(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
角速度(ω_el,ω_mech)と前記角速度(ω_el,ω_mech)の位相で動作可能な少なくとも1つの電気機械(20)を含み、少なくとも1つのトルク負荷(40)に結合されかつ起電力(emf_ff)を生成する電気機械システム(50)、詳細には自動車電気またはハイブリッド駆動システムにおける電気機械振動を減衰させる方法であって、
前記起電力の信号(emf_ff)を導出する段階と、
前記角速度(ω_el,ω_mech)の前記位相を、前記電気機械(20)の振動挙動が減少する方向に、前記起電力の信号(emf_ff)の導出の際に調整する段階とを含む方法。
(i)前記フィルタ(110)のパラメータが、前記電気機械(20)および/または前記電気機械システム(50)の前記挙動のシミュレーションに従って設定され、(ii)前記フィルタ(110)の前記パラメータが、前記電気機械(20)の動作中に適応的に変更され、または(iii)第1組のパラメータに属する前記フィルタの1つまたは複数のパラメータが、前記電気機械(20)の前記挙動のシミュレーションに従って設定され、第2組に属するフィルタ(110)の1つまたは複数のパラメータが、前記電気機械(20)の動作中に適応的に変更される、請求項5に記載の方法。
電流制御部分への入力として、対応するトルク要求(M_req)から導出された要求電流(I_req)、前記少なくとも1つの電気機械(20)の電気角速度(ω_el)、前記少なくとも1つの電気機械(20)の実電流(I_meas)のうちの少なくとも1つに加えて、フィードフォワード信号を提供する段階をさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
前記フィルタ(110)が、前記電流制御部分に入力信号(I_req)を提供するトルク制御部分(102)と並列に接続される、請求項9または10に記載のシステム。
前記電気機械(20)が、スプリング・ダンパー・システム(30)を介して、機械角速度(ω_mech)によって特徴付けられた1つまたは複数のトルク負荷(40)に結合される、請求項9乃至11のいずれかに記載のシステム。
プログラム可能なマイクロコンピュータ上で実行されたときに、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法を実行するように適応されるかまたはその方法で使用されるコンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム。
インターネットに接続されるコンピュータ上で実行されたときに制御ユニットまたはその構成要素の1つにダウンロードできるように適応された、請求項13に記載のコンピュータ・プログラム。
コンピュータ上の請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法で使用されるプログラム・コードを含む、コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータ・プログラム製品。
【背景技術】
【0002】
電気機械システムはしばしば、ねじれ振動を引き起こすことがあるねじれ共振を呈する傾向がある。主な原因は、一般に、システム全体に伝わるより高い周波数のトルク変化を軽減する機械式スプリング・ダンパーである。しかしながら、電気システムに接続された電気装置によって制御される電気機械と関連して、機械システムが、電気システムおよびその制御を妨げることがある。これにより、機械システムの減衰特性が低下することがある。そのような振動を低減するために、一般に、電気機械の制御装置を利用することによって減衰制御を行う。
【0003】
車両の駆動システムの振動は、車両に有害な影響を及ぼすことがある。
【0004】
例えば、内燃機関と電気機械を備えたハイブリッド車では、内燃機関だけでなく電気機械も駆動源として働くことができる。純粋な電気駆動モードから内燃機関による駆動モードに切り換わるとき、エンジン係合部は、エンジン発火前のエンジン摩擦とエンジン発火後の急激な動作によって激しい振動を引き起こす。
【0005】
そのような振動は、動力伝達経路によって伝達され、最終的に車両の乗員によって感じられる。
【0006】
そのような振動または類似の振動を減衰させるために振動制御システムが使用される。
【0007】
例えば、特許文献1は、事前に選択された周波数のトルク振動を生成する所定の動作タイミングを有するトルク発生器と、動作タイミング制御装置とを含む車両用の振動減衰システムを開示している。動作タイミング制御装置は、最初に、エンジン回転と、エンジンのクランク軸の運動による第1の振動成分とエンジンのピストンの運動により引き起こされる第2の振動成分とによって定義される合成ベクトルからなる車両振動の周波数との間の位相差を決定する。次に、制御装置は、これらの2つの振動間の位相差に基づきまた車両振動を補償するように決定された車両振動と逆位相のトルク振動を提供するようにトルク発生器の動作タイミングを修正する。
【0008】
特許文献2は、内燃機関とクラッチの係合とによって引き起こされたトルク変化による振動を、能動的に減衰させるために使用される電気機械を含む、内燃機関を備えた自動車を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、飽和状態で動作する電気機械に使用することができる電気機械システムにおける電気機械振動を減衰させるため、詳細には電気自動車またはハイブリッド車の電気機械振動を減衰させるための改善された方法を提供することである。本発明の別の目的は、そのような電気機械システムにおける電気機械振動を減衰させるための改善された振動減衰システムを提供することである。
【0011】
この目的は、独立クレームの特徴によって達成される。他のクレームとその記述は、本発明の有利な実施形態を開示する。
【0012】
角速度と前記角速度の位相で動作可能で、少なくとも1つのトルク負荷に結合されかつ起電力を生成する少なくとも1つの電気機械を含む電気機械システム、詳細には自動車電気またはハイブリッド駆動システムにおける電気機械振動を減衰させるための方法が提案され、この方法は、起電力の
信号を導出する段階と、前記電気機械の振動挙動が減少する方向に、導出された起電力の
信号の導出の際に角速度の位相を調整する段階とを含む。
【0013】
典型的には、望ましくない電気機械振動は、主に、電気駆動システムに接続された機械システムに影響を及ぼす。
【0014】
起電力は、電気機械の磁束および電気角速度から導出され、電気装置(例えば、発電機)を特徴付けるために使用される用語である。所定の装置の場合、電荷がその装置を通ってエネルギーを得た場合、その装置の正味起電力は、単位電荷当たりに得られるエネルギーである。電気機械の場合、起電力源は、電磁誘導である。電気角速度が、電気機械の極数と機械角速度の関係なので、機械的角速度で明らかな振動は起電力で確認することもできる。起電力は、電気角速度と極数から計算することができ、またはシステム内の状態オブザーバによって測定または推定することができる。
【0015】
本発明は、共振電気機械システムを変更するために電気機械電流制御の内部特性を利用する。電気機械システム内の電気機械振動は減衰できることが好ましい。このシステムは、少なくとも1つの制御可能な電気機械と、減衰特性を有することがある機械スプリング・ダンパー・システムによって電気機械に接続された少なくとも1つのトルク負荷とを含むことができる。
【0016】
本発明は、特に、トルク制限および/または電圧制限によって飽和状態で操作される電気機械の制御に役立つ。より詳細には、本発明は、一般に、電気機械のトルク制御と電流制御を含む制御ユニットと、減衰特性を示すことがあるばねシステムによって相互接続された少なくとも2つの慣性系を含む機械システムとを包含する、非減衰または低減衰固有電気機械共振に関する。この意味で、電気機械は、電気特性を示す電気システム、詳細には電気回路と、電気機械の慣性を示す機械慣性系とからなる。他の慣性系は、エンジンおよび/またはホイールやトランスミッションなどの他の種類のトルク負荷を含むことがある。
【0017】
電気機械の制御システム、詳細には電流制御システムと、機械システム(すなわち、慣性系とそのような慣性系間の機械結合)との間の結合が、共振システムを作り出す。一般に電気角速度と機械角速度のそれぞれの機械的に接続された慣性系の間のずれに対処し、また減衰特性を改善するために基準トルクに追加される、付加的なトルク成分を計算する先行技術の解決策と異なり、本発明による方法は、共振システムの振動挙動を低減するように慣性系の固有結合を変化させる。
【0018】
好ましい方法段階によれば、起電力の
信号を導出する段階は、
−前記
起電力の信号を前記電気機械の計算
された磁束から導出する段階と、
−前記
起電力の信号を前記電気機械の計算
された電気角速度から導出する段階と、
そして
−前記
起電力の信号を電気機械の状態
によって行われる推定から導出する段階のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
詳細には、前記電気機械の機械角速度と前記電気機械の極ペア数の値から電気角速度を計算することができる。そのようなパラメータは、電気機械を含む電気機械システムにおいて容易にアクセスされる。
【0020】
好ましい方法段階によれば、起電力の
信号を導出する段階は、(i)電気機械のトルクを制御するさらなる段階と、(ii)任意のトルク要求を制御するさらなる段階の少なくとも1つと並列でかつ独立に行うことができる。例えば、このトルク制御部分に有効でかつそれにより監視すべき電流またはトルクの制限は、本発明による方法の性能に影響を及ぼさないことが好ましい。
【0021】
好ましい方法段階によれば、(i)起電力の
信号を導出する段階と、(ii)角速度の位相を調整する段階の少なくとも一方は、フィルタを
介することにより、詳細にはフィードフォワード信号の形の起電力の
信号を導出する段階を処理するフィルタを
介することによって実行することができる。詳細には、フィルタのパラメータは、電気機械および/または電気機械システムの挙動のシミュレーションにより設定することができる。さらに、電気機械の動作中にフィルタのパラメータを適応的に変更することもできる。最後に、電気機械の挙動のシミュレーションによって第1組のパラメータに属するフィルタの1つまたは複数のパラメータを設定することができ、電気機械の動作中に第2組に属するフィルタのパラメータの1つまたは複数を適応的に変更することもできる。
【0022】
一般に、「フィードフォワード」は、制御信号を制御システムの外部環境内のソースからその外部環境内の負荷に渡す制御システム内の要素または経路を示す用語である。フィードフォワード挙動に基づく制御システムは、その制御信号に、負荷の反応の仕方に応答することなく所定の方法で応答し、これは、制御システムの出力を、その出力が負荷にどのように影響を及ぼすかと負荷自体がどれだけ予測不能に変化することがあるかを考慮することによって調整するフィードバックに基づくシステムと対照的であり、負荷は、システムの外部環境に属すると見なされる。フィードバックのない純粋なフィードフォワードによって制御方式を確実なものにするために、負荷に対するシステムの出力の影響が分からなければならず、これは、通常、負荷の挙動が、時間とより予測不能または予期不能に変化しないと仮定されることを意味する。制御信号は送られた後で、さらに調節することができない。修正調整のために、新しい制御信号を送らなければならない。
【0023】
詳細には、フィードフォワード信号は、制御ユニットのトルク制御部分を迂回することができ、すなわち、計算された電磁力のフィードフォワード信号を、フィルタで制御ユニットのトルク制御部分内の任意のトルク要求の処理と並列でかつ独立に処理することができる。例えば、このトルク制御部分に有効でかつそれにより監視されなければならない電流またはトルクの制限は、計算された電磁力のフィードフォワード信号を制限せず、その結果、本発明による方法の性能に影響を及ぼさないことが好ましい。制御ユニットのそれぞれの制御部分は、純粋にハードウェア、純粋にソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせの形を取ることができる。慣性系の固有結合は、共振システムの振動挙動を低減するように変更される。
【0024】
好ましい方法段階によれば、更に、電流制御部分への入力として、(i)対応するトルク要求、(ii)少なくとも1つの電気機械の電気角速度、および(iii)少なくとも1つの電気機械の実電流から導出された要求電流のうちの少なくとも1つに加えて、フィードフォワード信号を提供する段階を実行することができる。フィードフォワード信号は、(i)要求電流、(ii)少なくとも1つの電気機械の電気角速度、および(iii)少なくとも1つの電気機械の実電流から導出された要求パラメータの少なくとも1つに加えて、電流制御部分に提供されてもよい。起電力のフィードフォワード信号は、電気機械を動作させるために入力信号(例えば、パルス幅変調方式(PWM)信号、パルス振幅変調信号など)をインバータに送る制御ユニットの電流制御部分に対する通常の入力信号のように処理されてもよい。システム内の振動を低減するのに適したように、システム内の振動の主要因の1つである電気角速度による電流制御と電気機械システム間の結合に対処することができる。電磁力、詳細には計算された電磁力のフィードフォワード信号として、少なくとも1つの電気機械の制御ユニットへの入力として起電力を提供することができる。この場合、通常、追加のフィードバック・ループは不要である。そのようなフィードバック・ループが、当該の振動減衰プロセスには遅すぎる可能があることの他に、フィードバックによって、フィードフォワード信号(だけ)を使用することにより回避することができる他の安定性または共振問題が生じることもある。
【0025】
好ましい方法段階によれば、少なくとも1つの電気機械に結合されたインバータへ制御信号を送る段階をさらに含む段階を実行することができる。したがって、電気機械に印加される電流を調整して振動挙動を低減または回避することができる。便宜上、信号の位相は、位相が進むように処理され(すなわち、起電力の位相値より前の位相値にシフトされ)てもよく、位相が遅れるように処理され(すなわち、起電力の位相値より後の位相値にシフトされ)てもよい。角速度の位相を調整するために使用されるフィルタは、基本的に、起電力信号の位相に影響を及ぼす。シフトされた位相は、位相値より前にシフトされても位相値より後にシフトされてもよく、位相を位相値より前にシフトするか位相値より後にシフトするかの決定は、優先的にシステムの固有値の解析結果に基づく。固有値を解析することによって、移相を実行するフィルタ・パラメータを、共振に対応する固有値が負実数部を有するように設定することができる。
【0026】
好ましい方法段階によれば、第1組のパラメータに属するフィルタの1つまたは複数のパラメータを電気機械および/または電気機械システムの挙動のシミュレーションに従って設定することができ、かつ/または第2組のパラメータに属するフィルタの1つまたは複数のパラメータを電気機械の動作中に適応的に変更することができる。変動環境で動作中に動作状態を変化させるためにシステムの挙動を最適化できることが好ましい。フィルタは、電気機械の広い動作範囲に最適化することができる。フィルタ・パラメータを、電気機械および/または電気機械システムの挙動のシミュレーションに従って設定できるとき、フィルタは、信号の位相を、所定の値だけ所定の方向にシフトさせることができる。この方法段階は、コスト効率が高く、電気機械の動作中に最小限の努力しか必要としない。
【0027】
本発明の別の態様によれば、電気機械振動を減衰させる振動減衰システムが提案され、振動減衰システムは、(i)起電力の
信号を導出する段階と、(ii)前記電気機械の振動挙動が減少する方向に、起電力の
信号の導出の際に角速度の位相を調整する段階の少なくとも1つの段階を処理するフィルタを含む。詳細には、フィルタは、制御ユニットの電流制御部分の入力に接続することができる。
【0028】
好ましい実施形態によれば、フィルタは、電流制御部分に入力信号を提供するトルク制御部分と並列に接続されてもよい。フィルタは、起電力をフィードフォワード信号として電気機械を制御する制御ユニットに出力するフィルタに送られる電気角速度の位相に影響を及ぼすことが好ましい。
【0029】
好ましい実施形態によれば、フィルタは、制御ユニットの電流制御部分の入力に接続されてもよい。詳細には、フィルタは、トルク制御部分が、電気機械の要求トルクを生成するのに必要な要求電流に対応する入力信号を電流制御部分に提供する制御ユニットのトルク制御部分を迂回することができる。
【0030】
好ましい実施形態によれば、フィルタは、トルク制御部分と並列に配置されてもよい。トルク制御部分は、電流制御部分に入力信号を提供する。トルク制御部分を迂回することによって、トルク制御部分のトルクおよび/または電流制限は、フィードフォワード信号を制限しない。
【0031】
好ましい実施形態によれば、電気機械は、スプリング・ダンパー・システムを介して、機械角速度によって特徴付けられた1つまたは複数のトルク負荷に結合されてもよい。
【0032】
本発明の別の態様によれば、プログラム可能なマイクロコンピュータ上で実行されたときに、前述の方法特徴の少なくとも1つに従って方法を実行するかまたは方法で使用するように適応されたコンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ・プログラムが提案される。詳細には、フィルタは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実現されてもよい。コンピュータ・プログラムは、インターネットに接続されたコンピュータ上で実行されたときに制御ユニットまたはその構成要素のうちの1つにダウンロードされるように適応され得ることが好ましい。
【0033】
本発明の別の態様によれば、コンピュータ上の本発明による方法で使用されるプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータ・プログラム製品が提案される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面では、同等または類似の要素は、同じ参照数字によって参照される。図面は、単に概略的表現であり、本発明の特定のパラメータを表現するものではない。さらに、図面は、本発明の典型的な実施形態だけを示すものであり、したがって本発明の範囲を限定するもと見なされるべきでない。
【0037】
図1は、制御可能な電気機械20を含む電気機械システム50の例示的実施形態を概略的に示す。電気機械システム50は、ハイブリッド車(
図8に概略的に示された)の電気機械駆動列でよい。電気機械システム50は、バッテリ電圧U_batを提供し供給電圧U_dcをインバータ12に供給するバッテリを有する直流電圧回路10を含む。インバータ12は、電気機械20に電流Iを供給する。直流電圧回路10は、電気機械20に直流電圧U_dcを供給する。制御信号/センサ信号線(矢印の形で示された)は、制御ユニット100を直流電圧回路10、インバータ12および電気機械20に接続している。直流電圧回路10を制御する制御ユニット100は、制御のために直流電圧U_dcを検出する。枠102および104に供給される直流電圧は、当該技術分野で周知の、トルク制御における弱め界磁の飽和機能の計算などの内部制限に使用される内部電圧U_dcに使用される被測定電圧を示す。
【0038】
図では、電気機械20に接続された機械負荷は、任意の機械負荷の一般表現としてスプリング・ダンパー・ユニット30とトルク負荷40(例えば、内燃機関)としてモデル化される。そのような電気機械システムを示すために使用されるモデルにより他の表現が可能なことがある。電気機械20は、機械特性とねじれ特性ならびに電気機械20とトルク負荷40間の接続の最終減衰特性を表わすスプリング・ダンパー・ユニット30によって、トルク負荷40(内燃機関(図示せず)など)に機械的に結合される。
【0039】
電気機械20は、電気機械20のインダクタンスLと抵抗rによって表される電気部分22と、電気機械20の回転部分の慣性系によって表わされる機械部分24とを含む。
【0040】
インバータ12は、制御ユニット100から入力信号を受け取る。電気機械20は、例えば、同期機械(例えば、永久磁石(PM)電気機械)でよい。
【0041】
制御ユニット100は、制御ユニット100内にハードウェアおよび/またはソフトウェアとして実施することができるいくつかの部分を含む。詳細には、制御ユニット100は、トルク制御部分102、電流制御部分と変調部分(詳細に示されない)を含むコントローラ104、フィルタ110、および電気機械20の極ペア数(pole pair number)に関する情報を含む極ペア数部分112を含んでもよい。
【0042】
制御ユニット100の出力は、インバータ設計による変調電圧信号(例えば、パルス幅変調信号(PWM信号)、パルス周波数変調信号(PFM信号)、またはパルス段変調信号(PSM信号)である。
【0043】
トルク制御部分102は、トルク要求M_req(例えば、加速器位置から導出された)を受け取り、電流信号I_reqを制御ユニット100のコントローラ104に出力する。加速器は、ハイブリッド車の加速器またはアクセル・ペダルでもよい。
【0044】
さらに、トルク制御部分102は、入力信号として機械角速度ω_mechと電気角速度ω_elを受け取る。電気角速度ω_elは、極ペア数部分112によって提供される電気機械20の極数と組み合わされた機械角速度ω_mechの結果である。
【0045】
トルク制御部分102は、電気機械20の弱め界磁を達成すためのユニットを含むことがあり、また電気機械20に適用可能な電流と電圧に対する制限を含む。したがって、要求トルクM_reqは、トルク制御部分102によって、コントローラ104に入力される要求電流I_reqに変換される。「弱め界磁」のような制御目標を使用することにより、高速時に永久磁石からの磁束を弱める逆磁束を導入することができ、これは、電気機械20の巻線の無効電流を要求することにより達成することができる。弱め界磁が行われない場合、電気機械20によって生成される起電力によって、インバータ12の電圧が、特定の条件下でコンバータ12が制御するのに高すぎる可能性がある。
【0046】
コントローラ104は、電流入力I_reqに加えて、入力として、電気機械20被測定電流I_measと、電気角速度ω_elと、フィルタ110によって供給される電気機械20の起電力emf_ffのフィードフォワード信号を受け取る。起電力信号emf_ffは、位相が閉ループ制御の代わりに開ループ制御で調整されるという意味でフィードフォワード信号として使用される。
【0047】
コントローラ104が、被測定電流I_measなどの1つまたは複数の入力パラメータのフィードバック・コントローラとして働いてもよいが、起電力信号emf_ffが、コントローラ104に入力されるフィードフォワード信号として使用され、その結果、信号の位相が、フィードバックを受けず、フィードフォワードだけを受けることに注意されたい。
【0048】
起電力信号emf_ffは、電気機械20の機械角速度ω_mechと極ペア数から導出され、状態オブザーバの使用によって計算または評価することができる。起電力信号emf_ffの入力パラメータは、便宜上、機械角速度ω_mech、極ペア数、および永久磁束φ_mである。しかしながら、起電力信号emf_ffの推定には、使用されるモデルによって、例えば、電気機械20の電流の機械角の変化、電気機械20の幾何学形状、回転子磁束などの他のパラメータを類似の評価を行うために使用することができる。
【0049】
状態オブザーバは、実システムの入力と出力の測定値が与えられた場合に内部状態を推定するために実システムをモデル化するシステムである。これは、典型的には、コンピュータによって実現される数学的モデルである。電気機械20がPM電気機械である場合、起電力emf_ffは、例えば、極数と機械角速度ω_mechの積、永久磁束φ_m、およびフィルタ関数Fによって単に生み出されたものである。
【0050】
移相の特性は、減衰させる特定の共振周波数と関連固有値によって決定される。
【0051】
フィルタ110は、一般に、フィルタ110に送り込まれる信号の移相を引き起こす。詳細には、例えば、電気機械システムのモデル・シミュレーションで機械角速度ω_mechの振動が観察された場合は、システムの位相に対する周波数のプロットの位相をずらすことができる。
【0052】
フィルタ110は、電気機械20の共振挙動に従って予め設定された固定パラメータを有するフィルタでよい。フィルタ110は、「フィードフォワード・フィルタ」と見なすことができる。この場合、信号の位相は、フィルタ110によって処理されたときに(例えば)一定の位相ずらされる。フィルタ・パラメータは、フィルタ110および/または制御ユニット100の設計段階で、モデル計算によって生成することができる。あるいは、フィルタ110は、制御システム100および/または電気機械20および相互接続された機械システムの動作状態に従って動作中にパラメータを変化させる適応フィルタでよい。
【0053】
図2は、角速度曲線を時間の関数として示し、振動の低減の違いを示す。電気機械システムは、多くの場合、ねじれ振動を引き起こすことがあるねじれ共振を示す傾向がある。そのような振動は、主に、システム内を伝わるより高い周波数のトルク変化を低減するはずの機械的スプリング・ダンパーによって引き起こされる。しかしながら、電気システムに接続された電気制御装置100によって制御される電気機械20と関連して、機械システムは、電気システムとその制御部を妨げることがある。結果として、固有の機械システムの減衰特性が低下することがある。この結果は、電気機械20の機械角速度ω_mechのある程度強い振動挙動を示す
図2の曲線Aによって示される。詳細には、曲線Aは、フィルタ110(
図1)が適用されない事例を表わす。その代わりに、時間の経過と共に振動振幅を僅かに減少させる僅かな固有減衰がある。
【0054】
電気機械20の機械角速度ω_mechが、強く振動している場合(
図2の曲線Aのように)、起電力emf_ffは、機械角速度ω_mech、極ペア数および永久磁束φ_mの積に比例しており、そのような振動も示す。
【0055】
しかしながら、本発明によれば、フィルタ110(
図1)を使用して機械角速度ω_mechの位相を調整することによって、そのような振動を低減することができる。この結果は、短い開始位相後にどちらかと言うと滑らかな曲線を示す
図2の曲線Bによって示され、それにより、機械角速度ω_mechの一様のわずかな振動は、開始位相直後に実質的になくなる。
図2の曲線Bが示すように、望ましくない振動は、どちらかというと短期間後にきわめて素早く減少して実質的に0に近づく。
【0056】
本発明を例証するために、
図3aと
図3bは、フィルタ110の効果を示す(
図1に示されたような)。
図3aは、いわゆるボード線図を示す。一般に、ボード線図は、複雑な伝達関数を識別する2つのグラフ、すなわち、振幅(
図3aの上側の図では「大きさ」と呼ばれる)の拡大の絶対値を対数目盛で示すグラフと、複雑な伝達関数の引き数(
図3aの下側の図では「位相」と呼ばれる)のグラフとからなり、これらの両方のグラフは、対数周波数軸でプロットされた周波数に対してプロットされて、線形の時間に独立なシステムの伝達関数または周波数応答を示し、したがってシステムへの高調波入力に対するシステムの出力の静応答を示す。
【0057】
図3aでは、「大きさ」はdBの単位で表示され、「位相」は度の単位で表示され、周波数はrad/秒の単位で表示される。
図3aのボード線図は、特定の周波数値より高い周波数で、これらの周波数が、拡大されるが(すなわち、信号は振幅が大きくなる)、そのような周波数が相進される(phase advanced)ことを示す。フィルタ(
図1の110)に関して、ボード線図は、周波数平面におけるフィルタ・パラメータ設定を示す。
図3aに示されたフィルタに関して、フィルタリングされた信号の大きさ(振幅)は、周波数の関数として増大し、同時にフィルタリングされた信号の位相は、周波数の関数として最大値になるまで増大し、次により高い周波数では再び減少する。
【0058】
従って、
図3bに示されたように、フィルタ(
図1の110)のこの典型的な周波数域内で共振によって引き起こされる可能性のある周波数成分を示す入力信号は、相進される。
【0059】
図3bは、例として、2つの正弦波信号S1およびS2の振幅Aを時間tの関数として示す。図は、特定周波数の信号S1が、相進特性を有するフィルタによってどのように影響を受けて相進信号S2が得られるかを示す。しかしながら、そのようなフィルタが、
図1による制御可能な電気機械20を含む電気機械システム50内で適用されるとき、システム50(
図1)に対する影響は、フィルタの相進作用に重なる減衰作用(
図2に曲線Bによって示されたような)である。
【0060】
より詳細には、
図3bの2つの正弦波信号S1,S2の振幅AMPは、時間tの関数として、相進特性を有するフィルタへの入力信号S1と、
図3aのボード線図によって示されたようなフィルタ特性を有する前記フィルタの出力信号S2との間の相進を示す。相進は、入力信号S1と入力信号S1のフィルタ出力信号S2との間の対応する時間ずれと考えられ、このずれは、
図3bに矢印によって示された入力信号S1の位相変位に対応する。
【0061】
図4は、
図1に示された本発明の実施形態の基礎となる可能性があるフィルタ・パラメータ推定を示すフローチャートを示す。フィルタ・パラメータ推定は、実際の電気機械システムにフィルタ110を実装する前にフィルタ・パラメータを較正するモデル位相で行われる。
【0062】
段階200のシミュレーションで、電気機械20(
図1)を示すシステムは、外部擾乱から励起されるか信号注入によって励起される。外部擾乱は、例えば電気機械20(
図1)に接続された機械システムから導入することがある。
【0063】
段階202で、シミュレートされたシステムで、非減衰共振または低減衰共振が観察されるかどうかが確認される。答えが「いいえ」の場合は(段階202で「n」)、段階204で、擾乱、システムの望ましくない励起、または動作点(work point of operation)の変化が観察されるまで通常動作が継続される。
【0064】
次に、手順は、段階200に直接ジャンプする。段階202の答えが「はい」(段階202で「y」)の場合、手順は、段階206に進み、システム共振に対する励起の影響の同時解析に基づいて、システムの減衰特性を達成する新しいフィルタ・パラメータが推測または計算される。この段階の後、ルーチンは、段階200に続く。
【0065】
図5〜
図7は、本発明を使用することができる3つの異なる実施形態、すなわち、(i)所定のフィルタ・パラメータ、(ii)ゲイン・スケジューリングおよび(iii)適応フィルタを示す。
【0066】
詳細には、
図5は、本発明の第1の実施形態にあるとおり、実フィルタ110をセット・アップする所定のフィルタ・パラメータを使用するフィルタ110の動作のブロック図を示す。
【0067】
図1と
図1に記載された構成要素とその参照数字を参照すると、電気機械20の機械角速度ω_mechが、電気機械20によって生成された起電力emf_ffをシミュレートする擾乱モデル300に入力される。機械角速度ω_mechを測定または推定することができ、推定できることにより、必要なセンサの数を減らすことができる。擾乱モデル300は、フィルタ関数Fと電気機械20の永久磁束φ_mとによって特徴付けられる極ペア数112とフィルタ110を含む。
【0068】
擾乱モデル300の結果は、電気機械20および機械部品30と40(
図1に示されたような)からなるシステム50の入力であり、システムの入力パラメータは、基準電圧U_refである。コントローラ104は、システム部分20,30,40の出力信号(すなわち、システム部分20,30,40の被測定電流I_meas)を、前記システム部分20,30,40の入力にフィードバックする。
【0069】
フィルタ110は、入力信号ω_mechの位相を、
図2と
図3に示されたような電気機械システムのモデル位相の際に決定された所定の固定フィルタ・パラメータ・セットに従ってずらす。
【0070】
この実施形態では、フィルタ110は、電気機械システムを設計する開発プロセスにおいて予め分かっている電気機械20の特定の共振を軽減するように設計される。
【0071】
図6は、ゲイン・スケジューリングに基づくフィルタ・パラメータ設定を使用する、本発明による方法を適用するための第2の実施形態のブロック図を示す。ゲイン・スケジューリングの方法では、動作点により異なる組の制御パラメータを選択することができる。例えば、各ギアシフトおよび/またはギアが適用される車両の場合、車両の運転中に電気機械システムの瞬間シミュレーション中に生成することができるルックアップ・テーブルからパラメータ・セットを読み出すことができる。
【0072】
図1および
図1に示された構成要素とその参照数字を参照すると、電気機械20の機械角速度ω_mechが、電気機械20によって生成された起電力emf_ffをシミュレートする擾乱モデル300に入力される。機械角速度ω_mechは、測定または推定することができ、推定できることにより、必要なセンサの数を減らすことができる。擾乱モデル300は、フィルタ関数Fと電気機械20の永久磁束φ_mによって特徴付けられた極ペア数112とフィルタ110を含む。
【0073】
擾乱モデル300の結果は、電気機械20と機械部分30,40(
図1に示されたような)を含むシステム50の入力であり、システムの入力パラメータは、基準電圧U_refである。コントローラ104は、システム20,30,40の出力信号(すなわち、システム20、30、40の被測定電流I_meas)をシステム20,30,40の入力にフィードバックする。
【0074】
信号は、フィルタ110内で可変移相を受ける。移相は、ゲイン・スケジューリング・ブロック308によって提供される様々なシステム動作点に関して所定の組のパラメータに応じて変更される。ゲイン・スケジューリング・ブロック308は、例えば予め分かっている動作モードのパラメータを含むルックアップ・テーブルから、入力として電気機械20の動作点W_opを受け取る。例えば、各ギアシフトに関して、適切なパラメータ・セットが読み出されフィルタ110に送られ、これにより、電気機械システム(
図1では50)の実際の動作モードに従ってフィルタ関数Fが変更される。
【0075】
異なる動作モードにより電気機械20の共振周波数が変化する場合、様々な組の制御パラメータを使用して低減することができる。制御パラメータのどの組を選択すべきかは、このケースでは予め分かっておりかつ電気機械システムを設計する開発プロセスで決定される実際の動作モードに依存する。
【0076】
図7は、適応フィルタ・パラメータ設定を使用する、本発明による方法を適用する第3の実施形態のブロック図を示す。
【0077】
図1と
図1に示された構成要素とその参照数字を参照すると、電気機械20の機械角速度ω_mechが、電気機械20によって生成された起電力emf_ffをシミュレートする擾乱モデル300に入力される。機械角速度ω_mechは、測定または推定することができ、推定できることにより、必要なセンサの数を減らすことができる。擾乱モデル300は、フィルタ関数Fと電気機械20の永久磁束φ_mによって特徴付けられた極ペア数112とフィルタ110を含む。
【0078】
擾乱モデル300の結果は、電気機械20と機械部品30,40(
図1に示されたような)からなるシステムの入力であり、システムの入力パラメータは、基準電圧U_refである。コントローラ104は、システム20,30,40の出力信号(すなわち、システム20,30,40の被測定電流I_meas)をシステム20,30,40の入力にフィードバックする。
【0079】
フィルタ・パラメータ推定プロセス・ブロック310は、システム部分20,30,40の出力から入力を受け取る。フィルタ・パラメータ推定プロセス・ブロック310の出力は、システム部分20,30,40の入力を構成するコントローラ104とフィルタ110の結合出力信号と結合される。フィルタ・パラメータ推定プロセス・ブロック310は、特定の動作モードの損失関数を計算し、そのような損失を最小化するパラメータを計算する。この実施形態では、電気機械システム(
図1の50)内の入出力パラメータが測定されかつ/または推定され、フィルタ110のフィルタ関数Fが、適応的に調整され、最適化アルゴリズムが、稼働状態で、共振軽減に使用される制御パラメータ、より詳細にはフィルタ110のフィルタ部品のフィルタ関数Fを計算する。
【0080】
図8に本発明による方法を使用する車両90の概略図が示される。車両90は、車両90の前後にホイール140および142を、周知の方式で備える。駆動軸132が、電気機械20を介して内燃機関130に結合される。駆動軸132は、ホイール140に結合される。車両ホイール140,142とエンジン130は、車両駆動列(
図1に数字40で表わされた)の機械システムにおける主要部分である。電気機械20は、本発明による方法を使用する制御ユニット100によって制御される。