(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明における再生対象となる廃プラスチック材料の粉砕物の例としては、樹脂の成形(成型)時や加工時に発生する不要部分、樹脂の成形(成型)時や加工時に発生する熱によるヤケやゴミの混入などや、樹脂の移送時に発生するゴミの混入などによる合成樹脂製品の不良品、使用済のインストルメントパネル、バンパー、モールなどの車内外装部材などの自動車部品、家電製品、工業用部材、住宅などの建材部材などから回収された使用済みの樹脂材料の粉砕物を挙げることができる。特に、使用済の無着色、淡白色、淡黒色、淡有彩色、白色、黒色、有彩色などの自動車製品、家電製品、工業用部材、住宅などの建材部材などから回収された樹脂材料の粉砕物が主な再生対象となる。
【0028】
本発明における再生対象となる廃プラスチック材料の粉砕物は、熱可塑性でない固形異物を0.001〜2重量%(好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%、特に好ましくは不溶物を0.01〜0.2重量%含む熱可塑性の廃プラスチック材料の粉砕物である。
【0029】
再生対象となる廃プラスチック材料の粉砕物に混在する固形異物としては、再生樹脂を製造する加熱溶融温度で不溶な、砂状無機物、植物片、金属片、繊維屑、樹脂分解物、金属酸化物、樹脂硬化物などを挙げることができる。このような固形異物の大部分が、長辺の長さが1.5mm以下であることが好ましく、特に20メッシュスクリーンを通過するものであることが好ましい。
【0030】
廃プラスチック材料の粉砕物は、直径が通常30mm以下、好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは1〜25mm、より好ましくは1〜20mm、特に好ましくは1〜12mmとなるように粉砕した粉砕品である。また、廃プラスチック材料の粉砕物を加熱押出機などを用いて、溶融し、ペレット状にした物もまた、合成樹脂製品の粉砕物と同様に利用することができる。
【0031】
本発明において原料として利用する廃プラスチック材料粉砕物は下記条件1を満たす廃プラスチック材料粉砕物であることが好ましい。
【0032】
条件1:廃プラスチック材料粉砕物から作成したシートの明度と光透過度との関係が下記式で表される要件を満たす
(C×D)>4000
[C:廃プラスチック材料粉砕物から作成した厚み3mmのシートの明度、D:廃プラスチック材料粉砕物から作成した厚み50μmのシートの全光線透過率(%)]。
【0033】
本発明の再利用対象となる熱可塑性の廃プラスチック材料の粉砕物は、光透過度が好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、特に好ましくは70%以上のもの、を用いることが好ましい。
【0034】
廃プラスチック材料の粉砕物に添加配合する光遮蔽性成分としては、光遮蔽性を示す顔料及び/又は光遮蔽性を示すフィラーを用いる。光遮蔽性成分としては、光遮蔽性顔料が好ましく、二酸化チタン(チタン白)、カーボンブラック及びチタンイエローから選ばれる成分を少なくとも1種含むことが好ましい。
【0035】
光遮蔽性を有する顔料としては、白色顔料、有彩色顔料、黒色顔料などを用いることができる。これらの顔料は二種以上配合することができる。光遮敵性顔料として特に、カーボンブラック及び二酸化チタンから選ばれる顔料を少なくとも一種配合することが、色調を変えた有彩色の樹脂を得るために好ましい。
【0036】
白色顔料としては、二酸化チタン、鉛白、酸化亜鉛をあげることができる。特に好ましいのは二酸化チタンである。
【0037】
二酸化チタンとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えば塩素法や硫酸法で製造したものを用いることが出来る。塩素法で製造した物が好ましい。粒子形状は特に制限されないが、正方晶系、ルチル型、アナターゼ型などを用いることが出来、特に正方晶系及びルチル型が好ましい。平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.2〜0.3μmの粒子が分散性、取扱性及び作業性に優れている。二酸化チタンのDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは5〜40(cc/100g)、さらに好ましくは8〜30(cc/100g)、より好ましくは10〜20(cc/100g)、特に好ましくは12〜18(cc/100g)である。
【0038】
有彩色顔料は、公知のものが制限なく使用でき、例えば金属の酸化物、水酸化物、硫化物、クロム酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩などの無機顔料;アゾ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ニトロ系、ニトロソ系、アントラキノン系、キナクリドンレッド系、ベンジジン系、縮合多環系等の有機顔料などを挙げることが出来る。また、着色繊維や光沢を有する金属粒子などであってもよい。有彩色顔料の色相については特に制限がなく、黄、青、赤、緑などのいずれのものでも使用することができる。これらの顔料は二種類以上を併用することができる。
【0039】
本発明で用いることのできる有彩色顔料の具体例としては、弁柄、群青、コバルトブルー、チタンイエロー、紺青、硫化亜鉛、バリウム黄、コバルト青、コバルト緑等の無機顔料;キナクリドンレッド、ポリアゾイエロー、アンスラキノンレッド、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ベリレン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、イソインドリノンイエロー、ウォッチングレッド、パーマネントレッド、パラレッド、トルイジンマルーン、ベンジジンイエロー、ファーストスカイブルー、ブリリアントカーミン6B等の有機顔料、着色繊維、光沢を有する金属粒子などが挙げられ、これらの顔料は二種類以上を併用して使用することができる。
【0040】
チタンイエローの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.5〜1.3μm、より好ましくは0,7〜1.1μm、特に0.8〜1μmのものが、分散性、取扱性、そして作業性に優れるため好ましい。チタンイエローのDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは15〜40(cc/100g)、さらに好ましくは20〜35(cc/100g)、特に好ましいのは20〜30(cc/100g)の範囲である。チタンイエローのpHは、特に制限されないが、好ましくは6〜10、特に好ましくは7〜9の範囲である。
【0041】
群青としては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。群青の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜4μm、より好ましくは0.8〜3.5μm、そして特に好ましいのは1〜3μmである。これらは、分散性、取扱性及び作業性に優れるため好ましい。群青のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは20〜50(cc/100g)、さらに好ましくは25〜40(cc/100g)、特に30〜35(cc/100g)が好ましい。群青のPHは、特に制限されないが、好ましくは5〜11、さらに好ましくは5.5〜11、特に好ましくは7〜11の範囲である。
【0042】
フタロシアニンブルーとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばワーラー法やフタロニトリル法で製造したものを用いることが出来る。フタロシアニンブルーの粒子形状は特に制限されないが、α型、β型などを用いることが出来る。フタロシアニンブルーの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。
【0043】
フタロシアニングリーンとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばワーラー法やフタロエトリル法で製造したものを用いることが出来る。フタロシアエングリーンの粒子形状は、特に制限されないが、α型、β型などを用いることが出来る。フタロシアニングリーンの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。フタロシアニングリーンのpHは、特に制限されないが、好ましくは4〜9、さらに好ましくは4〜8の範囲である。
【0044】
弁柄としては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。弁柄の粒子形状は、特に制限されないが、等軸晶系などを用いることが出来る。弁柄の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.08〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。弁柄のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは10〜50(cc/100g)、さらに好ましくは12〜40(cc/100g)、特に好ましくは15〜30(cc/100g)の範囲である。弁柄のpHは、特に制限されないが、好ましくは4〜8、さらに好ましくは5〜7の範囲である。
【0045】
キナクリドンレッドとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。キナクリドンレッドの粒子形状は、特に制限されないが、α型、β型、γ型などを用いることが出来る。キナクリドンレッドの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。
アンスラキノンレッドとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。アンスラキノンレッドの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1μmが好ましい。アンスラキノンレッドのpHに制限されないが、好ましくは4〜9の範囲である。
【0046】
黒色顔料としては、カーボンブラック、鉄黒などをあげる事ができる。黒色顔料は、再生樹脂成形物に高い光遮蔽性を付与することができる。黒色顔料も二種類以上を併用して使用することができる。
【0047】
カーボンブラックとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばファーネス法やチャンネル法で製造したカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどを用いることが出来る。また、カーボンブラックは酸化処理した物を用いることが出来る。カーボンブラックとしては、特にファーネス法で製造したファーネスブラックを用いることが、外観の均一性に優れ、分散性に優れ、得られる戊形物の黒色度、光沢向上の効果も大きなものとなるので好ましい。カーボンブラックの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜0.3μm、さらに好ましくは0.005〜0.2μm、より好ましくは0.01〜0.1μm、特に好ましくは0.01〜0.03μmのものが、分散性、取扱性及び作業性に優れ、黒色度、光沢の向上にも高い効果を発揮するため好ましい。
【0048】
鉄黒としては、焼成法により得られる黒色の酸化鉄を用いることが出来る。鉄黒の粒子形状は、特に制限されないが、八面体などの多面体形、球状などを用いることが出来、特に八面体が好ましい。鉄黒の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.05〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.35μm、特に好ましくは0.2〜0.35μmが好ましい。鉄黒のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは10〜80(cc/100g)、さらに好ましくは15〜50(cc/100g)、より好ましくは20〜40(cc/100g)、特に好ましいのは25〜35(cc/100g)の範囲である。鉄黒のpHは、制限されないが、好ましくは9〜11であり、特に9〜10が好ましい。
【0049】
白色顔料、黒色顔料、及び/又は有彩色顔料は、そのまま直接添加してもよく、あるいは顔料をマスターバッチ化して添加してもよい。顔料と樹脂成分を用いるマスターバッチ化技術は既に知られている。
【0050】
廃プラスチック材料粉砕物には、所望により、光遮蔽性を示さないフィラーを添加配合することもでき、再生樹脂成形物の物性を向上させるためには、その添加が好ましい。フィラーは二種類以上を併用して使用することができる。
【0051】
光遮敵性フィラーとしては、顔料を除く、樹脂に配合して光を遮敵するものであればよく、有機系フィラー及び無機系フィラーを用いることができる。
【0052】
無機系フィラーとしては、タルク、クレー、マイカ、シリカ、ケイソウ上、モスハイジ、ティスモ、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ドロマイト、ドーソナイト、ケイ酸塩類、炭素繊維、ガラス(ガラス繊維を含む)、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム(水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、蛙酸カルシウム、硫化モリブテン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなど、あるいは亜鉛、銅、鉄、鉛、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、スズ、白金、タングステン、金、マグネシウム、コバルト、ストロンチウムなどの金属及びこれらの金属酸化物、ステンレス鋼、ハンダ、真鍮などの合金、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化チタンなどの金属系セラミックスなどの粉末、繊維状ウィスカ及び繊維などを用いることが出来る。光遮敵性フィラーは、無機フィラーが好ましく、タルク、マイカなどが好ましい。
【0053】
本発明の廃プラスチック紛砕物の再生に際しては、必要に応じて、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、造核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤や分散剤などを加えることが出来る。
【0054】
分散剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、金属石鹸、グリセリンエステル、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどを挙げることが出来る。
【0055】
添加剤としては、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤、リン系、ハロゲン系等の難燃剤などを挙げることが出来る。
【0056】
本発明の廃プラスチック材料粉砕物の再生に際しては、前述のように、必要に応じて、熱可塑性樹脂及び/又はエラストマーを添加配合することができる。添加配合する熱可塑性樹脂やエラストマーは、合成樹脂製品の樹脂材料と同じ樹脂、もしくは同質の樹脂を用いることが望ましい。従って、廃プラスチック材料の粉砕物の再利用に利用できる熱可塑性樹脂材料の例としては、オレフィン系樹脂(例、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン)、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、変性ポリフェエレンエーテル、ポリフェエレンスルフィドなどのポリフェニルエーテル系樹脂、ポリメタクリル酸メチルのようなポリアクリル酸系樹脂、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロン、6・12−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリスルホンなどを挙げることができる。
【0057】
エラストマーとしては、明確な降伏点を有しない熱可塑性の低結晶性エラストマー叉は明確な融点及び降伏点を有しない熱可塑性の非晶性エラストマーであり、常温でゴム弾性を有するエラストマー又はゴムを用いることが出来る。使用できるエラストマーの具体例としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを挙げることができる。エラストマーは一種で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】
スチレン系エラストマーとしては、ブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBSなど)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBSなど)、イソプレン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の全てを含む)及びその水添物、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEPSなど)、水添スチレン−ビニルイソプレン共重合体(V−SEPSなど)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SISなど)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPSなど)、水添スチレン−ブタジエン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBCなど)等を用いることが出来る。
【0059】
ポリオレフィン系エラストマーとしては、非晶性叉は低結晶性ポリオレフィン−α−オレフィン共重合体、ポリオレフィンとオレフィン系ゴムとの混合物等を用いることが出来、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンエラストマー、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテンエラストマー(EBM、EBSなど)、エチレン・ヘキセンエラストマー、エチレン・オクテンエラストマー、プロピレン・1−ブテンエラストマーなどのエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体エラストマーやプロピレンと炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3を除く)との共重合体エラストマーなどのポリオレフィン系エラストマーなどを挙げることが出来る。さらにポリオレフィン系エラストマーとしては、水素添加アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることが出来る。特に、エラストマーとしては、特にエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体エラストマーやプロピレンと炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3を除く)との共重合体エラストマーなどのポリオレフィン系エラストマーを好ましく用いることができる。
【0060】
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエステル−ポリエーテル共重合体、ポリエステル−ポリエステル共重合体等からなるエラストマーを用いることが出来る。
【0061】
ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド−ポリエステル共重合体、ポリアミド−ポリエーテル共重合体等からなるエラストマー等を用いることが出来る。上記のエラストマーを二種以上、混合して用いてもよい。
【0062】
本発明の樹脂組成物(再生樹脂組成物)としては、L*が30.00以下、a*が−1.00〜0.40、及びb*が−1.50〜0.50となるような黒色を除く白色又は有彩色に着色された樹脂組成物であることが好ましい。
【0063】
本発明の再生樹脂組成物を製造方法の例を下記に示す。
(1)原料の固形異物を含む廃プラスチック材料の粉砕物に、適量と推定される顔料やフィラーなどの光遮蔽性成分、そして必要に応して熱可塑性樹脂やエラストマー等を添加した混合物を得る。
(2)上記混合物を溶融混練し、次いで、直接あるいは粒状物を介して、明度と光透過度の測定用のシート状の試験片をそれぞれ製造する。
(3)シート状の試験片の明度と光透過度を測定し、その測定結果を前記数式に示した条件により適否を判断する。試験片の明度と光透過度(%)の積が、4000を越えている場合には、上記(1)の工程に戻る。試験片の明度と光透過度(%)の積が、4000以下の場合、本発明に従う再生樹脂組成物として再利用する。
上記の操作を行うことにより、所望の色調、外観そして物性を有する成形に用いることのできる再生樹脂を製造することが出来る。
【0064】
本発明の再生樹脂組成物の製造方法の上記(1)において、廃プラスチック材料の粉砕物、適量と想像される顔料やフィラーなどの光遮蔽性成分、そして必要に応して用いる熱可塑性樹脂やエラストマー等の添加順序は、適宜選択することができる。
また、本発明の再生樹脂を製造方法の(1)において、
(i)廃プラスチック材料の粉砕物と光遮蔽性成分とを予め溶融混練し、さらに必要に応じて熱可塑性樹脂やエラストマー等を添加してもよく、
(ii)廃プラスチック材料の粉砕物と熱可塑性樹脂やエラストマー等を予め溶融混練し、光遮蔽性成分を添加してもよく、
(iii)光遮蔽性成分と熱可塑性樹脂やエラストマー等を予め溶融混練し、廃プラスチック材料の粉砕物を添加してもよい。
すなわち、これらの各成分の添加順序及び溶融は、適宜選択することができる。
【0065】
本発明では、廃プラスチック材料の粉砕物と、各成分との混合方法、混合装置、混合設備については特に制限はなく、公知の単軸押出機(混練機)、二軸押出機(混練機)、二軸押出機と単軸押出機(混練機)を直列に接続したタンデム型混練装置、カレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどの混合及び/叉は混練装置などを用いることが出来る。
【0066】
本発明の再生樹脂組成物は、押出成形、シート成形、射出成形、射出圧縮成形、ガス注入射出成形、プロー成形、真空成型など公知の成形や成型方法を用いて、バンパー、モール、ドアトリム、インストルメントパネル、トリム、コンソールボックスなどの車用内外装部品、バッテリー、ファンシュラウドなどのエンジンルーム内部品などの自動車部材、家電製品の内外装部材、住宅建材の内外装部材、緩衝部材、包業部材などに用いられる成形物として再使用することができる。
【0067】
本発明の再生樹脂組成物からは、光沢面を有する成形物、絞などの凹凸や模様を有する成形物、あるいは滑らかな凹凸や模様を有する成形物などの任意の表面状態の成型物を得ることが出来る。
【実施例】
【0068】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
(1)明度及び色相の測定:
二軸混練機で作成した再生ペレットを型締力130トンの射出成形機を用い、金型:角板(100mm×100mm×3mm;片面:皮紋形状、片面:鏡面)、成形温度:C1−C2−C3−C4=180−190−200−210℃、射出圧力:P1−P2−P3−P4=108−98−88−78MPa、射出速度:V1−V2−V3−V4=30−30−20−20%、スクリュウ背圧:フリー、スクリュウ回転数:60%、金型温度:40℃、サイクル:射出10秒、冷却20秒、の射出条件で10ショット連続成形し、6〜10ショットの成形物(試験片A)を採取した。得られた10ショット目の試験片Aの絞面側を倉敷紡績株式会社製の分光光度計(光源:D−6510度視野)を用いて、明度L*、色相a*、色相b*(CIE1976)を測定した。明度L*を明度とした。
【0070】
(2)光透過度の測定:
型締め力40トンのホットプレス成形機を用い、二軸混練機で作成した再生ペレットを写真用フェロタイプ板に挟み(スペーサー70×50×0.05mmt)加熱板温度230℃、余熱時間2分、脱泡処理時間1分、加圧時間1分(圧力:100kg/cm
2)、冷却温度20℃、冷却時間2分の成形条件で50±3μmのフィルムを作成し、全光線透過率測定用試験片Bとした。
この試験片Bを濁度計(日本電色工業社製 濁度計NDH2000)を用い全光線透過率を測定し、全光線透過率(%)を光透過度(%)とした。光源はハロゲンランプ 定格5V9W、入光部開口径は20mmφを用い、フィルムの5点の個所を測定、平均した。
【0071】
(2)試験片Aの絞面の外観評価方法:
試験片の絞面外観を、目視観察を行い三段階で評価した。
3:固形異物が日立たない(合格)、2:固形異物が若干目立つ、1:固形異物が日立つ。
【0072】
[実施例1〜3、比較例1〜3]
<使用材料>
(1)再生処理対象の廃プラスチック材料(回収粉砕樹脂)
再生処理対象の廃プラスチック材料として、家庭から回収された使用済みポリプロピレン製品の洗浄品を5〜16mmに粉砕したものを用いた。廃プラスチック材料の粉砕品は無色、白色、クリーム色などの混合物であった。この廃プラスチック材料の粉砕品をプラテック社製のブレンダーを用いてドライブレンドを行った後、二軸混練機(宇部興産社製:UME40−48T)を用いて、バレル温度:220℃、処理量:60Kg/時の条件で、溶融混練し廃プラスチック材料のペレットを得た。廃プラスチック材料のペレットは、10.5重量%のエチレン・プロピレンゴムを含むMFRが25g/10分の結晶性ポリプロピレンを主要成分とする樹脂組成物ペレットであった。
また、この廃プラスチック材料のペレットのシート状試験片の明度L*、彩度a*、彩度b*を測定したところ、L*:83.92、a*:−0.50、b*:7.98であった。
【0073】
更に、上記廃プラスチック材料の粉砕品を#40/#100/#200/#40で構成されるスクリーンをブレーカープレート前にセットした二軸混練機(宇部興産社製:UME40−48T)を用いて、バレル温度:220℃、処理量:60Kg/hの条件で溶融混練した。1時間溶融混練した後、二軸混練機にセットしたスクリーンを取り外し、500ccのナス形フラスコに入れ、500ccのp−キシレンを注入後、30分間沸騰・攪拌し付着樹脂を溶解した。その後、直ちにアスピレーター式濾過器を用い、5A濾紙で熱濾過し濾過残渣の固形異物を得た。スクリーンに付着した固形異物量を測定したところ、固形異物量は0.03重量%であった。
この固形異物を、目視及び顕微鏡で観察したところ、長辺の長さが1.5mm以下の砂状無機物、植物片、樹脂分解物、金属片、金属の酸化物等の混合物であった。
【0074】
(2)顔料:
1)弁柄:平均粒子径0.16μm、DOP吸油量23(CC/100g)、pH5〜7。
2)群青:平均粒子径1〜3μm、DOP吸油量31〜33(CC/100g)、pH8.5〜10.5。
3)鉄黒:平均粒子径0.27μm、DOP吸油量26〜30(CC/100g)、pH9〜10。
4)二酸化チタン:平均粒子径0.22μm、DOP吸油量14(CC/100g)、pH5.5〜7.5。
5)チタンイエロー:平均粒子径0.91μm、DOP吸油量25(CC/100g)、pH7.8。
6)カーボンブラック:平均粒子径0.017(ファーネス法)。
【0075】
(3)その他添加成分:
1)分散剤:ステアリン酸カルシウム。
2)酸化防止剤:Irgafos168。
【0076】
<再生樹脂組成物の製造>
表1に示す割合の再生処理対象の廃プラスチック材料の粉砕品、顔料、分散剤及び酸化防止剤を、プラテック社製のブレンダーを用いてドライブレンドを行った後、二軸混練機(宇部興産株式会社製:UME40−48T)を用いて、バレル温度:220℃、処理量:60Kg/時の条件で、溶融混練し、再生樹脂組成物ペレットを得た。なお、実施例はスクリーン無しで実施した。
得られた再生樹脂組成物ペレットの試験片Aの明度、a*及びb*と、試験片Bの光透過度を測定した結果を表2に示す。再生樹脂組成物ペレットより試験片Aを製造し、外観を評価した結果を表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1と表2の結果から、本発明の再生樹脂組成物から製造した成型物(試験片)が外観の優れた成型物であることが分る。
【0080】
[実施例4、比較例4]
<使用材料>
(1)再生処理対象の廃プラスチック材料(回収粉砕樹脂)
再生処理対象の廃プラスチック材料として、廃棄処分された電子写真複写機から取り出されたABS樹脂製品(外装、コピー紙トレイなど)を5〜16mmに粉砕したものを用いた。この粉砕品は、白色、ライトグレー色などの混合物であった。この粉砕品をプラテック社製のブレンダーを用いてドライブレンドを行った後、二軸混練機を用いて、バレル温度:220℃、処理量:60Kg/時の条件で溶融混練してペレットを得た。このペレットはMVRが12cm
3/10分(220℃、10Kg荷重)のABS樹脂を主要成分とする樹脂ペレットであった。
また、このABS樹脂のペレットのシート状試験片の明度L*、彩度a*、彩度b*を測定したところ、L*:82.7、a*:0.07、b*:3.77であった。
【0081】
(2)顔料:
実施例1〜3と同じ。
(3)その他添加成分:
実施例1〜3と同じ。
【0082】
<再生樹脂組成物の製造>
下記の表3に示す割合の再生処理対象のABS樹脂の粉砕品、顔料、分散剤及び酸化防止剤を、プラテック社製のブレンダーを用いてドライブレンドを行った後、二軸混練機を用いて、バレル温度:220℃、処理量:60Kg/時の条件で、溶融混練し、再生樹脂組成物ペレットを得た。なお、実施例はスクリーン無しで実施した。
得られた再生樹脂組成物ペレットの試験片Aの明度、a*及びb*と、試験片Bの光透過度を測定した結果を表3に示す。再生樹脂組成物ペレットより試験片Aを製造し、外観を評価し、結果を表2に示す。
【0083】
表3
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比較例4 実施例4
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ABS製品粉砕品 100 100
弁柄 − 0.0027
鉄黒 − 0.0160
二酸化チタン − 2.0
チタンイエロー − 0.0060
ステアリン酸カルシウム 0.1 0.1
Irgafos168 0.05 0.05
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明度 82.7 83.38
a* 0.07 0.06
b* 3.77 3.37
光透過度(%) 53.72 22.58
明度×光透過度 4443 1883
外観評価 1 3
色相
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【0084】
表3の結果から、本発明の再生樹脂組成物から製造した成型物(試験片)が外観の優れた成型物であることが分る。