(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のヒーターコントロール装置はレバー装置によって遠隔操作されるが、該レバー装置は、ベース部材と、該ベース部材に回動可能に軸支された
図5に示すような操作レバー103を備えており、該操作レバー103の一端には別体の操作ノブ104が取り付けられ、同操作レバー103の他端はワイヤー等の不図示の伝達部材を介して被操作体である不図示のヒーターコントロール装置に連結されている(例えば、特許文献1参照)。このように構成されたレバー装置においては、操作ノブ104を回動操作すれば、操作レバー103が円筒状の回転軸部103Aを中心として一体に回動し、この操作レバー103の端部に連結された伝達部材によってヒーターコントロール装置が操作される。
【0003】
ところで、
図5に示すように一端に別体の操作ノブ104が取り付けられる操作レバー103を用いるレバー装置においては、その組み付けに際して操作レバー103を不図示のベース部材に組み付けた後、該操作レバー
103に操作ノブ104を組み付け、最後に不図示の操作パネルを組み付けるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、
図5に示すように一端に別体の操作ノブ104が取り付けられた操作レバー103を用いると、操作レバー103と操作ノブ104の2部品が必要であるために部品点数が増加し、製造及び部品管理の上でコストアップを招くという問題が発生する。
【0006】
そこで、
図6の側断面図に示すように、操作レバー203と操作ノブ204とを合成樹脂等によって一体に形成する構成が考えられるが、操作レバー203の浮き上がりを防ぐために、操作ノブ204の爪状の当接部204aが係合するためのフック状の規制部202cをベース部材202側に設ける構成を採用した場合、操作ノブ204と一体化された操作レバー203をベース部材202に対して
図6の矢印方向に組み付けようとすると、操作ノブ204の当接部204aとベース部材202の規制部202cとが干渉して操作レバー203の組み付けができないという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、操作ノブと操作レバーとを一体化することによって部品点数を削減してコストダウンを図りつつ、操作ノブと一体化された操作レバーの組み付けを容易に行うことができるレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、
本発明は、
ベース部材と、
該ベース部材に回動可能に軸支されるとともに、一端に操作ノブが設けられ、他端が伝達部材を介して被操作体に連結された操作レバーと、
を備え、前記操作ノブの操作を前記伝達部材を介して前記被操作体に伝達するレバー装置において、
前記操作ノブを前記操作レバーと一体に形成するとともに、前記操作レバーに前記操作ノブの回動平面に沿って突出する当接部を設け、
前記操作レバーが前記被操作体を操作する操作範囲に亘って前記当接部と係合して該操作レバーの浮き上がりを防ぐ規制部を前記ベース部材に設け、
前記操作ノブが前記操作範囲から外れた位置から該操作ノブを前記操作範囲内に回動させることによって前記当接部が前記規制部に係合するよう構成し
、
更に、前記操作レバーの一側面に前記操作ノブの回動方向に延出するストッパ部を設け、
前記操作ノブが前記操作範囲から外れた位置にあるときに前記ストッパ部を嵌合保持して前記操作レバーを前記当接部が前記規制部に係合しない非係合位置に仮固定する保持部を前記ベース部材に設け、
前記保持部が前記ストッパ部を嵌合保持して前記操作レバーを前記非係合位置に仮固定した状態から前記操作ノブを前記操作範囲に向かって移動操作することによって前記ストッパ部の前記保持部による嵌合保持が解除された後は、前記ストッパ部が前記保持部の端面に当接することによって前記操作ノブの前記操作範囲外への回動を阻止するよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作ノブを操作レバーと一体に形成したため、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。又、操作レバーに操作ノブの回動方向に突出する当接部を設け、操作レバーが被操作体を操作する操作範囲に亘って前記当接部と係合して該操作レバーの浮き上がりを防ぐ規制部をベース部材に設け、操作ノブが一体化された操作レバーのベース部材への組み付けに際しては、操作レバー(操作ノブ)が操作範囲から外れた位置から該操作レバー(操作ノブ)を操作範囲内に回動させることによって当接部が規制部に係合するようにしたため、操作ノブが一体化された操作レバーの組み付けを容易に行うことができる。そして、操作ノブが操作範囲内にあるときには操作レバーのベース部材からの浮き上がりが該操作レバー側の当接部とベース部材側の規制部との係合によって防がれるため、操作レバーの操作時のガタツキや異音の発生を防ぐことができる。
【0012】
又、本発明によれば、操作ノブが一体化された操作レバーのベース部材への組み付けに際して、操作レバー(操作ノブ)が操作範囲から外れた位置にあるときにベース部材の保持部に操作レバーのストッパ部が嵌合保持されることによって操作レバーを非係合位置(操作レバーの当接部がベース部材の規制部に係合しない位置)に仮固定するようにしたため、仮固定された操作レバーを操作ノブの操作範囲方向へ回動させて当接部をベース部材側の規制部に係合させることによって、操作ノブが一体化された操作レバーのベース部材への組み付けが容易化するとともに、該操作レバーのベース部材からの浮き上がりが確実に防がれる。
【0013】
更に、本発明によれば、操作レバー側のストッパ部のベース部材側の保持部による仮固定が解除された後は、ストッパ部が保持部の端面に当接することによって操作レバー(操作ノブ)の操作範囲外への回動が阻止されるため、操作ノブによる被操作体の操作範囲内での操作が確実且つ安定してなされる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係るレバー装置の平面図、
図2は
図1のA−A線断面図、
図3は同レバー装置の組付前の状態を示す平面図、
図4は同レバー装置の操作レバーの背面図である。
【0017】
本実施の形態に係るレバー装置1は、車両に設けられた不図示のヒーターコントロール装置を操作するための装置であって、固定部材であるベース部材2と、該ベース部材2に回動可能に軸支された操作レバー3を備えている。ここで、
図2に示すように、ベース部材2の中央部には円筒状の軸受部2Aが垂直上方に向かって立設されており、操作レバー3の長手方向中間部には同じく円筒状の回転軸部3Aが垂直下方に向かって突設されている。
【0018】
而して、操作レバー3は、これの長手方向中間部に形成された前記回転軸部3Aをベース部材2に立設された前記軸受部2Aの内部に上方から挿入して嵌合させることによって、ベース部材2に対して軸受部2Aを中心として水平方向に回動可能に軸支されている。
【0019】
又、本実施の形態では、操作レバー3とその一端に設けられる操作ノブ4とは合成樹脂等によって一体に形成されており、操作レバー3の他端は伝達部材であるワイヤー5を介して被操作体である不図示のヒーターコントロール装置に連結されている。更に、
図2に示すように、操作レバー3の回転軸部3Aと操作ノブ4との間には下方が開口する袋状のホルダ3Bが一体に形成されており,このホルダ3B内にはボール6とこのボール6を下方に付勢するスプリング7が収容されている。
【0020】
他方、ベース部材2の上面の前記ホルダ3Bに対向する箇所には、
図1に示すようにホルダ3Bの回動軌跡に沿った円弧状の摺動面2Bが形成されており、該摺動面2Bの左右両端には、前記ボール6が選択的に係合する係合部2a,2bが形成されている。ここで、操作ノブ4が一体化された操作レバー3は、ベース部材2の軸受部2Aを中心として
図1に示す角度αの操作範囲内を左右に回動可能であって、この操作レバー3の回動によって伝達部材であるワイヤー5が
図1の矢印方向に押し引きされ、これによって不図示のヒーターコントロール装置が遠隔操作される。
【0021】
ところで、本実施の形態に係るレバー装置1においては、操作ノブ4が一体化された操作レバー3は
図1に示す角度αの操作範囲を移動して左右端のA位置又はB位置に選択的に設定されるが、ベース部材2に形成された前記摺動面2BのA位置とB位置に対応する箇所には前記係合部2a,2bが形成されている。ここで、係合部2a,2bとこれに選択的に係合するボール6及び該ボール6を下方に付勢するスプリング7はクリック機構を構成しており、運転者によって操作ノブ4が操作されて該操作ノブ4と操作レバー3がA位置又はB位置に移動した時点でボール6が係合部2a又は係合部2bに係合するため、操作ノブ4の操作にクリック感(節度感)が付与される。これによって操作レバー3がA位置又はB位置に確実に保持されるとともに、該操作レバー3がA位置又はB位置に設定されたことが運転者によって確認される。尚、本実施の形態に係るレバー装置1は、操作ノブ4が一体化された操作レバー3がA位置又はB位置の2箇所に選択的に設定される仕様となっているが、操作レバー3が3箇所以上の位置に設定される仕様である場合には、クリック機構を構成する係合部は操作レバー3の設定数(保持位置の数)と同数だけ形成される。
【0022】
又、本実施の形態に係るレバー装置1においては、操作レバー3に一体化された操作ノブ4には不図示の操作パネルの円弧状の表面に沿う平面視円弧状のガイド部4Aが一体に形成されており、このガイド部4Aの下端には内側(
図2の右側)に向かって直角に屈曲する円弧状の当接部4aが水平(操作ノブ4の回動平面)に突設されている。尚、本実施の形態では、操作ノブ4のガイド部4A及び当接部4aを円弧状に形成したが、これらは操作レバー3の回動平面に対して回転軸部3Aに向かって突出するように形成されていれば良い。又、本実施の形態では、ベース部材2の保持部2Cを中空状に形成し、ストッパ部3Cに対向する端面と上面が開口する構成としたが、この形状に限定されるものではなく、例えば上下方向に嵌合する爪形状(図示せず)としても良い。この場合、鍔部3D
は不要となる。このように構成すると保持部2Cとストッパ部3Cの間で操作レバー3の上下方向の移動を規制することができる。
【0023】
一方、ベース部材2の上面の操作レバー3側の前記当接部4aに対応する箇所には、
図2に示すように外側(
図2の左側)に向かって開口する断面逆L状(フック状)を成す規制部2cが平面視円弧状に操作範囲の外まで形成されている。
【0024】
而して、
図1及び
図2に示すように操作レバー3がベース部材2に組み付けられた状態(操作レバー3が
図1に示す角度αの操作範囲内にある状態)においては、操作レバー3側に形成された当接部4aはベース部材2側に設けられた規制部2cに操作範囲に亘って係合しており、この当接部4aが規制部2cの上部内面に当接することによって操作レバー3のベース部材2からの浮き上がりが防がれ、該操作レバー3の安定した回動操作が可能となる。
【0025】
又、
図1に示すように、操作レバー3の一側面には該操作レバー3の回動方向に延出する平面視円弧状のストッパ部3Cが設けられており、ベース部材2の上面の操作レバー3の回動範囲(角度αの範囲)から外れた位置には平面視円弧状の保持部2Cが一体に設けられている。ここで、操作レバー3のストッパ部3Cの先端は基部よりも径が大きな嵌合部3aを形成しており、ベース部材2の保持部2Cは中空状に形成され、そのストッパ部3Cに対向する端面と上面が開口している。尚、本実施の形態では、
図4に示すように、操作レバー3のストッパ部3Cは平面視円弧状の鍔部3Dから突出するように形成されているが、このストッパ部3Cを鍔部3Dと一体に形成する必要はなく、回転軸部3Aと操作ノブ4を結ぶ軸に固定されるように形成すれば良い。
【0026】
次に、以上のように構成されたレバー装置1における操作レバー3のベース部材2への組付要領について説明する。
【0027】
操作ノブ4が一体化された操作レバー3をベース部材2に組み付けるには、該操作レバー3を
図3に示すように操作範囲を外れた角度位置に保持した状態でベース部材2に向かって押し下げる。この状態では、操作レバー3は、これに形成された当接部4aがベース部材2に形成された規制部2cに
嵌合しない(オーバーラップしない)非係合位置にあるため、操作レバー3をそのまま下げて回転軸部3Aをベース部材2の軸受部2Aに挿入嵌合させることができるとともに、該操作レバー3に設けられたストッパ部3Cをベース部材2の保持部2C内にその上面開口部から嵌め込んで保持することができる。このように操作レバー3に設けられたストッパ部3Cがベース部材2の保持部2Cに上方から挿入嵌合されて保持されると、操作レバー3は、
図3に示すように、その当接部4aがベース部材2の規制部2cに係合しない非係合位置に仮固定される。
【0028】
図3に示すように操作レバー3のストッパ部3Cがベース部材2の保持部2Cによって保持されることによって操作レバー3が非係合位置(操作レバー3の当接部4aがベース部材2の規制部2cに係合しない位置)に仮固定された状態から操作ノブ4を操作し、操作レバー3を
図3の時計方向(操作範囲に向かう方向)に多少強い力で回すと、該操作レバー3に設けられたストッパ部3Cの嵌合部3aがベース部材2の保持部2Cから抜けるため、該操作レバー3の非係合位置での仮保持が解除されるとともに、操作レバー3の当接部4aが
図1及び
図2に示すようにベース部材2の規制部2cに係合するため、操作レバー3のベース部材2からの浮き上がりが防がれる。
【0029】
そして、操作レバー3がベース部材2の保持部2Cによる非係合位置での仮固定を解除され、該操作レバー3の当接部4aが操作範囲においてベース部材2の規制部2cに係合してその浮き上がりが防がれた状態では、運転者は操作ノブ4を操作して操作レバー3をベース部材2の軸受部2Aを中心として回動させてこれをA位置又はB位置に移動させることによってワイヤー5を介して不図示のヒーターコントロール装置を遠隔操作することができる。このとき、
図1に示すように、操作レバー3に設けられたストッパ部3Cがベース部材2に設けられた保持部2Cの端面に当接することによって、操作ノブ4が一体化された操作レバー3の操作範囲外への回動が阻止される。
【0030】
以上のように、本実施の形態に係るレバー装置1によれば、操作ノブ4を操作レバー3と一体に形成したため、部品点数が削減されてコストダウンが図られる。
【0031】
又、本実施の形態に係るレバー装置1においては、操作レバー3に操作ノブ4の回動平面に突出する当接部4aを設け、ベース部材2には操作レバー3がヒーターコントロール装置を操作する操作範囲に亘って当接部4aと係合する規制部2cを設けたため、操作レバー3が操作範囲において回動するときのベース部材2からの浮き上がりが防がれ、該操作レバー3が操作ノブ4によって安定して回動操作され、操作レバー3のガタツキや異音の発生が防がれる。
【0032】
更に、操作レバー3とベース部材2には当接部4aと規制部2cが操作レバー3の操作範囲に亘って形成されているため、そのままでは当接部4aと規制部2cとが干渉して操作レバー3をベース部材2に組み付けることができないが、本実施の形態では、操作ノブ4が一体化された操作レバー3のベース部材2への組み付けに際しては、操作レバー3を操作範囲から外れた位置にセットした状態でベース部材2に組み付けるようにしたため、該操作レバー3の当接部4aとベース部材2の規制部2cとが干渉することがない。そして、操作レバー3がベース部材2の保持部2Cによって非係合位置に仮固定された状態から該操作レバー3を操作範囲内に回動させることによって当接部4aが規制部2cに係合するようにしたため、操作ノブ4が一体化された操作レバー2の組み付けを容易に行うことができる。このように操作レバー3の組み付けに際しては、操作レバー3が操作範囲から外れた非係合位置にあるときにベース部材2の保持部2Cに操作レバー3のストッパ部3Cを嵌合保持させることによって操作レバー3を非係合位置(操作レバー3の当接部4aがベース部材2の規制部2cに係合しない位置)に仮固定するようにしたため、操作レバー3のベース部材2への組付作業性が高められる。
【0033】
又、本実施に形態に係るレバー装置1によれば、操作レバー3のストッパ部3Cのベース部材2の保持部2Cとによる嵌合保持が解除された後は、ストッパ部3Cが保持部2Cの端面に当接することによって操作レバー3(操作ノブ4)の操作範囲外への回動が阻止されるため、操作ノブ4によるヒーターコントロール装置の操作範囲内での操作が確実且つ安定してなされるという効果も得られる。
【0034】
尚、以上は本発明を車両のヒーターコントロール装置を操作するためのレバー装置に対して適用した形態について説明したが、本発明は、ヒーターコントロール装置以外の他の任意の被操作体を操作するためのレバー装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。