイッチをさらに含む。
前記補償部は、前記第3電圧を検出するために第3電流を供給する電流ソース部を含む。
また、前記補償部は、前記第3電圧によって有機発光ダイオードの劣化程度を判断し、前記判断された劣化程度によってデータ信号による補償量を決定する制御部をさらに含む。
本発明において、前記第2電流は、前記第1電流より電流値が低い。前記第1電流は、高階調データ電圧に対応する電流値であったり、あるいは有機発光ダイオードが最大輝度で発光する時に前記有機発光ダイオードに流れる電流値である。
【0011】
前記第2電流は、低階調データ電圧に対応する電流値であったり、あるいは前記第1電流の電流値の0.1%乃至50%の電流値である。
前記第2電圧は、前記有機発光ダイオードが最低輝度で発光する時に有機発光ダイオードに流れる電流値にシンクして、検出される駆動トランジスタのゲート電極に印加される電圧値及び前記第2電圧との差による補償電圧値で補償される。
本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、前記第1電圧及び第2電圧各々が前記データ線を通して伝達される補償部、及び前記データ線と補償部との間に各々位置して、対応する選択信号によってターンオンされて、前記第1電圧または前記第2電圧を前記補償部に各々伝達する複数の補償部選択スイッチをさらに含む。
【0012】
この時、前記補償部は、前記第1電圧を検出するために第1電流をシンクする第1電流シンク部、及び前記第2電圧を検出するために第2電流をシンクする第2電流シンク部を含む。
また、前記補償部は、前記第1電圧及び前記第2電圧によって駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出し、前記算出された駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度によってデータ信号による補償量を決定する制御部をさらに含む。
【0013】
前記目的を達成するための本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、複数の有機発光ダイオード及び前記複数の有機発光ダイオード各々に駆動電流を供給する複数の駆動トランジスタ各々を含む複数の画素、前記複数の画素各々に対応するデータ信号を伝達する複数のデータ線、及び前記データ線各々を通して駆動トランジスタから有機発光ダイオードに至る駆動電流の経路で第1電流及び第2電流を各々シンクする間に、前記複数の駆動トランジスタ各々のゲート電極に印加される複数の第1電圧及び複数の第2電圧が前記データ線各々を通して伝達される補償部を含む。この時、前記補償部は、前記伝達された複数の第1電圧及び複数の第2電圧によって前記複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度を算出し、前記算出された複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々を補償する。
【0014】
また、前記補償部は、前記データ線各々を通して前記複数の有機発光ダイオード各々に所定の第3電流を供給する間に、前記複数の有機発光ダイオード各々の駆動電圧が対応するデータ線を通して伝達され、前記伝達された駆動電圧によって前記複数の有機発光ダイオード各々の劣化程度を判断し、前記判断された劣化程度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々を補償することができる。
本実施形態の有機発光表示装置は、前記複数のデータ線各々に接続される複数のデータ選択スイッチ及び前記複数のデータ線各々から分岐された複数の分岐線の接続点に接続される複数の補償部選択スイッチを含む選択部をさらに含むことができる。前記複数の補償部選択スイッチ各々は、対応する選択信号によってターンオンされて、前記複数の有機発光ダイオード各々の駆動電圧を前記補償部に伝達する。
【0015】
また、本実施形態の有機発光表示装置は、前記複数のデータ線各々に接続される複数のデータ選択スイッチ及び前記複数のデータ線各々から分岐された複数の分岐線の接続点に接続される複数の補償部選択スイッチを含む選択部をさらに含むことができる。前記複数の補償部選択スイッチのうちの所定の第1補償部選択スイッチ及び第2補償部選択スイッチは、対応する選択信号各々によってターンオンされて、前記複数の第1電圧及び前記複数の第2電圧を各々前記補償部に伝達する。
前記目的を達成するための本発明の一実施形態による有機発光表示装置の駆動方法は、複数の有機発光ダイオード及び前記複数の有機発光ダイオード各々に駆動電流を供給する複数の駆動トランジスタを各々含む複数の画素、前記複数の画素各々に対応するデータ信号を伝達する複数のデータ線、及び前記データ線各々を通して駆動トランジスタから有機発光ダイオードに至る駆動電流の経路で第1電流及び第2電流を各々シンクする間に、前記複数の駆動トランジスタ各々のゲート電極に印加される複数の第1電圧及び複数の第2電圧が前記データ線各々を通して伝達される補償部を含む有機発光表示装置に関する方法である。
【0016】
具体的に、前記駆動方法は、前記対応するデータ線を通して前記複数の駆動トランジスタ各々のゲート電極に印加される複数の第1電圧及び複数の第2電圧が伝達される電圧感知段階;及び前記伝達された複数の第1電圧及び複数の第2電圧によって前記複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度を算出する演算段階;及び前記算出された複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々を補償する補償段階;を含む。
また、前記有機発光表示装置の駆動方法は、前記補償部が前記データ線各々を通して前記複数の有機発光ダイオード各々に所定の第3電流を供給する間に、前記複数の有機発光ダイオード各々の駆動電圧が伝達される駆動電圧感知段階;及び前記伝達された駆動電圧によって前記複数の有機発光ダイオード各々の劣化程度を判断し、前記判断された劣化程度によって前記複数の画素各々に伝達される複数のデータ信号各々を補償する補償段階;をさらに含むことができる。
【0017】
前記駆動電圧感知段階が行われる期間に、前記複数の画素各々に含まれている前記有機発光ダイオードに前記所定の第3電流が流れるようにして、前記有機発光ダイオードの駆動電圧を対応するデータ線に伝達する複数の画素各々の第1トランジスタはターンオンされる。
また、前記電圧感知段階が行われる期間に、前記複数の有機発光ダイオード各々の一電極及び前記対応するデータ線の間に連結された複数の画素各々の第1トランジスタ、前記複数の有機発光ダイオード各々に駆動電流を供給する複数の画素各々の駆動トランジスタ、及び前記対応するデータ線及び前記駆動トランジスタのゲート電極の間に連結された複数の画素各々の第2トランジスタはターンオンされる。
【0018】
本発明の一実施形態による駆動方法において、前記演算段階以前に、前記第2電圧を前記有機発光ダイオードが最低輝度で発光する時に有機発光ダイオードに流れる電流値にシンクして、検出される駆動トランジスタのゲート電極に印加される電圧値及び前記第2電圧との差による補償電圧値で補償する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、有機発光表示装置における画素各々のトランジスタのしきい電圧の不均一及び電子移動度の偏差による輝度の不均一及び偏差を防止して、画質を向上させることができる。
また、本発明によれば、有機発光表示装置の画素各々に含まれる有機発光ダイオードの劣化をリアルタイムで迅速に感知して補償することによって、有機発光ダイオードの劣化に関係なく目的とする輝度で画面を表示することができる。同時に、有機発光ダイオードの劣化感知を迅速に実施すると同時にブラック輝度の達成を実現することが難しい問題を克服して、所望のレベルのブラック輝度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による有機発光表示装置のブロック図である。
図2図1に示された一部の構成を詳細に示した図面である。
図3図1に示された画素の一実施形態を示した回路図である。
図4図1に示された一部の構成及び画素の一実施形態による回路図を示した図面である。
図5】画素及び選択部に供給される一実施形態による駆動波形を示した図面である。
図6】画素及び選択部に供給される一実施形態による駆動波形を示した図面である。
図7】画素及び選択部に供給される一実施形態による駆動波形を示した図面である。
図8】画素及び選択部に供給される一実施形態による駆動波形を示した図面である。
図9】画素及び選択部に供給される他の実施形態による駆動波形を示した図面である。
図10】既存のアルゴリズムを適用した有機発光表示装置の階調別電流曲線を示したグラフである。
図11】本発明の一実施形態によるアルゴリズムを適用した有機発光表示装置の階調別電流曲線を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な相異した形態に具現され、ここで説明する実施形態に限定されない。
また、多様な実施形態において、同一な構成を有する構成要素については同一な符号を使用して代表的に第1実施形態で説明し、その他の実施形態では第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
本発明を明確に説明するために、説明に不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似した構成要素については、同一な参照符号を付けた。
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとする時、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子をおいて「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を排除するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態による有機発光表示装置のブロック図である。
本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、表示部10、走査駆動部20、データ駆動部30、感知駆動部40、タイミング制御部50、補償部60、及び選択部70を含む。
表示部10は、複数の画素100が配列されて、各画素100各々にデータ駆動部30から伝達されるデータ信号による駆動電流の流れに対応する光を発光する有機発光ダイオード(図3のOLED)が含まれる。
【0023】
前記画素100各々に、行方向に形成されて走査信号を伝達する複数の走査線(S1、S2、…、Sn)、発光制御信号を伝達する複数の発光制御線(EM1、EM2、…、EMn)、及び感知信号を伝達する複数の感知線(SE1、SE2、…、SEn)が配列される。 また、前記画素100各々に、列方向に形成されてデータ信号を伝達する複数のデータ線(D1、D2、…、Dm)が配列される。複数のデータ線(D1、D2、…、Dm)は、対応するデータ信号以外に、画素各々に含まれている有機発光ダイオードの劣化程度による有機発光ダイオードの駆動電圧、駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出することができる駆動トランジスタのゲート電極にかかる電圧を選択的にさらに伝達することができる。
【0024】
表示部10は、複数の画素各々に駆動電流を供給するために必要な第1電源電圧ELVDD及び第2電源電圧ELVSSが電源供給装置(図示せず)から伝達される。
走査駆動部20は、表示部10に走査信号を印加する手段であって、複数の走査線(S1、S2、…、Sn)と連結されて、複数の走査信号各々を複数の走査線のうちの対応する走査線に伝達する。
また、走査駆動部20は、表示部10に発光制御信号を印加する手段であって、複数の発光制御線(EM1、EM2、…、EMn)と連結されて、複数の発光制御信号各々を複数の発光制御線のうちの対応する発光制御線に伝達する。
本発明の実施形態では、走査駆動部20が複数の発光制御信号を複数の走査信号と共に生成して伝達することを説明しているが、本発明がこれに限定されるのではない。つまり、本発明の他の実施形態による表示装置は、発光制御駆動部を別途に含むことができる。
【0025】
感知駆動部40は、表示部10に感知信号を印加する手段であって、複数の感知線(SE1、SE2、…、SEn)と連結されて、複数の感知信号各々を複数の感知線のうちの対応する感知線に伝達する。
データ駆動部30は、表示部10にデータ信号を伝達する手段であって、データ駆動部30は、タイミング制御部50から映像データ信号の伝達を受けて複数のデータ信号を生成し、複数の走査信号各々が対応する走査線に伝達される時点に同期して複数のデータ線(D1、D2、…、Dm)に対応する複数のデータ信号を伝達する。そうすると、表示部10に含まれている複数の画素100のうちの走査信号が伝達された1つの行の複数の画素にデータ駆動部30から出力された複数のデータ信号が伝達される。そうすると、複数の画素各々の有機発光ダイオードには対応するデータ信号による駆動電流が流れる。
【0026】
補償部60は、複数の画素各々に含まれている複数の有機発光ダイオードの駆動電圧を検出し、それに基づいて複数の有機発光ダイオード各々の劣化程度(以下、劣化度)を感知し、感知された劣化度を補償するためのデータ信号補償量を決定する。この時、データ信号補償量は感知された劣化度及びデータ信号によって決定される。
また、補償部60は、複数の画素各々に含まれている複数の駆動トランジスタ各々のゲート電極にかかる電圧をセンシングし、これから複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度に対する偏差を補償するために、各駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出する。補償部60は、前記算出された駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度に基づいて、これら値の偏差と関係なくデータ信号に対応する目標輝度で有機発光ダイオードが発光することができるようにデータ信号補償量を決定する。目標輝度とは、基準として設定されたしきい電圧及び移動度を有する駆動トランジスタに当該データ信号が伝達された時に発生する電流が有機発光ダイオードに流れる時に発生する輝度である。
【0027】
補償部60は、複数の画素各々の有機発光ダイオード各々に対して複数の映像データ信号各々に対応するデータ信号補償量を保存している。補償部60は、タイミング制御部50に補償されたデータ信号補償量を伝達し、タイミング制御部50は、映像信号に対応する映像データ信号に対応するデータ信号補償量を加えて補償された映像データ信号を生成する。
選択部70は、複数のデータ線(D1、D2、…、Dm)各々に接続される複数の選択スイッチ(図示せず、以下「データ選択スイッチ」とする)、複数のデータ線(D1、D2、…、Dm)各々から分岐された複数の分岐線を補償部60に連結させる複数の選択スイッチ(図示せず、以下「補償部選択スイッチ」とする)、及び前記複数のデータ選択スイッチ、及び複数の補償部選択スイッチを制御する複数の選択信号を生成して伝達する選択駆動部75を含む。
【0028】
複数のデータ選択スイッチは、表示装置が映像を表示する期間(以下「映像表示期間」とする)の間に、データ駆動部30から出力される複数のデータ信号を複数のデータ線に伝達する。つまり、複数のデータ選択スイッチは映像表示期間の間は全てターンオンされた状態である。
複数の補償部選択スイッチは、有機発光ダイオードOLEDの駆動電圧を測定する期間及びしきい電圧の偏差を算出するために複数の駆動トランジスタ各々のゲート電圧が伝達される期間(以下、2つの期間を合わせて「感知期間」とする)の間に、複数のデータ線各々を補償部60に連結する。複数の補償部選択スイッチは映像表示期間の間は全てターンオフされた状態である。また、感知期間の間に、複数の補償部選択スイッチは順次にターンオンされる。
【0029】
選択駆動部75は、タイミング制御部50から選択駆動制御信号の伝達を受けて、複数のデータ選択スイッチのスイッチング動作を制御する第1選択信号または複数の補償部選択スイッチのスイッチング動作を制御する第2選択信号を生成する。本発明の一実施形態による駆動タイミングに対応する選択部70に対する説明は、後に図4の説明で詳細に記述する。
複数のデータ選択スイッチは映像表示期間では複数の第1選択信号によってターンオンされた状態であるため、複数の画素のうちの所定の画素行に含まれている複数の画素各々は、対応するデータ線から伝達されるデータ信号による駆動電流で発光する。
【0030】
感知期間に、複数の補償部選択スイッチは複数の第2選択信号によって順次にターンオンされる。所定の画素列に感知信号が伝達されている間に、複数のデータ線から分岐された複数の分岐線各々は順次にターンオンされる補償部選択スイッチを通して補償部60に連結される。そうすると、感知信号が伝達された画素列の複数の画素100各々が補償部60に連結される。このような動作は、複数の感知線(SE1、SE2、…、SEn)及び対応する画素列の複数の画素100に対して反復的に行われる。従って、感知信号が伝達された複数の画素100各々に対する情報が対応する第2選択信号によって補償部60に伝達される。この時、画素に対する情報は、有機発光ダイオードOLEDの駆動電圧、移動度、または駆動トランジスタのゲート電極にかかった電圧である。
【0031】
タイミング制御部50は、走査駆動部20、データ駆動部30、感知駆動部40、及び選択部70に含まれる選択駆動部75と連結され、外部から映像信号、同期信号、クロック信号の伝達を受けて、走査駆動部20、データ駆動部30、感知駆動部40、及び選択部70に含まれる選択駆動部75各々を制御する制御信号を生成して各々伝達する。
タイミング制御部50は、赤色、青色、緑色の成分を有する映像信号(RGB Image signal)の入力を受けて、補償部60から伝達されたデータ信号補償量を利用して映像データ信号を生成する。
この時、タイミング制御部50は、駆動トランジスタのしきい電圧、移動度、及び有機発光ダイオードOLEDの駆動電圧に対する偏差を補償するためのデータ信号補償量を映像信号に反映して、映像データ信号を生成する。映像データ信号がデータ駆動部30に伝達され、データ駆動部30が映像データ信号による複数のデータ信号を表示部10の複数の画素に伝達する。そうすると、画素全体は複数の駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の偏差、及び有機発光ダイオードOLEDの劣化による偏差が補償された電流によって発光する。
【0032】
具体的に、本発明の一実施形態による有機発光表示装置の一部の構成を図2に詳細に示した。
図2図1の有機発光表示装置の各構成のうちの特に補償部60を含む一部の構成を詳細に示した図面である。
図2を参照すれば、補償部60がタイミング制御部50及び選択部70に連結されていて、選択部70は、補償部60と共にデータ駆動部30を画素100に連結している。
図2において、画素100は、表示部10を構成する複数の画素全体のうちの対応する1つの画素だけを代表的に示したものであり、本発明の一実施形態による有機発光表示装置に含まれる補償部60、タイミング制御部50、選択部70、及びデータ駆動部30の補償過程及び駆動は、表示部10の複数の画素全体に対して行われる。
【0033】
補償部60は、電流ソース部601、第1電流シンク部603、第2電流シンク部605、アナログデジタル変換部(Analog−Digital Converter、以下「ADC」とする)607を含む。
図2では、電流ソース部601、第1電流シンク部603、及び第2電流シンク部605を各々1つずつ示したが、これに限定されず、電流ソース部601、第1電流シンク部603、及び第2電流シンク部605が各々少なくとも1つ以上形成されてもよい。
また、図2では、電流ソース部601、第1電流シンク部603、及び第2電流シンク部605に連結された1つのADC607を示したが、複数の電流ソース部601、複数の第1電流シンク部603、及び複数の第2電流シンク部605に各々連結されたり、あるいはグルーピング(grouping)されて連結された複数のADC607が形成されてもよい。
【0034】
電流ソース部601は、感知期間に複数の補償部選択スイッチのうちの対応する補償部選択スイッチがターンオンされれば、電流ソース部601に含まれている第1スイッチがターンオンされる期間に、複数の画素のうちの対応する画素100の有機発光ダイオードに第1電流を供給する。そうすると、複数のデータ線のうちの画素100に連結された対応するデータ線を通して画素100の有機発光ダイオードの駆動電圧(以下「第1電圧」とする)がADC607に供給される。ここで、第1電流は、画素100に含まれる有機発光ダイオードOLEDを経由して供給される。従って、ADC607に供給される第1電圧は、有機発光ダイオードOLEDの劣化度を反映する電圧値を有する。
【0035】
具体的に、画素100に含まれている有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど、有機発光ダイオードOLEDの抵抗が増加し、それによって有機発光ダイオードOLEDのアノード電極の電圧値が増加する。第1電流の電流値は、所定の電圧が印加されるように実験的に決定されるが、第1電流が供給された時の有機発光ダイオードの予想可能な電圧値が有機発光ダイオードの劣化によって増加した電圧値、つまり第1電圧に変化すれば、これを感知して、ADC607に伝達する。第1電流に対する正常な有機発光ダイオードの電圧値と第1電圧の電圧値との差に相当する電圧値が有機発光ダイオードの劣化度を示す。
【0036】
電流ソース部601で行われる画素100の有機発光ダイオードの駆動電圧の検出は、複数の補償部選択スイッチのターンオンに応答して表示部10の画素全体で行われ、感知期間に画素全体の第1電圧各々がADC607に伝達される。
第1電流シンク部603は、感知期間に複数の補償部選択スイッチのうちの対応する補償部選択スイッチがターンオンされれば、第1電流シンク部603に含まれている第2スイッチがターンオンされる期間に、複数の画素のうちの対応する画素100に第2電流をシンクする。第2電流は、画素100に含まれる駆動トランジスタを経由してシンクされる。そうすると、複数のデータ線のうちの画素100に連結された対応するデータ線を通して駆動トランジスタのゲート電極にかかった電圧(以下「第2電圧」とする)が伝達される。第2電圧を利用して画素100の駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出することができる。第2電圧などを利用した具体的な駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の算出は、図4で後述する。
【0037】
第2電流の電流値は、定められた時間内に所定の電圧が印加されるように多様に設定されるが、特に高階調データ電圧に対応する電流値に設定される。好ましくは、画素100が最大輝度で発光する時に有機発光ダイオードOLEDに流れなければならない電流値(Imax)に設定される。
第1電流シンク部603で行われる画素100の駆動トランジスタの第2電圧の検出は、複数の補償部選択スイッチのターンオンに応答して表示部10の画素全体で行われ、感知期間に画素全体の第2電圧各々を全て検出してADC607に伝達する。
【0038】
一方、第2電流シンク部605は、感知期間に複数の補償部選択スイッチのうちの対応する補償部選択スイッチがターンオンされれば、第2電流シンク部605に含まれている第3スイッチがターンオンされる期間に、複数の画素のうちの対応する画素100に第3電流をシンクする。第3電流は、画素100に含まれる駆動トランジスタを経由してシンクされる。そうすると、複数のデータ線のうちの画素100に連結された対応するデータ線を通して駆動トランジスタのゲート電極にかかった電圧(以下「第3電圧」とする)がADC607に伝達される。同様に、第3電圧を利用して画素100の駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度を算出することができる。
この時、第3電流は、第2電流に比べて低い電流値を有するように設定される。特に、低階調データ電圧に対応する電流値に設定される。
【0039】
一実施形態として、第3電流は、第2電流の0.1%乃至50%の電流値である。
他の一実施形態として、第3電流は、画素100が最大輝度で発光する時に有機発光ダイオードOLEDに流れなければならない電流値(Imax)の1/4に相当する電流値である。
前記実施形態において、第3電流にシンクした時にセンシングされた画素100の第3電圧は、最低階調データ電圧に対応する電流値にシンクした時に検出される画素の駆動トランジスタのゲート電極の電圧値との差を利用して先に補償した後に、駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の算出に使用される。
これは、最低階調データ電圧に対応する電流値程度に低い電流にシンクする時に発生する短所を克服して、長所を維持するためである。
【0040】
つまり、最低階調データ電圧に対応する電流値にシンクする場合、画素100の駆動トランジスタのゲート電極にかかる電圧が対応するデータ線に充電される時間が相対的に長いため、リアルタイムの迅速な電圧センシングが難しい問題がある。また、低い電流値にシンクする場合、ハードウェア上の実現が難しく、正確な値で偏差なく実現するのが難しい。しかし、最低階調データ電圧に対応する電流値にシンクする場合には、所望のレベルのブラック輝度を得ることができて、低階調データの実現が容易な長所がある。
【0041】
従って、本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、最低階調データ電圧に対応する電流値より高い電流値に第3電流を設定し、それによって短時間内に第3電圧をセンシングして、リアルタイムのデータ補償を容易にする。しかし、それによってブラック輝度の達成が難しくなる点は、最低階調データ電圧に対応する電流値にシンクする時にセンシングされる駆動トランジスタの電圧に基づいて第3電圧との差による補償電圧値を求め、これを反映して補完するようにする。
第2電流シンク部605で行われる画素100の駆動トランジスタの第3電圧の検出は、複数の補償部選択スイッチのターンオンに応答して表示部10の画素全体で行われ、感知期間に画素全体の第3電圧各々を全て検出してADC607に伝達する。
【0042】
感知期間に複数の画素各々に対してセンシングされた第2電圧及び第3電圧の各々は、複数の画素各々に含まれている駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び電子移動度を算出するのに利用される。
ADC607は、表示部10全体の画素に対して各々センシングされて電流ソース部601、第1電流シンク部603、及び第2電流シンク部605から各々供給される第1電圧、第2電圧、及び第3電圧各々をデジタル値に各々変換する。
また、図2を参照すれば、補償部60は、メモリ部609及び制御部613を含む。
メモリ部609は、ADC607から伝達された第1電圧、第2電圧、第3電圧各々のデジタル値を保存する。
【0043】
制御部613は、複数の画素各々に対してセンシングされた第1電圧、第2電圧、第3電圧に対するデジタル情報を利用して、複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度の偏差、及び複数の有機発光ダイオードOLED各々の劣化度を算出する。メモリ部609は、算出された複数の駆動トランジスタ各々のしきい電圧及び移動度の偏差、及び複数の有機発光ダイオードOLED各々の劣化度を保存する。
このように、メモリ部609は、各画素の駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の偏差、有機発光ダイオードOLEDの劣化度を画素単位で保存する。
【0044】
制御部613は、算出された駆動トランジスタのしきい電圧、移動度、及び有機発光ダイオードOLEDの劣化度によって映像データ信号を補償するデータ信号補償量を算出する。メモリ部609は、前記データ信号補償量をルックアップテーブル611形態で保存する。この時、ルックアップテーブル611は、映像データ信号、駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度、有機発光ダイオードOLEDの劣化度の偏差を補償するデータ信号補償量を保存したり、データ信号補償量を算出する演算式を保存する。
【0045】
タイミング制御部50は、映像信号から任意の画素の階調を示す所定のビットの映像データ信号Data1を制御部613に伝達する。制御部613は、当該画素の駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の偏差、及び有機発光ダイオードOLEDの劣化度の情報をメモリ部609から検出し、検出された偏差及び劣化度によって伝達された映像データ信号を補償するためのデータ信号補償量をルックアップテーブル611から読み取る。
制御部613は、読み取られたデータ信号補償量をタイミング制御部50に伝達し、タイミング制御部50は、映像データ信号Data1にデータ信号補償量を加えて補正された映像データ信号Data2を生成してデータ駆動部30に伝達する。
【0046】
具体的に、映像データ信号Data1は、1つの画素の階調を示す8ビット単位のデジタル信号が連続的に配列されたデジタル信号である。タイミング制御部50は、8ビット単位のデジタル信号各々に対応するデータ信号補償量を加えて異なるビット数、例えば10ビット単位のデジタル信号に生成することができる。そうすると、補正された映像データ信号Data2は、10ビット単位のデジタル信号が連続的に配列された信号となる。
補正された映像データ信号Data2の供給を受けたデータ駆動部30がこれを利用してデータ信号を生成し、生成されたデータ信号を表示部10の複数の画素100各々に供給する。そうすると、複数の画素各々は、イメージスティッキング現象が補償されると同時にムラの原因が除去されて、均一な輝度で映像を表示するようになる。
【0047】
図3図1に示された画素の一実施形態を示した回路図である。
図3図1に示された表示部10に含まれている複数の画素のうちのn番目の画素行及びm番目の画素列に相当する位置の画素100の回路図を代表的に示したものである。
図3の実施形態による画素100は、有機発光ダイオード(Organic−Light Emitting Diode、OLED)、駆動トランジスタM1、第1トランジスタM3、第2トランジスタM2、第3トランジスタM4、及びストレージキャパシタCstを含む。
画素100は、アノード電極に流入される駆動電流に対応して発光する有機発光ダイオードOLED、有機発光ダイオードOLEDに駆動電流を伝達する駆動トランジスタM1を含む。
【0048】
駆動トランジスタM1は、有機発光ダイオードOLEDのアノード電極と第1電源電圧ELVDDとの間に位置して、第1電源電圧ELVDDから有機発光ダイオードOLEDを経由して第2電源電圧ELVSSに流れる電流量を制御する。
具体的に、駆動トランジスタM1のゲート電極はストレージキャパシタCstの一端に接続され、第1電極はストレージキャパシタCstの他端及び第1電源電圧ELVDDに接続される。駆動トランジスタM1は、ストレージキャパシタCstに保存されたデータ信号による電圧値に対応して第1電源電圧ELVDDから有機発光ダイオードOLEDに流れる駆動電流を制御する。この時、有機発光ダイオードOLEDは、駆動トランジスタM1から供給される駆動電流量に対応する光を発光させる。
【0049】
第1トランジスタM3は、有機発光ダイオードOLEDのアノード電極と複数のデータ線のうちの画素100に連結されたデータ線Dmとの間に位置して、前記有機発光ダイオードOLEDから有機発光ダイオードの駆動電圧の伝達を受ける。
具体的に、第1トランジスタM3のゲート電極は複数の感知線のうちの画素100に連結された感知線SEnに接続され、第1電極は有機発光ダイオードOLEDのアノード電極に連結され、第2電極は複数のデータ線のうちの対応するデータ線Dmに連結される。第1トランジスタM3は、感知線SEnにゲートオン電圧レベルの感知信号が供給される場合にはターンオンされ、その他の場合にはターンオフされる。前記感知信号は感知期間に供給される。
【0050】
第2トランジスタM2は、複数の走査線のうちの画素100に連結された走査線Snと前記複数のデータ線のうちの画素100に連結されたデータ線Dmに接続され走査線Snとから伝達される走査信号に応答して駆動トランジスタM1にデータ信号を伝達する。
具体的に、第2トランジスタM2のゲート電極は複数の走査線のうちの対応する走査線Snに接続され、第1電極は複数のデータ線のうちの対応するデータ線Dmに接続され、第2電極は駆動トランジスタM1のゲート電極に接続される。このような第2トランジスタM2は、走査線Snにゲートオン電圧レベルの走査信号が供給される場合にはターンオンされ、その他の場合にはターンオフされる。前記走査信号は、感知期間のうち、補償部60から駆動トランジスタM1のゲート電極にかかる電圧がセンシングされる期間及びデータ線Dmから所定のデータ信号が伝達される期間にだけオン電圧レベルである。
【0051】
第3トランジスタM4は、有機発光ダイオードOLEDのアノード電極と駆動トランジスタM1との間に位置して、複数の発光制御線のうちの画素100に連結された発光制御線EMnに接続され、発光制御線EMnから伝達される発光制御信号に応答して有機発光ダイオードOLEDの発光を制御する。
具体的に、第3トランジスタM4のゲート電極は複数の発光制御線のうちの対応する発光制御線EMnに接続され、第1電極は駆動トランジスタM1の第2電極に接続され、第2電極は有機発光ダイオードOLEDのアノード電極に接続される。第3トランジスタM4は、発光制御線EMnにゲートオン電圧レベルを有する発光制御信号が供給される場合にはターンオンされ、その他の場合にはターンオフされる。
【0052】
ストレージキャパシタCstは、一端が駆動トランジスタM1のゲート電極に接続され、他端が駆動トランジスタM1の第1電極及び第1電源電圧ELVDDに接続されている。
ストレージキャパシタCstには駆動トランジスタM1のしきい電圧に対応する電圧が充電されているので、データ線Dmからデータ信号が伝達されると、ストレージキャパシタCstの一端と駆動トランジスタのゲート電極が連結されている第1ノードN1にかかる電圧は前記データ信号に対応して変化する。その後、駆動トランジスタM1及び第3トランジスタM4がターンオンされて、第1電源ELVDD及び有機発光ダイオードOLEDのカソード電極までの電流経路が形成されると、それによって駆動トランジスタM1のVgs電圧値、つまり駆動トランジスタM1のゲート電極に印加されたデータ信号の電圧と第1電極の電圧ELVDDとの差に相当する電圧に対応する電流が有機発光ダイオードOLEDに印加されて、これに対応する明るさで発光する。
【0053】
図4図1に示された一部の構成及び画素の一実施形態による回路図を示した図面である。
具体的に、図4は前記図1の選択部70、補償部60を含む詳細な構成及び前記図3の画素100の回路図を連結して示したものである。図4で、画素100は、表示部10を構成する複数の画素全体のうちの対応する1つの画素だけを代表的に示したものであり、本発明の一実施形態による有機発光表示装置に含まれる補償部60、タイミング制御部50、選択部70、及びデータ駆動部の補償過程及び駆動が表示部10の複数の画素全体に対して行われるのはもちろんである。
【0054】
それでは、図4と共に図5乃至図9の波形図を利用して、本発明の一実施形態による有機発光表示装置におけるイメージスティッキング及びムラ現象が補償される過程を説明する。
図4では、選択部70の複数のデータ選択スイッチ及び複数の補償部選択スイッチのうちの画素100に連結されたデータ線Dmに連結されているデータ選択スイッチSW1及び補償部選択スイッチSWmだけを示した。
補償部選択スイッチSWmは、画素100に連結されたデータ線Dmから分岐された分岐線に連結されている。ここで、データ線から分岐された分岐線とは、補償線73を意味する。
【0055】
補償部選択スイッチSWmが感知期間にターンオンされると、補償部選択スイッチSWmを通じて補償線73及びデータ線Dmを経て画素100に対するセンシングが行われる。前記対応するデータ線Dmに連結された補償線73に補償部60の電流ソース部601、第1電流シンク部603、及び第2電流シンク部605が連結されている。
電流ソース部601は、第1スイッチSW2を含み、第1スイッチSW2のスイッチング動作によって制御される。第1電流シンク部603は、第2スイッチSW3を含み、第2スイッチSW3によって駆動が制御される。また、第2電流シンク部605は、第3スイッチSW4を含み、第3スイッチSW4によって制御される。第1スイッチSW2、第2スイッチSW3、及び第3スイッチSW4のスイッチング動作を制御する選択信号各々は、タイミング制御部50で生成されて伝達されたり、あるいは選択部70の選択駆動部75で生成されて伝達される。
【0056】
第1スイッチSW2、第2スイッチSW3、及び第3スイッチSW4は、1つのノードに共通的に接続することができ、前記ノードの電圧がADC607に伝達される。
図5は第1電流シンク部603が第2電圧をセンシングするための波形図であり、図6は第2電流シンク部605が第3電圧をセンシングするための波形図である。図7は補償部60の電流ソース部601が第1電圧をセンシングするための波形図であり、図8はデータ信号が伝達されて、画素100で映像が表示されるための波形図である。図9は本発明の他の実施形態による有機発光表示装置の駆動波形図であって、第1電圧をセンシングすると同時に画素100にデータ信号を伝達して映像を表示するための波形図である。
【0057】
前記図5乃至図9の波形図は、図4に提示された画素100の回路を構成するトランジスタ及び複数の選択スイッチがPMOSであることを想定して提案したものであって、画素100の回路に含まれるトランジスタ及び複数の選択スイッチがNMOSで具現されると、波形図の極性が反転する。
一方、本発明の実施形態では、有機発光表示装置の表示部10のディスプレイ以前にイメージスティッキング及びムラ現象に対する補償過程が行われればよいので、前記各補償過程は、図5乃至図9の順序に限定されない。補償時期は、自動的に決定された所定の時間に行われてもよく、使用者が決定する任意の時間に行われてもよい。
【0058】
図4に示された本発明の一実施形態による有機発光表示装置において、図5の波形図によって画素100の駆動トランジスタM1のゲート電極にかかる電圧がセンシングされる過程は下記の通りである。
図5を参照すれば、時点t1に画素100に対応するデータ線に接続されたデータ選択スイッチSW1を制御するデータ選択信号SWC1がハイレベルで伝達されて、データ選択スイッチSW1がターンオフされる。反面、画素100に対応するデータ線から分岐された補償線73に接続された補償部選択スイッチSWmは、これを制御する補償部選択信号SWCmが時点t1でローレベルで伝達されるので、ターンオンされる。
【0059】
時点t1に画素100に供給される走査信号S[n]、発光制御信号EM[n]、及び感知信号SE[n]各々がローレベル電圧で伝達される。これによって、図4の画素100内で走査信号S[n]が伝達された第2トランジスタM2、発光制御信号EM[n]が伝達された第3トランジスタM4、及び感知信号SE[n]が伝達された第1トランジスタM3が時点t1でターンオンされる。
第2トランジスタM2、第3トランジスタM4、及び第1トランジスタM3がターンオンされるP1期間に、第1電流シンク部603の第2スイッチSW3はローレベルの選択信号SWC3によってターンオンされる。そうすると、第2電流がこの期間にターンオンされた補償部選択スイッチSWmを通じて連結されたデータ線を通してシンクされる。
【0060】
従って、駆動トランジスタM1がターンオンされて、第1電源電圧ELVDDから有機発光ダイオードのカソード電極まで電流経路が形成される。また、駆動トランジスタM1のゲート電極と第1電極との電圧差Vgsは、第2電流に対応する電圧値に形成され、それに基づいて駆動トランジスタM1のゲート電極の電圧(第2電圧)が第1ノードN1に印加される。
【0061】
前記第2電圧は、第2トランジスタM2を通じて画素100に連結されたデータ線Dm及び補償線73を経由してADC607に伝達されて、デジタル値に変換される。
図6を参照すれば、時点t3から時点t4までの間にデータ選択スイッチSW1を制御するデータ選択信号SWC1がハイレベルで伝達されて、データ選択スイッチSW1がターンオフされる。反面、画素100に対応するデータ線から分岐された補償線73に接続された補償部選択スイッチSWmは、これを制御する補償部選択信号SWCmが時点t3でローレベルで伝達されるので、ターンオンされる。
時点t3で、画素100に供給される走査信号S[n]、発光制御信号EM[n]、及び感知信号SE[n]各々がローレベル電圧で伝達されて、第2トランジスタM2、第3トランジスタM4、及び第1トランジスタM3各々はP2期間の間にターンオンされる。
【0062】
この時、第2電流シンク部605の第3スイッチSW4は、ローレベルの選択信号SWC4に応答してターンオンされる。そうすると、第2電流シンク部605がP2期間にターンオンされた補償部選択スイッチSWmを通じて連結されたデータ線を通して第3電流をシンクする。
従って、駆動トランジスタM1がターンオンされて、第1電源電圧ELVDDから有機発光ダイオードのカソード電極まで電流経路が形成される。また、駆動トランジスタM1のゲート電極と第1電極との電圧差Vgsは、第3電流に対応する電圧値に形成され、それに基づいて駆動トランジスタM1のゲート電極の電圧第3電圧が第1ノードN1に印加される。
【0063】
前記第3電圧は、第2トランジスタM2を通じて画素100に連結されたデータ線Dm及び補償線73を経由してADC607に伝達されて、デジタル値に変換される。
補償部60のメモリ部609は、前記変換された第2電圧及び第3電圧のデジタル値を各々保存し、制御部613は、これら電圧値から画素100の駆動トランジスタM1のしきい電圧及び電子移動度を算出する。
一実施形態として、第1電流シンク部603でシンクする第2電流の電流値は、画素が最大輝度で発光する時の電流値Imaxに設定し、第2電流シンク部605でシンクする第3電流の電流値は、低階調データ電圧に対応する電流値に設定し、特に、Imaxの1/4に相当する電流値1/4Imaxに設定する。
【0064】
前記第2電流及び第3電流に各々シンクした時に図4の第1ノードN1に印加される駆動トランジスタM1のゲート電極の電圧値、つまり第2電圧の電圧値V1及び第3電圧の電圧値V2各々は、下記のように算出される。
【0065】
【数1】
【0066】
【数2】
【0067】
数式1及び2のELVDDは、第1電源電圧ELVDDから供給される電圧値であって、駆動トランジスタM1の第1電極にかかる電圧である。
また、βは、駆動トランジスタM1のチャンネルを移動する電子の移動度であり、|VthM1|は、画素100の駆動トランジスタM1の固有しきい電圧である。
従って、前記2つの数式のうちの2つの未知数である駆動トランジスタM1のしきい電圧及び移動度を求めることができる。
【0068】
ただし、Imaxの1/4に相当する電流値1/4Imaxに設定された第3電流にシンクして補償する場合には、低階調データの実現が難しい問題が発生する。特に、所望のレベルのブラック輝度の達成が難しいため、第3電流にシンクした時に検出される第3電圧の電圧値V2に所定の補償電圧値Vshiftを印加して計算する。そうすると、最小の電流でシンクしなかったため、第3電圧の検出時間が速くなると同時に所望のレベルのブラック輝度の達成が可能になる。補償電圧値Vshiftを反映した数式は、下記の通りである。
【0069】
【数3】
【0070】
ここで、V3電圧値は、画素100が最低輝度で発光する時の電流値に画素100をシンクした時に第1ノードN1に印加される電圧値を意味する。階調全体が256階調である場合であれば、1/256Imaxの電流値にシンクした時に検出される電圧値である。
前記数式1及び3を利用して駆動トランジスタの移動度及びしきい電圧に関する未知数Q1及びQ2を計算すれば、表示部10の複数の画素各々に含まれている駆動トランジスタM1のしきい電圧及び移動度を算出することができる。
未知数Q1及びQ2は、下記の数式4及び5に示した。
【0071】
【数4】
【0072】
【数5】
【0073】
このように制御部613で算出された複数の画素各々に対する駆動トランジスタM1のしきい電圧及び移動度は、メモリ部609に保存される。
図7の波形図は、画素100の有機発光ダイオードOLEDの駆動電圧がセンシングされる期間の波形図である。
図7を参照すれば、時点t5から時点t6までのP3期間にデータ選択信号SWC1がハイレベルで伝達されて、データ選択スイッチSW1がターンオフされ、補償部選択信号SWCmがローレベルであるため、画素100に対応するデータ線から分岐された補償線73に接続された補償部選択スイッチSWmがターンオンされる。
【0074】
P3期間に、走査信号S[n]及び発光制御信号EM[n]はハイレベル電圧で伝達され、感知信号SE[n]はローレベル電圧で伝達される。
従って、画素100内で走査信号S[n]が伝達された第2トランジスタM2及び発光制御信号EM[n]が伝達された第3トランジスタM4はP3期間にターンオフされ、感知信号SE[n]が伝達された第1トランジスタM3はP3期間にターンオンされる。
この時、電流ソース部601の第1スイッチSW2は、ローレベルの選択信号SWC2が伝達され、それに応答してターンオンされる。そうすると、電流ソース部601がP3期間にターンオンされた補償部選択スイッチSWmを通じて連結された補償線73及びデータ線Dmで第1電流を有機発光ダイオードOLEDに供給する。
【0075】
正常な有機発光ダイオードの場合、アノード電極に印加される駆動電圧は第1電流に対応する適切な電圧値になるが、劣化した有機発光ダイオードの場合、抵抗が増加して、有機発光ダイオードのアノード電極に印加される駆動電圧が相対的に増加する。このように増加した有機発光ダイオードの駆動電圧は第1電圧であり、第1電圧がターンオンされた第1トランジスタM3を通じてデータ線Dm及び補償線73を経てADC607に伝達されて、デジタル値に変換される。
メモリ部609は、第1電圧のデジタル値を保存し、制御部613は、有機発光ダイオードがデータ信号による適切な輝度で発光することができるように、第1電圧に基づいて劣化によって増加した電圧値だけ補償するデータ信号補償量を決定する。
【0076】
図8は画素100が正常にデータ信号によって発光するための波形図を示した図面である。
時点t7から時点t8の期間に、画素100に対応するデータ線に接続されたデータ選択スイッチSW1は、データ選択信号SWC1がローレベルであるため、これに応答してターンオンされる。反面、画素100に対応するデータ線から分岐された補償線73に接続された補償部選択スイッチSWmは、これを制御する補償部選択信号SWCmが時点t7から時点t8の期間にハイレベルで伝達されるので、ターンオフされる。
【0077】
そして、時点t7で、画素100に供給される走査信号S[n]がローレベル電圧で供給されて、第2トランジスタM2はP4期間にターンオンされる。
P4期間に、データ駆動部30は、前記ターンオンされたデータ選択スイッチSW1を通じて対応するデータ線Dmに補償されたデータ信号を伝達する。データ信号は第2トランジスタM2を経て第1ノードN1に伝達されるが、第1ノードN1に連結されたストレージキャパシタCstは、データ信号に対応する電圧値を充電する。
画素100に伝達されるデータ信号は、図4のタイミング制御部50で補正された映像データ信号から生成されたものである。
【0078】
補正された映像データ信号は、データ駆動部30のデジアナ変換部31を経てアナログデータ信号に変換される。
前記アナログデータ信号は、ネガティブフィードバック(negative feedback)方式の演算増幅器(Operational Amplifier)33を経て複数の画素のうちの対応する画素100に連結されたデータ線Dmに供給される。そうすると、画素100の有機発光ダイオードは、補正されたデータ信号によって発光するようになるので、表示部10全体の映像でイメージスティッキング及びムラ現象が除去されて、良質な画面を提供することができる。
【0079】
図9は、本発明の他の実施形態として、正常なディスプレイ駆動時に有機発光ダイオードOLEDの駆動電圧をリアルタイムでセンシングする過程を示した波形図である。
図9を参照すれば、時点t9で、補償部選択信号SWCmがローレベルに下降してP5期間はローレベルが維持されるので、画素100に対応するデータ線から分岐された補償線73に接続された補償部選択スイッチSWmがP5期間にターンオンされる。その後、時点t10で、補償部選択信号SWCmがハイレベルに上昇するので、補償部選択スイッチSWmはP6期間にターンオフされる。反面、P5期間にデータ選択信号SWC1がハイレベルで伝達されて、データ選択スイッチSW1がターンオフされ、P6期間にデータ選択信号SWC1がローレベルで伝達されて、データ選択スイッチSW1がターンオンされる。
【0080】
時点t9で、画素100に供給される感知信号SE[n]がローレベル電圧でP5期間に供給される。電流ソース部601の第1スイッチSW2は、P5期間に選択信号SWC2に応答してターンオンされる。
そうすると、電流ソース部601は、P5期間に前記図7で説明したような方式でターンオンされた補償部選択スイッチSWmを通じて連結されたデータ線及び補償線73で第1電流を有機発光ダイオードOLEDに供給し、ターンオンされた第1トランジスタM3を通じて第1電圧がADC607に伝達される。
時点t10では、選択信号SWC2に応答して第1スイッチSW2がターンオフされると同時に、データ選択信号SWC1がローレベルに下降して、P6期間にデータ選択スイッチSW1がターンオンされる。
【0081】
時点t10で、画素100に供給される走査信号S[n]がローレベル電圧で供給されるので、第2トランジスタM2がP6期間にターンオンされる。そうすると、データ信号がP6期間に前記図8で説明したような方式で対応するデータ線Dmを通じて第2トランジスタM2を通過して第1ノードN1に伝達されて、ストレージキャパシタCstは対応するデータ信号による電圧値を充電する。
ストレージキャパシタCstにデータ信号に対応する電圧が充電された後、時点t11で走査信号S[n]がハイレベル電圧に上昇すると、第2トランジスタM2がターンオフされ、その反面、発光制御信号EM[n]はローレベル電圧に下降して、第3トランジスタM4がターンオンされる。従って、駆動トランジスタM1からデータ信号に対応する駆動電流が有機発光ダイオードOLEDに供給されて、所定の輝度の映像が表示される。
【0082】
図9の実施形態のような波形図では、画素100に対応する走査信号S[n]が供給される以前に対応する感知信号SE[n]を供給して、有機発光ダイオードOLEDの駆動電圧情報をメモリ部609に保存することができる。所定の1つのフレーム期間に有機発光ダイオードの駆動電圧が感知されてメモリ部609に保存され、これに基づいて補償されたデータ信号は下記のフレーム期間に画素に伝達されて発光される。
図10は既存のアルゴリズムを適用した有機発光表示装置の階調別電流曲線を示したグラフである。
【0083】
具体的に、図10図5及び図6の波形図による画素の駆動トランジスタのゲート電極にかかる電圧を各々検出し、数式1及び2を利用して駆動トランジスタのしきい電圧及び移動度の偏差を求めた後、これを補償してデータ信号を補正した映像の階調別電流曲線グラフを示したものである。
図10を参照すれば、補償されたデータ信号によって発光した画素が低階調データ領域を十分に実現することができないことが分かる。
しかし、最低階調データ電圧に対応する電流値にシンクして検出した画素の駆動トランジスタのゲート電極の電圧値との差を補償する補償電圧値Vshiftを反映して補償量を算出した場合、図11のように2.2ガンマ曲線に一致して、低階調データ領域まで十分に表現されていることが分かる。
【0084】
以上で、本発明の具体的な実施形態と関連して本発明を説明したが、これは例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。従って、当業者は、本発明の範囲を逸脱せずに説明された実施形態を変更または変形することができ、このような変更または変形も本発明の範囲に属する。また、明細書で説明した各構成要素の物質は、当業者が公知された多様な物質から容易に選択して代替することができる。また、当業者は、本明細書で説明された構成要素のうちの一部を性能の劣化なく省略したり、性能を改善するために構成要素を追加することができる。そればかりか、当業者は、工程環境や装備によって本明細書で説明した方法段階の順序を変更することもできる。従って、本発明の範囲は、説明された実施形態でなく、特許請求の範囲及びその均等物によって決定されなければならない。
【符号の説明】
【0085】
10 表示部
20 走査駆動部
30 データ駆動部
31 デジアナ変換部
33 演算増幅器
40 感知駆動部
50 タイミング制御部
60 補償部
70 選択部
73 補償線
75 選択駆動部
100 画素
601 電流ソース部
603 第1電流シンク部
605 第2電流シンク部
607 ADC
609 メモリ部
611 ルックアップテーブル
613 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11