【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、多層構成からなる合成樹脂層で本体が形成された外壁を有する自動車用燃料タンクにおいて、
外壁は、少なくとも外側から順に、外部本体層、外部接着剤層、バリヤ層、内部接着剤層及び内部本体層から形成され、
外部本体層及び内部本体層は、高密度ポリエチレン(HDPE)を主材として形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)は、
(1)23℃における弾性率が1100〜1400MPa、
(2)65℃における弾性率が340〜430MPa、
(3)FuelDに65℃で200時間浸漬後の23℃における弾性率が400〜510MPa、
(4)−40℃におけるシャルピー衝撃強度が7〜14kJ/m
2、
(5)80℃におけるフルノッチクリープテスト(FNCT)が50〜430hr、
(6)190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレート(MRF)が4〜6(g/10分)、
(7)210℃で溶融した試料を直径2.095mm、長さ8mmのノズルから押出速度15mm/分で押出し、引出速度7.5m/分で引き取った時の張力としてのメルトテンションが18〜25g、
であり、
外部接着剤層と内部接着剤層は、高密度ポリエチレン(HDPE)とバリヤ層の両方に接着性を有する合成樹脂で形成され、
バリヤ層は、燃料油が透過しにくい合成樹脂で形成された自動車用燃料タンクである。
【0010】
請求項1の本発明では、外壁は、少なくとも外側から順に、外部本体層、外部接着剤層、バリヤ層、内部接着剤層及び内部本体層から形成される。このため、各層を積層して燃料タンクの燃料透過防止性、剛性と耐衝撃性の各性能を満足させるとともに、各層間の接着を強固にして、全体の肉厚を薄くして燃料タンクの容量を確保し、重量増加を防止することができる。
【0011】
外部本体層及び内部本体層は、高密度ポリエチレン(HDPE)を主材として形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)は、
(1)23℃における弾性率が1100〜1400MPa、
(2)65℃における弾性率が340〜430MPa、
(3)FuelDに65℃で200時間浸漬後の23℃における弾性率が400〜510MPa、
(4)−40℃におけるシャルピー衝撃強度が7〜14kJ/m
2、
(5)80℃におけるフルノッチクリープテスト(FNCT)が50〜300hr、
(6)190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレート(MRF)が4〜6(g/10分)、
(7)210℃で溶融した試料を直径2.095mm、長さ8mmのノズルから押出速度15mm/分で押出し、引出速度7.5m/分で引き取った時の張力としてのメルトテンションが18〜25g、である。
【0012】
外部本体層及び内部本体層は、高密度ポリエチレン(HDPE)を主材として形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)は、上記(1)〜(3)に記載した弾性率を有する。このため、燃料タンクが常温においても、高温においても、所定の弾性率を有するため、剛性と耐衝撃性の各性能を満足させるとともに、内圧が大きくなっても燃料タンクの変形量が少ない。また、燃料が内部本体層に浸透しても、燃料タンクの剛性を確保することができる。
【0013】
高密度ポリエチレン(HDPE)は、−40℃におけるシャルピー衝撃強度が7〜14kJ/m
2の値を有する。このため、燃料タンクが低温にさらされても、燃料タンクの耐衝撃性を確保することができる。
【0014】
高密度ポリエチレン(HDPE)は、80℃におけるフルノッチクリープテスト(FNCT)が50〜300hrの値を有する。このため、燃料タンクが内圧の繰り返し変化にさらされても、走行時の路面振動にさらされても、燃料タンクの疲労耐久性を確保することができる。
【0015】
高密度ポリエチレン(HDPE)は、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレート(MRF)が4〜6(g/10分)の値を有する。このため、ブロー成形時にパリソンの押出をスムースにすることができ、燃料タンクの耐衝撃性がよい。外壁が万一高温にさらされても、溶融時の粘度が大きいため、外壁が変形し難いとともに外壁に孔が開き難く、耐火性に優れている。
【0016】
高密度ポリエチレン(HDPE)は、210℃で溶融した試料を直径2.095mm、長さ8mmのノズルから押出速度15mm/分で押出し、引出速度7.5m/分で引き取った時の張力としてのメルトテンションが18〜25gである。このため、高密度ポリエチレン(HDPE)の分子の絡み合いが大きくなり、ブロー成形時にパリソンとして押出された高密度ポリエチレン(HDPE)は、変形し難く、ブローアップ時に、パリソンが破れ難くなり、ブローアップするときのブロー成形条件の制御が容易となり、ブロー成形しやすくなる。
【0017】
外部接着剤層と内部接着剤層は、高密度ポリエチレン(HDPE)とバリヤ層の両方に接着性を有する合成樹脂で形成される。このため、外部接着剤層と内部接着剤層は、バリヤ層と、外部本体層及び内部本体層とをそれぞれ強固に接着して、燃料タンクの各層間を強固に接着し、一体化させて、燃料タンクの燃料透過防止性と、強度を確保することができる。
バリヤ層は、燃料油が透過しにくい合成樹脂で形成されたため、内部本体層を浸透した燃料の透過が、外部本体層まで浸透し、車外に蒸発することを防止することができる。
【0018】
請求項2の本発明は、外壁は、外部本体層の外側に、上記(1)〜(7)に記載した物性を有する高密度ポリエチレン(HDPE)で形成された表皮層を有する自動車用燃料タンクである。
【0019】
請求項2の本発明では、外壁は、外部本体層の外側に、上記(1)〜(7)に記載した物性を有する高密度ポリエチレン(HDPE)で形成された表皮層を有するため、外部本体層に再生材が混入されていても、表面を円滑にすることができる。表皮層と外部本体層はともに高密度ポリエチレン(HDPE)を有するために、両者の接着性は優れているので、燃料タンクの強度を向上させることができる。
【0020】
請求項3の本発明は、燃料タンクの外壁の全体の肉厚は、3.0〜5.0mmである自動車用燃料タンクである。
【0021】
請求項3の本発明では、燃料タンクの外壁の全体の肉厚は、3.0〜5.0mmであるため、従来の燃料タンクと比べて、全体の重量を減少させることができるとともに、請求項1で規定する高密度ポリエチレン(HDPE)を使用するため、充分な剛性を有して、耐衝撃性、疲労耐久性を確保することができる。
【0022】
請求項4の本発明は、バリヤ層は、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)で形成された自動車用燃料タンクである。
【0023】
請求項4の本発明では、バリヤ層は、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)であるためガソリンの透過防止性に優れるとともに、溶融成形が可能で加工性にも優れている。また、高湿度下において、あるいはアルコールを含有するガソリンに対しても優れた透過防止性を有する。
【0024】
請求項5の本発明は、外部本体層に、変性ポリエチレン又は軟質ポリエチレンを含有させた自動車用燃料タンクである。
【0025】
請求項5の本発明では、外部本体層に、変性ポリエチレン又は軟質ポリエチレンを含有させたため、燃料タンク本体の再生材を外部本体層に含ませた場合においても、バリヤ層の構成材料であるエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等と、高密度ポリエチレン(HDPE)との相溶性が向上し、外部本体層の耐衝撃性が向上する。
【0026】
請求項6の本発明は、燃料タンクの本体は、ブロー成形で形成された自動車用燃料タンクである。
【0027】
請求項6の本発明では、燃料タンクの本体は、ブロー成形で形成されたため、多層構造を有する合成樹脂層の中空状の燃料タンクを1回の成形で成形でき、自由に形状を選択することができる。