特許第5761849号(P5761849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5761849
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-119873(P2011-119873)
(22)【出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2012-245186(P2012-245186A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】目黒 裕宗
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−282879(JP,A)
【文献】 特開2009−075870(JP,A)
【文献】 特開2010−172555(JP,A)
【文献】 特開2009−207548(JP,A)
【文献】 特開2011−055090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者により携行され、前記医療従事者を他の医療従事者と識別するための医療従事者識別情報を記憶する無線機と、
患者毎にベッド近傍に設置されているナースコール子機の呼出操作装置がそのナースコール子機の子機識別情報とそのナースコール子機を使用する患者の患者情報とを関連付けて予め記憶しておくのと異なり、トイレや浴室、談話室などの共用部に設置されているナースコール子機の子機識別情報とそのナースコール子機を使用する患者の患者情報とが関連付けて記憶されておらず、前記共用部に設置されているナースコール子機を構成するとともに、前記医療従事者を呼び出すための呼出操作を行うために、不特定多数の患者によって操作される呼出操作装置と、
前記共用部に設置され、近傍に存在する無線機から医療従事者識別情報を読み取る第一の読取装置と、
各患者が使用するベッド近傍に設置され、近傍に存在する無線機から医療従事者識別情報を読み取る第二の読取装置と、
呼び出しを報知する報知装置と、
現在日時を示す日時情報を取得する日時情報取得装置と、
前記第二の読取装置を他の第二の読取装置と識別するための識別情報および前記第二の読取装置の近傍に設置されているベッドを使用する患者の患者情報を関連付けて予め記憶する記憶する記憶装置と、
前記呼出操作装置が操作された場合に、前記報知装置を動作させるとともに、前記日時情報取得装置から日時情報を取得し、その後に前記第一の読取装置が医療従事者識別情報を読み取り、一定の時間になる前に前記第二の読取装置が同一の医療従事者識別情報を読み取ったときに、前記共用部での呼出操作に対して前記医療従事者が前記共用部へ向かい、そこに居た患者を介助してその患者のベッドまで移動したと判断するとともに、前記記憶装置を参照してこの第二の読取装置の識別情報に関連付けて記憶されている患者情報を取得し、取得した患者情報および取得した日時情報を呼出履歴データとして前記記憶装置に記憶させる制御装置と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者からの要求に応じて医療従事者や介護者を呼び出すナースコールシステムに関し、特に患者や被介護者が医療従事者や介護者を呼び出したことを呼出履歴として記録することができるナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、施設とする)では、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、施設の部屋(例えば、病室など)内の患者や被介護者(以下、単に患者とする)の近辺(例えば、ベッド近傍など)やトイレなどに設置されたナースコール子機および医療従事者や介護者(以下、単に医療従事者とする)の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成されている。また、ナースコール親機によっては、医療従事者が携行している携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)を無線によって接続するものも存在する。そして、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末(以下、単にナースコール親機とする)は、自装置に設けられた報知部を動作させて、報知用スピーカーから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。
【0003】
ところで、上述した施設では、患者がナースコール子機を操作して医療従事者を呼び出したこととその呼び出しが行われた日時とを呼出履歴として記録することがあった。例えば、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール子機はナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機が呼び出しを報知するとともに、入力した呼出信号に含まれる識別情報により特定される患者情報と呼出信号を入力したときの日時を示す日時情報とを呼出履歴として記録する技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【0004】
また、トイレや浴室、談話室などの共用部に設置されているナースコール子機は、患者毎にベッド近傍に設置されているナースコール子機と異なり、不特定多数の患者によって操作される。そのため、共用部に設置されているナースコール子機の識別情報とそのナースコール子機を使用する患者の患者情報とを関連付けて予め記憶しておくことができない。従って、共用部に設置されているナースコール子機が操作された場合に、ナースコール子機を操作した患者を特定することができず、呼出履歴に患者情報を記録することができなくなってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、共用部に設置されているナースコール子機にタグリーダーなどの読取装置を設置し、患者情報を記憶したICタグなどの無線機を患者に携行させて、患者が共用部のナースコール子機を操作した際に、読取装置が無線機に記憶されている患者情報を読み取ることで、共用部で呼び出しを行った患者の氏名などをナースコール親機に表示する技術が知られている(例えば、特許文献2など)。この特許文献2に記載の技術を用いることで、共用部に設置されているナースコール子機を操作した患者の患者情報を呼出履歴として記録することができる。しかしながら、この従来技術では、患者情報を記憶した無線機を患者に携行させなければならないため、患者に負担をかけてしまうという問題や、患者が無線機を携行していないと患者情報を読み取ることができなくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−154890号公報
【特許文献2】特開2006−95037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者に無線機を携行させずに、その患者が共用部から呼び出しを行ったことを呼出履歴として記録することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムでは、医療従事者に無線機を携行させ、医療従事者が携行している無線機から医療従事者識別情報を読み取る第一の読取装置および医療従事者を呼び出すための呼出操作装置を不特定多数の患者が使用するトイレや浴室、談話室などの共用部に設置し、その無線機から医療従事者識別情報を読み取る第二の読取装置を各患者が使用するベッド近傍に設置する。そして、呼出操作装置が操作された後に第一の読取装置が医療従事者識別情報を読み取り、一定の時間になる前に第二の読取装置が同一の医療従事者識別情報を読み取った場合に、そのベッドを使用している患者の患者情報と、呼出操作装置が操作された日時を示す日時情報とを呼出履歴として記録するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、共用部に設置された呼出操作装置が操作され、その後に第一の読取装置が医療従事者識別情報を読み取り、続いて第二の読取装置が同一の医療従事者識別情報を読み取った場合には、共用部での呼び出しに対して医療従事者が共用部へ向かい、そこに居た患者を介助してベッドまで移動したと判断されるので、患者に無線機を携行させることなく共用部で呼び出しを行った患者を特定し、呼出操作装置が操作された日時とともに呼出履歴として記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態によるナースコースシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるナースコールシステムを適用した共用部、病室およびナースステーションの状態例を示す図(その1)である。
図3】本実施形態によるナースコールシステムを適用した共用部、病室およびナースステーションの状態例を示す図(その2)である。
図4】本実施形態によるナースコールシステムのナースコール親機の記憶部の記憶内容の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール子機1、無線機5、第一の読取装置6、第二の読取装置7、ナースコール親機10を備えて構成されている。
【0012】
図1において、ナースコール子機1は、不特定多数の患者が使用する病棟内の共用部(例えば、トイレや浴室、談話室など)に設置されており、患者が医療従事者を呼び出すためのものである。ここで、ナースコール子機1は、伝送線を介してナースコール親機10に接続されている。
【0013】
また、ナースコール子機1は、子機用制御部2、呼出操作部(特許請求の範囲の呼出操作装置に該当する)3、子機用インターフェース部(以下、I/F部と記載する)4を備えて構成されている。また、図2(a)に示す例では、病棟内の共用部aには、ナースコール子機1aが設置されており、病棟内の共用部bには、ナースコール子機1bが設置されている。
【0014】
無線機5は、例えばICタグにより構成されており、各医療従事者により携行される。ここで、無線機5は、医療従事者を他の医療従事者と識別するための医療従事者識別情報を記憶している。
【0015】
第一の読取装置6は、共用部に設置されており、この共用部内を読取範囲とするタグリーダーなどにより構成されている。ここで、第一の読取装置6は、伝送線を介してナースコール親機10に接続されている。また、第一の読取装置6は、共用部内に入ってきた無線機5に記憶されている医療従事者識別情報を読み取り、この医療従事者識別情報を含む第一の検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0016】
ここで、第一の読取装置6は、共用部内に入った無線機5に電源を供給する。電源が供給された無線機5は、記憶されている医療従事者識別情報を送信する。第一の読取装置6は、送信された医療従事者識別情報を読み取り、この医療従事者識別情報を含む第一の検出信号を生成してナースコール親機10へ出力する。また、第一の検出信号は、この第一の読取装置6を他の第一の読取装置6と識別するための第一の読取装置識別情報を含む。また、図2(a)に示す例では、病棟内の共用部aの天井には、第一の読取装置6aが設置されており、病棟内の共用部bの天井には、第一の読取装置6bが設置されている。
【0017】
第二の読取装置7は、各患者が使用する病室内のベッド近傍に設置されており、このベッド近傍を読取範囲とするタグリーダーなどにより構成されている。また、第二の読取装置7は、伝送線を介してナースコール親機10に接続されている。また、第二の読取装置7は、ベッド近傍に入ってきた無線機5に記憶されている医療従事者識別情報を読み取り、この医療従事者識別情報を含む第二の検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0018】
ここで、第二の読取装置7は、ベッド近傍に入った無線機5に電源を供給する。電源が供給された無線機5は、記憶されている医療従事者識別情報を送信する。第二の読取装置7は、送信された医療従事者識別情報を読み取り、この医療従事者識別情報を含む第二の検出信号を生成してナースコール親機10へ出力する。また、第二の検出信号は、この第二の読取装置7を他の第二読取装置7と識別するための第二の読取装置識別情報を含む。また、図2(a)に示す例では、病棟内の病室a内のベッドaの上の天井部分には、第二の読取装置7aが設置されており、病棟内の病室b内のベッドbの上の天井部分には、第二の読取装置7bが設置されている。
【0019】
ナースコール親機10は、医療従事者の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されており、患者が医療従事者を呼び出したことを報知するために使用される。また、ナースコール親機10は、医療従事者が患者からの呼び出しに対して応答するために使用される。また、ナースコール親機10とナースコール子機1との間には、制御機および廊下灯(ともに図示せず)が設置されている。制御機は、ナースコール子機1とナースコール親機10との間の通信を制御する。また、廊下灯は、自装置に設けた表示灯を点灯または点滅させて患者が医療従事者を呼び出したことを報知する。また、ナースコール親機10が図示しない携帯通信端末(例えば、PHSやコードレス電話など)を無線によって接続している場合、携帯通信端末は、患者から医療従事者への呼び出しを報知する。
【0020】
また、ナースコール親機10は、制御部(特許請求の範囲の制御装置に該当する)11、インターフェース部(以下、I/F部と記載する)12、記憶部(特許請求の範囲の記憶装置に該当する)13、報知部(特許請求の範囲の報知装置に該当する)14、日時情報取得部(特許請求の範囲の日時情報取得装置に該当する)15、復旧操作部16を備えて構成されている。
【0021】
ナースコール子機1の子機用制御部2は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されており、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御する。呼出操作部3は、ボタンなどにより構成されており、患者により医療従事者を呼び出すために操作される。呼出操作部3が操作されると、子機用制御部2は、医療従事者に対して呼び出しを行うための呼出信号を生成する。ここで、呼出信号は、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報を含む。
【0022】
子機用I/F部4は、ナースコール子機1にナースコール親機10を接続しており、子機用制御部2にて生成した呼出信号をナースコール親機10へ出力する。また、子機用I/F部4は、ナースコール親機10から出力された復旧信号を入力する。ここで、復旧信号は、ナースコール子機1を呼出操作部3が操作される前の状態に戻すための信号であり、後述する復旧操作部16が操作された場合に行われていた報知部14の報知により特定されるナースコール子機1の子機識別情報を含む。また、呼出操作部3が操作されて子機用制御部2が呼出信号を生成すると、呼出操作部3が続けて操作されても、ナースコール親機10の復旧操作部16で復旧の操作が行われ、子機用I/F部4がナースコール親機10にて生成された復旧信号を入力するまで、子機用制御部2は呼出信号を生成しなくなる。子機用I/F部4がこのナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を入力したと子機用制御部2にて判断した場合に、子機用制御部2は、このナースコール子機1が呼出信号を再び生成することができるようにする。
【0023】
ナースコール親機10の制御部11は、CPUなどにより構成されており、ナースコール親機10の各構成要素を後述するように制御する。I/F部12は、ナースコール親機10にナースコール子機1、第一の読取装置6、第二の読取装置7を接続している。また、I/F部12は、ナースコール子機1から出力された呼出信号、第一の読取装置6から出力された第一の検出信号、第二の読取装置7から出力された第二の検出信号を入力する。また、I/F部12は、後述する処理により生成された復旧信号をナースコール子機1へ出力する。
【0024】
記憶部13は、メモリなどにより構成されている。また、記憶部13は、第一の読取装置6の第一の読取装置識別情報およびその第一の読取装置6が設置されている共用部に設置されているナースコール子機1の子機識別情報を関連付けて予め記憶している。また、図2および図3に示す例では、記憶部13は、図4(a)に示すように、第一の読取装置識別情報「6a」に対して子機識別情報「1a」を関連付けて予め記憶している。また、第一の読取装置識別情報「6b」に対して子機識別情報「1b」を関連付けて予め記憶している。
【0025】
また、記憶部13は、第二の読取装置7の第二の読取装置識別情報およびその第二の読取装置7の近傍に設置されているベッドを使用する患者を他の患者と識別するための患者情報を関連付けて予め記憶している。ここで、医療従事者などは、患者が入院したり病室を移ったりしたタイミングで、その患者の患者情報を登録する。また、図2および図3に示す例では、記憶部13は、図4(b)に示すように、第二の読取装置識別情報「7a」に対して患者情報「山田一郎」を関連付けて予め記憶している。また、第二の読取装置識別情報「7b」に対して患者情報「田中三郎」を関連付けて予め記憶している。
【0026】
また、記憶部13は、医療従事者を他の医療従事者と識別するための医療従事者識別情報およびその医療従事者の氏名を示す医療従事者情報を関連付けて予め記憶している。また、記憶部13は、図4(b)に示すように、医療従事者識別情報「001」に対して医療従事者情報「鈴木花子」を関連付けて予め記憶している。また、医療従事者識別情報「002」に対して医療従事者情報「伊藤太郎」を関連付けて予め記憶している。
【0027】
また、記憶部13は、共用部にて呼び出しを行った患者の患者情報、その患者が共用部にて呼び出しを行った日時を示す日時情報およびその呼び出しに対応した医療従事者の医療従事者情報を呼出履歴データとして記憶する。なお、本実施形態では、呼出履歴データとして医療従事者情報を記憶部13に記憶するようにしているが、これは必須ではない。
【0028】
報知部14は、共用部に居る患者からの呼び出しを報知するためのものであり、スピーカーや表示灯、表示装置などにより構成されている。ここで、報知部14は、ナースコール子機1から出力された呼出信号に含まれている子機識別情報により、呼び出しが行われたナースコール子機1を特定し、その情報をスピーカーから音声を出力したり、表示灯や表示装置によって表示したりして報知を行う。
【0029】
日時情報取得部15は、現在日時を計測する図示しない時計装置から、現在日時を示す日時情報を取得しており、制御部11は、この日時情報を適宜取得する。復旧操作部16は、ボタンなどにより構成されており、報知部14による報知を停止するために操作される。報知部14による報知が行われている状態で、復旧操作部16が操作されると、制御部11は、報知部14の動作を停止させるとともに、報知部14の報知により特定されているナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を生成する。
【0030】
制御部11は、I/F部12がナースコール子機1から出力された呼出信号を入力したか否かを判定する。I/F部12が呼出信号を入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、報知部14を動作させるとともに、日時情報取得部15から日時情報を取得する。それに併せて、制御部11は、復旧操作部16が操作されたか否かを判定する。
【0031】
復旧操作部16が操作されたと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、報知部14の動作を停止させるとともに、報知部14の報知により特定されているナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を生成する。また、I/F部12は、制御部11にて生成した復旧信号をナースコール子機1へ出力する。それに併せて、制御部11は、記憶部13を参照して、I/F部12が入力した呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている第一の読取装置識別情報を取得する。そして、制御部11は、取得した第一の読取装置識別情報と同一の第一の読取装置識別情報を含む第一の検出信号をI/F部12が入力したか否かを判定する。
【0032】
ここで、I/F部12が呼出信号を入力してから第一の検出信号を入力するまでの時間はタイマー(図示せず)により管理されており、タイマーが計測した時間が一定の時間になってもI/F部12が第一の検出信号を入力しなかった場合には、第一の読取装置6が無線機5から医療従事者識別情報を読み取ることができなかったり、医療従事者が共用部に来ていなかったりすることが考えられる。そのため、制御部11は判定動作を終了させる。また、この時間は、ナースステーションに居る医療従事者が共用部からの呼び出しに応答してからその共用部に入ってくるまでにかかるであろう所要時間に対してゆとりを持たせた時間である。
【0033】
取得した第一の読取装置識別情報と同一の第一の読取装置識別情報を含む第一の検出信号をI/F部12が入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、I/F部12が入力した第一の検出信号に含まれる医療従事者識別情報を抽出し、抽出した医療従事者識別情報と同一の医療従事者識別情報を含む第二の検出信号をI/F部12が入力したか否かを判定する。ここで、I/F部12が第一の検出信号を入力してから第二の検出信号を入力するまでの時間も上述したタイマーにより管理されており、タイマーが計測した時間が一定の時間になってもI/F部12が第二の検出信号を入力しなかった場合には、第二の読取装置7が無線機5から医療従事者識別情報を読み取ることができなかったり、医療従事者がベッド近傍に来ていなかったりすることが考えられる。そのため、制御部11は判定動作を終了させる。また、この時間は、共用部に入ってきた医療従事者がそこに居た患者を介助してベッド近傍まで移動するまでにかかるであろう所要時間に対してゆとりを持たせた時間である。
【0034】
抽出した医療従事者識別情報と同一の医療従事者識別情報を含む第二の検出信号をI/F部12が入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は記憶部13を参照し、I/F部12が入力した第二の検出信号に含まれる第二の読取装置識別情報に関連付けて記憶されている患者情報を取得するとともに、抽出した医療従事者識別情報に関連付けて記憶されている医療従事者情報を取得する。そして、制御部11は、記憶部13から取得した患者情報および医療従事者情報と、日時情報取得部15から取得していた日時情報とを関連付けて呼出履歴データとして記憶部13に記憶させる。
【0035】
図2および図3は、本実施形態によるナースコールシステムを適用した共用部a、b、病室a〜cおよびナースステーションの状態例を示す図である。この例では、患者である「田中三郎」が共用部aに設置されているナースコール子機1aの呼出操作部3を操作したものとする。すると、ナースコール子機1aは、子機識別情報「1a」を含む呼出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0036】
ナースコール親機10のI/F部12がナースコール子機1aから出力された呼出信号を入力すると、制御部11は報知部14を動作させる。また、制御部11は、日時情報取得部15から現在日時を示す日時情報「5/23 16:00」を取得する。この状態で、報知を把握した医療従事者ある「鈴木花子」は、復旧操作部16を操作して報知を停止させ、ナースコール子機1aが設置されている共用部aへ向かう。また、制御部11は、I/F部12が入力していた呼出信号に含まれている子機識別情報「1a」に関連付けて記憶部13に記憶されている第一の読取装置識別情報「6a」を取得する。ここで、この医療従事者が携行している無線機5が記憶している医療従事者識別情報は「001」である。
【0037】
医療従事者が共用部aに入ると(図2(b)を参照)、共用部aに設置されている第一の読取装置6aは、医療従事者が携行している無線機5に記憶されている医療従事者識別情報「001」を読み取り、第一の読取装置識別情報「6a」および医療従事者識別情報「001」を含む第一の検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0038】
I/F部12により第一の検出信号を入力したナースコール親機10では、呼出信号により取得した第一の読取装置識別情報「6a」と同一の第一の読取装置識別情報「6a」を含む第一の検出信号をI/F部12が入力したと制御部11にて判断し、第一の検出信号に含まれる医療従事者識別情報「001」を抽出する。
【0039】
その後、共用部aに居る医療従事者は、共用部aに居た患者を連れて共用部aを出て、その患者が使用する病室c内のベッドcの近傍へ移動する(図3を参照)。すると、ベッドcの上の天井部分に設置されている第二の読取装置7bは、医療従事者が携行している無線機5に記憶されている医療従事者識別情報「001」を読み取り、第二の読取装置識別情報「7b」および医療従事者識別情報「001」を含む第二の検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0040】
I/F部12により第二の検出信号を入力したナースコール親機10では、第一の検出信号から抽出した医療従事者識別情報「001」と同一の医療従事者識別情報「001」を含む第二の検出信号をI/F部12が入力したと制御部11にて判断し、記憶部13を参照して、第二の検出信号に含まれる第二の読取装置識別情報「7b」に関連付けて記憶されている患者情報「田中三郎」を取得するとともに、医療従事者識別情報「001」に関連付けて記憶されている医療従事者情報「鈴木花子」を取得する。そして、制御部11は、記憶部13から取得した患者情報「田中三郎」、日時情報取得部15から取得していた日時情報「5/23 16:00」、および、記憶部13から取得した医療従事者情報「鈴木花子」を関連付けて呼出履歴データ(図4(d))として記憶部13に記憶させる。
【0041】
以上、詳しく説明したように、本実施形態のナースコースシステムでは、不特定多数の患者が使用する共用部にナースコール子機1を設置し、医療従事者に医療従事者識別情報が記憶された無線機5を携行させる。また、無線機5から医療従事者識別情報を読み取り、その医療従事者識別情報および第一の読取装置識別情報を含む第一の検出信号をナースコール親機10へ出力する第一の読取装置6を共用部に設置する。また、無線機5から医療従事者識別情報を読み取り、その医療従事者識別情報および第二の読取装置識別情報を含む第二の検出信号をナースコール親機10へ出力する第二の読取装置7を各患者が使用するベッド近傍に設置する。そして、ナースコール子機1が操作された場合に、制御部11は日時情報取得部15から現在日時を示す日時情報を取得する。その後に、このナースコール子機1が設置されている共用部に設置されている第一の読取装置6から出力された第一の検出信号をナースコール親機10のI/F部12にて入力し、その後に、第一の検出信号に含まれる医療従事者識別情報と同一の医療従事者識別情報を含む第二の検出信号をI/F部12が入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、第二の検出信号に含まれる第二の読取装置識別情報に関連付けて記憶部13に記憶されている患者情報、第二の検出信号から抽出した医療従事者識別情報によって特定される医療従事者情報、日時情報取得部15から取得した日時情報を関連付けて呼出履歴データとして記憶部13に記憶させるようにしている。
【0042】
これにより、共用部に設置されたナースコール子機1の呼出操作部3が操作され、その後に第一の読取装置6が医療従事者識別情報を読み取り、続いて第二の読取装置7が同一の医療従事者識別情報を読み取った場合には、共用部での呼び出しに対して医療従事者が共用部へ向かい、そこに居た患者を介助してベッドまで移動したと判断されるので、患者に無線機5を携行させることなく共用部で呼び出しを行った患者を特定し、ナースコール子機1の呼出操作部3が操作された日時とともに呼出履歴として記録することができる。
【0043】
なお、前述した実施形態では、制御部11は、共用部にて呼び出しを行った患者の患者情報、その患者が共用部にて呼び出しを行った日時を示す日時情報およびその呼び出しに応答した医療従事者の医療従事者情報を呼出履歴データとして記憶部13に記憶させているが、これに限定されない。例えば、制御部11が患者により操作されたナースコール子機1の子機識別情報を呼出履歴データに加えて記憶部13に記憶させるようにしても良い。
【0044】
また、前述した実施形態では、I/F部12がナースコール子機1より呼出信号を入力してから、呼出信号を出力したナースコール子機1が設置されている共用部にある第一の読取装置6より出力された第一の検出信号を入力するまでの時間により、制御部11による判定動作を管理しているが、これに限定されない。例えば、I/F部12が同一のナースコール子機1から呼出信号を入力したか否かにより、制御部11による判定動作を管理するようにしても良い。同様に、I/F部12が第一の読取装置6より出力された第一の検出信号を入力してからベッド近傍にある第二の読取装置7より出力された第二の検出信号を入力するまでの時間により、制御部11による判定動作を管理しているが、これに限定されない。例えば、I/F部12が同一のナースコール子機1から呼出信号を入力するか否かにより、制御部11による判定動作を管理するようにしても良い。この場合、I/F部12が新たに呼出信号を入力すると、制御部11は判定動作を最初から行うようにしている。
【0045】
また、前述した実施形態では、復旧操作部16が操作された場合に、制御部11は、呼出信号に含まれる子機識別情報から取得した第一の読取装置識別情報と同一の第一の読取装置識別情報を含む第一の検出信号をI/F部12が入力したか否かを判定しているが、これに限定されない。例えば、I/F部12が呼出信号を入力したと制御部11にて判断した場合に呼出信号に含まれる子機識別情報から取得した第一の読取装置識別情報と同一の第一の読取装置識別情報を含む第一の検出信号をI/F部12が入力したか否かを制御部11にて判定するようにしても良い。これにより、復旧操作部16を不要とすることができる。また、復旧操作部16を共用部に設置した場合でも、復旧操作部16が操作される前に制御部11による判定動作を開始することができる。
【0046】
その他、ナースコールシステムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
1、1a、1b ナースコール子機
2 子機用制御部
3 呼出操作部
4 子機用インターフェース(I/F)部
5 無線機5
6、6a、6b 第一の読取装置
7、7a、7b 第二の読取装置
10 ナースコール親機
11 制御部
12 インターフェース(I/F)部
13 記憶部
14 報知部
15 日時情報取得部
16 復旧操作部
図1
図2
図3
図4