特許第5761781号(P5761781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761781
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】演出ユニット及び遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-289171(P2010-289171)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-135401(P2012-135401A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390031783
【氏名又は名称】サミー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(72)【発明者】
【氏名】本村 剛
【審査官】 酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010-187818(JP,A)
【文献】 特開2002-045472(JP,A)
【文献】 特開2004-065916(JP,A)
【文献】 特開2005-204797(JP,A)
【文献】 特開2010-264006(JP,A)
【文献】 特開2007-185344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面又は裏面の少なくともいずれか一方に意匠が形成されて意匠面とされ、前方の遊技者に対して該意匠面を立位呈示する略平板状の意匠部材と、
該意匠部材より前方にその後面を該意匠部材に対向させて配置され、透光性を有するレンズ部材と、を有し、
遊技に取り付けられて遊技の演出を実現する演出ユニットであって、
前記レンズ部材は、
前記遊技者が該レンズ部材を介して、前記遊技盤に取り付けられた状態における前記意匠部材の遊技盤中央に近い側の端部近傍位置である第1位置を視認する際の第1視線上における第1レンズ厚さと、
前記遊技者が該レンズ部材を介して、前記遊技盤に取り付けられた状態における前記意匠部材の遊技盤中央から遠い側の端部近傍位置である第2位置を視認する際の第2視線上における第2レンズ厚さと、
前記遊技者が該レンズ部材を介して、前記遊技機に取り付けられた状態における前記意匠部材の前記第1位置と前記第2位置との間である第3位置を視認する際の第3視線上における第3レンズ厚さと、が異なるレンズ厚さとなるように構成され、
前記第1レンズ厚さよりも前記第3レンズ厚さの方が厚く、前記第3レンズ厚さよりも前記第2レンズ厚さの方が厚く、かつ、
前記第1視線上における前記後面と前記意匠面との第1距離よりも前記第視線上における前記後面と前記意匠面との第距離の方が大きくなるように設定されている、演出ユニット。
【請求項2】
前記意匠部材より後方に、前記意匠面に対応して立位呈示される偏光面を有する透光性の偏光部材が配置され、
該偏光面は、前記遊技者に対して波紋状の陰影を呈示する断面凹凸状の陰影形成部を有し、かつ、前記偏光面上において、該波紋状の陰影ピッチが変化するように前記陰影形成部における凹凸ピッチが変化している、請求項1に記載の演出ユニット。
【請求項3】
前記偏光部材より後方に、
前記意匠面に向けて照明光を発光する発光手段が複数配置されている、請求項2に記載の演出ユニット。
【請求項4】
遊技球が流下する遊技領域を備えた遊技盤と、
前記遊技盤を遊技者に視認可能に保持する枠体と、
前記遊技盤に向けて遊技球を発射する遊技球発射手段と、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の演出ユニットと、
を有する遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
演出ユニット及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては、弾球された球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で球が遊技領域内の遊技釘や風車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
このパチンコ機の遊技領域に配置される遊技部品としては、遊技釘等の流路変更部材、遊技球が流入可能な各種入賞口、遊技球の通過を検出する通過ゲート、画像演出を実行する画像表示手段、及び遊技者に対して文字等を表示する表示装置がある。画像表示手段や表示装置によって遊技者に対して種々の情報を表示したり、画像を表示したりして各種演出を提供している。例えば、特許文献1には、7セグメント表示機等の発光表示装置における発光態様の向上を図り、発光表示装置の発光表示を視認し易くするように構成した遊技機が記載されている。
【0004】
この表示装置は、点発光する発光部材と、発光部材からの光を通過させる貫通孔を有したパターン部材と、パターン部材が有する貫通孔を通過した光を拡散する拡散シートと、拡散シートで拡散された光を結像させるように集める集光シートと、を備え、発光部材の発光に応じて集光シート前面に貫通孔の形状をなす発光面を発光表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−082401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている表示装置は、遊技者に視認される発光表示装置の前面部が平面的に構成されており、平面的な演出表示がなされるのみであった。この従来の表示装置は、表示態様の変化は意外性に乏しく、遊技者が飽きやすいおそれがあり、遊技中の遊技者に興味を持って発光表示装置を注視させる魅力に乏しいという課題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、特殊な3D表面加工技術等を用いることなく、演出ユニットが実現する演出に対する遊技者の関心を高めることができる演出ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての演出装置は、表面又は裏面の少なくともいずれか一方に意匠が形成されて意匠面とされ、前方の遊技者に対して該意匠面を立位呈示する略平板状の意匠部材と、該意匠部材より前方にその後面を該意匠部材に対向させて配置され、透光性を有するレンズ部材と、を有し、遊技機に取り付けられて遊技の演出を実現する演出ユニットであって、前記レンズ部材は、前記遊技者が該レンズ部材を介して前記意匠部材の第1位置を視認する際の第1視線上における第1レンズ厚さと、前記遊技者が該レンズ部材を介して前記意匠部材の前記第1位置と異なる第2位置を視認する際の第2視線上における第2レンズ厚さと、が異なるレンズ厚さとなるように構成され、かつ、前記第1視線上における前記後面と前記意匠面との第1距離と、前記第2視線上における前記後面と前記意匠面との第2距離と、が異なるように設定されている。
【発明の効果】
【0009】
特殊な3D表面加工技術等を用いることなく、演出ユニットが実現する演出に対する遊技者の関心を高めることができる演出ユニット及び遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ機の背面図である。
図3】実施の形態に係る演出装置を示す斜視図である。
図4図3に示す演出装置の分解斜視図である。
図5A図3に示す演出装置の正面図である。
図5B図5Aに示す演出装置のA−A線拡大断面図である。
図6】実施の形態に係る偏光部材の背面を示す背面図である。
図7】実施の形態に係る演出ユニットを説明するための模式図である。
図8】実施の形態に係る演出ユニットを説明するための模式図である。
【実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は、実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、前面ガラス(前面透明板)10、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有している。発射ユニットは、球23を1個ずつ遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
【0012】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて球23が発射ユニットによって発射され、球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技球の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、弾球遊技機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式遊技機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0013】
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技球用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0014】
パチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その内側にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する機枠9、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持され前面ガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持する装飾枠、を有して遊技機枠3が構成される。なお、前面ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤(遊技装置体)6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
【0015】
前面ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。前面ガラス10は透明平板ガラスで形成されて装飾枠の裏面側に保持され、遊技盤6との間に球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者が前面ガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0016】
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上皿14aと球排出ボタン14bとを有している。
【0017】
発射ユニットは、球供給装置(不図示)によって貯留皿14から発射位置に送り出された球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、機枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
【0018】
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されるとともに、この演出表示装置7aの表示画面を露出させるための表示開口部が形成されている。センター役物7と演出表示装置7aとによって所定の識別情報を示すことができるように構成されている。遊技盤6の上部には、遊技の状況に応じた視覚的演出を実行する演出装置500が、遊技盤6に対して可動的に取り付けられている。
【0019】
遊技盤6は、その表面側に球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての機枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の内側面26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の内側面26aによって画定され、内側面26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0020】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、中央大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、通過ゲート33、風車34等が配置されており、流下する球23が各入球部材に流入したり、通過ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0021】
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、演出装置500が配置されている。
【0022】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示画面には、第1装飾図柄7bを含む演出表示がなされる。また、例えば、キャラクタ等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も演出表示装置7aの表示画面上に表示されるようになっている。
【0023】
図2は、図1に示すパチンコ機の背面図である。遊技盤6の背面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示等演出の制御及びセンター役物7、演出装置500の発光制御を行う演出制御基板を収容した演出制御基板ケース36と、景品球の払出しを制御する払出制御基板を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0024】
次いで、図3から図6の図面を参照して、本実施の形態における演出装置500の構成について詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る演出装置500の斜視図であり、図4は、図3に示す演出装置500の分解斜視図である。図5Aは、図3に示す演出装置500の正面図であり、図5Bは、図5Aの演出装置500のA−A線拡大断面図であり、図6は、偏光部材540の背面542を示す背面図である。なお、図において同一の部材、部位には同一の符号を付し、各図面における説明を省略する場合がある。
【0025】
演出装置500は、前面側支持部材510と、前面側支持部材510の背面側からレンズ部521a,522a等を露出させて配置される第1レンズ部材521及び第2レンズ部材522と、第1レンズ部材521及び第2レンズ部材522の背面側に配置される意匠部材530と、意匠部材530の背面側に配置される偏光部材540と、偏光部材540の背面側に配置されるLED基板550と、LED基板550の背面側に配置される背面側支持部材560と、を備えて構成される。
【0026】
前面側支持部材510は硬質プラスチック樹脂を成型加工して形成されており、前面側支持部材510の上面510aは、左右方向に滑らかな曲面形状を呈している。前面側支持部材510の前面には、レンズ部材520を露出させるための窓部511が形成されている。第1レンズ部材521の第1レンズ部521a、第2レンズ部521b、第3レンズ部521cを、それぞれ露出させるための窓部511a,511b,511cと、第2レンズ部材522の第1レンズ部522a、第2レンズ部522b、第3レンズ部522c、第4レンズ部522dを露出させるための窓部511dと、が形成されている。
【0027】
前面側支持部材510の上面510aは、左右の端部近傍(左端の第1レンズ部521aに対応する部分及び右端の第4レンズ部522dに対応する部分)で前後方向の幅が中央部(第1レンズ部522a及び第2レンズ部522bに対応する部分)の幅よりも広く形成されている。したがって、演出装置500の前面は、中央部が凹んだ曲面状を呈している。
【0028】
本実施の形態において、第1レンズ部材521及び第2レンズ部材522は、透光性を有する硬質プラスチック樹脂を成型加工して形成されている。第1レンズ部材521及び第2レンズ部材522は、遊技者に対面する前面側及び背面側に曲面を形成して構成してもよい。例えば、レンズ部材520の前面側と背面側で曲率の異なる曲面形状の偏肉加工を施すことができる。具体的には、レンズ部材520の1又は複数のレンズ部521a,522a等に凸レンズ状の部位や凹レンズ状の部位を混在させて構成することができる。例えば、樹脂成型等の手段により、曲率の異なる複数のレンズ状部位を、容易に1つのレンズ部材521等のレンズ部521a等に混在させることができる。第1レンズ部材521及び第2レンズ部材522は、それぞれ、端面部から背面側へ延出する枠部523及び枠部524を備えている。なお、本実施の形態においてはレンズ部材520を第1レンズ部材521と第2レンズ部材522の2部品で構成しているが、レンズ部材520は1つの部品として構成してもよいし、3部品以上のレンズ部材520を用いるよう構成してもよい。
【0029】
例えば、図5Bに示されるように、ひとつの第2レンズ部522bの第2レンズ部表面522b1の曲率と、第2レンズ部裏面522b2の曲率とを異ならせて第2レンズ部522bが形成されている。
【0030】
意匠部材530は、レンズ部材520のレンズ部521a等の後面に意匠部材530の表面531が対向するように配置される。意匠部材530は、表面531又は裏面532の少なくともいずれか一方に意匠が形成されて意匠面とされ、前方の遊技者に対してその意匠面を立位呈示する略平板状の部材で形成される。
【0031】
意匠部材530として、光を透過又は反射するシート状又は板状の部材に、キャラクタ、背景、図形、飾り文字、幾何学的紋様等、及びこれらを組み合わせた意匠が、光を透過、反射又は遮蔽するインクや塗料で描かれているものを用いることができる。なお、「描かれている」とは、「印刷されている」、「打刻されている」等の概念を含む。意匠部材は530、意匠部材530に形成された意匠を遊技者が視認可能であればよく、遊技者がその意匠が何であるかを認識しているかを問わない。意匠部材530は複数の部材で構成してもよい。例えば、視覚的に質感の異なる部材をユニット化して構成してもよい。また、例えば、フィルム状又はシート状の薄い部材に写真や絵等の意匠が印刷された意匠部材530を用いた場合、演出装置500を薄型に構成することができる。なお、本実施の形態において意匠は意匠部材530の表面531に形成されている。
【0032】
意匠部材530とレンズ部材520の配置関係は、図5Bに示されるように、第2レンズ部材522の枠部524の端面と意匠部材530表面531とが当接することによって決定される。第1レンズ部材521の枠部523も第2レンズ部材522の枠部524と同一の機能を備えている。本実施の形態においては、レンズ部材520のレンズ部521a〜521c,522a〜522dの内周面と意匠部材530の表面531との遊技者の視線方向の距離が異なるように配置される。
【0033】
意匠部材530の裏面532側には、偏光部材540が配置される。偏光部材540は、透光性の硬質プラスチック樹脂を成型加工して形成されている。偏光部材540の前面541は意匠部材530の裏面532に当接するよう平面状に形成されている。偏光部材540の背面542は、遊技者に対して波紋状の陰影を呈示する断面凹凸状の陰影形成部が形成された偏光面543となっている。偏光面543に形成された断面凹凸状の陰影形成部は、複数の山部542aと隣接する山部542aの間に形成される複数の谷部542bとが左右方向に波紋状にうねるように形成されている。
【0034】
本実施の形態における陰影形成部は、隣接する山部542aと山部542a、又は隣接する谷部542bと谷部542bのピッチ(間隔)を狭く形成した狭陰影ピッチ部543aと、隣接する山部542aと山部542a、又は隣接する谷部542bと谷部542bのピッチ(間隔)を広く形成した広陰影ピッチ部543bと、が連続的に連結されるように形成されている。偏光面543の陰影形成部の凹凸の作用で、意匠部材530の表面531には、波紋状の陰影が投影される。
【0035】
偏光部材540の後方に、LED基板550が配置される。LED基板550は、その部品面551に、意匠部材530の意匠面に向けて照明光を発光する発光手段としての複数のフルカラーLED552を搭載している。発光手段としてはフルカラーLED以外に、例えば、単色LED、冷陰極蛍光管、ランプ、有機EL素子等を用いることができる。
【0036】
本実施の形態においては、複数のフルカラーLEDを発光手段として用いているので、フルカラーLED552の色調、明暗等を制御することにより、視覚的に変化に富んだ演出を実行できる演出装置500を提供することができる。例えば、遊技者に擬似的な遠近感を感じさせるひとつの要素f1として照明光の明暗がある。同じ1つの意匠でも、背面から明るい光で照明されたときは、暗い光で照明されたときと比べて、照明された意匠が近くにあるように、遊技者に視認させることができる。
【0037】
また、遊技者に擬似的な遠近感を感じさせるひとつの要素f2として照明光の濃淡がある。同じ1つの意匠でも、背面から濃色又はグレー混合色の光で照明されたときは、淡色の光で照明されたときと比べて、照明された意匠が遠くにあるように、遊技者に視認させることができる。
【0038】
また、遊技者に擬似的な遠近感を感じさせるひとつの要素f3として、偏光部材540の陰影形成部による波紋状陰影パターンのピッチの広狭がある。この要素f3については、意匠部材530表面531に投影される陰影の明瞭さやピッチの広狭の差の程度等によって事情が異なる。本実施の形態においては、狭陰影ピッチ部543aの前の意匠は、広陰影ピッチ部543bの前の意匠よりも近くにあるように、遊技者に視認させることができる。
【0039】
LED基板550の背面側に、背面側支持部材560が配置される。背面側支持部材560は、前面側支持部材510と間に、レンズ部材520、意匠部材530、偏光部材540、LED基板550を挟持するように保持し、複数の固定部材561にて前面側支持部材510を固定する。背面側支持部材560は、演出装置500を遊技盤6に対して可動的に取り付けるための、貫通孔562aを備えた取付部562を有している。
【0040】
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る演出ユニット501の構成と作用を説明する。図において、符号525は、本実施の形態におけるレンズ部材520を模式的に示したレンズ部を示し、符号535は、本実施の形態における意匠部材530を模式的に示した意匠部材を示している。
【0041】
本実施の形態において、レンズ部材525は、遊技者Pが、このレンズ部材525を介して意匠部材535の第1位置531aを視認する際の第1視線E1上における第1レンズ厚さW1と、遊技者Pが、このレンズ部材525を介して意匠部材535の第2位置531bを視認する際の第2視線E2上における第2レンズ厚さW2と、が異なる厚さ(W1≠W2)に構成されており、かつ、第1視線E1上のレンズ部材525の後面527と、意匠部材535の表面531との第1距離D1と、第2視線E2上のレンズ部材525の後面527と、意匠部材535の表面531との第2距離D2と、が異なるように設定されている(D1≠D2)。また、第1距離D1と、第3視線E3上のレンズ部材525の後面527と、意匠部材535の表面531との第3距離D3と、が異なるように設定されている(D1≠D3)。
【0042】
遊技者Pに擬似的な遠近感を感じさせるひとつの要素f4としてレンズ厚さWがある。レンズ厚さWが大きいほど、Wが小さいものよりも凸レンズの拡大作用が得られる。意匠が拡大されると、大きいほど近く感じるという感性が作用し、Wが大きい方が拡大された意匠が近くにあるように、遊技者Pに視認させることができる。
【0043】
レンズ部材525の前面526の曲率と、後面527の曲率の差を大きくしたり、部分的に前面526の曲率と、後面527の曲率との差を逆転させたりすることで、擬似的な遠近感や立体感を、遊技者に視認させることができる。
【0044】
遊技者Pに擬似的な遠近感を感じさせるひとつの要素f5としてレンズ部材525の後面527と意匠部材535の表面531との距離Dがある。距離Dが大きいと
が大きいほど、Dが小さいものよりも凸レンズの拡大作用が得られる。意匠が拡大されると、大きいほど近く感じるという感性が作用し、Dが大きい方が拡大された意匠が近くにあるように、遊技者Pに視認させることができる。
【0045】
本実施の形態においては、上記の第1レンズ厚さW1よりも第2レンズ厚さW2が大きい場合に、上記の第1距離D1よりも第2距離D2が大きく設定されている。このように構成することにより、レンズ厚さWと距離Dとの相乗効果を得ることができ、遊技者Pに、擬似的な立体感や遠近感を体感させることができる。
【0046】
図8は、実施の形態に係る演出ユニット501の作用を説明するための模式図であり、図7に示した演出ユニット501を、その上部が遊技者Pに近づき、下部が遊技者Pから遠ざかるように回動させた状態を示す図である。図7に示す遊技者Pと演出ユニット501の位置関係が、図8に示すような位置関係に変化した場合、遊技者Pは、演出ユニット501がわずかに動作したり、遊技者Pの視線の向きがわずかに変わったとき等に、固定的に認識されていた意匠が、突然、近づいてきたように視認されたり、逆に遠ざかっていくように視認されたりするので、擬似的な立体感や遠近感を体感することができ、演出ユニット501に対する遊技者の興趣を高めることができ、遊技者が飽きてしまうことを防止することができる。
【0047】
以上、実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
2:パチンコ機(遊技機)
3:遊技機枠
4:筐体枠(遊技機枠の一部)
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤(遊技装置体)
6a:遊技盤面
7:センター役物
7a:演出表示装置(画像表示手段)
7b:第1装飾図柄
9:機枠(遊技機枠の一部)
10:前面ガラス(前面透明板)
14:貯留皿
14a:上皿
14b:球排出ボタン
15:発射ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ部(揺動支持部)
23:遊技球
26:レール飾り
26a:内側面
27:遊技釘
28:普通入賞口
29:始動入賞口
30:アウト口
31:中央大入賞口
32:装飾部材
33:通過ゲート
34:風車
35:主制御基板ケース
36:演出制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
500:演出装置
501:演出ユニット
510:前面側支持部材
510a:上面
510b:下面
511,511a,511b,511c,511d:窓部
520:レンズ部材
521:第1レンズ部材
521a:第1レンズ部
521b:第2レンズ部
521c:第3レンズ部
522:第2レンズ部材
522a:第1レンズ部
522b:第2レンズ部
522b1:第2レンズ部表面
522b2:第2レンズ部裏面
522c:第3レンズ部
522d:第4レンズ部
523,524:枠部
525:レンズ部
526:前面
527:後面
530:意匠部材
531:表面
531a:第1位置
532:裏面
531b:第2位置
531c:第3位置
535:意匠部材
540:偏光部材
541:前面
542:背面
542a:山部(凸部)
542b:谷部(凹部)
543:偏光面(陰影形成部)
543a:狭陰影ピッチ部
543b:広陰影ピッチ部
550:LED基板
551:部品面
552:フルカラーLED(発光手段)
560:背面側支持部材
561:固定部材
562:取付部
562a:貫通孔
D1:第1距離
D2:第2距離
D3:第3距離
E1:第1視線
E2:第2視線
E3:第3視線
W1:第1レンズ厚さ
W2:第2レンズ厚さ
W3:第3レンズ厚さ



図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8